実践3 鉄筋工事2

1級建築施工管理技士 実戦 鉄筋工事2

新規入場教育でヒューマンエラーの予知能力の再教育

鉄筋工事でヒューマンエラーを防ぐには、仕組みと手順を決めて、それを守ることが大切である。
現場で最初に行うことは、現場マンによる職長と作業員の入場教育である。現場で準備作成した資料を活用する。
例えば、

①鋼材の色分け図
②配筋施工図
③配筋検査の仕組み
④スペーサー一覧表

などの鉄筋工事の基本的事項やルールの導入教育を実施して、目線合わせをすることは大いに役立つ。
鉄筋工によっては、経験者の慣れや若手作業員の知識不足などがミスにつながる。
したがって、新規入場者教育でヒューマンエラーの予知能力を再教育することは
大きな効果が期待できる。
次に重要なのは材料の受入れ検査である。
多くの建設現場ではこの材料の受け入れ検査を実施せず、下請け任せにしている傾向が強い。
しかし、市街地での建設工事の多くは、郊外の加工センターで鉄筋の切断加工をすることが多いが、その加工場でミスが起きる可能性が高い。
加工場では、材料がほかの作業所のものと混ざったり、鋼種をとり違えたりすることがある。
その間違いを発見できる最初の検査が、現場での受入れ検査なのである。
加工場が作成した加工明細書と入荷材料が、現場で作成した鋼材の色分け図と
同じであるかどうかを、現場での材料の受け入れ検査で必ず確認するようにしたい。
この検査を省いては現場搬入までに起きるミスは防げない。

差し筋施工図の必要性

配筋のミスは、チェックリストを使用した配筋検査で防ぐのが一般的である。
そのチェックは、以下に示すように
現場では配筋検査は何度も行われている。

①職長による検査
②現場監督による検査
③本社の品質管理部門による指定検査
④設計者や建築主の監理部門による検査
⑤建築主の代行者による指定検査

など
しかし、これらの何重もの検査があっても、なおそれらをすり抜けて発生するミスがある。
その中でもっとも多いのが差し筋である。それを防ぐために有効なのは、差し筋施工図の作成とそれを利用した管理と検査である。

現場施工管理者による差し筋施工図の作成は多くの効果があるので、実践していきたい。
①設計図齟齬の発見
②後打ち躯体の確認
③スラブ段差と勾配の確認
④差し筋材料の手配
⑤差し筋作業時間の確保
など

配筋施工図のミス防止と構造アンカーの開発と設計図への記載

鉄筋専門業者で作成される配筋施工図は、きわめて大切になってきているが、また、今まで建築現場で便利に採用されていた機械式構造アンカーの使用が難しくなってきている。

今後は設計変更に対する策として、機械式構造アンカー工法を設計図に記載しておくべきである。

機械式鉄筋定着工法は、鉄筋が密集した部分には有効であるが、構造認定取得のものとなるので、認定番号を確認することは極めて重要である。