1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 解答例④

施工経験記述 解答例④


出題例8

建築工事において、地球環境保全の観点から環境負荷を低減するために留意した事項2つあげ、それぞれのねらい具体的処置を記述せよ。


攻略のポイント

地球環境保全とは、次の項目を保全することである。

大気汚染防止法
産業廃棄物の焼却処理に伴うダイオキシンの発生を防止するため、高熱処理をする。

水質汚濁防止法
産業廃棄物のうち、人工泥水の処理として水槽により泥と水を分離して、水はpH調整して下水道に排水し、泥は焼却して水分を減少させ、建設副産物として埋立用土砂として用いる。

地球温暖化防止と熱帯雨林減少の軽減
合板型枠を、床版型枠デッキプレートに変えることで、産業廃棄物を少なくし、合板から排出する二酸化炭素を減少させ、熱帯雨林の減少を軽減する。

自然破壊の防止
資源を有効に利用するため、再生資源や指定副産物を積極的に利用し現場から産業廃棄物をできるだけ少なくする。

解答例

①水質汚染防止

[ ねらい ]
水質の中性化

[ 具体的処置 ]
ベントナイト溶液の泥を沈殿させ、pH調整して中性としたのち下水道に放流する。

②地球温暖化防止
[ ねらい ]
二酸化炭素の軽減

[ 具体的処置 ]
合板型枠の使用を少なくし、焼却による二酸化炭素の軽減をする。

出題例9

あなたが現場で実施した、重点的な品質管理活動の事を3つあげ、それぞれ次の①から③について記述せよ。
ただし、3つの事例は、それぞれ異なる内容の記述とする。

①発注者側の要望
あなたの立場で理解した発注者側の要望を簡潔に記述しなさい。なお、発注者側の要望には、設計者、監理者、元請、営業、上司等から聞いたことや、設計図書等から読み取った内容も含むものとする。

②重点的な品質管理活動
①の発注者側の要望に応えるため、
あなたが現場で重点的に実施した
品質管理活動の内容を具体的に記述せよ。
なお、品質管理活動内容には、
部位、作業内容等を含む記述とする。
③理由や経緯
②の重点的な品質管理活動を
①の発注者側の要望に応えるものと
考えた理由結びつけた経緯
を具体的に記述せよ。

攻略のポイント
品質管理活動の事例をあげるとき、「鉄筋コンクリート工事」のような大項目を取り上げるのでなく、「コンクリートのひび割れ防止」、「鉄筋の組立精度」、「コンクリートの打込み管理」、「コンクリートの養生管理」、「タイルの浮き防止」等のように具体的な数値を用いられる作業内容を選定するようにする。
特に品質管理ではデミングサークルの
計画 → 実施 → 検討 → 処置
の手順を念頭において記述すると理論的に整理がし易い。
このことが出題の②に部位作業内容を示すように指定されているからことからもわかる。
実際には、下請負人の立場の場合が多く、発注者の考えを直接的に聞くことは考えにくいので、こうした問題は「設計図書」に示された基準が発注者が意思の集約と考えて回答する。すなわち、一般的な品質管理上必要な措置を具体的に記述すれば十分である。
また、③の理由については、品質管理活動により、より良い品質が得られると考えて行うものである。
解答例
コンクリートのひび割れ防止

①外壁のひび割れ防止をするため、特にコンクリート施工に注意するよう設計図書に特記されていた。
②スランプ値、空気量は試験により確認し、打込み高さを1.5m以下とするため型枠に窓をつくり、じゃんかのできないよう十分に締め固めた。
③外壁部のひび割れの原因は、主に材料分離の影響と考え、ワーカブルなコンクリートを材料分離しないように打込み高さを制限した。




出題例10

建設副産物を適正に処理する観点から、建設発生土の扱いについて、留意すべき項目箇条書き5つ記述せよ。

攻略のポイント
建設発生土は、建設工事に伴って発生する土砂のことで、搬出する建設発生土が1,000m3以上となるときは、請負(元請)業者は再生資源利用促進計画を立案し、その促進利用の実況を記録し1年間保存しなければならない。
(資源の有効な利用の促進に関する法律18条)
こうした建設発生土が直ちに再利用されることが少ないので、適正に分別して、保管しなければならない。こうした保管施設、運搬路、第三者の災害防止の観点から留意点を記述する。
解答例

建設発生土の取扱い留意点
①建設発生土(搬出土)量を最小量とする計画とする。
②建設発生土が他の現場で再利用できるよう土を分別して保管する。
③建設発生土が降雨で泥流化しないように対策をする。
④保管土の管理のため排水溝や安全な土留めを行う。
⑤運搬にあたり公衆の災害防止を行う。