
6章コンクリート工事 2節 種類及び品質
(国住指第770号 平成28年 6月13日)
建築基準法第37条の規定に基づく標記基準については、平成28年6月23日付け国土交通省告示第814号として別添のとおり公布されたので通知する。
中略
記
2. 改正概要
レディーミクストコンクリートに関する JIS A 5308が2014年に改正されたことを踏まえ、指定建築材料であるコンクリートが適合すべき日本工業規格として、JIS A5308(レディーミクストコンクリート)- 2014を定めることとする。ただし、当該 JISのうち、「回収骨材を使用するもの」については、建築材料として使用する場合における管理方法等の知見が得られたいないため、使用できないこととする。

JIS A5308 2019年改正により
普通コンクリートにおけるスランプフローは
45±7.5cm,
50±7.5cm,
55±7.5cm,
60±10cm
の4種類となっている。
6章コンクリート工事 3節コンクリートの材料及び調合




ポルトランドセメントとは
固まったときの色合いが、イギリスのポートランド島の石灰石に似ているので、ポルトランドセメントと名づけられた。粘土、石灰石を粉砕、焼成して石膏を加えてつくる。




砂(細骨材)、砂利(粗骨材)の容積比
は約30%と約40%。コンクリートの骨となる材料で、砂は細骨材、砂利は粗骨材といい、5mmを境に区別している。
附属書C(規定) レディーミクストコンクリートの練混ぜに用いる水
C.1 適用範囲
この附属書は、レディーミクストコンクリートの練混ぜに用いる水(以下、水という。)について規定する。
C.2 区分
水は、上水道水、上水道水以外の水及び回収水に区分する。
C.3 定義
この附属書で用いる主な用語の定義は、次による。
C.3.1 上水道水以外の水
河川水、湖沼水、井戸水、地下水などとして採水され、特に上水道水としての処理がなされていないもの及び工業用水。ただし、回収水を除く。
C.3.2 回収水
レディーミクストコンクリート工場で、洗浄によって発生する排水のうち、運搬車プラントのミキサ、ホッパなどに付着したレディーミクストコンクリート及び戻りコンクリートの洗浄排水(以下、コンクリートの洗浄排水という。)を処理して得られるスラッジ水及び上澄水の総称。
C.3.3 スラッジ水
C.3.4 上澄水
スラッジ水から.スラッジ固形分を沈降その他の方法で取り除いた水。
C.3.5 スラッジ
C.3.6 スラッジ固形分
C.3.7 スラッジ固形分率
C.4 上水道水
C.5 上水道水以外の水
表 C.1 上水道水以外の水の品質
C.6 回収水
C.6.1 品質
なお、スラッジ水を上水道水、上水道水以外の水、又は上澄水と混合して用いる場合の品質の判定は、スラッジ固形分率が 3 %になるように、スラッジ水の濃度を5.9 %に調整した試科を用い、C.8.2.4及び C.8.2.5の試験を行う。
表 C.2 回収水の品質s
C.6.2 スラッジ固形分率の限度
a) スラッジ水を用いる場合には、スラッジ固形分率が 3%を超えてはならない。なお、レディーミクストコンクリートの配合において、スラッジ水中に含まれるスラッジ固形分は水の質量には含めない。
b) スラッジ固形分率を 1%未満で使用する場合には、12.1に規定する表8(レディーミクストコンクリー ト配合計画書)の目標スラッジ固形分率の欄には、’’1 %未満’’と記述することとし、この場合のスラッジ固形分率の値は、管理期間ごとに 1%未満となることを確認すればよいこととする。
なお、このスラッジ固形分率を 1%未満で使用する場合には、スラッジ固形分を水の質量に含めてもよい。
C.6.3.3 スラッジ水の管理
スラッジ水の管理は、次による。
a) バッチ濃度調整方法 又は連続濃度測定方法を用いる。
バッチ濃度調整方法は、スラッジ水の濃度を一定に保つ独立した濃度調整槽をもつ場合に用いることができる管理方法である。独立した濃度調整槽をもたない場合には、スラッジ水の濃度を連続して測定できる自動設度計を設置して測定することによる連続濃度測定方法を用いればスラッジ水の管理ができる。
b) C.6.2 に適合するように、スラッジ水の管理状況に対応して、コンクリートに使用するスラッジ水の濃度を定めて管理する。
c) バッチ濃度調整方法を用いる場合には、スラッジ水の濃度を測定・記録し、目標スラッジ固形分率となるようにスラッジ水の計量値を決定して、スラッジ水を使用する。
なお、スラッジ水の設度の測定は、1日1 回 以上、かつ、濃度調整の都度行う。
d) 連続濃度測定方法を用いる場合に、はスラッジ水を使用する度にその濃度を自動濃度計によって測定・記録し、自動演算装置を用いて目標スラッジ固形分率となるようにスラッジ水の計量値を決定して、スラッジ水を使用する。
e) スラッジ水の濃度の測定精度の確認は、少なくとも3 か月に1 回の頻度で.C.8.2.6によって行う。 また、スラッジ水の濃度の測定方法として自動濃度計を用いる場合は、始業時にスラッジ水の密度から自動濃度計の表示値を確認し、これを記録する。
f) スラッジ水の濃度及び測定器具の精度確認の記録は、購入者からの要求があれば、スラッジ固形分率の算出根拠として提出する。
C.7 水を混合して使用する場合
2種類以上の水を混合して用いる場合には、それぞれが C.4、C.5 又はC.6 の規定に適合していなければならない。
JIS A5308:2011
1 適用範囲
この規格は、コンクリート用化学混和剤(以下、化学混和剤という。)として用いる AE剤、高性能減水剤、硬化促進剤、減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤及び流動化剤について規定する。
3 用語及び定義
この規格で用いる主な用語の定義は、JIS A0203(コンクリート用語)によるほか次による。
3.1 化学混和剤
主として、その界面活性作用及び/ 又は水和調整作用によって、コンクリートの諸性質を改善するために用いる混和剤。
3.2 AE剤
コンクリートなどの中に、多数の微細な独立した空気泡を一様に分布させワーカビリティー及び耐凍害性を向上させるために用いる化学混和剤。
3.3 高性能減水剤
所要のスランプを得るのに必要な単位水量を大幅に減少させるか、又は単位水量を変えることなくスランプを大幅に増加させる化学混和剤。
3.4 硬化促進剤
セメントの水和を早め、初期材齢の強度を大きくする化学混和剤。
3.5 減水剤
所要のスランプを得るのに必要な単位水量を減少させる化学混和剤。
3.6 AE減水剤
空気連行性能をもち、所要のスランプを得るのに必要な単位水量を減少させる化学混和剤。
3.7 高性能AE減水剤
空気連行性能をもち、AE減水剤よりも高い減水性能及び良好なスランプ保持性能をもつ化学混和剤。
3.8 流動化剤
あらかじめ練り混ぜられたコンクリートに添加し、これをかくはんすることによって、その流動性を増大させることを主たる目的とする化学混和剤。
3.9 標準形
化学混和剤の種類で、コンクリートの凝結時間をほとんど変化させないもの。
3.10 遅延形
化学混和剤の種類で、コンクリートの凝結を遅延させるもの。
3.11 促進形
化学混和剤の種類で、コンクリートの凝結及び初期強度の発現を促進させるもの。
3.12 基準コンクリート
化学混和剤の性能を試験する場合に基準とする化学混和剤を用いないコンクリート。ただし、流動化剤の性能を試験する場合にはAE剤を使用する。
3.13 試験コンクリート
化学混和剤の性能を試験する場合に試験の対象とする化学混和剤を用いたコンクリート。
3.14 形式評価試験
製品を開発した当初に性能確認として行う全項目試験。
3.15 性能確認試験
形式評価試験で確認された性能と同等の性能をもつことを定期的に確認するために、その一部項目について行う試験。
4 種類
化学混和剤の種類は、性能によって表1、塩化物イオン(Cl–)量によって表 2のとおり、それぞれ区分する。

表1 化学混和剤の性能による区分

表2 化学混和剤の塩化物イオン(Cl–)量による区分
5 品質
5.1 性能
化学混和剤の性能は、6.2 によって試験を行ったとき、表3に適合しなければならない。 (6.2 省略)
表 3-化学混和剤の性能

5.2 塩化物イオン (Cl–)量
塩化物イオン量は、6.3によってコンクリート中の量を求め、その値が表2に適合しなければならない。(6.3 省略)
5.3 全アルカリ量
全アルカリ量は、6.4 によってコンクリート中の量を求め、その値が0.30kg/m2 以下でなければならない。(6.4省略)
JIS A 6204 : 2011




6章コンクリート工事 4節発注、製造及び運搬
b ) 骨材の種類
c ) 粗骨材の最大寸法
d ) アルカリシリカ反応抑制対策の方法
e ) 骨材のアルカリシリカ反応性による区分
f ) 呼ぴ強度が36を超える場合は、水の区分
g ) 混和材料の種類及び使用量
h ) 品質の項で定める塩化物含有量の上限値と異なる場合はその上限値
i ) 呼ぴ強度を保証する材齢
J ) 品質の項で定める空気量と異なる場合は、その値
k ) 軽量コンクリートの場合は、軽量コンクリートの単位容積質量
1 ) コンクリートの最高又は最低温度
m ) 水セメント比の目標値の上限
n ) 単位水量の目標値の上限
o ) 単位セメント量の目標値下限又は目標値の上限
p ) 流動化コンクリートの場合は、流動化する前のレィデーミクストコンクリートからのスランプの増大量
q ) その他必要な事項
6章コンクリート工事 5節普通コンクリートの品質管理

(平成15 年11月10日 国営建第95号)
建築構造物に使用されるレディーミクストコンクリートの品質確保については.従来より配慮されておるところであるが、なお一層のレディーミクストコンクリートの品質確保を図る観点から、下記の対策を実施するよう通知する。
【 記 】
1. 一定規模以上の工事について、「公共建築工事標準仕様書 (建築工事編)」(以下、「標準仕様書」という。)の品質管理基準に加えて、コンクリートの単位水量の測定を実施する。
2. コンクリート施工時のワーカビリティーの経時変化を考慮に人れた、適切なスランプ管理を行わせる。
3. コンクリート製造工場の選定においては、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)6.4.1によることとし、品質確保、資格運用を適切に行っている工場から選定する。
(平成15年11月10日 国営技第71号)
「レディーミクストコンクリートの品質確保について」(平成15 年11月10 日付け国営建第95号)(以下、「課長通知」という。)の運用について定めたので、下記の通り取り扱われたい。
【 記 】
1. 課長通知1.で定めるコンクリートの単位水量の測定は、当面の間、試行工事として延床面積1,500m2程度以上新築工事で実施するものとし、その実施要領(案)は次によるものとする。
(1) 施工者に単位水量を含む正確な計画調合書の確認をさせるものとする。
(2) 単位水量の測定は、150m2に1回以上及び荷卸し時に品質の異常が認められた時に実施する。
(3) 単位水量の上限値は、「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」(以下、「標準仕様書」という。) 6.2.4 (1)による。
(4) 単位水量の管理目標値は次の通りとして、施工する。(ただし、測定装置の精度や試験の熟練度の向上に伴い、管理目標値を厳しく定めることができる。)
1) 測定した単位水量が、計画調合書の設計値( 以下、「設計値」 という。)±15kg/m3の範囲にある場合はそのまま施工する。
2) 測定した単位水量が、設計値 ±15を超え ±20kg/m3の範囲にある場合は、水量変動の原因を調査するとともに生コン製造者に改善を指示し、その運搬車の生コンは打設する。その後、設計値 ±15kg/m3以内で安定するまで.運搬車の3台毎に 1回、単位水量の測定を行う。
3) 設計値 ±20kg/m3を超える場合は、生コンを打込まずに持ち帰らせ、水量変動の原因を調査するとともに生コン製造者に改善を指示しなければならない。その後の全運搬車の測定を行い、設計値 ±20kg/m3 以内であることを確認する 。 更に、設計値 ±15kg/m3以内で安定するまで、運搬車の 3台毎に1回、単位水量の測定を行う。
4) 3) の不合格生コンを確実に持ち帰ったことを確認すること。
打設 ≦(管理目標値 = 設計値±15 ) < 改善指示 ≦(指示値=設計値±20 ) < 持ち帰り
(表6.5.1と同じ)
(5) 単位水量管理についての記録を書面(計画調合書、製造管理記録、打込み時の外気温、コンクリート温度等)と写真により提出させる。
(6) 測定結果を、計画調合書等とともに本省へ報告すること。
2. コンクリートのスランプ管理
(1) スランプ管理は、「標準仕様書」6章5節及び10節の規定により適切に実施する。
6.5.2 スランプ
(1) コンクリートのスランプの許容差は、表6.5.1による。
(2)スランプが許容値を超えた場合は、調合の調整、運搬方法の改善を行う。ただし、調合調整に当たり、水セメント比を変えてはならない。

(2) コンクリートの工事現場内連搬は、「標準仕様書」6節の規定により適切に実施する。
3 コンクリート製造工場の選定
(1) レディーミクストコンクリート工場の選定においては、「標準仕様書」6.4.1(コンクリート製造工場の選定)によること、かつ、配合設計及び品質管理等を適切に実施できる工場(全国品質管理監査会議の策定した統一監査基準に基づく監査に合格した工場等)から選定することを基本とする。
6章コンクリート工事 6節現場内運搬,打込み,締固め













6章コンクリート工事 7節養生
6章コンクリート工事 8節型枠
















( 昭和47年9月30日労働省令第32号最終改正平成25年6月28日)
(型枠支保工についての措置等)
第242条 事業者は、型枠支保工については、次に定めるところによらなければならない。
一. 敷角の使用、コンクリートの打設、くいの打込み等支柱の沈下を防止するための措置を講ずること。
二. 支柱の脚部の固定、根がらみの取付け等支柱の脚部の滑動を防止するため措置を措講ずること。
三. 支柱の継手は、突合せ継手又は差込み継手とすること。
四. 鋼材と鋼材との接続部及び交差部は、ボルト、クランプ等の金具を用いて緊結すること。
五. 型枠が曲面のものであるときは、控えの取付け等当該型枠の浮き上がりを防止するための措置を購ずること。
五の二. H 型鋼又は I 型鋼(以下この号において「H 型鋼等」という。)を大引き、敷角等の水平材として用いる場合であって、当該 H型鋼等と支柱、ジャッキ等とが接続する箇所に集中荷重が作用することにより、当該 H型鋼等の断面が変形するおそれがあるときは、当該接続する箇所に補強材を取り付けること 。
六. 鋼管(パイプサポートを除く。以下この条において同じ。)を支柱として用いるものにあっては、当該鋼管の部分について次に定めるところによること。
イ. 高さ 2メートル以内ごとに水平つなぎを 2方向に設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。
口. はり又は大引きを上端に載せるときは、当該上端に鋼製の端板を取り付け、これをはり又は大引きに固定すること。
七. パイプサポートを支柱として用いるものにあっては、当該パイプサポートの部分について次に定めるところによること。
イ. パイプサポートを 3 以上継いで用いないこと。
ロ. パイプサポートを継いで用いるときは、4 以上のボルト又は専用の金具を用いて継ぐこと。
ハ. 高さが3.5 メートルを超えるときは、前号イに定める措置を講ずること 。
八. 鋼管枠を支柱として用いるものにあっては、当該鋼管枠の部分について次に定めるところによること。
イ. 鋼管枠と鋼管枠との間に交差筋かいを設けること。
ロ. 最上層及び 5層以内ごとの箇所において、型枠支保工の側面並びに枠面の方向及び交差筋かいの方向における 5 枠以内ごとの箇所に、水平つなぎを設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。
ハ. 最上層及び 5 層以内ごとの箇所において、型枠支保工の枠面の方向における両端及び 5 枠以内ごとの箇所に、交差筋かいの方向に布枠を設けること。
二. 第六号ロに定める措置を講ずること。
九. 組立て鋼柱を支柱として用いるものにあっては、当該組立て鋼柱の部分について次に定めるところによること。
イ. 第六号口に定める措置を講ずること。
ロ. 高さが 4 メートルを超えるときは、高さ 4 メートル以内ごとに水平つなぎを2 方向に設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。
九の二. H 型鋼を支柱として用いるものにあっては、当該 H 型鋼の部分について第六号ロに定める措置を構ずること。
十. 木材を支柱として用いるものにあっては、当該木材の部分について次に定めるところによること。
イ. 第六号イに定める措置を講ずること。
ロ. 木材を継いで用いるときは、2 個以上の添え物を用いて継ぐこと。
ハ. はり又は大引きを上端に載せるときは、添え物を用いて、当該上端をはり又は大引きに固定すること。
十ー. はりで構成するものにあっては、次に定めるところによること。
イ. はりの両端を支持物に固定することによりはりの滑動及び脱落を防止すること。
口. はりとはりとの間につなぎを設けることにより、はりの横倒れを防止すること。
労働安全衛生規則





6章コンクリート工事 9節試験
9. 試験方法
9.1 試科採取方法
試科採取方法は、JIS A 1115(フレッシュコンクリートの試料採取方法)による。
3.試 料
採取した分取試料を集めて、一様になるまでショベル、スコップ又はこてで練り混ぜたものを試料とする。試料は、練り混ぜた後、直ちに試験に供する。
4.試料の量
試料の量は、20L以上とし、かつ、試験に必要な量より 5L以上多くしなければならない。ただし、分取試料をそのまま試料とする場合には、20Lより少なくてもよい。
5.分取試料の採取方法
分取試料は、試験しようとするコンクリートを代表するように 3か所以上から採取する。分取試科の採取方法は、附属書1(参考)による。
附属書 1 (参考)分取試料の採取方法
2.トラックアジテータから分取試料を採取する場合
排出されるコンクリートから、定間隔に 3回以上採取する。ただし、排出の初めと終わりの部分から採取してはならない。
なお、トラックアジテータで30秒間高速かくはんした後、最初に排出されるコンクリート 50~100Lを除いて採取することができる。
分取試料は、コンクリート流の全横断面から採取する。この場合コンクリートの排出の速度は、トラックアジテータの回転速度を変えることによって調節しなければならない。
注(3)採取する前に、材料が分離していないことを確認する。
3.コンクリートボンプから採取する場合
配管筒先から出るトラックアジテータ 1台分又は 1バッチと判断されるコンクリート流の全横断面から定間隔に 3回以上採取するか、排出されたコンクリートの山の 3か所以上から採取する。
3. 試験器具
3.1 スランプコーン
スランプコーンは、図1のように上端内径100mm、下端内径200mm、高さ300mm及び厚さ 5mm以上の金属製(1)とし、適切な位置に押さえと取っ手(2)を付ける。
注(1)セメントペーストに容易に侵されないもので、試験時に変形しないもの。
(2)高さの約2/3の所。

図 1 スランプコーン
3.2 突き棒
突き棒は、直径16mm、長さ 500~600mmの鋼又は金属製丸棒で、その先端を半球状とする。
4.試料
試料は、JIS A 1115 の規定によって採取するか、又は JIS A 1138 の規定によって作る。
5.試験
試験は次による。
a)スランプコーン(3)は、水平に設置した剛で水平性があり平滑な平板(3),(4)上に置いて押さえ、試料はほぼ等しい量の 3層に分けて詰める。その各層は、突き棒でならした後、25回一様に突く。この割合で突いて材料の分離を生じるおそれのあるときは、分離を生じない程度に突き数を減らす。各層を突く際の突き棒の突き入れ深さは、その前層にほぼ達する程度とする。
注(3)スランプコーンの内面と平板の上面は、あらかじめ湿布などでふいておく。
(4)平板の水平の確認は、水準器を用いて行うのが望ましい。
b) スランプコーンに詰めたコンクリートの上面をスランプコーンの上端に合わせてならした後、直ちにスランプコーンを静かに鉛直に引き上げ(5)、コンクリートの中央部において下がりを 0.5 cm単位で測定し、これをスランプとする。
なお、コンクリートがスランプコーンの中心軸に対して偏ったり、くずれたりして、形が不均衡になった場合は、別の試料によって再試験する。
注(5)スランプコーンを引き上げる時間は、高さ30cmで 2~3秒とする。
c)スランプコーンにコンクリートを詰め始めてからスランプコーンの引き上げ終了までの時間は、3分以内とする。
6. 試験の結果
スランプは、0.5cm単位で表示する。

3. 器具
3.1 空気量測定器 空気量測定器は.次のとおりとする。
a) 空気量測定器は、図1に示すようにコンクリートとふたとの間の空間に注水して試験するように造られたものとする。
備考 注水しないで試験するように造られたものを用いてもよい。

図 1 空気量測定器
b) 容器は、フランジ付きの円筒状容器で、その材質はセメントペーストに容易に侵されないものとし、水密で十分強固なものとする。また、容器の直径は、高さの 0.75~1.25 倍に等しくし、その容積は注水して試験する場合(注水法)少なくとも 5L とし、注水しないで試験する場合(無注水法)は 7L 程度以上とする。
さらに、容器はフランジ付きでふたと高圧下で密封される構造となっているものとし、内面及びフランジの上面を平滑に機械仕上げしたものとする。
c) ふたは、フランジ付きでその材質は容器と同様にセメントペーストに容易に侵されないものとし、水密で十分強固なもので、注水口及び排水(気)口を備えていなければならない。ふたの下面及びフランジの下面は、平滑に機械仕上げしたものとする。
d) ふたの上部には、容器の約5%の内容量をもつ空気室を取り付ける。
空気室は、圧力調整弁、空気ハンドボンプ、圧力計及び作動弁備えていなければならない。
なお、作動弁はふたと容器とを組み立てた場合に、100 kPaの圧力で空気及び水が漏れず、通常の使用圧力下において空気量の目盛で 0.1%以下の膨張に抑えられる剛性をもつものでなければならない。さらに、空気室内の高圧の空気を容器に噴出し、かつ、空気室に水が浸入しないような構造でなければならない。
e)圧力計は、容量約 100 kPa で 1 kPa 程度の感度のものとする。
その目盛板の直径は 9cm以上とし、容器中の空気量に相当する圧力の点に空気量の分率%(5.3 参照) を少なくとも8%まで目盛、また初圧力 ( 5.2参照)を明示したものとする。
f) キャリブレーションのため、必要な水量を簡単な操作で器外に取り出せるような器具(長さ 50nm のキャリブレーションパイプ、延長チューブ、図2参照)を用意する。

図2 キャリブレーションパイプ
延長チューブを取り付けた一例

図 3 圧力計の目盛板の一例
3.2 振動機
振動機は、JIS A 8610 に規定するものとする。
4 試料
試料は、JIS A 1115 によって採取するか、又はJIS A 1138によって作る。
5. 測定器のキャリブレ ーション
備考 測定器のキャリブレーションは 連続した測定の始めに行う。
5.1 容器のキャリブレーション
a) 容器を水平な場所に置き、容器のフランジに沿ってカップグリースを薄く塗る。
b) 容器の高さの 9割程度まで水を入れ、磨きガラス板を当て、残りの水を足しながらガラス板をフランジに沿って移動し、泡を残さないように水を悩たす。
c) このときの水温 ( t1 )℃をはかる。
d) 容器からあふれた水が付着している場合は、 水をふき取り、容器とガラス板の質量(m1)を 1g まではかる。
e) 容器内の水を捨て、容器に付着した水をふき取り容器の質量(m2)を1g まではかる。
f) ガラス板に付着した水をふき取りガラス板の質量(G1)を 1g まではかる。
g) 容器の容積は、次の式によって算出する。
Vc = (m1 - (m2 + G1))/ρw
ここに、ρw : 水温 ( t1 ) ℃のときの水の密度
5.2 初圧力の決定
初圧力の決定は、次のとおり行う。
a) 容器に水を満たし、ふたの表裏を通気できるようにしておいて、静かにふた (3) を容器に取り付ける。 ふたを取り付けた後、排水口を開け、ふたの裏側と水面との間の空気が追い出されるまで注水口から注水する。
注 (3) キャリブレーション器具(図2 参照)は、この際にふたに取り付けておく。
備考 無注水法の場合には、あらかじめ満水の質量をはかり(5.1 参照)、容器にふたを取り付けた後に、その質量だけ注水する。
b) すべての弁を閉じ、空気ハンドポンプで空気室の圧力を初圧力よりわずかに大きくする。 約 5秒後に調節弁を徐々に開いて、圧力計の指針を初圧力の目盛に正しく一致させる。
c) 作動弁を十分に開き、 空気室の気圧と容器内の圧力とを平衡させて圧力計を読み、その読みが空気量 0%の目盛と正しく一致するかどうかを調べる。これが一致しない場合には、空気及び水の漏れの有無、その他を点検した後、キャリブレーションを繰り返す。 2 〜 3 回繰り返したとき、圧力計の指針は同じ点を指すが,零点に一致しない場合には、初圧力の目盛の位置を、指針が零点にとどまるように移動する。 この後操作を繰り返し、初圧力の目盛の位置が適切であったかどうかを確かめる。
備考 無注水法の場合には、無注水用目盛( 図3 参照 )を読む。
5.3 空気量の目盛のキャリブレーション
空気量の目盛のキャリブレーションは、次のとおり行う。
a) 5.2 a) と全く同様の操作を行い、さらに、次の操作を行う。
1) 3.1 f) の器具を用いて容器内の水を約100~140ml(空気量で約 2%) メスシリンダーに取り出し、容器の容量に対する分率(%)で表す。
2) 容器内の気圧を大気圧に等しくして閉め切り、空気室内の気圧を初圧力まで高める。
3) 作動弁を開いて高圧の空気を容器内に導く。
4) 圧力計の指針が安定してから空気量の目盛を読む。
b) 再びa) に準じて容器内の水を取り出し、取り出した水量の和を容器の容量に対する分率(%)で表す。a) と同様にして空気量の目盛を読む。
c) 前記の採作を 4~5回(空気量 約 2%ピッチ)行い、取り出した水量の容器の容量に対する分率(%)と空気量の目盛とを比較する。
これらの値がそれぞれ一致しているときには、空気量の目盛は正しい。一致しない場合には、両者の関係を図示する。この図を空気量のキャリブレーションに用いる。
備考 圧力計を読む場合には、圧力計の針が安定するよう、毎回圧力計を指で軽くたたいてから読む。
6. 骨材修正係数の測定
骨材修正係数の測定は、次のとおり行う。(4)
注(4) 骨材修正係数は骨材が異なると変わる。通常同一のロットの骨材では一定としてよいが、随時試験によって確認することが推奨される。
a) 空気量を求めようとする容量 Vc のコンクリート試料中にある細骨材及び粗骨材の質量を、次の式によって算出する(5)。
mf = − VC/ VB × mf’
mc = − VC/ VB × mc’
ここに、
mf:容積 VC のコンクリート試料中の細骨材の質量(kg)
mc:容積 VC のコンクリート試料中の粗骨材の質(量kg)
VB:1 バッチのコンクリートのでき上がり容積 (L)
VC:コンクリート試料の容積(容器の容積に等しい)(L)
mf’:1 バッチに用いる細骨材の質量(kg)
mc’:1 バッチに用いる粗骨材の質量(kg)
注(5) 空気量の測定を行ったコンクリートから、150μmのふるいを用いてセメント分を洗い流し、骨材の試料を採取してもよい。
b) 細骨材及び粗骨材の代表的試料を、それぞれ質量で mf 及び mc だけ採取する 。 約 1/ 3 まで水を満たした容器の中に骨材を入れる。細骨材と粗骨材は混合して少しずつ容器に入れ、すべての骨材が水に浸されるようにする(6)。骨材を入れるときには、 できるだけ空気が入らないようにし、出てきた泡は速やかに取り去らなければならない。空気を追い出すために、容器の側面を木づち(槌)などでたたき、また細骨材を加えるごとに 25mmの深さに逹する まで突き棒で約 10 回突くものとする。
注(6) 試料骨材粒の含水状態を、コンクリート試科中の骨材粒の含水状態と同様にするため、5 分間程度水に浸すのがよい。
c) 全部の骨材を容器に入れた後、水面の泡 をすべて取り去り、容器のフランジとふたのフランジとをよくぬぐい、ゴムパッキンを入れ、ふたを容器に締め付け、排水(気)口から水があふれるまで注水する。次にすべての弁を閉じ、空気ハンドボンプで空気室の圧力を初圧力よりわずかに大きくする。約 5秒後に調節弁を徐々に開lいて、圧力指針を初圧力の目盛に一致させる。次に作動弁を十分に開き空気室の気圧と容器内の圧力とを平衡させて圧力計の空気量の目盛を読み、これを骨材修正係数 (G) とする(7)。
注(7) 必要があれば 5.3 c) によってこの読みを補正する。
7. コンクリートの空気量の測定
コンクリートの空気量の測定は、次のとおり行う。
a) 試料を容器の約1/ 3 まで入れ、ならした後、容器の底を突かないように各層を突き棒で 25回均等に突く。突き穴が なくなり、コンクリートの表面に大きな泡が見えなくなるように、容器の側面を10~15 回木づち(槌)などでたたく。さらに容器の約 2/ 3 まで試料を入れ、前回と同様の操作を繰り返す。最後に容器から少しあふれる程度に試料を入れ、同様の操作を繰り返した後、定規で余分な試料をかき取ってならし、コンクリート表面と容器の上面とを正しく一致させる。突き棒の突き入れ深さは、ほぼ各層の厚さとする。
b) 振動機で締め固める場合には、JIS A 1116 の 5.2(振動機で締め固める場合)によって行うものとする。 試料は2層に分けて入れ、各層の断面を3等分に分けて締め固める。振動機は、その層が底又は側面に触れないようにし、振動機を抜く際には、空気穴が残らないように注意する。 振動持続時間はコンクリートのワーカビリティーと振動機の性能によって定める。ただし、スランプ 8cm以上の場合は、振動機を用いない。
c) 容器のフランジの上面と、ふたのフランジの下面を完全にぬぐった後、ふたを容器に取り付け、空気が漏れないように締め付ける。排水口から排水されて、ふたの裏面と水面との間の空気が追い出されるまで軽く振動を加えながら注水口から注水する。最後にすべての弁を閉じる。
d) 空気ハンドボンプで空気室の圧力を初圧力よりわずかに大きくする。約 5 秒後に調節弁を徐々に用いて、圧力計の指針が安定するよう圧力計を軽くたたき、指針を初圧力の目盛に正しく一致させる。約 5秒経過後、作動弁を十分に開き、容器の側面を木づち(槌)などでたたく。
再び、作動弁を十分に開き、指針が安定してから圧力計の目盛を小数点以下1 けたで読む(7)。その読みを、コンクリートの見掛けの空気量(A1)とする。測定終了後は、ふたを外す前に注水口と排水(気)口を両方聞いて圧力を緩める(8)。
注(8) 容器及び空気室の両方の圧力を緩める前に作動弁を開かないように注意する。これを怠ると水が空気室に入り、その後の測定に誤差を生むことになる。
8. 計算
a) コンクリートの空気量
コンクリートの空気量(A)は、次の式によって算出する。
A = A1 − G
A : コンクリートの空気量 ( %)
A1:コンクリートの見掛けの空気量 (%)
G : 骨材修正係数(9)
注(9) 骨材修正係数が 0.1%未満の場合は、省略してよい。
b) ふるい分け前のコンクリートの空気量
試験した試料が 40mmより大きい最大寸法の骨材を用いたコンクリートの場合、ふるい分け前のコンクリートの空気量 (A) は、次の式によって算出する。
Af = 100 × A × Vc / ( 100 × Vt − A × Va )
Vc:ふるい後のコンクリートの全容積から空気量を差し引いた容積(m3)
Vt:ふるい前のコンクリートの全容積から空気量を差し引いた容積(m3)
Va:ふるい前のコンクリートの中の40mmを超える骨材の全容積(m3)
c) モルタル部分の空気量
コンクリート中のモルタル部分の空気量(Am)は、次の式によって算出する。
Am = 100 × A × Vc / [100 × Vm + A( Vc − Vm )]
Vm : コンクリート中のモルタル部分の成分の 全容積から空気量を差し引いた容積(m3)
3. 試験用器具
a) 温度計
温度計は、接触方式の温度計とし、 0 ~ 50℃の測定範囲の目量が 1 ℃以下のものとする。
なお、温度計の校正は、JIS Z 8710に規定する 7.2(接触式温度計の校正方法)によって行う。
備考
接触方式とは、測定対象と温度計の検出部(感温部)とを物理的によく接触させて同じ温度に保ち、温度を測定する方法をいう。また、温度計の検出部とは、測定対象に接触し、その温度と同一温度になるべき部分をいう (JIS Z 8710参照)。
b) 容器
試料を受ける容器は、水密なものとし、内径(一辺) 及び高さが14cm以上かつ容量が2L 以上とする。(1)
注(1) 容器として一輪車を用いてもよい。
4. 試料
試料は、JIS A 1115 の規定によって 2L 以上採取する。
5. 測定方法
a) 試科を容器に入れ、直射日光や風などが当たらない平らな場所に静置する。
b) 温度計は、容器の中央部からほぼ垂直に挿入する。その際、温度計の検出部全体が試料に浸没するまで挿入する。 温度計を挿入した後、温度計周囲の試料表面を軽く押しなら(均)す。
c) 温度計は、示度が安定するまで静置し、試料に挿入した状態で示度を読み取り記録する。
参考 各温度計の取扱い方法は、附属書(参考)による。
d) 試料の採取から示度を読み取るまでの時間は、 5 分以内とする。
附属書(参考)温度計の取扱い方法
この附属書(参考は)、フレッシュコンクリートの温度測定方法における温度計の取扱い方法の標準を示すものであり、規定の一部ではない。
1. ガラス製棒状温度計による測定
ガラス製棒状温度計を用いてフレッシュコンクリートの温度測定を行う場合は、JIS Z 8705(ガラス製温度計による温度測定方法) によって行う。
ガラス製棒状温度計は、JIS B 7411(一般用ガラス製棒状温度計 ) に規定される全浸没温度計又は浸没線付温度計を用いる。
全浸没温度計を用いて温度測定を行う場合には、JIS B 7411 の 4.2 に従い、その液柱頂部がフレッシュコンクリートの表面と同一面又は 2 目盛以上、上方にならないように挿入する。
浸没線付温度計を用いて温度測定を行う場合は、球部(ガラス製棒状温度計の先端部分で、感温液が封入されている部分)から浸没線までをフレッシュコンクリート試料中に挿入するとともに、そのときの挿入深さは60mm以上とする。
温度計の示度の読取りは、上記条件に従って温度計をフレッシュコンクリートに挿入し、両者が熱的平衡に達した後、目盛面に垂直な方向から見て行う。
なお、熱的平衡に達するまでの時間(示度が安定するまでの時間)は、2 分以上とする。
全浸没温度計を感温液柱の一部を露出した状態で使用する場合、又は浸没線付温度計を正しくない浸没状態(浸没線まで挿入していない状態)で使用する場合には、温度計の示度に大きな誤差を生じることがあるので、浸没条件を満足しなければならない。
なお、温度計破損によるけがや試料へのガラス片混入等を防止するため、保護管の使用、又は飛散防止シート付きの温度計を使用することが望ましい。
2. 抵抗温度計等による測定
白金抵抗温度計やサーミスタ温度計等の抵抗式測温体による温度計を用いてフレッシュコンクリートの温度測定を行う場合は、JIS Z 8704(温度測定方法一電気的方法)によって行う。 抵抗温度計は、 JIS C 1603(指示抵抗温度計)などのJIS C 1604(測温抵抗体) 及び JIS C 1611(サーミスタ測温体) に規定された抵抗式測温体を用いたものとする。 温度計の示度の読取りは、検出部をフレッシュコンクリートに挿入し 両者が熱的平衡に達した後に行う。
なお、そのときの挿入深さは、ガラス製棒状温度計による測定と同様、60mm以上とする。
3. 熱電温度計による測定
熱電温度計を用いてフレッシュコンクリートの温度を測定する場合は、JIS Z 8704によって行う。熱電温度計は、JIS C 1601(指示熱電温度計)、JIS C 1602(熱電対)及び JIS C 1605(シース熱電対)に規定された熱電対を用いたものとする。温度計の示度の読取りは、検出部をフレッシュコンクリートに挿入し、両者が熱的平衡に達した後に行う。
なお、そのときの挿入深さは、ガラス製棒状温度計による測定と同様、60mm以上とする。
4. バイメタル式温度計による測定
バイメタル式温度計を用いてフレッシュコンクリートの温度を測定する場合は、JIS Z 8707(充満式温度計 及びバイメタル式温度計による温度測定法)によって行う。温度計の示度の読取りは、感温部全体をフレッシュコンクリートに挿入し、両者が熱的平衡に達した後に行う。
なお、熱的平衡に達するまでの時間(示度が安定するまでの時間)は、3分以上とする。

附属書 A(規定)
試料ろ液の採取が困難なフレッシュコンクリートからの試料ろ液の採取方法
序文
この附属書は、粘性が高く試料ろ液の採取が困難なフレッシュコンクリート試料を水によって希釈し、試験に供する試料ろ液を採取する方法について規定する。
A.1 試験用器具
試験用器具は、次のものを用いる。
A.1.1 はかり
はかりは、ひょう量がフレッシュコンクリート試料とかくはん容器との合計量以上で、目量が 1 g 又はこれより小さいものとす る。
A.1.2 かくはん容器
かくはん容器は、フレッシュコンクリート試料と水とを入れてかくはんを行っても漏れの生じない十分な大きさのものとする。
なお、かくはん時に転倒震とう(盪)を行う場合は、フレッシュコンクリート試料と水とを入れて転倒震とう(盪) ができる大きさのポリプロビレン製広口瓶などを用いるとよい。
A.2 希釈に用いる水
フレッシュコンクリート試料の希釈に用いる水は、蒸留法若しくはイオン交換法によって精製した水、又は逆浸透法、蒸留法、イオン交換法などを組合わせた方法によって精製した水とする。
JIS K 0557に規定する種別 A1以上又は日本楽局方に規定する精製水以上の純度に精製された水を用いるとよい
A.3 フレッシュコンクリート試料中の水の希釈倍率
フレッシュコンクリート試科中の水の希釈倍率は、3倍を標準とする。
A.4 フレッシュコンクリート試料のはかりとり量
フレッシュコンクリート試科は、2 kg 以上を 1 g のけたまではかりとる。
A.5 フレッシュコンクリート試料に添加する水の量
フレッシュコンクリート試料に添加する水の量は、次の式 (1)及び式(2)によって計算し、四捨五入によって 1g 単位で整数に丸める。
Wa = Ws × ( Dm − 1 ) ・・・(1)
Ws = (Ms × W)/ M ・・・(2)
ここに
Wa:フレッシュコンクリート試科に添加する水の量 (g )
Ws:フレッシュコンクリート試科中の水の質量 ( g )
Dm:フレッシュコンクリート試料中の水の希釈倍率
Ms :フレッシュコンクリート試料の質量(g)
W : 配合による 単位水量 (kg/m3)
M : 配合によって求めたコンクリー トの単位容積質量 (kg/m3 )
A.6 フレッシュコンクリート試料の希釈方法
フレッシュコンクリート試科の布釈方法は、次による。
a) フレッシュコンクリート試科をはかりとる。フレッシュコンクリート試料は、かくはん容器に直接はかりとることが望ましい。
b) フレッシュコンクリート試料に A.5 で求めた規定量の水を加えかくはんする。かくはんは、フレッシュコンクリート試科中のセメントペーストと水とが十分に混ざり合い均質となるまで行う。
1 回目のかくはんが終了したらかくはん容器を静置し粗骨材 が 完全に沈降するのを待ち、この後、2回目のかくはんを行う。 2 回目のかくはんが終了したらかくはん容器を静置し粗骨材が完全に沈降するのを待つ。
なお、普通骨材を用いたコンクリートを試験する場合、かくはん容器をおよそ 5分間静置すれば、粗骨材が完全に沈降するとみなしてよい。
A.7 懸濁水及びモルタル分の採取並びに試料ろ液の抽出方法
希釈したフレッシュコンクリート試科からの試科ろ液の抽出は、次による
a) 希釈したフレッシュコンクリート試料の上部から懸濁水及びモルタル分の必要量を採取する。
b) 採取した懸濁水及びモルタル分から試料ろ液を抽出する。試料ろ液を抽出る方法は、次のいずれかとする。
なお、吸引ろ過によって試料ろ液を得るときに長い時間を要する場合には、ろ液が減圧環境下において蒸発し濃縮する可能性がある。また、環境温度が高いと蒸発が促進されるため、吸引ろ過以外の抽出方法をとることが望ましい。
1) 吸引ろ過
2) 加圧ろ過(圧搾)
3) 遠心分離

4 圧縮強度試験用供試体
4.1 供試体の寸法
供試体は、直径の 2倍の高さをもつ円柱形とする。その直径は、粗骨材の最大寸法の 3倍以上、かつ、100mm以上とする。
参考)供試体の直径の標準は、100mm、125mm、150mmである。粗骨材の最大寸法が 40 mmを超える場合には、40mmの網ふるいでふるって 40mmを超える粒を除去した試料を使用し、直径150mmの供試体を用いることがある。ここで、40mmの網ふるいとは、JIS Z 8801-1に規定する公称目開き 37.5mmの網ふるいのことをいう。
4.2 器 具
器具は、次による。
a) 型枠は、非吸水性でセメントに侵されない材料で造られたものとする。
b) 型枠は、供試体を作るときに漏水のないものとする。
参考
幾つかの部品からなる型枠の場合、その継ぎ目には油土、硬いグリースなどを薄く付けて組み立てる。
c) 型枠は、所定の供試体の精度が得られるものとする。
d) 型枠の内面には、コンクリートを打ち込む前に鉱物性の油又は非反応性のはく離材を薄く塗るものとする。
e) 突き棒を用いて締め固める場合、突き棒は、先端を半球状とした直径16mm、長さ約 500~600mmの丸鋼とする。
f) 内部振動機によって締め固める場合振動機は JIS A 8610に規定されるものとする。振動機の棒径は,供試体の最小寸法の1/4以下(1)とする。
注(1) φ100mmの 供試体の場合、棒径28mmを用いてもよい。
g) 振動台式振動機によって締め固める場合、振動機は JIS A 8611に規定されるものとする。
備考 振動台式振動機又はその他の方法によって締め固める場合、対象となるコンクリート試科を十分締め固めることのできる性能のものとする。
4.3 コンクリートの打込み
4.3.1 コンクリートの詰め方
コンクリートは、2層以上のほぽ等しい層に分けて詰める。各層の厚さは160mmを超えてはならない。
4.3.2 突き棒を用いる場合
各層は少なくとも1000mm2 に1回の割合で突くものとし、すぐ下の層まで突き棒が届くようにする。突いて材料の分離を生じるおそれのあるきとは、分離を生じない程度に突き数を減らす。
4.3.3 内部振動機を用いる場合
内部振動機はコンクリート中に鉛直に挿入する。最下層を締め固める場合は、型枠底面から約 20mm上方までの深さまで突き入れる。最下層以外を締め固める場合は、すぐ下の層に 20mm程度差し込むようにする。
振動締固めは、大きな気泡が出なくなり、大きな骨材の表面をモルタル層が薄く覆うまで続ける。その後、振動機によってできた穴を残さないようにゆっくりと引き抜く。
4.3.4 振動台式振動機を用いる場合
型枠は振動台に取り付けるか、強固に押し当てる。振動締同めは、大きな気泡が出なくなり、大きな骨材の表面をモルタル層が薄く覆うまで続ける。振動のかけすぎは避けなければならない 。
4.3.5 上面のならし
型枠の上端より上方のコンクリートは取り除き、表面を注意深くならす。
備考
キャッピングを行う場合は、コンクリート上面が、型枠頂面からわずかに下になるようにする。
4.4 供試体の上面仕上げ
4.4.1 キャッピングによる場合
キャッピングは、次による。
a) キャッピング用の材料は、コンクリートによく付着するもので、かつ、コンクリートに悪影響を与えるものであってはならない。
b) キャッビング層の圧縮強度は、コンクリートの予想される強度より小さくてはならない。
c) キャッピング層の厚さは、供試体直径の2%を超えてはならない。
4.4.2 研磨による場合
研磨によって上面を仕上げる場合は、コンクリートに悪影響を与えないように行う。
4.4.3 アンボンドキャッピングの場合
供試体打込み時に硬化後の平面度(2)が 2mm以内になるように仕上げなければならない。この供試体を強度試験に適用する場合には、JIS A 1108 の附属書による。
注(2) ここでいう平面度は、平面部分の最も高い所と最も低い所を通る二つの平行な平面を考え、この平面間の距離をもって表す。
4.5 供試体の形状寸法の許容差
供試体の形状寸法の許容差(3) は、次による。
a) 供試体の寸法の許容差は、直径で 0.5 %以内、高さで 5 %以内とする。
b) 供試体の載荷面の平面度は、直径の0.05%以内とする。ただし、JIS A 1108 の附属書による場合の上面は除く。
c) 載荷面と母線との間の角度は、 90 ± 0.5゜とする。
注(3) 検定された型枠を用いて供試体を作る場合には、 a) 、 b) 及び c) に示した各項目の測定は省略してもよい。
附属書 1(参考) コンクリートの打込み方法
序文 この附属書(参考)は、コンクリートの打込み方法の標準を示すものであり、規定の一部ではない。
1. 圧縮強度試験用供試体の場合
1 .1 突き棒を用いる場合
コンクリートは 各層ごとに、型枠の軸にほぼ対称となるように入れ、その上面を突き棒でならす。
直径150mm、高さ300mmの 供試体の場合は、 3層に分けて詰め、各層を突き棒で25 回突く。直径の150mm以外の供試体については、各層の厚さを 100~150mmとし、上面積 700mm2について 1 回の割合で突く。
突き終わった後、型枠側面を木づち(槌)で軽くたたいて、突き棒によってできた穴がなくなるようにする。
1.2 内部振動機を用いる場合
直径100 ~ 200mmの供試体に対しては、コンクリートをほぽ等しい2層に分けて詰める。各層ごとに、型枠の軸lにほぼ対称となるようにコンクリートを入れ、振動機を用いて締め固める。
振動機は、1層につき上面積約 6000mm2について1回の割合で差し込む。 上層のコンクリートは、振動機を差し込む際にモルタルがあふれ出るほど詰め込まない。振動機を抜き終わったら型枠側面を木づち(槌)で軽くたたく。
1.3 振動台式振動機を用いる場合
型枠の軸にほぼ対称になるようにコンクリートを詰め、振動を与えて締め固める。
JIS A 1132: 2006
標準養生の規定が、20 ± 2℃の水中養生であるのは、JIS A 1132(コンクリート強度試験用供試体の作り方)による。JASS 5(2015年)によると、JIS A 0203により「温度を 20 ±3 ℃に保った水中、湿砂または飽和水蒸気中で行う供試体の養生」という用語の定義がある。
3. 供試体
供試体は、次のとおりとする。
a) 供試体は、JIS A 1132によって作製する(1)。 また、 供試体は、所定の養生が終わった直後の状態で試験が行えるようにする(2)。
注(1) 試験を行う供試体の材齢が指定されていない場合には、1 週、4 週及び13週、又はそのいずれかとする。
注(2) コンクリートの強度は、供試体の乾燥状態や温度によって変化する場合もあるので、養生が終わった直後の状態で試験を行う必要がある。
b) 損傷又は欠陥があり、試験結果に影響すると考えられるときは、試験を行わないか、又はその内容を記録する。
4. 装 置
装置は、次のとおりとする。
a) 試験機は、JIS B 7721 の 7.(試験機の等級) に規定する1 等級以上のものとする。
b) 上下の加圧板は鋼製とし、圧縮面は磨き仕上げとする(3)。
注(3) 加圧板は、JIS B 7721 附属書 B に示す。
5. 試験方法
試験方法は、次のとおりとする。
a) 直径及び高さを、それぞれ 0.1mm及び 1mmまで測定する。 直径は、供試体高さの中央で、互いに直交する2方向について測定する。
b) 試験機は、試験時の最大荷重が指示範囲の 20~100%となる範囲で使用する。同一試験機で指示範囲を変えることができる場合はそれぞれの指示範囲を別個の指示範囲とみなす。
参考)試験時の最大荷重が指示範囲の 90%を超える場合は、供試体の急激な破壊に対して、試験機の剛性などが試験に耐えうる性能であることを確認する。
c) 供試体の上下端面及び上下の加圧板の圧縮面を清掃する。
d) 供試体を、供試体直径の1%以内の誤差で、その中心軸が加圧板の中心と一致するように置く。
e) 試験機の加圧板と供試体の端面とは、直接密着させ、その間にクッション材を入れてはならない。ただし、アンボンドキャッピングによる場合を除く[アンボンドキャッビングの方法は、附属書1(規定)による。]。
f ) 供試体に衝撃を与えないように 一様な速度で荷重を加える。 荷重を加える速度は、圧縮応力度の増加が毎秒 0.6 ± 0.4 N/mm2 になるようにする。
g) 供試体が急激な変形を始めた後は、荷重を加える速度の調節を中止して、荷重を加え続ける。
h) 供試体が破壊するまでに試験機が示す最大荷重を有効数字3けたまで読み取る。
6. 計 算
圧縮強度は、次の式によって算出し、四捨五入を行って有効数字3 けたに丸める。
fc = P / ( π × ( d / 2 )2)
fc :圧縮強度 (N/mm2)
P: 5.h) で求めた最大荷重 (N)
d: 5.a) で求めた供試体の直径 (mm)
附属書1(規定) アンボンドキャッピング
1. 適用範囲
この附属書は、ゴムパッドとゴムバッドの変形を拘束するための鋼製キャップを用いて、圧縮強度が10 ~ 60N/mm2 の 圧縮強度試験用供試体のキャッピング方法について規定する。
2. 一般事項
この附属書に規定のない事項については、本体による。
3. 用語の定義
a) 鋼製キャップ
コンクリート供試体の上端の一部を覆うとともに、圧縮強度試験時に鋼製キャップ内に挿入したゴムパッドの水平方向水に対する変形を拘束できる金属製のキャップ。
b) ゴムパッド
鋼製キャップ内に挿入して、コンクリート供試体の打設面の凹凸を埋めるため にクロロプレン又はポリウレタンによって作られた円板状のゴム。
4. 試験用器具
4.1 鋼製キャップ
焼入れ処理を行った S45C 鋼材、SKS鋼材などを用い、圧縮試験機と接する面の平面度が、0.02mm以内であることを確認したものとする。また、鋼製キャップの寸法は、附属書1図1を参照して附属書1 表1 に示す値とする。

附属書1図1 鋼製キャップ
附属書1表1 鋼製キャップの寸法

4.2 ゴムパッド
ゴムパッドの外径は、附属書1表1 に示す鋼製キャップの内径とほぼ等しいもので、厚さは 10mmのものとする。また、ゴムパッドの品質は附属書1表2 による。
附属書1表2 ゴムパッドの品質

4.3 ゴム硬度計
ゴム硬度計は、JIS K 6253 に規定するタイプ A デュロメータを用いる。タイプ A デュロメー タの一例を、附属書1図2 に示す。

附属書1図2 タイプA デュロメー タの一例
5. ゴムパッドの硬さ
5.1 測定方法
ゴムパッドの硬さの測定方法は、次による。
a) ゴムパッドを鋼製キャップに挿入した状態で、パッドの外周から中心点に向かって約20mmの位置の 3か所を測定位置とする。 このとき、各測定位置はそれぞれ等間隔に選定するものとする。
b ) それぞれの測定位置においてゴム硬度計を垂直に保ち、押針がゴムパッドに垂直になるように加圧面を接触させる。
c) ゴム硬度計をゴムパッドに押し付け、5秒後の指針の値を読み取る。 このとき、押しつける力の目安は 8 ~10 N程度とするのがよい(1)。
注(1) ゴムパッドの硬さの測定には、オイルダンパを利用した定荷重装置を用いると安定した試験値が得られる。
d) 3個のゴム硬さの測定値から平均値を求め、これを整数 2けたに丸めてゴム硬さの試験値とし、この値と測定時のゴムパッドの温度(2)とを、次の式に代入して、20℃でのゴム硬さに換算する。
K20 = 1.08 × T0.03 × Ki0.96
ここに、
K20 : 温度 20℃でのゴム硬さの換算値
T:測定時のゴムパッドの温度(℃)
Ki : ゴム硬度計の読み
注(2) ゴムパッドの硬さの測定値は、ゴムパッドの温度によって相違する。ゴムパッドの温度を直接測定することができない場合で、ゴムパッドの温度と室温とに差胃がないと考えられるときには、室温を計算に用いてもよい。
5.2 使用限度の判定
未使用時の硬さに対して、測定した硬さが 2 を超えて低下した場合は、新しいものと交換しなければならない。
6. キャッピングの方法
6.1 準 備
新しいゴムパッドを使用する場合は、附属書1 図1 に示すように鋼製キャップの内面にゴムパッドを挿入し、鋼製キャップとゴムパッドとの間に空気が残らないよう、150kN程度の荷重を 2~3回載荷する 。
6.2 方 法
供試体の上面がゴムパッドに接するように鋼製キャップをかぶせる。 コンクリート供試体の側面と鋼製キャップの内側面とが接することのないよう、鋼製キャップの位置を調整する。
JIS A 1108:2006





なお、品確法においては、ポリマーセメントを用いた対応は認められていないので、注意が必要である。その際は、新たに仮枠等を設けてコンクリートを打増しする。そのコンクリートの仕様はもちろん母材と同じもので、その補修方法は補修施工計画書を策定させて確認する。
6章コンクリート工事 10節軽量コンクリート



