実践8 仕上工事1 外装1

1級建築施工管理技士 実践8 仕上工事 外装(1)押出成形セメント板

建物の外装は、その建物の顔になる大切なエレメントであり性能的には水密・気密・耐風圧・遮音・断熱・紫外線・日射そして耐候性などが要求される。
外装材の中で、押出成形セメント板、ALC板、複合金属板などの既成品は、メーカーが独自のディテールと施工マニュアルを開発・準備している。
また、メーカーは各販売店を傘下にもち、営業・施工図作成・工事を委託している。
メーカーによっては施工店に対する技術指導や教育、そして巡回指導を行い、品質確保に努めている。
建築施工管理者の役割としては、各販売店の担当者との打ち合わせとともに、早い段階から設計者や専門家を交えての検討会等を発足させ、現場の状況に即した問題点と対策を絞り込む必要がある。
メーカーによっては、かなり前からその標準ディテールが作成されている。すなわち、安定した品質提供を継続している。

施工図のチェックと承認はゼネコンの役割

押出成形セメント板の場合、製品は60㎝を標準とし、現場に合わせて長さを切り合わせて、現場に搬入する。
したがって100%を工場で加工し、塗装まで仕上げてくる製品もある。
縦張りと横張り工法があり、いずれも標準的なディテールと施行マニアルが準備されている。
窓周り、パラペット周り、階段室の取り合い、設備開口部などの特殊部分はメーカーが用意しているディテール集を参考に、品質問題が発生しないように注意をする。
特にガラリから雨水が吹き込まないように、また吹き込んでも中の雨返しで戻るように、配慮が必要である。
建築施工管理者の役割としては、設計者と連携しメーカーの代理店に施工図作成を依頼し、取合い部分の確認を行い、承認することである。
施工図の間違いがあってはならないので、設計者、設備関係者、その他の関係会社との調整を十分に行う。
また、納期面では承認から現場搬入までの製作・輸送に必要な期間をよく打ち合わせをし、遅れないように発注管理する。標準的には30日間、繁忙期は45日間は必要とされている。
最近の流行として、90㎝の幅広のものや、外装タイル、外断熱、ソーラーパネル、壁面緑化との組み合わせなど、付加価値を高めたものも商品開発をされている。

外装工事の施工管理はどうするか

外装材の工事が正しく施行されないと、雨漏りだけでなく地震や長期間の材料劣化などにより、外壁材の応力のへの肩よりが発生し、割れや落下など第三者に被害を及ぼす事故につながる。
パネルの取り付けやシール工事は、専門の工事会社によってマニアル通りに行われるので、品質上の心配は少ないが、多くの問題はパネルの下地精度不良が絡んでいる。
下地が正しい位置になく、施工図の間違いなどで製品寸法が現場と合わない場合など、是正を省いてそのまま工事を進めることがあってはならない。
建築施工管理者の役割の中では、下地の精度を高めることが非常に大きい。
下地の制度は、
①墨だしの精度
②下地鉄骨の誤差
③躯体の誤差
の累積となる。
したがって、まずは躯体の精度が確保されて、初めて下地鉄骨の取付けへと進めるので、手順を踏んで施工品質管理を進めなくてはならない。
施工図の承認前に、下地鉄骨の精度を確保するためのディテールを確認し、前後左右の躯体の誤差を吸収する機能があるかを確認することも大切である。
建築施工管理者として、自信を持った施工管理をするためには、正しいプロセスを守り、妥協しない姿勢が大切である。下地の精度が目標レベルに達していれば、大方の品質問題が事前に解決できる。

正しくシール施工するには

外装の成形板は、比較的簡易な建物の外壁に多く採用されている。
その種類には、押出成形セメント板・ALC板・複合金属板等がある。
いずれも部材が既製品で、幅方向が決まっており、長さ方向をその工事に合わせて工場加工し、搬入後現場で取り付ける方法が一般的である。
どの成形板も、ディテールが比較的シンプルなため、気密性・止水性が弱点になりやすい。
従って、メーカーごとに推奨する取り付け方法が定められているので、メーカー指定マニュアルを遵守する。
一般的に、材料のメーカー保証が用意されているが、工法全体としてのメーカー保証内容を確認する必要がある。
幅方向は、製品によってはまったく外からのシールを必要としない製品もあるが、縦方向と層間部やエクスパンションジョイントは外からのシールに頼っている。
1次シールは、その材料とプライマの相性と接着性を必ず確認し、メーカー推奨の手順を守って正しく施行したい。
1次シールを超えてきた雨水の2次シールによる排水の仕組みは極めて大切になる。
今までの故障事例は、1次シール・2次シールともに不備なために発生している。
1次シールが切れても、雨水を2次シールで止めなければならない。
2次シールで特に大切な点は、最下部に設置する排水パイプである。1次シールを通過した雨水が、中空部を通過し、最後に排水パイプを通過して外部に排出される。
この機能をしっかり確保する。
日本シーリング工業会出版のハンドブックが参考になる。

ゴンドラ作業での注意点

シール工場や塗装工事が外部足場からの工事であれば、作業もしやすく、検査確認も容易である。しかし、最近ではシール工場を外部ゴンドラ作業で行う場合が増えている。
外部ゴンドラでの施行は密室と同じで、どうしても管理の目が行き届かず、正しく施工されているかが、簡単には確認できない。
したがって、ゴンドラ作業で外部のシールを行う場合は、どのように「管理の検査」を行うかを定めて、プロセス管理していくことが大切である。
そのためには日常の作業員や職長の自主管理と記録が重要であり、検査員の管理がそれに続く。
検査員による検査のポイントとして、
①シールの施行はそれはないか
②すでに付着が開いてないか
③シールの厚さは大丈夫か
なかの検査を行うことが大切である。
正しい1次シール工事、2次シールと排水計画、検査の仕組みを施工図と施工マニュアルに明確にし、関係者への周知徹底を図ることが重要である。