① コンクリート工事
② 鉄筋工事1
③ 鉄筋工事2
④ 型枠工事1
⑤ 型枠工事2
⑧ 仕上工事1 外装1
⑨ 仕上工事2 外装2
⑩ 仕上工事3 外装3
⑪ 仕上工事4 石工事
⑫ 仕上工事5 タイル工事
⑮ 仕上工事8 内装1 天井等
⑯ 仕上工事9 内装2 金属工事
⑱ 解体1 都心ビル
⑲ 解体2 アスベストの処理
⑳ 解体3 改修工事-建設副産物
㉑ 竣工検査
㉒ 完成から引渡しまでの流れ
建設業の限定解除の国家資格、1級建築施工管理技士にサクッと合格するためのブログ。
① コンクリート工事
② 鉄筋工事1
③ 鉄筋工事2
④ 型枠工事1
⑤ 型枠工事2
⑧ 仕上工事1 外装1
⑨ 仕上工事2 外装2
⑩ 仕上工事3 外装3
⑪ 仕上工事4 石工事
⑫ 仕上工事5 タイル工事
⑮ 仕上工事8 内装1 天井等
⑯ 仕上工事9 内装2 金属工事
⑱ 解体1 都心ビル
⑲ 解体2 アスベストの処理
⑳ 解体3 改修工事-建設副産物
㉑ 竣工検査
㉒ 完成から引渡しまでの流れ
1級建築施工管理技士 実戦 コンクリート工事1
①どうしたらコンクリートの調合ミス・発注ミスを防げるか?
コンクリートの調合ミスや発注ミスは、建物の構造強度や品質に大きく関係する。
昨今、経済性を過度に追求するあまり、同じ建物で細かく強度を変えた設計が見受けられる。
これは事前にチェックを受けることによってミスを防止できる。そのためには、図面を確認できる力が必要である。
施工時期によっては温度補正値の調整が加わるため施工部位によってはスランプを変える必要が生じ、最終的な調合パターン数はかけ算的に増えていく。
同じ現場で十数種類の調合計画を行うケースが発生することもある。
こうなると、人手不足の現場では手が回らなくなり自然に難題から遠ざかりがちになり、ひいては、調合ミス・発注ミスにつながる。
この場合、手がまわらないので、現場担当者は、資格をもったコンクリート主任技士によって、調合計画、施工計画、発注管理、受け入れ管理、施工管理を支援してもらう必要がある。
とはいえ、施工管理者自身もコンクリートに対して日頃の勉強を怠ってよいことではない。
コンクリートの誤発注は日常的に起こりうるミスであるが、施工管理技術者が適切な管理ポイントを押さえ、十分な管理体制で臨む必要がある。
②いかに丈夫なコンクリートを作るか
コンクリートのクレームの中で最も多いのは、ひび割れに関するものである。
これは、ほとんどの建設会社の補償工事の中で同様に見受けられる。
コンクリートがセメント水和反応の過程で硬化し収縮することはさけられない
収縮と同時にコンクリートにひび割れが発生する。
近年は建築施工技術の進歩により、コンクリートの収縮によるひび割れ防止には種々の対策がとられるようになった。
(例)
①鉄筋による補強
②水セメント比を下げた硬練りコンクリートの採用
③収縮の少ない中庸熱ポルトランドセメントを使用したコンクリートの使用
④フライアッシュを混入する方法
⑤膨張材を入れて収縮を防ぐ方法
⑥ひび割れを目地によりコントロールする方法
⑦急激な初期乾燥を防ぐための養生により収縮を分散させる方法
⑧硬化に必要な水以外の不要な水を真空装置で吸い取る方法など
③いかに適正な材料を選ぶか
2008年関東地区で、すでに完成後の某マンション工事の際、コンクリートのアルカリ骨材反応による自然爆裂が発生し、大きな問題になった。
その原因は、コンクリートの骨材の中に膨張性のある骨材が混じったことによるものであった。
建物が完成後もしくは完成間近にこのような自然由来の問題が発生すると、建設会社にとって大きな損失となる。
骨材に関して塩分も大きな被害になることがあるが、コンクリートの品質的な部分を分業化して、アウトソーシングしたとしても、建設会社はその最終責任を免がれることはできない。
それらの事故を分析すると、現場担当者にとって骨材の品質管理がいかに重要な事項か認識できる。
製造プラントと連携して骨材を選定し、その品質を十分確認することは建設施工管理者の重要な役割である。
1級建築施工管理技士 実践 鉄筋工事1
①配筋施工図はいかに大切か
最近の施工図では、施工担当者と鉄筋工の職長が加工図を作成することが多い。
しかし、昨今では建物がより複雑になって、高度な設計が行われるため、構造設計図とコンクリート施工図を基に配筋施工図が作成されるようになってきている。
配筋施工図の目的は、
①鉄筋の種別・サイズ
②配筋の間隔
③継ぎ手の位置・長さ
④鉄筋の組立て順序
などを図面に書き出すことによって、その配筋施工図作成中に、前もって問題点をあぶり出し、解決できるところにある。
また、配筋施工図は、加工・現場組立て・検査のためのバイブルとなる。
それは各工事の鉄筋職長が作成し、鉄筋加工のための加工帳作成にも利用される。
しかし、配筋施工図を作成しない現場もある。職長が簡単な加工帳しか作成しないので、ミスが起きることがある。
例えば、サイズや間隔の見間違いなど。
配筋施工図の間違いは重大な品質ミスになりやすいので、設計者との間で相互チェックなどを行い、駄目出しをしておくことが大切である。
②いかにして図面の読み間違いをなくすか
経験的に、鉄筋工事の間違いを防ぐ手段の中で「周知徹底会」がもっとも効果がある。
構造設計者・建築施工管理者・施工業者にて、工事が始まる前に設計者の意図するところ、注意する点などに対して構造設計担当者に立会いを依頼して、
説明を受ける「周知徹底会」を実施し、関係者の意思統一を図ることが望ましい。
③どのようにして鋼種の間違いをなくすか
建物の高層化に伴い、RCの設計技術も進歩し、30階や50階建ての高層集合住宅でもRCで設計することが増えている。そこではコンクリート強度だけでなく、鉄筋においても高強度の鉄筋が使用され、一つの工事現場の中に、さまざまな鋼材種別の鉄筋が使用されるようになってきいる。
鋼材種別を間違わないで施工管理するにはどうしたらよいか?
それらは、超高層RC集合住宅の現場で新たな課題となっている。
鉄筋施工を専門業者に任せて管理していたのでは、加工場や現場で鋼種のとり違いミスを完全には防げない。
対策として重要なものを上げてみる。
①鋼材の種類の色分け図面を作成し、鉄筋設計の見える化を図り、関係者に徹底する。
②発注段階での鋼種間違いを防ぐには、職長の作成する注文リストのダブルチェックを行う。
③加工場ではほかの工事の鉄筋と材料が混じる心配がある。見た目ではほとんどわからない鉄筋構種の判別の間違いは、加工、積込み段階でまれに起こる可能性がある。
したがって、最初の関門は加工場での送出し検査である。
④更に現場では、加工した材料が入ってくるので、疑うこともなくそのまま組み立ててしまう。配筋検査はコンクリート打設前に検査するが、ミスを発見できない場合もある。
また、その時点での発見ではすでに遅い。
したがって、現場での材料受入れ検査が次の関門となる。
鋼種間違いはあってはならない間違いである。
鋼種が異なると、建物の強度や品質に直接影響するため、再施工の選択肢しか残らない。
したがって、最後の関門はコンクリート打設前の配筋検査となるので、余裕をもった検査時間を確保する必要がある。
建築設計施工管理者は着工前に設計者とよく打ち合わせを行い、構造的にどのような特徴をもった設計であるかをよく理解して、使用材料の鋼材種類の変わり目を確認してから、工事を進めることがきわめて大切である。
このことはコンクリートについても同様である。
④コンクリートをハツらなければならない場合
鉄筋工事のミスでもっとも多いのが、差し筋にかかわるものである。
以前では、設計者の了解のもとで、比較的容易に、ケミカルアンカーや
樹脂モルタルグラウト鉄筋で対応できたが、2005年の法改正以後はこのようなミスも厳格に取り扱われるようになって、容易な処理ができなくなった。
なので、コンクリート打設前の配筋検査は今まで以上に重要になってきている。
一方で、どんなに検査を厳しくしても、うっかりミスは発生する。
差し筋忘れや差し筋のずれなどを未然に防止する対策は、差し筋図を作成することが有効である。配筋検査野帳とは別に、差し筋の必要な箇所を洗い出して作成し、その差し筋図により重点的にチェックを行う。
その他、施工時に見落としそうなミスについては、それを予想して、設計者や監理者を交えて「周知徹底会」により、注意喚起を行うことが必要である。
①新規入場教育でヒューマンエラーの予知能力の再教育
鉄筋工事でヒューマンエラーを防ぐには、仕組みと手順を決めて、それを守ることが大切である。
現場で最初に行うことは、現場マンによる職長と作業員の入場教育である。現場で準備作成した資料を活用する。
例えば、
①鋼材の色分け図
②配筋施工図
③配筋検査の仕組み
④スペーサー一覧表
などの鉄筋工事の基本的事項やルールの導入教育を実施して、目線合わせをすることは大いに役立つ。
鉄筋工によっては、経験者の慣れや若手作業員の知識不足などがミスにつながる。
したがって、新規入場者教育でヒューマンエラーの予知能力を再教育することは
大きな効果が期待できる。
次に重要なのは材料の受入れ検査である。
多くの建設現場ではこの材料の受け入れ検査を実施せず、下請け任せにしている傾向が強い。
しかし、市街地での建設工事の多くは、郊外の加工センターで鉄筋の切断加工をすることが多いが、その加工場でミスが起きる可能性が高い。
加工場では、材料がほかの作業所のものと混ざったり、鋼種をとり違えたりすることがある。
その間違いを発見できる最初の検査が、現場での受入れ検査なのである。
加工場が作成した加工明細書と入荷材料が、現場で作成した鋼材の色分け図と
同じであるかどうかを、現場での材料の受け入れ検査で必ず確認するようにしたい。
この検査を省いては現場搬入までに起きるミスは防げない。
②差し筋施工図の必要性
配筋のミスは、チェックリストを使用した配筋検査で防ぐのが一般的である。
そのチェックは、以下に示すように
現場では配筋検査は何度も行われている。
①職長による検査
②現場監督による検査
③本社の品質管理部門による指定検査
④設計者や建築主の監理部門による検査
⑤建築主の代行者による指定検査
など
しかし、これらの何重もの検査があっても、なおそれらをすり抜けて発生するミスがある。
その中でもっとも多いのが差し筋である。それを防ぐために有効なのは、差し筋施工図の作成とそれを利用した管理と検査である。
現場施工管理者による差し筋施工図の作成は多くの効果があるので、実践していきたい。
①設計図齟齬の発見
②後打ち躯体の確認
③スラブ段差と勾配の確認
④差し筋材料の手配
⑤差し筋作業時間の確保
など
③配筋施工図のミス防止と構造アンカーの開発と設計図への記載
鉄筋専門業者で作成される配筋施工図は、きわめて大切になってきているが、また、今まで建築現場で便利に採用されていた機械式構造アンカーの使用が難しくなってきている。
今後は設計変更に対する策として、機械式構造アンカー工法を設計図に記載しておくべきである。
機械式鉄筋定着工法は、鉄筋が密集した部分には有効であるが、構造認定取得のものとなるので、認定番号を確認することは極めて重要である。
①躯体図(コンクリート施工図)
躯体図は、一般的にはコンクリート施工図、型枠施工図とも呼ばれていて、コンクリートの最終形状を表し、型枠工事の基本となる図面である。
本来は、所長もしくは次席のものが自ら作図して、頭の内部に躯体のおさまりをすみからすみまで入れることが望ましいが、一般的には、専門の作図担当者が作図していることが多い。
躯体図は意匠図、構造図、仕様書、施工計画などから必要情報を抜き出し、
組み合わせて最終形とする。
したがって、
①それぞれの設計図書の齟齬と干渉チェック
②ほかの工事との寸法調整
③施工に必要な情報
も加え、実際現場で施工する各専門業者に、正確な情報を図面にして伝えるなどの重要な意味をもつ。
ゆえに、符号や寸法の間違いは許されず、設計者はもちろん構造や設備のエンジニアにも確認の義務があり、承認の責任がある。
承認後は、各ファブや、サブコンにもこの躯体図が渡され、おのおのの工作図との整合性が図られるため、寸法的な意味合いはきわめて重要で、真の設計図ともいえる。
また、建築施工管理者としては小さい工事であれば、その施工図面の作成を自ら行うことが必要である。
躯体図を自ら作成するためには、意匠図と構造図の整合性を確認し、次に設備図中の躯体取合い部の情報を収集し、把握する。
最近のCADソフトは、手順にのっとってこれらの情報を入力すれば、かなりの部分の作図が自動的に行える。
その作業や設計者との打ち合わせまでも専門のスタッフにすべて任せていては、基本となる各所の寸法が記憶されないために、現場での十分な指導ができない。
したがって、躯体図の作成および設計者との打ち合わせの作業は、きわめて重要な建築施工管理者の仕事なので、常にリーダーシップをとるように心がけ、議事録の把握、躯体図のチェックは建築施工管理者が自ら行うべきである。
②材料発注計画
鉄筋コンクリート工事の中で、もっとも工事費の割合が大きく、多くの仮設材料を使用する工事は型枠工事である。
コンクリート工事が終われば、型枠材料は不要になり廃棄される。
したがって自然保護を考え、天然の材料はできるだけ減らし、鋼製型枠の利用を採用することも考える。
型枠工事計画を策定するにあたり、いかにして転用効率を上げ、投入材を減らし、面材の材料選定も吟味し、廃材を出さない方法をとる、ということも大事な視点である。
鋼製型枠、アルミ型枠、表面強化合板などがある。
③コンクリート見下げ図の重要性
コンクリートを打設する前の準備として、大切なことに、打設する範囲の「見下げ図」を必ず作成する必要がある。
見下げ図の本来の目的は、コンクリート工事施工の完成形が見えることで、関係者全員に情報の共有ができることである。
その図面には
①差し筋の位置と種類
②床勾配と排水管の位置
③床の段差と逃げ寸法
④コンクリート天端の押さえの種類
などの必要な情報を詳しく記入し、配筋検査の道具としても使用する。
この作業手順による見下げの躯体図作成と確認があって初めて、最終段階でのミスが防げる。
見下げの躯体図は、コンクリート打設当日の作業の指示書としても使用できるので、一石二鳥である。
もし、現場マンが見下げの完成形図の作成に取り組めば、作成中に図面の不整合を発見でき、不具合の未然防止ができる。
例えば、上の階との柱や壁の位置や大きさなどの矛盾があれば、コンクリート打設までに十分修正が可能なのである。
型枠工事期間中、それまで用意周到に準備してきても、最終段階でミスを犯すと、今までのプロセスすべての信用を失う。
それが、コンクリート工事の特徴であり、厳しさである。
杉板の本実工法
打放し型枠工法には、ベニヤ合板と本実板とがあるが、杉板の本実型枠コンクリート打放し仕上げは、もっとも管理が難しい型枠工法の一つである。
コンクリート壁の型枠として杉板もしくは檜板を使用するので、木目をコンクリートに転写させるための工夫を求められる。
また、杉板の選定・前処理・加工・建込み方・打設時の技量など、もっとも高い技術が要求される。特に、杉板は自然素材であるため、木材がもつ性質やアクがコンクリートに影響しないように、入念な準備と選定が要求される。
更に、コンクリート打設までに雨などで濡らさないように、施工時期と雨養生に特に注意を払う必要がある。
①杉(檜)材面材の選定とコンクリートの調合
現場マンにとって、型枠工事の担当をすることは、最高の学びの機会である。
鉄筋コンクリート工事と型枠工事は、もっとも関係が深く、型枠工事を語らずして、コンクリート工事は語れない。
その中でも、杉板本実型枠コンクリート打放し仕上げは、もっとも高い技量を要する。
工法の成功のためにもっとも大切なことは、施工計画をきちんと立案することであり、そのためには必要な調査を含めて関係者との打合わせ・施工方法の確認などの調査を十分に行い、自分なりに大切な管理ポイントを把握することが大切である。
杉(檜)面材は、赤身の強い部分は使用せず、十分な自然乾燥をしたものを選ぶ。
そして、石灰水によるアク出しを行うことで、コンクリートの凝結に配慮する。
コンクリートの調合は試験練りを行って決定するが、充填性を考慮すれば、スランプは18~21㎝が望ましい。
セメントを指定される場合があるが、その際には、今までの実績と問題点をあらかじめ調査しておく。
②美しい転写とシャープな感じを出すための工夫
杉板の本実型枠コンクリート打放しの狙いは、コーティングしたベニヤ板の時と比べて、杉の木目がコンクリートに転写することで、木目の柔らかな表情を醸し出すところにある。
したがって、木目の転写が美しくきれいに仕上がるには、「コンクリートの凝結水を逃がさない」ことが、もっとも大切である。
そのためには、まず十分乾燥した材料を使用し、木材のねじれを防止する。
更に、出隅、入隅のコーナー部や型枠の足元から凝結水が逃げ出さないように留意する。
特に足元は濡れやすいので、隙間にはテープなどを張って凝結水の流出防止に努める。
その他、型枠工事作業では、施工要領書に沿った、型枠大工の注意深い施工も求められる。
そして、コンクリート打設においては、コールドジョイントを作らないような打設順序が大切であり、コンクリートが十分鉄筋と型枠の間に回るように、必要以上のかぶりを確保することが大切である。
杉板本実コンクリートの型枠の脱型時期は、木目を美しくコンクリートに転写させるために、通常より長めにとる。
何日間型枠を存置させるかは、JASS-5の規定に加えて決定する必要がある。
シーズンによって異なるが、夏場では5日、冬場では7日以上を確保したい。
いずれにしても、施工計画書に基づき、実物材のモックアップを実施し、打上がりの色や転写の具合、そしてエッジの出来上がりと型枠存置期間の関係などを確認し、「計画書の修正」を行うなど用意周到に行うことが望ましい。
③きれいな素肌を長く維持するための対策
打放しコンクリート表面に塗布する浸透性吸水材には、コンクリートの中性化を抑制し、表面の吸水を抑えてカビの発生を遅らせる効果がある。
コンクリートは、アルカリ性であるが、内部の鉄筋が長期間の空気にさらされ、コンクリートの中性化が進み、その結果、内部の鉄筋が錆びるようになってくる。
その錆でコンクリートが爆裂し、躯体の強度が弱くなり建物全体の寿命が短くなる。といった中性化の問題がある。
浸透性吸水材には、その中性化を遅らせるねらいがある。
打放しコンクリート表面に塗布する浸透性吸水材には、いくつかの種類があるが、それぞれ耐用年数と値段の関係で大別する。
①シリコン系の浸透性吸水防止材:耐用年数は5年程度
②アクリルシリコン系の浸透性吸水防止材:耐用年数は10年程度
③フッ素系の浸透性吸水防止材:耐用年数は10〜15年程度
①鉄骨工作図のミスをなくす
鉄骨工事の最も重要なことは、図面の不整合や記載ミスを徹底的に川上で取り除いておくことである。
今まで日本においては、鉄骨工作図の作成は、平面図や軸組図および詳細図に頼っていて、多くの専用CADソフトが開発され、自動化が図られてきているが、2次元の図面では、その作図ミスを防ぐには経験豊富な専門家が必要なのが現状である。
しかし、世界情勢に目を向けると、鉄骨設計業界においては、3Dの設計ツールが浸透してきている。
まず、最初に立体モデルを作成し、順次細部の設計に進むように手順がかわってきていて、不整合や部材の干渉も立体モデルで確認することができる。
すなわち、経験に頼ることなく、図面ミスが防げる。
承認する側も、立体シミュレーションモデルで検討できるので、より図面の正確度が増し安心できる。
したがって、すでにプラント業界であるように、建築鉄骨業界においても「性能発注方式」へと変化できる可能性につながっていきている。
一部の鉄骨製作会社では、3次元モデルと工作図・原寸図・部品図・発注伝票・数量表とが連携しているので、間違いようがないもので、受け入れ時の製品検査においても、実際に確認するものは、施工要領書どおり製作されているかとか、溶接の状態と書類の整備状況のみになりつつあり儀式化しつつあるように感じる。
つまり、3次元CADの活用により、製造の合理化を図るとともに、経験者に頼らない生産ラインになってきている。
②工場での材料トレーサビリティ管理の徹底
鋼材には、異鋼種同断面(見た目は変わらないが、強度や性質が異なる)のものがあるので、材料が混在すると品質保証ができなくなる。
すなわち、鋼材の取違えは、建物の品質に直接影響し、不適合な建物となる。
鉄骨工場では、承認された工作図に基づき、板・形鋼・山形鋼・溝形鋼などから材料をそれぞれの形状に切断・加工し部材を組立て、そして溶接していく。
設計によっては、数種類の材種の部材が使用されているので、材料を混在させて使用するミスが発生する可能性がある。
製作段階では、材料の取り違えが発生しないように、材料の切取り計画を作成し、混同を防ぐ。
どの部材がどの親材料から切り出されたものかを記録し、後で確認できるようにしておく。
その記録(トレーサビリティ管理)は、製品を保証する記録であり、監理者は製品検査時に確認を求める必要がある。
日本においては、分業化が進み、部品製作までを一次加工の専門会社(シャーリング会社)に発注している。しかし、トレーサビリティの根本思想は変わらないので、材料の取り違えが発生しないように、抜き取り検査などを行う。
③鉄骨部材の加工・組立ての管理
鉄鋼メーカーは各種の「強度や性質の異なる鋼材」を製造し、規格に合った品質保証を実施している。
1995年の阪神淡路大震災では、鉄骨の被害も多かったが、その被害報告も反映し、2000年に建築建築基準法が改正され、新たな規定が追加された。
鉄骨の分野では、溶接不良などの教訓を反映し、建築鋼材専用のSN鋼材(1994年に登場)の使用が急速に普及した。
鉄骨の加工・組立てはファブリケータと呼ばれる鉄骨製作工場で行われる。鉄骨製作工場はその規模や技術的な内容によって、S・H・M グレード等の認定の仕組みがあり、それぞれの得意な分野の製品を作っている。
また、分業化が進んだ昨今では、材料発注を商社に、1次加工を専門業者に依頼してい鉄骨製作工場が多い。
鉄骨工事には多くの試験が存在し、それぞれの試験は、建築主・設計者・ゼネコン・鉄骨ファブによって選択され、役割と責任が決められる。
1次加工の段階では、材料試験、溶接施工性試験、溶接棒の試験などが大切になる。
また、製作段階においては、仮組立て試験、中間試験、溶接部のUT検査、そして最後の製品検査がある。
現場管理者の役割として、鉄骨の発注から製品検査、輸送から現場組立てまでのすべての段階の管理計画を、その流れに沿って「鉄骨品質管理計画書」として作成し、設計監理者の承認を取得し、意向をフィードバックする。
併せて、鉄骨ファブが作成する「鉄骨製作要領書」の確認と承認を行う。
加工・組立ての段階でもっとも大切なことは、工場溶接の管理である。溶接品質に係る要因には、
・溶接部位と溶接方法の選定
・溶接姿勢と溶接工の資格
・被溶接材料と溶接棒の選定
などの組合せがある。
その工事の特徴に合わせた「組合せの施工試験」を行い、溶接部の外観や機械試験を経て、ベストな組合せを選ぶ。
機械的な試験の項目には、
・引っ張り試験、
・マクロ試験、
・シャルビー試験
などがある。
溶接作業が終了し、塗装工程に入る前に、溶接部の外観検査と、超音波探傷検査(UT検査)を行うが、UT検査はファブリケーターが行うものとは別に、第三者(独立した検査会社)により行う必要がある。
④現場での鉄骨接合
鉄骨が無事組み上がると、次に重要になるのは接合部の工事である。
現場接合には、主に高力ボルト接合と現場溶接接合があるが、それぞれ資格をもった管理者を配置し、管理者を中心に品質管理を行う。
高力ボルト接合においては、施工要領書に基づき、各ロットごとにボルトの軸力試験、締付け道具のキャリブレーションテストを実施する。
ほかに締め付ける環境・順序やナットの方向などの制限も規定されている。
現場溶接接合においては、AW溶接検定の合格者が行うが開先部分の状態管理、目違いの許容範囲、溶接棒の種類、余熱の条件などが決められているので、施工要領書の規定に従って行う。
また、溶接部の検査として外観検査のほかに、第三者による超音波探傷試験が
一般的に必要である。
超音波探傷検査の抜取率は常に問題になるので、あらかじめ構造設計者と協議し決めておく。
⑤鉄骨工事の安全管理
鉄骨組立て工事は、何もないところからクレーンと作業員だけで組み上げていく最も危険を伴う作業である。
したがって、その作業の安全管理・足場管理・労務管理は事故を防ぐためにきわめて大切である。
現場管理者の任務として、それらの安全計画の立案を入念に行う必要がある。
特に足場計画は、それぞれの段階ごとに作業員の安全が確認できる計画とするのがよい。
多くの建設会社では鉄骨建て方事前検討会を実施し、計画の確認、関係者の目線合わせを行っている。
何事も計画通り進むとは限らないので、不測の事態に備えて、
最低限必要な資材と解決方法およびルールを決めて臨むことが大切である。
鉄骨建て方を安全に進める上でもっとも大切なことは、余裕のある安全で効率的な計画を立案することである。
それにより、作業員の無理・無駄・無謀を防ぎ、事故の防止につながる。
例えば、作業所の空きスペースを利用し、鉄骨梁や小梁や足場や安全ネットなどをアセンブリングしてから、クレーンで一気に持ち上げる手法が、もっとも効率的で安全である。
若干の設備費がかかるが、それ以上の安全管理費節減や工期短縮の効果が期待できる。
鉄骨組み立て作業は、建築工事での最も危険な作業と言える。風や雨や気温の変化など全てに影響されるため、選抜された熟練工でも細心の注意が必要である。
過去の鉄骨工事の事故例では、墜落、転倒、挟まれなどの人身災害が発生している。
積層工法は、それらの危険な芽をあらかじめ摘み取ることができる最も画期的な工法と言える。
積層工法の最大の特徴は下層階から確実に積み上げていく工法ゆえに、作業員が安全の足場をいち早く確保でき、上下作業をなくすことができるので、作業員に大きな安心感を与えることができる。また、そのことは品質確保にも大きく貢献している。
積層工法の要素技術の中で、フロアパネルがその中心的な技術となる。1階分のフロアパネルを4日ないし5日サイクルで組み上げていく。部材はできるだけ工場でアッセリングして、大型ユニットにする方が望ましいが、輸送範囲を超える場合は、現場の空きスペースを利用し、ユニット化する。
高層ビルは繰り返し作業が多いので効果は大変大きい。建設業にはまだまだ無駄が多いが、生産をシステム化することで大幅な無駄の削減が可能となる。
①現場でのプロアパネル製作
床のフロアパネル工法は、大梁、小梁、ブレース、床のデッキプレートだけでなく、天井内ダクトやスプリンクラー枝配管までを一体に組み立て、大型のクレーンで吊り上げて取り付けていく「鉄骨組立てプレファブ工法」の1つである。
道路の車幅を超えるような大型のフロアパネルは工場から運べないので、現場の空きスペースを利用し、現場で組み立てチームを編成し、一体化の作業行う。
その場合、必要な枚数だけを製作する計画とし、取り付ける逆の順序で製作すると、ストックヤードが有効に使える。また、生産性を高めるには、多能工を編成し、作業員の平準化を図る。
大型のフロアパネルが、目安として15分以内にスムーズに取りつくような工夫が成功のカギを握る。
そのためには目的にあった「吊り上げ専用治具」の開発落とし込みができるような梁継ぎ手の工夫、スパン調整ができるような「吊りピース兼用スパン調整」などの仕掛けと、取り付けのトレーニングとが大切になる。
また、その他の注意事項としては、ストックヤードでの転倒防止などがある。いずれにしても入念な計画が望まれる。
積層工法の原点は、作業員の安全確保のために、作業床を先行して取り付けることで、安全な先取りをが進み、安心して仕事ができるため、結果として作業効率の向上に目指すものである。
②柱ジョイント位置の工夫で、労務の平準化を図る
大型のフロアパネルのスムーズな取り付けのためには、柱の節ジョイントを今までのように同じ街に揃えるのではなく、逆にすべての階に振り分けてずらす方が良い。
コア部と外周部を異なる階にする。外周の柱も隣り合う柱を次の階に移動するなど、スキップさせることで、大きな改善効果が得られる。
通常、柱溶接箇所は3階ごとに集中し、溶接工の平準化ができているとは言えない。すなわち、忙しい日とそうでない日があり無駄が多い。
しかし、ジグザグにずらすことで、現場溶接作業の平準化し、少数精鋭の溶接工で順に作業ができるので、労務の平準化ができて品質が向上することにつながる。
さらに、常に先行する柱が垂直性のガイドになっているため、鉄骨の建て方精度がおのずと高くなっていく。
すなわち、従来の方法とは異なり、「危険で、しかも最も苦労する歪み直し作業」がほとんど発生しない。
結果的に歪み直し作業が「スパン調整」だけで済むなど、大幅な改善効果が期待できる。
③究極の鉄骨作業足場計画
床を構成するフロアパネルと建物の外壁を構成する外装プレキャスト板を、より先に取り付けることで、鉄骨接合部の作業性の安全性が格段に向上する。
鉄骨の現場鍛治作業、現場溶接作業などの足場は従来の吊足場に代えて、ほとんどの範囲をデッキプレート上にキャスタ付き移動足場を利用した簡易足場での作業となる。
その結果、現場溶接作業などの集中力と高い技量が必要な作業も安心して最後できるため、品質的にも良い結果に結びついている。
ただし、デッキプレートの上に集中荷重が働くので、その検討が必要となる。
また、大梁上の現場打ちスタッドジベルがキャスタ付き移動足場と干渉するので、決められた移動足場の通路を確保するなどの手立てを図る必要がある。
建物の外装は、その建物の顔になる大切なエレメントであり性能的には水密・気密・耐風圧・遮音・断熱・紫外線・日射そして耐候性などが要求される。
外装材の中で、押出成形セメント板、ALC板、複合金属板などの既成品は、メーカーが独自のディテールと施工マニュアルを開発・準備している。
また、メーカーは各販売店を傘下にもち、営業・施工図作成・工事を委託している。
メーカーによっては施工店に対する技術指導や教育、そして巡回指導を行い、品質確保に努めている。
建築施工管理者の役割としては、各販売店の担当者との打ち合わせとともに、早い段階から設計者や専門家を交えての検討会等を発足させ、現場の状況に即した問題点と対策を絞り込む必要がある。
メーカーによっては、かなり前からその標準ディテールが作成されている。すなわち、安定した品質提供を継続している。
①施工図のチェックと承認はゼネコンの役割
押出成形セメント板の場合、製品は60㎝を標準とし、現場に合わせて長さを切り合わせて、現場に搬入する。
したがって100%を工場で加工し、塗装まで仕上げてくる製品もある。
縦張りと横張り工法があり、いずれも標準的なディテールと施行マニアルが準備されている。
窓周り、パラペット周り、階段室の取り合い、設備開口部などの特殊部分はメーカーが用意しているディテール集を参考に、品質問題が発生しないように注意をする。
特にガラリから雨水が吹き込まないように、また吹き込んでも中の雨返しで戻るように、配慮が必要である。
建築施工管理者の役割としては、設計者と連携しメーカーの代理店に施工図作成を依頼し、取合い部分の確認を行い、承認することである。
施工図の間違いがあってはならないので、設計者、設備関係者、その他の関係会社との調整を十分に行う。
また、納期面では承認から現場搬入までの製作・輸送に必要な期間をよく打ち合わせをし、遅れないように発注管理する。標準的には30日間、繁忙期は45日間は必要とされている。
最近の流行として、90㎝の幅広のものや、外装タイル、外断熱、ソーラーパネル、壁面緑化との組み合わせなど、付加価値を高めたものも商品開発をされている。
②外装工事の施工管理はどうするか
外装材の工事が正しく施行されないと、雨漏りだけでなく地震や長期間の材料劣化などにより、外壁材の応力のへの肩よりが発生し、割れや落下など第三者に被害を及ぼす事故につながる。
パネルの取り付けやシール工事は、専門の工事会社によってマニアル通りに行われるので、品質上の心配は少ないが、多くの問題はパネルの下地精度不良が絡んでいる。
下地が正しい位置になく、施工図の間違いなどで製品寸法が現場と合わない場合など、是正を省いてそのまま工事を進めることがあってはならない。
建築施工管理者の役割の中では、下地の精度を高めることが非常に大きい。
下地の制度は、
①墨だしの精度
②下地鉄骨の誤差
③躯体の誤差
の累積となる。
したがって、まずは躯体の精度が確保されて、初めて下地鉄骨の取付けへと進めるので、手順を踏んで施工品質管理を進めなくてはならない。
施工図の承認前に、下地鉄骨の精度を確保するためのディテールを確認し、前後左右の躯体の誤差を吸収する機能があるかを確認することも大切である。
建築施工管理者として、自信を持った施工管理をするためには、正しいプロセスを守り、妥協しない姿勢が大切である。下地の精度が目標レベルに達していれば、大方の品質問題が事前に解決できる。
③正しくシール施工するには
外装の成形板は、比較的簡易な建物の外壁に多く採用されている。
その種類には、押出成形セメント板・ALC板・複合金属板等がある。
いずれも部材が既製品で、幅方向が決まっており、長さ方向をその工事に合わせて工場加工し、搬入後現場で取り付ける方法が一般的である。
どの成形板も、ディテールが比較的シンプルなため、気密性・止水性が弱点になりやすい。
従って、メーカーごとに推奨する取り付け方法が定められているので、メーカー指定マニュアルを遵守する。
一般的に、材料のメーカー保証が用意されているが、工法全体としてのメーカー保証内容を確認する必要がある。
幅方向は、製品によってはまったく外からのシールを必要としない製品もあるが、縦方向と層間部やエクスパンションジョイントは外からのシールに頼っている。
1次シールは、その材料とプライマの相性と接着性を必ず確認し、メーカー推奨の手順を守って正しく施行したい。
1次シールを超えてきた雨水の2次シールによる排水の仕組みは極めて大切になる。
今までの故障事例は、1次シール・2次シールともに不備なために発生している。
1次シールが切れても、雨水を2次シールで止めなければならない。
2次シールで特に大切な点は、最下部に設置する排水パイプである。1次シールを通過した雨水が、中空部を通過し、最後に排水パイプを通過して外部に排出される。
この機能をしっかり確保する。
日本シーリング工業会出版のハンドブックが参考になる。
④ゴンドラ作業での注意点
シール工場や塗装工事が外部足場からの工事であれば、作業もしやすく、検査確認も容易である。しかし、最近ではシール工場を外部ゴンドラ作業で行う場合が増えている。
外部ゴンドラでの施行は密室と同じで、どうしても管理の目が行き届かず、正しく施工されているかが、簡単には確認できない。
したがって、ゴンドラ作業で外部のシールを行う場合は、どのように「管理の検査」を行うかを定めて、プロセス管理していくことが大切である。
そのためには日常の作業員や職長の自主管理と記録が重要であり、検査員の管理がそれに続く。
検査員による検査のポイントとして、
①シールの施行はそれはないか
②すでに付着が開いてないか
③シールの厚さは大丈夫か
なかの検査を行うことが大切である。
正しい1次シール工事、2次シールと排水計画、検査の仕組みを施工図と施工マニュアルに明確にし、関係者への周知徹底を図ることが重要である。
高層ビルの外装はガラスカーテンウォールで設計されることが多くなってきている。
1970年代の超高層ビルの初期の時代から見ると外装材も変化してきている。
アルミニウム、ステンレスなどの金属パネルや、本石やタイルを仕込んだプレキャストパネルの多用された時代から、近年ではガラスが多用されてきている。
外装カーテンウォールはそれ自体多くの部材から成り立っており、その素材、取り付け方法における要求性能は、水密・気密・耐風圧・遮音・紫外線と日射対策が様々であり、その品質確保はきわめて専門性の高い仕事である。
また日本は地震国であり、耐震性には十分注意しなければならない。
そのような専門分野化する工事に対して、どのように管理をしていくかが、建築施工管理者に問われる。
①詳細設計を実大性能試験で確認する
外装の金属カーテンウォールは、多種の材料の組み合わせて成立している。
例えば、複層ガラス・金属パネル・アルミ型材・ガスケットやシール材・ガラリパネル部分、耐風圧マリオン、そしてファスナなどである。
したがって、一般的には部材の取り合いが多く、複雑に部材が絡むので、入念な設計をすることは当然であるが、それでも雨水を完全に止めることや設計性能を確保することは容易ではない。
詳細設計が終わり、部材と部品の選択ののち、実大のモックアップで耐風水圧実験し性能を確認する必要がある。
どんなに注意深く設計しても、実大モックアップでは、不適合や問題が見つかることが多い。
実大性能試験は設計の問題に施工の問題が加わり、実際に近い状況となることから、建築施工管理者も関係者も含めて組立てから実験が終了するまで、小さな不適合も見逃さないように立ち会うことが大切である。
そこに発生した品質的な不適合は必ず原因を分析し、対策をとる。
設計の理解と施工性能確保のための最大のチャンスと捉えるべきである。
②外装カーテンウォール工事の施工管理と漏水予防
一般的には、外装カーテンウォール工事で工事中に完全に漏水をなくすことは至難の技と言える。
最近でこそ工場でのアセンブリング率が高まりユニット化したものを使用するようになった。
それまでは現場でのノックダウン組み立てが多かったために、熟練した作業員が欠かせなかった。
現場では、数多くの部材を、順序よく正しく組み立てることが求められる。
その上で、各段階の性能がきちんと確認されることにより、はじめて、要求性能が確保される。
昨今の熟練作業員不足と価格競争の激化などの国際的な市場競争の中で、この業界も”ノックダウン”から”ユニタイズシステム”に大きく流れを変えた。
品質管理上も、要求性能を確保するために工場での組立て率を増やし、現場作業を減らす方向が望ましい。
現場ではユニタイズシステムのパネル間の処理に留める方向へと進化した。
一方、周知のごとく、現場作業は天候や作業員の技量によっては施行にばらつきがあり、ヒューマンエラーも発生する。
特に、外部のシール工事はゴンドラ作業になり、その足場の不安定さや作業環境の悪さから均一な施工が難しい。
また、きめ細かい管理や検査も手薄になる。
したがって、工事中の目視検査だけでは完全な漏水を見つけにくいので、作業員の教育や、QCサークル活動などでのプロセス管理を重視すべきである。
一方、工事中偶然に遭遇した暴風雨や台風は”実大実験”になる。
全数の目視検査によって重大なミスが見つかることがある。
もし漏水箇所が見つかれば、後日、外から更にその部分の調査を実行したい。
場合によっては簡単な気密テストを行い、その原因を調べることができる。
プラスティックの箱を作り、室内側を減圧しながら、外から色のついた水を散水することで、水の流れが確認できる。
③シール工法の施工管理
高層ビルは、地震による挙動や台風などの強風、そして気温変化など厳しい自然にさらされる。
もちろん、それらに対応する設計法も進化してきている。
外装の面材が注目を浴びることが多く、金属・ガラス・石・タイルなどの組み合わせは多岐にわたるが、その接合部の詳細設計が軽視されることが多く、設計仕様書には一言”変成シリコン”としか書かれていない場合がある。
そして現状、それらの接合部の要求性能を達成するための手段として、まだほとんどの建物がシール材に頼っている。
新たな高層ビル時代をで迎えるにあたり、シール材も研究開発され進化してきており、ガスケット方式が増えているものの、その主流は現場施工のシール工法に頼っている。
どんな場合でも、シール材がその性能を十分発揮し、長期間性能を持続するためには、プライマの存在が欠かせない。
下地とプライマ、プライマとシール材の相性(接着性、化学的な相性)を実験や文献で確認することが極めて大切になる。
また、シール材は永久的になものではなく、時間の経過とともに、初期の性能が薄れてくる。
したがって、10年の保証期間に合わせた建物維持管理計画と定期的なメンテナンスが欠かせない。
④高層ビルのガラス工事管理
高層ビルは大きな風荷重を受けるため、ガラスカーテンウォールで設計するとどうしてもガラスが厚くなり、並行してマリオンのサイズも大きくなるため、コストが割高になってしまう。
ガラスの厚みを薄く抑えるには、窓のサイズを小さくするかもしくは強度を上げるしかない。
設計者の後者を選ぶことが多い。
しかし、ガラスの強度を高めるには製造過程でガラスに熱を加えて強度を高める必要があるが、この簡単ではない。
焼入れした強化ガラスには、その製造過程での温度のばらつきや不純物の混入などで、微妙な内部応力の変化や異変分子の作用で自然破壊の発生リスクが伴う。
海外では、強化ガラスが高層ビルの外部使用に認められている国が多いが、日本においては、強化ガラスは割れた時に外に飛散する危険性から、外部使用が禁止されている。
そのため、近年高層ビルの外部仕様に”倍強度ガラス”が急激に広がった経緯がある。
しかし、倍強度ガラスもこの自然爆裂事故が報告されている。
原因が特性特定されて問題が解決し、指針が整備されるまでは、外部の窓には使用すべきではない。
したがって、高層ビルの外装には、しばらくはフロートガラスを主体にした複層ガラスで対応することになる。
日本での自然破壊の発生しない倍強度ガラスの開発には、それほど時間がかからないものと思われる。
そのほか、ガラスの施工管理上大切なことに、ガラスの切断誤差管理がある。
ガラスは現場の寸法調整ができない。
セッティングブロックとガスケットもしくは構造用のシールを通して、一体化される。
しかし、ガラスの切断精度が許容値を超えると、バックアップ材が傾斜したりすることで、シール材の必要な接着幅が確保できず、水密性・気密性・耐風圧性が確保できなくなる。
したがって、ガラスの寸法精度の抜取り検査をするなど十分に目を配る必要がある。