1級建築施工管理技士 鉄骨工事 鉄骨あらわし部分はデザインする

建築品質 鉄骨造


034)鉄骨あらわし部分はデザインする

構造設計図では接合部などが記号化してある。柱と柱、柱と梁の接合部は溶接接合が多いが、その他の接合部は剛接合でもピン接合でもガセットプレートと高力ボルトでの接合となる。鉄骨がそのまま仕上げとなってあらわしになる部分が、ガセットプレートと高力ボルトがむき出しのままできあがってしまって、後悔する場合がある。
意匠設計者は、鉄骨がそのまま仕上げとなってあらわしになる部分は構造設計者とよく協議をおこない、デザインするべきである。

1.鉄骨はスリムにする

ロール材(圧延鋼材)のH形鋼は合理的に作られているが、見付けは大きい。意匠上重要な部分は、厚板鋼材を用いて工場組立のH形鋼(ビルドH)にすれば見付けはスリムになる。鉄骨柱も厚板の溶接組や無垢材で細い柱をつくることも可能である。またH形鋼のウェブに穴を開ければ軽い表現も可能である。


鉄骨をスリムに

2.鉄骨の接合部を溶接接合でスッキリと

溶融亜鉛めっきの鉄骨の接合は、ボルト止め(溶接は不可)である。この場合はできるだけ大きく溶接接合で部材をつくり、ボルト止めの箇所数をできるだけ少なくする。また、そのボルト止めの位置も目立たないところにするなども検討を行う。
溶融亜鉛めっきしない場合は現場でも溶接接合ができる。運搬などの制限で、工場では大きくつくれない場合は、現場で、しかも足場の良い地上で大きく組み立てることも可能である。塗装仕上げの場合は再塗装などのメンテナンスを考慮しておくことは言うまでもない、

溶接接合でスッキリと

3.構造的な力をデザインする

建物の水平力を建物内部のコア壁やフレームで負担させ、外周部の柱には鉛直力だけ負担させれば、柱は細い部材(たとえば鉄骨無垢柱など)にできる。また、軸力を引張で負担する丸鋼ワイヤーなどの引張材を用いることも可能である。構造的な力をシンプルにすれば、部材もシンプルになり空間をスッキリと演出できる。


水平力を別に負担させれば端は細くなる

1級建築施工管理技士 鉄骨工事 外壁貫通部の止水方法

建築品質 鉄骨造


035)外壁貫通部の止水方法

鉄骨が外壁や屋上を貫通する部分は雨水が浸入しやすい。外壁の仕様に応じた納まりがあるが、いずれも、鉄骨の発注前に相殺を決め、シール受けの側面プレートや防水受けなどを鉄骨工場で取り付けるようにしなければならない。外部鉄骨は溶融亜鉛めっきなど防錆も考慮する。

1.コンクリート外壁やALCパネル外壁を鉄骨が貫通するとき

外壁貫通部の鉄骨の両サイドに外壁厚さ分の側面プレートと、外壁と同面に正面プレートをそれぞれ水密溶接で取り付け、ALCパネルと鉄骨取合い部を二重シールする。隙間には耐火材としてロックウールを充填する。



コンクリート壁をH形鋼が貫通するときは、RC打込みとなり、側面プレートは幅50mm程度でよい。




2.ECP外壁を鉄骨が貫通するとき

ECP(押出成形セメント板:Extruded Cement Panel)は空洞があり板厚が薄く、小口面にシールができないので、外壁面にシールする。鉄骨断面よりひと回り大きな正面プレートを設け、二重シールとする。正面プレート、側面プレート(幅はECP幅 + シール厚)は鉄骨に水密溶接する。金属パネルを鉄骨が貫通するときも同じ考え方である。




3.屋上防水を鉄骨柱が貫通するとき

屋上機械置場の鉄骨柱が屋上防水を貫通する場合、鉄骨柱にコンクリートを巻いてそれに防水を立ち上げる方法と、鉄骨に直接防水を立ち上げる方法がある。



コンクリートに防水を立ち上げる場合は、通常のパラペットの納まりと同じである。コンクリートの天端では鉄骨柱に止水プレートを設け、シールする。
鉄骨柱に直接防水を立ち上げるときは、鉄骨柱足元をボックス形状にして天端に防水立上りの受けプレートを設ける。受けプレートの下に水切りと保護板受けを設置する。

1級建築施工管理技士 鉄骨工事 屋外鉄骨階段

建築品質 鉄骨造


036)屋外の鉄骨階段は建物から離す

屋外の鉄骨階段に関連するトラブルは、屋外階段と接する外壁からの漏水、屋外階段の出入り口まわりなどからの漏水や、階段の歩行音がうるさいなどがある。鉄骨階段では防錆や塗装の耐久性やメンテナンスはもちろん、階段の意匠も重要である。

1.屋外鉄骨階段は外壁から150mm程度離す

外壁の鉄骨階段などに接する外壁から漏水することがある。屋外鉄骨階段が外壁と近接しているため、外壁パネルなどの目地シールが一部施工できていないのが原因である。屋外鉄骨階段は外壁から150mm程度離して、外壁のシールや塗装などが確実にできるよにしなければならない。




2.屋外階段出入口床と階段の床は 120mm以上の段差を設ける

屋外階段出入口の鋼製扉のくつずりまわりのシールが確実に施工できるように、階段の床は内部の床より120mm以上下げる。(避難階段の場合は150mm以下)階段幅木の天端より上でくつずり下部のシールが確実に施工できることが必要である。

3.鉄骨階段の音対策

鉄骨階段は人が昇り降りする時の音が騒音となる場合がある。普段使用する鉄骨階段は、以下を検討する。

①階段を構成する鋼材を厚くし剛性を高める
②段床に塩化ビニルシート(屋外用)を張る
③段床をPCa(プレキャスト コンクリート)板にする

屋内では段床をモルタル塗りとし、タイルカーペットを張ることもできるし、段床に制振鋼板を使うなどの方法もある。




4.鉄骨階段の納まり

階段の段の割付けにおいて、昇り始めを1段先に送ると、ささら桁の折返し及び手すりがきれいに納まる。また、鉄骨階段の幅木は20mm程度に小さくするとスッキリとする。

1級建築施工管理技士 鉄骨工事 鉄骨造の耐火被覆

建築品質 鉄骨造


037)鉄骨造の耐火被覆は認定による

鉄骨の耐火被覆に使う製品には岩綿の吹付け材(湿式・半湿式)や、巻き付けタイプの岩綿マット、けい酸カルシウム板などの耐火成形板、セラミック系の吹付け材、耐火塗料などがある。それぞれ耐火材料として認定を取得しており、設計段階で使う材料は決められている。施工に当たって認定仕様・条件を満足しなければならない。

1.EV機械室や通信機械室などの耐火被覆材は飛散しない仕様にする

直天井(鉄骨躯体あらわし)の居室や天井チャンバー、エレベーター機械室やエレベーターシャフト、通信機械室などは耐火被覆材の岩綿などが飛散しないようにしなければならない。湿式岩綿の吹付けかい岩綿マット、耐火成形板などにする。

2.吹付け耐火被覆材は吹付け厚の管理が重要

吹付けに当たって、必要吹付け厚さを確保できるよう管理ピンをセットするなどの施工管理が重要である。

3.耐火被覆を欠損させてはならない

鉄骨の柱や梁に仕上げの下地金物を取り付けるときは、耐火被覆を欠損させないような取付けとする。空隙のできるような取付けは不可である。


鉄骨の耐火被覆

4.耐火塗料は維持管理が必要

耐火塗料は使用場所や環境の条件によって劣化するため、経年の状態を確認し、劣化の状況によっては塗装の補修や改修をする必要がある。特に外部に耐火塗料を用いた場合は、劣化が早く進む。竣工後建築主や建物管理者が維持管理することになるので、採用時(設計時)に十分に説明しなければならない。

5.耐火塗料の塗り厚管理

耐火塗料はわずか数mm厚の塗装で、火災時には塗料が発泡して耐火性能を発揮する。薄い塗り厚で耐火性能を発揮するため、特に塗り厚管理が重要である。塗装面積と使用材料の量と、サンプリングで塗り厚を管理する。平滑に仕上げたい場合は、下地の平滑性と同時に塗装段階で研磨などの工程が入るので、特に厳しく塗り厚を管理する。




耐火被覆平滑仕上げの工程(例)

1級建築施工管理技士 外壁工事 PCa板のカーテンウォール

建築品質 パネル外壁


038)PCa板のカーテンウォールは等圧に

プレキャストコンクリート板(PCa板)のカーテンウォールは耐久性や強度は十分にあるが、自重が重い。取付けは上部躯体にパネル荷重を預ける上吊り方式と、下部躯体にパネルを預ける下置き方式がある。どちらもPCa板の荷重を鉄骨に預けるため、鉄骨の撓みや回転を起こさないように注意する。

1.PCa板はファスナーと一体にする

PCa板は以下のポイントが重要である。

①正確な配筋と鉄筋のかぶりの確保
②ファスナーをPCa板と一体に定着する
③寸法精度の確保
④脱型時強度を確認し、養生する

2.層間変位に対して、ロッキング方式で追随する

PCa板のファスナーは鋼材を組み合わせたものや鋳造製のものがある。ファスナーは躯体の層間変位に対してロッキング方式で追随する。ファスナーは防錆処理し、耐火被覆する。
ファスナーは以下のポイントが重要である。

①面内外の層間変位にスムーズに追随できること
②躯体変形に追随する時に異音を発生しないこと
③取付けボルトやナットが緩まないこと
④取付け時に鉄骨レベルや位置の施工誤差を吸収
⑤確実な施工ができること

上部または下部を固定して層間変位に対応するスライド方式は変位時に水平目地が切れやすく、建物コーナー部の縦目地も大きくなるので採用しない。

3.PCa板ジョイント部は水密性を確保する

PCa板のジョイントはシールジョイントとオープンジョイント(等圧方式)がある。シールジョイントは外部側のシールで雨水が入らないようにする。シールが切れた時はメンテナンスが必要である。オープンジョイントは、水を切るレインバリアと気密性を確保するウインドバリアの間を外部と等しい気圧にして、レインバリアから入った水をスムーズに排水する方式である。現場打ちシールがなく、長期的に安心である。

4.施工図には仮設材と施工管理のための情報を盛り込む

PCa板の施工図には吊りインサートなどの施工に必要な仮設部材と、溶接長さ、変位対応のルーズ孔の確保、目地交叉部の納まり、取付け精度や取付け順序など施工管理のための情報を盛り込まなければならない。

1級建築施工管理技士 外壁工事 ALCパネルの注意点

建築品質 パネル外壁


039)ALCパネルの注意点

ALC(軽量気泡コンクリート:Autoclaved Light -weight aerated Concrete)パネルは軽量で、断熱性があり、穴あけや切断などの加工が容易である。縦張りと横張りの工法があり、どちらも層間変位に追随するが、ALCパネルの目地は切れやすく、雨水が侵入する可能性がある。パネル厚さは支点間距離と耐風圧によって決まる。

1.ALCパネルの横張り

横張りはパネル幅に合わせて間柱を設け、パネル3段ごとに荷重を間柱に預ける。層間変位に対してはスライド工法で追随する。


パネル横張りスライド工法

2.ALCパネルの縦張り

縦張りは階高がパネル高さになり、パネルの自重は床で支持される。層間変位に対しては、ロッキング工法で追随する。


パネル縦張りロッキング工法

3.最下部は侵入水の排水をする

縦張りでも横張りでもALCパネルのジョイントはシールで止水する。シールが切れた場合、侵入水はALCパネルをつたって最下部に集まる。したがって最下部ではALCの下端はRCの立上りを設け、内部へ染み出さないようにする。

4.ALCパネルの外壁は下地金物をしっかり構造体に付ける

パネルの下地金物は、鉄骨加工工場で先付けされた下地取付け金物に、現場溶接で取り付けられる。その現場溶接がしっかりしていないと外壁強度不足になる。施工図には溶接箇所と溶接長さなど管理のポイントを明記することが重要である。

5.ALCパネルの仕上げ

ALCパネルの表面は水を吸って風化しやすいので、防水性の塗装や塗材などで保護する必要がある。ALCパネルにタイルを張る場合はモザイクタイルが望ましい。ALCメーカーの管理のもとにタイルを張らなければ剥落等保証ができなくなる。タイル張りは低層建物もしくはバルコニー付きの外壁などにするほうが賢明である。

1級建築施工管理技士 外壁工事 成形セメント板(ECP)の注意点

建築品質 パネル外壁


040)成形セメント板(ECP)の注意点

成形セメント板(ECP:Extruded Cement Panel )は一般に厚さ 60mm(75mmもある)で内部が空洞で軽く、丈夫である。ALC板と同様に縦張りと横張りがあり、層間変位に対応して動くので、パネルの目地は切れやすく雨水が侵入しやすい。

1.ECPの横張り

ECPの横張りはスライド工法となる。パネル3段以内ごとに荷重を受ける。横目地は外部側をシール、内部側はガスケットを通す。縦目地はロックウールを挟んで外部側をシール、内部側にガスケットを通す。横目地から入った水は縦目地のロックウールをつたい、最下部に集まる。最下部は水切りで受けて、ステンレス(SUS)製の排水パイプで外部へ排水する。

2.ECPの縦張り

ECPの縦張りはパネルの下部両側2箇所で荷重を受け、ロッキングさせることで層間変位に対応する。縦目地は本実(凹凸ジョイント)になっており、外部側そシール、内部側はガスケットを施工する。横目地部分はパネル小口にステンレス(SUS)製水切りを差し込み、横目地から入った雨水を下部へと導く。横目地のバックアップ材は櫛状の水抜き型を使用する。最下部に落ちてきた水は、水切りで受けた外部へ排水する。

3.ECP外壁の仕上げ

ECPは素地仕上げやタイル張りや塗装仕上げが可能であり、それぞれの仕上げに適したECPがある。

①ECPにタイルを張る場合はモザイクタイルに限る。タイル張り用のECPにポリマーセメントでタイルを張る工法が一般的である。タイルを張るとECPに反りが発生しやすい。ECPは薄いので強風時の風圧による変形によって剥離の可能性がある。このため弾性エポキシ接着材でモザイクタイルを張る工法が多くなってきている。そちらの工法でもパネルの支点間距離を小さくして変形を少なくするように考えたい。

②ECPに塗装をする場合、ECPの表面は平滑であるので、塗装で金属パネルのような表情も可能である。メタリック塗装を現場施工すると、足場の影響による色むらになるケースもあるので、工場塗装も検討する。また、フッ素クリアー塗装でECPの素材感を出す仕上げの場合はECPの吸込みの違いによる色むらなどにも注意が必要である。

1級建築施工管理技士 外壁工事 金属板の注意点

建築品質 パネル外壁


041)金属板の注意点

金属板の外壁には、ステンレス(SUS)、アルミ、鋼板などがある。金属板の外壁におけるトラブルは錆や表面処理の耐久性、止水納まり、雨の音、断熱、熱膨張によるひずみ、層間変位対応に関するものなどがある。

1.パネルの耐候性と耐風圧強度の確認

どんなサイズの外壁パネルであっても、風圧に対してパネル自体が変形しないか、風圧をどう下地に伝えていくか、パネル補強リブや取付けボルト径やピッチを確認する。また、パネルの耐候性は素材と表面仕上げによる。特にアルミの表面処理の仕様は最低でも公共建築工事標準仕様素やJISに適合させる。

2.大型金属パネルはカーテンウォール(CW)にする

大型金属パネルは躯体の層間変位に対応できるようにCW型材を用い、パネル間のジョイント部は水密性を確保する。パネルとCW型材はスタッド(溶接ボルト)を用いてナット留めとする。パネルの裏面には防露・防音材(ひる石)を吹き付ける。

3.小型金属パネルはビス固定の部をルーズにする

小型パネルは取付けビスを1ヶ所固定とし、他をルーズにすることで、熱膨張と変位に対応できるようにする。曲げ加工したパネルや切板パネルのジョイントは基本的にはシール納まりとなる。下地金物は防錆し、取付けビスはSUS製とする。

4.スパンドレルは水切りでジョイントする

スパンドレル(取付けビスが隠れるように成形した金属板)の外壁は層間変位や熱膨張にはそれ自身が変形などで柔軟に対応する。下地ボード(必要に応じて耐火ボード)の上に防水シートを張って、スパンドレルを施工する。水平ジョイントは水切りを設けるが、水切り上下のスパンドレル小口部はケミカル面戸(隙間塞ぎ)を挿入する。仮設足場繋ぎ部やコーナー部は張り終い(被せ張り)を考慮する。


1級建築施工管理技士 石工事 外壁石の選び方

建築品質 外壁石


042)石の選び方

建築で最もよく使う大理石や花崗岩は、磨けば鮮やかな光沢を発し、耐久性があり同じものが一つとしてない貴重な材料でもある。花崗岩は、耐久性があるが火に弱い。大理石は色相も多様であるが、雨が多い日本ではカビの発生や風化しやすいこともあり、外部雨がかりでの使用には注意を要する。

1.石は工場で選定する

壁や床に石を張る場合、小さなサンプルで決めてはならない。石は同じ山から採っても模様や斑の入り具合が異なる。工場で同じところから採った原石がどれくらいあって、一つの原石から何m2使えるかを確認し、石を使う壁面の各面ごとの面積に合わせて使う石を決める必要がある。最近では採石現地で板加工までして輸入することもある。設計者は施工者と現地で確認するのが望ましい。

2.石張りのデザイン

壁の石張りは、壁全体が一枚の石のように見せたいケースがある。石の模様や斑が連続するように展開した壁とするのか、一方向に流すかなど、石の斑の特徴を活かしたデザインによって石の取り方や加工が決まる。


石を展開して斑を合わす


石の斑の流れを合わす

また、石目を柾目にするか、平目に使うかで、同じ石でも表情が変わる。原石を決めた後、板加工したものを実際に並べて全ての面を確認したい。


大理石の柾目


大理石の平目

3.石の濡れ色は表面処理で防ぐ

外壁や床石で、雨がやんだ後も長い間、石が濡れているように見苦しくなることを、濡れ色をいう。これは石が水を吸い込みやすく乾燥しにくい場合に起こる。石種によって濡れ色になりにくい石もある。石の濡れ色帽子は、石の仕上げ面に濡れ色防止材を塗る表面処理を行う。表面処理は石裏からの水分を封じ込めることができるため、白華現象(エフロレッセンス)防止としても効果がある。従来の裏面処理より表面処理の方が確実に効果がある。石によっては、表面処理をした石としない石で、色目が変わることもあるので、確認する。表面処理は加工が済んでよく乾燥した石に、工場で処理することが重要である。


石の濡れ色

4.石の吸水率、強度を確認する

石は同種のものでも産地によって強度や吸水率などが異なる。外壁や外部床などに採用する場合、色目や柄だけでなく、強度や吸水率、耐久性、耐磨耗性などを確認することが大事である。吸水率が高いと凍害の可能性もある。

1級建築施工管理技士 石工事 外壁乾式工法

建築品質 外壁石


043) 外壁石張りは乾式工法とする

外壁石張りの湿式工法では、下部固定部取付けモルタルや裏込めモルタルに水が廻って、雨が上がった後に石の表面が濡れ色になったり、白華現象(エフロレッセンス)の発生や冬場は凍害などの恐れもある。さらに、地震などの際、躯体の変位やクラック発生の影響を直接受けて、石が割れたり剥がれたりする可能性もある。湿式工法は、公共建築工事標準仕様書で高さ10m以下の外壁工事に適用するとされている。石張りをいつまでも美しく保ち、躯体の変位の影響を受けにくい乾式工法が主流になっている。

1.乾式工法による石の取付け

石取付けのだぼ穴部分が風圧力に耐えるか、使用石材の強度試験で確認する。石は4カ所のファスナーで固定するが、1カ所は効いてないものとして、それでも十分耐力があることを確認し、石の厚さを決める。通常は石厚30mm以上(内部は25mm以上)とし、だぼ穴にファスナー(取付け金物)で取り付ける。ファスナーはステンレス(SUS)製とし、1段ごとに石の荷重を受ける。石の目地幅は8mmとし、ポリサルファイド系シーリング(PS-2)を充填する。幅木だけは湿式取付けとし、取付けモルタルの天端を塗膜防水して侵入水は縦目地から排水する。

2.乾式工法の石張りは人や物の衝撃で割れやすい

乾式の場合、腰部分は物や人の衝撃で割る恐れがある。板厚を上げるか、繊維強化プラスチック(FRP)で裏打ち補強をするなど検討する。

3.下がり壁部分の石の取付けに注意する

外壁の下がり壁やまぐさ(開口部の上部の壁)部の石には、その荷重を受けるための石(力石)を2カ所設ける。力石はだぼピン2本と接着剤を併用して壁石に固定されており、石受け金物に荷重を預ける。外壁の石目地から入った水は、ステンレス製フラッシング(塞ぎ板)で目地部へ導かれ、水抜きから外部に排出される。

4.上げ裏(軒天井部)の石取付け

上げ裏部や梁底などの石張りは落下しないように、必ずファスナーと吊りボルト併用で固定する。吊りボルトはSUS製とし、石一枚に2カ所以上設け、吊りボルト1本でも十分支持できるような強度を確保する。大地震(400gal)時、鉛直方向の震度K=1.0でも脱落しない安全性が求められる。また、石は一部が割れても脱落しないようFRPで裏打ち補強をする。