1級建築施工管理技士 ガラス工事 網入りガラスのひび割れ防止策

建築品質 ガラス工事


065)網入りガラスのひび割れ防止策

網入りガラスは透明フロートガラスよりひび割れしやすい。一般の窓よりトップライトに多く発生する。特にプールのトップライトでは、外部の雨水の浸入とプール内部の塩素を含んだ結露水の浸入の両方が考えられる。ガラス溝に水が入ると、網入りガラスや複層ガラスに悪い影響が出る。

1.網入りガラスの鋼線の防錆対策

網入りガラスの小口(切り口)は鋼線が引っ込んでいたり、飛び出していたりしている。

網入りガラスのひび割れ

この小口の鋼線が錆びてガラス小口を傷め、ひび割れる。また、ガラス小口強度が低下した部分から熱割れすることもある。鋼線が錆びる原因の一つにガラスシールが切れてガラス溝に水が浸入することがある。この浸入水を速やかに排水するように、サッシのガラス溝には、直径8mmの水抜き孔を3ヶ所設ける。

網入りガラスの小口処理

もう一つの防錆対策として、浴室やプールの窓、トップライトではガラスの小口の鋼線を折り曲げ、ブチルゴムテープ(厚さ1mm)を全周に張り、その上を防錆テープで保護する。その他一般のサッシの網入りガラスでは専用の小口防錆塗料を塗るか、または防錆テープを張る。

2.複層ガラスには水を近づけない

窓の結露防止だけでなく、省エネルギー意識の高まりから、複層ガラスの採用が多くなっている。複層ガラスは2枚のガラスの間に乾燥材入りスペーサーを挟んで高性能シールで密閉されている。この状態を保つために、

①ガラス溝に水が溜まらないようにすること
②高性能シールを紫外線から守ること
が重要である。

このためみ公共建築工事標準仕様書では、面クリアランス5mm以上や、ガラスの下部エッジクリアランス7mm以上、ガラスの掛り代15mm以上、ガラス溝の水抜き孔は直径6mmを3ヶ所以上設けるなど詳細に規定している。水抜き孔は直径8mm以上が望ましい。


複層ガラスの下部納まり

1級建築施工管理技士 ガラス工事 ガラスで怪我をしないために

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066)ガラスで怪我をしないために

ガラスは割れるものである。ついうっかりガラススクリーンに衝突したり、つまづいてガラススクリーンに当たったり、浴室で滑ってガラス戸で怪我をするなどの事故のケースがある。

1.ガラスを用いた開口部の安全設計指針

特に出入口まわりの事故が多く、これを防止するため、ガラスを用いた開口部の安全設計指針(建設省昭和61年5月31日付通達、平成3年4月4日付改定)が定められている。出入口とその近傍ではガラスが割れても怪我をしないように安全ガラスを使わなければならない。また、床面の近くにまでガラスが入った窓も安全ガラスにする。安全ガラスとは、割れても怪我をしにくいガラス、割れないガラスなどで、強化ガラス、飛散防止フィルム張りのガラス、合わせガラス、ポリカーボネート板などの樹脂ガラスをいう。


安全ガラスの範囲

2.人や物が当たる危険性がある場合は、衝突防止策

ガラスとわかり難いケースや、うっかり物を当てる可能性がある場合には、衝突防止のシールや安全柵の設置などが必要である。鉢植えの設置やディスプレイなどで、設置しないように運用上の配慮もできるが、これは次の対策である。

3.鏡は枠で固定する

壁や扉に鏡を張るとき、下地(合板や金属パネルなど)に接着材だけで取り付けるのはNGである。突然剥がれ落ち、怪我につながる。原因は接着材の経年劣化により接着力が無くなるため、或いは下地不良による接着力不足などのためであると考えられる。したがって、鏡の取付けは、接着力が無くなった時にも剥離、剥落しないように支持金物で機械的に固定することが重要である。また、鏡は湿気で裏面の銀引きが腐食する。湿気の多いところでは防湿性を有する鏡を使用する。鏡厚は5mm以上とする。


鏡の支持金物

1級建築施工管理技士 ガラス工事 自然破損する強化ガラス

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067)自然破損する強化ガラス

ガラスは人や物が当たらなくても割れることがある。網入りガラスも割れるが、他に熱線吸収ガラスなどの熱割れや強化ガラスの自然破壊もある。高所や高層ビル外壁でのガラスの破損は非常に危険である。

1.強化ガラスは自然破損する

強化ガラスは普通ガラスを700℃近くまでに熱したあと急冷してガラスの表面に圧縮応力を発生させて強くしたガラスである。この強化ガラスは自然破損することがある。
一つは表面の微細な傷が圧縮応力層に徐々に進行して、あるとき突然破損する場合である。これは強化ガラスドアなどで生じやすい。もう一つは強化ガラスの製造段階で不純物などが混じっていると、その部分から自然破損する場合である。この自然破損を少しでも無くすために、ヒートソーク処理(再加熱処理)を行ってから受け入れることが重要である。しかしこれでも自然破損が全くなくなるとは言えない。そこで強化ガラスが万が一割れて落下しても、人を傷つけない高さで使用する。学校では学校用強化ガラス( t=4、5など)を用いるが、この場合は床面から12m以下で使用する。その他の建物の強化ガラスは3m以下で使用し、それ以上の場合は飛散防止フィルムを張るか、合わせガラスを使用する。飛散防止フィルムは劣化するので、定期的な点検やメンテナンスが必要である。

高層ビルで使用する倍強化ガラスや耐火ガラス、防火ガラスも強化ガラスであり、自然破損して落下する可能性があるので、ビル外壁に強化ガラスは使用しない。強化ガラスを使う場合は合わせガラスを使う。強化ガラスの日本のメーカー保証は、一般に10年である。しかし、施工費や仮設足場などの費用は別途発生するので、予め建築主への説明が必要である。

2.ガラスは熱割れすることがある

熱線吸収ガラスや熱線反射ガラスは熱割れすることがある。これは日射熱による熱応力によって破損を起こす現象である。透明ガラスでもまれに熱割れする。ガラスのエッジ強度が弱かったり、ガラス裏面の空間が少なく熱がこもったり、裏面の色が熱吸収しやすい濃色であったり、ガラス裏面にフィルムを張ったり、ガラス面の一部が影になったりする場合は熱割れする可能性がある。

対策は熱割れしにくい状態にするか、強化合わせガラスにするなどが必要である。ガラスブロックも裏面を塞ぐと熱割れしやすいのは同じである。カーテンウォールのスパンドレル部分など熱割れが予想される場合は、ガラスメーカーに確認する。

1級建築施工管理技士 ガラス工事 ガラスブロックの弱点

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068)ガラスブロックの弱点

ガラスブロック(JIS A5212)は遮音性が良く、光を通しながらプライバシーを守るなどの機能を持っている。しかし、ガラスブロックは目地から水が入りやすく、ガラスブロックの熱膨張や地震の変位によってガラスブロックが割れることがある。

1.ガラスブロック専用アルミ枠を用いる

ガラスブロックを採用するときは、まずガラスブロック専用アルミ枠を用いる。この専用枠は上枠・縦枠に緩衝材を入れることができ、ガラスブロックの地震時の変位や熱膨張を吸収してくれる。ガラスブロックの緩衝材は地震時の変位に対応できる厚さとする。また、下枠は目地に入った水を排水する水抜き孔(径8mm以上、ピッチ1m)を設ける。


ガラスブロックのおさまり

2.目地部はすべてシール材にする

ガラスブロックが雨がかりにあるときは全ての目地をシールし、目地部からの雨水の浸入を止める。シールはガラスブロックや外壁を汚しにくいポリイソブチレン系のシールが望ましい。

3.力骨などはステンレス材とする

ガラスブロックにかかる耐風圧や地震力(面内・面外)などの力に対して、縦横600mm間隔の目地部に力骨(補強材)を入れる。力骨の繋ぎ筋や補強筋はステンレスのSUS304を使用する。

4.大断面のガラスブロック壁には伸縮目地を設ける

ガラスブロックのユニットの高さは6m以内とし、荷重はユニットごとに受ける。大断面のガラスブロックは5m以内ごとに伸縮目地を設ける。高さ方法はユニットごとに伸縮目地を設ける。

1級建築施工管理技士 ガラス工事 高窓の清掃方法

建築品質 ガラス工事


069)高窓の清掃方法

窓は建物のデザイン要素として重要である。高い位置に設けるハイサイドライトや枠をシンプルにした外壁同面のFIX窓、景色を額縁に納めたような窓、連窓でパノラマのような窓、大きな片開き窓など、どれも意匠を考えた窓である。しかし、窓ガラスの清掃について考慮されていないケースも見受けられるので注意したい。

1.清掃しやすい窓にする

最も清掃しやすいのは引き違い窓で、網戸の清掃やガラスの取替えも容易である。軸回転窓、滑り出し窓も清掃しやすい。大型の窓ではドレーキャップ窓のような、換気時内倒し、清掃時内開きにできる機構が付いた窓もある。一方片引き窓は、障子が外動でも内動でも、室内側からガラスの外面を清掃することができない。片開きの窓も清掃しにくい。FIX窓はもちろん不可能である。特に住宅では清掃のしやすが重要である。


清掃しやすい窓、しにくい窓

2.清掃方法は設計時に確認する

室内から安全に清掃できるのが望ましい。もちろん1階であれば、外部から清掃できれば良い。3階までは高所清掃具を用いれば清掃は可能である。


高所清掃具による清掃

屋上からぶらさがって清掃する場合は、屋上に吊環(メンテナンス用金物)を計画することも必要である。高層ビルでは自走式清掃ゴンドラが必要になる。屋上に自走式ゴンドラを設置するときは走行振動音が下階に伝わらないように防振機構を設けたり、速度制限を設けるなども考慮する。低層部の高い吹抜けや軒天井の下のガラス面は、天井吊りのチェアーゴンドラなどを検討する。


高所の清掃

設計段階で建築主に窓ガラスのメンテナンスに対する考えや方法を説明し確認する。施工者も工事の早い段階で確認すれば対応が可能である。

1級建築施工管理技士 外壁工事 その他 EXP.J

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070)エキスパンション・ジョイント

二つの構造体を接続する部分をエキスパンション・ジョイント(EXP.J)と呼ぶ。二つの構造体は、地震などで別々の変位をする。地震時にEXP.J部が壊れたり、雨水が浸入しないようにしなければならない。

1.躯体クリアランスを確保する

二つの構造体が大地震時に変位しても衝突しないように、それぞれの最大変位の和をEXP.Jのクリアランス(あき寸法)として確保する。各階におけるEXP.Jも同様である。


EXP.Jのクリアランス

2.変位角に対しての部材設計の考え方

どんな大地震が来ても何も損傷しない設計は現実的ではない。そこで、次のように地震による層間変形角に対してどの程度の仕様にするか目安としたい。層間変形角は構造形式によって変わるので、あくまで目安である。この部材設計の考え方は部位や重要度によっても判断が異なるので、建築主に確認する。

①小地震時の層間変形角(1/800)に対してはシールの打替えも必要ないこと。

②中地震時の層間変形角(1/400)に対してはシールの部分補修程度で済むこと。

③大地震時の層間変形角(1/100)には金物など二次部材は壊れてもやむを得ないが、脱落しないこと。

3.外部のEXP.Jの留意点

①変位量と動きにスムーズに対応できる納まりとする。EXP.Jは主にスライド型、蛇腹型、同面扉型の3タイプがある。


EXP.Jのタイプ

②法的な防火構造や防火区画を確実に遵守する。EXP.J部に耐火区画が必要な場合は耐火帯を設ける。

③雨水を内部にいれない。万が一雨水が入ってもそれを受けて外部へ排水する仕組みにする。笠木を片側固定とし、笠木とパラペットの隙間は止水ゴムなどで二重に雨水が入らないようにする。万が一入った水はその下の止水・排水シートで集めて排水する。


EXP.Jの例

1級建築施工管理技士 外壁工事 その他 免震の可動範囲

建築品質 外壁その他の工事


071)免震の可動範囲

建物を支える免震支承と制震装置(ダンパー)により地震エネルギーを吸収する免震構造を有する建物が普及してきた。基礎の部分に免震装置を設置する基礎免震、建物中間部に設置する中間免震などがあるが、いずれも地震エネルギーを吸収し、免震層の上部建物にかかる地震力を小さくし、揺れ(加速度)を小さくするものである。その変位の量のクリアランス寸法は、設計図の特記仕様書によるが、一般的には大地震時の免震層でも変位は500mm程度と大きく、免震層の取り合い部はその変位を許容するディテールとなる。

1.躯体の免震クリアランスを確保

免震クリアランスは最大変位量に躯体の施工誤差も見込んで、確実にクリアランスを確保することが重要である。また、中地震によって動いた上部躯体がもとの位置に戻らない。すなわち残留変位が発生することもあるので、それらを想定して決定する。

免震クリアランス:W
W ≧ 最大変位量 + 施工誤差 + 予想残留変位量
とする。

2.設備配管は免震クリアランスから離して設置する

大地震時に、建物に被害がでなくても、設備機能に支障をきたすと、企業活動や生活に影響を及ぼす。設備機器の耐震(機器転倒や配管・配線に損傷のないこと)はもちろんであるが、免震構造の場合は、

①設備配管・配線が躯体の免震クリアランスの間に存在しないこと。すなわち躯体の変位による衝突で配管・配線が破損しないことが重要である。

②地震による変位に対応して配管・配線が追従できるように免震継手を採用しておくことが重要である。建築の雨水排水管はできるだけ地上で外部へ開放する。

3.免震装置のメンテナンス動線の確保

免震装置は建物を支えて風や小地震にも対応しており、24時間働いているといってもよい。定期的な点検・メンテナンスと大地震後損傷があった免震支承やダンパーの取替え、耐用年数が来たときの免震支承の取替えなどが必要である。そのための点検ルートや資材搬入動線をあらかじめ確保することが重要である。

4.仕上げ材の対応と残留変位

免震層の取合い部においては、変位量が大きなEXP.Jとなるので、それに対応する仕組みが必要になる。また、変位の量が大きいだけではない。中地震でも、揺れがおさまっても完全に元の位置におさまるとは限らず、数㎝程度、元の位置からずれてしまう残留変位が生じる。その残留変位を考慮した納まりが必要である。


免震の変位(平時)


免震の変位(地震時)

1級建築施工管理技士 外壁工事 その他 軒天井

建築品質 外壁その他の工事


072)軒天井は台風に弱い

風が通り抜けるピロティの天井やバルコニーの軒天井などは、強風時に大きな負圧がかかり、天井から剥がれるケースがある。屋根葺き材や帳壁にかかる風圧力は建築基準法告示1458号他に示されているが、軒や軒天井は示されていない。


軒天井が飛ばされる

1.軒天井には大きな負圧がかかる

軒天井にかかる風荷重は天井を押し上げる正の荷重と引き剥がす負の荷重の両方を検討する必要がある。軒天井を外装材として隅角部の風力係数などを用いて風圧力を算定する。正圧の風力係数は軒下の壁にかかるピーク外圧係数からピーク室内圧係数 − 0.5 を引いたものを適用する。負圧の風力係数は軒下壁の隅角部の負の外圧係数から室内圧係数(この場合 0 )を引いたものを適用する(ほとんどの場合、外周部は −3.2、一般部は −2.5と見る)。


天井にかかる風圧係数

2.軒天井の下地は耐風圧と耐久性を確保する

天井下地は、1で算出した風圧に耐えるように、天井材の固定のビスのピッチを決め、野縁や野縁受け等の下地材を決める。地震力に対しても、吊りボルトにブレースを配し、吊りボルトの座屈も検討する。


軒天井の下地

軒天井の天井裏は雨の浸入や結露などで天井下地が錆びやすい。天井下地材はJIS A6517による。その他の天井内の金物も防錆処理(亜鉛めっき 60g/m2以上)が必要である。ビスはSUS製とする。焼付塗装の金属パネルでは、裏面の防錆処理(防錆塗装)も忘れてはならない。SUSビスを使っていても、ビス部の下地材が腐食することもある。年数が経ったものは定期的に調査してメンテナンスすることも必要である。

3.負圧に強い天井材料を採用する

風は脈動するため、天井材の固定部(ビス部)は繰り返し変形を受ける。したがってそのような変形に比較的柔軟に追随する金属板などの方が、けい酸カルシウム板より安心である。軒天井が、けい酸カルシウム板のとき、板厚6mmで皿ビスで留めつけるとビスの掛りが少なく、強度は確保できない、板厚6mmの場合は丸頭のビスにする。ビス頭を出したくない場合は板厚えお 8mmにして皿ビスを用いる。


天井ボード(けい酸カルシウム板)のビス留め

1級建築施工管理技士 外壁工事 その他 外壁の汚れを少なくする方法

建築品質 外壁その他の工事


073)外壁の汚れを少なくする方法

外装の汚れは、立地条件、建物形状や壁面形態、外装材やシール材の選定等の要因が複合されて発生する。外壁は汚れても清掃やメンテナンスを頻繁に行うことは困難で、設計段階で建物形状や外装材の選定に配慮すれば、汚れにくく、いつまでも美しい建物を実現することが可能である。

1.立地条件に起因する汚れ

交通量の多い道路沿いや工業地域では亜硫酸ガス等の腐食性ガスが金属材料を腐食させ、排気ガスの親油性物質は外装材表面に固着する。亜鉛めっきは素地のまま使用せずに亜硫酸ガスに対する防食塗装などの対策が必要である。
沿岸地域では塩害対策として、外装に金属を使用する場合は、ステンレス、アルミニウム等の錆びにくい材料の選定や、溶融亜鉛めっき、塗装、ライニング等で表面を防錆被覆する。コンクリートの場合は、ひび割れに追従できる壁面塗膜防水等で被覆する。

2.外装の汚れやすい部位

①パラペットは天端の塵埃が雨で外壁を汚さないように、天端の勾配を屋上の内側に向けて1/10以上にするか、先端に水返しの立上がり金物などを設ける。

②塀もパラペットと同様に汚れやすい。塀の内側も外側も汚したくないので、天端をV溝にして排水機構を備える。

③開口部の面台部分からの汚れは、水切りをできるだけ大きく出すこと。面台のジョイント部のシールのへこみが水みちとなるので、シールの上にカバーを付ける。両端部は立上がりを設け、壁に伝わないようにする。

④斜め壁は汚れがひどくなるので、親水性塗料や光触媒塗料などの採用を検討する。屋根扱いにする方が望ましい。その場合、勾配屋根と同様に斜め壁の下部壁面を汚さないように、庇のような水切りまたは樋を設けたい。

⑤逆勾配の斜め壁は上部の外壁の雨水が伝って汚れる。また、雨に洗われにくく汚れやすい。上部に水切りを設け、壁面の清掃方法も検討する。

⑥外壁の縦目地を途中で止めるとをの下部が汚れる。縦目地下端に、流れ落ちる雨水を下部へ伝わないように水切りを設けるか、目地を下まで通す。

⑦建物のコーナー部は一般部に比べ、風の気流が乱れ塵埃が付着しやすくなる。鋭角なコーナー部をもつ建物は、汚れにくい外装材を検討する。

⑧調理室に設けられたガラリやフードの直下の壁面は、油の粒子が付着して著しく汚れる。油系の汚れの付きにくい親水撥油性の仕上げとする。ベントキャップ(換気口)の下部も同様である。水切りがしっかりついたものを選択する。

⑨シール材の選定を誤ると外装材を汚し、外装材の劣化を誘発する。塗装などの外装材とシール材には相性があるので注意する。

>(012) 防水工事・目地シール 参照

⑩熱線反射ガラスの反射膜面は室内側とする。反射膜面を屋外側で使用するとタイル目地から溶出したシリカがガラス面に固着して通常のガラス清掃では除去できない汚れとなる。


外装材が汚れやすい部位

1級建築施工管理技士 内装仕上 浴室の防水と浴槽の防水

建築品質 内装仕上工事


074)浴室の防水と浴槽の防水

下階に室がある場合の浴室の床はアスファルト防水とする。浴室の下階に室がなくても隣室への湿気の防止を考えて、塗膜防水は施したい。

1.浴室の防水立上がりは200mm程度

アスファルト防水の立上りを1m以上高くする設計が見受けられるが、この場合経年によってアスファルト防水が剥がれ、壁仕上げの剥落につながる。アスファルト防水の立上りは浴室床面や浴室天端、洗面台などから200mm程度にし、タイル割の目地等と位置と合わせて決める。立って利用するシャワー部の壁はポリマーセメント系の塗膜防水をして、タイル等の仕上げ材を張る。浴槽は水が抜けないように、浴室防水とは別に塗膜防水をする。浴槽部の断熱材は浴室躯体で押さえる。

2.浴室出入口の防水納まり

浴室出入口部分は、くつずり下及び縦枠下部にステンレス(SUS)製の防水立上り受けプレートを設けて防水を納める。縦枠下部は浴室壁内防水立上り高さに合わせる。浴室内と段差を設けないときは排水溝を設ける。

3.浴室の結露処理

浴室の窓は結露する。結露水を外部へ排水すると外壁を汚すので、浴室ないに排水する。毎日長時間使用する浴室は特に注意を要する。

>(054)窓の結露した水の処理 参照

浴室天井はアルミや樹脂製の天井材で、断熱材を裏打ちした浴室用のものが一般的ではあるが、結露は必ずする。結露した水が天井から滴り落ちないように天井は勾配天井とし、水下側にSUS製結露受けの樋(樹脂製既製品もある)を設けて両サイド等、計画した場所に排水する。天井下地もSUS製にするなど防錆を考慮する。

4.その他浴室での留意点

①床材はJIS A1509-12による滑り抵抗値(C.S.R.B値)0.7以上とする。
②洗面台の奥行き寸法は水栓金具と洗面器の寸法を考慮する。
③浴槽の排水栓は洗い場から抜きやすい位置に設ける。
④洗い場の排水側溝は蓋をせずに清掃しやくする方が清潔である。