実践4 型枠工事1

1級建築施工管理技士 実践 型枠工事1

①躯体図(コンクリート施工図)

躯体図は、一般的にはコンクリート施工図、型枠施工図とも呼ばれていて、コンクリートの最終形状を表し、型枠工事の基本となる図面である。
本来は、所長もしくは次席のものが自ら作図して、頭の内部に躯体のおさまりをすみからすみまで入れることが望ましいが、一般的には、専門の作図担当者が作図していることが多い。

躯体図は意匠図、構造図、仕様書、施工計画などから必要情報を抜き出し、
組み合わせて最終形とする。

したがって、
①それぞれの設計図書の齟齬と干渉チェック
②ほかの工事との寸法調整
③施工に必要な情報
も加え、実際現場で施工する各専門業者に、正確な情報を図面にして伝えるなどの重要な意味をもつ。

ゆえに、符号や寸法の間違いは許されず、設計者はもちろん構造や設備のエンジニアにも確認の義務があり、承認の責任がある。
承認後は、各ファブや、サブコンにもこの躯体図が渡され、おのおのの工作図との整合性が図られるため、寸法的な意味合いはきわめて重要で、真の設計図ともいえる。

また、建築施工管理者としては小さい工事であれば、その施工図面の作成を自ら行うことが必要である。

躯体図を自ら作成するためには、意匠図と構造図の整合性を確認し、次に設備図中の躯体取合い部の情報を収集し、把握する。

最近のCADソフトは、手順にのっとってこれらの情報を入力すれば、かなりの部分の作図が自動的に行える。
その作業や設計者との打ち合わせまでも専門のスタッフにすべて任せていては、基本となる各所の寸法が記憶されないために、現場での十分な指導ができない。
したがって、躯体図の作成および設計者との打ち合わせの作業は、きわめて重要な建築施工管理者の仕事なので、常にリーダーシップをとるように心がけ、議事録の把握、躯体図のチェックは建築施工管理者が自ら行うべきである。

材料発注計画

鉄筋コンクリート工事の中で、もっとも工事費の割合が大きく、多くの仮設材料を使用する工事は型枠工事である。
コンクリート工事が終われば、型枠材料は不要になり廃棄される。
したがって自然保護を考え、天然の材料はできるだけ減らし、鋼製型枠の利用を採用することも考える。

型枠工事計画を策定するにあたり、いかにして転用効率を上げ、投入材を減らし、面材の材料選定も吟味し、廃材を出さない方法をとる、ということも大事な視点である。

鋼製型枠、アルミ型枠、表面強化合板などがある。

コンクリート見下げ図の重要性

コンクリートを打設する前の準備として、大切なことに、打設する範囲の「見下げ図」を必ず作成する必要がある。
見下げ図の本来の目的は、コンクリート工事施工の完成形が見えることで、関係者全員に情報の共有ができることである。

その図面には
①差し筋の位置と種類
②床勾配と排水管の位置
③床の段差と逃げ寸法
④コンクリート天端の押さえの種類
などの必要な情報を詳しく記入し、配筋検査の道具としても使用する。

この作業手順による見下げの躯体図作成と確認があって初めて、最終段階でのミスが防げる。
見下げの躯体図は、コンクリート打設当日の作業の指示書としても使用できるので、一石二鳥である。

もし、現場マンが見下げの完成形図の作成に取り組めば、作成中に図面の不整合を発見でき、不具合の未然防止ができる。

例えば、上の階との柱や壁の位置や大きさなどの矛盾があれば、コンクリート打設までに十分修正が可能なのである。

型枠工事期間中、それまで用意周到に準備してきても、最終段階でミスを犯すと、今までのプロセスすべての信用を失う。
それが、コンクリート工事の特徴であり、厳しさである。