2-3.環境保全
1)公衆災害防止対策
建築工事において、近隣への騒音・振動、沿道障害などを防止して、公衆災害を防止することが求められている。
このため、事前調査において各工程ごとに使用する機械・工法などを考慮し、発生する公衆災害を予測して、これを防止する対策を確立し、こうした住民からの苦情を処理するシステムを現場管理に位置付け、対応する人も定めておくことが必要である。
◆ 騒音・振動を提言する具体的な処置
①低騒音・低振動の機械を選定し、低騒音、低振動の工法を採用する。
②防音壁・防音シート、防振溝を設置し、騒音、振動を低減する。
③コンプレッサなどの騒音の原因となる発生源は、住宅より遠い位置に配置する。
◆ 第三者災害を防止する具体的な処置
①資材の飛来を防止するため、防護柵を設置し、防護シートを張る。
②揚重機などの転倒を防止するため、敷鋼板、アウトリガー張出しを行う。
③地盤沈下防止のため、根入れを十分にした土留めを設置し計測管理する。
◆ 沿道障害防止の具体的な処置
①歩行者と一般車両をの接触事故を防止するため、工事場所に警告灯,ミラー,ブザーなどを設置し、誘導員を配置する。
②現場から泥を道路に出さないため、現場敷地内でタイヤ清掃する。
③現場内に粉じん発生しないよう、適宜散水する。
2)建設副産物の処理
※地球温暖化問題及び再資源化や持続可能社会に対する策は、試験対策として認識して対処する。
建設副産物には、資源を有効ん利用すべき指定副産物と、処分場で処分すべき産業副産物とに分類し、さらに、副産物の種類ごとに分別収集して、必要により所定の中間処理をして、再資源化等をしなければならない。
その分類は次のようである。
建設副産物
・指定副産物
①土砂
②コンクリートの塊
③アスファルト・コンクリートの塊
④木材(廃木材を除く)
・産業廃棄物
特定建設資材(中間処理再資源化)
①コンクリート
②アスファルトコンクリート
③コンクリートと鉄からなる建設資材
④木材
埋立処分
①安定型最終処分場
②管理型最終処分場
③遮断型最終処分場
・特別管理産業廃棄物 ー 処理埋立
一般に、指定副産物の有効利用については、「資源の有効な利用の促進に関する法律」で、その利用方法およびその規模が定められている。
また、産業廃棄物については、産業廃棄物の燃焼に伴う大気汚染(ダイオキシン)を防止し、建設工事の発生汚泥による水質汚濁を防止するとともに、産業廃棄物を分別収集して適正に処分するため「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」
(廃棄処理法)でその処理方法が定められている。
また、一定規模以上の解体工事等は対象建建設工事に指定されていて、対象建設工事から排出する産業廃棄物は中間処理して再資源化することが建設リサイクル法に定められている。
◆ 建設発生土(土砂)の取扱い上の留意点
①建設発生土の現場内利用の計画を立案する。
②建設発生土の粒径に応じて4種類に分別する。
③建設発生土の種類、量、運搬時期を明確にし、関係現場などで相互利用する。
④粉じんを防止し、車速制限(現場内10km/h以下)、運搬時間などに配慮する。
⑤受入れ地の状況を確認して、第三者災害発生を未然に防止する。
◆ 指定副産物と有効な利用の具体例
①建設発生土は、工作物の埋戻し、宅地造成、水面埋立用土として利用する。
②コンクリートの塊は、粒径の区分に応じて構造物の裏込め、敷地内舗装用材料として利用する。
③アスファルト・コンクリートの塊は、構造物の裏込め、敷地内舗装用材料として利用する。
④木材は、チップをしたり紙の材料として利用する。
◆ 資源の有効な利用に関する計画作成と記録保存の義務
①元請負業者は、建設発生土1,000m3以上、砕石 500t以上、加熱アスファルト混合物200 t 以上の規模の建設資材を搬入する工事では再資源利用計画を作成し、実施状況を記録し工事完成後1年間保存する義務がある。
②元請業者は、建設発生土1,000m3以上、コンクリートの塊、アスファルト・コンクリートの塊、建設発生木材の合計200 t 以上を現場から排出する工事では、再資源利用促進計画を作成し、実施状況を記録し工事完成後1年間保存する義務がある。
◆ 再資源化すべき特定建設資材
①対象建設工事:
次表のような一定規模以上の解体工事は、発注者または自主施工者が工事の着工7日前までに都道府県知事に届け出る。
②再資源化すべき特定建設資材:
対象建設工事により産業廃棄物はすべて中間処理して次の4つの特定建設資材に分別する。
特定建設資材に分別できないものは産業廃棄物として埋立処分する。
特定建設資材
・コンクリート → 骨材
・アスファルトコンクリート → 舗装材
・コンクリートと鉄から成る建設資材 → くず鉄(有価物)、骨材
・木材 → チップ
◆ 産業廃棄物の委託処分に関する事業者の留意点
①建設副産物として排出される産業廃棄物は、事業者(工事請負者)が自己の責任において行うのが原則である。
②産業廃棄物の処分を委託するときは、都道府県知事の許可を受けた運搬業者、処分業者であることを確認する。
③事業者は、運搬業者に委託するときは、契約書に次の事項を記載する。
・廃棄物の種類および数量
・運搬の最終目的地の所在地
・処分または再利用の方法と施設の処理能力
④事業者は、運搬業者または処分業者に委託するときは、産業廃棄物の種類ごとに産業廃棄物管理票(マニフェスト)を契約書の内容を確認して交付する。
⑤運搬または処分を終了したとき、管理票交付者(排出事業者)に管理票を送付し、管理票交付者は記録を確認し5年間保存する。
⑥管理票交付者は、報告書を作成し年1回都道府県知事に提出する。
◆ 産業廃棄物の処分方法についての具体例
①安定型最終処分場:
廃プラスチック、ゴムくず、金属くず(鉄筋等)などが受入れられる。
②管理型最終処分場:
紙くず、木くず(廃木材)、繊維くず、
有害でない汚泥、廃せっこうボード
③遮断型最終処分場:
有害な燃がら、有害なばいじん、有害な物質を含む汚泥