1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 解答例①

施工経験記述 解答例①


出題例1

省力化や工期短縮を図るため、施工方法の変更や使用材料の変更による施工の合理化について、あなたが現場で行った事例を3つあげ、それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。

ただし、3つの事例において、②の実施した具体的内容は、それぞれ異なる記述とする。

①工事名、部位名等
②実施した具体的内容
③省力化や工期短縮をなる理由


【 攻略のポイント 】

施工管理技士は、工期確保、品質確保、安全確保、原価確保をする仕事であるから、あらゆる行動が「合理化」につながっているといえる。逆にいえば、考え方を広げれば「施工をうまくやるには」というように考えれば、何を書いても日本語の文章であれば合格点はとれる。

したがって、書くときにはその目的を明確にすることが大切である。工期短縮、品質の向上、安全確保、原価の低減のいずれか1つに絞って書くことである。たてえば、タイル工事で湿式に比較して乾式は「工期の短縮」、「品質の向上」の両方が合理化できるが、記述するときはそのうち主な1点に絞ることが大切である。

【 解答例 】

事例1
①外壁石張り工事
②湿式石張り工事を乾式石張り工事に切替えて施工した。
③躯体工事の遅れで、外壁石張り工事の工期を短縮するため。← 具体的に示す
事例2
①揚重工事
②2台配置の揚荷装置を1台の大型揚重装置に変更した。
③単位時間当たりの揚荷量を増大するため。← 具体的に示す

出題例2

あなたの今日までの工事経験の内容にかかわらず、考えられる施工の合理化について、次の①と②について具体的に記述せよ。

①施工の合理化の具体的内容
②施工の合理化となる理由


【 攻略のポイント 】

建築工事合理化の方策を示すもので、一般に「工期の短縮」、「原価の低減」、「品質の保証」の3つが、建築業界の現代の課題である。

したがって、考える視点を俯瞰地点から客観的にみることが要求されている。最近は、環境保全など社会とのかかわりについての記述が増加している。

建築工事は社会の要求に応じるものでなければならない。監理技術者には、そうした立場での見方が求められている。ここでは。「合理化」の推進を取り上げて記述したが、あくまで自分の体験を示すことが大切で、第三者的な論文であってはならない。

【 解答例 】

①合理化の具体的内容
人件費の高騰や安全性を確保し、かつ生産性を向上させるため、プレハブ化、機械化を推進している。

②施工の合理化となる理由
プレハブ化して吊り込みなどの機械を用いて組み立てることで品質の安定、工程の短縮などの効果があるから。

出題例3

市街地における一般的な事務所ビルの建築において、着工時に仮設電気設備の計画を立てるにあたり、検討すべき主要な事項を3つ具体的に説明せよ。
ただし、申請手続き、届出、費用に関する事項は除く。


【 攻略のポイント 】

仮設電気設備の基本的な考え方は必要にして最小限の大きさとし、工程全体から工程ごとに安全性を考慮して計画する。このうち申請手続き、届出、費用に関する事項を除くと、次のような点を考慮する。

①契約電力量の工程別の規模の検討
②試運転調整用電力・本設電力の切替えの時期の検討
③電力引込み位置と受配電設備の配置の検討
④漏電、電撃防止など電気危険防止の検討
↑ 仮設備では安全は常に考える。


【 解答例 】

①各工程ごとの電気使用用具、動力設備、溶接設備等を考慮し適正な稼働率を乗じて、受電容量を計画する。

②受電設備、配電設備の設置位置は全工程を通じて移設せず配電できる最適なものとして計画する。

③労働者の電気による災害を防止するため、必要により、溶接用電撃男節装置、高圧活線近接作業危険防止等の計画をする。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 解答例②

施工経験記述 解答例②


出題例4

建築工事において、下記の①~⑤のうち2つを選び、工程を順調に進めるために行った処置又は対策と、それを行った理由を、それぞれ具体的に2つずつ記述せよ。(選択した番号を所定の欄に記入すること)

①足 場

②作業環境

③搬出入

④揚 重

⑤仮設建物


【 攻略のポイント 】

仮設備の計画を、「工程」の観点から見直して工程を円滑に進捗させる仮設備とは、次のような点に留意する。

①仮設備は作業の動線を考慮して計画されているか。

②仮設備は労働者の作業を容易にするため、高さ、幅、照明などを考慮した作業性に支障のない計画となっているか。

③労働者が安心して施工できる構造・規格を有する仮設備となっているか。

④第三者、労働者への災害を防止し、工程を順調に進める仮設備となっているか。

【 解答例 】
①足 場

[ 対処又は対策 ]
移動電線を足場に配線し、ガード付電灯を設置した。

[ 理由 ]
①作業時に必要な照度を確保し、作業効率を向上するため。

②照度の必要な箇所に移動させることで作業性を確保するため。

②作業環境

[ 対処又は対策 ]
仮囲い、防振溝、遮音シートを設置した。

[ 理由 ]
①仮囲いで、現場内立入禁止措置を行い、作業を安全に行うため。

②騒音・振動を低減し、現場環境を保全し円滑に作業を進めるため。

③搬出入

[ 対処又は対策 ]
搬出入口に扉を設け2名の誘導員を設置した。

[ 理由 ]
①交通量を円滑にし、搬出入を容易にし作業量を確保するため。

②歩行者との接触事故を防止し、搬出入を工程通りに行うため。

④揚 重

[ 対処又は対策 ]
動線を考慮して配置を定め、作業能力に余裕のあるものを選定した。

[ 理 由 ]
①動線を考慮して揚重機を配置し、効率的に所定重量を揚重するため。

②揚重運転、玉掛業務を円滑に進捗させるため。

⑤仮設建物

[ 対処又は対策 ]
作業が把握しやすい位置に現場事務所を配置した。

[ 理 由 ]
①動線上の作業を確認し工程との差異を確認するため。

②現場事務所と作業場の連絡を密にし、指示を的確に出すため。

出題例5

建築の仮設工事において、下記の仮設物が設置後に、倒壊、崩壊、転倒することを防止するため、その組立て時に何をどう確認するか、それぞれ2つ具体的に記述せよ。ただし、確認する内容は、それぞれ異なる記述とする。なお、使用資機材に不良品はないものとし、施工計画に誤りはないものとする。

①鋼板製仮囲い(高さ 3mとする)

②乗入れ構台

③傾斜ジブ式クライミングクレーン
(呼称クレーン能力 15 t・mとする)


【 攻略のポイント 】

仮設物の倒壊や崩壊を防止するには、全体を見渡して3つの側面で考える。

①材料・品質の確保と堅固な構造の確保

②組立時の措置

③作業前の点検と補修

(1)仮囲い(高さ3mの鋼板製)
仮囲いは、風に対する耐力で求められる。

①単菅支持柱の根入れを十分深く入れる。

②単菅支持柱を控杭(やらず)とは専用金具で緊結する。

③上下の水平材の単菅は平行となるように単菅支柱と緊結する。

④鋼板は必要量を重ねて単菅に緊結する。等の処置をする。

建築基準法施工令第136条の2の20(仮囲い)には、
高さ1.8m以上の板塀等を用い危害防止するとある。


(2)傾斜ジブ式クライミングクレーン(呼称クレーン能力 15 t・mとする)

①ベース金具上のアンカーボルトが基礎に固定されているか確認する。

②クライミングポスト(柱)の継目の高力ボルトの締付けは十分か確認する。

③クレーンのリミッターが正常に稼動するか点検する。

④吊上げワイヤーの傷み、長さ巻き取り等を確認する。

【 解答例 】
1.鋼板製仮囲い(高さ3m)

①単菅支柱とする鋼管は、風荷重に十分に抵抗できる長さと間隔となるように設置する。

②単菅支柱を支える控杭(やらず)は、十分な根入れとして、控杭の根元には根かせ(控え)で固定する。

2.乗入れ構台

①著しいねじれ、たわみのない部材を組立、細大積載荷重を厳守する。

②組立時には組立図により定められた部材を所定位置に配置する。

3.傾斜ジブ式クライミングクレーン

①アンカーボルトがベース金具を通じて基礎にしっかりと固定されているか確認する。

②クレーンのリミッター(制限装置)が正常に作動するか確認しておく。

出題例6

建築工事において、竣工後又は工事の終了後に発生する恐れのある欠陥(不具合)をなくすため、特に留意した事項2つについて、発生する恐れのある欠陥(不具合)の部位とその状態、及びそれを防止するために行った具体的な処置又は対策を2つ記述せよ。


【 攻略のポイント 】

かしとは工事完了後に発生する欠陥で、かしの発生が生じないように品質を管理しても生じる可能性があり、木造で1年間、木造以外の構造で2年間の間に生じるかしは、請負業者がこれを担保(補修と賠償)しなければならない。と公共工事標準請負契約約款第44条(かし担保)の定められている。
建築工事におけるかしの発生は、各工程ごとに生じる原因があり、それらの部位の状態と、そのかしを防止する施工管理を行う必要がある。

(1)基礎工事のかし
①土工事では、地盤の圧密の発生や締固め不足による地盤沈下の発生

②土留め工事では、土留め材料の撤去の埋戻しの処理の不備による地盤の亀裂の発生

③杭打ち工事では、杭の支持層への貫入不足による構造物の不同沈下の発生

(2)躯体工事のかし
①アルカリ骨材などによる
材料の不適合による部材のひび割れの発生

②コンクリートの施工の不備による漏水の発生

③鉄筋の配置の不備による
構造耐力低下に伴う、たわみ量の増大

④鉄骨とアンカーとの接合不良、部材接合の不完全
に伴う振動の発生やたわみ量の増大

(3)仕上げ工事のかし
①防水工事の不備による漏水

②タイル接着の不備によるはがれ

③床面の仕上げ不良による床面傾斜

以上のように施工の品質管理が不十分な箇所に、かしはどこにでも生じるおそれがある。

ここでは、躯体と仕上げについて2つを取り上げる。
【 解答例 】

[ 部位 ]コンクリート壁面

[ 状態 ]亀甲状の無数のひび割れ

[ 具体的な処置及び対策 ]
アルカリ骨材反応を抑制する混合セメントを使用する。

【 解答例 】

[ 部位 ]天井

[ 状態 ]天井からの水滴の落下

[ 具体的な処置及び対策 ]
パラペット立上りを十分に防水し、下地の安定を確認した防水を行う。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 解答例③

施工経験記述 解答例③


出題例7

次にあげる6種類の労働災害の中から1つを選び、それを防止するための具体的な処置又は対策4つ記述せよ。
ただし作業員が着用する防護具に関する記述は除くものとする。

墜落による災害  飛来、落下による災害
建設機械などによる災害  倒壊による災害
土砂崩壊などによる災害  電気による災害

【 攻略のポイント 】
労働災害の防止をするための具体的な処置または対策は、基本的には労働安全衛生規則(以下、労安衛則)に基づく内容を記述することになる。

(1)墜落による災害防止(労安衛則518条~530条)の要点

①高さ2m以上の箇所での作業には作業床を設置する。(同518条)

②高さ2m以上の箇所では、悪天候時の作業の中止する。(同522条)

③作業床の照度の確保。(同523条)

④高さ、深さが1.5m以上を超える作業を行うときは安全に昇降するため設備を設置する。(同526条)

⑤ストレートなどの屋根上の危険作業では、踏み抜き防止のため、幅30㎝以上の歩み板を用い防網を張る。(同524条)

(2)飛来、落下による災害防止(労安衛則534条~538条)の要点

①地山の崩壊、落石防止をするため、掘削地山のこう配を安全なものとする。(同534条)

②高所からの物体投下による危険防止のため、高さ3m以上から物体を投下するときは、適当な投下設備を設け監視人を置く。(同536条)

③物体の落下により労働者に危険を及ぼときは、立入禁止区域を設定する。(同537条)

④地山の落盤などによる危険防止には、支保工を設け、浮石を除去すること。(同535条)

(3)建設機械などによる災害防止(労安衛則152条~236条)の要点

建設機械の災害防止は、各建設機械ごとに防止規則があるため莫大な量となっているが、建築工事に用いる主なものを次にあげる。

①労働者と建設機械の接触を防止するため、誘導者を配置する。(同158条)

②建設機械の転倒、破壊を防止するため、安定度、最大使用荷重の制限を厳守する。(同163条)
③作業開始前、月1回および、年1回の定期自主検査を行い、建設機械の安全性を確認する。(同167条、168条、170条)

④杭打ち機のワイヤーでの安全性を確認して作業を行う。(同174条)

⑤杭打ち機の組立解体、建設機械のアタッチメントの取替え作業は、作業指揮者を選任して、その者の直接指揮により行わせる。(同165条、190条)

(4)倒壊による災害防止
倒壊による災害防止という、労働安全衛生法に表記されていないが、倒壊に関する用語は、杭打ち機、型枠支保工、足場、作業構台(乗入れ構台)などにみられる。

①杭打ち機の倒壊を防止するため、脚部又は架台の沈下を防止のため敷板、敷角
を用い、くさびなどで固定する。(同173条)

②型枠支保工について、支柱の沈下を防止するため敷角を使用し、鋼管にあっては高さ2m以内ごとに2方向に水平つなぎを設ける。(同242条)

③鋼管足場の足場の脚部には敷角、敷板等を用い、ベース金具で固定し、根がらみを設け、筋かいで補強し、所定の間隔以下に壁つなぎを設ける。(同570条)

④作業構台の支柱は、その滑動または沈下を防止するため十分に根入れし、支柱脚部に敷板、敷角を使用し、筋かいを設け、接合部は緊結金具などで固定する。(同575条の6)

(5)電気による災害

①工作物の建設、解体、塗装、杭打ち作業などにおいて、労働者が作業中感電の危険があるときは当該充電路を移設するか、充電路に絶縁防護具を装着する。(同349条)

②手持型電灯は仮設の配線または移動電線に接続する金口に接することがないよう、ガードを取り付けなければならない。(同330条)

③高さ2m以上で鉄骨などで交流アーク溶接を行うときは、交流アーク溶接機用自動電撃防止装置を使用する。(同332条)

④対地電圧が150Vを超える、移動式または可搬式の電動機を有する機械には、感電防止用漏電遮断装置を使用する。(同333条)

⑤仮設の配線または移動電線を通路面において使用してはならない。(同338条)

以上のうちどれか1つ選び解答する。
とりわけ、労働災害の多い作業は、今後も出題されるので必ずまとめておくことが大切である。

解答例
墜落による災害

①高さ2m以上の箇所での作業では、作業床を設置する。

②悪天候のときには、高さ2m以上の箇所での作業は中止する。

③深さ、高さが1.5mを超える箇所で作業を行うとき、安全に昇降できる設備を設ける。

④スレートなどの屋根で作業をするときは、あゆみ板を設け防網を張る。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 解答例④

施工経験記述 解答例④


出題例8

建築工事において、地球環境保全の観点から環境負荷を低減するために留意した事項2つあげ、それぞれのねらい具体的処置を記述せよ。


攻略のポイント

地球環境保全とは、次の項目を保全することである。

大気汚染防止法
産業廃棄物の焼却処理に伴うダイオキシンの発生を防止するため、高熱処理をする。

水質汚濁防止法
産業廃棄物のうち、人工泥水の処理として水槽により泥と水を分離して、水はpH調整して下水道に排水し、泥は焼却して水分を減少させ、建設副産物として埋立用土砂として用いる。

地球温暖化防止と熱帯雨林減少の軽減
合板型枠を、床版型枠デッキプレートに変えることで、産業廃棄物を少なくし、合板から排出する二酸化炭素を減少させ、熱帯雨林の減少を軽減する。

自然破壊の防止
資源を有効に利用するため、再生資源や指定副産物を積極的に利用し現場から産業廃棄物をできるだけ少なくする。

解答例

①水質汚染防止

[ ねらい ]
水質の中性化

[ 具体的処置 ]
ベントナイト溶液の泥を沈殿させ、pH調整して中性としたのち下水道に放流する。

②地球温暖化防止
[ ねらい ]
二酸化炭素の軽減

[ 具体的処置 ]
合板型枠の使用を少なくし、焼却による二酸化炭素の軽減をする。

出題例9

あなたが現場で実施した、重点的な品質管理活動の事を3つあげ、それぞれ次の①から③について記述せよ。
ただし、3つの事例は、それぞれ異なる内容の記述とする。

①発注者側の要望
あなたの立場で理解した発注者側の要望を簡潔に記述しなさい。なお、発注者側の要望には、設計者、監理者、元請、営業、上司等から聞いたことや、設計図書等から読み取った内容も含むものとする。

②重点的な品質管理活動
①の発注者側の要望に応えるため、
あなたが現場で重点的に実施した
品質管理活動の内容を具体的に記述せよ。
なお、品質管理活動内容には、
部位、作業内容等を含む記述とする。
③理由や経緯
②の重点的な品質管理活動を
①の発注者側の要望に応えるものと
考えた理由結びつけた経緯
を具体的に記述せよ。

攻略のポイント
品質管理活動の事例をあげるとき、「鉄筋コンクリート工事」のような大項目を取り上げるのでなく、「コンクリートのひび割れ防止」、「鉄筋の組立精度」、「コンクリートの打込み管理」、「コンクリートの養生管理」、「タイルの浮き防止」等のように具体的な数値を用いられる作業内容を選定するようにする。
特に品質管理ではデミングサークルの
計画 → 実施 → 検討 → 処置
の手順を念頭において記述すると理論的に整理がし易い。
このことが出題の②に部位作業内容を示すように指定されているからことからもわかる。
実際には、下請負人の立場の場合が多く、発注者の考えを直接的に聞くことは考えにくいので、こうした問題は「設計図書」に示された基準が発注者が意思の集約と考えて回答する。すなわち、一般的な品質管理上必要な措置を具体的に記述すれば十分である。
また、③の理由については、品質管理活動により、より良い品質が得られると考えて行うものである。
解答例
コンクリートのひび割れ防止

①外壁のひび割れ防止をするため、特にコンクリート施工に注意するよう設計図書に特記されていた。
②スランプ値、空気量は試験により確認し、打込み高さを1.5m以下とするため型枠に窓をつくり、じゃんかのできないよう十分に締め固めた。
③外壁部のひび割れの原因は、主に材料分離の影響と考え、ワーカブルなコンクリートを材料分離しないように打込み高さを制限した。




出題例10

建設副産物を適正に処理する観点から、建設発生土の扱いについて、留意すべき項目箇条書き5つ記述せよ。

攻略のポイント
建設発生土は、建設工事に伴って発生する土砂のことで、搬出する建設発生土が1,000m3以上となるときは、請負(元請)業者は再生資源利用促進計画を立案し、その促進利用の実況を記録し1年間保存しなければならない。
(資源の有効な利用の促進に関する法律18条)
こうした建設発生土が直ちに再利用されることが少ないので、適正に分別して、保管しなければならない。こうした保管施設、運搬路、第三者の災害防止の観点から留意点を記述する。
解答例

建設発生土の取扱い留意点
①建設発生土(搬出土)量を最小量とする計画とする。
②建設発生土が他の現場で再利用できるよう土を分別して保管する。
③建設発生土が降雨で泥流化しないように対策をする。
④保管土の管理のため排水溝や安全な土留めを行う。
⑤運搬にあたり公衆の災害防止を行う。



1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 環境管理【傾向分析】①

近年の経験記述の予想のひとつである「環境管理」に関する記述について

チェックポイント1
建設副産物対策
①「発生抑制」
②「再使用」
③「再生利用」
④「熱回収」
⑤「適正処分」
について理解する。

チェックポイント2
地球環境負荷低減の取組みについて、
3つ記述できるようにする

環境管理の出題としては建設現場で行うべきものとして、「建設副産物対策」と「地球環境負荷低減の取組み」に関する出題が多く、この2つについて自分の経験に基づいて記述できるようになっておく必要があります。

「建設副産物対策」の記述上のポイント
循環型社会形成推進基本法では、建設副産物対策の優先順位を下記の5段階としています。

①リデュース:発生抑制
ごみを出さない、または発生量を抑制すること。

②リユース:再使用
使用後多少の手入れを行って、再び使用すること。

③リサイクル:再生利用
金属くずを溶かして再製品化するなど、
一度形を変えて再生すること。

④サーマルリサイクル:熱回収
熱エネルギーを回収し、
発電や冷暖房に利用すること。

⑤適正処分
不法投棄などをさせず、
法律で定められた処理場で適正に処分すること。

【 過去の出題の特徴 】

対策が指定される場合、5つの対策が例示され、その中から選択する場合、
例示がなく自分で考えて記述する場合があります。

その対策をあげた上で、「扱った資材名又は建設副産物」、「留意した事項または実施した内容」、「結果とあなたの評価」などの記述が求められます。
(H17,H21,H24,H27)

「建設副産物対策」で要求される記述

試験対策としては、
・「取り組んだ対策」
・「扱った資材名または建設副産物」
・「実施した内容」
・「結果とあなたの評価」
の4点について、
2例ほどずつまとめておく必要があります。

 

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 環境管理 【傾向分析】②(記述例)

「建設副産物対策」の記述例を下記に示すので、
参考にして自分なりの解答をまとめて準備しておく。
①「発生抑制」
②「再使用」
③「再生利用」
④「熱回収」
⑤「適正処分」
それぞれについて、
「資材名等」「実施した内容」「結果とあなたの評価」
をまとめる。

①「発生抑制
[ 資材名等 ]◆型枠廃材

[ 実施した内容 ]
スラブの型枠として、合板型枠工法に代えてデッキプレート型枠工法を採用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
型枠廃材の発生を抑制できたとともに、解体作業もなく、工期短縮にも有効であった。

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[ 資材名等 ]◆木くず

[ 実施した内容 ]
・現場製作の建具枠及び額縁を、工場生産品に変更した。
・木造和室の造作材について、
現場加工材からプレカット材に変更した。

[ 結果とあなたの評価 ]
現場からの木くず等の発生を抑制できたとともに、工期が1フロアあたり、5日間短縮できた。

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[ 資材名等 ]◆石こうボード端材

[ 実施した内容 ]
壁の石こうボードを使用場所の天井高さ 2,350mmに合わせて、プレカットして現場に搬入した。

[ 結果とあなたの評価 ]
石こうボード端材の発生が抑制できたととに、現場作業の軽減により工期短縮にも有効であった。

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[ 資材名等 ]◆軽量鉄骨及び石こうボードの端材

[ 実施した内容 ]
在来工法の天井を、システム天井に変更した。

[ 結果とあなたの評価 ]
軽量鉄骨や石こうボードの端材の発生がなくせ、現場加工の軽減により工期短縮にも有効であった。

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②「再使用
[ 資材名等 ]◆建設発生土

[ 実施した内容 ]
根切り工事で発生した良質な建設発生土については、社内で情報を共有し、他現場において埋戻し土として再使用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
建設副産物を有効に再使用できたとともに、処分費用を大幅に縮減することができた。

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[ 資材名等 ]◆タイルカーペット

[ 実施した内容 ]
解体・撤去時に発生したタイルカーペットを新設の石張り床の養生材として再使用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
ごみとなるものを有効に再使用できたとともに、仕上げ材の傷を防ぐことができた。また、養生材のコスト削減にも有効であった。

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③「再生利用
[ 資材名等 ]◆コンクリートがら

[ 実施した内容 ]
・根切り時に出てきた既存基礎のコンクリートがらを、現場にてクラッシャー処理を行い仮設道路の路盤材として再利用した。

・場所打ちコンクリート杭の杭頭処理で発生したコンクリートがらを、現場にてクラッシャー処理を行い仮設道路の路盤材として再利用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
産業廃棄物となるコンクリートのがらを再利用できたとともに、仮設道路の材料費も縮減できた。

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[ 資材名等 ]◆石こうボード

[ 実施した内容 ]
専用のコンテナを設置することにより分別回収を行い、再生工場に引取りを依頼した。

[ 結果とあなたの評価 ]
再生工場にて再生することができたとともに、整然とした作業環境が構築され、作業能率も向上した。

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[ 資材名等 ]◆木材

[ 実施した内容 ]
・造作材のかんなくず・おがくず類は、リサイクル工場に引き取らせ、パーティクルボードの原料とした。

・解体工事で松杭が大量に発生したので、チップ化工場に引取りを依頼し、再生利用させた。

[ 結果とあなたの評価 ]
産業廃棄物の再生利用ができたとともに、処分にかかる費用も縮減できた。

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[ 資材名等 ]◆アスファルトコンクリートがら

[ 実施した内容 ]
駐車場の解体時に発生したアスファルト・コンクリートがらを、アスファルトプラントに持ち込み、再生アスファルトとして再生利用させた。

[ 結果とあなたの評価 ]
産業廃棄物を新設駐車場の舗装に再生利用でき、工事費を大幅に縮減することができた。

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[ 資材名等 ]◆木材、金属くず、石こうボードくず

[ 実施した内容 ]
木材、金属くず、石こうボードくずについては分別回収を行い、それぞれのリサイクル工場に持ち込んだ。

[ 結果とあなたの評価 ]
多くの資材を分別回収することにより再生利用に貢献でき、その結果、処理費用を大幅に削減できた。

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< 再生品の採用  >

[ 資材名等 ]◆再生砕石

[ 実施した内容 ]
・基礎や土間下の地業に再生砕石を使用した。
・場内仮設道路の舗装に再生砕石を使用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
再生品を使用することができたとともに、リサイクル活動に貢献でき、コスト縮減にも有効であった。

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④「熱回収

[ 資材名等 ]◆木材

[ 実施した内容 ]
腐食したり、釘の処理が多く、再生利用が困難な木材については、サーマルリサイクル工場に持ち込んだ。

[ 結果とあなたの評価 ]
本来、廃棄物である木材から熱回収ができたとともに、産業廃棄物も削減でき、処分費用を縮減することができた。

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[ 資材名等 ]◆塩化ビニル材

[ 実施した内容 ]
塩化ビニル廃材を分別回収し、熱処理工場へ持ち込んだ。

[ 結果とあなたの評価 ]
発生する熱エネルギーを回収でき、エネルギーの循環に貢献できた。建設副産物を有効活用するのは、事業者の責務であり、今後も取り組んでいきたい。

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⑤「適正処分

[ 資材名等 ]◆木くず、金属くず、石こうボードくず

[ 実施した内容 ]
・許可を得た収集運搬業者及び最終処分業者であることを、許可証により確認し、委託契約の上、委託した。

・最終処分場までのルートを確認するとともに、マニフェスト伝票にて最終処分場で処分されたことを確認した。

[ 結果とあなたの評価 ]
・不法投棄もなく、適正に処分することができた。不法投棄を防止することは、排出事業者の責務であり、しっかり管理していきたい。

・マニフェスト伝票の確認により、不法投棄のないことを確認できた。不法投棄を防止することは、排出事業者の責務であり、しっかり管理していきたい。

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[ 資材名等 ]◆廃アスベスト

[ 実施した内容 ]
特別管理産業廃棄物管理責任者を設置し、処理計画の立案から行政への報告等の排出、最終処分に至るまで全般に渡って管理させた。

[ 結果とあなたの評価 ]
管理責任者に全般に渡って管理させたことにより、スムーズに最終処分まで確実に管理することができた。排出事業者(元請業者)として、今後も処分責任が曖昧とならないような管理を行いたい。

以上、参考まで
自分が経験した建築工事に関して、
指導的立場に立った工事に対してまとめておく。
2項目程度の記述が求められるケースが多いので、
ケースに応じて、最低3項目程度はまとめておく。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 環境管理 【傾向分析】③

経験記述 環境管理【傾向分析】

2016年の大阪府豊能町にダイオキシン廃棄物が巷を騒がせていましたが、このダイオキシン廃棄物って何か?

説明できますでしょうか?詳しくは難しい問題ですが、「特別管理廃棄物」と言っておけば間違いはないでしょう。

詳しくは、
環境省 特別管理廃棄物とは
を参照のこと。

今回は、環境管理に関連する法体系について記述します
建設環境関係法体系
●環境基本法
●循環型社会形成推進基本法
(基本的枠組み法)
の下に、主に8つの法律があり、
建設副産物対策及び処理に関する3つの法律も
そこにふくまれています。
●廃棄物処理法・・・・ ①
●リサイクル法 ・・・・②
○容器放送リサイクル法
○家電リサイクル法
●建設リサイクル法・・・③
○食品リサイクル法
○自動車リサイクル法
○グリーン購入法

廃棄物処理法
廃棄物の処理及び清掃に関する法律」・同施行令

[ 目的 ]
この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ること
を目的とする。

[ 廃棄物の定義 ]

廃棄物
ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、
廃アルカリ、動物の死体、
その他の汚物または不要物であって、
固形状または液体状のもの。

一般廃棄物
産業廃棄物以外の廃棄物

特別管理一般廃棄物
一般廃棄物のうち、
爆発性、毒性、感染性その他の人の健康または
生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状
を有するものとして政令で定めるものをいう。

産業廃棄物
燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、
廃プラスチック類
その他政令で定める廃棄部をいう。
ここに、政令で定めるものとは、
紙くず、木くず、繊維くず、ゴムくず、金属くず、
ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず、
鉱さい、廃油、廃酸などをいう。

特別管理産業廃棄物
産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
ここで、政令で定めるものとは、廃酸、廃アルカリ、感染性産業廃棄物、特定有害産業廃棄物(廃PCB、廃石綿等)などをいう。

[ 産業廃棄物の排出業者の役割 ]
産業廃棄物の排出業者
(建設工事においては元請業者)は、その廃棄物を自ら適正に処理しなければならないとされているが、その処理を他人に委託することもできる。

委託にあたっては、次の基準によるものとする。

・廃棄物処理法による許可を得た収集運搬業者及び処分業者か、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集または運搬、処分を業として行う物等に委託する。

・委託契約は書面により行い、契約内容には次の事項を含むものとする。

・委託する産業廃棄物の種類及び数量

・運搬の最終目的地の所在地

・処分または再生の場所の所在地、その処分・再生の方法、及び処分・再生施設の処理能力

・その他環境省令で定める事項

[ 産業廃棄物管理票(マニフェスト伝票) ]

・排出事業者は、排出量にかかわらず廃棄物の種類ごと、運搬先ごとに産業廃棄物管理票(マニフェスト伝票)を処分業者に交付し、最終処分が完了したことを確認しなければならない。

産業廃棄物管理票は、次の内容が記載されたものとする。

・当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量
・運搬または処分を受託した者の氏名または名称
・その他環境省令で定める事項
・管理票交付者(排出事業者)は、運搬、処分受託者から返送された管理票の写しを5年間保存しなければならない。

同じく、それぞれの受託者も管理票の写しを5年間保存しなければならない。

・管理票交付者は、毎年、管理票の交付状況などに関する「産業廃棄物管理票交付等状況報告書」を作成し、産業廃棄物の排出事業場を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。

リサイクル法
資源の有効な利用の促進に関する法律」・同施行令

[ 目的 ]
この法律は、主要な資源の大部分を輸入に依存している我が国において、近年の国民経済の発展に伴い、資源が大量に使用されていることにより、使用済物品及び副産物が大量に発生し、その相当部分が破棄されており、かつ、再生資源及び再生部品の相当部分が利用されずに破棄されいている現状を鑑み、資源の有効な利用の確保を図るとともに、廃棄物の発生の抑制及び環境の保全に資するため、
使用済物品等及び副産物の発生の抑制ならびに再生資源及び再生部品の利用の促進に関する所要の措置を講ずることとし、もって国民健在の健全な発展に寄与することを目的とする。

[ 定義 ]
副産物
製品の製造、加工、修理若しくは販売、エネルギーの供給又は土木建築に関する工事(以下「建設工事」という。)に伴い副次的に得られた物品をいう。
(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)

副産物の発生抑制等
製品の製造又は加工に使用する原材料、部品その他の物品の使用の合理化により当該原材料等の使用に係る副産物の発生の抑制を行うこと及び当該原材料等の使用に係る副産物の全部又は一部を再生資源として利用することを促進することをいう。(エネルギーの使用の合理化等に関する法律に規定する燃料を除く。)

再生資源
使用済物品等又は副産物のうち有用なものであって、原材料として利用することができるもの又はその可能性のあるものをいう。

再生部品
使用済物品等のうち有用なものであって、部品その他製品の一部として利用することができるもの又はその可能性のあるものをいう

再資源化
使用済物品等のうち有用なものの全部又は一部を再生資源又は再生部品として利用することができる状態にすることをいう。

指定副産物
エネルギーの供給又は建設工事に係る副産物であって、その全部又は一部を再生資源として利用することを促進することが当該再生資源の有効な利用を図る上で特に必要なものとして政令で定める業種ごとに政令で定めるものをいう。

建設リサイクル法
建設工事に係る資源の再資源化等に関する法律

[ 目的 ]
この法律は、特定の建設資材について、その分別解体等及び再資源化等を促進するための措置を講ずるとともに、解体工事業者について登録制度を実施すること等により、再生資源の十分な利用及び廃棄物の通じて、資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

[ 定義 ]

・建設資材
土木建築に関する工事に使用する資材をいう。

・建設資材廃棄物
建設資材が廃棄物となったものをいう

・分別解体など
第一号 「解体工事」
建築物等に用いられた建設資材に係る建設資材廃棄物をその種類ごとに分別しつつ工事を計画的に施工する行為

第二号 「新築工事など」
順次的に生ずる建設資材廃棄物をその種類ごとに分別しつつ当該工事を施工する行為