1級建築施工管理技士 令和06年 学科 問題3 解説

問題番号[ No.16 ]〜[ No.20 ]までの5問題は、全問題を解答してください。
問題は四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。

[ No.16 ]
測量に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.直接水準測量は,レベルと標尺を用いて,既知の基準点から順に次の点への高低を測定して,必要な地点の標高を求める方法である。

2.スタジア測量は,レベルと標尺を用いて,2点間の距離を高い精度で求める方法である。

3.間接水準測量は,傾斜角や斜距離等を読み取り,計算によって高低差を求める方法である。

4.GNSS測量は,複数の人工衛星から受信機への電波信号の到達時間差を測定して位置を求める方法である。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

直接水準測量は,レベルと標尺を用いて地表面の2点間の高低差を求めることで、既知の基準点から順に次の点への高低を測定して,必要な地点の標高を求める方法である。

2.×

スタジア測量は、2点間の距離・高低差をトランシットやセオドライト等の望遠鏡につけられたスタジア線を用いて間接的に測る測量方法である。細部測量に主として利用され、特に起伏の多い地形に適する。

3.◯

水準測量には直接水準測量と間接水準測量がある。直接水準測量は、レベルは標尺によって2点間の高低差を直接測定する方法である。一方、間接水準測量は,傾斜角や斜距離等を読み取り,計算によって高低差を求める方法である。

4.◯

GNSSとは、Global Navigation Satellite Systemの略語で、全地球衛生測位システムと訳される。GNSSを用いたGNSS測量は,複数の人工衛星から受信機への電波信号の到達時間差を測定して位置を求める方法である。

[ No.17 ]
避雷設備に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.避雷設備は,建築物の高さが15mを超える部分を雷撃から保護するように設けなければならない。

2.避雷設備の構造は,雷撃によって生ずる電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができるものとしなければならない。

3.接地極は,建築物を取り巻くように環状に配置する場合,0.5m以上の深さで壁から1m以上離して埋設する。

4.鉄骨造の鉄骨躯体は,構造体利用の引下げ導線の構成部材として利用することができる。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

高さが20mを超える建築物には、原則として、雷撃から保護するよう避雷設備を設けなければならない。(建築基準法第33条)

2.◯

避雷設備の構造は,雷撃によって生ずる電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものまたは国土交通大臣の認定を受けたものでなければならない。(建築基準法施行令第129条の15第一号)

3.◯

接地極の施工である外周環状設置極は、0.5m以上の深さで壁から1m以上離して埋設するのが望ましい。(JIS A 4201:2003)

4.◯

受雷部システムで受けた雷撃を接地システムに導く引下げ導線システムは、被保護物に沿って雷電導線を引き下げる方法によるものほか、要件を満たす場合には、被保護物の鉄筋または鉄骨造を引下げ導線の構成部材として利用することができる

[ No.18 ]
空気調和設備に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.空気調和機は,一般にエアフィルタ,空気冷却器,空気加熱器,加湿器等で構成される装置である。

2.冷却塔は,温度上昇した冷却水を,空気と直接接触させて気化熱により冷却する装置である。

3.二重ダクト方式は,2系統のダクトで送られた温風と冷風を,混合ユニットにより熱負荷に応じて混合量を調整して吹き出す方式である。

4.ファンコイルユニット方式における2管式の配管方式は,ゾーンごとに冷暖房の同時運転が可能で,室内環境の制御性に優れている。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

空気調和機は,室内に温度を調整した空気を送る機器をいう。一般にエアフィルタ,空気冷却器,空気加熱器,加湿器、送風機等で構成される装置である。

2.◯

冷却塔は、冷凍機内で温度上昇した冷却水を、空気と直接接触させて、一部の冷却水を蒸発させ、気化熱により残りの冷却水を冷却する装置である。

3.◯

二重ダクト方式とは、温風ダクト、冷却ダクトの2系統のダクトから送られた温風と冷風とを吹出し口近傍の混合ユニットにより混合し、各所に吹き出す方式である。

4.×

ファンコイルユニット方式の2管式配管は、温水及び冷水を往き還りの2本の配管で循環させる方式である。

設問の記載は、冷水配管、温水配管の往き管に対してそれぞれ還り菅を設け、各ユニットあるいは系統ごとに同時、自由に冷房・暖房を行うことができる方式で、ファンコイルユニット方式の4管式である。4菅式は各系統ごとに運転が可能で、室内環境の制御性に優れている。

[ No.19 ]
消火設備に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.不活性ガス消火設備は,二酸化炭素等の消火剤を放出するもので,酸素濃度の希釈効果や気化するときの熱吸収による冷却効果により消火するものである。

2.開放型スプリンクラー設備は,火災感知装置の作動,又は手動起動弁の開放によって放水区域のすべての開放型スプリンクラーヘッドから一斉に散水するものである。

3.泡消火設備は,特に低引火点の油類による火災の消火に適し,主として泡による窒息効果により消火するものである。

4.屋外消火栓設備は,散水ヘッドを消火活動が困難な場所に設置し,地上階の連結送水口を通じて消防車から送水して消火するものである。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

不活性ガス消火設備は,二酸化炭素等の消火剤を放出することにより、酸素濃度の希釈効果や気化するときの熱吸収による冷却効果により消火するものである。消火剤がガスであるので、消火後の破損は少なく、電気や油火災及び水損を嫌うコンピューターや電気通信機室あるいは図書館や美術館等に設置される。

2.◯

開放型スプリンクラー設備は,火災感知装置の作動,又は手動起動弁の開放によって放水区域のすべての開放型スプリンクラーヘッドから一斉に散水する設備であり、劇場などの舞台部に設置される。

3.◯

泡消火設備は,特に引火点の低い油類による火災の消火に適し,で可燃物を覆い、空気を遮断して酸素の供給を断つことによる窒息効果により消火するものである。

4.×

散水ヘッドを消火活動が困難な場所に設置し,地上階の連結送水口を通じて消防車から送水して消火するものは、連結散水設備(サイヤミーズコネクション)である。

屋外消火栓設備は、屋外から消火活動ができるようにするための消防用設備で、主に建物の1階から2階で火災が発生した際に、隣接する建物への延焼を防ぐことが目的で、屋外からの消火活動に用いられる。建物の各部分からホース接続口までの水平距離が40m以下となるように設置する。

[ No.20 ]
工事費における共通費に関する記述として,「公共建築工事共通費積算基準(国土交通省制定)」上,誤っているものはどれか。

1.現場事務所,下小屋に要する費用は,共通仮設費に含まれる。

2.共通的な工事用機械器具(測量機器,揚重機械器具,雑機械器具)に要する費用は,共通仮設費に含まれる。

3.消火設備等の施設の設置,隣接物等の養生に要する費用は,現場管理費に含まれる。

4.火災保険,工事保険の保険料は,現場管理費に含まれる。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

現場事務所、下小屋に要する費用は,共通仮設費に含まれる。

2.◯

共通的な工事用機械器具(測量機器,揚重機械器具,雑機械器具)に要する費用は,共通仮設費に含まれる。

3.×

消火設備等の施設の設置,隣接物等の養生/に要する費用は,共通仮設費に含まれる。

現場管理費 は、労務管理費、租税公課、保険料 、従業員給料手当である。

公共建築工事算定基準

4.◯

火災保険,工事保険の保険料は,現場管理費に含まれる。

1級建築施工管理技士 令和06年 学科 問題4 解説

問題番号[ No.21 ]〜[ No.30 ]までの10問題のうちから、8問題を選択し、解答してください。
なお、8問題を超えて解答した場合、減点となりますから注意してください。
問題は四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。

[ No.21 ]
乗入れ構台の計画に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.道路から乗入れ構台までの乗込みスロープは,勾配を1/8とした。

2.クラムシェルが作業する乗入れ構台の幅は,ダンプトラック通過時にクラムシェルが旋回して対応する計画とし,8mとした。

3.乗入れ構台の支柱の位置は,作業の合理性や安全性を考慮し,使用する施工機械や車両配置を最優先して決めた。

4.山留めの切梁支柱と乗入れ構台の支柱は,荷重に対する安全性を確認した上で兼用した。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

道路から乗入れ構台までの乗込みスロープの勾配は、一般に1/10〜1/6とする。(建築工事監理指針)

2.◯

乗入れ構台の幅員は、使用する施工機械、車両、アウトリガーの幅、配置及び動線等により決定する。通常計画される幅員は、4〜10mである。最小限1車線4m、2車線6m程度は必要である。また、クラムシェルが作業する乗入れ構台の幅は,ダンプトラック通過時にクラムシェルが旋回して対応する計画とし,8〜10mとする。(JASS2)

3.×

乗入れ構台の支柱の位置は、地下構造図と重ね合わせるなどして、基礎、柱、梁及び耐力壁の位置重ならないように配置し、支柱の間隔は 3~6m程度として計画する。

4.◯

乗入れ構台の支柱と山留めの切梁支柱を兼用する場合は、荷重に対する安全性を確認した上で兼用する。

[ No.22 ]
土質試験に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.圧密試験により,砂質土の沈下特性を求めることができる。

2.三軸圧縮試験により,粘性土のせん断強度を求めることができる。

3.原位置における透水試験により,地盤に人工的に水位差を発生させ,水位の回復状況から透水係数を求めることができる。

4.粒度試験で求められた土粒子粒径の構成により,透水係数の概略値を推定することができる。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

圧密試験粘性土に荷重を加え、地盤の沈下を解析するために、必要な沈下特性(沈下量と沈下速度)を測定する試験である。

2.◯

粘性土のせん断強度は、一面せん断試験、一軸圧縮試験、三軸圧縮試験によって求めることができる。

3.◯

原位置における透水試験は、単一のボーリング孔あるいは単一の井戸を利用して、水位を一時的に低下または上昇させ、平衡状態に戻る時の水位変化を経時的に測定して、地盤の透水係数を測定する試験である。

4.◯

粒度試験は、土の粒度組成をグラフ化し、土を構成する土粒子の粒径の分布状態を把握する試験である。この試験でで求められた土粒子粒径の構成により,透水係数の概略値を推定することができる。また、均等係数や細粒分含有率など粒度特性を表す指標を得ることができる。

[ No.23 ]
ソイルセメント柱列壁工法を用いた山留め壁に関する一般的な記述として,最も不適当なものはどれか。

1.剛性や遮水性に優れており,地下水位の高い軟弱地盤にも適している。

2.削孔撹拌速度は土質によって異なるが,引上げ撹拌速度は土質によらずおおむね同じである。

3.単軸オーガーによる削孔は,大径の玉石や礫が混在する地盤に用いられる。

4.セメント系注入液と混合撹拌する原位置土が粗粒土になるほど,ソイルセメントの一軸圧縮強度は小さくなる。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

ソイルセメント柱列壁工法は、山留め壁としてセメントミルクを注入しつつ、その位置の土を攪拌してソイルセメント壁を造成し、骨組みにH鋼等を建込む工法であり、剛性や遮水性に優れている地下水位の高い軟弱地盤にも適している。

2.◯

ソイルセメント柱列壁工法の削孔撹拌速度は、砂質土や粘性土などの土質によって異なる/が,引上げ撹拌速度は土質によらずおおむね同じである。

3.◯

オーガーには、単軸オーガー多軸オーガーとがあり、単軸オーガーによる削孔は,大径の玉石や礫が混在する地盤に用いられる。

4.×

セメント系注入液と混合撹拌する原位置土が粗粒土になるほど、ソイルセメントの一軸圧縮強度は大きくなる

[ No.24 ]
場所打ちコンクリート杭の施工に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.鉄筋かごの主筋と帯筋の交差部は,すべて溶接により接合した。

2.アースドリル工法の掘削深さは,検測器具を用いて,孔底の外周部に近い位置で4か所確認した。

3.杭頭部の余盛り高さは,孔内水があったため,800mm以上とした。

4.リバース工法における二次孔底処理は,トレミー管とサクションポンプを連結し,スライムを吸い上げた。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

鉄筋かごの主筋と帯筋は、原則として鉄線で結束して組み立てる。帯筋の継手は片面10d以上のフレアグルーブアーク溶接とする。(JASS4)

2.◯

アースドリル工法の掘削深さは,検測テープ等の検測器具を用いて,孔底の外周部に近い位置で2か所以上で確認する。

3.◯

杭の上部に余分に盛ったコンクリートである杭頭部の余盛り高さは,掘削孔内に水がない場合は50cm以上、掘削孔内に水がある場合は80cm以上確保する。(JASS4)これは、セメントミルク内のレイタンス等の不純物が杭上部で固まってしまう可能性があるので、それらを杭頭はつりで撤去するためである。

4.◯

リバース工法における二次孔底処理は、一般にコンクリート打設用のトレミー管サクションポンプ(吸込みポンプ)を連結して、孔底の泥状沈殿物であるスライムを吸い上げて排出する。

[ No.25 ]
異形鉄筋の継手及び定着に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.径の異なる鉄筋相互の重ね継手の長さは,太いほうの径により算定する。

2.D35以上の鉄筋には,原則として,重ね継手を用いない。

3.180°フック付き重ね継手の長さは,フックの折曲げ開始点間の距離とする。

4.梁の主筋を重ね継手とする場合,水平重ね又は上下重ねのいずれでもよい。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

径の異なる鉄筋相互の重ね継手の長さは,細いほうの径により算定する。(建築基準法施行令第73条第2項)

2.◯

D35以上の異形鉄筋には、原則として重ね継手を用いない。(JASS5)

3.◯

180°フック付き重ね継手の長さは、フックの折曲げ開始点間の距離とする。

4.◯

梁主筋を重ね継手は、水平重ねまたは上下重ねとする。ただし、重ね継手部分であっても、あばら筋(スターラップ)により確実に拘束される必要がある。

[ No.26 ]
型枠工事に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.等価材齢換算式による方法で計算した圧縮強度が所定の強度以上となったため,柱のせき板を取り外した。

2.合板せき板のたわみは,単純支持で計算した値と両端固定で計算した値の平均値とした。

3.コンクリートの施工時の側圧や鉛直荷重に対する型枠の各部材のたわみの許容値は,2mm以下とした。

4.固定荷重の計算に用いる型枠の重量は,0.4kN/m2とした。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

等価材齢換算式とは、コンクリートの温度の影響を等価な材料に換算した式によって計算する方法である。等価材齢換算式による方法で計算した圧縮強度所定の強度以上となった場合、柱のせき板取り外してもよい

2.×

合板せき板のたわみは,各支点間を単純梁として計算する。

3.◯

型枠の各部材の許容たわみは3mmとする。許容たわみはコンクリート面に要求される仕上り精度によって決めるべきであり、計算上のたわみ設定2mm以下を目安とすることが望ましい。(型枠の設計・施工指針)

4.◯

普通コンクリートでは固定荷重の計算に用いる場合、型枠の自重は400N/m2とする。(型枠の設計・施工指針)

[ No.27 ]
コンクリートの養生に関する記述として,最も不適当なものはどれか。ただし,計画供用期間の級は標準とする。

1.早強ポルトランドセメントを用いたコンクリートの湿潤養生の期間は,普通ポルトランドセメントを用いた場合と同じである。

2.連続的に散水を行って水分を供給する方法による湿潤養生は,コンクリートの凝結が終了した後に行う。

3.打込み後のコンクリートが透水性の低いせき板で保護されている場合は,湿潤養生と考えてもよい。

4.マスコンクリートは,内部温度が上昇している期間は,コンクリート表面部の温度が急激に低下しないように養生を行う。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

コンクリートの湿潤養生の期間は、JASS5では、早強ポルトランドセメントを用いた場合には3日以上、普通ポルトランドセメントを用いた場合には5日以上としている。(JASS5)

2.◯

コンクリート養生は連続的または断続的散水噴霧等を行う。湿潤養生は,コンクリートの凝結が終了した後に開始する。(JASS5)

3.◯

打込み後のコンクリートが透水性の低いせき板で保護されている場合は,湿潤養生と考えてもよい。(建築工事監理指針)

4.◯

マスコンクリートは,部材断面の最小寸法が大きく、かつ、セメントの水和熱による温度上昇で有害なひび割れが入るおそれのある部分のコンクリートをいう。部分断面が大きいため、内部温度が上昇している期間は、コンクリート表面部の温度が急激に低下しないように養生を行う。

[ No.28 ]
大空間鉄骨架構の建方に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.スライド工法は,作業構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後,所定位置まで順次滑動横引きしていき,最終的に架構全体を構築する工法である。

2.移動構台工法は,移動構台上で組み立てた屋根鉄骨を,構台と共に所定の位置に移動させ,先行して構築した架構と連結する工法である。

3.ブロック工法は,地組みした所定の大きさのブロックを,クレーン等で吊り上げて架構を構築する工法である。

4.リフトアップ工法は,地上又は構台上で組み立てた屋根等の架構を,先行して構築した構造物等を支えとしてジャッキにより引き上げていく工法である。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

スライド工法は、作業構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、そのユニットを所定位置まで順次滑動横引きしていき、最終的に架構全体を構築する工法である。

2.×

移動構台工法は、移動構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、構台を移動させ、順次架構を構築する工法である。

3.◯

ブロック工法とは、地組みした所定の大きさのブロックをクレーン等で吊り上げて架構を構築する工法である。

4.◯

リフトアップ工法は、地上又は構台上で組み立てた屋根等の架構を、先行して構築した構造物を支えとしてジャッキ等により引き上げていく工法である。

[ No.29 ]
木質軸組構法に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.アンカーボルトと土台の緊結は,アンカーボルトのねじ山がナットの外に3山以上出るようにした。

2.接合に用いるラグスクリューは,先孔にスパナを用いて回しながら締め付けた。

3.ラグスクリューのスクリュー部の先孔の径は,スクリュー径の+2mmとした。

4.接合金物のボルトの締付けは,座金が木材へ軽くめり込む程度とした。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

アンカーボルトと土台の緊結は、座金とナットが十分に締まり、かつ、ねじ山2〜3山以上出るようにする。(公共建築木造工事標準仕様書 6.5.3(4))

2.◯

木材の接合等に用いるラグスクリュー(ヘッドがナッド状の木ねじ)の締付けは、そのまま締め付けると木材が割れるので、先に孔を開けてから、スパナを用いて回しながら締め付ける。

3.×

接合金物のボルトの孔あけ加工の大きさは、ねじの呼びがM16未満の場合は公称軸径に 1mmを加えたものとし、M16以上の場合は 1.5mmを加えたものとする。(公共建築木造工事標準仕様書)

4.◯

接合金物のボルトの締付けは、座金が木材へ軽くめり込む程度とし、工事中、木材の乾燥収縮により緩んだナットを締め直す

[ No.30 ]
建設機械に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.工事用エレベーターは,定格速度が0.75m/sを超える場合,次第ぎき非常止め装置を設ける。

2.ジブクレーンの定格荷重とは,負荷させることができる最大の荷重から,フック等のつり具の重量に相当する荷重を控除したものをいう。

3.アームを有しないゴンドラの積載荷重とは,その構造上作業床に人又は荷をのせて上昇させることができる最大の荷重をいう。

4.ロングスパン工事用エレベーターは,搬器の傾むきが1/8の勾配を超た場合,動力を自動的に遮断する装置を設ける。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

工事用エレベーターは、定格速度が0.75m/sを超える場合、次第ぎき非常止め装置を設ける。非常止め装置には、「早ぎき式」と「次第ぎき式」があり、次第ぎき式は、かごの落下を徐々に減速させる。

2.◯

クレーンの定格荷重とは、その構造及び材料並びにジブ若しくはブームの傾斜角及び長さまたはジブの上におけるトロリの位置に応じて負荷させることができる最大の荷重から、それぞれフック等のつり具の重量に相当する荷重を控除した荷重をいう。(クレーン等安全規則第1条第六号)

3.◯

アームを有するゴンドラにあっては、アームを最小の傾斜角にした状態において、その構造上作業床に人または荷をのせて上昇させることができる最大の荷重をいう。(ゴンドラ安全規則第1条第二号イ)

4.×

ロングスパン工事用エレベーターは、機械自体の傾きが 1/10の勾配を超えると自動停止装置が作動するように設定しなければならない。(エレベーター構造規格第32条第三号)

1級建築施工管理技士 令和06年 学科 問題5 解説

問題番号[ No.31 ]〜[ No.40 ]までの10問題のうちから、7問題を選択し、解答してください。
なお、7問題を超えて解答した場合、減点となりますから注意してください。
問題は四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。

[ No.31 ]
合成高分子系ルーフィングシート防水に関する記述として,最も不c適当なものはどれか。

1.加硫ゴム系シート防水の接着工法において,立上り部と平場部の接合部のシートの重ね幅は150mm以上とした。

2.塩化ビニル樹脂系シート防水の接着工法において,シート相互を熱風融着で接合した。

3.塩化ビニル樹脂系シート防水の接着工法において,出入隅角の処理は,シートの張付け前に成形役物を張り付けた。

4.エチレン酢酸ビニル樹脂系シート防水の密着工法において,平場部の接合部のシートの重ね幅は,幅方向,長手方向とも100mm以上とした。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

加硫ゴム系シート防水接着工法において、重ね幅は平場部の接合部は100mm以上、立上り部と平場部の接合部は150mm以上とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編9.4.4(6)(エ)(a))

2.◯

塩化ビニル樹脂系シート防水の接着工法において,シート相互の接合には、熱風融着または溶着剤により行う。

3.×

塩化ビニル樹脂系シート防水工法の接着仕様の場合、出隅角はシート施工後、成形役物を張り付け、その端部はシール材を用いて処理する。(JASS8)

4.◯

エチレン酢酸ビニル樹脂系シート相互の接合部は、原則として水上側のシートが水下側のシートの上になるように張り重ね、その平場部のシートの重ね幅は、幅方向、長手方向とも100mm以上とする。(JASS8)

[ No.32 ]
長尺亜鉛鉄板葺に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.塗装溶融亜鉛めっき鋼板を用いた際の留付け用のドリリングタッピンねじは,亜鉛めっき製品を使用した。

2.心木なし瓦棒葺の通し吊子は,平座金を付けたドリリングタッピンねじで,下葺材,野地板を貫通させて鉄骨母屋に固定した。

3.横葺の葺板の継手位置は,縦に一直線状とならないように,千鳥に配置した。

4.平葺の葺板の上はぜと下はぜは,折返し幅を同寸法とした。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

塗装溶融亜鉛めっき鋼板を用いた金属板葺の留付け用釘類は、溶融亜鉛めっき釘またはステンレス鋼釘とする。

2.◯

通し吊子はマーキングに合わせて平座金を付けたドリリングタッピンねじで下葺材、野地板を貫通させて母屋に固定する。(JASS12)

3.◯

横葺の葺板の継手位置は、目違い継ぎ、一文字継ぎ、廻し継ぎとし、直継ぎは行わない

4.×

平葺きの葺板の周囲四辺には、はぜを付け、上はぜは15mm、下はぜは18mm程度とする。

[ No.33 ]
軽量鉄骨壁下地に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.間仕切壁の出入口開口部の縦の補強材は,上端部を軽量鉄骨天井下地に取り付けたランナに固定した。

2.スタッドの高さが4.5mであったため,区分記号90形のスタッドを用いた。

3.スペーサは,スタッドの端部を押さえ,間隔600mm程度に留め付けた。

4.コンクリート壁に添え付くスタッドは,上下のランナに差し込み,コンクリート壁に打込みピンで固定した。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

出入口等の開口部の垂直方向の補強材は、上部ランナーが鋼製天井下地材に取り付けられる場合でも、上部は梁下、スラブ下に固定する。(建築工事監理指針)

2.◯

スタッドには、50形、65形、75形、90形、100形の種類がある。

それぞれの断面によって長さの制限がある。

 ① 50形:2,700 mm以下

 ② 65形:4,000 mm以下

 ③ 75形:4,000 mm以下

 ④ 90形:4,000 mm超〜4,500 mm以下

 ⑤ 100形:4,500 mm超~5,000 mm以下

3.◯

スペーサは、各スタッドの端部を押さえ,間隔600mm程度に留め付ける。(公共建築工事標準仕様書建築工事編14.5.4(4))

4.◯

スタッドがコンクリート壁に添え付く場合は、上下のランナに差し込み、打込みピンコンクリート壁に固定する。

[ No.34 ]
防水形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材(防水形複層塗材E)仕上げに関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.プレキャストコンクリート面の下地調整において,仕上塗材の下塗材で代用ができたため,合成樹脂エマルションシーラーを省略した。

2.屋外に面するALCパネル面の下地調整において,合成樹脂エマルションシーラーを塗り付けた上に,下地調整材C-1を塗り付けた。

3.主材の基層塗りは,1.7kg/m2を1回塗りとし,下地を覆うように塗付つけた。

4.主材の模様塗りは,1.0kg/m2を1回塗りとし,ローラー塗りによりゆず肌状に仕上げた。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

プレキャストコンクリート面の下地調整は、合成樹脂エマルションシーラー全面に塗りつける。ただし、仕上塗材の下塗材で代用する場合は、省略することができる。(公共建築工事標準仕様書建築工事編15.6.5(2)(イ))

2.◯

屋外に面するALCパネル面の下地調整は、仕上塗材の製造所の仕様により下地調整塗材C-1または下地調整塗材Eを全面に塗り付けて平滑にする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編15.6.5(4))

3.×

主材の基層塗りは2回塗りとし、だれ、ピンホール、塗り残しのないよう下地を覆うように塗り付ける。主材基層の所要量は、1.7 kg/m2 以上とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 表15.6.1その3)

4.◯

主材の模様塗りは,0.9kg/m2を1回塗りで、見本と同様の模様になるように塗り付け、ゆず肌状仕上げは、ローラー塗り工法により行う。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 表15.6.1その3)

[ No.35 ]
アルミニウム製建具工事に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.外部建具周囲の充填モルタルは,NaCl換算0.04%(質量比)以下まで除塩した海砂を使用した。

2.建具枠に付くアンカーは,両端から逃げた位置にあるアンカーから,間隔を600mmで取り付けた。

3.水切りと下枠との取合いは,建具枠回りと同一のシーリング材を使用した。

4.建具の組立てにおいて,隅部の突付け小ねじ締め部分にはシーリング材を充填した。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

充填モルタルに使用する砂の塩化物量は、NaCl換算0.04%(質量比)以下とする。海砂等を使用する場合は除塩する。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 表15.6.3(6)、表15.3.3)

2.×

アンカーの位置は、開口部より 150mm内外を端とし、中間は500mm内外の間隔とする。アンカーと差し筋は最短距離で溶接する。(JASS16)

3.◯

水切りと下枠との取合いは,建具枠回りと同一のシーリング材を用いる。

4.◯

建具の組立てにおいて,隅部の突付け小ねじ締め部分は、漏水防止のためシーリング材またはシート状の止水材を使用する。

[ No.36 ]
塗装工事に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.コンクリート面のアクリル樹脂系非水分散形塗料塗りにおいて,下塗り,中塗り,上塗りともに同一つ材料を使用し,塗付つけ量はそれぞれ0.10kg/m2とした。

2.常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗りにおいて,塗料を素地に浸透させるため,下塗りはローラーブラシ塗りとした。

3.2液形ポリウレタンエナメル塗りにおいて,気温が20℃であったため,中塗り後から上塗りまでの工程間隔時間を16時間とした。

4.合成樹脂エマルションペイント塗りにおいて,流動性を上げるため,有機溶剤で希釈して使用した。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

アクリル樹脂系非水分散形塗料塗りの工程は、下塗り,中塗り,上塗りの順に同じ塗料を用い,塗付け量はそれぞれ0.10kg/m2とする。(JASS8)

2.◯

常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗りは、塗料を素地に浸透させるために、下塗りはローラーブラシ塗りとする。

3.◯

2液形ポリウレタンエナメル塗りの中塗り後から上塗りまでの工程間隔時間は、準条件下においてを16時間以上7日以内とする。

4.×

合成樹脂エマルションペイントは、合成樹脂重合エマルションやラテックスをベースとして、着色顔料や体質顔料・補助剤・添加剤等を加えた水系塗料で、水による希釈が可能で、加水して塗料に流動性をもたせることができる。(JASS18)

[ No.37 ]
合成樹脂塗床に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.厚膜型のエポキシ樹脂系塗床の主剤と硬化剤の1回の練混ぜ量は,30分で使い切れる量とした。

2.弾性ウレタン樹脂系塗り床のウレタン樹脂の1回の塗布量は,2kg/m2を超えないようにした。

3.エポキシ樹脂系塗床の流しのべ工法では,塗床材の自己水平性が高いため,下地コンクリートは木ごて仕上げとした。

4.プライマー塗りにおいて,下地への吸込みが激しい部分は,プライマーを再塗布した。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

樹脂における主剤と硬化剤の1回の練混ぜ量は,通常30分以内に使い切れる量とする。夏季は硬化反応が早くなるので、これよりも短時間を設定することが望ましい。(JASS26)

2.◯

ウレタン樹脂は、硬化する時に少量のガスを発生することがあり、1回の塗厚があまり厚いと内部にガスを封じ込めて仕上り不良となるので、1回の塗布量は、2kg/m2(硬化物比重 1.0の場合で塗り付け厚さ 2mm)以下とし、これを超える場合が塗り回数を増やす。(建築工事監理指針)

3.×

エポキシ樹脂系塗床の流しのべ工法では、調合した流しのべ材を下地塗装面に金ごてなどで1〜3mm程度の厚みに塗布し、材料の自己流動性で、平滑な塗膜を得る工法である。(JASS26)

4.◯

プライマーの吸込みが激しく、膜厚を形成しな場合は,全体が硬化した後吸い込みが止まるまで数回にわたって塗りつける。

[ No.38 ]
鉄筋コンクリート構造の建物内部の断熱工事に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.硬質ウレタンフォーム吹付け工法において,随時吹付け厚さを測定しながら作業し,厚さの許容誤差を−5mmから+10mmとして管理した。

2.硬質ウレタンフォーム吹付け工法において,ウレタンフォームには自己接着性があるため,コンクリート面に接着剤を塗布しなかった。

3.押出法ポリスチレンフォーム張付け工法において,下地面の不陸が最大3mmであったため,接着剤を厚くして調整することで不陸に対応した。

4.押出法ポリスチレンフォーム打込み工法において,断熱材の継目にコンクリートがはみ出している箇所は,Vカットした後に断熱材現場発泡工法により補修した。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

作業者は吹付け作業中ワイヤーゲージ等を用いて随時厚みを測定する。吹付け厚さの許容誤差は 0 から +10mmとする。(建築工事監理指針)

2.◯

ウレタンフォームは自己接着性を有しているので、硬質ウレタンフォーム吹付け工法において、吹き付ける前にコンクリート面に接着剤を塗布する必要はない

3.◯

押出法ポリスチレンフォーム張付け工法において,断熱材を張り付ける下地コンクリート面の不陸は3mm以下とする。数ミリメートル程度であれば、接着剤を厚くして調整するによっても調整できるが、これを超える場合は、グラインダーなどで平滑にすることで望ましい。(JASS24)

4.◯

押出法ポリスチレンフォーム打込み工法において、断熱材の継目にコンクリートがはみ出している場合は、一般には使用断熱材または簡易発泡硬質ウレタンフォームによりそのまま補修する。継目の幅が大きい場合は、Vカットした後に補修する。

[ No.39 ]
外壁の押出成形セメント板横張り工法に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.高湿度の環境となる部分に用いるパネル取付け金物(Zクリップ)は,溶融亜鉛めっき処理を行ったものを使用した。

2.パネルは,層間変形に対してスライドにより追随するため,縦目地を15mm,横目地を10mmとした。

3.パネル取付け金物(Zクリップ)は,パネル左右端部の位置に取り付け,下地鋼材に溶接した。

4.パネルは,積上げ枚数5枚ごとに構造体に固定した自重受け金物で受けた。

答え

  4

[ 解答解説 ]

外壁パネル工法の種別は、A種 縦張り工法(ロッキング方式)とB種 横張り工法(スライド方式)がある。本問題は、横張り工法に関する記述であるので注意する。

1.◯

パネル取付け金物(Zクリップ)及び自重受金物の防錆処理は、原則として電気亜鉛めっき、高湿度の環境となる部分に用い場合は、溶融亜鉛めっきとする。(JASS27)

2.◯

長辺の目地幅(横目地)は10mm以上短辺の目地幅(縦目地)は15mm以上とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 8.5.3(9))

3.◯

層間変形に対して、縦張り工法の場合はロッキング、横張り工法の場合はパネルのスライドにより変異を吸収する。また、横張り工法のパネル取付け金物(Zクリップ)は、パネル左右端部の下地鋼材に取り付ける。(JASS 27)

4.×

横張り工法のパネルは、パネル2〜3枚ごとに荷重受けが必要である。(建築工事監理指針)

[ No.40 ]
鉄筋コンクリート構造の建築物の外壁改修工事に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.小口タイル張り仕上げにおいて,タイル陶片のみ浮きが発生している部分は,浮いているタイルを無振動ドリルで穿孔して,注入口付アンカーピンニングエポキシ樹脂注入タイル固定工法で改修した。

2.小口タイル張り仕上げにおいて,下地モルタルを含むタイル陶片の剥落欠損が発生していたため,ポリマーセメントモルタルを用いたタイル張替え工法で改修した。

3.外壁コンクリート打放し仕上げにおいて,生じたひび割れの幅が2.0mmで挙動のおそれがあったため,可とう性エポキシ樹脂を用いたUカットシール材充填工法で改修した。

4.外壁コンクリート打放し仕上げにおいて,生じたひび割れの幅が0.1mmで挙動のおそれがなかったため,パテ状エポキシ樹脂を用いたシール工法で改修した。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

注入口付アンカーピンニングエポキシ樹脂注入タイル固定工法は、タイル陶片の浮きに適用する唯一の工法で、無振動ドリルの注入口付アンカーピンの開発によって可能になった工法である。タイルの中心に穿孔するので、小口タイル以上の大きさのタイルの浮きの補修に適した工法である。

2.◯

小口タイル張り仕上げにおいて、下地モルタルを含むタイル陶片の剥落欠損が発生しいる場合は、ポリマーセメントモルタルを用いたタイル張替え工法で改修する。

3.×

Uカットシール材充填工法は、コンクリートやモルタルなどのひび割れをダイヤモンドカッターなどでU字型にカッティングして弾性シーリング材等を充填する工法で、挙動しない1.0mmを超えるひび割れ、及び挙動する0.2mm以上1.0mm以下のひび割れに適用する。挙動のおそれのあるひび割れには可とう性エポキシ樹脂、軟質形エポキシ樹脂、ほとんど挙動しないひび割れには硬質形エポキシ樹脂を用いる。

4.◯

外壁コンクリート打放し仕上げにおいて、生じたひび割れの幅が0.2mm未満で挙動のおそれがない場合には、パテ状エポキシ樹脂を用いたシール工法で改修する。

1級建築施工管理技士 令和06年 学科 問題6 解説

問題番号[ No.41 ]〜[ No.44 ]までの4問題全問題を解答してください。
問題は四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。

[ No.41 ]
建築工事における事前調査や準備作業に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.掘削深さや地盤条件に応じた山留めを設けることとしたため,隣接建物の基礎構造形式の調査を省略した。

2.軒の高さが9mの木造住宅の解体工事計画に当たって,石綿等を含有する建材がなかったため,建設工事計画届は提出しないこととした。

3.敷地内の排水工事計画に当たって,排水管の勾配が公設桝まで確保できるか調査することとした。

4.請負代金が1,000万円のアスファルト舗装駐車場の撤去工事計画に当たって,再資源化施設の場所を調査することとした。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

掘削深さや地盤条件に応じた山留めを設ける場合は,隣接建物の基礎構造形式や深さの調査をする必要がある

2.◯

労働安全衛生法第88条第3項の厚生労働省令で定める仕事のうち、建築物、工作物または船舶に張り付けられている石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材(耐火性能を有する被覆材をいう。)等の除去、封じ込めまたは囲い込みの作業(石綿等の粉じんを著しく散布するおそれのあるものに限る。)を行う仕事は建設工事計画届を提出しなければならないが、石綿などを含有する建材が無い場合は、当該届を提出しなくてよい。(労働安全衛生規則第90条第五の三号)

3.◯

一般に、敷地内の排水工事の事前調査では、公設桝まで排水管の勾配確保に関する調査等が実施される。

4.◯

アスファルト舗装駐車場の撤去後、建設副産物アスファルトがらが発生する。アスファルトがら再資源にするため、アスファルト舗装駐車場の撤去工事計画に当たって、再資源化施設の場所調査する必要がある。(建設工事に係る資材の再資源化に関する法律第16条、同施行規則第3条)

[ No.42 ]
施工計画に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.大深度の土工事において,不整形な平面形状であったため,逆打ち工法とした。

2.土工事において,3次元の測量データ,設計データ及び衛星位置情報を活用するICT建設機械による自動掘削とした。

3.鉄筋工事において,工期短縮のため,柱や梁の鉄筋を先組み工法とし,継手は機械式継手とする計画とした。

4.鉄骨工事において,鉄骨の建方精度を確保するため,できるだけ大きなブロックにまとめて建入れ直しを行う計画とした。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

地下躯体工事と並行して上部躯体を施工する逆打ち工法は、大規模大深度の工事で不整形な平面形状において工期短縮が有効な計画である。

2.◯

土工事の施工計画において、TS(トータルステーション)やGNSS(衛星測位システム)を用いた3次元の測量データ、設計データ及び衛星位置情報を活用して、ICT建設機械による自動掘削が可能となっている。

3.◯

鉄筋工事において、柱や梁の鉄筋を先組み工法とし、継手は機械式継手とする計画は、工期短縮に有効である。

4.×

鉄骨工事における建方精度を確保するためには、建方の進行とともにできるだけ小区画に区切って建入れ直しを行う計画とする。

[ No.43 ]
施工者が作成する工事の記録等に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.発注者から直接工事を請け負った建設業者が作成した発注者との打合せ記録のうち,発注者と相互に交付したものではないものは,保存しないこととした。

2.建設工事の施工において作成した施工体系図は,元請の特定建設業者が当該建設工事の目的物の引渡しをしたときから10年間保存することとした。

3.建設工事の施工において必要に応じて作成した完成図は,元請の建設業者が建設工事の目的物の引渡しをしたときから5年間保存することとした。

4.設計図書に定められた内容に疑義が生じたため,監理者と協議を行った結果,設計図書の訂正に至らない事項について,記録を整備することとした。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

発注者から直接工事を請け負った建設業者が作成した発注者との打合せ記録のうち、発注者と相互に交付したものを保存する。

2.◯、3.×

建設工事の施工上の必要において作成し、または発注者から受領した完成図、建設工事の施工上の必要に応じて作成した工事内容に関する発注者との打ち合わせ記録、施工体系図の保存はの保存期間は、請け負った建設工事ごとに、当該建設工事の目的物の引渡しをしたときから10年間とする。(建設業法施行規則第28条第2項)

4.◯

設計図書に定められた内容に疑義が生じた場合は、監理者と協議を行い、設計図書の訂正に至らない事項があった場合は、記録を整備する。

[ No.44 ]
工程の実施計画に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.高層集合住宅のタクト手法による工程計画において,作業期間がタクト期間の2倍となる作業には,その作業の作業班を2班投入して,切れ目のない工程とした。

2.高層事務所ビルの鉄骨建方計画において,タワークレーンによる鉄骨の取付け歩掛りは,1台1日当たり80ピースとして計画した。

3.一般的な事務所ビルの鉄骨建方計画において,建方用機械の鉄骨建方作業での稼働時間を1台1日当たり5時間30分として計画した。

4.一般的な事務所ビルの鉄骨建方計画において,タワークレーンの鉄骨建方作業のみに占める時間の割合を,65%として計画した。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

タクト手法は、主に繰り返し作業の工程管理に用いられる。作業を繰り返し行うことによる習熟効果によって生産性が向上する。作業期間がタクト期間の2倍となる作業は、その作業班を2班投入し、切れ目のない工程としなければならない。

2.x

タワークレーンは、1日当たり 40~50ピース程度とされている。トラッククレーンの揚重ピース数は、1日当たり 20~30ピース程度とされている。 (鉄骨工事技術指針・工場現場施工編)

3.◯

現場の作業時間を午前8時〜午後5時までの9時間とすると、9時間の60%は5時間24分となる。 (鉄骨工事技術指針・工場現場施工編)したがって、鉄骨建て方機械の稼働時間を1台1日当たり5時間30分として計画するのは不適当ではないと判断される。

4.◯

ビルの鉄骨建て方において、タワークレーンの鉄骨建方作業占有率(鉄骨建て方作業のみに占める時間の割合)は、同時期作業が多く、補助クレーンを用いる場合でおおむね60%前後とされている。(鉄骨工事技術指針・工場現場施工編)

1級建築施工管理技士 令和06年 学科 問題7 解説

問題番号[ No.45 ]〜[ No.50 ]までの6問題全問題を解答してください。
問題は四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。

[ No.45 ]
品質管理に関する記述として,最も適当なものはどれか。

1.品質管理は,品質計画の目標のレベルに係わらず,緻密な管理を行う。

2.品質管理は,品質の目標値を大幅に上回る品質が確保されていれば,優れた管理といえる。

3.品質管理は,品質計画を施工計画書に具体的に記述し,そのとおりに実施することである。

4.品質管理は,前工程より後工程に管理の重点を置くほうがよい。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.×

品質管理は,品質計画の目標のレベルに応じて,適切な計画を立てて管理を行う。

2.×

品質の目標値を大幅に上回る品質が確保されている場合、過剰品質として工期、コスト面から優れた品質管理とはいえない

3.◯

品質管理とは,工事中に問題点は改善方法などを見出しながら、合理的、かつ、経済的に施工することや、品質計画施工計画書に具体的に記述し,そのとおりに実施することである。

4.×

品質に与える影響が大きい前段階や生産工程の上流でできるだけ手を打つことを川上管理といい、施工段階より計画段階で検討する方がより効果的である。

[ No.46 ]
鉄筋コンクリート構造の建築物の解体工事における振動対策及び騒音対策に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.周辺環境保全に配慮し,振動や粉塵の発生が抑えられるコンクリートカッターを用いる切断工法を採用した。

2.内部スパン周りを先に解体し,外周スパンを最後まで残すことにより,解体する予定の躯体を防音壁として利用した。

3.振動レベル計の指示値が周期的に変動したため,変動ごとの指示値の最大値と最小値の平均を求め,その中の最大の値を振動レベルとした。

4.壁等を転倒解体する際の振動対策として,先行した解体作業で発生したガラを床部分に敷き,クッション材として利用した。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

鉄筋コンクリート造建築物の解体工事におけるコンクリートカッターを用いる切断工法は、振動や粉塵の発生を抑制できるので、周辺環境保全に配慮した工法である。

2.◯

内部スパン周りを先に解体し、外周スパンを最後まで残すことにより,解体する予定の外周スパンの躯体を防音壁として利用することは、振動、騒音対策として有効である。

3.×

振動レベルの測定器の指示値が周期的に変動する場合、変動ごとの指示値の最大値の平均を求め、その値を振動レベルとする

4.◯

壁等を転倒解体する際の振動対策として,先行した解体作業で発生したガラ(コンクリート破片)を床部分に敷き、クッション材として利用することは、振動、騒音の発生抑制に有効である

[ No.47 ]
足場に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.くさび緊結式足場の建地の間隔は,桁行方向2m,梁間方向1.2mとした。

2.つり足場の作業床は,幅を40cm以上とし,かつ,隙間がないようにした。

3.移動はしごは,丈夫な構造とし,幅は30cm以上とした。

4.移動式足場の作業床の周囲は,高さ90cmで中桟付きの丈夫な手すり及び高さ10cmの幅木を設置した。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

建地の間隔は、桁行方向 1.85m 以下、梁間方向 1.5m 以下とする。(労働安全衛生規則第571条第1項第一号)

2.◯

足場(一側足場を除く)における高さ2m以上の作業場所に設けなければならない作業床は、幅を40cm以上、床材間の隙間3cm以下とする。ただし、つり足場の場合は、床材間の隙間があってはならない。(労働安全衛生規則第563条第1項第二号)

3.◯

移動はしごは,丈夫な構造とし,著しい損傷、腐食等がなく、幅は30cm以上とすること。また、すべり止め装置の取付けその他転位を防止するために必要な措置を講じなければならない。(労働安全衛生規則第527条)

4.◯

移動式足場の作業床の周囲は、高さ90cm以上で中桟付きの丈夫な手すり及び高さ10cm以上の幅木を設けること。ただし、手すりと作業床との間に丈夫な金網等を設けた場合は、中残及び幅木を設けないことができる。(移動式足場の安全基準に関する技術上の指針3-6)

[ No.48 ]
特定元方事業者の講ずべき措置として,「労働安全衛生規則」上,定められていないものはどれか。

1.特定元方事業者と関係請負人との間及び関係請負人相互間における,作業間の連絡及び調整を随時行なうこと。

2.有機溶剤等を入れてある容器を集積する箇所を統一的に定め,これを関係請負人に周知させること。

3.関係請負人が新たに雇い入れた労働者に対し,雇入れ時の安全衛生教育を行なうこと。

4.作業用の仮設の建設物の配置に関する計画の作成を行なうこと。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

特定元方事業者と関係請負人との間及び関係請負人相互間における、作業間の連絡及び調整を随時行なうことと規定されている。(労働安全衛生規則第636条)

2.◯

特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所で行われる場所において、当該場所に有機溶剤等を入れてある容器が集積されときは、当該容器を集積する箇所を統一的に定め、これを関係請負人に周知させなければらない。(労働安全衛生規則第641条第1項柱書、第一号)

3.×

関係請負人が新たに雇い入れた労働者に対して、雇入れ時の安全衛生教育を行うのは、特定元方事業者ではない。雇入れ教育はその関係請負人の事業者が行う。(労働安全衛生規則第59条第1項)

4.◯

特定元方事業者は、同法30条第1項第五号の計画の作成については、工程表等の当該仕事の工程に関する計画並びに当該作業場所における主要な機械、設備及び作業用の仮設の建設物の配置に関する計画の作成しなければならない。(労働安全衛生規則第638条の3)

[ No.49 ]
ゴンドラに関する記述として,「ゴンドラ安全規則」上,誤っているものはどれか。

1.ゴンドラを使用して作業するときは,原則として,1月以内ごとに1回,定期に,自主検査を行なわなければならない。

2.ゴンドラを使用する作業を,操作する者に単独で行なわせるときは,操作の合図を定めなくてもよい。

3.ゴンドラを使用して作業を行なう場所については,当該作業を安全に行なうため必要な照度を保持しなければならない。

4.ゴンドラの検査証の有効期間は2年であり,保管状況が良好であれば1年を超えない範囲内で延長することができる。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

事業者は、ゴンドラを使用して作業するときは、原則として、1月以内ごとに1回、定期に、一定の事項について自主検査を行なわなければならない。ただし、1月を超える期間使用しないゴンドラの当該使用しない期間においては、この限りでない。(ゴンドラ安全規則第21条第1項柱書)

2.◯

事業者は、ゴンドラを使用して作業を行うときは、ゴンドラの操作について一定の合図を定め、合図を行う者を指名して、その者に合図を行わせなければならない。ただし、ゴンドラを操作する者に単独で行なわせるときは、この限りでない。(ゴンドラ安全規則第16条第1項)

3.◯

事業者は、ゴンドラを使用して作業を行なう場所については,当該作業を安全に行なうため必要な照度を保持しなければならない。(ゴンドラ安全規則第20条)

4.×

ゴンドラ検査証の有効期限は1年とする。ただし、製造検査または使用検査を受けた後、設置されていないゴンドラであって、その保管状況が良好であると都道府県労働局長が認めたものについては、当該ゴンドラの検査証の有効期間を製造検査または使用検査の日から起算して2年を超えず、かつ、当該ゴンドラを設置した日から起算して1年を超えない範囲で延長することができる。(ゴンドラ安全規則第9条)

[ No.50 ]
酸素欠乏危険作業に労働者を従事させるときの事業者の責務に関する記述として,「酸素欠乏症等防止規則」上,誤っているものはどれか。

1.酸素欠乏危険場所で空気中の酸素の濃度測定を行ったときは,その記録を3年間保存しなければならない。

2.酸素欠乏危険場所では,原則として,空気中の酸素の濃度を15%以上に保つように換気しなければならない。

3.酸素欠乏危険作業については,所定の技能講習を修了した者のうちから,酸素欠乏危険作業主任者を選任しなければならない。

4.酸素欠乏危険作業に就かせる労働者に対して,酸素欠乏危険作業に係る特別の教育を行わなければならない。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

事業者は、労働安全衛生法施行令第21条第九号に掲げる作業場について、その日の作業を開始する前に、当該作業場における空気中の酸素(第2種酸素欠乏危険作業に係る作業場にあっては、酸素及び硫化水素)の濃度を測定しなければならない。事業者は、測定を行ったときは、そのつど、測定日時、測定方法、測定箇所、測定条件、測定結果などを記録して、これを3年間保存しなければならない。(酸素欠乏症等防止規則第3条)

2.×

事業者は、酸素欠乏危険作業に労働者を従事させる場合は、当該作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を 18%以上(第2種酸素欠乏危険作業に係る場所にあっては、空気中の酸素の濃度を18%以上、かつ、硫化水素の濃度を100万分の10以下)に保つように換気しなければならない。ただし、爆発、酸化等を防止するため換気することができない場合または作業の性質上換気することが著しく困難は場合は、この限りでない。(酸素欠乏症等防止規則第5条第1項)

3.◯

事業者は、酸素欠乏危険作業については、第1種酸素欠乏危険作業にあっては酸素欠乏危険作業主任者技能講習または酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を終了した者のうちから、第2種酸素欠乏危険作業にあっては、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任技能者講習を終了した者のうちから、酸素欠乏危険作業主任者を選任しなければならない。(酸素欠乏症等防止規則第11条第1項)

4.◯

事業者は、第1種酸素欠乏危険作業に係る業務に労働者をつかせるときは、当該労働者に対し、特別の教育を行わなければならない。(酸素欠乏症等防止規則第12条第1項)

1級建築施工管理技士 令和06年 学科 問題8 解説

問題番号[ No.51 ]〜[ No.60 ]までの10問題は応用能力問題です。全問題を解答してください。
問題は五肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。

[ No.51 ]
鉄筋のガス圧接に関する記述として,最も不適当なものはどれか。ただし,鉄筋はSD345とする。

1.径の異なる鉄筋のガス圧接部のふくらみの直径は,細いほうの径の1.4倍以上とする。

2.圧接継手において鉄筋の長さ方向の縮み量は,1か所当たり鉄筋径の1.0~1.5倍を見込む。

3.同一径の鉄筋の圧接部における鉄筋中心軸の偏心量は,鉄筋径いの1/5以下とする。

4.圧接端面は平滑に仕上げ,ばり等を除去するため,その周辺を軽く面取りを行う。

5.鉄筋の圧接部の加熱は,圧接端面が密着するまでは中性炎で行い,その後は還元炎で行う。

答え

  5

[ 解答解説 ]

1.◯

径の異なる鉄筋のガス圧接部ふくらみの直径は、細いほうの径の1.4倍以上とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編5.4.4(ア))

2.◯

ガス圧接すると鉄筋の長さ方向に縮むので、鉄筋径の1.0~1.5倍程度の長さ方向の縮み量を、圧接継手において考慮する。(建築工事監理指針)

3.◯

圧接部における鉄筋中心軸の偏心量は、鉄筋径(径が異なる場合は細い方の鉄筋径)1/5以下であること。(公共建築工事標準仕様書建築工事編5.4.4(エ))

4.◯

圧接端面は平滑に仕上げ、その周辺は軽く面取りがされていることとする。

5.×

圧接部の加熱は、圧接端面が相互に密着するまでは還元炎(アセチレン過剰炎)で行い、その後は火力の強い中性炎(標準炎)で、圧接面を中心としてバーナー揺動幅を鉄筋径の2倍程度としながら加熱する。

[ No.52 ]
コンクリートの運搬,打込み及び締固めに関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.暑中コンクリートの荷卸し時のコンクリート温度は,35℃以下とした。

2.コンクリートの圧送負荷の算定に用いるベント管の水平換算距離は,ベント管の実長の3倍とした。

3.同一区画のコンクリート打込み時における打重ねは,先に打ち込まれたコンクリートの再振動可能時間以内に行った。

4.梁及びスラブの鉛直打継ぎ部は,スパンの中央付近に設けた。

5.コンクリート内部振動機(棒形振動機)による締固めにおいて,加振時間を1か所当たり60秒程度とした。

答え

  5

[ 解答解説 ]

1.◯

暑中コンクリートの荷卸し時のコンクリート温度は、原則として35℃以下とする。(JASS5)

2.◯

コンクリートポンプによる圧送には、圧送負荷の算定し、ポンプの能力と対比し判定する。圧送負荷の算定時、ベント管の水平換算距離距離は実長の3倍の長さがあるものとして計算する。

3.◯

同一区画のコンクリート打込み時における打重ね時間は、コールドジョイントを発生させないために、先に打ち込まれたコンクリートの再振動可能時間以内とする。

4.◯

梁及びスラブの鉛直打継ぎ部は、一般にせん断応力の小さいスパン中央付近または曲げ応力の小さいスパンの1/3~1/4付近に設ける。(建築工事監理指針)

5.×

コンクリート内部振動機で締め固める場合の加振時間は、打ち込まれたコンクリートがほぼ水平になり、コンクリート表面にセメントペーストが浮き上がる時間を標準とし、1箇所5~15秒の範囲とするのが一般的である。(建築工事監理指針)

[ No.53 ]
鉄骨の加工及び組立てに関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.鋼材は,自動ガス切断機で開先を加工し,著しい凹凸が生じた部分を修正した。

2.鉄骨鉄筋コンクリート構造において,鉄骨柱と鉄骨梁の接合部のダイアフラムに,コンクリートの充填性を考慮して,空気孔を設けた。

3.490N/mm2級の鋼材において,孔あけにより除去される箇所にポンチでけがきを行った。

4.公称軸径が24mmの高力ボルト用の孔あけ加工は,ドリル孔あけとし,径を27mmとした。

5.アンカーボルト用の孔あけ加工は,板厚が13mmであったため,せん断孔あけとした。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

鋼材の開先加工は、自動ガス切断機で開先を加工し、切断部分凹凸が生じた部分はノッチという加工不良となるので修正する。。

2.◯

鉄骨鉄筋コンクリート構造において、鉄骨柱と鉄骨梁の接合部のダイアフラムには、コンクリートの充填性を考慮して空気孔を設ける

3.◯

鉄骨工事の工作におけるけがきは、490N/mm2級以上の高張力鋼または曲げ加工される400N/mm2級の軟鋼の外面には、ポンチ、たがねによる打こんを残してはならない。(JASS6)孔あけにより除去される箇所には、ポンチでけがきを行っても良い。

4.×

公称軸径が24mmの高力ボルト用の孔あけ加工は,ドリル孔あけとし,径は26mmとする。

高力ボルト径の+2mm。(建築基準法施行令第68条第2項)

5.◯

ボルト孔、アンカーボルト孔、鉄筋貫通孔は、ドリルあけを原則とするが、板厚13mm以下の場合は、せん断孔あけとすることができる。(建築工事監理指針)

[ No.54 ]
塗膜防水に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.ウレタンゴム系塗膜防水の絶縁工法において,立上り部の補強布は,平場部の通気緩衝シートの上に100mm張り掛けた。

2.ウレタンゴム系塗膜防水の絶縁工法において,平場部の防水材の総使用量は,硬化物比重が1.3だったため,3.9kg/m2とした。

3.ウレタンゴム系塗膜防水の絶縁工法において,通気緩衝シートの重ね幅は,50mmとした。

4.ゴムアスファルト系塗膜防水工法において,補強布の重ね幅は,50mmとした。

5.ゴムアスファルト系防水材の室内平場部の総使用量は,固形分60%のものを使用するため,4.5kg/m2とした。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

ウレタンゴム系塗膜防水の絶縁工法の立上り部、ドレン回り及びパイプ回りなどでは、補強布の重ね幅は100mm以上とする。(建築工事監理指針)

2.◯

ウレタンゴム系塗膜防水の絶縁工法において、平場部の防水材の総使用量は、硬化物比重が1.0の場合、3.0kg/m2、1.3の場合3.9kg/m2とする。(建築工事監理指針)

3.×

通気緩衝シートの継ぎ目は突付けとし、突付け部分は 50 mm以上の幅の接着剤付きポリエステル不織布または織布のテープを張り付ける。(公共建築工事標準仕様書 建築工事編 9.5.4(4)(ウ))

4.◯

ゴムアスファルト系塗膜防水工法の塗継ぎ重ね幅は、100mm以上とし、補強布の重ね幅は50mm以上とする。(公共建築工事標準仕様書 建築工事編 9.5.4(4)(ウ))

5.◯

ゴムアスファルト系室内仕様防水材の総使用量は、固形分60%(質量)を使用した場合、4.5kg/m2とする。ただし、固形分がこれ以上の場合にあっては、所定の塗膜厚を確保するように使用量を換算する。(公共建築工事標準仕様書 建築工事編 9.5.3(2)、表9.5.2)

[ No.55 ]
セメントモルタルによる壁タイル後張り工法に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.改良積上げ張りの張付けモルタルは,下地モルタル面に塗厚4mmで塗り付けた。

2.密着張りの張付けモルタルは,1回の塗付け面積を2m2以内とした。

3.モザイクタイル張りの張付けモルタルは,下地面に対する塗付けを2度塗りとし,1層目はこて圧をかけて塗り付けた。

4.マスク張りの張付けモルタルは,ユニットタイルの裏面に厚さ4mmのマスク板をあて,金ごてで塗り付けた。

5.改良圧着張りの張付けモルタルは,下地面に対する塗付けを2度塗りとし,その合計の塗厚を5mmとした。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

改良積上げ張りは、張付けモルタルを塗厚 7~10mmとしてタイル裏面に塗り付けた状態で張り付ける。(JASS19)

2.◯

密着張りの張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、張付けモルタルに触れると手に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、2m2以内とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編11.2.6(2)(イ))

3.◯

モザイクタイル張りの張付けモルタルの塗付けは、2度塗りとし,1層目は薄く下地面にこすりつけるように塗り、下地モルタル面の微妙な凸凹に張り付けモルタルが食い込むようにし、次いで張り付けモルタルを塗り重ね、3mm程度の厚さとし定規を用いてむらの内容に塗厚を均一にする。(建築工事監理指針)

4.◯

マスク張りの張付けモルタルは、ユニットタイル裏面にタイルの大きさに見合ったマスク(マスク厚さ4mm程度)を用い、張付けモルタルを金ごてで下地に均一に塗り付ける。(建築工事監理指針)

5.◯

改良圧着張りの下地面への張付けモルタルは2度塗りし、その合計の塗厚を4〜6mmとする。タイル側への塗付けの場合、1〜3mmとする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編11.2.6(3)(ア)、表11.2.3)

[ No.56 ]
内装工事におけるボード張りに関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.せっこうボードを軽量鉄骨壁下地に張り付ける際,ドリリングタッピンねじの留付け間隔は,周辺部200mm程度,中間部300mm程度とした。

2.せっこうボードを軽量鉄骨天井下地に張り付ける際,ドリリングタッピンねじの長さは,下地材の裏面に5mm以上の余長が得られる長さとした。

3.せっこうボードを軽量鉄骨壁下地に張り付ける際,ボードの下端と床面の間を10mm程度浮かして張り付けた。

4.ロックウール化粧吸音板を天井せっこうボード下地に重ね張りする際,吸音板の目地は,下地ボードの目地と重ならないよう,50mm以上ずらして張り付けた。

5.厚さ9.5mmのせっこうボードを厚さ12.5mmの壁せっこうボード下地に接着剤を用いて重ね張りする際,併用するステープルの足の長さを20mmとした。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

軽量鉄骨壁下地にボードを直接張り付ける場合の留付け用小ねじの間隔は、周辺部200mm程度、中間部300mm程度であり、中間部の方が間隔が大きい。(JASS26)

2.×

せっこうボードを軽量鉄骨下地に直接張り付ける場合は、鋼製下地の裏面に10 mm以上の余長が得られる長さのドリリングタッピンねじを用い、頭がボード面より少しへこむように確実に締め込む。(JASS26)

3.◯

せっこうボードを軽量鉄骨壁下地に張り付ける際、ボードの下端部は、床面からの吸水を防止するため、床面から10mm程度浮かして張り付ける。(建築工事監理指針)

4.◯

ボード類下地に対してロックウール化粧吸音板を重ね張りする場合、下張りとロックウール化粧吸音板の目地の位置が重ならないように、50mm以上ずらして張り付ける。(JASS26)

5.◯

せっこうボードの留付けに用いられるステープルの足の長さを20mmなどが用いられる。保持力は低いので、接着剤による取付け時の仮留め金物とするのが適切である。(JASS26)

[ No.57 ]
仮設計画に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.傾斜地に設置する仮囲いの下端の隙間を塞ぐため,土台コンクリートを設ける計画とした。

2.仮囲いは,工事現場の周辺や工事の状況により危害防止上支障がなかったため,設けない計画とした。

3.仮囲いは,道路管理者や所轄警察署の許可を得て,道路の一部を借用して設置する計画とした。

4.女性用便所は,同時に就業する女性労働者が45人見込まれたため,便房を2個設置する計画とした。

5.ガスボンベ類の貯蔵小屋は,通気を良くするため,壁の1面を開口とし,他の3面は上部に開口部を設ける計画とした。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

傾斜地に設置する仮囲いの下端の隙間が生じた場合、隙間を塞ぐため、土台コンクリートや木製の幅木等を設けることとする。

2.◯

建築基準法施行令第136条の2の20の仮囲いの規定内に「工事現場の周辺若しくは工事の状況により危害防止上支障がない場合においては。この限りでない。」とある。

3.◯

道路の一部を借用して仮囲いを行う計画を検討する場合、道路管理者の「道路占用許可」や所轄警察署の「道路使用許可」を得る必要がある。(道路法第32条第1項第七号、第2項、道路交通法第77条第1項第一号)

4.×

労働安全衛生規則第628条には、男性用大便器の便房の数は男性労働者 60人以内ごとに1個以上、男性用小便器の箇所数は男性労働者 30人以内ごとに1個以上、女性用便所の便房の数は女性労働者 20人以内ごとに1個以上とすることと規定されている。女性労働者45人の場合は、便房の数は3個である。

5.◯

ガスボンベ類の貯蔵小屋は、ガスガ滞留しないように通気を良くするため、壁の1面を開口とし,他の3面は上部に開口部を設ける計画とする。(JASS2)

[ No.58 ]
建築工事における工期と費用に関する一般的な記述として,最も不適当なものはどれか。

1.総工事費は,工期に比例して増加する。

2.間接費は,工期の長短に相関して増減する。

3.直接費と間接費の和が最小となるときが,最適な工期となる。

4.ノーマルタイム(標準時間)とは,直接費が最小となるときに要する工期をいう。

5.クラッシュタイム(特急時間)とは,どんなに直接費を投入しても,ある限度以上には短縮できない工期をいう。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

総工事費は、直接費と間接費を合わせたものであり、直接費は施工速度を速めると増加するが、間接費は逆に減少するため、工期に比例して増加するとは限らない

2.◯

間接費とは、建築物としは残らないが工事に必要な仮設の費用のことをいう。間接費は,工期の長短に相関して増減し、一般に、工期が長くなると間接費は増加する。

3.◯

最適工期とは、直接費と間接費とを合わせた総工事費が最小となるときの工期である。

4.◯

ノーマルタイム(標準時間)とは、直接費が最小となるときに要する工期をいう。なお、直接費とは、工事に直接かかる費用のことで、材料費や労務費等が含まれる。

5.◯

クラッシュタイム(特急時間)とは、どんなに直接費を投入しても、ある限度以上には短縮できない工期をいう。

[ No.59 ]
躯体工事における試験及び検査に関する記述として,最も不適当なものはどれか。

1.フレッシュコンクリートの荷卸し地点での検査において,スランプ試験は,試料をスランプコーンに詰める際,ほぼ等しい量の3層に分けて詰めた。

2.フレッシュコンクリートの荷卸し地点での検査において,スランプ18cmのコンクリートのスランプの許容差は,±2.5cmとした。

3.フレッシュコンクリートの荷卸し地点での検査において,1回の試験における塩化物含有量は,同一試料からとった3個の分取試料についてそれぞれ1回ずつ測定し,その平均値とした。

4.鉄筋工事のガス圧接継手の超音波探傷試験において,抜取りの1ロットの大きさは,1組の作業班が1日に施工した圧接か所とした。

5.鉄筋工事のガス圧接継手の超音波探傷試験において,抜取りは,1ロットに対して無作為に3か所抽出して行った。

答え

  5

[ 解答解説 ]

1.◯

フレッシュコンクリートのスランプ試験は、高さ300mmの金属製スランプコーンを用いて行い、試料をほぼ等しい量の3層に分けて詰め、各層ごとに、突き棒で均した後、25回一様いん突く。この割合で突いて材料の分離を生ずるおそれのあるときは、分離を生じない程度に突き数を減らす。(JIS A 1101)

2.◯

フレッシュコンクリートの荷卸し地点での検査において、スランプ18cmのコンクリートのスランプの許容差は、スランプ8cm以上18cm以下の場合は、±2.5cmである。(JIS A 5308)

3.◯

塩化物量の測定は。同一試料からとった3個の分取試料について各1回ずつ測定し,その平均値とする。コンクリート運搬車から採取する場合、アジテーターを高速回転させて十分に攪拌した後、採取する。(公共建築工事標準仕様書建築工事編6.5.4(1)、表6.9.1)

4.◯

鉄筋工事のガス圧接継手の超音波探傷試験において、1検査ロットは、1作業班が1日に行った箇所とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編5.4.10(イ)(a)①)

5.×

抜取検査の超音波探傷試験は、非破壊試験で1検査ロットに対して30箇所行う。1検査ロットに対して3箇所行うのは、破壊検査である引張り試験である。(公共建築工事標準仕様書)

[ No.60 ]
労働災害に関する用語の説明として,最も不適当なものはどれか。

1.労働災害とは,業務に起因して,労働者が負傷し,疾病にかかり,又は死亡することで,公衆災害は含まない。

2.休業日数は,労働災害により労働者が労働することができない日数で,休日であっても休業日数に含める。

3.強度率とは,労働者1,000人当たり1年間に発生した死傷者数を示す。

4.度数率とは,災害発生の頻度を表すもので,100万延労働時間当たりの労働災害による死傷者数を示す。

5.労働損失日数は,死亡及び身体障害が永久全労働不能の場合,1件につき7,500日とする。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

労働災害とは、労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、または作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、または死亡することをいう。(労働安全衛生法第2条第一号)

2.◯

休業日数は、労働災害により労働者が労働することができない日数であり、休日であっても休業日数に含まれる。休業日数については労働災害発生日の翌日から起算して日数をカウントする。(厚生労働省の統計調査)

3.×

強度率とは、1,000 延労働時間当たりの労働損失日数の割合で表すもので、災害の重さの程度を示す。

強度率 = 延労働損失日数 / 延労働時間数 × 1,000

4.◯

度数率とは、100万延労働時間当たりの労働災害による死傷者数で、災害発生の頻度を表す。

度数率 = 労働災害による死傷者数 / 延実労働時間数 × 1,000,000

5.◯

労働損失日数は、死亡及び永久全労働不能障害(身体障害等級1〜3級)の場合,1件につき7,500日とする。

1級建築施工管理技士 令和06年 学科 問題9 解説

問題番号[ No.61 ]〜[ No.72 ]までの12問題のうちから、8問題を選択し、解答してください。8問題を超えて解答した場合、減点となりますから注意してください。
問題は四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。

[ No.61 ]
次の記述のうち,「建築基準法」上,誤っているものはどれか。

1.高さが4mを超える広告塔を設置しようとする場合においては,確認済証の交付を受けなければならない。

2.床面積の合計が5m2の建築物を除却しようとする場合においては,当該除却工事の施工者は,その旨を都道府県知事に届け出る必要はない。

3.防火地域及び準防火地域内に建築物を増築しようとする場合においては,その増築部分の床面積の合計が10m2以内のときは,建築確認を受うける必要はない。

4.木造3階建ての戸建て住宅について,大規模の修繕をしようとする場合においては,確認済証の交付を受けなければならない。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

高さが4mを超える広告塔、広告板、装飾塔、記念塔その他これらに類するものは、確認の申請書を提出して建築主事等の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。(建築基準法第88条第1項、同法第6条第1項、同施行令第138条第1項第三号)

2.◯

建築主が建築物を建築しようとする場合または建築物を除却の工事を施工する者が建築物を除却しようとする場合においては、これらの者は、建築主事等を経由して、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、当該建築物または当該工事に係る部分の床面積の合計が10m2以内である場合においては、この限りでない。(建築基準法第15条第1項)

3.×

建築物を増築しようとする場合の増築部分の床面積の合計が10m2以内であっても,防火地域及び準防火地域内においては、建築確認を受うける必要がある。(建築基準法第6条第2項)

4.◯

木造3階建ての戸建て住宅について、大規模の修繕をしようとする場合においては、建築主は、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定その他建築物の敷地、構造または建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものに適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事等の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。(建築基準法第6条第1項)

[ No.62 ]
次の記述のうち,「建築基準法」上,誤っているものはどれか。

1.特定行政庁は,建築物の工事施工者に対して,当該工事の施工の状況に関する報告を求めることができる。

2.特定行政庁は,原則として,建築物の敷地について,そのまま放置すれば保安上危険となり,又は衛生上有害となるおそれがあると認める場合,所有者に対して,その敷地の維持保全に関し必要な指導及び助言をすることができる。

3.建築主は,延面積が1,000m2を超え,かつ,階数が2以上の建築物を新築する場合,一級建築士である工事監理者を定めなければならない。

4.建築主は,軒の高さが9mを超える木造の建築物を新築する場合においては,二級建築士である工事監理者を定めなければならない。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

特定行政庁は、建築主事等または建築監視員は、建築物の工事の計画若しくは施工の状況に関する報告を工事施工者に求めることができる。(建築基準法第12条第5項)

2.◯

特定行政庁は、建築物の敷地、構造または建築設備について、損傷、腐食その他の劣化が生じ、そのまま放置すれば保安上危険となり、または衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物またはその敷地の所有者、管理者または占有者に対して、修繕、防腐措置その他当該建築物またはその敷地の維持保全に関し必要な指導及び助言をすることができる。(建築基準法第9条の4)

3.◯

建築基準法第5条の6第4項に、「建築主は、第1項に規定する工事をする場合においては、それぞれ建築士法第3条第1項、第3条の2第1項若しくは第3条の3第1項に規定する建築士又は同法第3条の2第3項の規定に基づく条例に規定する建築士である工事監理者を定めなければならない。」と規定があり、建築士法第3条第1項には、「各号に掲げる建築物(建築基準法第85条第1項又は第2項に規定する応急仮設建築物を除く。)を新築する場合においては、一級建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。」同項第四号に、「延べ面積が1,000m2をこえ、且つ、階数が2以上の建築物」と規定されている。

4.×

木造の建築物または建築物の部分で、高さが13mまたは軒の高さが9mを超えるものを新築する場合においては、一級建築士でなければ、その設計または工事監理をしてはならない。(建築士法第3条第1項二号)

[ No.63 ]
避難施設等に関する記述として,「建築基準法施行令」上,誤っているものはどれか。

1.小学校の児童用の廊下の幅は,両側に居室がある場合,1.8m以上としなければならない。

2.集会場で避難階以外の階に集会室を有するものは,その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。

3.回り階段の部分における踏面の寸法は,踏面の狭いほうの端から30cmの位置において測らなければならない。

4.建築物の高さ31m以下の部分にある3階以上の階には,原則として,非常用の進入口を設けなければならない。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

両側に居室がある場合の,小学校の児童用の廊下の幅は,2.3m以上としなければならない。(建築基準法施行令第119条)

2.◯

建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない。第一号、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の用途に供する階でその階に客席、集会室その他これらに類するものを有するもの。(建築基準法施行令第121条第1項柱書、第一号)

3.◯

回り階段の部分における踏面の寸法は,踏面の狭いほうの端から30cmの位置において測るものとする。(建築基準法施行令第23条第2項)

4.◯

建築物の高さ31m以下の部分にある3階以上の階には,原則として,非常用の進入口を設けなければならない。(建築基準法施行令第126条の6柱書本文)

[ No.64 ]
建設業の許可に関する記述として,「建設業法」上,誤っているものはどれか。

1.内装仕上工事等の建築一式工事以外の工事を請け負う建設業者であっても,特定建設業の許可を受けることができる。

2.特定建設業の許可を受けようとする者は,発注者との間の請負契約で,その請負代金の額が8,000万円以上であるものを履行するに足りる財産的基礎を有していなければない。

3.特定建設業の許可を受けた者でなければ,発注者から直接請け負った建設工事を施工するために,建築工事業にあっては下請代金の額の総額が7,000万円以上となる下請契約を締結してはならない。

4.建設業の許可を受けようとする者は,複数の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合,それぞれの都道府県知事の許可を受けなければならない。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

許可は、建設業法第3条第2項に、別表第一の上欄に掲げる建設工事の種類ごとに、それぞれ同表の下欄に掲げる建設業に分けて与えるものとすると規定されている。建設業の許可は、内装仕上工事等の建設業の種類ごとに与えられ、建築一式工事以外の工事を請け負う建設業者であっても,特定建設業の許可を受けることができる

2.◯

特定建設業の許可を受けようとする者は,発注者との間の請負契約で,その請負代金の額が8,000万円以上であるものを履行するに足りる財産的基礎有していなければない。(建設業法第15条第三号、同法施行令第5条の4)

3.◯

特定建設業の許可を受けた者でなければ、発注者から直接請け負った建設工事を施工するために,建築工事業にあっては下請代金の額の総額が政令で定める金額(建築工事の場合 7,000万円)以上となる下請契約を締結してはならない。(建設業法第16条第二号、同法第3条第1項第二号、同法施行令第2条)

4.×

建設業の許可を受けようとする者は、複数の都道府県の区域内に営業所を設けて営業する場合、国土交通大臣の許可を受けなければならない。(建設業法第3条)

[ No.65 ]
請負契約に関する記述として,「建設業法」上,誤っているものはどれか。

1.元請負人は,その請け負った建設工事を施工するために必要な工程の細目,作業方法その他元請負人において定めるべき事項を定めようとするときは,あらかじめ,注文者の意見をきかなければならない。

2.特定建設業者は,当該特定建設業者が注文者となった下請契約に係る下請代金の支払につき,当該下請代金の支払期日までに一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付してはならない。

3.元請負人は,下請負人に対する下請代金のうち労務費に相当する部分については,現金で支払うよう適切な配慮をしなければならない。

4.注文者は,請負人に対して,建設工事の施工につき著しく不適当と認められる下請負人があるときは,あらかじめ注文者の書面等による承諾を得て選定した下請負人である場合を除き,その変更を請求することができる。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

元請負人は、その請け負った建設工事を施工するために必要な工程の細目、作業方法その他元請負人において定めるべき事項を定めようとするときは、あらかじめ、下請負人の意見をきかなければならない。(建設業法第24条の2)

2.◯

特定建設業者は,当該特定建設業者が注文者となった下請契約に係る下請代金の支払につき、当該下請代金の支払期日までに一般の金融機関(預金または貯金の受入れ及び資金の融通を業とする者をいう。)による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付してはならない。(建設業法第24条の6第3項)

3.◯

元請負人は、同法第24条の3第1項に規定する下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければならない。(建設業法第24条の3第2項)

4.◯

注文者は、請負人に対して建設工事の施工につき著しく不適当と認められる下請負人があるときは、その変更を請求することができる。ただし、あらかじめ注文者の書面等による承諾を得て選定した下請負人については、この限りではない。(建設業法第23条第1項)

[ No.66 ]
工事現場に置く技術者に関する記述として,「建設業法」上,誤っているものはどれか。

1.発注者から直接建築一式工事を請け負った特定建設業者は,下請契約の総額が7,000万円以上の工事を施工する場合,監理技術者を工事現場に置かなければならない。

2.特定専門工事の元請負人が置く主任技術者は,当該特定専門工事と同一の種類の建設工事に関し1年以上指導監督的な実務の経験を有する者でなければならない。

3.工事一件の請負代金の額が7,000万円である事務所の建築一式工事において,工事の施工の技術上の管理をつかさどるものは,工事現場ごとに専任の者でなければならない。

4.専任の者でなければならない監理技術者は,当該選任の期間中のいずれの日においても国土交通大臣の登録を受けた講習を受講した日の属する年の翌年から起算して5年を経過しない者でなければならない。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

発注者から直接建築一式工事を請け負った特定建設業者は、下請契約の総額が政令で定める金額(建築工事業の場合7,000万円)以上の工事を施工する場合には、工事現場に監理技術者を置かなければならない。(建設業法第26条第2項、同法第3条第1項第二号、同施行令第2条)

2.◯

特定専門工事の元請負人及び下請負人は、その合意により、当該下請負人が当該特定専門工事につき建設業法の規定より置かなければならない主任技術者が、その行うべき規定する職務を併せて、当該下請負人がその下請負に係る建設工事につき建設業法の規定によりおかなければならないとされる主任技術者の行うべき規定する職務を行うこととすることができる。この元請負人が置く主任技術者は、当該特性専門工事と同一の種類の建設工事に関し1年以上指導監督的な実務の経験を有すること。(建設業法第26条の3第1項、第7項第一号)

3.×

建設業者は、元請、下請にかかわらず請け負った建設工事を施工するときは、請負金額の大小に関係なく、その工事現場の建設工事施工の技術上の管理をつかさどるものとして主任技術者を置かなければならない。(建設業法第26条第1項)

4.◯

専任の者でなければならない監理技術者は、当該選任の期間中のいずれの日においても、登録を受けた講習を受講した日の属する年の翌年から起算して5年を経過しない者でなければならない。(建設業法第26条第5項、同施行規則第17条の19)

[ No.67 ]
次の記述のうち,「労働基準法」上,誤っているものはどれか。

1.満18才に満たない者を,原則として午後10時から午前5時までの間において使用してはならない。

2.満18才に満たない者を,高さが5m以上の場所で,墜落により危害を受けるおそれのあるところにおける業務に就かせてはならない。

3.満18才以上で妊娠中の女性労働者を,動力により駆動される土木建築用機械の運転の業務に就かせてはならない。

4.満18才以上で妊娠中の女性労働者を,足場の組立て,解体又は変更の業務のうち地上又は床上における補助作業の業務に就かせてはならない。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

使用者は、満18才に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によって使用する満16才以上の男性については、この限りでない。(労働基準法第61条第1項)

2.◯

使用者は、満18才に満たない者を、高さが5m以上の場所で、墜落により危害を受けるおそれのあるところにおける業務に就かせてはならないと規定されている。(労働基準法第62条第1項、年少者労働基準規則第8条第二十四号)

3.◯

使用者は、満18才以上で妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性を、動力により駆動される土木建築用機械又は船舶荷扱用機械の運転の業務に就かせてはならない。(労働基準法第64条の3第1項、女性労働基準規則第2条第1項七号)

4.×

労働基準法(女性労働基準規則第2条、3条)では、妊産婦、及びその他女性の就業制限は以下のように定められている。

つり上げ荷重が 5トン以上のクレーン、デリック又は制限荷重が 5トン以上の揚貨装置の運転の業務」「動力により駆動される土木建築用機械又は船舶荷扱用機械の運転の業務」

クレーン、デリック又は揚貨装置の玉掛けの業務(2人以上の者によって行う玉掛けの業務における補助作業の業務を除く。)

足場の組み立て、解体または変更の業務(地上または床上における補助作業の業務を除く。)

等は妊婦には就かせてはならない業務、産婦には申し出た場合就かせてはならない業務、その他の女性を就かせても差し支えない業務に定められている。

「対象有害物を発散する場所に置いて行われる業務」や「重量物を取り扱う業務」は、妊産婦であるか否かにかかわらず女性を就業させることが禁止されている業務に定められている。

[ No.68 ]
建設業の事業場における安全衛生管理体制に関する記述として,「労働安全衛生法」上,誤っているものはどれか。

1.統括安全衛生責任者を選任した特定元方事業者は,元方安全衛生管理者を選任しなければならない。

2.安全衛生責任者は,安全管理者又は衛生管理者の資格を有する者でなければならない。

3.元方安全衛生管理者は,その事業場に専属の者でなければならない。

4.統括安全衛生責任者は,その事業の実施を統括管理する者でなければならない。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

統括安全衛生責任者を選任した事業者で、建設業その他政令で定める業種に属する事業を行うものは、厚生労働省令で定める資格の有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、元方安全衛生管理者を選任し、その者に技術的事項を管理させなければならない。(労働安全衛生法第15条の2第1項)

2.×

統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人で、当該仕事を自ら行うものは、安全衛生責任者を選任し、その者に統括安全衛生責任者を選任し、その者に統括安全衛生責任者との連絡その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。(労働安全衛生法第16条)安全衛生責任者の資格要件は、定められていない。

3.◯

元方安全衛生管理者の選任は、その事業場に専属の者を選任して行わなければならない。(労働安全衛生規則第18条の3)

4.◯

統括安全衛生責任者は、当該場所においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならない。(労働安全衛生法第15条第2項)

[ No.69 ]
労働者の就業に当たっての措置に関する記述として,「労働安全衛生法」上,正しいものはどれか。

1.事業者は,建設業の事業場において新たに職務に就くこととなった作業主任者に対し,作業方法の決定及び労働者の配置に関する事項について,安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。

2.就業制限に係る業務に就くことができる者が当該業務に従事するときは,これに係る免許証その他その資格を証する書面の写しを携帯していなければならない。

3.作業床の高さが10m以上の高所作業車の運転の業務には,高所作業車運転技能講習を修了した者を就かせなければならない。

4.つり上げ荷重が5t以上の移動式クレーンの運転の業務には,クレーン・デリック運転士免許を受けた者を就かせなければならない。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.×

事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導または監督する者(作業主任者を除く。)に対し、安全または衛生のための教育を行わなければならない。(労働安全衛生法第60条)作業主任者ではない。

2.×

事業者が就業制限に係る業務につくことができる者を当該業務に従事させるとき、当該業務につくことができる者は、これに係る免許証その他資格を証する書面を携帯していなければならない

3.◯

作業床の高さが10m以上の高所作業車の運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務(同施行令第20条第十五号)は、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を終了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。(労働安全衛生法61条第1項)

4.×

クレーンに関する資格はタワークレーン等の固定されたクレーンと移動式クレーンとでは資格が異なり、つり上げ荷重 5t以上のクレーンの運転業務にはクレーン・デリック運転士免許が、つり上げ荷重 5t以上の移動式クレーンの運転業務には移動式クレーン運転士免許がそれぞれ必要となる

[ No.70 ]
特定建設資材を用いた次の工事のうち,「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」上,分別解体等をしなければならない建設工事に該当しないものはどれか。

1.建築物の増築工事であって,当該工事に係る部分の床面積の合計が500m2の工事

2.建築物の耐震改修工事であって,請負代金の額が8,000万円の工事

3.擁壁の解体工事であって,請負代金の額が500万円の工事

4.建築物の解体工事であって,当該工事に係かる部分の床面積きの合計が80m2の工事

答え

  2

[ 解答解説 ]

分別解体等実施義務について、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律第9条第1項に、「特定建設資材を用いた建築物等に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって、その規模が第3項又は第4項の建設工事の規模に関する基準以上のもの(以下「対象建設工事」という。)の受注者(当該対象建築工事の全部または一部について下請契約が締結されている場合における各下請負人を含む。以下「対象建設工事受注者」という。)又はこれを請負契約によらないで自ら施工する者(以下、「自主施工者」という。)は、正当な理由がある場合を除き、分別解体等をしなければならない。」と規定されている。また、分別解体等をしなければならない建設工事については、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行令第2条第1項に、建設工事の規模に関する基準は以下のとおりとする規定されている。

一.

建築物に係る躯体工事については、当該建築物(当該解体工事に係る部分に限る。)の床面積の合計が80m2であるもの

二.

建築物に係る新築または増築の工事については、当該建築物(増築の工事にあっては、当該工事に係る部分に限る。)の床面積の合計が 500m2であるもの

建築物に係る新築工事等であって前号に規定する新築または増築の工事に該当しないものについては、その請負代金の額が1億円であるもの

四.

建築物以外のものに係る解体工事または新築工事等については、その請負代金の額が500万円であるもの

1.該当する

建築物に係る新築または増築の工事については、当該建築物(増築の工事にあっては、当該工事に係る部分に限る。)の床面積の合計が 500m2であるものは該当する。

2.該当しない

3.該当する

建築物以外のものに係る解体工事または新築工事等については、その請負代金の額が500万円であるものは該当する。

4.該当する

建築物に係る躯体工事については、当該建築物(当該解体工事に係る部分に限る。)の床面積の合計が80m2であるものは該当する。

[ No.71 ]
指定地域内における特定建設作業において,「騒音規制法」上,実施の届出を必要としないものはどれか。ただし,作業はその作業を開始した日に終わらないものとする。

1.環境大臣が指定するものを除き,原動機の定格出力が80kW以上のバックホウを使用する作業

2.環境大臣が指定するものを除き,原動機の定格出力が70kW以上のトラクターショベルを使用する作業

3.さく岩機の動力として使用する作業を除き,電動機以外の原動機の定格出力が15kW以上の空気圧縮機を使用する作業

4.さく岩機を使用する作業であって,作業地点が連続的に移動し,1日における当該作業に係る2地点間の距離が50mを超える作業

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.必要

環境大臣が指定するものを除き、原動機の定格出力が80kW以上のバックホウを使用する作業は、特定建設作業の実施の届出が必要である。(騒音規制法第14条、同施行令第2条、別表第二第六号)

2.必要

環境大臣が指定するものを除き、原動機の定格出力が70kW以上のトラクターショベルを使用する作業は、特定建設作業の実施の届出が必要である。(騒音規制法第14条、同施行令第2条、別表第二第七号)

3.必要

さく岩機の動力として使用する作業を除き、電動機以外の原動機の定格出力が15kW以上の空気圧縮機を使用する作業は、特定建設作業の実施の届出が必要である。(騒音規制法第14条、同施行令第2条、別表第二第四号)

4.必要としない

さく岩機を使用する作業は、市町村長に実施の届出をしなければならない。最大距離が50mを超える作業は特定建設作業から除かれているので実施の届出をしなくてもよい。(騒音規則法施行令別表第二第三号)

[ No.72 ]
政令で定める積載物の重量や大きさ等の制限を超えて車両を運転する際の対応として,「道路交通法」上,誤っているものはどれか。

1.制限外許可証は,当該車両の出発地を管轄する警察署長から交付を受ける。

2.積載した貨物の長さが制限を超えたときは,昼間にあっては,その貨物の見やすい箇所に,白い布をつける。

3.積載した貨物の長さ又は幅が制限を超えたときは,夜間にあっては,その貨物の見やすい箇所に,反射器をつける。

4.積載した貨物の幅が制限を超えたときは,夜間にあっては,その貨物の見やすい箇所に,赤色の灯火をつける。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

出発地警察署長は、制限外許可をしたときは、許可証を交付しなければならない。よって、制限外許可証は、当該車両の出発地を管轄する警察署長から交付を受ける。(道路交通法第58条)

2.× 、3.◯、4.◯

(道路交通法第24条)

1 積載した貨物の長さ又は幅が前2条に規定する制限又は法第57条第2項の規定に基づき公安委員会が定める制限を超えるものであるときは、その貨物の見やすい箇所に、昼間にあつては0.3メートル平方以上の大きさの赤色の布を、夜間にあつては赤色の灯火又は反射器をつけること。

2 車両の前面の見やすい箇所に法第58条第1項の許可証(次項及び次条において「制限外許可証」という。)を掲示すること。

1級合格者数・合格率の推移(令和05年度)

1級建築施工管理技士 試験
合格者数、合格率の推移
令和5年度の国土交通省発表は未だありません。
本年度からはなしでしょうか?
CIC建築情報センターより及び総合資格より参考値を掲載しておきます。
■ 学科試験の試験結果と合格率
        受験者数 合格者数 合格率
 令和05年  24,078 10,017 41.6%
 令和04年  27,253 12,755 46.8%
 令和03年  22,277  8,025 36,0%
 令和02年  22,742 11,619 51.1%
 令和01年  25,392 10,837 42.7%
 平成30年  25,198   9,229 36.6%
 平成29年  24,755   9,824 39.7%
 平成28年  25,639 12,675 49.4%
 平成27年  25,452 11,103 43.6%
 平成26年  20,580   8,562 41.6%
 平成25年  20,576   9,677 47.0%
 平成24年  22,385 11,414 51.0%
 平成23年  22,284   8,312 37.3%
 平成22年  25,640 10,437 40.7%
 平成21年  25,195   8,782 34.9%
 平成20年  25,686 12,783 49.8%
 平成19年  23,871 11,088 46.4%
■実地試験の試験結果と合格率
        受験者数 合格者数 合格率
 令和05年  14,391  6,554 45.5%
 令和04年  13,010  5,878  45.2%
 令和03年  12,813  6,708  52.4%
 令和02年  16,946  6,898  40.7%
 令和01年  15,876  7,378  46.5%
 平成30年  15,145  5,619  37.1%
 平成29年  16,505  5,537  33.5%
 平成28年  19,045  8,687  45.6%
 平成27年  16,365  6,180  37.8%
 平成26年  14,210  5,710  40.2%
 平成25年  16,686  6,912  41.4%
 平成24年  16,176  5,558  34.4%
 平成23年  13,721  5,546  40.4%
 平成22年  15,608  7,338  47.0%
 平成21年  16,870  6,931  41.1%
 平成20年  19,502  6,826  35.0%
 平成19年  18,239  6,212  34.1%

1章 各章共通事項 序節 監督職員の立場及び業務

建築工事監理指針 1章 各章共通事項

序節 監督職員の立場及び業務

1.0.1 監督職員の立場

工事の監理は、契約図書に基づいて良好な施工品質を確保するために実施するものであり、官民を問わず建築士法に基づいて業務を実施する必要がある。さらに、会計法又は地方自治法においては、契約の適正な履行を確保するため必要な監督を実施しなければならないことが定められており、官公庁施設の施設を実施している国又は地方公共団体等において監督を命ぜられた職員は関係法令等に従い、その職務を遂行しなければならない。ここでは、国の職員が監督職員に任命された場合について記述する。
監督職員は、監督業務の内容を十分理解するとともに、その遂行に当たっては、どのような立場にあるかを認識していなければならない。すなわち、監督職員と受注者等の関係、国の組織の中での立場を認識して業務に当たる必要がある。さらに、建築技術者としての心構え等について十分に承知していなければならない。

(ア) 受注者との関係

受注者とは、発注者と請負契約を結んだ相手方のことであり、請負工事は、受注者が契約したとおりの工事を完成させるために、受注者及び発注者が対等の立場における合意に基づいて契約されている。工事途中で当初の契約を変更することはあるが、契約変更を含め受注者は契約図書どおりの工事を完成するということになる。

契約図書(1.1.1(6)参照)の一部である工事請負契約書には、受注者に対する監督職員の権限、職務等についても定められている。一方、会計法(1.0.2(ア) 参照)には「契約の適正な履行を確保するため必要な監督をしなければならない。」と定められている。会計法で定める監督の職務を遂行するためには、工事が契約図書に定められたとおり適正に行われるように、指示・承諾・協議・謁整等の業務を確実に行うことが必要となる。
工事の中で、受注者等が適正であると主張するものでも、監督職員には適正と判断できない場合がある。このような場合には、両者の協議が必要になるが、判断の基準は全て契約図書である。

なお、契約は双方が対等であることを認め合った、いわゆる双務契約であるが、安易な妥協や譲歩があってはならない。しかし、双務契約である以上契約の内容に盛り込まれていないことを強制してはならないし、感情的な対立も避けるようにしなければならない。監督職員は、常に良識をもって厳正に問題の解決を図るようにしなければならない。

(イ) 国等の発注組織における監督職員・検査職員の立揚

監督職員は、国の組織の一員として一般職員が従わなければならない一般の行政法令等のほかに、監督業務という特別な職務を担っているので、「予算執行職員等の責任に関する法律」等により、監督職員に適用される「予算執行職員」としての義務と責任を持つことになる。
すなわち、職員が所属する部・課等の組織のほかに、監督業務を行うための組識体制がつくられていて、総括監督員、主任監督員及び一般の監督員により構成され、それぞれの業務も定められている(1.0.2(エ) 参照)。いわば、監督職員は二重の組織に属していることになるので、それぞれの立場を混同して、監督業務の運用に支障を生じることがあってはならない。

監督職員の属する組織は上述のとおりであるが、建設工事は多くの人の協同作業によって進められるものであり、特に人の和を重んじ、良い公共建築物を造るという点で、心を一つにして仕事に取り組めるようにする必要がある。受注者等、関連専門工事業者はもちろん、設計者、入居官署の担当者、また、必要に応じて 近隣住民等関係者と広く意思の疎通を図り、相互の信頼の上に立って業務を行う ように努力することが望まれる。

公共工事については、平成13年に施行された「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(以下、この章では「入契適正化法」という。)において、情報の公表、不正行為に対する措置、施工体制の適正化を図るための措置が規定され、さらに、平成17年に施行された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(以下、この章では「公共工事品確法」という。)において、工事の品質確保に関する基本的理念と国等の責務が明確にされた。監督・検査分野については、特に検査について、会計法等に基づく給付のための検査と技術検査が明確に分離され、また、発注者が行う監督・検査及び施工状況の確認・評価が基本方針で明確にされた。

さらに、工事の監督・検査に関する基準、工事の技術検査要領、工事の成績評定要領、そして施工体制把握の要領は「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(以下、この章では「適正化指針」という。)による公表対象である。このように、公共工事の入札・契約の適正な実施及び品質確保が、ー工事にとどまらず公共工事全体に対する国民の信頼、そして建築業の健全な発展につながるものとして位置付けられたことに関係者は留意すべきである。

平成26年に「公共工事品確法」は、担い手3法として、「入契適正化法」及び「建設業法」とともに改正され、計画的な発注、適切な工期設定、適切な設計変更等の発注者の責務が明確化された。このことを踏まえ、監督職員においては、適切な設計変更等が行えるように調整等を行うことが重要になっている。
さらに、令和元年には、新・担い手3法として改正され、災害時の緊急対応の充実強化、働き方改革への対応、生産性向上への取組、調査・設計の品質確保の内容が見直された。営繕工事における働き方改革の取組として、適正な工期設定、工事関係図書等に関する効率化の徹底が行われている。

参考として、国土交通省の営繕工事における建築工事監理業務の業務委託について述べる。国土交通省大臣官房官庁営繕部では、透明性、客観性の高い契約関係を構築するとともに、営繕工事の適切な品質確保をより一層図るために、平成 13年2月15日付で「建築工事監理業務委託契約書」及び「建築工事監理業務委託共通仕様害」を制定し、この業務委託をより適正に実施するために「建築工事監理業務委託の基本方針」についても定めている。

工事監理業務を委託する場合の営繕工事においては、発注者の代理人としての監督職員のほかに、工事監理業務の受注者等による確認が行われる。この体制において、監督職員と工事監理業務に係る発注者の代理人としての調査職員に同一職員を任命しており、当該職員が工事請負契約と監理業務委託契約とによりその職務を使い分けつつ、意思疎通の円滑化が図られるようにしている。工事監理業務を委託する場合(設計意図伝達業務を設計者に委託し、設計者とは異なる者に工事監理業務を委託する場合)における工事関係者の役割を図1.0.1に示す。

図1.0.1 第三者監理方式における工事関係者の役割と責任
(監督職員が工事監理業務の調査職員を兼務した場合の例)

(ウ) 公共建築物にかかわる建築技術者としての心構え

最近の建築工事(改修を含む)を取り巻く環境の変化には著しいものがある。次はその例である。

① 地球環境への配慮(温室効果ガス排出の削減、特定フロン対策、資源の有効利用、建設副産物の発生抑制・再使用・再利用等の促進、環境マネジメントシステムの導入等)

② 公共工事品確法と入札制度の改定(公共工事への総合評価落札方式の適用、技術提案等)

③ 公衆災害の防止と安全対策の推進(工事騒音・振動の抑制、建設重機の転倒事故防止、エスカレーター・エレベーター利用者の事故防止等)

④ 労働環境の改善(週40時間労働、週休2日制の推進、各工程の適正な施工期問の確保、休憩・リフレッシュスペースの確保等によるクリーンなイメージの現場環境整備等)

⑤ 受注者等による品質管理(鋼材等の品質確認、工場加工における品質確保、品質マネジメントシステムの導入等)

⑥ 情報化対策、新技術の開発と導入(情報共有システム、ASP、VE提案の採用等)

⑦ 生産性の向上(省人化・施工合理化技術、ICT、BIM、電子小黒板、現場作業の軽減と工場生産化、工事関係書類の簡素化、監督職員の遠隔臨場)

⑧ コスト縮減(契約後VEの検討、海外材料・新技術・新工法の採用、施工の合理化、適正工期の確保等)

⑨ 規制緩和への取組み(性能仕様としての規定、国際規格の認証、海外資機材の使用等)

⑩ 健康安全環境の保全(石綿(アスベスト)・鉛・ホルムアルデヒド・ダイオキシン等有害物質への配慮、産業廃棄物の適正処理等)

監督職員は、契約図書に従って工事を完成させるだけでなく、これらの課題に対して、受注者等とともに個々の現場で、誠意をもってその解決を図る努力をしていくことが求められており、それらの努力により、建設産業としての魅力が生まれてくるのである。また、問題の解決に当たっては、個々の現場での対応だけではなく、公共建築物を建設する組織として対応し、検討していかなければならないものも多い。

1.0.2 監督及び監督職員に関する関係法令

監督業務に関係する法律、基準等を国土交通省の場合について次の(ア) から(タ) までに挙げる。(ア) から(シ) までの法令等については、関連箇所の抜粋等を示す。

(ア) 会計法
(イ) 予算決算及び会計令
(ウ) 契約事務取扱規則
(エ) 地方建設局請負工事監督検査事務処理要領
(オ) 予算執行職員等の責任に関する法律
(カ) 予算執行職員等の責任に関する法律について
(キ) 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律
(ク) 公共工事の品質確保の促進に関する法律
(ケ) 建築基準法、同施行令、関連告示・通達
(コ) 建築士法
(サ) 建築士法第25条規定、平成31年1月21日国土交通省告示第98号
(シ) 工事請負契約書
(ス) 労働基準法
(セ) 労働安全衛生法
(ソ) 消防法
(タ) 人事院規則

(ア) 会計法
会計法の抜粋を次に示す。

会 計 法

(昭和22年3月31日 法律第35号 最終改正平成29年6月2日)

第29条の11
契約担当官等は、工事又は製造その他についての請負契約を締結した場合においては、政令の定めるところにより、自ら又は補助者に命じて、契約の適正な履行を確保するため必要な監督をしなければならない。

(イ) 予算決算及び会計令〈通称「予決令」〉
予算決算及び会計令の抜粋を次に示す。

予算決算及び会計令

(昭和22年4月30日 勅令第165号 最終改正令和4年6月15日)

(監督の方法)
第101条の3 会計法第29条の11第1項に規定する工事又は製造その他についての請負契約の適正な履行を確保するため必要な監督(以下本節において「監督」という。)は、契約担当官等が、自ら又は補助者に命じて、立会い、指示その他の適切な方法によって行なうものとする。

参照 【補助者(予貨法2①十二)[監督の実施細目(契約規則21)、実施細目制定事務の委任(会計規則39)、国土交通大臣が定める一般準則(監督検査要領)[監督ー監督の体制(監督検査要領第3)、監督職員の職務等(契約規則18、監督検査要領第4・第5・第11・第12)

(ウ) 契約事務取扱規則
契約事務取扱規則の抜粋を次に示す。

契約事務取扱規則

(昭和37年8月20日 大蔵省令第52号最終改正令和2年12月4日)

(監督職員の一般的職務)
第18条 契約担当官等、契約担当官等から監督を命ぜられた補助者又は各省各庁の長若しくはその委任を受けた職員から監督を命ぜられた職員(以下「監督職員」という。)は、必要があるときは、工事製造その他についての請負契約(以下「請負契約」という。)に係る仕様書及び設計書に基づき当該契約の履行に必要な細部設計図、原寸図等を作成し、又は契約の相手方が作成したこれらの書類を審査して承認をしなければならない。

2 監督職員は、必要があるときは、請負契約の履行について、立会い、工程の管理、履行途中における工事製造等に使用する材料の試験若しくは検査等の方法により監督をし、契約の相手方に必要な指示をするものとする。

3 監督職員は、監督の実施に当たっては、契約の相手方の業務を不当に妨げることのないようにするとともに、監督において特に知ることができたその者の業務上の秘密に属する事項は、これを他に漏らしてはならない。

(監督職員の報告)
第19条 監督職員は、関係の契約担当官等と緊密に連絡するとともに、当該契約担当官等の要求に基づき又は随時に、監督の実施についての報告をしなければならない。

契約事務取扱規則

(エ) 地方建設局請負工事監督検査事務処理要領
監督については、その体制、業務内容、任命基準、監督に関する図書等が定められている。

なお、現在、地方建設局は地方整備局に組織変更されているが、基本となる会計法令の該当する部分は改正されていないことなどから、事務処理要領の改正は行われず、従前の地方建設局の各部等(港湾航空関係を除く。)が発注する工事については、この事務処理要領が適用されている。

事務処理要領の抜粋を次に示す。

地方建設局請負工事監督検査事務処理要領

(昭和42年3月30日 建設省厚第21号 最終改正令和3年3月31日)

(監督業務の分類)
第4 監督業務は、監督総括業務、現場監督総括業務及び一般監督業務に分類するものとし、これらの業務の内容は、それぞれ次の各号に掲げるとおりとするものとする。

ー 監督総括業務
ィ 工事請負契約書(平成7年6月30日付け建設省厚契発第25号)に基づく契約担当官等の権限とされる事項のうち契約担当官的が必要と認めて委任したものの処理

ロ 契約の履行についての契約の相手方に対する必要な指示、承謡又は協議で重要なものの処理

ハ 関連する2以上の工事の監督を行なう場合における工事の工程等の調整で重要なものの処理

二 工事の内容の変更、一時中止又は打切りの必要があると認めた場合における当該措置を必要とする理由その他必要と認める事項の契約担当官等(法第29条の3第 1項に規定する契約担当官等をいう。以下同じ。)に対する報告

ホ 現場監督総括業務及び一般監督業務を担当する監督職員の指揮監督並びに監督業務の掌理(しょうり)

二 現場監督総括業務
イ 契約の履行についての契約の相手方に対する必要な指示、承諾又は協議(重要なもの及び軽易なものを除く。)の処理

ロ 設計図、仕様書その他の契約関係図書(以下「契約図書」という。)に基づく工事の実施のための詳細図等(軽易なものを除く。)の作成及び交付又は契約の相手方が作成したこれらの図書(軽易なものを除く。)の承諾

ハ 契約図書に基づく工程の管理、立会い、工事の実施状況の検査及び工事材料の試験又は検査の実施(他の者に実施させ、当該実施を確認することを含む。以下阿じ。)で重要なものの処理

二 関連する2以上の工事の監督を行なう場合における工事の工程等の調整(重要なものを除く。)の処理

ホ 工事の内容の変更、一時中止又は打切りの必要があると認めた場合における当該措置を必要とする理由その他必要と認める事項の監督総括業務を担当する監督職員に対する報告

へ 一般監督業務を担当する監督職員の指揮監督並びに現場監督総括業務及び一般監督業務の掌理

三 一般監督業務
イ 契約の履行についての契約の相手方に対する必要な指示、承諾又は協議で軽易なものの処理

ロ 契約図書に基づく工事の実施のための詳細図等で軽易なものの作成及び交付又は契約の相手方が作成したこれらの図書で軽易なものの承諾

ハ 契約図書に基づく工程の管理、立会い、工事の実施状況の検査及び工事材料の試験又は検査の実施(重要なものを除く。)

ニ 工事の内容の変夏、一時中止又は打切りの必要があると認めた場合における当該措置を必要とする理由その他必要と認める事項の現場監督総括業務を担当する監督職員に対する報告

ホ 第6第4項の規定により任命された監督員にあっては、第6第6項の規定により任命された監督員の指揮監督及び一般監督業務の掌理

(監督職目の担当業務)
第5 本官契約又は分任官契約の監督を行う監督職員は、総括監督員、主任監督員及び監督員とし、それぞれ監督総括業務、現場監督総括業務及び一般監督業務を担当するものとする。(第2項省略)

(監督に関する図書)
第12 監督職員は、次の各りに掲げる図書(契約の相手方から提出された図書を含む。)をそれぞれの担当事務に応じて作成し、及び整理して監督の経緯を明らかにするものとする。

ー 工事の実施状況を記載した図書

二 契約の履行に関する協議事項(軽易なものを除く。)を記載した書類

三 工事の実施状況の検査又は工事材料の試験若しくは検査の事実を記載した図書

四 その他監督に関する図書

地方建設局請負工事監督検査事務処理要領

(オ) 予算執行職員等の責任に関する法律〈通称「予責法」〉
監督職員に任命された者は、「予責執行職員」となるので、場合によってはその責任を問われることもあり得ることを示している。
予責執行職員等の責任に関する法律の抜粋を次に示す。

予責執行職員等の責任に関する法律

(昭和25年5月11日 法律第172号 最終改正令和元年5月31日)

(定義)
第2条 この法律において「予責執行職員」とは、次に掲げる職員をいう。

ー 会計法(昭和22年法律第35り)第13条第3項に規定する支出負担行為担当官
二 会計法第13条の3第4項に規定する支出負担行為認証官
三 会計法第24条第4項に規定する支出官
四 会計法第17条の規定により資金の交付を受ける職員
五 会計法第20条の規定に基き繰替使用をさせることを命ずる職員
六 会計法第29条の2第3項に規定する契約担当官
七 前各号に掲げる者の分任官
八 前各号に掲げる者の代理官
九 会計法第46条の3第2項の規定により第一号から第三号まで又は前三号に掲げる者の事務の一部を処理する職員
十 会計法第29条の11第4項の規定に基づき契約に係る監督又は検査を行なうことを命ぜられた職員
十一 会計法第48条の規定により前各号に掲げる者の事務を行う都道府県の知事又は知事の指定する職員
十二 前各号に掲げる者から、政令で定めるところにより、補助行としてその事務の一部を処理することを命ぜられた職員

(予算執行職員の義務及び責任)
第3条 予算執行職員は、法令に準拠し、且つ、予算で定めるところに従い、それぞれの職分に応じ、支出等の行為をしなければならない。

2 予算執行職員は、故意又は重大な過失に因り前項の規定に違反して支出等の行為をしたことにより国に損害を与えたときは、弁償の責に任じなければならない。

3 前項の場合において、その損害が2人以上の予算執行職員が前項の支出等の行為をしたことにより生じたものであるときは、当該予算執行職員は、それぞれの職分に応じ、且つ、当該行為が当該損害の発生に寄与した程度に応じて弁償の責に任ずるものとする。

(予算執行職負の弁償責任の転嫁)
第8条 予算執行職員は、その上司から第3条第1項の規定に違反すると認められる支出等の行為をすることの要求を受けたときは、書面をもって、その理由を明らかにし、当該上司を経て任命権者(当該上司が任命権者(宮内庁長官及び外局の長であるものを除く。)である場合にあっては直ちに任命権者、当該上司が宮内庁長官又は外局の長である任命権者である場合にあっては各省各庁の長)にその支出等の行為をすることができない旨の意見を表示しなければならない。

2 予算執行職員が前項の規定によって意見の表示をしたにもかかわらず、さらに、上司が当該職員に対し同一の支出等の行為をすべき旨の要求をしたときは、その支出等の行為に基く弁償責任は、その要求をした上司が負うものとする。

予算執行職員等の責任に関する法律

(カ) 予算執行職員等の責任に関する法律について
「予算執行職員等の責任に関する法律について」の抜粋を次に示す。

予算執行職員等の責任に関する法律について

(昭和25年7月3日 大蔵省計発第484号)

標記の件について会計検査院とも打合の結果現在の段階においてとりあえず別紙のとおり法律の解釈と運用方針が決定したから通知する。

よってその趣旨の徹底並びに事務処理に遺憾のないことを期せられたい。

別 紙
予算執行職員等の責任に関する法律の解釈及び運用方針

第2条(定義)
2 「補助者としてその事務の一部を処理することを命ぜられた職員」とは、第1項第ー号から第七号〔注・現在の第八号にあたる〕までに掲げる者から直接その所掌すべき事務の範囲を明示された書面による特別の命令を受けた職員のみをいい、人事系統からする勤務辞令はここに言う命令とはみない。又その補助者の実際上の補助者もここにいう補助者ではない。補助力者の再補助者は認めない。従ってその取扱として補助者は当該予算執行員を直接補助する身分と地位を有する者に限ることとする。

第3条(予算執行職員の義務及び責任)
1「それぞれの職分に応じ」とは、支出負担行為担当官、同認証官、支出官等の職務の範囲を明確にしたものであって、本法により職分に応ずべきあらたな特別の義務を課したものではない。

2 「故意」とは、支出等の行為が法令又は予算に違反していることを認識することである。その行為の結果国に損忠を与えることの認識を必要としない。

3 「重大な過失」とは、全良な管理者の注意を著しく欠くことである。善良な竹理者の注意義務とは、社会の一般的観念において、その戦にある人に当然要求せられる注意義務をいい、特定の個人の注意能力が標準となるものではない。

4 補助者が、補助を命ぜられた範囲内の事務について、その内容が専ら補助者の責に帰すべき性質のものであるときは、補助者が全責任を負うことになる。

5 「損害」とは経済的な実損をいう。従って反対給付があったときの当該処分価格の如きは、すくなくとも損害とは見られない。

第8条(予算執行職員の弁償責任の転嫁)
1 「上司」とは予算の執行に関し、予算執行職員の指揮監督権を有する者をいい、上司の上司も含まれるが、国の予算の執行を掌る史員に対して都道府県又は特別市の長は、「上司」ではない。

2 予算執行職員が支出等の行為をすることができない旨の意思表示をしたのにさらに上司からの要求によりやむをえず支出等の行為をした場合において、その責任を免れるためには、上司からの要求があったことを証明するに足る資料を後日のためととのえて置くことが望ましい。

予算執行職員等の責任に関する法律について

(キ) 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律人契適正化法の抜枠を次に示す。

公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律

(平成12年11月27日 法律第127号 最終改正 令和3年5月19日)

(目的)
第1条 この法律は、国、特殊法人等及び地方公共団体が行う公共工事の入札及び契約について、その適正化の基本となるべき事項を定めるとともに、情報の公表、不正行為等に対する措置、適正な金領での契約の締結等のための措置及び施工体制の適正化の措置を講じ、併せて適正化指針の策定等の制度を整備すること等により、公共工事に対する国民の信頼の確保とこれを請け負う建設業の健全な発達を図ることを目的とする。

(ク) 公共工事の品質確保の促進に関する法律
公共工事においては、調達時点で品質を確保できる物品購入等とは異なり、価格だけでなく技術や品質を含めた評価のもとで、他全な競争が行われることが重要な課題であるため、平成17年4月に、公共工事品確法が施行され、公共工事の品質確保について、基本理念や国等の責務が明らかにされた。
公共工事品確法の抜粋を次に示す。

公共工事の品質確保の促進に関する法律

(平成17年3月31日 法律第18号 一部改正 令和元年6月14日)

(目的)
第1条 この法律は、公共工事の品質確保が、良質な社会資本の整備を通じて、豊かな国民生活の実現及びその安全の確保、環境の保全(良好な環境の創出を含む。)、自立的で 個性豊かな地城社会の形成等に寄与するものであるとともに、現在及び将来の世代にわたる国民の利益であることに鑑み、公共工事の品質確保に関する基本理念、国等の責務、基本方針の策定等その担い手の中長期的な育成及び確保の促進その他の公共工事の品質確保の促進に関する基本的事項を定めることにより、現在及び将来の公共工事の品質確保の促進を図り、もって国民の福祉の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)
第2条 この法律において「公共工事」とは、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成12年法律第127号)第2条第2項に規定する公共工事をいう。

(基本理念)
第3条 公共工事の品質は、公共工事が現在及び将来における国民生活及び経済活動の基盤となる社会資本を整備するものとして社会経済上重要な意義を有することに鑑み、国及び地方公共団体並びに公共工事等(公共工事及び公共工事に関する調査等をいう。以下同じ。)の発注者及び受注者がそれぞれの役割を果たすことにより、現在及び将来の国民のために確保されなければならない。

公共工事品確法では、公共工事の品質は、「経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要索をも考慮し、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならない。」と規定されており、公共工事の品質確保のための主要な取組みとして総合評価方式の適用を掲げている。

公共工事の品質確保を図るためには、発注者は競争参加者の技術的能力の審査を適切に行うとともに、品質の向上に係る技術提案を求めるよう努め、落礼者の決定においては、価格に加えて技術提案の優劣を総合的に評価することにより、最も評価の高い者を落札者とすることが原則となる。

総合評価方式の適用により、公共工事の施工に必要な技術的能力を有する者が施工することとなり、工事品質の確保や向上が図られ、工事目的物の性能の向上、長寿命化・維持修繕費の縮減・施工不良の未然防止等による総合的なコストの縮減、交通渋滞対策・環境対策、事業効果の早期発現等が効率的、かつ、適切に図られる。また、民間企業が技術力競争を行うことによりモティベーションの向上が図られ、技術と経営に優れた他全な建設業が育成されるほか、価格以外の多様な要素が考慮された競争が行われることで、他全な入札環境が整備される。

なお、総合評価落札方式で受注者を決定した場合は、評価に反映された技術提案について、全て契約料にその内容を記載することになるため、発注者は技術提案の履行について確認しなければならない。

施工において技術提案の内容が履行できなかった場合は、再施工を原則とするが、再施工が困難あるいは合理的でない場合は、施工できなかった評価項目の加算点に相当する契約金額の減額、違約金等の請求を行うことがある。また、工事成績評定についても、施工できなかった評価項目の加算点に応じた減点を行うことになる。

さらに、引渡し後において、技術提案の不履行が確認された場合は、再施工の義務等を課すとともに、工事成績評定の減点を行うことがある。
契約後の措置等については、入札説明書等に記載しているので確認する必要がある。

(ケ) 建築基準法
建築主は、第5条の6第1項の建築士の設計によらなければならない建築物の工事をする場合には、工事監理者を定めなければならず、これに違反した工事はすることができないとしている。

(コ) 建築士法
建築物の災害等に対する安全性を確保し、建築物の質の向上と良好な市街地環境の形成を図ることにより、国民の生命及び財産の保護と公共の福祉の増進に資するためには、建築物の設計及び工事監理を適正に行うことが必要である。このため、この法律では建築物の設計及び工事監理に携わる建築技術者の資格並びに業務を定めている。

(サ) 建築士法第25条規定、平成31年1月21日 国土交通省告示第98号

「建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準」において、工事監理等に関する業務と報酬の算定方法等を定めている。
別添ー第2項「工事監理に関する標準業務及びその他の標準業務」の第一号と第二号で示す項目は、基本的に民間(旧四会)連合協定工事標準請負契約約款の第9条(監理者)の各項目と整合するものである。

建築士法による工事監理者の法定業務とは、第一号「工事監理に関する標準業務」の表の項目(4)から(6)までである。項目(4)「工事と設計図書との照合及び確認」の業務内容に示す「確認対象工事に応じた合理的方法」として、「工事監理ガイドライン」が示されている。

なお、工事請負契約書第9条(監督職員)第2項第二号の一部の業務は、告示第98号の別派ー第1項第三号の「工事施工段階で設計者が行うことに合理性がある実施設計に関する標準義務」に位置づけられている。

建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準

(平成31年1月21日 国土交通省告示第98号)

別添ー
2 工事監理に関する標準業務及びその他の標準業務

ー 工事監理に関する標準業務(本文及び表の業務内容欄省略)

二 その他の標準業務(本文及び表の業務内容欄省略)

(シ) 工事請負契約書(平成7年6月30日建設省厚契発第25号、最終改正令和3年3月26日。以下、この節では「契約書」という。)
契約書第9条(監督職員)で発注者権限のうち監督職員が担当する権限の手続きと範囲を規定する(図1.0.1参照)。監督職員の権限等は、総括監督員、主任監督員及び監督員のそれぞれの権限(役割分担)について受注者に通知することで有効になる。運用基準と関連する通達類をもとに適用される。

1.0.3 用語の解説
「標仕」1.1.2で定められている以外で、本書の中で使われている用語の解説を次に示す。

(ア) 確認
工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかを確かめる監督職員の行為のことをいう(「標仕」においては、受注者が行う行為に対して使用される。ほかには、会計法等による給付の確認に該当する事項及び工事契約に直接かかわらない分野で行う監督職員の行為に対しても使用される。)。

(イ) 調整
監督職員が関連する工事との間で、工程等について相互に支障がないように協議し必要事項を受注者等に対し指示することをいう。ほかには、工事契約に直接関わらない分野で行う監督職員の行為に対しても使用している。
また、設計図書に基づいて、工事目的物が具体化されていく段階で生じる数々の問題を適切に処理し、工事の進捗を円滑に保つことをいう。

(ウ) 記録
工事における監督の経緯を明らかにしたものをいう(1.2.4参照)。

1.0.4 監督職員の業務の概要

(1) 監督職員の業務の概要
(ア) 監督職員の基本的業務を大別すると次のようになる。

(a) 予算執行職員として、契約図書に基づく履行の確認、調整及びそれらの記録
(b) 工事監理者として、設計図書の具現化の段階における確認、調整及びそれらの記録
(c) 国の職員として、国の政策の実施における指導
入契適正化法による不正行為等に対する措置(建設業法第28条の一部、施工体制台帳の提出等の違反)、適正化指針及び関連通知に従い講ずるべき措置(特に工事契約締結から完成までの間。施工体制台帳確認や監理技術者の確認等)
公共工事品確法及び「公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針について」により必要となる措置等。工事の監督(検査)及び施工状況の確認・評価等。
実施に当たっては、発注関係事務を適切に実施できる者を活用するよう努めるものとしている。

(イ) (ア) に関する監督職員の検査は数量、出来形、出来高、品質・性能がその主なものとなる。
国土交通省の監督職員が行う出来形確認は、「地方整備局営繕工事既済部分出来高算出要領(案)(平成29年3月29日 国営整第236号 国営設166号)」により、受注者が作成した出来形部分確認資料により確認するとされている。対象は監督職員の検査に合格した部分等である。
契約書第18条(条件変更等)による確認の請求が受注者より提出されたときは、契約書に従い調査のうえ、結果を受注者へ通知する。
例えば、設計図書相互の齟齬や土工事中の地中障害物の発生等が、受注者等より主任監督員に対し通知と確認の請求が提出された場合の対処は、概ね次のとおりとなる。
(a) 問題の実態を把掘する(現場に関する問題は、極力監督職員が現地で状況を把握する。)。
(b) 緊急度に応じて、まず上司へ報告する。
(c) 必要資料を作成(監督職員又は受注者等が行う。)する。この際なるべく最善と思われる処理方法を立案する。
(d) 資料を上司へ提出し、設計担当者と協議を行う。
(e) 上司からの指示を受ける。

(ウ) (イ) (b)の段階において、監督職員が自己の権限で判断、処理できると思われる場合は、調整を行った後、その調整内容を記録に残し、随時上司の閲覧を受けられるようにしておくことが大切である(1.0.7参照)。
なお、監督職員の権限については、「事務処理要領」(1.0.2(エ) 参照)に分類されている。

(エ) 発注者の代理人である監督職員の契約上の責任としては、(イ) に示す講整の結果、契約図書に基づく変更処理をする必要があると認めた場合に契約担当官等へ報告することにある。また、原設計で構造設計ー級建築士・設備設計ー級建築士による法適合確認に該当となった建築物は、設計変更においても、その必要がある。

(2) 業務遂行に当たっての注意事項
(ア) 入居官署(管理官署)、設計担当者等との打合せ
監督職員は、必要に応じて、入居官署、設計担当者等と打合せを行う。その際、発注者組織の中の職員として打合せ内容を記録し、発注者組織の内部で当該事項に関する主務課が別途存在する場合は、実務上、当該課と連絡を取って対処する必要がある。自己の権限を超えるものは、上司に報告し指示を受ける必要がある。

(イ) 受注者の自主施工の取扱い
契約書(第1条第3項)においては、「仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段については、この契約書及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める。」と規定されている。
しかし、受注者の施工計画によっては、契約条件どおり(工期も含まれる。)の工事目的物が得られないと判断される場合、あるいは社会的・技術的常識に反すると判断される場合には、監督職員はその理由を示して受注者に注意を与える必要がある。さらに、事態が著しく深刻な場合及び注意が受け入れられない場合には、時期を失することなく、発注者から文書による申入れを行う必要がある。

(ウ) 下請負人の通知
発注者は、工事受注者が選定した下請負人の称号又は名称その他必要事項の通知を請求することができる(契約書第7条)。また、下請負人等が工事の施工上著しく不適当と認められるとき、発注者は受注者に必要な処置をとることを請求することができる(契約書第12条)。

一定金額以上の工事を受注した受注者は、平成6年の建設業法改正により法律上の義務として施工体制台帳を整備しなければならなくなった。さらに平成26年6月の建設業法の改正により、平成27年4月から公共工事において受注者は下請け金額にかかわらず、下請業者に工事を発注した場合は、施工体制台帳の整備を行わなければならなくなった。一方、監督職員(発注者側)は入契適正化法に基づき、元請業者だけではなく、下請業者を含めた適正な施工体制の把握・点検を行うとされている。これらは、工事の進捗に伴い新規に決定する下請業者に対しても適用されるので注意が必要である。

この条項を設けているのは、実際の作業にあたる下請負人の良否が工事の出来ばえに影響を与えるので、前項と同様に契約の履行上支障がある場合には是正を求める必要があるからである。

(エ) 問題解決に当たっての監督職員の態度
会計法に、「契約の適正な履行を確保する」と規定されているとおり(1.0.2 (ア) 参照)、監督職員は問題の解決に当たっては、迅速、かつ、適正な決定を行うよう努力しなければならない。

建築工事現場において、発注段階では予見不可能であった諸問題が発生した場合、対処に必要な発注者の意思決定に時間を費やす場合があるため、実働工期が短くなり工事等の品質が確保されないケースが発生していると指摘されている。そのため、発注者はワンデーレスポンスの実施等、問題解決のための行動の迅速化を図る必要がある。

ワンデーレスポンスは、従来監督職員が実施していた「現場を待たせない」、「速やかに回答する」という対応を、より組織的、システム的なものとし、工事現場において発生する諸問題の解決に対し迅速な対応を実現し、これによって効率的な事業執行を行うことを目的とする。

(オ) 監督職員の指示及び受注者等との協議
「標仕」に「監瞥職員の指示」によると定められている事項では、発注者の代表としての監督職員を表現しているもので、監督職員が自己の権限を超えるものは、上司、関係者等とよく協議する必要がある。すなわち、指示の内容により、監督総括業務、現場監督総括業務又は一般監督業務に分類されている(1.0.2(エ) 参照)ので、それぞれの業務権限に応じた者の了解を得て指示(「標仕」1.1.2(エ) )しなければならない。また、受注者等との協謡についても、発注者の代表としての協議を意味するもので、指示の場合と同様に対応する必要がある。

1.0.5 確認業務

(1) 確認に対する心構え
1.0.4で述べたとおり、出来形・出来高や設計図書に基づく品質の承諾は、監督職員の基本的な業務である。この確認の手順としては、一般的に「標仕」に基づく品質の確認を積み重ねていくことによって、出来形の確認を行うことになる。しかし、「標仕」に規定されている事項を全て現場において確認すると、現場における作業量は膨大なものとなる。特に巡回監督の場合には、全ての確認を現場で行うことが困難である。対応として、施工工程の目的を正確に認識するとともに、工程の重要度を勘案して限られた時間・体制で効率良く、要点を見逃さないで監督ができるように常に工夫しなければならない。
平成31年国土交通省告示第98号別添ー第2項第一号の項目(4)の業務内容で、「工事施工者の行う工事が設計図書の内容に適合しているかについて、設計図書に定めのある方法による確認のほか、目視による確認、抽出による確認、工事施工者から提出される品質管理記録の確認等、確認対象工事に応じた合理的方法により確認を行う。」とされており、この「確認対象工事に応じた合理的方法」について具体的に例示する工事監理ガイドラインが策定されている。
これらを総合的に勘案して、立会い確認、書類確認等の方法、抽出による確認による場合の抽出率等を決定する必要がある。

(2) 確認業務の分類
分類は次の3項目である。これらはそれぞれ準備段階と施工段階とに分けることができる。

(a) 工事材料と品質、施工結果の検査(設計図書どおりかを確認。立会いを含む)。
(b) 工期内の完成を確認すること。
(c) 受注者の責任に属する範囲の施工内容について把握していること。
なお、工事監理を業務委託する場合は、受託者が上記業務を実施し、結果を監督職員に報告する。
(3) 準備段階
(ア) 施工段階において巡回監督による監督職員の確認を行う前提としては、受注者等による自主的管理が適切に行われていることが必要になる。このため、施工計画書等により受注者の施工体制の確認が必要となる。具体的には、「標仕」1.3.1で規定するように、実際に施工を行う下請負人と受注者(元請負人)の責任範囲がどのようになっているか、施工の管理に対してどのような取組みを行うのか、また、監督職員に対してどのように施工の報告を行うのかなどが挙げられる。
なお、国土交通省の施策に挙げられている工事の安全については、建築工事安全施工技術指針等により、必要に応じて指導を行う。

(イ) 準備段階とは、施工に先立ち、工程表、施工計画書、施工図、見本等(2節参照)により、設計図書の内容を具体化する段階である。また、これらを通して施工時期、材料、工法等を監督職員と受注者等とがお互いに確認し、そのとおりに施工することを約束しあう段階でもある。施工品質はこの処理いかんで決定するといっても過言ではない。

(ウ) 提出された図書等については、「この図書等により施工して、設計図書と違うものができないか、要求品質を満たすか又は設計図書に明記されていない箇所の記述・作図等が、明記されている部分と均衡を得ているか、さらに、将来不具合 や故障の原因となるおそれのある納まりになっていないか」という観点で確認し、承諾する。ただし、受注者等と意見が相違する点については、十分に協議するものとし、設計図書に含まれていない事項については、設計担当者とも協議し、受注者等の計画を承諾するか計画の修正を求めるか、設計変更を行う必要はないか などを適切に決定する必要がある。経緯については、記録等を取らなければならない。

(4) 施工段階
(ア) 施工計画書に従い受注者等が施工を行う段階においては、材料及び施工の確認(受入検査)も受注者等が自己の責任で行い、準備段階で定められた条件に適合することを受注者等が確認し、その確認した結果を監督職員に逐次報告して、施工を進めていくことになる。
これに対して監督職員は、受注者等の自主管理が適正であるかどうかを確認するため「監督職員の検査」を行うことになる。
(イ) 材料及び施工の確認についての詳細は、4節及び5節を参照する。
(5) 確認業務の体系
前述した確認業務内容をまとめると、図1.0.2のような体系になる。


図1.0.2 確認業務の体系

1.0.6 調整業務

(1) 主な調整業務
現場における調整業務として予想される事項とその処理方法は、契約書及び「標仕」に定められている。最近では、発注者としての調整が必要な近隣等との折衝や周辺環境の保全、受注者等からの施工方法の提案への対応等、監督職員の調整業務が広がりつつある。この項では、主として「標仕」に規定されている次の項目について記述するが、調整を行った結果としては、請負工事の変更を伴う場合もあり、予算の裏付けや変更仕様の決定等、監督体制の中だけでなく関係者との調整が必要になる。

(a) 疑義に対する協議(「標仕」1.1.8参照)

(b) 工事箇所並びにその周辺にある地上及び地下の既設構造物、既設配管等に対して、支障を来たさないような施工方法等を定めることが困難な場合(「標仕」1.3.7(4)参照)

(c) 災害時の安全確保(「標仕」1.3.9参照)

(d) その他

(2) 主な調整方法
(ア) (1)(a)による調整
通常、工事現場で生じる調整は、疑義に対する協議によるものが主であり、その処理方法は、「標仕」1.1.8に定められている。
この調整の対象は、受注者等の単なる思い違いに属することから、設計図書作成時には予想できなかった事項に至るまで多種多様である。単なる思い違い等は別として、処理方法には次の二つがある。

① 設計変更
1) 契約変更と同時に行う場合
2) あらかじめ文書により変更内容を通知しておき、後でまとめて契約変更する場合

② 設計変更に至らない事項
「標仕」1.1.8 (3)でいう「設計図書の訂正又は変更に至らない事項」であるかどうかは、主として監督職員が自己の権限の範囲で判断することになる。しかし、判断の誤りを防ぐために1.0.4(1)(イ) に記述したとおり、上司への報告や記録の提出を確実に行わなければならない。

(イ) (1)(b)及び(c)による調整
協議又は報告のあった場合には、速やかに上司に報告しなければならない。特に、一般的な処置では、災害又は公害等の発生を未然に防ぐことが困難な場合を想定した(1)(b)に関する調整及び災害又は公害が発生した場合を対象とした(1)(c)に関する調整は、その内容の判断が難しい場合が多いので、直ちに上司に報告しなければならない。また、事態が急を要し、報告とともに対策も監督職員に迫られるような非常の場合には、被害の拡大の防止(特に二次災害の防止)、必要関係方面との連絡、現場保存、記録及び情報の収集に努めなければならない。このような場合に備えて、工事現場内の電話機のそばに非常時連絡先の一覧表を掲示しておくなどの処置が必要である。
なお、事故発生時には、現場代理人が監督職員に直ちに通報することを徹底しておくことが重要である。

(ウ) (1)(d)による調整
「不合格施工が発見された場合」に、それが容易に修正できるものの場合は再施工を指示すればよいが、例えば、構造体のコンクリート強度の推定試験が不合格となった場合(「標仕」6.9.5(2)参照)、あるいは、材料・施工等に大量の不合格が発生した場合等は、調整が必要となるので、処理方法に従って速やかに上司に報告し、その指示を受けなければならない。また、監督職員が調整に努めても受注者等が非協力的であるなど、監督職員の権限に基づく指示を受け入れない等の場合も同様である。

(3) 主な調整業務の体系
上述した調整業務をまとめると図1.0.3のようになる。


図1.0.3 主な調整業務の体系

1.0.7 監督業務の記録

監督業務の記録としては、事務処理要領の第12 (1.0.2(エ) 参照)に「監督に関する図書」が定められている。また、「標仕」には、受注者等が監督職員に報告するものが定められているが、それらの事項のうち事務処理要領の分類と対応するものを次に示す(表1.0.1参照)。
なお、受注者の提出する図書の書式は、「公共建築工事標準書式」(国土交通省官庁営繕部制定)によるほか、受注者との協議による(「標仕」1.1.5(1))。

(ア) 第一号に対応するもの
契約料に基づく工事の履行報告に当たり、監督督職員に提出すると特記された書面等。
(「標仕」1.2.4 (1)参照)

(イ) 第二号に対応するもの
「監督職員の指示した事項及び監督職員と協議した結果についての記録」
(「標仕」1.2.4(2)参照)
「工程表、施工計画書その他」(「標仕」1章2節参照)

(ウ) 第三号に対応するもの
「材料」及び「施工」に関する報告及び検査並びに立会いの記録
(「標仕」1章4節及び5節参照)
表1.0.1 現場に必要な主な書類

1章 各章共通事項 1節 共通事項

建築工事監理指針 1章 各章共通事項


1節 共通事項

1.1.1 一般事項

(1) 公共建築工事標準仕様書(以下「標仕」という。)は、公共工事標準請負契約約款(以下「公共約款」という。)に準拠した契約書により発注される公共建築工事において使用する材料(機材)、工法等について標準的な仕様を取りまとめたものであり、当該工事の設計図書に適用する旨を記載することで請負契約における契約図書の一つとして適用されるものである。「標仕」の適用により、建築物の品質及び性能の確保、設計図書作成の効率化並びに施工の合理化を図ることを目的として、建築、電気設備及び機械設備工事の「標仕」が制定されている。「標仕」は国土交通省をはじめとする各府省庁が官庁営繕事業を実施するための「統一基準」として位置づけられており、その改定周期は3年となっている。また、地方公共団体等の公共建築工事においても広く用いられている。

(2) 適用範囲については、「標仕」1.1.1 (1)に新築及び増築と明記されており、官庁営繕工事における適用の対象としては、一般的な事務庁舎を主に想定している。ただし、想定と異なる特殊な条件がある場合の適用に際しては、その工事工種を十分検討し、必要に応じて特記により補足等を行わなければならない。
また、改修工事については、別に国土交通省大臣官房官庁営繕部において、「公共建築改修工事標準仕様書」が、木造工事については、「公共建築木造工事標準仕様書」が制定されている。

(3) 公共工事に関する標準請負契約約款としては、中央建設業審議会で定める公共約款があり、各省庁等の国の機関、都道府県等の地方公共団体、独立行政法人等の機関や電気事業者、ガス事業者等の民間企業に対し、これを実施約款に採用することが勧告されている。国土交通省においても勧告を受けて工事請負契約書(以下、この節では「契約書」という。)を改正し、公共約款の改正に対応している。平成22年7月26日には公共約款が改正され、契約当事者間の対等性確保、施工体制の合理化、不良不適格業者の排除等について改善が図られ、平成29年7月25日の改正では、法定福利費の適正な負担等の規定が新設された。また、令和2年12月21日の改正では、民法や建設業法などの改正に合わせ譲渡制限の特約や契約不適合の責任、契約解除等の内容が改正された。契約不適合の責任は、改正民法の「瑕疵」が「契約の内容に適合しないもの」と文言が改められたことを踏まえ、約款もこれまでの「瑕疵担保」から「契約不適合責任」に変更された。
なお、「標仕」は、公共約款が適用されることを前提として作成されているので、公共約款に基づかない契約書が適用された工事の場合には、注意が必要である。

(4) 「標仕」に規定している事項は、一般的に契約書の規定により定められた現場代理人に対する内容となっており、契約を履行するに当たっての最終的な責任は、当該工事請負契約の受注者が負うものである。ただし、工事請負契約が双務契約であり、契約書第9条に基づき、発注者からの権限の一部を委任された監督職員は、その責務を全うすべく、誠意をもって職務を行わなければならない(善良なる管理者としての注意義務)。

(5) 「標仕」の1章には、契約書の補足事項のほか、2章以降の各章に共通する事項がまとめられている。大きくは①材料や施工の承諾、検査等、工事を実施していくうえでの手順を定めた事項、②配置すべき技術者の役割や、施工中の安全確保等に関し発注者が期待し求めている事項、③工期の変更や、工事検査等に関し、発注者が的確な判断を下すために監督職員が対応すべき事項を定めており、各章を部分的に適用する場合には、基本となるこれらの事項が欠落しないよう留意しなければならない。また、「標仕」の2章以降の各章において、1節の一般事項は、2節以降の規定と併せて適用される。

(6) 契約書と設計図書とを併せて、ここでは、「契約図書」という。
契約書第1条(総則)によれば、「設計図書」には、別冊の図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書がある。「仕様書」とは、材料・製品・工法等について、要求する特定の形状・構造・寸法・成分・能カ・精度・性能・製造方法・試験方法等を定め、文書化したものであり、一般的には、工事に対する設計者の指示のうち、図面では表すことができない点を文章・数値等で表現したものといえる。

本来仕様書は、建物の設計与条件や設計基準に基づき個々の建築工事ごとに定めるべき事項であるが、類似施設をよく発注したり、同じ仕様を用いることが多い場合等は、発注者としての標準的な仕様を「標準仕様(あるいは共通仕様)」としてあらかじめ作成しておき、個々の建築工事ごとに決定すべき仕様のみを「特記仕様」として、質的水準の統一や設計図書作成の合理化を図る発注方式が、わが国においては多くみられる。

契約書第18条(条件変更等)においては、設計図書間に相違があった場合、監督職員に確認を請求することになっているが、「標仕」においては、契約条件の明確化を図るため、「標仕」1.1.1 (4)で、設計図書間の優先順位を定めている(図1.1.1参照)。しかし、常に材料の品質や施工技術に関し全体的な均衡を考慮し、疑義が生じた場合には速やかに協議を行わなければならない。


図1.1.1 工事請負契約における図書

1.1.2 用語の定義

(1) 「標仕」1.1.2では、「標仕」において基本となる用語について定めている。

(2) 契約書に関する監督職員の権限については、契約書第9条(監督職員)で規定されている。「標仕」1.1.2(ウ) から(キ) までの用語は、受注者等の措置に対して、監督職員がその権限の範囲内において行う承諾、指示、協議、検査及び立会いについて定めている。

建設工事の性質上、工事完成後に施工の適否を判定することが困難となる部位があることや、施工後に不具合があることを発見しても、その修復に対する費用や工期の延長による影響が大きいことから、施工中の監督については、公共工事の品質を確保するうえで、その重要性が高い。

(3)「標仕」では「検査」という用語を、1.6.0のように定義して使用している。しかし、一般的には、監督職員が工事の過程で行う確認のための「配筋検査等」、検査職員が行う「完成検査」、受注者等が行う「受入検査」、専門工事業者が行う「自主検査」等、広く「検査」という用語が使用されている。

「監督職員の検査」を受けるための前提として、受注者等は、施工状況や材料の試験結果等について事前に確認し、その内容を品質管理記録として作成した後、監督職員に提出し、監督職員は必要に応じて立会い等により設計図書との適否を判断する(図1.1.2参照)。

図1.1.2 「標仕」で定める監督職員の業務

(4) 基本要求品質、品質計画及び品質管理の概念が導入されたのは、平成9年版の「建築工事共通仕様書」からであるが、その背景、考え方及び今後の展開は、次のとおりである。

(ア) 工事目的物の品質を確保するためには、発注者は受注者に「要求品質」を明確に伝え、受注者は責任をもって実現することが重要である。従来、工事に使用する材料については、JIS等に示された性能を満足することを要求品質としてきたが、施工結果(材料を加工し取り付けた後の、工事目的物の部位等)についての品質や性能については、監督職員と現場代理人が工事目的物の品質レベルについて合意形成を行い、施工計画書等に反映するとともに、施工において合意品質のつくり込みを行ってきた。

しかし、発注者としての要求品質を明確化していくことが基本であるため、各章ごとに基本要求品質を規定している。

(イ) 「基本要求品質」とは、工事目的物の引渡し(不可視部分については一工程の施工)に際し、施工の各段階における完成状態が有している品質をいい、3章以降の各章の一般事項において、①使用する材料、②仕上り状態、③機能・性能について、発注者としての基本的な要求事項を定めている。

なお、「施工の各段階」とは、次の工程に引き継ぐまでの一区切りと考えると分かりやすい。

① 「使用する材料」に関しては、「所定のものであること」としているが、一般的に、工事に使用する材料は、建築物に要求される性能を満たすものが設計担当者により選定され、設計図書に指定されている。このため、「標仕」で規定する基本要求品質の実現においては、工事において定められた品質の材料が正しく使用されたことを工事完了後においても確認できるようにしておくことが重要である。

なお、材料に関する具体的な品質の証明の例は、後述するJISマーク等の確認・記録による方法がある。

② 建築工事の「仕上り状態」としては、多分に主観的なものであるが、これを何らかの方法で客観的な状態として定めて、合意の品質を形成するようにする。これには、最終的な仕上りだけでなく、施工の各工程における出来形においても同様に考える必要がある。

③ 「機能・性能」としては、材料レベルでは普遍的な要求となっているが、建築物としての機能・性能は直接設計図書に示されることは少ない。また、出来上がった建築物の機能・性能を直接測定することも容易ではない。したがって、この要求に対しては、定量的な確認ができない場合、設計で意図する性能・機能を満足させるようなつくり込みをどのように行うか、具体的な施工のプロセスの管理に置き換えて、これを実施させることと考えればよい。

これらの要求事項の詳細は、各章の基本要求品質の記述を参考にされたい。

なお、具体的な規定がないものについては、実際の工事に当たって、この基本的な要求事項をどの程度のレベルで実現するかを、後述の「品質計画」において明らかにしておく必要がある。

各章に規定する基本要求品質における「所定」とは、「標仕」の各節の規定をはじめとした設計図書、法令等により遵守すべき事項として定量的に定まっている仕様をいう。これに対して、建物の仕様の中には、立地条件、用途、施工部位等に応じて、一律に定めることができないものが多くある。このため「所要の状態」として、受注者等が品質計画の中で施工の目標を定め、監督職員が承諾することによって、工事目的物の所要の状態についての合意品質を形成する(「標仕」 1.2.2参照)。

(ウ) 「品質計画」とは、施工計画書の一部をなすもので、設計図書で要求された品質(基本要求品質を含む。)を満たすために、受注者等が、工事において使用予定の材料、仕上げの程度、性能、精度等の目標、品質管理及び体制について具体的に記載したものをいい、監督職員は、この品質計画が当該工事に相応して妥当なものであることを確認して、承諾することになる。

なお、監督職員は事前に十分な検討を行い、工事目的物に要求される品質や、設計意図等を総合的に判断する必要がある。

(エ) 「品質管理」とは、品質計画における目標を施工段階で実現するために行う工事管理の項目、方法等をいい、品質計画の一部をなすものである。品質計画における目標が高いレベルであればよりち密な管理を行う必要があり、目標とする品質によって受注者等が行う施工管理は変わってくる。また、監督職員の検査を行う段階についてもあらかじめ定めておくとよい。

(オ) 仕様規定は分かりやすいというメリットはあるものの、その性能がよく分からないままに、それに従うことが要請される。一方、性能規定は要求品質を明確に示すことにより、新しい材料、工法の開発等に指標を与えるものとなる。

1.1.3 官公署その他への届出手続等

工事の施工に必要な官公署への手続きには提出時期が定められていて、手続きが遅れると工事の進み方に影響するものがあるので、事前に届出の確認をし、工程の遅れの原因にならないようにする。必要な手続きのうち建築工事にかかわる主なものを表1.1.1に示す。

なお、設備工事にかかわるものについては、国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「電気設備工事監理指針」及び「機械設備工事監理指針」を参照されたい。

1.1.4 工事実績情報システム(CORINS)への登録

(1) 国土交通省では、平成5年12月の中央建設業審議会の建議に基づき、入札・契約手続の透明性、客観性及び競争性をより一層高めるとともに、客観的な基準により信頼のおける建設業者を選定するための施策として、工事実績情報の登録を推進している。

(2) 「標仕」では、特記された場合には、受注時、変更時(工期、技術者(現場代理人、主任技術者、監理技術者)等に変更があった場合)及び完成時の定められた期間内に登録機関へ登録申請を行い、登録されたことを証明する資料(登録内容確認害の写し)を提出するとしている。ただし、期間には、行政機関の休日に関する法律(昭和 63年法律第91号)に定める行政機関の休日は含まないとされている。

なお、変更時と工事完成時の間が10日に満たない場合は、変更時の登録されたことを証明する資料の提出を省略できるものとされている。

表1.1.1 主な官公署への申請手続一覧表

(3) (-財)日本建設情報総合センター(JACIC)では、全国の公共発注機関(国の機関、地方公共団体及び公共・公益法人等)及び公共公益施設の整備に関する事業を営む法人(鉄道、空港、電力等)が発注した工事請負金額500万円以上の工事実績データをデータベース化し、各発注機関へ情報サービスする工事実績情報システム(コリンズ)を構築し運営している。

また、JACICでは、平成17年4月から「コリンズの工事経歴検索システム」の運用を開始している。

(4) 国土交通省はじめ各発注機関では、公共工事における一般競争入札及び公募型指名競争人札等の技術審査においてコリンズデータにより、応募してきた建設会社の施工実績や手持ち工事の状況等を適切に把握するとともに、建設業法で義務付けられている監理技術者の専任制のチェック等に活用しており、監督職員は担当する工事についての登録内容を確認し、正確な情報が速やかに登録されるように指導しなければならない。

1.1.5 書面の書式及び取扱い

(1) 書面の書式
契約書及び「標仕」では、書面により記録を整備することが求められており、その書式については、国の機関の「統一基準」である「公共建築工事標準書式」のほか、監督職員との協議によるとしている。また、書面の取り扱いと押印等の見直しが行われ、「標仕」1.1.5(2)では書面での提出が必要な「監督職員の承諾」等は電子メール等を利用できるようになり、「標仕」1.1.2(セ) の「書面」の「押印」が削除され「公共建築工事標準書式」の各書式からも押印欄が削除された。
なお、「公共建築工事標準書式」は国土交通省のホームページに掲載されているので活用するとよい。

(2) 施工管理体制に関する書類の提出

(ア) 建設業法に基づく適正な施工体制の確保等を図るため、発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、請負金額が 4,000万円(建築ー式工事の場合は 6,000万円)以上の場合は、全ての下請負業者を含む施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え置くことになっている。ただし、建設業法施行規則第14条の2第3項及び4項では、記載すべき事項が、電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録され、必要に応じて当該工事現場において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもって施工体制台帳ヘの記載及び添付害類に代えることができるとされている。

また、施工体制台帳に基づいて、施工体系図を作成し、現場の見やすい場所に掲げる必要がある。

なお、公共工事の場合は、請負金領に関係なく下請契約を締結した場合には施工台帳を作成して、施工体系図を工事関係者及び公衆が見やすい場所に掲げる必要がある。

建設業法の抜粋を次に示す。

建設業法
(昭和24年5月 24日 法律第100号 最終改正 令和3年5月28日)

(施工体制台帳及び施工体系図の作成等)
第24条の8
特定建設業者は、発注者から直接建設工事を、請け負った場合において、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の,請負代金の額(当該下請契約が2以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が政令で定める金領以上になるときは、建設工事の適正な施工を確保するため、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事について、下請負人の商号又は名称、当該下請負人に係る建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を記載した施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え置かなければならない。

2.前項の建設工事の下請負人は、その請け負った建設工事を他の建設業を営む者に請け負わせたときは、国土交通省令で定めるところにより、同項の特定建設業者に対して、当該他の建設業を営む者の商号又は名称、当該者の請け負った建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を通知しなければならない。

3.第1項の特定建設業者は、同項の発注者から請求があったときは、同項の規定により備え置かれた施工体制台帳を、その発注者の閲覧に供しなければならない。

4.第1項の特定建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事における各下請負人の施工の分担関係を表示した施工体系図を作成し、これを当該工事現場の見やすい場所に掲げなければならない。
建設業法

(イ) 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成12年11月27日 法律第127号、最終改正令和3年5月19日)が施行され情報の公表や不正行為等に対する措置、適正な施工体制の確保等に関する措置が位置付けられ、公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針(平成13年3月9日 閣議決定)が制定されたことを踏まえ、国土交通省においては従来の取組みをさらに充実させるとともに、新たに取り組む事項を盛り込んでいる。
なお、適正化指針は、平成23年8月9日(閣議決定。一部変更 令和4年5月20日)に変更されている。また、入契適正化法では施工体制台帳の提出等に関して次のように定めている。

公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律
(平成12年11月27日 法律第127号 最終改正令和3年5月19日)

(施工体制台帳の作成及び提出等)
第15条
公共工事についての建設業法第24条の8第1項、第2項及び第4項の規定の適用については、これらの規定中「特定建設業者」とあるのは「建設業者」と、同条第1項中「締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が2以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が政令で定める金額以上になる」とあるのは「下請契約を締結した」と、同条第4項中「見やすい場所」とあるのは「工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい場所」とする。

2 .公共工事の受注者(前項の規定により読み替えて適用される建設業法第24条の8第1項の規定により同項に規定する施工体制台帳(以下単に「施工体制台帳」という。)を作成しなければならないこととされているものに限る。)は、作成した施工体制台帳(同項の規定により記載すべきものとされた事項に変更が生じたことに伴い新たに作成されたものを含む。)の写しを発注者に提出しなければならない。この場合においては、同条第3項の規定は、適用しない。

3.前項の公共工事の受注者は、発注者から、公共工事の施工の技術上の管理をつかさどる者(次条において「施工技術者」という。)の設置の状況その他の工事現場の施工体制が施工体制台帳の記載に合致しているかどうかの点検を求められたときは、これを受けることを拒んではならない。
公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律

1.1.6 設計図書等の取扱い

(1) 事務処理要領第12 (1.0.2(エ) 参照)に基づく監督に関する図書は、表1.0.1を参照のこと。工事においては、仕様書等において適用される図書に基づいて施工を行うこととなるが、必要な図書は、受注者の負担で整備するとしている。
なお、監督職員は、計画通知図書(副本)を、建築基準法第89条第2項に基づき、現場に保管し、管理しなければならない。

(2) 工事において使用する工事関係図書や、それらの内容等については無断で第三者に公表すると、建物用途等により完成後における安全や防犯上問題が生じることが考えられる。また、これらの図書の帰属によっては、著作権上の問題が生じることもあるので、「標仕」では、原則として受注者等が工事関係図書を工事の施工の目的以外で第三者に使用又は閲覧させることを禁止している。
なお、漏洩についても禁止している。

1.1.7 関連工事等の調整

契約書第2条(関連工事の調整)では、受注者が施工する工事と発注者の発注に係る第三者の施工する他の工事が、躯体工事と設備工事のように施工上密接に関連する場合において、発注者の調整義務と受注者の工事全体の円滑な施工の協力に関して規定されており、「標仕」1.1.7はこれを受けている。

当該施設の内容や工事の進捗等に精通した監督職員が、関連工事等との調整を行うことは、施工品質の確保、契約の適正な履行、工期の遵守等にとって重要であり、受注者は、当該契約の内容を履行するだけでなく、関連工事等の受注者と協力して、工程や納まり等を検討することで、工事目的物全体の品質確保や、施工における合理化を図ることができる。

なお、平成31年版「標仕」までは「別契約の関連工事」と記載されていたが、令和4年版から「関連工事等」に修正された。公共約款第2条の表現と整合されたものであるが、仮設足場などを関係者に無償で利用させる場合など、関連工事との調整は、必ずしも「別契約」とは限らないこともある。

1.1.8 疑義に対する協議等

(1) 「標仕」では、設計図書の内容や現場の納まり等で疑義が生じた場合、受注者等は監督職員と協議することが定められている。疑義が生じた場合に受注者等が独自の解釈で施工を行うと、設計意図に反する結果となる場合があり、手戻りによって受注者等の不利益となるばかりでなく、工期が遅れたり、修正等によって発注者が要求する本来の品質が確保できなくなる可能性があるなど、これらの問題を未然に防止するために設けられた規定である。

また、監督職員が設計図書の内容に疑義を抱いた場合においても、設計担当者等に疑義の内容を確認し、設計図書の訂正や変更が生じた場合は、速やかに契約書の規定に従い、受注者に対する措置を講ずる。

(2) 受注者等にとって、疑義が生じる原因には、次のようなものが考えられる。

① 受注者等に起困するもの:理解が不十分、思い違い等
② 監督職員に起因するもの:思い違い、不徹底、調整不足等
③ 設計図書に起因するもの:誤びゅう、脱漏、不均衡、不整合[当該工事及び関連工事]等
④ 契約条件に起因するもの:誤びゅう、脱漏、不整合等

(ア) ①は、契約図書の内容が正しい場合で、受注者等が設計図書の内容を完全に把握できなかったり、間違って理解した場合に生じるものであるが、監督職員は受注者等に十分な説明を行い、設計図書に従って施工がなされるように指導する必要がある。この場合は、「協議」に至らないことが多い。

(イ) ②は、契約図書の内容が正しい場合で、監督職員が設計図書の内容を間違って理解していたり、「指示」や「調整」の内容を全ての関係者に周知しなかったり、中途半端な「指示」や「調整」を行った場合に生じるものであるが、このようなことがないように、設計図書を十分把握するとともに、序節で説明した「監督職員の立場及び業務」を十分に理解し、的確な業務を行わなければならない。
なお、監督職員が間違った指示を行いそれに従って工事が進められ、その結果として受注者に損害を与えた場合には、発注者としての責任が生じるばかりでなく、監督職員個人にも予算執行職員等の責任に関する法律による弁償責任を求められる場合がある(1.0.2(オ) 参照)。

(ウ) ③及び④は、設計図害及び契約条件が不備な場合に生じるものであるが、契約内容の変更にかかわるため、監督職員は、受注者等及び発注者側の関係者(設計者、関連工事の担当監督職員等)と十分な調整を行う必要がある。
なお、この場合は、内容の軽重を問わず「協議」の対象となる。

(3) 契約書第18条(条件変更等)では、設計図書や質問回答書等の相互の不一致がある場合、設計図書に誤りやもれがある場合、設計図書の表示が不明確な場合、設計図書に示された施工条件が実際と一致しない場合及び工事の施工条件について予期し得ない特別の状態が生じた場合は、受注者等は、その旨を発注者に通知し、確認を請求しなければならず、発注者は、確認の請求を受けたとき又は自らその事実を発見したときは、受注者の立会いのうえ、調査を行い、必要と考えられる指示を含めて一定機関内に書面により結果を通知しなければならない。
協議を行った結果、設計図内の訂正又は変更を行う場合は、契約行第18条第4項第一号から第三号の規定に従って行うこととなる。

契約内容の変更については、契約書第19条から第25条までに設計図書、工期、請負代金額の変更に係る事項が定められており、該当する規定に従って適切な措置を行わなければならない。

(4) 「標仕」1.1.8(3)では、設計図書の訂正又は変更に至らない事項については記録を整備することが定められている。このうち発注者と受注者との協議対象となる事項について、監督職員と現場代理人とが事前に整理を行うことによって、現場における業務や書類の簡素化に努めなければならない。
1.1.9 工事の一時中止に係る事項

契約書第20条(工事の中止)では、工事用地の確保ができないときや、自然的又は人為的な事象であって受注者の責に帰すことができない事由により工事が施工できない場合には、発注者は工事を中止させなければならない。また、この場合以外でも発注者は、必要があるときは工事を一時中止させることができると規定している。

これを受けて「標仕」では、人為的な事象の具体的例を示し、発注者が工事の一時中止の必要性を認められる状態にまで達しているかどうかについて判断するため、受注者等にその状況を監督職員に報告することを求めている。
なお、「標仕」で定めた場合以外でも工事現場の状態が変動し、工事の施工に支障が生じていると監督職員が判断した場合には、現場代理人に報告を求めるなど、状況を的確に把捉し、適切な現場運営に努めなければならない。

工事の一時中止については、「営繕工事請負契約における設計変更ガイドライン(案)」(平成27年5月(令和2年6月一部改定))中の工事中止ガイドラインを参照されたい。

1.1.10 工期の変更に係る資料の提出

(1) 工期の変更方法については、契約書第24条(工期の変更方法)に発注者と受注者が協議して定めることが原則的に規定されているが、「標仕」1.1.10では、協議対象となる事項について、必要な変更日数の算出根拠、変更工程表その他発注者との協議に必要な資料を受注者が作成し、監督職員に提出することを求めている。

(2) 契約書第23条(発注者の請求による工期の短縮)第1項では、特別の理由があるときは、発注者は工期の短縮等をすることができると規定されているが、工期の短縮等の協議対象となる事項について、可能な短縮日数の算出根拠、変更工程表その他発注者との協議に必要な資料を受注者等が作成し、監督職員に提出することを求めている。

これは、発注者が工期短縮等の請求を行う場合に、可能な短縮R数、工期を短縮した場合の全体工程への影響、請負代金額の変更、受注者の損害等について発注者が的確に把握し、受注者と協議して施工能力上可能な日数を定める際の根拠とするものである。

(3) 契約書第23条は、工期の短縮等について発注者から請求を行う場合の規定であるのに対し、契約書第24条は、条件変更等による設計図書の変更等による工期の変更のほか、受注者からの請求による工期の延長、工事の一時中止による工期の変更について、発注者と受注者が提出された資料を基に、協議する場合の規定である。

いずれの場合においても、一定期間内に協議が整わない場合には、発注者が工期の変更決定を行うことになるので、監督職員としては、契約書第21条(著しく短い工期の禁止)を鑑み、当該工事の延長又は短縮を行う場合は、工事に従事する者の労働時間その他の労働条件が適正に確保されるように、やむを得ない事由により工事等の実施が困難であると見込まれる日数等を考慮し、提出された資料の内容について現場の工程や施工体制が的確に反映されているか検討しておく必要がある。

1.1.11 特許の出願等

工事の施工上の必要から行った考案や技術開発に関する権利が、発注者又は受注者のどちらにどの程度帰属するかは、一律に定めることができない。このため、「標仕」では、特許の出願等をしようとする場合は、あらかじめ発注者と協議するとしており、受注者が一方的に権利を主張することを制限している。
なお、契約書第8条(特許権等の使用)は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権等の日本国の法令に基づき保護される第三者の権利の対象となっている工事材料、施工方法等の使用責任についての規定であり、この使用責任は、原則として受注者が負うとしている。ただし、発注者が工事材料、施工方法等を指定した場合で、設計図書 に特許権等の対象であることが明示されておらず、受注者が特許権等の対象であることを知らなかった場合には、発注者が使用に関して要した費用を負担するとしている。

1.1.12 埋蔵文化財その他の物件

契約書第1条(総則)第1項に日本国の法令を遵守することが明記されているとおり、埋蔵文化財を発見した場合には、「文化財保護法」等、関係法令に従い、適正に処理しなければならない。

「標仕」では、工事に関連した埋蔵文化財その他の物件に係る権利は、発注者と受注者の契約において、発注者に帰属するものとしている。また、文化財としての判断を行う場合があるので、埋蔵物を発見した場合は、直ちにその状況を監督職員に報告することを受注者等に求めているので、報告を受けた場合は、直ちに関係者と打ち合わせ、その後の措置を受注者等に指示しなければならない。

発注者と受注者の契約において、権利の帰属を約することができる「発見者としての権利」は、埋蔵物の発見に関連して受注者が発見者となる場合(受注者が文化財発掘作業を行わせた場合)における受注者(=発見者)の権利のみである。

しかし、これに加えて、作業員が発見者となる場合(偶然に作業員が発見した場合)においても、通常は当該作業員を雇用する受注者が、関係機関との調整や当該作業員への助言等を通じて当該文化財の取り扱いに関与するものと思われるため、公共建築の進捗に権限と責任を有する発注者としても、広く受注者が行う発見者たる作業員への助言、関係機関との調整等の行為に関与していく権利をも含む趣旨で「発見にかかる権利」としている。

1.1.13 関係法令等の遵守

法令の遵守は契約書第1条(総則)でも明記されており当然のことであるが、「標仕」改定の時点では想定されていない法令の改正等への対応も考慮した規定である。