実践20 解体工事3 改修工事

1級建築施工管理技士 実践 解体工事3 改修工事

環境問題に対する社会的関心が高まる中、廃棄物処理法や建設リサイクル法などの法の整備に伴い、建設業界では建設副産物の適正処理活動に20年以上前から積極的に取り組んできいる。

また、最終埋立処分場の残余年数も少なくなってきたこともあり、1990年代より廃棄物の再資源化を図るためのリサイクル中間処理施設などが建設され始めた。

このような背景から、2000年代に入ってからは各建設事業所も混合廃棄物を削減し、リサイクル率の向上活動に本格的に取り組む動きが活発化してきている。

2010年頃には、活発に取り組んでいる事業所ではリサイクル率も80%以上になり、資源循環型社会の構築に貢献し、成果を上げてきているようである。

建設現場の建設副産物減量化のポイント

建築施工管理者の役割の中に、建設副産物の減量化とリサイクルの推進、そして産業廃棄物の適正な処理をする役割がある。

処理計画は廃棄物処理計画書として文書化し、再生資源利用計画・促進計画については、計画書の作成をするとともに、工事完成後1年間の保存が義務付けられている。
建設副産物の減量化とは重量または容積を減らすことで、最初の計画が重要である。

目標とその達成のための手段を検討する必要がある。
脱水・乾燥・焼却などの中間処理はもちろんであるが、工事そのものにおいてごみを出さない計画的工事方法も考える必要がある。

そのためには徹底した計画により、プレファブ化、プレカット化の推進、梱包の削除、分別収集の徹底などが必要である。
1990年代はBCSの目標は延べ床面積当たり30kgであったが、2000年に入ると最先端の工事では延べ面積当たり10g程度まで低減してきている。

分別収集のルールづくり

1990年代から工事現場では建設副産物の分別が進んでいる。
それらは大きく分けて、

①コンクリートガラ
②プラスチック
③金属・ダンボール
④梱包材
⑤可燃物(木くず・紙くず)
⑥産業廃棄物
の6種類に分類される。

これらはリサイクル可能なものがほとんどであるが、分別できない混合廃棄物や産業廃棄物も更なる中間処理施設で最終的に再資源化や埋立ての分別ができるようになっている。

しかし、基本は施工計画を作成する際に廃棄物を出さない建築資材、工事方法を考えることが大切である。

リサイクルを進めるには、作業員も一体になった行動が欠かせない。

1°.3R活動の推進
最終的な建築副産物を削減するためには、廃棄物の発生抑制(Reduce)、再使用(Reuse)、再生利用(Recycle)、すなわち3R活動を積極的に進めることが必要である。

2°.発生抑制(Reduce)
発生抑制とは、事前の減量化計画により廃棄物として発生するものを極力減らすことである。
養生材の再利用、材料のプレカット化、建築材料、設備機器などの梱包材の削減、PCF型枠の採用による南洋材の削減、山留めソイルの発生汚泥削減などが挙げられる。
これらは早い段階から計画し、準備をする必要がある。

3°.再使用(Reuse)
再使用とは材料を繰返し転用して使ったり、ほかの材料として使用したりすることである。
例えば、タイルカーペットの余材を仮設事務所の床材として再利用したり、使用済の溶接用ワイヤリールを回収、メーカーに返却して再利用するなどが挙げられる。

4°.再生利用(Recycle)
建築副産物を破砕し加工して、製品の材料の一部として再び資源として使用すること。
廃材となった木くずや廃石膏ボードをリサイクル施設にて破砕し、パーティクルボードや石膏ボードに製品化して再び建築材料として使用する取組みなどがある。

なお、リサイクルを推進するためには作業所内で廃棄物を品目別に正しく分別することが重要である。
このためには、分別品目をわかりやすく掲示したコンテナを配置した廃棄物分別ヤードを作業所敷地内に設置し、分別のルールを関係者に周知して混合廃棄物を極力なくすように取り組む必要がある。
わかりやすい分別のルールや方法を決めて徹底させ、活動を活発化させることで、成果をさらに上げることができる。
掲示や表彰制度を活用している作業所もある。

建設現場のリサイクルの現状

1°.コンクリートのリサイクル
改修・解体工事から発生する大量のコンクリートガラは現場から専門業者に直送し、再生砕石として販売(有価売却)される。
公共工事の減少、東日本大震災の影響などにより、再生砕石の利用が低迷し、専門業者の在庫過多状態が続いている。
また、そのことによる専門業者の受入単価高騰および受入量調整により、改修解体コンクリートガラが行き場を失ってきている。

2°.骨材、ボード、木材、プラスチックリサイクル
骨材、木材に関してはマテリアルリサイクルが進み、特に木材に関しては建設リサイクル法の施行以前よりリサイクルの流れが確立されている。

3°.石膏ボード
新品の端材(新築系)は、現場分別による石膏ボードメーカーへの直送、または専門業者・総合中間処理業者を通した搬入によるリサイクルが確立されている。
(石膏ボードメーカー直送は新品端材のみ)
改修・解体石膏ボードに関しては、専門業者、総合中間処理業者において付着物・他品目混入および複合の状況により、リサイクルもしくは埋立ての処分が行われている。
改修・解体石膏ボードは他品目との混合排出のケースも多く、その状態からの選別 → リサイクルは困難で、埋立てに回る割合が高くなっている。

4°.廃プラスチック類の現状
建設工事発生の廃プラスチック類は、工事現場特有の土砂・油分の付着などリサイクルに適さない状態のものが多く、焼却処分や埋立処分とされる割合も高い。
また、現場分別においても、塩ビ系・非塩ビ系・PPなど種類も多岐に渡り混合状態となっているため、リサイクルが困難な状態にある。
その結果として、事業系に比べ建設系のリサイクル率は低くなっている。

5°.リサイクルの問題点
建設系廃棄物の特徴は、他品目との混合および複合品の排出があり、徹底した分別排出がなされないのが現状であり、リサイクル率を押し下げている原因となっている。
また、土砂・油分の付着混入もリサイクルを困難なものにしている。

6°.リサイクルの今後
建設廃棄物に関する排出事業者からの処分委託コストが、処理業者の適正処理コストを圧迫している。
こういう状況が続くことで不適正処理業者の台頭を招くのではないかと処理業界全体が危惧されている。

実践21 竣工検査

1級建築施工管理技士 実践21 竣工検査

竣工直前は、現場内は最も忙しい時期に入るが、それと同時に各種検査、およびその処置をしなければならないので、その段取りは早いめにする必要がある。

社内検査、監理者検査、建築主検査、(場合によっては第三者検査)および官庁の完了検査などである。
大規模建築物になると官庁関係の検査が多くなるが、これらはもともとは設計者が申請している場合が多いので、作業所側ではその全貌を把握しにくいことがある。
また、設計側においても、各種官庁との協議申請までアウトソーシングをしている場合は要注意である。設計担当者自身もあやふやである。

開発工事の完了検査

大規模建築物の場合、開発工事が関係する場合がほとんどであるが、基本的には開発工事が完了してからでないと(都計法29条)、工事の着手はできない。

開発工事の検査済証は着工段階で既に発行済みであるはずであるが、建築行為に関わる開発で都計法37条を適用している場合は、建築工事の完了検査前に、開発工事の完了検査を受ける必要がある。

官庁との協議により、前後できたとしても、開発工事の検済がないと、建築工事の検査済証は決済されることはない。
また、着工時に開発非該当の申請を行って、開発行為にあたらないとなっている場合も、その書類の添付が必要な場合がある。

消防検査

消防にかかわる、防火対象物としての検査は、主として、着工時に協議を行っている消防局が行うものであるが、大規模建築物の場合、消防本庁が行う部分があるので、注意を要する。

その判断は、設計者が着工時に作成している「防災計画書」の審査をしているところによる。
防災計画書作成の要否は高さや用途、規模によって決められており、提出する先も規模によって決まっている。
防災計画書の審査自体は消防とは違う場所で、「建築防災計画評定委員会」の専門員によって行われるが、その計画書の作成は消防局または消防庁と協議しながら作成する。

総務省令の規定等を採用している場合は、その部分を中心に検査される場合があるので注意を要する。

その他、各種検査

書類確認のみのものと、現場検査もあるものがある。
都計法、建築関係
大規模申請
傾斜地等
バリアフリー
省エネルギー
駐車場法
広告景観
宅地造成関係
自転車の附置義務
景観法関係
風致地区関連
など
環境政策関連
ゴミ協議
浄化槽
など
上下水道関係
など多岐にわたるので、早い段階で設計者と打ち合わせの上、役割を明確にしておく必要がある。

住宅性能評価

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)によって行われる共同住宅の性能評価は官庁関係の検査とはまったく別のものである。

「品確法」という法律に基づくものではあるが、民間の検査機関によるものである。建築確認を行政の代わりに民間が行ってるのとは意味が違う。住宅性能評価の検査がどうであっても、建築確認の済証が下りれば、建築物の利用は可能である。
住宅性能評価とは、設計性能評価と建設性能評価とがあり、着工時では、既に設計性能評価証が各住戸について発行されている。

合わせて、着工前に建設性能評価申請を行い、工事中のそれぞれの各特定工程で適合判定を受け、完了時の最終の検査で適合であれば、建設性能評価証が発行されることにいなる。

施工者としては、「設計性能評価証」で表記されている等級と同じ等級を「建設性能評価証」で取得する必要がある。

検査に適合しない場合、設計と建設とで等級の異なる等級になってしまい、建築主は、住宅ローンの利子の優遇や地震保険の割引が受けれない場合が発生するので注意が必要である。

その完了検査は書類審査も時間がかかるので、性能評価の指定機関と早い目に打ち合わせを行って、性能評価の完了検査にのぞみたい。

また、官庁の完了検査はその他の行政のすべての検査及び確認が済んでからでないと、確認済証は発行されないが、住宅性能評価の建設性能評価証は、逆に確認済証が発行されないと発行されない。建築基準法に適合していることが前提という意味である。

実践22 完成から引渡しまで

1級建築施工管理技士 実践22 完成から引渡しまで

建物が完成すると、工事監理者は工事請負契約書に定められた設計品質に合致していることを確認し、建築主に「工事監理報告書」並びに「監理業務完了届」を提出する。

各種の法定検査と検査済証を受理すると、施工者から建築主で建物が引き渡される。

【建物の完成から引渡しまでの流れ】
①施工者による完成検査(自主検査)

②工事監理者による完了検査
(建築主への工事監理報告書提出)

③建築主による完成検査並びに確認

④建築主により建築主事検査申請
(工事監理者作成の工事監理報告書添付)

⑤各種の法廷検査と検査済証の受理

⑥建物引き渡し並びに使用開始

施工者による完成検査(自主検査)

施工者は工事完成時に自主検査報告書と工事の施工記録をまとめた施工報告書を工事管理者の提出する。
施工計画書と施工報告書は対になるもので、施工報告書の作成並びに提出は施工者の重要な責務である。
これらの報告書は瑕疵が発生した時、あるいは改修などのメンテナンス時には、施工図とともに重要な資料となるので、建築主へ提出し、大切に保管かれるべきものである。

工事監理者によるの完了検査

工事監理者は、施工者から完成検査報告書(自主検査)と施工報告書の提出を受けた後、完成した建物が設計図書及び工事請負契約書の内容に適合してることを検査し確認する。
検査の内容は外観検査のほかに、各設備機器の試運転調整記録や測定データを確認するとともに、実際に運転を行い所定の性能や機能が発揮されていることを確認する。

建築主による完成検査並びに確認

工事監理者は工事監理報告書並びに工事業務完了届を建築主に提出し、建物が完成したことを報告するとともに、施工者とともに建築士の完成検査並びに確認を受ける。(建築士法第20条3項)

各種の法定検査と検査済証の受理

( 1 )建築主事検査
建築主は建物が完成したことを確認すると、建築主事に工事完了届を提出し、建築主事完了検査を受ける。
その時、工事監理者は完成建物が法令に適合していることを確認した工事監理報告書の提出が義務付けられている。
建築主事の確認並びに検査を受け検査済証が交付されると、建物の使用が可能となる。
建築主事の検査以外に、法に定められた検査は多くあり、所轄の関係官庁との検査スケジュールの調整は、竣工直前の工程に多大な影響及ぼすので重要である。

( 2 ) 建築設備に関する検査
建築設備に関する検査は、建築主事検査と消防検査が主なものである。
消防設備は、本検査の前に自主検査・測定を行い、所定の「消防設備試験結果報告書」と「消防用設備等設置届出書」を所轄の消防署に決められた期日までに提出する必要がある。

■建築設備の主事検査項目■
①防火区画 ②機械換気設備 ③機械排煙設備
④給排水設備 ⑤非常照明設備 ⑥避雷針設備
⑦輸送設備(昇降機等)⑧その他
■主要な消防設備の検査項目■
①消火器 ②屋内外消火栓 ③スプリンクラー
④自動火災報知 ⑤非常警報
⑥水噴霧・泡・不活性ガス・粉末等各種消火
⑦誘導灯 ⑧連結散水 ⑨連結送水⑩非常コンセント ⑪非常電源
⑫排煙 ⑬消防用水 ⑭避難器具
⑮危険物

その他に、受変電設備、上下水道、高圧ガス、通信設備の検査等、多岐にわたり試運転段階から始まるものもあるので、注意が必要である。

実践23 引渡しは維持管理の始まり

1級建築施工管理技士 実践23 引渡しは維持管理の始まり

施工者は設計図書に規定されている工事記録や竣工図書を提出し、法的に定期点検が必要な建築設備や建物の維持監理に関する取扱いの説明や鍵の引渡しを行い、建物は引き渡される。

建物の引渡し後に、漏水などのトラブルが発生した場合、図面や施工記録が残っていなければ、どのような施工がなされたのか、どこに不具合があったのかを不具合箇所を取り壊して調査しなければならない。
これらのことを防ぐために、工事監理者は施工者に建物カルテの作成と建築主への提出を指示する。

竣工図書は建物カルテの基礎データ

建物カルテとは建物情報と保全情報を一つのファイフに整理したもので、建物の維持保全の基になる重要書類である。
竣工図書等の建物情報が最終仕様に合致していること検証することは、工事監理者の重要な職務の一つである。

【建物カルテ】
建物情報:
・竣工図
・確認申請図(副本)
・施工図
・施工記録
・工事打合せ記録
・設備機器取扱説明書
・保証書
・工事関係者一覧表
・メーカーリスト 他
保全情報:
・保守管理契約一覧表
・改修履歴
・設備履歴 他

建築主はこれらの建物カルテを必要な時に、いつでも取り出せるように、管理責任者を決め、保管スペースを確保し管理することが大事である。

保守管理契約は引渡しまでに

引渡し後の保守管理に支障がないように、保守管理契約が必要なものは、建築主に早い時期に保守管理契約を済ませてもらうように提言する。
建物の引渡しの時点から建物の維持管理の責任が建築主へ受け継がれる。

実践24 維持保全の作法

1級建築施工管理技士 実践24 維持保全の作法

建物維持保全の目的は、建物(建築・設備)が備えている機能の維持並びに、ライフサイクル(建設から解体まで)での維持保全費用の最小化である。

工事監理者は、建物が完成した時に、施工者に書面で建物や設備機器の動作状況の確認や検査・診断を行うための調査計画書の作成を指示するとともに、建築主に提出する。

建物の瑕疵担保期間は、民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款では、木造は1年、鉄筋コンクリート造や鉄骨造は2年、設備機器については1年である。

保証期間内に、建築物や設備機器の作動状況に不具合がないか、建築主、設計者、工事監理者、施工者の関係者が立ち会い、建物瑕疵検査が行われる。

建築設備は、試運転調整が終わり、定常的な使用が行われていても、竣工後1年が経過して四季が一巡しないと、夏・冬のピーク負荷の確認や冷暖房の切替確認、結露の有無等、完成された設備機器類が設計図書に記載されている機能や性能を確保しているかどうかの確認ができないため、1年目の検査が重要である。
建物の劣化には、経年変化による物理的劣化を、設備システムやOA機器の性能が陳腐化し社会の要求についていけなくなる機能的劣化がある。

建物に使われている材料、部品、機器はそれぞれ稼働性状等、固有の特性を有しており、維持メンテナンスの方法によっては耐用年数も異なってくる。
建物を健全に維持・運営していくためには、定期的な建物診断を実施し、劣化状態に応じた計画的な修繕を実施することが建物を経済的に長持ちさせる秘訣である。

1級建築施工管理技士 実践ノウハウ㉔維持保全の作法

1級建築施工管理技士 実践ノウハウ㉔
維持保全の作法

建物維持保全の目的は、建物(建築・設備)が備えている機能の維持並びに、ライフサイクル(建設から解体まで)での維持保全費用の最小化である。
工事監理者は、建物が完成した時に、施工者に書面で建物や設備機器の動作状況の確認や検査・診断を行うための調査計画書の作成を指示するとともに、建築主に提出する。
建物の瑕疵担保期間は、民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款では、木造は1年、鉄筋コンクリート造や鉄骨造は2年、設備機器については1年である。
保証期間内に、建築物や設備機器の作動状況に不具合がないか、建築主、設計者、工事監理者、施工者の関係者が立ち会い、建物瑕疵検査が行われる。
建築設備は、試運転調整が終わり、定常的な使用が行われていても、竣工後1年が経過して四季が一巡しないと、夏・冬のピーク負荷の確認や冷暖房の切替確認、結露の有無等、完成された設備機器類が設計図書に記載されている機能や性能を確保しているかどうかの確認ができないため、1年目の検査が重要である。
建物の劣化には、経年変化による物理的劣化を、設備システムやOA機器の性能が陳腐化し社会の要求についていけなくなる機能的劣化がある。
建物に使われている材料、部品、機器はそれぞれ稼働性状等、固有の特性を有しており、維持メンテナンスの方法によっては耐用年数も異なってくる。
建物を健全に維持・運営していくためには、定期的な建物診断を実施し、劣化状態に応じた計画的な修繕を実施することが建物を経済的に長持ちさせる秘訣である。


実践25 建物の維持保全サポート

1級建築施工管理技士 実践25 建物の維持保全サポート


FMシステム(Facility Management System)

建物の寿命や資産価値は維持保全の状況により差が生じる。
建物は所有者それぞれの固有資産であるとともに、都市を構成する社会的資産でもある。
建物を資産として長期にわたり有効に活用するために、建物情報(図面や設備機器の仕様等)と保全情報(故障履歴や修繕履歴等)の多岐にわたる膨大な情報量を、コンピューターを活用して建物の維持保全、施設の運営・管理の業務をサポートするのがFMシステムである。

①FMシステムとして一元管理

建物カルテは製本やファイルに整備して保管されるが、同時に電子データ化して活用される。
設備機器の更新や改修の維持保全が行われる度に、データを更新しておく。
FMシステムを導入すれば、効率的で高度な維持管理ができるが、専門的な知識と支援ツール等が必要となる。
建築主にFMシステム導入への適切な助言や支援をすることは、建物を維持管理していくためにも重要である。


FMシステムの概念図

②内外装仕上げ材や保守用機器は専用倉庫で保管

外装材や外構の床タイル等が破損した時は、同じ材料で補修する必要がある。
内装材でも特注した材料は、メーカー名や製品番号を整理し、予備品として保管しておくと安心である。
防潮板(防水板)などはあらかじめ専用倉庫に保管しすぐに設置できるようにしたい。
台車やメンテナンス用の備品も倉庫等の場所を決めて保管する。

1級建築施工管理技士 実践ノウハウ㉕建物の維持保全サポート

1級建築施工管理技士 実践ノウハウ㉕
 建物の維持保全サポート

FMシステム(Facility Management System)
建物の寿命や資産価値は維持保全の状況により差が生じる。
建物は所有者それぞれの固有資産であるとともに、都市を構成する社会的資産でもある。
建物を資産として長期にわたり有効に活用するために、建物情報(図面や設備機器の仕様等)と保全情報(故障履歴や修繕履歴等)の多岐にわたる膨大な情報量を、コンピューターを活用して建物の維持保全、施設の運営・管理の業務をサポートするのがFMシステムである。
①FMシステムとして一元管理
建物カルテは製本やファイルに整備して保管されるが、同時に電子データ化して活用される。
設備機器の更新や改修の維持保全が行われる度に、データを更新しておく。
FMシステムを導入すれば、効率的で高度な維持管理ができるが、専門的な知識と支援ツール等が必要となる。
建築主にFMシステム導入への適切な助言や支援をすることは、建物を維持管理していくためにも重要である。
  FMシステムの概念図.jpg
  FMシステムの概念図
②内外装仕上げ材や保守用機器は専用倉庫で保管
外装材や外構の床タイル等が破損した時は、同じ材料で補修する必要がある。
内装材でも特注した材料は、メーカー名や製品番号を整理し、予備品として保管しておくと安心である。
防潮板(防水板)などはあらかじめ専用倉庫に保管しすぐに設置できるようにしたい。
台車やメンテナンス用の備品も倉庫等の場所を決めて保管する。


 

実践26 法的に必要な建物調査と設備検査

1級建築施工管理技士 実践26 法的に必要な建物調査と設備検査

建築基準法では、
建築物の所有者または管理者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するために、建物の定期調査及び建築設備や昇降機の定期検査を義務付けている。(建築基準法第12条)

そして維持保全計画書に基づき、建物や設備機器の点検と修繕のためのスケジュールや実施体制、資金計画を作成し、適切な措置を講じなければならないと規定している。(建築基準法第8条)

法的に必要な建物調査と設備検査

特殊建築物の定期調査(建築基準法)
・敷地、地盤、建物の外部
・屋上及び屋根、建物内部、避難施設
・石綿等の調査
(1回/6ヶ月~3年)
1級、2級建築士及び調査資格者

②建築設備の定期検査(建築基準法)
・機械換気設備
・排煙設備
・非常用照明設備
の外観及び性能検査(1回/6ヶ月~1年)
1級、2級建築士及び建築設備調査資格者

昇降機設備の定期検査(建築基準法)
・エスカレーター
・エレベーター
・電動ダムウェーターの外観及び性能検査
(1回/年)
1級、2級建築士及び昇降機検査資格者

消防用設備の定期検査(消防法)

・消防設備
・警報設備
・避難設備
・非常電源作動点検の外観及び機能検査
(1回/年)
消防設備士及び消防設備点検資格者

給排水設備、空調換気設備の定期検査

(建築物における衛生的環境の確保に関する法律ー 通称 ビル管理法)

・特定建築物の水質検査(1回/6ヶ月)
・遊離残留塩素の測定(1回/7日)
・飲料用貯水槽の清掃(1回/年)
・排水設備の清掃(1回/6ヶ月)
・室内空気環境の測定(1回/2ヶ月)
・ねずみ・昆虫等の駆除(1回/6ヶ月)
維持管理は建築物環境衛生管理技術者
測定は都道府県知事への登録者

1級建築施工管理技士 実践ノウハウ㉖法的に必要な建物調査と設備検査

1級建築施工管理技士 実践ノウハウ 
  法的に必要な建物調査と設備検査

建築基準法では、建築物の所有者または管理者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するために、建物の定期調査及び建築設備や昇降機の定期検査を義務付けている。(建築基準法第12条)
そして維持保全計画書に基づき、建物や設備機器の点検と修繕のためのスケジュールや実施体制、資金計画を作成し、適切な措置を講じなければならないと規定している。(建築基準法第8条)
法的に必要な建物調査と設備検査
特殊建築物の定期調査(建築基準法)
・敷地、地盤、建物の外部
・屋上及び屋根、建物内部、避難施設
・石綿等の調査
(1回/6ヶ月~3年)
1級、2級建築士及び調査資格者
②建築設備の定期検査(建築基準法)
・機械換気設備
・排煙設備
・非常用照明設備
 の外観及び性能検査(1回/6ヶ月~1年)
1級、2級建築士及び建築設備調査資格者
昇降機設備の定期検査(建築基準法)
・エスカレーター
・エレベーター
・電動ダムウェーターの外観及び性能検査
(1回/年)
1級、2級建築士及び昇降機検査資格者
消防用設備の定期検査(消防法)
・消防設備
・警報設備
・避難設備
・非常電源作動点検の外観及び機能検査
(1回/年)
消防設備士及び消防設備点検資格者
給排水設備、空調換気設備の定期検査
(建築物における衛生的環境の確保に関する法律
 ー 通称 ビル管理法)
・特定建築物の水質検査(1回/6ヶ月)
・遊離残留塩素の測定(1回/7日)
・飲料用貯水槽の清掃(1回/年)
・排水設備の清掃(1回/6ヶ月)
・室内空気環境の測定(1回/2ヶ月)
・ねずみ・昆虫等の駆除(1回/6ヶ月)
維持管理は建築物環境衛生管理技術者
測定は都道府県知事への登録者


 

現場管理 実践ノウハウ まとめ
コンクリート工事
鉄筋工事1   ③ 鉄筋工事2
型枠工事1   ⑤ 型枠工事2
鉄骨工事1   ⑦ 鉄骨工事2
仕上工事 外装1 ⑨ 仕上工事 外装2 ⑩ 仕上工事 外装3
仕上工事 石工事 ⑫ 仕上工事 タイル工事
仕上工事 防水工事1 ⑭ 仕上工事 防水工事2
仕上工事 内装 天井等 ⑯ 仕上工事 内装 金属工事
仕上工事 内装 海外製作品
解体 都心ビル ⑲ 解体 アスベストの処理
解体 改修工事-建設副産物
竣工検査
完成から引渡しまで  ㉓ 引渡しは維持管理の始まり
維持保全の作法   ㉕ 建物の維持保全サポート
法的に必要な建物調査と設備検査