1級建築施工管理技士 平成29年 学科 問題5解説

平成29年 1級建築施工管理技士 学科 問題5 解答解説

問題番号 [ No.46 ] ~ [ No.50 ] までの 5 問題は、全問題を解答してください。
[ No. 46 ]
事前調査や準備工事に関する記述として、最も適当なものはどれか。
1. 掘削深さや地盤条件に応じた山留めを設けることとしたため、隣接建物の基礎の調査を省略した。
2. 建物の位置と高さの基準となるベンチマークは、複数設置すると誤差を生じるおそれがあるため、設置は1箇所とした。
3. 鉄骨工事計画に当たり、周辺道路の交通規制や埋設物、架空電線、電波障害について調査した。
4. セメントによって地盤改良された土の掘削に当たって、沈砂槽を設置して湧水を場外へ排水することとしたため、水質調査を省略した。

答え

  3
鉄骨工事の施工計画に際しては、周辺の交通規制や電気・ガスなどの埋設物、道路幅員や電柱・架空電線の状況、電波障害など周辺環境への影響などについて、あらかじめ調査・確認しておかなければならない。
1.×
地下工事による崩壊事故、周辺地盤の沈下等を防止するため、事前に近隣建物、工作物の近接状況、基礎、構造、仕上げ等の現状を調査することが大切である。
2.×
ベンチマークは、建物の高さ及び位置の基準となるものであり、敷地付近の移動のおそれのない箇所に設置し、監理者の検査を受ける。またベンチマーチは通常2箇所以上設け、相互にチェックを行う。
4.×
地盤改良された土の掘削に当たって、沈砂槽を設置して湧水を場外へ排水した場合でも、安全対策として、水質調査を実施する。

[ No. 47 ]
仮設設備の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 作業員の仮設男性用小便所数は、同時に就業する男性作業員 30人以内ごとに1個を設置する計画とした。
2. 工事用使用電力量の算出において、照明器具の需要率及び負荷率を加味した同時使用係数は、0.6 として計画した。
3. アースドリル工法による掘削に使用する水量は、1台当たり10 m3/時として計画した。
4. 工事用電気設備の建物内幹線の立上げは、上下交通の中心で最終工程まで支障の少ない階段室に計画した。

答え

  2
工事用使用電力量の算出において、照明器具の需要率及び負荷率を加味した同時使用係数は、1.0とする。
1 ◯
男性用大便器の便房の数は、同時に就業する男性労働者 60人以内ごとに1個以上、男性用小便所数は、同時に就業する男性労働者 30人以内ごとに1個以上とする。
3 ◯
アースドリル工法による掘削に使用する水量の目安は、1台当たり10 m3/時である。
4 ◯
工事用電気設備の建物内幹線の立上げは、出来るだけ最終工程まで支障の少ない場所で計画する。

[ No. 48 ]
施工計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 既製杭工事のプレボーリング埋込み工法において、支持層への到達の確認方法として、掘削抵抗電流値と掘削時間を積算した積分電流値を用いる計画とした。
2. 市街地での大規模な地下のある建築工事において、1階の床・梁を先行施工し、これを資機材の搬入用の作業構台とすることができる逆打ち工法とする計画とした。
3. プレキャストコンクリート部材の現場接合は、狭い空間に鉄筋やシヤーコッターがあり締固め作業が困難なため、高流動コンクリートを使用する計画とした。
4. 鉄骨工事の耐火被覆は、施工中の粉塵の飛散がなく、被覆厚さの管理も容易なロックウール吹付け工法で実施する計画とした。

答え

  4
ロックウール吹付け工法は、施工中に粉塵の飛散が生じる。また、吹付け厚さ及びかさ密度のばらつきを避けることができない。
1 ◯
既製杭工事のプレボーリング埋込み工法において、オーガー駆動装置の電流値や積分電流値等の上昇変化・波形変化により支持層への到達を判断することができる。
2 ◯
逆打ち工法は、建物の1階の床及び梁を先行施工し、これを支保工として下部の根切りを進め、順次地下階の躯体の施工と根切りを繰り返し、地下工事を進めていく工法である。1階の床を作業床として利用できるので、乗入れ構台等の仮設工事費の節約が可能である。
3 ◯
高流動コンクリートは、非常に高い流動性と施工性を持つため、振動・締固めなしに型枠内に充填することができるので、プレキャストコンクリート部材の接合部のような振動・締め固め作業が困難な箇所への充填に用いることができる

[ No. 49 ]
躯体工事の施工計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 杭工事において、リバース工法による場所打ちコンクリート杭における2次スライム処理は、エアリフトにより行うこととした。
2. 鉄骨工事において、高力ボルト用の孔あけ加工は、板厚が 13 mm の部材については、せん断孔あけとすることとした。
3. 型枠工事において、独立柱の型枠の組立てはセパレーターを使用せず、コラムクランプを用いてせき板を締め付けることとした。
4. 地業工事において、捨てコンクリートの打設を行うときの外気温が 25 ℃ を超えるため、 練混ぜから打込み終了までの時間を 90 分とすることとした。

答え

  2
高力ボルト用の孔あけ加工は、板厚に関係なくドリルあけとする。ボルト・アンカーボルト、鉄筋貫通孔等は、ドリルあけを原則とするが、板厚13mm以下のときは、せん断孔あけとすることができる。
1 ◯
リバース工法における2次スライム処理は、一般にトレミー管とサクションポンプを連絡し、スライムを吸い上げる。また、エアリフトによる方法を行う場合もある。
3 ◯
コラムクランプは、柱型を四方から水平に締め付けるものでセパレーターは用いない。主として、独立柱の型枠を組立てる場合に用いられる
4 ◯
捨てコンクリートの打設において、コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間の限度は、外気温が 25 ℃未満のときは 120分、25℃以上のときは90 分とする

[ No. 50 ]
仕上工事の施工計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 張り石工事において、外壁乾式石張り工法の石材の裏面と躯体コンクリート面の間隔は、70 mm を標準とした。
2. タイル工事において、改良圧着張り工法の張付けモルタルの1回の塗付け面積は、タイル工1人当たり4 m2以内とし、下地面の張付けモルタルの塗厚さは5 mm を標準とした。
3. メタルカーテンウォール工事において、躯体付け金物は、鉄骨躯体の製作に合わせてあらかじめ鉄骨製作工場で取り付けることとした。
4. 塗装工事において、亜鉛めっき鋼面の化成皮膜処理による素地ごしらえは、りん酸塩処理とすることとした。

答え

  2
改良圧着張り工法において、張付けモルタルに触ると手に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、張付けモルタルの一度に施工可能な面積は 2 m2/人以内を目安とする。また、張付けモルタルの下地面に対する塗付けは二度塗りとし、その合計の塗厚は4〜6mmとする。
1 ◯
外壁乾式工法では、取付け代として、石材の裏面と躯体コンクリート面の間隔は、70 mm を標準とする。
3 ◯
躯体付け金物を鉄骨部材へ溶接固定する場合は、本体鉄骨の製作に合わせてあらかじめ鉄骨製作工場で行う。また、所定の溶接長を確保するなど必要な強度が得られるように注意する。
4 ◯
亜鉛めっき鋼面の素地調整(素地ごしらえ)は、工場塗装の場合は化成皮膜処理とする。化成皮膜処理には、りん酸塩処理、クロム酸処理、またはクロメートフリー処理がある

1級建築施工管理技士 平成29年 学科 問題6解説

平成29年 1級建築施工管理技士 学科 問題6 解答解説

問題番号 [ No.51 ] ~ [ No.70 ] までの 20 問題は、全問題を解答してください。
[ No. 51 ]
工事現場における材料の保管に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. プレキャストコンクリートの床部材は平置きとし、上下の台木が鉛直線上に同位置になる ように積み重ねて保管した。
2. 高力ボルトは、工事現場受入れ時に包装を開封し、全数を確認してから乾燥した場所に、 等級別、サイズ別に整理して保管した。
3. 板ガラスは、車輪付き裸台で搬入し、できるだけ乾燥した場所に裸台に乗せたまま保管した。
4. 断熱用の硬質ウレタンフォーム保温板は、反りぐせを防止するため、平坦な敷台の上に平積みで保管した。

答え

  2
高力ボルトは、工事現場受入時には包装を開封せずに、規格種類、径、長さ、ロット番号ごとに整理して乾燥した場所に保管し、施工直前に包装を解く
1 ◯
プレキャストコンクリートの床部材を積み重ねては平置きとする場合は、水平になるように台木を2本敷いて、上部の部材の台木と下部の部材の台木が同じ平面位置になるようにする
3 ◯
車輪付き裸台や木箱・パレットで運搬してきた板ガラスは、そのまま保管する
4 ◯
断熱用の硬質ウレタンフォーム保温板は反りぐせがつくと下地に密着しにくくなるので、反りぐせ防止のため、平坦な敷台等の上に積み重ねて保管する

[ No. 52 ]
建設業者が作成する建設工事の記録等に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 承認あるいは協議を行わなければならない事項については、それらの経過内容の記録を作成し、元請の建設業者と工事監理者が双方で確認したものを工事監理者に提出する。
2. 試験及び検査については、設計図書に示す条件に対する適合性を証明するに足る資料を添えて記録を作成する。
3. 建設工事の施工において必要に応じて作成した工事内容に関する発注者との打合せ記録は、元請の建設業者がその交付の日から 10 年間保存する。
4. 建設工事の施工において必要に応じて作成した完成図は、元請の建設業者が建設工事の目的物の引渡しの日から 10年間保存する。

答え

  3
建設工事の施工上必要に応じて作成した工事内容に関する発注者との打合せ記録で、請負契約の当事者が相互に交付したものの保存期間は、当該建設工事の目的物を引渡した日から10年間とする。
1 ◯
承認あるいは協議を行わなければならない事項について、それらの経過内容の記録を作成し、施工者と監理者が双方で確認し、監理者に提出することとしている。
2 ◯
試験及び検査については、設計図書に示す条件に対する適合性を証明するに足る資料を添えて記録を作成し、整理しておく。監理者の指示がある場合は、この記録又はその写しを速やかに提出する。
4 ◯
受注した建設工事ごとに。①完成図、②打合わせ記録、③施工体系図を当該建設工事の目的物の引渡しの日から 10 年間保存する

[ No. 53 ]
建築工事の施工速度とコストとの一般的な関係を表すグラフとして、最も適当なものはどれか。
  29-53-施工速度1.jpg
  29-53-施工速度2.jpg
  29-53-施工速度3.jpg
  29-53-施工速度4.jpg

答え

 3
施工速度とコストの関係は、一般に次のような傾向がある。施工速度が遅いと施工効率が悪く、コストは高くなり、施工速度を速めると施工効率が上昇し、コストは低くなる。ただし、ある限度を超えて施工速度を上げようとすると、機械の大型化や高価な資材の使用が必要となることもあり、コストは高くなる。

[ No. 54 ]
工程計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 使用可能な前面道路の幅員及び交通規制に応じて、使用重機及び搬入車両の能力を考慮した工程計画を立てる。
2. 工事用機械が連続して作業を実施し得るように作業手順を定め、工事用機械の不稼働をできるだけ少なくする。
3. 工期が指定され、工事内容が比較的容易で、また施工実績や経験が多い工事の場合は、積上方式(順行型)を用いて工程表を作成する。
4. 工程短縮を図るために行う工区の分割は、各工区の作業数量が同等になるように計画する。

答え

  3
工期が指定され、工事内容が比較的容易で、また施工実績や経験が多い工事の場合に、各工程に所要日数を割り当てる割付方式が多く用いられる。積上方式は、工事内容が複雑であったり、施工実績や経験が少ない工事の場合に多く用いられる。
1 ◯
工程計画の立案においては、使用可能な前面道路の幅員及び交通規制に応じて、使用重機及び搬入車両の能力を考慮する。
2 ◯
工程計画の立案においては、工事用機械が連続して作業を実施し得るように作業手順を定め工事用機械の不稼働をできるだけ少なくする
4 ◯
工程短縮を図るために行う工区の分割は、各工区の作業数量が同等になるように計画する。同等にならない場合は、主要な職種の作業数量が同等になるように分割する。

[ No. 55 ]
高層建築の鉄骨工事において、所要工期算出のための各作業の一般的な能率に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. タワークレーンの揚重ピース数は、1日当たり 40 ピースとした。
2. 補助クレーンを併用するため、タワークレーンの鉄骨建方作業のみに占める時間の割合を、30% とした。
3. 現場溶接は、溶接工1人1日当たりボックス柱で2本、梁で5箇所とした。
4. タワークレーンの1回のクライミングに要する日数は、1.5 日とした。

答え

  2
超高層ビルの鉄骨建方において、タワークレーンの鉄骨建方作業占有率(鉄骨建方作業のみに占める時間の割合)は、同時期作業が多く、補助クレーンを用いる場合50~60%とする。
1 ◯
タワークレーンの揚重ピース数は、1日当たり、40〜50 ピース程度とされている。
3 ◯
一般に現場溶接の1日の平均能率は、溶接技能者 1人当たり箱形(ボックス)柱で2本、梁で5箇所といわれている。
4 ◯
タワークレーンの1回のクライミングに要する日数は、準備を含めて1.5 日である。

[ No. 56 ]
次の条件の工事の総所要日数として、正しいものはどれか。 ただし、(  )内は各作業の所要日数である。
条件
イ.作業A(3日)及びB(4日)は、同時に着工できる。
ロ.作業C(6日)は、作業A及びBが完了後、作業を開始できる。
ハ.作業D(5日)及びE(8日)は、作業Bが完了後、
  作業を開始できる。
ニ.作業F(4日)は、作業C及びDが完了後、作業を開始できる。
ホ.作業E及びFが完了したとき、全工事は完了する。
 1. 11 日
 2. 12 日
 3. 13 日
 4. 14 日

答え

  4
イ~ホの条件を取り入れてネット工程表を作成すると次のよううな工程表になる。
 29-56所要日数.jpg
つまり、所要工期は、イべント⑤の最早開始時刻の14日である。したがって、工事の総所要日数として正しいものは、4 である。

[ No. 57 ]
施工品質管理表(QC 工程表)の作成に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 工種別又は部位別とし、管理項目は作業の重要度に関わらず施工工程に沿って並べる。
2. 工事監理者、施工管理者及び専門工事業者の役割分担を明記する。
3. 管理値を外れた場合の処置をあらかじめ定めておく。
4. 各作業の施工条件及び施工数量を明記する。

答え

  4
各作業の施工条件及び施工数量は、施工計画書の記載内容である。施工品質管理表(QC工程表)には記載しない
1 ◯
施工品質管理表(QC工程表)は、施工のプロセスの流れに沿って、プロセスの各段階で、誰が、いつ、どこで、何を、どうように管理するのかを一覧表にまとめるものであり、管理項目は作業の重要度の高い順に並べるものではない。
2 ◯
管理方法として、工事監理者、施工管理者、専門工事業者のそれぞれの役割分担を明確にしておく。
3 ◯
異常時の処置として、管理値を外れた場合の処置をあらかじめ定めておく。

[ No. 58 ]
JIS Q 9000(品質マネジメントシステム-基本及び用語)の用語の定義に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. マネジメントシステムとは、方針及び目標、並びにその目標を達成するためのプロセスを確立するための、相互に関連する又は相互に作用する、組織の一連の要素をいう。
2. 是正措置とは、不適合の原因を除去し、再発を防止するための処置をいう。
3. トレーサビリティとは、設定された目標を達成するための対象の適切性、妥当性又は有効性を確定するために行われる活動をいう。
4. 品質マネジメントとは、品質に関して組織を指揮し、管理するための調整された活動をいう。

答え

  3
トレーサビリティとは、考慮の対象となっているものの履歴、適用または所在を追跡できることである。設問の設定された目標を達成するための対象の適切性、妥当性または有効性を確定するために行われる活動は、レビューである。
1 ◯
マネジメントシステムとは、方針及び目標を定め、その目標を達成するためのシステムと定義されている。
2 ◯
是正措置とは、検出された不適合またはその他の検出された望ましくない状況の原因を除去し、再発を防止するための処置のこと。
4 ◯
品質マネジメントとは、品質に関して組織を指揮し、管理するための調整された活動である。

[ No. 59 ]
品質管理における精度に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. カーテンウォール工事において、プレキャストコンクリートカーテンウォール部材の取付け位置の寸法許容差のうち、目地の幅については、±5 mmとした。
2. コンクリート工事において、コンクリート部材の設計図書に示された位置に対する各部材の位置の許容差は、±20 mm とした。
3. コンクリート工事において、ビニル床シート下地のコンクリート面の仕上がりの平坦さは、3mにつき 7mm 以下とした。
4. 鉄骨工事において、スタッド溶接後の頭付きスタッドの傾きの限界許容差は、10 °以下とした。

答え

  4
鉄骨工事におけるスタッド溶接後のスタッドの傾きの限界許容差は、5°以下とする。
1 ◯
プレキャストコンクリートカーテンウォール部材の取付け位置における目地幅の許容差は、特記のない場合は ±5 mmとする。
2 ◯
コンクリート工事において、コンクリート部材の設計図書に示された位置に対する各部材の位置の許容差は、±20 mm を標準とする。
3 ◯
コンクリート工事において、ビニル系床材張りなど仕上げ厚さが極めて薄い場合、下地のコンクリートの仕上がりの平坦さは、3mにつき 7mm 以下とする。

[ No. 60 ]
品質管理図に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. X(エックスバー)管理図は、サンプルの個々の観測値を用いて工程水準を評価するための計量値管理図である。
2. np(エヌピー)管理図は、サンプルサイズが一定の場合に、所与の分類項目に該当する単位の数を評価するための計数値管理図である。
3. R(アール)管理図は、群の範囲を用いて変動を評価するための計量値管理図である。
4. s(エス)管理図は、群の標準偏差を用いて変動を評価するための計量値管理図である。

答え

  1
X(エックスバー)管理図は、群の平均値を用いて群間の違いを評価するための計量値管理図である。
2 ◯
np(エヌピー)管理図は、不適合品数を用いて工数を評価するための管理図で、群の大きさが一定の場合に用いる計数値管理図である。
3 ◯
R(アール)管理図は、群の範囲を用いて工程の分散を評価するための計量値管理図である。
4 ◯
s(エス)管理図は、群の標準偏差を用いて工程の平均と変動を監視するための計量値管理図である。

[ No. 61 ]
品質管理における検査に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 受入検査は、依頼した原材料、部品、製品などを受け入れる段階で行う検査で、生産工程に一定の品質水準のものを流すことを目的で行う。
2. 中間検査は、不良なロットが次工程に渡らないように、事前に取り除くことによって損害を少なくするために行う。
3. 抜取検査は、継続的に不良率が大きく、決められた品質水準に修正しなければならない場合に行う。
4. 検査とは、適切な測定、試験、又はゲージ合せを伴った、観測及び判定による適合性評価をいう。

答え

  3
設問の場合は、全数検査を行う。全数検査は、一般には、工程の状態からみて不良率が大きく、あらかじめ決められた品質水準に達しないときに行う。抜取検査は、製品またはサービスのサンプルを用いる検査をいう。
1 ◯
受入検査とは、受入れ側に、提供側の製品や活動結果(サービス)が引き渡される際、それらの製品や活動結果の数量、形状、寸法、外観、機能などに関し、受入れ側が自ら適否を判定する検査のこと。
2 ◯
中間検査は、不良なロットが次工程に渡らないように、事前に取り除くことによって損害を少なくするために行う
4 ◯
検査とは、品物またはサービスの一つ以上の特性値に対して、測定、試験、検定、又はゲージ合せなどを行って、規定要求事項と比較して、適合しているかどうかを判定する活動である。

[ No. 62 ]
鉄筋のガス圧接継手の外観検査の結果、不合格となった圧接部の処置に関する記述とし て、最も不適当なものはどれか。
1. 圧接部のふくらみの直径が規定値に満たない場合は、再加熱し圧力を加えて所定のふくらみに修正する。
2. 圧接部のふくらみが著しいつば形の場合は、圧接部を切り取って再圧接する。
3. 圧接部における相互の鉄筋の偏心量が規定値を超えた場合は、再加熱し圧力を加えて偏心を修正する。
4. 圧接面のずれが規定値を超えた場合は、圧接部を切り取って再圧接する。

答え

  3
圧接部における相互の鉄筋の偏心量が d/5 (dは鉄筋径)を超えた場合は、切り取って再圧接しなければならない

[ No. 63 ]
仕上工事における試験及び検査に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 工場塗装において、鉄鋼面のさび止め塗装の塗膜厚の確認は、硬化乾燥後に電磁微厚計を用いて行った。
2. アスファルト防水工事において、下地コンクリートの乾燥状態の確認は、高周波水分計を用いて行った。
3. タイル張り工事において、タイルの浮きの打音検査は、リバウンドハンマー(シュミットハンマー)を用いて行った。
4. 室内空気中に含まれるホルムアルデヒドの濃度測定は、パッシブ型採取機器を用いて行った。

答え

  3
屋外及び屋内の吹抜け部分等の壁タイル張上げ面は、施工後2週間以上経過した時点で、全面にわたりタイル用テストハンマーを用いて打音検査を行い、浮きの有無を確認する。リバウンドハンマー(シュミットハンマー)はコンクリートの表面を打撃したときの反発度から反縮強度を推定するための機器である。
1 ◯
工場塗装においる鉄鋼面のさび止め塗装の塗膜厚は、硬化乾燥後に電磁微厚計その他適切な測定機器を用いて確認する。
2 ◯
下地コンクリートの乾燥状態の確認する方法には次のものがある。
高周波水分計による下地水分の測定
②一昼夜ビニルシートやルーフィングで覆った下地の結露の状態の確認
③コンクリート打込み後の日数
④目視による乾燥状態の確認
4 ◯
室内空気中に含まれるホルムアルデヒド等の化学物質の濃度測定を実施する場合には、動力を用いずに自然に採集するパッシブ法または吸引ポンプなどの動力を用いて強制的に採取するアクティブ法が用いられ、パッシブ法は、パッシブ形採取機器を用いて行う。

[ No. 64 ]
労働災害に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 労働損失日数は、一時全労働不能の場合、暦日による休業日数に 300/365を乗じて算出する。
2. 度数率は、災害発生の頻度を表すもので、100 万延べ実労働時間当たりの延べ労働損失日数を示す。
3. 年千人率は、労働者 1,000 人当たりの1年間の死傷者数を示す。
4. 一般に重大災害とは、一時に3名以上の労働者が死傷又は罹病した災害をいう。

答え

  2
度数率は、100万延労働時間当たりの労働災害による死傷者数で表し、労働災害発生の頻度を示す。
度数率 = 死傷者数 / 延労働時間数 × 1,000,000
1 ◯
労働損失日数は、一時全労働不能の場合、暦日による休業日数に 300/365を乗じて算出する。
3 ◯
年千人率は、労働者 1,000 人当たりの1年間の死傷者数を示すもので、発生頻度を示す。
年千人率 = 1年間の死傷者数 / 1年間の平均労働者数 × 1,000
4 ◯
労働災害における重大災害とは、不休災害を含む一時に3名以上の労働者が死傷又は罹病した災害をいう。

[ No. 65 ]
市街地の建築工事における公衆災害防止対策に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 歩行者が多い箇所であったため、歩行者が安全に通行できるよう、車道とは別に幅 1.5 m の歩行者用通路を確保した。
2. 道路の通行を制限する必要があり、制限後の車線が2車線となるので、その車道幅員を5.5 m とした。
3. 建築工事を行う部分の地盤面からの高さが 20 m なので、防護棚を2段設置した。
4. 防護棚は、外部足場の外側から水平距離で2 m 突き出し、水平面となす角度を 15 度とした。

答え

  4
防護棚は足場の外側から水平距離2m以上突き出させ、水平面となす角度を20度以上とし、風圧、振動、衝撃、雪荷重等で脱落しないように骨組に堅固に取り付ける。
1 ◯
施工者は、車両交通対策を行った場合には、歩行者が安全に通行し得るために、車道とは別に幅 0.75m以上、特に歩行者の多い箇所においては幅1.5 m 以上の歩行者用通路を確保し、必要に応じて交通誘導員を配置する。
2 ◯
公衆の通行の用に供する部分の通行を制限する必要のある場合には、制限した後の道路の車線が2車線となる場合にあっては、その車道幅員を5.5 m以上とする。
3 ◯
防護策は、建築工事を行う部分が地盤面から高さが10m以上の場合にあっては1段以上、 20 m以上の場合にあって2段以上設ける。

[ No. 66 ]
作業主任者の職務として、「労働安全衛生法」上、定められていないものはどれか。
1. 型枠支保工の組立て等作業主任者は、作業の方法を決定し、作業を直接指揮すること。
2. 木造建築物の組立て等作業主任者は、作業の方法及び順序を決定し、作業を直接指揮すること。
3. 足場の組立て等作業主任者は、作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業の進行状況を監視すること。
4. 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者は、作業の方法及び順序を作業計画として定めること。

答え

  4
事業者は、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。(労働安全衛生規則第517条の5)
①作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業を直接指揮すること。
②器具、工具、安全帯等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと。
安全帯等及び保護帽の使用状況を監視すること。
作業の方法及び順序を作業計画として定めるのは事業者であり、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者の職務ではない。(労働安全衛生規則第517条の6)
☆労働安全衛生規則の改正(2019年2月1日施行)により、安全帯の名称は墜落防止用器具となる。(以下、同様)
1 ◯
事業者は、型枠支保工の組立て等作業主任者に次の事項を行わせなければならない。(労働安全衛生規則第247条)
作業の方法を決定し、作業を直接指揮すること。
②材料の欠点の有無並びに器具及び工具を点検し、不良品を取り除くこと。
③作業中、安全帯等及び保護帽の使用状況を監視すること。
2 ◯
事業者は、木造建築物の組立て等作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。(労働安全衛生規則第517条の13)
作業の方法及び順序を決定し、作業を直接指揮すること。
②器具、工具、安全帯等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと。
安全帯等及び保護帽の使用状況を監視すること。
3 ◯
事業者は、足場の組立て等作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。ただし、解体の作業の時は、①の規定は適用しない。(労働安全衛生規則第566条)
①材料の欠点の有無を点検し、不良品を取り除くこと。
②器具、工具、安全帯等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと。
作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業の進行状況を監視すること
安全帯等及び保護帽の使用状況を監視すること。

[ No. 67 ]
足場に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 単管足場の壁つなぎの間隔は、垂直方向 5.5 m以下、水平方向 5 m 以下とする。
2. 単管足場の建地間の積載荷重は、400 kg以下とする。
3. 枠組足場の使用高さは、通常使用の場合 45m以下とする。
4. 枠組足場に設ける高さ 8 m 以上の階段には、7m以内ごとに踊場を設ける。

答え

  1
単管足場の壁つなぎの間隔は、垂直方向5m以下水平方向5.5m以下とする。(労働安全衛生規則第570条第1項第五号イ)
2 ◯
単管足場の建地間の積載荷重は、400 kgを限度とする。(労働安全衛生規則第571条第1項第四号)
3 ◯
枠組足場の使用高さは、原則てとして 45m以下とする。(JIS A8951)
4 ◯
踊場は、階段と一体になって機能する架説通路であり、労働安全衛生規則第552条を準用し、高さが 8 m 以上の階段には、7m以内ごとに踊場を設ける。(労働安全衛生規則第552条第1項第六号)

[ No. 68 ]
事業者が行わなければならない点検に関する記述として、「労働安全衛生規則」上、誤っているものはどれか。
1. 車両系建設機械を用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、ブレーキ及びクラツチの機能について点検を行わなければならない。
2. つり足場における作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、脚部の沈下及び滑動の状態について点検を行わなければならない。
3. 高所作業車を用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、制動装置、操作装置及び作業装置の機能について点検を行わなければならない。
4. 作業構台における作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、作業を行う箇所に設けた手すり等及び中桟等の取り外し及び脱落の有無について点検を行わなければならない。

答え

  2
強風、大雨、大雪等の悪天候若しくは中震以上の地震または足場組立て、一部解体若しくは変更の後においては、作業開始前の点検事項として定められているが、その日の作業開始前の点検事項としては定められていない。(労働安全衛生規則第568条)
☆令和5年10月1日施行の同規則第567条・第568条の改正により、事業者が自ら点検する義務が、点検者を指名して、点検者に点検させる義務に変更された。したがって、現在でも、この選択肢が誤りとなる。
1 ◯
事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、ブレーキ及びクラッチの機能について点検を行わなければならない。(労働安全衛生規則第170条)
3 ◯
事業者は、高所作業車を用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、制動装置、操作装置及び作業装置の機能について点検を行わなければならない。(労働安全衛生規則第194条の27)
4 ◯
事業者は、作業構台における作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、作業を行う箇所に設けた手すり等及び中桟等の取り外し及び脱落の有無について点検し、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならない。(労働安全衛生規則第575条の8第1項)

[ No. 69 ]
つり上げ荷重が 0.5 t 以上の移動式クレーンを用いて作業を行う場合に事業者の講ずべ き措置として、「クレーン等安全規則」上、誤っているものはどれか。
1. 移動式クレーンの運転の合図について、合図を行う者を指名し、その者に合図の方法を定めさせた。
2. 移動式クレーンの玉掛け用具として使用するワイヤロープは、安全係数が6以上のものを使用させた。
3. 移動式クレーンの玉掛け用具として使用するワイヤロープは、直径が公称径の 92 % だったので使用させなかった。
4. 移動式クレーンの上部旋回体の旋回範囲内に、労働者が立ち入らないようにさせた。

答え

  1
事業者は、移動式クレーンを用いて作業を行うときは、移動式クレーンの運転について一定の合図を定め、原則として、合図を行う者を指名して、その者に合図を行わせなければならない。(クレーン等安全規則第71条第1項)
2 ◯
クレーン、移動式クレーンまたはデリックの玉掛け用具であるワイヤロープの安全係数については、6以上でなければ使用してはならない。(クレーン等安全規則第213条第1項)
3 ◯
直径の減少が公称径の 7% を超えるワイヤロープをクレーン、移動式クレーンまたはデリックの玉掛け用具として使用してはならない。(クレーン等安全規則第215条第二号)
4 ◯
事業者は、移動式クレーンに係る作業を行うときは、移動式クレーンの上部旋回と接触することにより労働者に危険が生じるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。(クレーン等安全規則第74条)

[ No. 70 ]
有機溶剤作業主任者の職務として、「有機溶剤中毒予防規則」上、定められていないものはどれか。
1. 屋内作業場において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、作業中の労働者が有機溶剤の人体に及ぼす作用を容易に知ることができるよう、見やすい場所に掲示すること。
2. 作業に従事する労働者が有機溶剤により汚染され、又はこれを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
3. 局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を1月を超えない期間ごとに点検すること。
4. 保護具の使用状況を監視すること。

答え

  1
作業中の労働者が有機溶剤の人体に及ぼす作用を容易に知ることができるよう、見やすい場所に掲示しなければならないのは事業者である。(有機溶剤中毒予防規則第24条第1項第一号)
有機溶剤作業主任者の職務は、次の通りである。
(有機溶剤中毒予防規則第19条の2)
①作業に従事する労働者が有機溶剤により汚染され、又はこれを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
②局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を1月を超えない期間ごとに点検すること。
③保護具の使用状況を監視すること。
④タンクの内部において有機溶剤業務に労働者が従事するときは、第26条各号に定める措置が講じられていることを確認すること。

1級建築施工管理技士 平成29年 学科 問題7解説

平成29年 1級建築施工管理技士 学科 問題7 解答解説

問題番号 [ No.71 ] ~ [ No.82 ] までの 12 問題のうちから、8 問題を選択し、解答してください。
[ No. 71 ]
用語の定義に関する記述として、「建築基準法」上、誤っているものはどれか。
1. 床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの 1/3 以上のものは、地階である。
2. 建築物の構造上重要でない間仕切壁の過半の模様替は、大規模の模様替である。
3. 高架の工作物内に設ける店舗は、建築物である。
4. 一の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地は、敷地である。

答え

  2
大規模の模様替とは、建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。構造上重要でない間仕切り壁は主要構造部ではないため、大規模の模様替には該当しない。(建築基準法第2条第1項第十五号)
1 ◯
地階とは、床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの 1/3 以上のものをいう。(建築基準法施行令第1条第二号)
3 ◯
建築物とは、土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの、これに付属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいい、建築設備を含むものとする。高架の工作物内に設ける店舗は、建築物に該当する。(建築基準法施行令第1条第一号)
4 ◯
敷地とは、一の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地をいう。(建築基準法施行令第1条第一号)

[ No. 72 ]
次の記述のうち、「建築基準法」上、誤っているものはどれか。
1. 鉄筋コンクリート造3階建の既存の建築物にエレベーターを設ける場合においては、確認済証の交付を受けなければならない。
2. 鉄骨造2階建、延べ面積 200 m2 の建築物の新築工事において、特定行政庁の仮使用の承認を受けたときは、建築主は検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物を使用することができる。
3. 防火地域及び準防火地域外において建築物を改築しようとする場合で、その改築に係る部分の床面積の合計が 10 m2 以内のときは、建築確認申請書の提出は必要ない。
4. 確認済証の交付を受けた建築物の完了検査を受けようとする建築主は、工事が完了した日から5日以内に、建築主事に到達するように検査の申請をしなければならない。

答え

  4
建築主は、工事完了検査申請を、工事が完了した日から4日以内に建築主事に到達するように行わなければならない。(建築基準法第7条第2項)
1 ◯
木造以外の建築物で2以上の階を有する既存の建築物にエレベーターを設ける場合は、確認済証の交付を受けなければならない。(建築基準法第6条第1項)
2 ◯
木造以外の建築物で延べ面積 200 m2 を超えるものの新築工事においては、検査済証の交付を受けた後でなければ、使用することができない。ただし、特定行政庁の仮使用の承認を受けたときは、建築主は検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物を使用することができる。(建築基準法施行規則第4条の16)
3 ◯
防火地域及び準防火地域外において建築物を改築しようとする場合で、その改築に係る部分の床面積の合計が 10 m2 以内のときは、建築確認申請書の提出は必要ない。(建築基準法第7条第2項)

[ No. 73 ]
次の記述のうち、「建築基準法」上、誤っているものはどれか。
1. 共同住宅の各戸の界壁を給水管が貫通する場合においては、当該管と界壁とのすき間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない。
2. 準防火地域内の鉄骨造2階建、延べ面積 1,000 m2 の倉庫は、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。
3. 主要構造部を耐火構造とした建築物で、延べ面積が 1,500m2 を超えるものは、原則として、床面積の合計 1,500 m2 以内ごとに1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。
4. 政令で定める窓その他の開口部を有しない事務所の事務室は、その事務室を区画する主要構造部を準耐火構造とし、又は不燃材料で造らなければならない。

答え

  4
政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、その居室を区画する主要構造部を耐火構造とし、又は不燃材料で造らなければならない。(建築基準法第35条の3)
1 ◯
建築物に設ける給水管、配電管その他の管が、準耐火構造の防火区画を貫通する場合においては、当該管と防火区画とのすき間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない。(建築基準法施行令第112条第15項)
2 ◯
準防火地域内においては、地階を除く階数が4以上である建築物又は延べ面積が 1,500m2 を超える建築は耐火建築物とし、延べ面積が500m2 を超え 1,500m2 以下の建築物は、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。(建築基準法第62条第1項)
3 ◯
主要構造部を耐火構造とした建築物で、延べ面積が 1,500m2 を超えるものは、床面積の合計 1,500 m2 以内ごとに1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは 壁又は特定防火設備で区画しなければならない。(建築基準法施行令第112条第1項)

[ No. 74 ]
建設業の許可に関する記述として、「建設業法」上、誤っているものはどれか。
1. 建設業の許可は、5年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
2. 建設業の許可を受けた建設業者は、許可を受けてから3年以内に営業を開始せず、又は引き続いて1年以上営業を休止した場合は、当該許可を取り消される。
3. 工事1件の請負代金の額が建築工事にあっては 1,500 万円に満たない工事又は延べ面積が150 m2 に満たない木造住宅工事は、建設業のみを請け負う場合は、建設業の許可を必要としない。
4. 建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。

答え

  2
国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、又は引き続いて1年以上営業を休止した場合は、その許可を取り消さなければならない。(建設業法第29条第1項第三号)
1 ◯
建設業の許可は、5年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。(建設業法第3条第3項)
3 ◯
工事1件の請負代金の額が建築一式工事にあっては 1,500 万円に満たない工事又は延べ面積が150 m2 に満たない木造住宅工事は、建設業のみを請け負う場合は、建設業の許可を必要としない。(建設業法第3条第1項、同法施行令第1条の2第1項)
4 ◯
建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。(建設業法第4条)

[ No. 75 ]
請負契約に関する記述として、「建設業法」上、誤っているものはどれか。
1. 請負契約においては、注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期に関する事項を書面に記載しなければならない。
2. 注文者は、請負契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、建設工事に使用する資材や機械器具の購入先を指定して請負人に購入させ、その利益を害してはならない。
3. 請負人は、請負契約の履行に関し、工事現場に現場代理人を置く場合、注文者の承諾を得なければならない。
4. 共同住宅を新築する建設工事の場合、建設業者は、その請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。

答え

  3
請負人は、工事現場に現場代理人を置く場合、現場代理人に関する事項を書面により注文者に通知しなければならないが、承諾を得る必要はない。(建設業法第19条の2第1項)
1 ◯
建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際して、工事内容、請負代金の額、工事着手の時期及び工事完成の時期、注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期に関する事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付なければならない。(建設業法第19条第1項第十号)
2 ◯
注文者は、請負契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事に使用する資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを請負人に購入させ、その利益を害してはならない。(建設業法第19条の4)
4 ◯
共同住宅の新築工事を請け負った建設業者は、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。(建設業法第22条第1項、第3項、同法施行令第6条の3)

[ No. 76 ]
工事現場に置く技術者に関する記述として、「建設業法」上、誤っているものはどれか。
1. 専任の者でなければならない監理技術者は、当該選任の期間中のいずれの日においてもその日の前7年以内に行われた国土交通大臣の登録を受けた講習を受講していなければならない。
2. 一般建設業の許可を受けた者が、下請けとして工事金額が 450 万円の防水工事を請け負った場合、主任技術者を置かなければならない。
3. 発注者から直接建築一式工事を請け負った特定建設業者が、下請契約の総額が 6,000 万円以上となる工事を施工する場合、工事現場に置く技術者は、監理技術者でなければならない。
4. 公共性のある施設又は多数の者が利用する施設に関する重要な建設工事で、政令で定めるものについては、主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。

答え

  1
専任の者でなければならない監理技術者は、当該選任の期間中のいずれの日においても、その日の前5年以内に行われた国土交通大臣の登録を受けた講習を受講していなければならない。(建設業法施行規則第17条の14)
2 ◯
建設業者は元請、下請にかかわらず請け負った建設工事を施工するときは、その工事現場における技術上の管理をつかさどる物とし、主任技術者を置かなければならない。(建設業法施行規則第17条の14)
3 ◯
発注者から直接建築工事を請け負った特定建設業者は、下請契約の請負代金の総額が 建築一式工事では 6,000 万円以上、その他の工事では 4,000 万円以上となる場合は、監理技術者を置かなければならない。(建設業法第26条第2項、同法施行令第2条)
4 ◯
公共性のある施設又は多数の者が利用する施設に関する重要な建設工事で政令で定めるものは、主任技術者又は監理技術者を、工事現場ごとに、専任の者としなければならない。(建設業法第26条第3項)

[ No. 77 ]
労働時間等に関する記述として、「労働基準法」上、誤っているものはどれか。
1. 労働時間、休憩及び休日に関する規定は、監督又は管理の地位にある者には適用されない。
2. 使用者は、労働時間が8時間を超える場合には、少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
3. 使用者は、労働者の合意があれば休憩時間中であっても、留守番等の軽微な作業であれば命ずることができる。
4. 使用者は、労働者に対し毎週少なくとも1回の休日を与えるか、又は4週間を通じ4日以上の休日を与えなければならない。

答え

  3
使用者は、労働者に対して与える所定の休憩時間を、自由に利用させなければない。したがって、労働者の合意があっても、軽微な作業であっても、労働者に作業を命ずることはできない。(労働基準法第34条第3項)
1 ◯
監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者は、労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用されない。(労働基準法第41条第二号)
2 ◯
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。(労働基準法第34条第1項)
4 ◯
使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えるか、又は4週間を通じ4日以上の休日を与えなければならない。(労働基準法第35条第1項、第2項)

[ No. 78 ]
建設業の事業場における安全衛生管理体制に関する記述として、「労働安全衛生法」上、誤っているものはどれか。
1. 事業者は、常時 10 人の労働者を使用する事業場では、安全衛生推進者を選任しなければならない。
2. 事業者は、常時 30 人の労働者を使用する事業場では、安全管理者を選任しなければならない。
3. 事業者は、常時 50 人の労働者を使用する事業場では、衛生管理者を選任しなければならない。
4. 事業者は、常時 100 人の労働者を使用する事業場では、安全委員会及び衛生委員会、又は安全衛生委員会を設けなければならない。

答え

  2
安全管理者を選任しなければならないのは、常時50人以上の労働者をしようする事業場である。(労働安全衛生法施工令第3条)
事業場における安全衛生管理体制(選任しなければなならない事業場)を次に示す。
H29-78選任しなければならない事業場A.jpg
  選任しなければならない事業場
4 ◯
建設業においては、事業者は、常時 50人以上の労働者を使用する事業場においては、事業に対し意見を述べさせるため、安全委員会及び衛生委員会を設けなければならない。なお、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができる。(労働安全衛生法第19条第1項)

[ No. 79 ]
建設現場における次の業務のうち、「労働安全衛生法」上、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を必要とするものはどれか。
1. 最大積載量が1 t 以上の不整地運搬車の運転の業務
2. 最大荷重が 1 t 以上のフォークリフトの運転の業務
3. つり上げ荷重が 5 t 以上の移動式クレーンの運転の業務
4. 作業床の高さが 10 m 以上の高所作業車の運転の業務

答え

  3
つり上げ荷重が 5t以上の移動式クレーンの運転業務が、免許を必要とする。
(労働安全衛生法61条、同法施行令第20条第七号)
主な就業制限に係る業務
①つり上げ荷重が 5t以上のクレーン、デリックの運転業務
 クレーン・デリック運転士免許
②つり上げ荷重が 1t以上の移動式クレーンの運転業務
 5t 以上はクレーン運転士免許
 1t 以上 5t 未満は技能講習
③つり上げ荷重が 1t 以上のクレーン、移動式クレーン、デリックの玉掛け業務
 技能講習
④作業床の高さが 10m以上の高所作業者の運転業務
 技能講習
⑤機体重量が 3t以上の車両系建設機械の運転業務
 技能講習
⑥最大積載荷重が 1t以上の不整地運搬車の運転業務
 技能講習
⑦最大荷重が 1t以上のフォークリフトの運転業務
 技能講習

[ No. 80 ]
次の記述のうち、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」上、誤っているものはどれか。ただし、特別管理産業廃棄物を除くものとする。
1. 産業廃棄物の運搬又は収集を行う車両は、産業廃棄物運搬車である旨の事項を表示し、かつ、当該運搬車に環境省令で定める書面を備え付けておかなければならない。
2. 事業者は、産業廃棄物を自ら運搬する場合、管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
3. 事業者は、産業廃棄物の再生を委託する場合、その再生施設の所在地、再生方法及び再生に係る施設の能力を委託契約書に含めなければならない。
4. 事業者は、産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合、委託契約書及び環境省令で定める書面を、その契約の終了の日から5年間保存しなければならない。

答え

  2
産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く)の収集又は運搬を業として行おうとする者は、管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者が自らその産業廃棄物を運搬する場合は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条第1項)
1 ◯
産業廃棄物の収集又は運搬に当たっては、運搬車の車体の外側に、環境省令で定めるところにより、産業廃棄物の収集又は運搬の用に供する運搬車である旨その他の事項を見やすいように表示し、かつ、当該運搬車に環境省令で定める書面を備え付けておかなければならない。(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第6条第1項第一号イ)
3 ◯
事業者は、産業廃棄物の運搬、処分等の委託においては、委託契約は書面により行い、当該委託契約に含める主なものとしては、次に掲げる事項がある。(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第6条の2第四号ハ)
ハ 産業廃棄物の処分又は再生を委託するときは、その処分又は再生の場所の所在地、その処分又は再生の方法及びその処分又は再生に係る施設の処理能力
4 ◯
委託契約書及び書面をその契約の終了の日から5年間保存しなければならない。(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第6条の2第五号、同法規則第8条の4の3)

[ No. 81 ]
宅地以外の土地を宅地にするため、土地の形質の変更を行う場合、「宅地造成等規制法」上、宅地造成に該当しないものはどれか。
1. 切土をする土地の面積が 600 m2 であって、切土をした土地の部分に高さが 1.0mの崖を生ずるもの
2. 盛土をする土地の面積が 600 m2 であって、盛土をした土地の部分に高さが 1.0 mの崖を生ずるもの
3. 盛土をする土地の面積が 300 m2 であって、盛土をした土地の部分に高さが 2.0 mの崖を生ずるもの
4. 切土をする土地の面積が 300 m2 であって、切土をした土地の部分に高さが 2.0mの崖を生ずるもの

答え

  4
切土をする土地の面積が500m2 以下で、切土による崖の高さが2m以下の場合は、宅地造成に該当しない。(宅地造成等規制法施行令第3条第一号、第四号)
宅地造成とは、宅地以外の土地を宅地にするため又は宅地において行う土地の形質の変更で政令で定めるものをいう。(宅地造成等規制法第2条第二号)
また、宅地造成等規制法則施行令第3条により定める土地の形質の変更は次に掲げるものである。
①切土をした土地の部分の高さが 2mを超える崖を生ずることとなるもの
②盛土をした土地の部分の高さが 1mを超える崖を生ずることとなるもの
③切土と盛土とを同時にする場合において、盛土をした土地の部分に高さが 1m以下の崖を生じ、かつ、当該切土及び盛土をした土地の部分に高さが 2mを超える崖を生ずることとなるもの。
④ ①〜③のいづれにも該当しない切土又は盛土であって、当該切土又は盛土をする土地の面積が 500m2を超えるもの。

[ No. 82 ]
指定地域内における特定建設作業の実施の届出に関する記述として、「振動規制法」上、誤っているものはどれか。
1. 建設工事の目的に係る施設又は工作物の種類を届け出なければならない。
2. 特定建設作業開始の日までに、都道府県知事に届け出なければならない。
3. 届出には、当該特定建設作業の場所の付近の見取図その他環境省令で定める書類を添付しなければならない。
4. 特定建設作業の種類、場所、実施期間及び作業時間を届け出なければならない。

答え

  2
指定地域内において特定建設業を伴う建設工事を施工しようとする者は、当該特定建設作業の開始の日の7日前までに、環境省令で定めるところにより、次の事項を市町村長に届け出なければならない。(振動規制法第14条第1項)
①氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
②建設工事の目的に係る施設又は工作物の種類
特定建設作業の種類、場所、実施期間及び作業時間
④振動の防止の方法
⑤その他環境省令で定める事項
したがって、2が誤りである。
なお、その届出には、当該特定建設業作業の場所の付近の見取り図その他環境省で定める書類を添付しなければならない。(振動規制法第14条第3項)

1級建築施工管理技士 学科 過去問 建築学

1級建築施工管理技士 学科 過去問 建築学

1.建築学
1°.計画原論
 1-1.換気

2°.一般構造

3°.建築材料
 3-2.鋼材

1級建築施工管理技士 受験 スケジュール

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再受験申込者
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前年度学科試験合格者
昨年度の試験(平成30 年度試験)において、学科試験合格となった方は、今年度の試験(平成31 年度試験)では、学科試験が免除されます。
次のどちらかの方法で申込を行うことができます。
(1 )インターネット申込
(2 )前年度学科試験合格者専用願書(対象者には平成31 年2 月1 日に郵送いたします)
2. 試験日程・試験地
申し込み受付期間
インターネット申込は再受験申込者及び前年度学科合格者のみ
平成31 年 2 月1 日(金)〜2 月15 日(金)
※ インターネット申込の締切は2 月15 日23:59
※ 書面申込の締切は2 月15 日の消印有効
試験日
学科試験:
平成31年6月9日(日)
実地試験:
平成31年10月20日(日)
試験地
札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄
合格発表
学科試験:
平成31年7月19日(金)
実地試験:
平成32年1月31日(金)

★監理技術者とは 【 01 】

★監理技術者とは

1級建築施工管理技士資格が資格要件として規定されている監理技術者とは何か?
何によって規定され、他にどういう資格の者が監理技術者となれるかということについておさらいをする。
まず、はじめに
監理技術者とは
日本の建設業において現場の技術水準を確保すべく配置される技術者のこと。
建設業法の規定により、
特定建設業者が元請として外注総額4000万円以上となる工事を発注者から直接請け負う場合、現場に配置しなければならない技術者のことである。
元請であっても同4000万円未満の現場、下請工事などには主任技術者の配置で良い。
なお、4000万円の金額区分は、建築一式工事の場合は6000万円となる。

建築士法で規定される工事監理者とは異なる。
工事監理は、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認すること。(建築士法2条7)であり、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に注意を与え、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。(建築士法第18条4)
というもので、現場サイドとは違う第3者の視点で工事を監理する。
現場側が設置する「工事監理技術者」と建築主が別に契約する「工事監理者」とでは、いずれも「監」(取り締まるという意味)という文字が使われているが、取り締まるべき内容と視点が違うことに注意する。

監理技術者というとき、おおよそ次の3つをさしている。
 1 特定建設業者が監理技術者を必要とする現場に配置できる技術者
 2 監理技術者資格者証と監理技術者講習修了証を所持している技術者
 3 実際個々の工事に監理技術者として配置されている技術者
資格要件
監理技術者資格者証を取得するには、次のいずれかの資格が必要である。
①1級国家資格者 業種によって違うが、おおむね一級建築士、1級建設機械施工技士、1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士、1級電気工事施工管理技士、1級管工事施工管理技士、1級造園施工管理技士などの国家資格が必要である。
関連した分野の技術士でも認められる分野がある。
>> 1級国家資格等による監理技術者の資格要件
建設工事に関しては、
1級建築施工管理技士(1建施)又は一級建築士(一建士)
である必要がある。
②大臣特別認定者 大臣特認(とくにん)とも呼称される。
特定の業種で経過措置で認定された資格者であるが、監理技術者講習を有効なまま継続して受講していることが必要である。
1級国家資格を取得するまでの救済とされている。

現在この新規認定は行われていないので新たに取得する事は出来ない。また資格者証には「認定」と記載される。
③実務経験者 指定建設業以外の業種においては、所定規模以上の元請工事に従事した期間を満たした実務経験者にも認められる。
選任義務
個人住宅を除いて、請負金額3500万円(建築一式工事の場合は7000万円)以上の場合は、その現場に配置された監理技術者は専任常駐の義務があり、他の工事との兼任はできない。
主任技術者でよい現場、下請工事であっても同様。
アルバイト、名義貸しは建設業法で禁止されている。
歴 史
1988年 6月 公共的工事の専任制を把握する必要から
      監理技術者制度が導入
2004年 3月 講習実施機関が登録制となり、
      資格者証取得のための講習開講が民間開放
2008年11月 民間工事において専任の監理技術者には
      資格者証と講習修了証所持が義務付け
2016年 6月 監理技術者の配置が必要な金額要件及び
      公共性工事の専任性に対する金額要件が緩和
監理技術者講習
監理技術者として現場に配置するときは、監理技術者資格者証を所持した技術者(所属会社の社員に限る)の内、工期のどの期間から見ても前5年以内に受講済みを証した監理技術者講習修了証を所持した者をあてなければならない。
配置された技術者は資格者証と講習修了証を携帯し、発注者の求めに応じいつでも提示できるようにしなければならない。
平成16年3月から、資格者証取得の要件から講習受講義務が切り離されたので、資格者証は前述の資格があれば取得できる。
同年同月から講習実施機関は、指定制から民間開放され、登録制となった。
従前講習実施していた機関は爾後、資格者証の発行のみとなった。
平成20年11月下旬から、公共発注工事のみ課せられていた5年内有効の講習修了証所持・提示義務が、民間工事においても経過措置なく拡大適用された。
実施される講習内容・実施機関は次の通り。
講習科目
 1 建設工事に関する法律制度
 2 建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理
 3 建設工事に関する最新の材料、資機材及び施工方法
 4 修了試験
監理技術者講習の実施機関
(平成29年5月1日現在)
・一般財団法人全国建設研修センター
・一般財団法人建設業振興基金
・一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会
・株式会社総合資格
・株式会社 日建学院
・公益社団法人日本建築士会連合会

配筋検査のつぼ

配筋検査のつぼ


鉄筋工事はRC造及びSRC造の品質を確保する上で、コンクリート工事、型枠工事と並んで、最も重要な部分である。
鉄筋の種類や、本数、加工方法、継手や定着どれをとっても見逃すことのできない重要なものである。

その為、
・専門業者の自主チェック
・現場(作業所)の自主チェック
・場合によっては生産本部のチェック
・監理者のチェック
の3〜4重のチェックになっている。

集合住宅のデベロッパーによっては、更に第3者の検査を導入する場合もある。

一般的には、基礎、柱、梁、壁および床版などの主要構造物および構造耐力上重要な部分、特殊なおさまりは設計図に、基本的なルールは配筋標準図にに記載されている。

特殊な納まりを設計図内で表現できていなかったり、意匠図との不整合があったりする場合は、質疑応答、設計変更等というかたちで、
鉄筋業者 ⇄ 作業所 ⇄ 設計・監理者
といった、やりとり行い、記録を残すとともに、情報の共有化を行う。

その後に、配筋作業、配筋検査が始めることができる。

場合によっては、配筋時にどうしても納まらず質疑応答が発生する場合もあるが、その場合においても、変更する場合には確実に記録を残しておくことが重要である。

ここでは、基本的なルールを日本建築学会基準JASS5に基づいて、解説したい。
下記の書籍を参照した。


鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説〈2010〉

配筋標準(JASS5)解説

配筋検査のつぼ 目次


01.一般事項
02.加工上の共通事項
03.継手および定着
04.かぶり厚さ
05.基礎
06.基礎梁
07.
08.大梁
09.小梁・片持梁
10.スラブ
11.
12.床板及び非耐力壁内壁の開口補強
13.柱,梁,壁,スラブ打増し部配筋要領

配筋標準 01一般事項

配筋検査のつぼ① 一般事項


※設計図に詳細図がある場合は設計図を優先する。

1° .一般事項

まず、確認するべきことは
① コンクリートの強度
② 鉄筋の種類
である。

設計図と照合の上、確認を行う。
これは、鉄筋の受入時の間違いを防ぐのと、
コンクリート強度によって、
継手長さや定着長さが違ってくるからである。

例えば、一般的には
継手長さはL1=40d、定着長さ L2=30d
であると覚えている人を見受けらるが、
それは例えば、鉄筋の種類がSD295Aの場合では
Fc=21N/m2以上およびFc=24〜36N/m2の時
となっている。

コンクリート強度が Fc=21N/m2の場合は、
L2=35dになるので、注意が必要。

配筋標準 02 加工と共通事項

配筋検査のつぼ②


※設計図に納まり図がある場合は設計図を優先する。

2° .加工上の共通事項
2−1 折り曲げ形状・寸法

①鉄筋の折り曲げ加工は常温で行う。

②折曲げ内径直径を所定値よりも小さくする場合は、事前に鉄筋の折り曲げ試験を行い、支障がないことを確認した上で、監理者の承認を得る。

③SD490の鉄筋を90° を超える曲げ角度で加工をする場合は、事前に鉄筋の折り曲げ試験を行い、支障がないことを確認した上で、監理者の承認を得る。

表2-1 折曲げ形状・寸法



(注)
1. 片持ちスラブ先端、壁筋の自由端側の先端で90° フックまたは、135° フックを用いる場合には、余長は4d以上とする。

2. 90° 未満の折曲げ内法直径は構造図による。構造図に記載のない場合は、表2-1の90° フックと同じとする。

3. 幅止め筋の折曲げ形状は、図2-1による。

4. スパイラル筋の端部を90° とする場合の余長は12d以上とする



2−2 鉄筋のフック

①丸鋼の端部にはフックを付ける
(フックは180° フックとする。)

②次の部分に使用する異形鉄筋の末端部にはフックを付ける。

( 1 )柱および梁の出角部にある主筋で重ね継手の場合
(フック形状は180° とする。)


    図2-2-1 フックが必要な重ね継手


( 2 )柱の四隅にある主筋で最上階(上階に柱の無い場合を含む)の柱頭にある場合。
(フック形状は180° とする。)


図2-2-2 最上階の柱の柱頭でフックが必要な主筋
(上に柱のない場合を含む)


2−3 あばら筋および帯筋の形状
①あばら筋および帯筋のスパイラル筋形状・寸法は、図3-3-4 による。



図2-3-1 あばら筋・帯筋の形状(末端がフックの場合)




図2-3-2 あばら筋・帯筋の形状(末端部が溶接の場合)



図2-3-3 あばら筋・帯筋の溶接要領


 図2-3-4 あばら筋・帯筋の形状(溶接閉鎖形の場合)




   図2-3-6 5 スラブ付梁のあばら筋
   (末端部がフックの場合)



   図2-3-6 副あばら筋・副帯筋の形状






図2-3-7 梁せいの大きな基礎梁など、
あばら筋を分割する場合のあばら筋・副あばら筋の形状

★ポイント

 

①キャップ筋の90° フックが可能となるのは、梁と同時に打込むスラブの付く側のみとし、取り付くスラブが無い側は135° フックとする。

②取り付くスラブがあっても、段差があり、梁主筋位置から4d以上離れる場合のキャップ筋は135° フックとする。

③梁上にスラブが取り付く場合のキャップ筋は135° フックとする。

④梁上にスラブが取り付く場合でも、梁主筋位置から4d以上梁側面に取り付いてる場合は90° フックとしてもよい。
(上記②〜④をまとめると、梁側面の上端梁主筋心位置から下に8d(dはあばら筋径)の範囲のうち、取り付くスラブとの重なりが4d以上であれば90° フック可となる)

⑤副あばら筋、副帯筋の末端部は、両端とも135° 以上のフックを設けるか、フレア溶接とする。

⑥あばら筋を分割する場合のあばら筋・副あばら筋にはフックをつける。重ね継手の場合、フックの角度は180° 、135°、90° のいずれとしてもよい。



2−4 主筋のあき・2段筋の間隔および幅止め筋の形状と間隔

①主筋相互のあき a は粗骨材最大寸法の1.25倍以上、隣り合う鉄筋 d の平均径の1.5倍以上とする。

②2段筋の間隔P2は構造図による。構造図に記載のない場合は、下記による。

③幅止め筋はLD10を用い、柱は@500程度、梁は@1000とし、形状は片側は片側135°フック、他方は90°フックとする。

表2-4 主筋のあきaの最小値および2段筋の間隔P2



(注)粗骨材の最大寸法が25mmの場合を示す。



図2-4 柱梁主筋のあきと間隔


2−5 2段筋位置保持金物の形状および配置

①2段筋がある場合は、原則として2段筋位置保持金物を図2-5-1にならって取り付ける。



図2-5-1 2段筋位置保持金物の配置例

図2-5-2 2段筋位置保持金物の形状例

★ポイント


①2段筋の間隔P2は、構造図に記載される。構造図に記載のない場合は表2-4の値となる。

②P2は、標準値を原則とし、施工は最小値〜最大値の間で管理する。

③柱脚の2段筋位置保持金物は、当該床のコンクリート打込み前に取り付ける。

④梁の2段筋位置保持金物は、柱面近傍とカットオフ筋先端近傍に設け、その間を@2000程度で割り付ける。

※表2-4のP2の許容値(または構造図の記載)を満足する2段筋位置保持金物を使用する。



2−6 腹筋の配筋要領

①腹筋の末端部は、第1あばら筋から30mm程度のみこみとする。

②腹筋の重ね継手長さは、150mm程度とする。

③腹筋が梁貫通孔と干渉する場合は、所定のかぶり厚さを確保した位置で切断してよい。

★ポイント


・腹筋は、梁成にかかわらず全ての梁に必要となるので、注意する。
(ドーナツ型スペーサーを縦使いで取り付け、梁側面のかぶり厚さを確保するため)

・梁側面の鉄筋をねじれや横曲げに有効な主筋として用いる場合は本項を適用せず、構造図による。