1級建築施工管理技士 タイル工事 大きさで張り方が決まる

建築品質 外壁タイル


045) タイルの大きさで張り方が決まる

外壁タイルを張り付けるとき、タイルの自重を接着強度が出るまで保持しなければならない。したがって重いタイルと薄く軽いタイルとでは張付け工法が異なる。

1.小口未満のモザイクタイルはモザイクタイル張り

下地モルタル木ごて押さえの上に、張付けモルタルを2度に分けて施工する。張付けモルタルの1回の塗付け面積は3m2以下で、かつ20分以内にタイルを張り終える面積とする。張付けモルタルを塗り付けたのち紙を表張りしたモザイクタイルを押し付けて、目地部に張り付けモルタルが盛り上がるまで叩き締める。

2.小口以上で二丁掛け以下のタイルは改良圧着張り

下地モルタル木ごて押さえの上に張り付けモルタルを施工する。張り付けモルタルの1回の塗り付け面積は、60分以内に張り終える面積とし、平坦に塗りつける。タイルの裏面全体に張付けモルタルを平らに塗り付けて張り付ける。周囲に張付けモルタルがはみ出すまで叩き締める。

3.二丁掛けより大きなタイルは改良積み上げ張り

下地モルタル木ごて押さえの上に、張付けモルタルを塗り付けたタイルを張付け、周辺からモルタルがはみ出すまで叩き締める。

4.下地モルタルは厚く塗らない

下地モルタルは既調合モルタルを使用する。10mm程度の塗り厚で十分であり、それ以上に厚く塗りすぎない。躯体精度を上げるほうが重要である。

1級建築施工管理技士 タイル工事 モルタルとどっちが剥がれやすいか

建築品質 外壁タイル


046)タイルとモルタルではどっちが剥がれやすいか

タイル張り外壁の品質問題は、剥離や剥落である。タイルだけが付着不良で剥離、剥落するだけではない。コンクリート躯体と下地モルタルの付着不良により、下地モルタルごと剥離、剥落することもある。

1.コンクリートと下地モルタルの付着を確実に

脱型しやすい合成型枠を使用するため、コンクリートの表面が平滑な状態になる。そこに下地モルタルを塗ると、付着が十分でなく、剥離が起きやすい。下地モルタルが確実に付着するように、コンクリートの表面を超高圧水洗処理で筋状目荒らしをして、下地モルタルを塗ると確実である。カップサンダーによる目荒らしは、荒らした際の砂やモルタルの粒子を水洗いでは十分に取り除くことができないので採用しない。下地モルタルは木ごてで平滑に押さえる。タイル張りの施工前に下地モルタルの浮きやひび割れが無いかを確認し、不良箇所があれば補修する。

2.下地モルタルと張付けモルタルの付着を確実に

下地モルタルの水しめしを十分にした上で張付けモルタルを塗る。張付けモルタルは2度に分けて塗りつける。張付けモルタルが乾燥しないうちにタイルを張り付ける。

3.タイルの裏足をしっかり圧着

タイルの付着を良くするためにタイルの裏足に張付けモルタルが食い込むように、タイル裏に空気が残らないようにしっかり圧着させる。モザイクタイルは乾式でつくられるため、裏足のあり形状が湿式タイルほど十分でない。このためしっかり圧着することが重要である。

4.タイル施工後の付着の確認

タイル張り施工後、目地モルタルの強度が出てから打音試験を実施する。また、接着力試験も合わせて行う。試験体を100m2に1個とし、全体で3個以上実施する。接着力試験はタイルの目地部分をコンクリート面まで切断して周囲と絶縁し、引張試験機で接着強度を測定する。後張り工法で0.4N/mm2以上を合格とする(先付け工法では0.6N/mm2)。浮きや接着強度が不足しているときは、監理者に報告し承諾を得て張り直す。

特殊建築物等の外壁をタイルで仕上げた場合、特殊建築物等の定期調査時にタイルの劣化及び損傷の状況を調査し、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。調査方法及び結果の判定基準は特殊建築物等定期調査業務基準(監修国土交通省住宅局建築指導課・財団法人日本建築防災協会)による。

外壁タイル張りの建物は剥離・剥落すれば歩行者等に重大な危害を加えることになるので、建物所有者は、調査結果をもとに健全な維持保全に努めなければならない。

1級建築施工管理技士 タイル工事 伸縮調整目地

建築品質 外壁タイル


047) タイル張り外壁には伸縮調整目地を設置する

タイル張り外壁は、外気温や日射によってタイル面が熱伸縮する。その面内の熱応力によってタイルが剥がれる方向に力が働く。その対策として熱伸縮を吸収する目地が必要となる。これを伸縮調整目地という。

1.伸縮調整目地は躯体の目地と同じ位置に設ける

タイル張り外壁では、コンクリート躯体の水平打継ぎ目地、及び壁のひび割れ誘発目地と同じ位置にタイル伸縮調整目地をもうけなければならない。躯体の動きは目地部に集中するため、躯体目地部のタイル目地はタイルどうしの縁を切った伸縮調整目地としなければならない。(水平打継ぎ部の目地については、次項参照)

2.躯体目地が無くてもタイルの伸縮調整目地が必要

壁式構造のコンクリート躯体で、ひび割れ誘発目地を設けない場合でも、3〜4m程度ごとに伸縮調整目地を設ける。伸縮調整目地は下地モルタルから目地をもうけなければならない。

3.入隅、出隅の伸縮調整目地

出隅のタイル張りは熱伸びによって、直行方向にタイルを押し出す力が働く。入隅は熱伸びで逃げ場を失い、剥がれる方向に力が働く。出隅の近辺と入隅には伸縮調整目地を設ける。

4.まぐさのタイルが剥落しやすい

まぐさ(窓上部)のタイルは張り付けた時から自重によって浮きやすい状態にある。また、出隅と同じように壁の熱伸縮の影響を受け剥がれやすい。タイル目地から入った水がまぐさ部に集まり白華現象を発生させたり、その水が凍結してタイルを押し出すなど、まぐさタイルは最も剥がれやすい。したがって、まぐざ部の近辺に伸縮目地を設け、裏に水を入れないように張り付け、しっかり目地詰めをすることが重要である。タイルが万が一浮いても剥落しないように、タイル裏面に銅線やなましステンレス鋼線を取り付けて躯体に固定し、モルタルで張り付ける方法もある。

5.タイルとサッシが取り合う部分も伸縮調整目地

サッシなどの金物取合い部にも伸縮調整目地を設ける。タイルも熱伸びし、サッシも熱伸びするので、お互いの熱伸びを衝突させないように伸縮調整目地を設ける。サッシと躯体、サッシとタイル間をシールで止水する。

1級建築施工管理技士 タイル工事 打継ぎ目地部は剥離しやすい

建築品質 外壁タイル


048) 打継ぎ目地部のタイルは剥離しやすい

45角や45二丁などのモザイクタイル張り外壁において、打継ぎ目地まわりが最も剥離、剥落しやすい。

要因として、
①打ち継ぎ目地の躯体精度不足
②タイルと張付けモルタルとの接着面不足
③躯体の微小な動きの伝搬
などがある。

打ち継ぎ目地の位置と幅は、意匠的な見えかかりはもちろんのこと、他の部位(バルコニーや開放廊下やアプローチなど)との取合いを総合的に判断して、最初に決めなければならない。

1.躯体施工精度を上げる

躯体打継ぎ部の水平精度を確保すること。通常の±10mmでは大きすぎで、最低でも± 5mm以下となるよう施工管理を徹底することが重要である。

2.打継ぎ部のタイル目地幅を大きくする

目地上と目地下のタイルが下地モルタルにしっかり張りつくように、タイル目地幅はできれば打継ぎ目地幅と同じ20mmにすることを推奨する。
打継ぎ部のシール目地が目立たないように一般部と同じ目地幅の5mmにすると、片方のタイルは15mmが打継ぎ目地と重なり、実質は30mmしかモルタルに接着しない。

3.タイルの割り付けを目地芯にする

タイルの割り付けの基準を目地上端にすると、目地下側のタイルの付着面積が小さくなる。さらに躯体誤差が重なるとさらに付着面積は小さくなる。したがって、タイルの目地芯は躯体の目地の中心を基準に割り付けたい。

4.目地部の張り方を上下だけ45二丁を張りする

目地の上下のモザイクタイルを45二丁縦張りとすることによって、張付けモルタルとの付着面積を大きく確保し、剥離の危険性を少なくできる。また、縦張りを入れることによってタイル目地を20mmにしても目立たなくなる。最も現実的な方法の一つである。

1級建築施工管理技士 建具工事 必要な性能

建築品質 外部建具


049)建具に必要な性能

外部建具の耐風圧や水密性能等に関する仕様は設計図に記載されている。施工者はその設計仕様を確認し、その仕様を実現させるために施工計画書や施工図を作成する。

1.まず第1に法規制を確認する

①防火設備や特定防火設備は認定番号や認定書にある取付け工法や使用条件などを確認する。

②非常進入口に代わる窓は破壊進入または非常開錠などの開放方法や開口寸法(直径1m円内接またはw750×h1200)を確認する。

③排煙窓は有効排煙面積が法的必要面積以上確保されているか、また、手動操作位置が床から1,500mm以下の高さであるかを確認する。

2.建具に求められる性能の確保

建具に求めらる性能は、建物の立地、風圧、取付け高さ、及び位置などによって変わる。建具の要求性能は特記仕様書及び設計図書による。
アルミ製建具の性能種別に関して、公共建築工事標準仕様書では次表のとおりである。

①耐風圧の等級は
S-4 = 2000Ps
S-5 = 2400Ps
S-6 = 2800Ps
であり、耐風圧の最小風圧は1200Ps以上とする。

②水密製の等級は
W-4 = 350Ps
W-5 = 500Ps
であり、直接雨がかりの可動窓の水密性は耐風圧の20%(1/5)以上が望ましい。FIX部では風圧の50%(1/2)を確保する。

③気密性の等級は、1時間・m2当たりの漏気量で示す。
A-3 = 8m3/h・m2(SAT:セミエアタイト)
A-4 = 2m3/h・m2(AT:エアタイト)

3.建具の遮音等級

建具の遮音性能基準は日本工業規格 JIS A4706により規格化しており、その等級値は T-1〜T-4 等級で表示される。数値が高いほど遮音性能が優れており、建具の遮音性能は音響透過損失(外部から進入する音に対して、周波数ごとの音の低減量)で表現される。

建具の遮音性の等級は
T-1 = 25等級
T-2 = 30等級
T-3 = 35等級
T-4 = 40等級
となる。
騒音が大きな道路に面した共同住宅などでは、T-3以上が望ましい。

4.窓の断熱性能

省エネルギー設計上、開口部は熱の出入りが多く弱点になりやすいので注意を要するが、外壁部分とのバランスもあるので総合的に検討をする必要がある。
断熱性能をもつ建具は基本的にメーカーの仕様によるが、改正省エネ法に基づき策定された住宅の「窓等の断熱性能に係る情報提供に関するガイドライン」(2010年5月24日)で次のように4段階で表示されるようになった。

1級建築施工管理技士 建具工事 アルミ製建具の表面仕上げ

建築品質 外部建具


050)アルミ製建具は表面仕上げで長持ち

アルミ製建具の表面処理は意匠的なデザインもあるが、建具の防錆処理として耐久性に関わるので重要である。既製アルミ製建具はJISに基づいているが、特注のカーテンウォールは簡単に取換えなどできないため、耐久性に余裕を持たせて、皮膜厚さや塗装のグレードを上げている。

1.アルミニウムの表面処理には A~D種ある

アルミ製建具の表面処理の種別は公共建築工事標準仕様書の金属工事おいてA~D種と記載されている。特記が無ければ、外部はB-1種、内部はC-1種とする。
A-2種、B-2種でいう着色陽極酸化皮膜は特記がなければ二次電解着色とする。酸化皮膜の種類のAA15、AA6はそれぞれ平均皮膜厚さ 15μm, 6μm以上をいう。

透明合成樹脂塗装は高耐候性アクリル樹脂塗装が望ましい。また、酸化皮膜厚や塗装膜厚は、耐久性に影響するため、膜厚検査で確認する。

2.過酷な環境の場合は複合皮膜の仕様を上げる。

複合皮膜(陽極酸化皮膜 + 塗装 )の種類はB種(陽極酸化皮膜 9μ以上 + 塗装 7μ)が標準であるが、沿岸部や工場地域など過酷な環境の場合はA種(陽極酸化皮膜 9μ以上 + 塗装 12μ)とする。
カーテンウォールはA種の仕様とし、耐久性を持たせたい。また、より耐久性を持たせたいからと塗装膜厚を厚くすると、塗膜のひび割れを起こすケースもあるため、酸化皮膜の方を厚くすることを検討する。

3.焼付塗装は必ず膜厚管理を行う

焼付塗装の耐用年数はアクリル樹脂塗装で 5~7年、ウレタン樹脂塗装で 10~12年、フッ素樹脂塗装で 25~30年である。焼付塗装では、膜厚や焼付温度管理が重要である。特に塗装がのりにくい角部はアールにする。角部の最低限の塗装膜厚を確保して、縦横材の同面仕口ができるアールは0.2mm程度が限界である。

4.アルミはアルカリに弱く、異種金属との接触にも弱い

アルミ製建具の表面処理がA種及びC種の場合は、コンクリート・モルタル・プラスターなどのアルカリ性材料と接する箇所は、耐アルカリ性の塗料を塗り付ける。また、アルミ材は補強部材や取付け金物などの異種金属(鋼材など)と接すると接触腐食を起こすため、塗装被膜などで接触腐食を防止する。

1級建築施工管理技士 建具工事 止水はシールに頼らない

建築品質 外部建具


051)建具の止水はシールに頼らない

外部建具まわりからの雨水の進入がないように、壁と建具枠の取合い部にシールをするが、シールには寿命がある。容易にメンテナンスや打替えができれば良いが、必ずしも簡単ではない。したがって外部建具まわりのシールは切れることを前提に、雨水が浸入しにくいディテールにすることが重要である。

1.外部建具の上枠まわりのディテール

外部建具の上枠部は上部の外壁に当たった雨水が滝のように流れてくるため最も雨水が入り込みやすい。雨水が入り込みにくディテールは次の順に検討する。


建具上枠のディテール

①最も効果的なおさまりは庇を設けることである。庇は躯体と一体が望ましく、さらに庇の出は大きいほど安心である。付け庇でもよい。

②抱きを設ける。建具を壁の内側に寄せてコンクリートの抱きを設け、外壁を伝った水が建具に伝わないように水切り形状とする。

③水切りを設ける。ただし、水切りの上部から浸入しないように、二次シールが切れても入らないようにする必要がある。

④外壁と同面おさまりにして水切りを設けないときは二重シールにする。二次シールが切れても紫外線などから保護された一次シールが頑張ってくれる。二重シールが確実にできる既製型材はあまりないので、上枠に加工が必要である。同面納まりでは、建具枠のシール材やガラスのシール材が外壁を汚すことも考慮する必要がある。

2.外部建具の下枠まわりのディテール

外部建具の下枠部もコンクリートとの取合いから水が入りやすい。縦枠取合い部を伝った雨も下枠両側から入りやすい。雨水浸入をぐせぐおさまりは、次の順に検討する。

①下枠部躯体は外部へ向けた勾配を設ける。

②建具を固定したらモルタルを密実に充填する。

③建具下枠には水切りを付ける。さらに水切りの両端部を立ち上げると、外壁の汚れも少なくなる。


建具下枠のディテール

1級建築施工管理技士 建具工事 開口補強は一体

建築品質 外部建具


052)建具と開口補強は一体

鉄骨造のALC板や押出成形セメント板(ECP)のパネル外壁に取り付けるサッシはパネルに直接固定しないので、スチールの開口補強材に取り付ける。パネルを開口補強材は変位によって動くので、シールは切れやすく、雨水浸入の要因となる。

1.開口補強の強度を確保する

開口補強材は開口部の風圧ろ開口まわりのパネルの風圧を負担している。構造的には二次部材のため、金属工事として軽く扱われることが多いが、溶接などは資格が必要である。構造設計図に記載がない場合は構造設計者に確認する。特に、階高が高い時や開口が大きい時は注意が必要である。

2.サッシは開口補強と一体化する

ALC板の場合は、開口補強材に建具枠のアンカーを溶接し、モルタルを充填して建具枠と開口補強を一体化する。ALC板でモルタルを充填しない場合は、アンカーだけで風圧力に耐えうるようにアンカーを取り付けた後、ロックウールを密実に充填し、気密性を確保する。

ECPの場合は、モルタルを詰めないで、乾式取付けとし、アンカーだけで風圧力に耐えうるようにする。建具を一体になった専用のアンカー金物を用い、取付けボルトの個所数や強度などは確認が必要である。ボルトの場合は緩み止めを考慮する。

3.パネル外壁と建具の納まり

ALC板やECPのパネル外壁は鉄骨造の動きに合わせてロッキングやスライドで対応するため、建具とのシールは切れやすくなる。したがって、シールが切れても浸入しにくいおさまり、または入っても排水できるおさまりが必要となる。
ALCでは水切りを設け、二重シールとする。ECPでは縦目地を伝って落ちてきた水が内部に伝わないにして、排水する納まりにする。ECP専用型のサッシ枠を用いるほうが望ましい。

1級建築施工管理技士 建具工事 雨の入りやすい窓

建築品質 外部建具


053)雨の入りやすい窓

低層建物では引き違い窓が多用されている。気密性に劣るため、雨が入りやすいが、庇や水切りが考慮されていて雨水浸入対策はおおよそ計画されている。一方で嵌め殺し窓は雨水浸入がしにくと考えられているが、シールに頼っているケースが多く、シールが切れると漏水することがある。また、排煙用外倒し窓及び縦軸回転窓は漏水するケースがある。

1.外倒し窓は雨が入りやすいので突き出し窓とする

外倒し窓は自然排煙のために部屋の上部に設けられることが多い。自然排煙窓の開閉操作は床から800〜1500mm以下の操作しやすいところに設けられた開閉装置で行う。開閉装置は2〜3窓連動などが多い。この排煙窓を日常の換気に使用する場合、開放するときは押しボタンで簡単に開放できるが、閉鎖するときはハンドル操作でワイヤーを巻く。繰り返し使っている間にワイヤーが伸びて、閉鎖が完全にできなくなり、壁を伝った雨水がそのまま上枠と障子の隙間から浸入する。この事例はよくみかけられるが、高所であるので日常の点検、確認がしづらいので注意を要する。
したがって、外倒し窓にする場合は、庇を設けるか大きな水切りを設ける必要がある。庇などを設けることができない場合は、突き出し窓にするのが望ましい。

2.縦軸回転窓は水切りを設ける

縦軸回転窓は窓枠と障子の間にある止水ゴムがタッチして止水する。開閉時に障子は回転し、軸部でゴムが内外にねじれ、その発生する隙間から漏水する。
また、外壁同面の場合は、雨水が上枠や下枠の止水ゴム部分を水膜でおおうように流れるため、ゴムタッチに少しでも隙間がある場合は水が入りやすくなる。縦軸が偏心した場合には障子枠が垂れ下がることもあり、漏水する可能性は大きくなる。
したがって、止水ゴム部に雨水が当たらないようにすることが大事であり、そのために枠上部、障子下部に水切りを設けると良い。

1級建築施工管理技士 建具工事 窓の結露した水の処理

建築品質 外部建具


054)窓の結露した水の処理

断熱建具枠や複層ガラスの普及によって、建具の結露は少なくなったが、それでも一般には結露する外部建具やガラスはまだ多い。この結露水が額縁や壁を汚すこともある。温浴施設の結露水を外部に排水すると、外壁を汚すこともある。

1.結露水の排水

ガラス面と同時に枠も結露する。枠とガラス面の結露水は、原則として排水孔を設けて外部に排水する。排水孔は逆流防止弁を設けるか、枠内の排水孔の位置をずらして風圧によって内部に吹き込まないようにする。結露水の排水で外壁が汚れる恐れがある時は、水切りを外部側へ大きく出す。


結露水の排水

2.ホテルの結露水は拭き取り式にする

寒冷地などでは、外部に排水された結露水が凍結し、つらら状になることがあるため、拭き取り式にする方がよい。また、ホテル客室など結露しやすい用途では、排水により外壁を汚すことや、排水孔からの騒音やプライバシーを考慮し、拭き取り式にする。ホテル客室では拭き取り式にする場合は、180cc以上の結露水が溜まることもあるため、十分な量の結露受けを設けなければならない。


結露水の拭取り

3.温浴施設の結露水は室内へ排水

温浴施設では常時結露が発生する。このため外部へ排水すると外壁がかびで黒く汚れたりする。このため内部で排水経路を検討する。この場合、浴室の防水との納まりを考慮する。どうしても外部へ排水する場合は、出の大きな水切りを設ける。


温浴施設の結露水の内部

4.ガラス溝の排水と結露水の排水は別ルートで行う

既製建具枠では、結露水の排水ルートとガラス溝に入った排水ルートを一緒にしているケースがほとんどである。水分により不具合の生じやすい網入りガラスや複層ガラスの溝のわざわざ結露水を引き込むのは、不具合の発生する可能性を高めてしまう。