1章 各章共通事項 5節 施工

建築工事監理指針 1章 各章共通事項


5節 施工

1.5.1 施 工

(1) 建築工事の施工は、工場等の流れ作業により同じ物を造るのとは異なり、建物ごとに図面が作成され、施工計画・実施工程等が組まれ、関連する他工事と調整を図りながら施工されるものであり、天候等を含め工程を阻害する要因も多く、これらにも常に対応していかなければならない。

工事における施工計画書、施工図、実施工程表等は、監督職員が一度承諾したものであっても、工事が長期にわたる場合等にあっては施工条件が変化することがある。この場合は、再度検討し変更しなければならない場合があるので、常に工事全体の状況を把握しておく必要がある。

(2) 工事の施工に当たり、施工方法が設計図書に定められている場合は、これを遵守することはもちろんであるが、工法について指定されていないものは、受注者に施工方法等は任されている(契約書第1条第3項)。その場合は関連する他の工事との調整を図り、設計の意図する機能を満足するものであるか、十分に検討する必要がある。

関連する設備工事等で、コンクリート打込み等により隠ぺい状態となる部分の施工は、当該関連工事等の施工の検査が完了するまで行わないことになっている。しかし、「関連工事の検査」が工程の都合等により行い難い場合には、設備工事の監督職員等関係者と打ち合わせ、工事写真等による記録を残して工事を進めることができる(契約書第14条第5項及び「標仕」1.5.1(2))。

1.5.2 技能士

(1) 技能士とは、「職業能力開発促進法」(昭和44年法律第64号)に基づき労働者の有する技能を検定(技能検定)し、この合格者に対して与えられる称号であり、検定職種ごとに特級、一級、二級、三級等に区分するものと、単一等級として等級を区分しないものがある。「標仕」では、このうちの一級技能士又は単一等級の有資格者を、施工品質の向上を図る目的で自ら作業するとともに作業指導を行う者としている。

なお、単一等級としては、ALCパネル施工、樹脂接着剤注入施工等がある。

(2) 技能検定試験の程度は、特級は一級技能士合格後技能労働者として5年以上の実務経験の者が通常有すべき技能の程度、ー級は技能労働者として7年以上の実務経験の者が通常有すべき技能の程度、二級は技能労働者として2年以上の実務経験の者が通常有すべき技能の程度、三級は技能労働者として6箇月以上の実務経験の者が通常有すべき技能の程度であり、単一級は一級と同程度の技能を有する者とされている。

(3) 参考資料の資料2に建槃工事関連の技能検定職種(36職種)の一級及び単ー等級の技能検定合格者数を掲載している。

1.5.3 技能資格者

(1) 建物の構造耐力を左右する重要な部分の施工に当たっては、十分な能力を有する者が施工を行うことにより品質・性能の確保を図る必要がある。また、特殊な技術力が必要な超音波探傷試験等では、試験担当者の技量要件を明確にして、品質確認の信頼性を確保することが重要である。このため「標仕」では、(2)の(ア) から(キ) までに示す部分の施工については一定の技量を有する者が施工を行うとしている。

なお、技能資格者は、施工中、有資格者であることが分かるようにしておく必要がある。

(2) 技能資格者とは、平成8年9月の閣議決定「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」に基づき、技量や技術の判定基準等を示し、これを満たす者としている。

なお、「標仕」で規定している技能資格者には、次のようなものがある。
(ア) 杭の継手の溶接を行う技能資格者(4.3.7参照)
(イ) 鉄筋のガス圧接及び溶接継手の作業を行う技能査格者(5.4.2、5.6.2参照)
(ウ) 鉄筋のガス圧接、機械式継手及び溶接継手の試験を行う技能資格者(5.4.3、5.5.3、5.6.4参照)
(エ) 鉄筋、鉄骨等の溶接作業を行う技能資格者(4.5.3、7.6.3参照)
(オ) 鉄骨の溶接部の試験を行う技能資格者(7.6.11参照)
(カ) スタッド溶接作業を行う技能資格者(7.7.2参照)
(キ) 溶融亜鉛めっき高カボルトの締付け作業を行う技能資格者(7.7.2参照)

(3)「標仕」では規定されていないが、現場における作業管理・調整能力等に優れていると認められた技能資格者として登録基幹技能者がいる。

登録基幹技能者とは、現場施工における十分な経験を有し、上級の職長として技術者及び他の職長との調整能力、一般の技能者に対する施工管理・指導能力に優れ、建設生産現場において要となる技能者のことである。

基幹技能者の資格制度については、国土交通省が「建設産業政策大綱」(平成7年)以来、その整備を促進しており、平成8年「建設産業人材確保・育成推進協議会」において策定された「基幹技能者の確保・育成・活用に関する基本指針」に基づいて、各専門工事業団体が独自に資格の認定を行っている。令和4年3月末現在、40職種で登録基幹技能者に係る民間資格が整備されている。

登録基幹技能者制度は、平成20年4月1日から、建設業法施行規則に登録講習制度として位置付けられた。同日以降に国土交通大臣に登録をした機関が実施する登録基幹技能者講習を終了した者(登録基幹技能者)は、新たに経営事項審査で加点評価されることとなった。

登録基幹技能者制度のより一層の普及・活用と、可能な限り信頼性・専門性の高い公的資格保有者の配置を推進していく観点から、登録基幹技能者のうち、専門工事に関する実務経験年数が、建設業法(昭和24年法律第100号)に定める主任技術者と同等以上と認められるものについて、主任技術者の要件を満たす者として位置付けることとし、建設業法施行規則及び施工技術検定規則の一部を改正する省令(平成29年国土交通省令第67号)により、許可を受けようとする建設業の種類に応じて国土交通大臣が認める登録基幹技能者については、主任技術者の要件を満たすとされた。

1.5.4 ー工程の施工の確認及び報告

(1) 施工の管理は、ー工程の施工の確認の積重ねであり、この確認及び報告をスムーズに行うことが品質管理の最大のポイントである。

ー工程が完了した場合は、速やかに、受注者等の自主検査として設計図書に指定されたとおりであることを計測等により確認させ、監督職員に文書により報告させる。これを受け監督職員は、施工検査を行う。

(2) この報告をスムーズに行えるようにするためには、施工計画書作成の中で、出来上りに対する許容差、計測の方法、それらを記入する報告書の書式等を品質計画として定めておく。

(3) 品質管理の責任を明確にするため、「標仕」1.5.4での確認及び報告は、監督職員が承諾した者が行うとしている。一般的には、建設業法で現場専任が義務付けられている(1.3.1(ア)(d)参照)主任技術者又は監理技術者がこの任に当たることを想定している。

1.5.5 施工の検査等

(1) 「標仕」の施工の検査は、監督職員の検査について定めたものであり、工程の進捗状況を見ながら、施工後の検査・確認が困難なものにあっては、作業中でも時期を失せず検査を行う必要がある。

(2) 「標仕」では、同一の材料・工法等で繰り返し施工する場合で、最初に監督職員が検査を行い、一定の品質を確保できると判断される場合は、以降を抽出検査として監督職員の検査の合理化を図っている。ただし、施工の品質は材料の品質と比べるとばらつきが大きいことが予想されるので、監督職員が必要と認める場合は、随時受注者等に指示し検査を行うことができるとしている。

(3) 見本施工は、施工手順を含めた仕上り程度を見るために実施することが特記された場合に限り行うものであり、場合によっては監督職員及び設計担当者の立会いのもとに施工することもあるので注意する。

1.5.6 施工の検査等に伴う試験

(1) 施工の検査等に伴う試験は、設計図書に定められた品質及び性能を有することが試験によらなければ証明できない場合に行うものであり、設計図書で設定されている場合と、品質計画による監督職員と受注者等の合意により行う場合とがある。

(2) 施工の検査に伴う試験といえども破壊試験は極力避け、工事写真又は非破壊試験として超音波探傷・磁気探査等の工学試験器による判定とし、やむを待ず破壊試験を行う場合は、最小限の破壊試験で判定する。

(3) 試験により材料の品質性能を確認する場合の注意事項は、1.4.5 (6)による。

1.5.7 施工の立会い等

監督職員の重要な業務は施工の確認である。確認の方法には様々なものがあるが、設計図書に規定された必要事項を確認するため、現場において施工の立会いを行うことは有効なことといえる。しかし、立会いを行うに当たっては、適切な時期に行うことが重要であり、時期を失すると意味のないものとなる。このため、立会いの日時について早めに受注者等と打合せを行い、必要な指示をする。
なお、監督職員の都合により適切な時期に立会いができない場合には、その後の工程に支障を来すので、契約書第14条で設計図書に指定されている場合でも、監督職員の立会いを受けることなく施工を行うことができるとしている。ただし、この場合は受注者等に対して、施工を適切に行ったことを証明する記録を整備し、監督職員の求めに応じて提出させる必要がある。

1.5.8 工法等の提案

(1) 契約後のVE提案(VECP : Value Engineering Change Proposal)は、施工の合理化及びコストの縮減という観点から提案されるものであるが、ここでは、施工方法の代案で、安全、かつ、合理的なものについて提案された場合は、監督職員はそれを受け協議することになっている。所要の品質及び性能が確保されるのは当然であるが、明らかに工事費が異なる場合には設計変更の処理を行う。

(2) 現在、地球規模で環境問題が顕在化する中で、開発と環境を十分調和させながら豊かな環境を創造していくことが課題となっている。

このため、「環境基本計画」(平成24年4月 閣議決定)、「地球温暖化対策推進大綱」(平成14年3月地球温暖化対策推進本部決定)、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(平成12年5月法律第104号、最終改正令和3年5月19日)等が策定された。

官庁施設整備に当たっては、従来から環境負荷の低減に資する技術を積極的に採用してきたところであるが、さらに、この目的に合った民間の開発した新技術を発展させる目的から「標仕」の規定で環境保全に有効な工法について提案があれば協議すると定められている。この場合、環境保全に有効な工法における材料は、原則として、指定されたものを用いることとなっている。

(3) 「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)において、建設業については、一定の猶予期間を置いたうえで、時間外労働の罰則付き上限の制限の一般則を適用するとされた。これを受け、国土交通省では、平成29年6月に「建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議」、同年7月には、「建設業の働き方改革に関する協議会」が設置された。これらの会議における議論も踏まえ、国土交通省大臣官房官庁営繕部では営繕工事における働き方改革に向け、各種取組を実施するとしており、生産性向上については、施工合理技術の施工者提案を積極的に活用するとしている。

i-Construction(アイ・コンストラクション)の推進等の政府の方針を路まえ、所要の品質及び性能が確保され、現場の生産性向上に有効な工法について、受注者からの提案があれば協議することを定めたものである。

1.5.9 化学物質の濃度測定

(1) 「標仕」では、建築物の室内空気中に含まれるホルムアルデヒド等の化学物質の濃度測定を実施する場合は、次の事項について特記するとされている。

(ア) 濃度測定実施の時期(記載例:施工完了時)
(イ) 測定する化学物質の種類(記載例:ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン)
(ウ) 測定方法(記載例:パッシプ型採取機器により行う。)
(エ) 測定対象室及び測定箇所数(記載例:測定対象室(図示)、測定箇所数(図示))

(2) 濃度測定の測定結果は、まとめて提出を受ける。

(3) 濃度測定の具体的な方法等に関しては、原生労働省ホームページの「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」に、技術資料が掲載されている。

一次検定対策 施工 躯体工事

3.施工(躯体工事)

1° 地盤調査
 1-1. 地盤調査

2° 仮設工事
 2-1. 乗入れ構台
 2-2. 足場1
 2-3. 足場2

3° 土工事・山留め工事
 3-1. 地盤の現象
 3-2. 土工事等
 3-3. 山留め工事
 3-4. ソイルセメント柱列山留め壁

4° 基礎・地業工事
 4-1. 基礎・地業工事等
 4-2. 場所打ちコンクリート杭工事

5° 鉄筋工事
 5-1. 加工及び組立て等
 5-2. 継手・定着
 5-3. ガス圧接

6° 型枠工事
 6-1. 型枠の工法・施工
 6-2. 型枠の設計等

7° コンクリート工事
 7-1. コンクリートの調合
 7-2. 打込み・締固め
 7-3.養 生

8° 鉄骨工事
 8-1. 工作・組立て・溶接
 8-2. 建 方
 8-3. 高力ボルト接合・耐火被覆

9° その他の工事
 9-1. ALCパネル工事

10° 耐震改修工事
 10-1. 耐震改修工事
 10-2. 柱補強工事他

11° 建設機械
 11-1 建設機械
 11-2 クレーン

一次検定 施工(躯体工事)地盤調査

1級建築施工管理技士
学科対策 過去問題【 重要ポイント 】

3.施工(躯体工事)
1°.地盤調査

下記の正誤を判断せよ。
①シルトの粒子の直径は、粘土より大きく細砂より小さい。

答え

 ◯

②一軸圧縮試験により、砂質土の強度と剛性を求めることができる。

答え

 ×

[ 解説 ]
一軸圧縮試験は、粘性土強度せん断強さを調べる試験である

③三軸圧縮試験により、粘性土のせん断強度を求めることができる。

答え

 ◯

④粒度試験により、地盤の変形係数を求めることができる。

答え

 ×

[ 解説 ]
粒度試験は、土の粒度組成(土の粒子の大きさや配合)を調べる試験で、砂質土と粘性土の分類はできるが、地盤の変形係数を求めることはできない
・粒度試験により、細粒分含有率等の粒度特性を求めることができる。
・粒度試験の結果で求められる粒径から、透水係数の概算値を推定できる。

⑤圧密試験により、粘性土の沈下特性を調べることができる。

答え

 ◯

⑥常時微動測定により、地震時の地盤の振動特性を調べることができる。

答え

 ◯

[ 解説 ]
常時微動測定

常時微動測定による、地盤の卓越周期を把握することができる。

⑦電気検層(比抵抗検層)により、ボーリング孔近傍の地層の変化を知ることができる。

答え

 ◯

⑧被圧地下水位の想定は、ボーリング孔内において自由地下水及び上部にある帯水層を遮断しない状態で行う。

答え

 ×

[ 解説 ]
被圧地下水は、帯水層ごとに水位が異なるため、下部の帯水層を調査する場合は、ボーリング孔内において自由地下水及び上部の帯水層を完全に遮断しておく

⑨自由地下水位の測定は、ボーリング時に泥水を使わずに屈進ことにより比較的精度よく行うことができる。

答え

 ◯

一次検定 施工(躯体工事)仮設工事 2-1 乗入れ構台

1級建築施工管理技士
学科対策 過去問題【 重要ポイント 】

3.施工(躯体工事)

2° 仮設工事
2-1 乗入れ構台
下記の正誤を判断せよ。
①構台の高さは、躯体コンクリート打設時に、大引下の1階床面の均し作業ができるように考慮して決める。

答え

  ◯

構台の大引の下端は、1階床の躯体コンクリート打設時に床の均し作業ができるように、コンクリート床上面より20㎝~30㎝程度上に設定する。

②構造計算で地震力を震度法により静的水平力として計算するため、水平震度を0.1とした。

答え

  ×

構造計算で地震力を震度法により静的水平力として計算する場合、水平震度0.2とする
構台の大引材や根太材の構造計算は、強度検討のほかに、たわみ量についても検討する。

 

③車の走行を2車線とするため、乗入れ構台の幅を6mとした。

答え

  ◯

構台の幅員は、施工機械や乗り入れる車両の大きさ、車両の使用状況や進行頻度等を考慮して、4~10mとする。

④クレーン能力 50t級のラフテレーンクレーンを使用するため、乗入れ構台の幅を8mとした。

答え

  ◯

⑤構台の幅が狭いときは、交差部に、車両が曲がるための隅切りを設ける。

答え

  ◯

⑥構台の支柱の位置は、使用する施工機構、車両の配置によって決める。

答え

  ×

構台の支柱の位置は、地下躯体図等を参考にして、基礎梁、柱、梁等の位置と重ならないように配置する

⑦乗込みスロープの勾配は、一般に1/10~1/6程度にする。

答え

  ◯

⑧出入口が近く、乗込みスロープがどうしても躯体に当たるため、その部分の躯体を後施工とした。

答え

  ◯

⑨乗入れ構台の各段の水平つなぎとブレースは、最終となる3次根切りの完了後にまとめて取り付けた。

答え

  ×

水平つなぎとブレースは、横ゆれ防止や支柱の座屈長さを短くするために入れるので、各根切り段階の終了時ごとに入れるべきである

⑩地下立上がり部の躯体にブレースが当たるので、支柱が貫通する部分の床開口部にくさびを設けて支柱を拘束し、ブレースを撤去した。

答え

  ◯

一次検定 施工(躯体工事)仮設工事 2-2 足場(1)

1級建築施工管理技士
学科対策 過去問題【 重要ポイント 】

3.施工(躯体工事)
2° 仮設工事
2-2 足場(1)

(単管足場)
①単管足場の建地の間隔は、けた行方向 2.0m、はり間方向1.2mとした。

答え

 ×

[ 解説 ]
単管足場の建地間隔は、けた行方向1.85m以下はり間方向1.5m以下とする

②単管足場における建地間の積載荷重は、400kgを限度とした。

答え

 ◯

[ 解説 ]

③単管足場の壁つなぎの間隔は、垂直方向 5m以下、水平方向 5.5m以下をする。

答え

 ◯

④単管足場の地上第一の布の高さは、2m以下をする。

答え

 ◯

⑤単管足場の墜落の危険のある箇所に設ける手すりの高さは90㎝とし、中さん及び幅木を設けた。

答え

 ◯

(枠組足場)
⑥足場の使用高さは、通常使用の場合45m以下をする。

答え

 ◯

⑦高さが 20mを超えるときは、主枠間の間隔は 1.85m以下とする。

答え

 ◯

⑧足場に設ける水平材は、最上階及び6層以内ごととする。

答え

 ×

[ 解説 ]
最上階及び5層以内ごとに水平材を設ける

⑨高さが 5m以上の足場の壁つなぎの間隔は、垂直方向 9m以下、水平方向 8m以下とする。

答え

 ◯

[ 解説 ]

⑩ 枠組足場は、建枠の幅を 0.9mとし、 0.3m幅の床付き布枠を使用したので、1層1スパンの最大積載荷重を 3.92k(400kg)とした。

答え

 ◯

一次検定 施工(躯体工事)仮設工事 2-3 足場(2)

1級建築施工管理技士
学科対策 過去問題【 重要ポイント 】

3.施工(躯体工事)
2° 仮設工事

2-3 その他の足場等
下記の正誤を判断せよ。

(その他の足場)
①移動式足場は、控枠(アウトリガー)なしとし、幅1.2m、高さ 1.7mの建枠を3段重ねて組み立てて使用した。

答え

 ×

[ 解説 ]
安全基準の高さと幅の関係式は
H≦ 7.7 L – 5
(厚生労働省による技術上の指針)であり、
L = 1.2m なので、
安全な高さは
7.7 × 1.2 – 5 = 4.24m
となるが、
設問の移動式足場の高さは
H = 1.7 × 3 + 0.3( 脚輪高さ)= 5.4m
となり、使用できない

②単管を用いた棚足場の組立のおいて、3層3スパン以内ごとに水平つなぎ、斜材等を設け一体化した。

答え

 ◯

③脚立足場において、足場板を脚立上で重ね、その重ね長さは 20㎝以上とした。

答え

 ◯

[ 解説 ]
脚立の脚と水平面との角度を 75度以下とし、かつ、折りたたみ式のものにあっては、脚と水平面との角度を確実に保つための金具を備える。

④架設通路において、墜落の危険のある箇所に、高さ 85㎝の手すりを設けた。

答え

 ◯

⑤架設通路において、登りさん橋の高さが16mであったので、地盤面からの高さ 8mの位置に踊場を設けた。

答え

 ×

[ 解説 ]
建設工事に使用する高さ 8m以上の登り桟橋には、7m以内ごとに踊り場を設ける

⑥架設通路において、こう配が18° であったので、踏さんを設けた。

答え

 ◯

[ 解説 ]
架設通路において、勾配30度以下にする。ただし、階段を設けたもの又は高さが2m未満で丈夫な手掛を設けたものはこの限りでない。

⑦移動はしごは、幅が 30㎝のものを用いた。

答え

 ◯

⑧深さが 1.4mの箇所で作業を行うので、昇降するための設備は設けなかった。

答え

 ◯

⑨高さ 5m の作業構台の床材間のすき間は 4㎝以下とした。

答え

 ×

[ 解説 ]
高さ2m以上の作業床は、つり足場の場合を除き、幅は40㎝以上とし、床材間のすき間は、3㎝以下とする

一次検定 施工(躯体工事)土工事・山留工事 3-1 地盤の現象

1級建築施工管理技士
学科対策 過去問題【 重要ポイント 】

3.施工(躯体工事)
3° 土工事・山留め工事

3-1 地盤の現象
下記の正誤を判断せよ。

①ヒービングをは、軟弱な粘性土地盤を掘削する際に、山留め壁の背面土のまわり込みにより掘削底面の土が盛り上がってくる現象をいう。

答え

 ◯

②軟弱地盤のヒービング対策として、根切り土を山留め壁に近接した背面上部に盛土して荷重を増やした。

答え

 ×

[ 解説 ]
軟弱地盤のヒービング対策として、掘削場外に余裕がある場合には、周囲の地盤をすき取り、山留め壁背面の荷重を減らす等ヒービングの原因をなる土圧を軽減する
大きな平面を一度に根切りせず、いくつかのブロックに分割して根切りし、コンクリート等で固めて順次施工する方法も有効である。

③ヒービングの発生防止のため、ウェルポイントで掘削場内外の地下水位を低下させた。

答え

 ×

[ 解説 ]
ヒービングは、掘削場内外の地下水位を低下させても、山留め壁の背面土圧にはほとんど影響しないので、ヒービング発生防止の効果は少ない
ヒービングのおそれのない良質な地盤まで山留め壁を根入れすること等も有効である。

④盤ぶくれとは、掘削底面やその直下に不透水性土層があり、その下の被圧地下水の圧力により掘削底面が持ち上がる現象をいう。

答え

 ◯

[ 解説 ]
 
  

⑤被圧地下水による盤ぶくれ対策として、止水性の山留め壁を被圧帯水層以深の不透水層まで根入れした。

答え

 ◯

[ 解説 ]
根切り底面下の盤ぶくれの発生が予想された場合の対策の1つに、被圧水頭を下げる方法があり、ディープウェル等の排水工法により行う。

⑥ボイリングの発生防止のため、止水性の山留め壁の根入れを深くし、動水勾配を減らした。

答え

 ◯

[ 解説 ]
止水性の山留め壁不透水性地盤まで根入れする等も有効である。

⑦パイピングとは、粘性土中の弱い所が地下水流によって局部的に侵食されて孔や水みちが生じる現象をいう。

答え

 ×

[ 解説 ]
パイピングとは、砂質土の地盤で浸透水流により、パイプ状の孔や水みちができる現象をいう

⑧クイックサンドとは、砂質土のように透水性の大きい地盤で、地下水の上向きの浸透力が砂の有効重量より大きくなり、砂粒子が水中で浮遊する状態をいう。

答え

 ◯

一次検定 施工(躯体工事)土工事・山留工事 3-2 土工事等

1級建築施工管理技士
学科対策 過去問題【 重要ポイント 】

3.施工(躯体工事)
3° 土工事・山留め工事

3-2 土工事等
下記の正誤を判断せよ。

(排水工法)
①釜場工法は、重力排水工法の1つである。

答え

 ◯

②排水の打切りにより、地下構造物が浮き上がることがある。

答え

 ◯

(掘削・根切り)
③粘性土地盤を法切りオープンカット工法で掘削するので、円弧すべりに対する安定を検討した。

答え

 ◯

[ 解説 ]
法付けオープンカットの法面保護をモルタル吹付けで行った場合は、法面に水抜き穴を設ける。

④切梁工法の一次根切りにおいては、山留め壁の頭部が倒れるような変形が一般的なので、山留め壁頭部の動きに留意して掘削した。

答え

 ◯

⑤切梁工法の二次根切りにおいては、周辺地盤の地表面の沈下は山留め壁際が最大となるので、山留め壁際の沈下に留意して掘削した。

答え

 ×

[ 解説 ]
切梁工法の二次根切り時以降では、山留め壁は切梁位置で水平変位が抑制され、根切り底付近で最大変位を示す弓形の変位となるため、周辺地盤の地表面の沈下は、壁から少し離れた位置で最大となる

⑥直接基礎の床付け地盤を乱したが、粘性土であったので、そのまま転圧して捨てコンクリートを打設した。

答え

 ×

[ 解説 ]
直接基礎の床付け面を乱してしまった時は、粘性土の場合は礫・砂質土に置き換えるか、セメント・石灰などによる地盤改良を行う
床付け地盤を凍結させた場合は、良質土と置換するなどの処置が必要である。

(埋戻し及び盛土)
⑦盛土材料は、敷均し機械によって均等、かつ、一定の厚さに敷均してから締固めを行わないと、将来盛土自体の不同沈下の原因となることがある。

答え

 ◯

[ 解説 ]
機械による締固めを行う場合、盛土材料にばっ気又は散水を行って、含水量を調節することがある。

⑧埋戻しの選択に当たっては、均等係数が大きい性状のものを選んだ。

答え

 ◯

[ 解説 ]
粘性土を埋戻しに使用したので、余盛りは砂質土の場合より大きくする。

⑨動的な締固めは、ロードローラー、タイヤローラー等の重量のある締固め機械を用いて、人為的に過圧密な状態を造り、締め固めるものである。

答え

 ×

[ 解説 ]
ロードローラーやタイヤローラー等の重量のある機械を用いて、人為的に加圧密な状態を造り締め固める方法は、静的な締固めで、大規模な埋戻しや盛土工事に用いられる

水締めは、水が重力で下部に浸透する際に土の粒子が沈降し、土の粒子間のすき間を埋める現象を利用したものである。

一次検定 施工(躯体工事)土工事・山留工事 3-3 山留め工事

1級建築施工管理技士
学科対策 過去問題【 重要ポイント 】

3.施工(躯体工事)
3° 土工事・山留め工事

3-3 山留め工事
下記の正誤を判断せよ。

①自立山留め工法は、山留め壁の根入れ部の受働抵抗に期待するため、根切り深さが浅い場合に適している。

答え

 ◯

②親杭横矢板工法は、止水性はないが、比較的硬い地盤でも施工可能であり、他の工法に比べて経済的に有利である。

答え

 ◯

③鋼矢板工法は、止水性があり、地下水位の高い砂礫層などの硬い地盤の場合に適している。

答え

 ◯

[ 解説 ]
鋼矢板工法は、矢板の継手部のかみ合わせにより止水性があるので、地下水位の高い地盤には適しているが、砂礫層などの硬い地盤には打設することが困難である
鋼矢板山留め壁に用いる鋼矢板の許容応力度は、新品の場合であってもその数値を割増すことはできない。

④地盤アンカー工法は、敷地の高低差が大きく山留めにかかる側圧が偏土圧となる場合に適している。

答え

 ×

⑤水平切梁工法において、集中切梁とする方法は、根切り及び躯体の施工能率の向上に効果がある。

答え

 ◯

[ 解説 ]
水平切梁工法において、井形に組む格子状切梁方式は、一般に掘削平面整形な場合に適している。

⑥水平切梁工法において、切梁にプレロードを導入するときは、切梁交差部の締付けボルトを締め付けた状態で行う。

答え

 ×

[ 解説 ]
プレロードする場合は、切梁交差部締付けボルト緩めた状態で行う
水平切梁工法における鋼製切梁では、温度応力による軸力変化について検討する必要がある。

⑦水平切梁工法における腹起しの継手位置は、切梁と火打梁との間又は切梁に近い位置に割り付ける。

答え

 ◯

[ 解説 ]
油圧式荷重計は、切梁にかかる全荷重を測定するため、切梁の中央部を避け、火打梁との交点近い位置に設置する。

⑧山留め壁の根入れ長さは、山留め壁の掘削側側圧による抵抗モーメントと背面側側圧による転倒モーメントとのつり合いから決める。

答え

 ◯

[ 解説 ]
山留め壁背面に作用する側圧は、一般に深さ比例して増大する。

⑨山留め壁周辺の地盤の沈下を計測するための基準点は、山留め壁に近接した地盤面に設けた。

答え

 ×

[ 解説 ]
山留め壁周辺の沈下を計測するための基準点は、公道に面する敷地境界の地盤面に一定間隔に設け、公道の反対側に設けた点との差を計測する。
山留め壁の頭部の変位を把握するために、トランシットやピアノ線、スケール、下げ振りを用いて計測を行う。

⑩ H形鋼を用いた切梁の軸力を計測するためのひずみ計は、2台を1組としてウェブに設置した。

答え

 ◯

一次検定 施工(躯体工事)土工事・山留工事 3-4 ソイルセメント柱列山留め壁

1級建築施工管理技士
学科対策 過去問題【 重要ポイント 】

3.施工(躯体工事)
3° 土工事・山留め工事

3-4 ソイルセメント柱列山留め壁
下記の正誤を判断せよ。

①山留め壁の剛性が小さいため、土圧が大きい軟弱地盤には適さない。

答え

 ×

[ 解説 ]
ソイルセメント柱列壁工法は、セメント系注入液を原位置土と混合攪拌し、掘削孔をオーバーラップ施工し心材にH形鋼等を挿入したもので、剛性止水性優れており、土圧大きい軟弱地盤適する。地下水位が高い地盤は軟弱な地盤に適した工法である。

②ソイルセメントの中に挿入する心材をしては、H形鋼やI形鋼などが用いられる。

答え

 ◯

③ソイルセメントは、止水の役目と土留め壁の構造材の一部として使用される場合がある。

答え

 ◯

④泥水処理が必要で、排出泥土が鉄筋コンクリート山留め壁に比べて多い。

答え

 ×

[ 解説 ]
ソイルセメント柱列山留め壁は、原位置土とセメント系注入液を混合・かくはんして使用するので、泥水処理不要で、排出土も鉄筋コンクリート山留め壁に比べて少ない

⑤N値50以上の地盤、大径の玉石や歴が混在する地盤では、先行削孔併用方式を採用してエレメント間の連続性を確保する。

答え

 ◯

[ 解説 ]
先行削孔併用方式は、N値50以上の地盤における山留め壁の造成に用いられる。

⑥根切り時に発生したソイルセメント硬化不良部分は、モルタル充填や背面地盤への薬液注入などの処置をする。

答え

 ◯

⑦山留め壁の構築部に残っている既存建物の基礎を先行解体するためのロックオーガーの径は、ソイルセメント施工径より小さい径のものとする。

答え

 ×

[ 解説 ]
山留め壁の構築部に残っている既存建物を先行解体する場合、施工精度を上げるため、施工に先立ちソイルセメント施工径より大きな径のロックオーガー機等を用いて行う

⑧単軸のロックオーガーによる方法は、硬質な岩や地中障害がある場合の土留め壁の造成に用いられる。

答え

 ◯

⑨多軸の掘削攪拌機を用いる場合、エレメント間の連続性を確保するため、エレメントの両端部分をラップして施工する。

答え

 ◯

[ 解説 ]