20章 その他の工事 12.タラップ

20章 ユニット及びその他の工事
02節ユニット工事等
20.2.12 タラップ
(1) 材料・仕上げ
(ア) 「標仕」20.2.12 (1)では、タラップに用いる金属材料の種類及び仕上げは、特記による。特記がなければステンレス製とし、研磨等の仕上げは行わなくてもよいと規定している。
(イ) 塗装については、18章による。
(2) 工法
(ア) 取付けに際して、ボルト及びナットを使用する場合は、昇降に際して手足に当らないように取り付ける。
(イ) タラップを屋外に取り付ける場合は、関係者以外に使用できないようにし、特に、子供の使用による不測の事故を防止する対策が必要であり、一般的には、最下段の踏子(足掛り)高さを床から2.0m程度とするのがよい。また、足掛り部は、スリップ止め加工とするのがよい。
なお、落下防止対策のための背もたれ付きのものもある。

20章 その他の工事 13.煙突ライニング

20章 ユニット及びその他の工事
02節ユニット工事等
20.2.13 煙突ライニング
(1) 材料
(ア) 「標仕」では、煙突用成形ライニング材は、実績等の資料を監督職員に提出すると規定している。次を参考にして選定するのがよい。
なお、適用安全使用温度は、接続する機械設備の排ガス温度等を基に特記される。
(a) 煙突用成形ライニング材は、ボイラー、冷温水発生機、自家用発電機、コジェネレーションシステムの排気煙突で使用されることを想定している。その他焼却設備等の排気煙突は、腐食性の高い排ガス成分を含む可能性があり、材料を過度に腐食劣化(はく離、脱落)させるおそれがあるため、別途材料・工法を検討する。
(b) 煙突用ライニング材として実績が多い材料は、ゾノトライト系けい酸カルシウムであるが、他に繊維積層成形ライニング材などの材料もあり、排ガス成分、排ガス温度に対して検証された材料を選定する。
(イ) キャスタブル耐火材
(a) キャスタブル耐火材は煙突底部に排水勾配をとるために使用する。
(b) キャスタブル耐火材は、煙突用ライニング材の製造所の指定する製品とする。
(2) 工 法
ボイラー等の機械設備は建物供用期間の中で更新され、排ガス諸元が変更となる事例が多い。その際、煙突継続使用可否調査を実施することになるが、結果、改修や更新を要する場合がある。改修や更新に対応可能な工法として、ユニット煙突も検討するのがよい。
ここではユニット煙突の工法について、参考に記載する。
(ア) ユニット煙突には、断熱及び煙突効果確保、また、煙突構造体保護のため、煙突用として製造されている成型ライニング材を使用する。
(イ) 煙突は、機械設備の排ガスを安全に大気放出するために、排気能力不足、漏煙、周囲の温度上昇について対策しなければならない。
(ウ) 煙突内径は、点検や改修を考慮し内部作業が可能なサイズが望ましい。煙突本体を撤去更新可能な場合はこの限りではない。
(エ) 煙突吹出し周辺に、排ガスの影響で不具合を発生するような設備、塔屋等がないかを確認する。近年では、数値流体解析技術によって熱拡散状況の検討も可能である。
(オ) 雨水の他、煙突内結露水の排水のため、煙突底部にはキャスタブル耐火材で排水勾配を取り排水管を設ける。キャスタブル耐火材施工後は十分な乾燥養生を行い、強度を確保する。
(カ) 煙突が屋外に設置される場合、寒冷地では点検口周囲に積雪することが予想される。除雪方法も検討するとよい。
(キ) 自家用発電機、コジェネレーションシステムは、機外静圧(背圧)を有するため、排ガスが高流速で煙突に流入する。煙突吹出しに向かって排ガスを誘導するために立上げエルボ又は整流板が必要となる場合がある。
(ク) 区画壁内空気層の換気方法は、下部からの流入空気量、空気層の通風抵抗、上部の排出抵抗を検討し決定する。また、流入空気量が確保されているか設備工事に確認する。
(ケ) 地震力、風圧力、躯体変形の条件は、建物の構造を基に決定する。それによる煙突の建物への反力は、煙突製造所に確認する。
(コ) 煙突の仕上げは、特記を確認する。排ガスが直接触れる部分は高温になるため、ステンレス(SUS304 同程度)が望ましい。

20章 その他の工事 14.ブラインド

20章 ユニット及びその他の工事
02節ユニット工事等
20.2.14 ブラインド
(1) 材料
(ア) 横形又は縦形のブラインドの形式は、「標仕」20.2.14 (1)(ア) では特記によるとしている。
(イ) 横形ブラインド
(a) 横形ブラインドとは、主にアルミニウム合金製のスラットを水平に組み立てたもので、スラットの角度が操作でき、かつ、スラットとボトムレールを昇降できるものをいう。一般窓用、傾斜窓用、天窓用、暗幕用等の種類がある。
(b) 「標仕」では、最も一般的な市販品を想定しているため、適用範囲も限られている。主要構成部分の材種に関しては、ヘッドボックス及びボトムレールは鋼製、アルミニウム合金製、スラットはアルミニウム合金製、樹脂製、木製等がある。「標仕」20.2.14(1)(イ) では、横形ブラインドはJIS A 4801(鋼製及びアルミニウム合金製ベネシャンブラインド)に適合するもので特記によるとされており、特記がない場合はスラットは成形幅25mmのアルミニウム合金製で、ヘッドボックス及びボトムレールの材種は鋼製としている。成形幅35mm及び 50mmのスラットも一般的にはよく使用している。
(c) JIS A 4801における操作方法による横形ブラインドの種類を表20.2.10に示し、その構造を図20.2.10に示す。ただし、「標仕」20.2.14(1)(イ) では、特記がない場合は、ギヤ式と規定している。
表20.2.10横形ブラインドの種類及び記号(JIS A 4801 : 2008)
表20.2.10_横形ブラインドの種類及び記号(JIS A 4801).jpg
図20.2.10_横形ブラインドの構造(JASS26)ギヤ式.jpg図20.2.10_横形ブラインドの構造(JASS26)コード式.jpg
図20.2.10_横形ブラインドの構造(JASS26)操作棒式.jpg 図20.2.10_横形ブラインドの構造(JASS26).jpg
図20.2.10 横形ブラインドの構造(JASS 26一部修正)
(d) JIS A 4801のスラットの形状及び寸法を、表20.2.11に示す。
表20.2.11 横形ブラインドのスラットの形状及び寸法(JIS A 4801 : 2008)
表20.2.11_横形ブラインドのスラットの形状及び寸法(JIS A 4801).jpg
(ウ) 縦形ブラインド
(a) 縦形ブラインドとは、ヘッドレールに組み込まれた複数のキャリアーにスラットを吊り下げたもので、スラットの開閉、角度調整ができるものをいう。
(b) 「標仕」20.2.14(1)(ウ)では、幅及び高さ並びに開閉方式及び操作方法は、特記によるとされている。特記がなければ、操作方法は、2本操作コード方式とする。スラットは焼付け塗装仕上げのアルミスラット又は消防法で定める防炎性能表示がある特殊樹脂加工のクロススラットとし、適用及び幅は特記によるとされている。
(c) 縦形ブラインドの開閉方式による分類を、表20.2.12及び図20.2.11に示す。
表20.2.12 縦形ブラインドの開閉方式による分類(JASS 26より)
表20.2.12_縦形ブラインドの開閉方式による分類(JASS26).jpg
図20.2.11_縦形ブラインドの開閉方式による構成(片開き方式).jpg図20.2.11_縦形ブラインドの開閉方式による構成.jpg
図20.2.11 縦形ブラインドの開閉方式による構成
(d) 縦形ブラインドの操作方法による分類を、表20.2.13及び図20.2.12に示す。
表20.2.13 縦形ブラインドの操作方法による分類(JASS 26より)
表20.2.13_縦形ブラインドの操作方法による分類(JASS26).jpg
図20.2.12_縦形ブラインドの操作方法による構成(1本操作コード方式).jpg
 図20.2.12_縦形ブラインドの操作方法による構成(2本操作コード方式).jpg
図20.2.12 縦形ブラインドの操作方法による構成(JASS 26より)
(2) 工法
(ア) ブラインドの目的は、主として遮光及び遮へいであるが、施工の納まり等のため、設計図書に指定された寸法のままでは現場に合わないことがある。そのため、
「標仕」20.2.14(2)では、ブラインドの製作寸法は現場実測寸法と規定している。
なお、横形ブラインド並びに縦形ブラインドの取付け方法による実測方法を図
20.2.13及び図20.2.14に示す。
(イ) 図20.2.13(ロ)の窓枠を覆う納まりの場合、窓の開放時に横型ブラインドが風にあおられると、ボトムレールが膳板にあたり音を発することがあるが、この場合はボトムレールをぜん板より下げるとよい。
図20.2.13_横形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(JASS26)(イ).jpg
図20.2.13_横形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(JASS26)(ロ).jpg
図20.2.13_横形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(JASS26)(ハ).jpg
図20.2.13_横形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(JASS26)(ニ).jpg
図20.2.13 横形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(JASS 26より)
図20.2.14_縦形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(片開きの場合).jpg
図20.2.14_縦形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(両開きの場合).jpg
図20.2.14_縦形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(操作部をよける場合).jpg
図20.2.14_縦形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(たたみしろを残さない場合).jpg
図20.2.14_縦形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(ガラスコーナー窓の場合).jpg
② 高さ(H)
図20.2.14_縦形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(膳板がある場合).jpg図20.2.14_縦形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(ブラインドボックスがない場合).jpg
図20.2.14_縦形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(膳板がない場合).jpg 図20.2.14_縦形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(採寸時の注意).jpg
図20.2.14 縦形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(JASS 26より)

20章 その他の工事 15.ロールスクリーン

20章 ユニット及びその他の工事
02節ユニット工事等
20.2.15 ロールスクリーン
(1) ロールスクリーンとは、巻取りパイプにスクリーンを取り付けたもので、スクリーンの巻上げ、巻下ろし及び任意の高さでの停止ができるものをいう。
(2) 「標仕」20.2.15(1)では、ロールスクリーンの操作方式、幅及び高さは特記によるとされている。
(3) ロールスクリーンの操作方式による分類を、表20.2.14及び図20.2.15に示す。
表20.2.14 ロールスクリーンの操作方式による分類(JASS 26より)
表20.2.14_ロールスクリーンの操作方式による分類(JASS26).jpg
図20.2.15_ロールスクリーンの操作方式による構成(JASS26).jpg
図20.2.15 ロールスクリーンの操作方式による構成(JASS 26より)
(4) スクリーンの材種を、表20.2.15に示す。「標仕」では、スクリーンは防炎性能の表示があるものとし、材種、品質等は特記によるとされている。
表20.2.15 スクリーンの材種
表20.2.15_スクリーンの材種.jpg
(5) スクリーンの品質、柄、色合等を特記仕様料だけで正確に表現することは困難であるため、色見本を提出させ、必要に応じて設計担当者と打ち合わせて確認する。
(6) ロールスクリーンの目的は、主として遮光及び遮へいであるが、施工の納まり等のため、設計図書に指定された寸法のままでは現場に合わないことがある。そのため、「標仕」20.2.15(5)では、ロールスクリーンの取付け幅及び高さの製作寸法は、現場実測寸法としている。ロールスクリーンの実測方法を図20.2.16に示す。
図20.2.16_ロールスクリーンの実測方法(窓枠の内側).jpg
図20.2.16_ロールスクリーンの実測方法(窓枠の外側).jpg
図20.2.16 ロールスクリーンの実測方法(JASS 26一部修正)

20章 その他の工事 16.カーテン及びカーテンレール

20章 ユニット及びその他の工事
02節ユニット工事等
20.2.16 カーテン及びカーテンレール
(1) 形状、付属金物等
(ア) 「標仕」20.2.16(1)(ア) では、カーテンのシングル・ダブルの別、片引き・引分け等の形式、開閉操作方法は、特記によるとされている。
(イ) カーテンの開閉形式、開閉機構及び機能による種類は、表20.2.16のとおりである。
表20.2.16 形式、機構等によるカーテンの分類
表20.2.16_形式、機構等によるカーテンの分類.jpg
(ウ) カーテンの生地による分類を、図20.2.17に示す。
図20.2.17_カーテンの生地による分類.jpg
図20.2.17 カーテンの生地による分類
(ウ) カーテン等の部分名称を、図20.2.18に示す。
図20.2.18_カーテン等の部分名称.jpg
図20.2.18 カーテン等の部分名称
(エ) 「標仕」20.2.16 (1)(ウ) でいう「カーテンが別途工事の場合」とは、カーテンは後で別途に取り付けられるが、工事ではカーテンレールだけを発注する場合で、レールの取付け(ランナーを含む。)だけが発注された工事という意味である。
その場合、レール1m当たり8個のランナーを取り付ける。
(2) 材 料
(ア) 生地
(a) カーテン用生地の品質、柄、色合等を特記仕様書だけで正確に表現することは困難であるため、生地の色見本を提出させ、必要に応じて設計担当者と打ち合わせて確認する。
なお、ホルムアルデヒド放散量に関しては、関係業界団体等が自主基準を作成し、これに基づきホルムアルデヒド発散等級を表示しているものもある。
(b) 防炎加工
① カーテン用生地は、「標仕」20.2.16(2)(ア) では、全て消防法第8条の3(高層建築物、地下街等に使用する防炎対象物品の防炎性能)に定める防炎性能の表示があるものと規定しているため、誤りのないようにする。
② 防炎加工の施されていない生地を指定し、後から防炎加工を行うと変色したり、色合が変わったりすることがあるため注意する。
③ 防炎加工は、生地の製造業者が直接行うものと、加工業者が行うものとがあるが、いずれも消防法による加工資格のある者が加工したものとし、製品には全て防炎ラベルを付けるように規定されている。
(イ) カーテンレール及びその付属金物
(a) カーテンレールは、「標仕」20.2.16(2)(イ) で、JIS A 4802(カーテンレール(金属製))に基づき、レール及びブラケットの強さによる区分、レールの材料による区分は特記による。特記がなければ、レール及びブラケットの強さによる区分は10-90、レールの材料による区分はアルミニウム及びアルミニウム合金の押出し成型材とすると規定している。カーテンレールの構成部品等の例を図20.2.19に示す。
図20.2.19_カーテンレールの構成部品の例(各部の名称).jpg
図20.2.19_カーテンレールの構成部品の例(電動シングルセット).jpg
図20.2.19_カーテンレールの構成部品の例(交差ランナー仕様).jpg
図20.2.19_カーテンレールの構成部品の例(レール交差仕様).jpg
手動ひも引きシングルセット
図20.2.19_カーテンレールの構成部品の例(伸縮吊り棒仕様).jpg
図20.2.19_カーテンレールの構成部品の例(固定吊り棒仕様).jpg
図20.2.19 カーテンレールの構成部品等の例
(b) 市販されているカーテンレールの断面形状及び取付け方法には、図20.2.20のようなものがある。
図20.2.20_カーテンレールの断面形状.jpg
図20.2.20_カーテンレールの取付け方法の例.jpg
図20.2.20 カーテンレールの断面形状及び取付け方法の例
(c) JIS A 4802に定められている強さによる区分を、表20.2.17に示す。
表20.2.17 レール及びブラケットの区分(JIS A 4802 : 2008)
表20.2.17_レール及びブラケットの区分(JIA A 4802).jpg
(3) 工法
(ア) カーテンの加工仕上げ
(a) カーテンの寸法
① カーテン用生地幅は、1m及び1.5mが標準である。生地の幅使いは、ひだの種類によって、違ってくるため、「標仕」表20.2.1では、取付け幅に対する倍数を規定している。
「標仕」20.2.16(3)(ア) (a)では、カーテンの位置、形状により、使用できる生地の半幅未満の例外規定を設けているが、特に小さい窓幅の場合等、ひだの種類により生地の割付け長さと取付け幅が合わない場合や、カーテンレール及びカーテンボックスの長さの調整又は端部の隣り合う生地の模様を合わせるなどの場合は注意が必要である。
② 通常用いられるひだの形状は、図20.2.21のようなものがある。
図20.2.21_ひだの形状.jpg
図20.2.21 ひだの形状
③ ひだの作り方は、通常次のとおりである。
1) 厚地(ドレープ):片ひだ、二つ山ひだ、三つ山ひだ
2) 薄物:箱ひだ(豪華に見せるため)
3) ケースメント:プレーンひだ
4) レース
・レースカーテンを単独で使用する場合:三つ山ひだ(美しく見せるため)
・ドレープカーテンと併用する場合:箱ひだとし、上端を押えミシン掛けする(図20.2.22参照)。
5) 暗幕用カーテン:片ひだ、二つ山ひだ
図20.2.22_レースカーテンの箱ひだ.jpg
図20.2.22 レースカーテンの箱ひだ
(b) 幅継ぎ加工の方法を、図20.2.23及び図20.2.24に示す。
① レースカーテンの幅継ぎ
図20.2.23_インターロックミシンでの縫い方(縫い合わせ前).jpg図20.2.23_インターロックミシンでの縫い方(縫い合わせ後).jpg
図20.2.23 インターロックミシンでの縫い方
② 厚地カーテン及び暗幕用カーテンの幅継ぎ
図20.2.24_袋縫い(くるみ縫い)(縫い合わせ前).jpg図20.2.24_袋縫い(くるみ縫い)(縫い合わせ後).jpg
図20.2.24 袋縫い〈くるみ縫い〉
(c) 縁加工
① 上端の縫い方は、カーテンのポイントであるといわれている。芯地を入れて、通常は図20.2.25のように縫う。
折返しにはフックを差し込むため、フックの長さによって折返しの長さを変える。短いフックの場合は30~40mm、長いフックの場合は60~100mm位である。通常使われているフックは、50~75mm程度のものである。
図20.2.25_カーテン縁加工(カーテン生地レースカーテンの場合).jpg図20.2.25_カーテン縁加工(レースカーテンの場合).jpg
図20.2.25_カーテン縁加工(カーテン生地厚地の場合).jpg図20.2.25_カーテン縁加工(厚地の場合).jpg
図20.2.25 カーテン縁加工
② 両脇及びすそのふせ縫いは、表20.2.18のとおりである。
表20.2.18 ふせ縫い
表20.2.18_ふせ縫い.jpg
(d) タッセルバンド
フレンジ(縁飾り)を付けたものには、既製のバンドを取り付けるが、その他のカーテンには、カーテンと共布で作ったものを取り付ける。
タッセルバンドの標準的なものは、図20.2.26のようなものであり、そのほかにも豪華な装飾的なものもある。
図20.2.26_タッセルバンド(芯地).jpg図20.2.26_タッセルバンド.jpg
図20.2.26 タッセルバンド
(イ) カーテンレール
(a) 引分けカーテンでレールが1本の場合は、交差ランナーを用いないと召合せが取れなくなる。また、暗幕カーテンを用いる場合は、2本のレールを300mm以上交差させることで十分な召合せが取れ、光漏れを防ぐことができる(図 20.2.19参照)。
(b) カーテンをひも引きにする場合、ランナーにひもが絡まり開閉に支障を来すことがあるが、テンションプーリー(ひも留め)を用いると支障なく操作できる(図20.2.19参照)。
(c) 壁付きの装飾的なカーテンレール等を取り付けることが想定される場合には、取付け用の下地補強を行う。
(d) 中間吊りレール(H型)は、固定吊り棒又は伸縮吊り棒を用いて取り付ける。伸縮吊り棒を用いる場合は、振れ止め防止のため、必要に応じて2本吊り(V 字型)にして取り付ける(図20.2.19参照)。
(ウ) ひも掛け金物は、ひも引きカーテンのひもを留めるためのものである。

20章 ユニット工事 3節 プレキャストコンクリート工事

20章 ユニット及びその他の工事
03節 プレキャストコンクリート工事
20.3.1 適用範囲
(a) 「標仕」20.3.1で定められているものは、簡易な製品だけであり、プレキャスト鉄筋コンクリート造等の製品については別に仕様を定める必要がある。
(b) 作業の流れを図20.3.1に示す。
図20.3.1_プレキャストコンクリート工事の作業の流れ.jpeg
図20.3.1 プレキャストコンクリート工事の作業の流れ
(c) 製作工場の決定
この種の製品の製作工場は、通常小規模なところが多いが、製品の量、難易度等に応じて、製作工場の規模等を考慮する必要がある。
(d) 施工計画書の記載事項は、おおむね次のとおりである。なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。
① 工程表(製作図の作成、製作、取付け、完了等の時期)
② コンクリートの所要強度、材料及び調合
③ 鉄筋、鉄線、溶接金網の規格等
④ 型枠の材料及び組み方
⑤ 養生方法(コンクリート、製品)
⑥ 工場現場での取付け工法
⑦ 構造計算書・その他
⑧ 作業のフロー、管理の項目・水準・方法、品質管理体制・管理責任者、品質記録文書の書式とその管理方法等
(e) 製作図には鉄筋、取付け金物等も記入し、コンクリートの充填、取付け等に無理のないようにする。
(f) 数多く製作する場合で、特に良い仕上り面を必要とするときは、コンクリートの試し練りを行い、試作をして仕上り面を検討する。
20.3.2 材 料
(a) 「標仕」20.3.2では、コンクリートは、「標仕」表6.2.1のI類又はⅡ類としている。また、コンクリートの材料は、「標仕」6章3節によることとしている。
(b) 「標仕」20.3.2では、鉄筋は、「標仕」5章2節によることとしている。また、補強鉄線は、該当するJISによることとしている。
20.3.3 製 作
(a) コンクリートの調合
コンクリートの調合は、「標仕」20.3.3(a)を満足するコンクリートの調合計画書を作成する。スランプは「標仕」20.3.3(a)(2)では12cm以下としている。
(b) 型枠の組立
型枠は、「標仕」20.3.3(b)及び(c)によるほか、形状寸法が正しく保持されて脱型が容易にでき、強度が十分なものとする。
(c) 鉄筋の組立
組立に当たっては、製作図を作成し正しく加工し組み立てる。
(d) コンクリートの打込み
(1) コンクリートの打込みに先立ち、型枠や取付け金物類についても位置、固定方法について確認を行う。
(2) コンクリートの打込みに先立ち、型枠の内部を清掃する。
(3) コンクリートは材料が分離しないよう運搬する。
(4) コンクリート打込みには振動機を適切に使う必要があるが、細部については手作業により確実に充填及び締固めを行う。
(e) 取付け金物
取付け金物は、鉄筋に結束するだけでは、コンクリート打込み中に位置がずれてしまうことがあるので、型枠に補助材等を取り付けて確実に固定する。
20.3.4 養生その他
(a) 打込み後の養生は、必要に応じて蒸気養生等とする。
(b) 製品の保管には支持台を用いるが、十分な強度の発現を確認するまでは、積み上げないようにする。
(c) 製品は、運搬中に損傷する例が多いので、適切な養生等により衝撃を避け、無理な積込み、積降ろしをしないようにする。

20章 ユニット工事 4節 間知石及びコンクリート間知ブロック積み

20章 ユニット及びその他の工事
04節 間知石及びコンクリート間知ブロック積み
20.4.1 適用範囲
(a) 「標仕」では、適用範囲を「比較的土圧等の小さい場合」の練積みとしており、次のような点に留意する必要がある。
(1) この節は、一般的な建築工事に伴う比較的小規模で土圧等が小さく、かつ、建築基準法や宅地造成等規制法(以下「宅造法」)の適用を受けない高さ2m以下の擁壁を対象としている。
なお、配置、断面寸法等については特記されていることが前提である。
(2) 高さ2mを超える擁壁(鉄筋コンクリート造、練積み造等)については、平成 12年建設省告示第1449号で宅地造成等規制法施行令と関連させ、構造計算等に関する技術基準が定められているので、設計者は、構造安全性について検討し、設計図書を作成(特記)しなければならない。
(3) 宅造法における擁壁の設置義務は、高さが2mを超える切土、1mを超える盛土及び2mを超える切・盛土の場合としている。ただし、切土で勾配が緩い場合等は除外されている。
(4) これらのことから、高さが2m以下の擁壁であっても、背面地盤が盛土の場合や地表面に大きな積載荷重が加わる場合等は、土圧が大きくなるので、必要に応じて安全性の検討を行い設計図書を作成する必要がある。
なお、安全性等の検討に関する参考文献としては,(-社)日本建築学会「建築基礎構造設計指針」等がある。
(b) 作業の流れを図20.4.1に示す。
図20.4.1_間知石及びコンクリート間知ブロック積み工事の作業の流れ.jpeg
図20.4.1 間知石及びコンクリート間知ブロック積み工事の作業の流れ
(c) 一般事項
(1) がけ崩れ又は土砂の流出を生じるおそれのある敷地は、災害防止のため法面の保護、擁壁、排水施設等が必要になる。敷地の造成に際しては、宅造法等の規制を受ける場合があり、擁壁についても同法に構造等が定められている((a)参照)。
(2) 擁壁各部の名称を図20.4.2に示す。
図20.4.2_擁壁各部名称.jpeg
図20.4.2 擁壁各部名称
(3) 宅地造成等規制法施行令の抜粋を次に示す。
宅地造成等規制法施行令
(昭和37年1月30日 政令第16号 最終改正平成23年12月26日 )
第6条 (擁壁の設置に関する技術的基準)
法第9条第1項の政令で定める技術的基準のうち擁壁の設置に関するものは、次のとおりとする。
一 切土又は盛土(第3条第四号の切土又は盛土を除く。)をした土地の部分の生ずる崖面で次に掲げる崖面以外のものには擁壁を設置し、これらの崖面を覆うこと。
イ.切土をした土地の部分に生ずる崖又は崖の部分であって、その土質が別表第1左欄に掲げるものに該当し、かつ、次のいずれかに該当するものの崖面
(1) その土質に応じ勾配が別表第1中欄の角度以下のもの
(2) その土質に応じ勾配が別表第1中欄の角度を超え、同表右欄の角度以下のもの
(その上端から下方に垂直距離5m以内の部分に限る。)
ロ.土質試験その他の調査又は試験に基づき地盤の安定計算をした結果崖の安定を保っために擁壁の設置が必要でないことが確かめられた崖面
二 前号の擁壁は、鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造又は間知石練積み造その他の練積み造のものとすること。
2 前項第一号イ(1)に該当する崖の部分により上下に分離された崖の部分がある場合における同号イ(2)の規定の適用については、同号イ(1)に該当する粒の部分は存在せず、その上下の崖の部分は連続しているものとみなす。
第8条 (練積み造の擁壁の構造)
第6条の規定による間知石練積み造その他の練積み造の擁整の構造は、次に定めるところによらなければならない。
一 擁壁の勾配、高さ及び下端部分の厚さ(第1条第5項に規定する擁壁の前面の下端以下の擁壁の部分の厚さをいう。別表第4において同じ。)が、崖の土質に応じ別表第4に定める基準に適合し、かつ、擁壁の上端の厚さが、擁壁の設置される地盤の土質が、同表左欄の第一種又は第二種に該当するものであるときは40cm以上、その他のものであるときは70cm以上であること。
二 石材その他の組積材は、控え長さを30cm以上とし、コンクリートを用いて一体の擁壁とし、かつ、その背面に栗石、砂利又は砂利混じり砂で有効に裏込めすること。
三 前2号に定めるところによっても、崖の状況等によりはらみ出しその他の破壊のおそれがあるときは、適当な間隔に鉄筋コンクリート造の控え堅を設ける等必要な措置を講ずること。
四 擁整を岩盤に接着して設置する場合を除き、擁壁の前面の根入れ深さは、擁壁の設置される地盤の土質が別表第4左欄の第一種又は第二種に該当するものであるときは擁壁の高さの15/100(その値が35cmに満たないときは、35cm)以上、その他のものであるときは擁壁の高さの20/100(その値が45cmに満たないときは、45cm)以上としかつ、擁壁には、一体の鉄筋コンクリート造又は無筋コンクリート造で、擁壁の滑り及び沈下に対して安全である基礎を設けること。(別表第4省略)
第10条(擁壁の水抜穴)
第6条の規定による擁壁には、その裏面の排水を良くするため、壁面の面積 3m2以内ごとに少なくとも1個の内径が7.5cm以上の陶管その他これに類する耐水性の材料を用いた水抜穴を設け、かつ、擁壁の裏面の水抜穴の周辺その他必要な場所には、砂利その他の資材を用いて透水層を設けなければならない。
別表第1 (第6条関係)
別表第1(第6条関係).jpeg
宅地造成等規制法施行令
20.4.2 材 料
(a) 間知石
(1) 間知石については、JIS A 5003(石材)でその品質が定められているが、市販品はこの規定に合わないものが多い。そのため「標仕」20.4.2 (a)では、JIS A 5003を適用しないで市販品を使用できるようにしている。両者の最も相違するのは控え長さで、JISでは面の最小辺の1.5倍としているのに対して「標仕」では1.2倍以上としている。
(2) 間知石の材質は、花こう岩が多く、凝灰岩、安山岩が使われることもある。また、面は割肌〈野面〉が一般的である。
(3) 合端の仕上げには、げんのう、こやすけ、グラインダー等を用いる。
(b) コンクリート間知ブロック
JIS A 5371(プレキャスト無筋コンクリート製品)推奨仕様D-1[積みブロック]の抜粋を次に示す。
なお、間知ブロックの寸法等については、製造所等によるばらつきが大きいため、JISでは推奨仕様としている。
JIS A 5371: 2010
推奨仕様D-1 積みブロック
D-1.2 種 類
積みブロックの種類は、質量区分及び面の形状によって、推奨仕様D-1表1のとおり区分する。
推奨仕様D-1 表1- 積みブロックの種類
推奨仕様D-1表1-積みブロックの種類.jpeg
D-1.3 性 能
積みブロックは、D-1.5に規定する圧縮強度試験を行い、性能の保証となる圧縮強度が所定の材齢において、18N/mm2以上でなければならない(D-1.5省略)。
D-1.4 形状、寸法及び寸法の許容差
積みブロックの形状、寸法及び寸法の許容差は、推奨仕様D-1 表2による。
積みブロックの形状、寸法及び許容差.jpeg
推奨仕様 D-1 表2-積みブロックの形状、寸法及び寸法の許容差
推奨仕様D-1表2-積みブロックの形状,寸法及び寸法の許容差.jpg
JISA 5371: 2010
20.4.3 工 法
(a) 間知石積み
(1) 遣方(ちょうはり)は、石積みの前面に法遣方を設け段割りをつける(図20.4.3参照)。
図20.4.3_ちょうはり(遣方)の概要.jpeg
図20.4.3 ちょうはり(遣方)の概要
(2) 間知石及びかい石は使用前に泥土等を洗い落としておく。
(3) 根石は石積みの基準になるので、遣方に正しく合わせ、すわりよく加工して隣接石に合端を密着させ、かい石を確実に施工する。
(4) 谷積み(練積みの場合)は図20.4.4及び5並びに次の事項により行う。
図20.4.4_谷罪み.jpeg
図20.4.4 谷積み
図20.4.5_練積み.jpeg
図20.4.5 錬積み
(i) 遣方の段割りによって、水平水糸で石の先端を合わせ、谷の寸法をできるだけそろえるように配置する。その際、浮き石、崩壊のおそれのある部位は、事前に取り除く。
谷の不ぞろいは石の大小で調整し、高さの調整は3段以内で行うようにする。
(ii) 間知石はすわりをみて選定し、合端はげんのう払いを行い、げんのうでから打ちして隣接石に密着させ、面を正しく遣方に合わせ、法面がはみ出さないようにする。
(iii) かい石を堅固にかい込み,法面に直角に据える。
(iv) コンクリートの充填前に適宜散水して、1段ごとに胴込め及び裏込めコンクリートを充填する。その際、間知石等の間から、モルタル分が出てくるまで、バイブレーターで十分締め固める。また、コンクリートは、法肩側からシュートを用いて打ち込むことも多いが、生コン車を法肩一杯まで近寄せないよう、更にシュートを保持している作業員が法肩を乱さないよう留意する。
(v) 1日の積上げ高さは 1.2m以内とし、工事半ばの積終わりは段形とするよう「標仕」20.4.3(c)(7)に定められている。
(vi) 充填したコンクリートは、シート等で覆い、適宜散水して養生を行う。
(ⅶ) 水抜きは、設計図書に示す位置に、適宜勾配を付けて石積みを貫通し、前面は石面より30mm程度突き出し、裏込め側はコンクリート面に合わせて設ける。
また、水抜き管の元部に土砂流出防止マット200 × 200 (mm)や、流出防止キャップを設け、0.1 m2程度の砂利又は砕石をおく。
なお、「標仕」20.4.3(c)(11) の水抜きは、径50mm以上の硬質ポリ塩化ビニル管としているが、宅造法では内径7.5cm以上の陶管等としているので、宅造法の適用を受ける場合は注意が必要である。
(ⅷ) 天端均しコンクリートは、裏込めコンクリートと同時に施工して、間知石等の仕上げ面を天端コンクリートにたまった土砂や雨水等により汚さないように、適宜勾配を付ける。
(ix) 裏込め側の型枠を取り外し、埋戻しと併行して砂利等で透水層を設ける。
(x) 必要に応じて目塗りを見ばえよく行う。目塗りとは、間知石の合端に沿ってモルタルを太く塗り付けることをいう。
(5) 布積み
図20.4.6及び次により行う。
図20.4.6_布積み.jpeg
図20.4.6 布積み
(i) 間知石の加工及び組積の方法は、谷積みに準じて行う。
(ii) 横目地は、傾斜、湾曲等しないようにし、縦目地はいも目地にならないようにする。
(b) コンクリート間知ブロック積み
(1) 間知ブロック積みの組積方法は、間知石の練積みと同様に行う。
(2) ブロック位置を調整する場合、目地に合わせる場合等の目的で、げんのうでたたくとブロックが破損するので金てこ〈バール〉、鉄棒等を使用する。
20.4.4 養 生
(a) 夏期で直射日光がコンクリート面に当たるような場合等は、コンクリート面をシート等で覆い、適宜散水養生を行う。また、冬期で気温が 0℃以下になると予想される場合は、コンクリート露出面及び隙間を、 シート等で覆う。
(b) 硬化初期のコンクリートが、有害な振動や外力による悪影響を受けないようにする。特に、施工箇所付近での重機作業に伴う振動等に対しては、コンクリートに影響を与えないように十分配慮する。

20章 ユニット工事 5節 敷地境界石標

20章 ユニット及びその他の工事
5節 敷地境界石標
20.5.1 一般事項
(a) 「標仕」では規定されていないが、敷地境界の確認は重要事項であるため、敷地境界石標の設置について、次に示す。
(b) 石標を設置する場合には、境界がすべて確定しているかどうかを財産管理部局の管理責任者に確かめる必要がある。
境界が確定していない場合には、財産管理部局の管理責任者に、確定してもらわなければならない。
なお、土地の境界に対する主な法令には、次のようなものがある。
(1) 民法(第2編 物権 第3章 所有権)
(2) 国有財産法(第3章の2 立入り及び境界確定)
(3) 国有財産法施行令(第2章の2 立入り及び境界確定)
(4) 各省庁の所管国有財産取扱規則(例えば、国土交通省所管国有財産取扱規則第2章の2 境界の設定)
(c) 石標設置のための立会い
石標を設置する場合は、あらかじめ財産管理部局の管理責任者及び隣地所有者と十分打合せのうえ日時を定め、監督職員を含めて関係者の立会いを受けて、境界点の確認をしなければならない。
なお、立会いを受ける関係者とは、次の者をいう。
(i) 財産管理部局の管理責任者
(ii) 隣地所有者
(iii) 道路管理者
(iv) 監督職員
(v) 受注者等
隣地所有者は複数の場合もある。また、隣地が道路の場合は、道路管理者の立会いが必要であるので、連絡もれのないようにしなければならない。
立会いには、石標の位置、材質等を記載した図書を作成し、立会者の署名なつ印を受け、立会い状況の写真を写しておき、相互に保管して、将来のトラブルを防止する必要がある。
(d) 石標を設置するには、隣地に立ち入る必要があるので、あらかじめ了解を得ておかなければならない。隣地所有者の了解を得られない場合は、図20.5.1(ト) のように隣地に石標が食い込まないようにし、また、了解を得た場合は、図20.5.1(イ)のように設置する。
また、作業に当たっては、隣地所有者に障害を与え、賠償請求を受けることのないように十分に配慮する。
(e) 道路等で、石標が突出していて危険な場合には、路面等と平らにする。
20.5.2 材 料
(a) 境界石標には、花こう岩類の石材とコンクリートブロック製の既製品があるが、一般的には、コンクリートブロック製の既製品が用いられる。
(b) 花こう岩類の石材を用いる場合の形状・寸法の例を図20.5.1に示す。また、文字、記号等についても、図20.5.1を参考とする。石標の側面にある数字は、石標の番号であり、財産管理部局の責任者と打ち合わせ、必要がなければ省略してよい。
既製品を用いる場合は、なるべく図20.5.1に準じた記号のあるものを用いるようにする。
図20.5.1_石標配置及び詳細図の例.jpeg
図20.5.1 石標配置及び詳細図の例
20.5.3 工 法
石標の設置は、根切り底を十分に突き締めたうえ、厚さ60mmの砂利地業を行い、コンクリートで根巻きして建て込み、移動・沈下等のないよう確実に施工する。
なお、コンクリートの調合は、容積比でセメント1 :砂 2:砂利 4 程度とする。
参考文献
参考文献.jpg

21章 排水工事 1節 共通事項

21章 排水工事
01節 共通事項
21.1.1 一般事項

(1) この章は、構内の屋外雨水排水及び街きょ、縁石、側溝等を設置する工事を対象としており、原則として、汚水排水等をする工事は対象としていない。
なお、施工範囲は、車両の通行が少なく、切土等の通常の支持地盤に管路を敷設する場合を対象としている。軟弱地盤又は地下水位が高い場合で、排水施設の支持地盤に関して十分な支持力を得られない場合には、不同沈下や浮上がり等を生じる場合があるため、基礎形状等沈下を防止するために適切な設計がなされる必要があり、現場の状況により埋戻し部等に施工を行う場合は、設計者と打ち合わせ、支持力が得られる工法にする必要がある。
(2) 構内排水に関しては、国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課監修「構内舗装・排水設計基準及び参考資料 平成31年版」(以下「構内舗装・排水設計基準」という。)がある。
(3) 作業の流れを図21.1.1に示す。
図21.1.1_排水工事の作業の流れ.jpg
図21.1.1 排水工事の作業の流れ
(4) 設計図書の確認は、主として次の事項について行う。
 ① 工事範囲の確認
 ② 工事範囲内の埋設物及び障害物の確認
 ③ 既設排水管、接続桝の管底高さの設計図書との対比
 ④ 関連工事との取合いの検討
(5) 施工計画書の記載事項は、概ね次のとおりである。
なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。
 ① 工程表(着工、完成、通水試験等の時期)
 ② 使用材料の名称、規格、製造所名及び使用箇所
 ③ 排水管敷設の工法
 ④ コンクリートの調合及び打込み工法
 ⑤ 掘削の工法及び建設発生土の処分方法
 ⑥ 官公署への届出文書名及び提出予定日
 ⑦ 安全管理対策、公害対策
 ⑧ 作業のフロー、管理の項目、水準・方法、
  品質管理体制・管理責任者、
  品質記録文書の書式とその管理方法等
(6) 注意事項
(ア) 給水管と排水管が、平行して埋設される場合は、原則として両配管の間隔を、500mm以上とし、給水管は排水管の上方に埋設する。
(イ) 一般的に、上下水道工事では、土圧、荷重等の関係から埋設管の最小土かぶりを0.5〜1.0mとしているが、建築工事で行う外構工事程度のもので、大きな荷重を受けることのない箇所であれば、通常0.6mあればよい。
埋設管の最小土かぶりは、土圧、荷重による管の押しつぶし、その振動による継手の損傷の防止、温度変化による管の伸縮防止、凍結による劣化防止等のために必要である。
(ウ) 排水工事の施工に伴う関係官庁への申請及び届出書が遅滞すると、工程に影響がでるため注意する。
21.1.2 基本要求品質
(1) 排水工事に用いられる材料で、排水管や側塊等についてはJIS等が定められているので、これに適合する材料を使用することを要求している。
なお、その他の材料で、コンクリートについては、使用量も少なく強度等をあまり重視しない軽易な場合には、現場容積調合とすることができる。
(2) 配管、桝、街きょ、縁石、側溝等については、設計図書でその形状や寸法、排水勾配等が指示される。現場に敷設された配管や桝等が指定された形状や寸法のとおりに設置されていることを要求している。
(3) 「標仕」で要求している「排水に支障となる沈下や漏水」をなくすためには、次のような事項に留意して工事監理を行うことが必要である。
(ア) 埋戻し、盛土等を行った箇所に、排水桝、埋設管等を設けることは極力避けるべきである。
やむを得ず設ける場合は、建物本体等から支持材を出して受けるか又は最初の桝を建物の近くに設けるなどして管が不同沈下により破断しないように考慮する。
(イ) 本章は、雨水排水工事を対象としているが、排水計画によっては雨水と汚水の合流排水となる現場もある。このような場合には、特に、排水勾配が適切であることが重要である。
急勾配の場合は、水だけ先に流れ、汚物が停滞していて次第に管を閉塞してしまう。また、緩勾配にし過ぎると、汚水を流す能力が不足することになる。下水道法施行令第8条では、管きょ(管及び掘割り)の勾配、マンホールの設置について次のように定めている。
(a) 管きょの勾配は、やむを得ない場合を除き、1/100以上とすること。
(b) 暗きょである構造の部分の次に掲げる箇所には、桝又はマンホールを設けること。
① もっぱら雨水を排除すべき管きょの始まる箇所。
② 下水の流路の方向又は勾配が変化する箇所。ただし、管きょの清掃に支障がないときは、この限りでない。
③ 管きょの長さがその内径又は内法幅の120倍を超えない範囲内において管きょの清掃上適切な筒所。

21章 排水工事 2節 屋外雨水排水

21章 排水工事
02節 屋外雨水排水
21.2.1 材 料
(1) 排水管用材料は、「標仕」表21.2.1により、材種、種類・記号、呼び径等は特記によるが、構内舗装・排水設計基準では、車路・駐車場の下部に埋設する場合、材種は硬質ポリ塩化ビニル(VP)を基本としている。また、最小管径は、150mmとしている。
(2) 遠心力鉄筋コンクリート管(JIS A 5372推奨仕様C-2)
(ア) JISでは、管の種類を外圧管及び内圧管に区分し、さらに形状によってA形、B形、NB形及びNC形に区分している。
外圧管の種類は、表21.2.1のとおりである。
表21.2.1 暗きょ類 Ⅰ 類の遠心力鉄筋コンクリート管(外圧管)の種類(JIS A 5372 : 2016)
表21.2.1_暗きょ類Ⅰ類の遠心力鉄筋コンクリート管(外圧管)の種類.jpg
(イ) 「標仕」21.2.1では、外圧管(1種)を用いると規定しているが、これは自然流下の排水では内圧が生じないためである。
(ウ) 管の形状及び寸法は、表21.2.2 (B形のみ)のとおりである。
(エ) ゴム輪
B形、NB形及びNC形の継手に用いるゴム輪は、JIS K 6353(水道用ゴム)の規格に適合したものを用いる。ゴム輪の種類はⅣ類とする。
(オ) 表 示
暗きょ類には、JIS A 5361(プレキャストコンクリート製品 – 種類、製品の呼び方及び表示の通則)によって、次の事項を表示する。
(a) 種類又はその略号
(b) 製造業社名又はその略号
(c) 製造年月日又はその略号
(d) リサイクル材を用いている場合には、その旨を表示
表21.2.2 管の形状及び寸法(B形)(JIS A 5372 : 2016)
表21.2.2_管の形状及び寸法(B形)断面図.jpeg
表21.2.2_管の形状及び寸法(B形).jpeg
表21.2.3 ゴム輪の品質(JIS K 6353 : 2011)
表21.2.3_ゴム輪の品質(JIS K6353).jpg
(3) 硬質ポリ塩化ビニル管(JIS K 6741)
(ア) この規格は、一般流体輸送配管に用いる硬質ポリ塩化ビニル管について規定している。ただし、JIS K 6742(水道用硬質ポリ塩化ビニル管)に規定する水道用硬質ポリ塩化ビニル管を除く。
(イ) JISでは、管の種類はVP、VU及びVMの3種類があるが、「標仕」21.2.1 (1)では、VP及びVUを用いると規定している。VP及びVUの呼び径を表21.2.4に示す。
表21.2.4 管の種類及び呼び径(JIS K 6741 : 2016)
表21.2.4_管の種類及び呼び径(JIS K 6741).jpg
(ウ) ゴム輪
ゴム輪は、JIS K 6353の規格に適合したものを用いる。
ゴム輸の品質は、表21.2.5による。
表21.2.5 ゴム輪の品質(JIS K 6353 : 2011)
表21.2.5_ゴム輪の品質.jpg
(エ) 「構内舗装・排水設計基準」に管きょの種類の選定について示されているので参考にするとよい。
(オ) 表 示
管の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないこととされている。
 ① 日本産業規格の番号
 ② 種類又はその記号
 ③ 呼び径
 ④ 製造年月又はその略号
 ⑤ 製造業者名又はその略号
(4) リサイクル硬質ポリ塩化ビニル三層管(JIS K 9797)
(ア) この規格は、外層及び内層は未使用ポリ塩化ビニルを主体とし、中間層に硬質ポリ塩化ビニル管・継手類から作られた再利用ポリ塩化ビニルを主体とした、埋設部で無圧の一般流体輸送配管に用いるリサイクル硬質ポリ塩化ビニル三層管について規定している。
(イ) JISでは、管の種類はRS-VUのみである。RS-VUの呼び径を表21.2.6に示す。
表21.2.6 RS-VUの呼び径(JIS K 9797 : 2006)
表21.2.6_RS-VUの呼び径(JIS K 9797).jpg
(ウ) 表 示
管の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。
 ① 種類又は記号
 ② 呼び径
 ③ 製造年月又はその略号
 ④ 製造業者名又はその略号
(5) 排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手(JIS K 6739)
(ア) この規格は、JIS K 6741に規定するVPを使用する排水配管の接着接合に用いる硬質ポリ塩化ビニル管継手について規定している。
(イ) 硬質ポリ塩化ビニル管継手の形状による種類は、表21.2.7による。
表21.2.7 形状による種類
表21.2.7_形状による種類.jpg
(ウ) 表 示
(a) 継手の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。
 ① 呼び径
 ② 製造業者名又はその略号
(b) 継手又は包装の外側に、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。
 ① 日本産業規格の番号
 ② 種類又はその略号
 ③ 製造年月又はその略号
(6) 屋外排水設備用硬烈塩化ビニル管継手(塩化ビニル管・継手協会規格)
(ア) 「標仕」では、屋外排水設価用硬質塩化ビニル管継手は、塩化ビニル管・継手協会規格で規格番号はAS 38、種類・記号はVU継手と規定している。
(イ) 硬質塩化ビニル管継手の形状による種類は、表21.2.8による。
表21.2.8 形状による種類
表21.2.8_形状による種類.jpg
(ウ) 表 示
継手の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。
 ① 継手の略号又はVU
 ② 呼び径
 ③ 製造業者名又はその略号
 ④ 製造年又はその略号(注)
※(注)ー製品ごと又は一包装ごとに表示するものとする。
(7) 配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3452)
(ア) 「標仕」の排水工事では規定していないが、雨水排水(「標仕」13章5節[とい])等で使用する排水管用材料として、配管用炭素鋼鋼管がある。種類及び記号は表21.2.7のとおりとし、亜鉛めっきの有無により黒管、白管に区分されているが、「標仕」表13.5.1では白管としている。
表21.2.9 種類の記号及び亜鉛めっきの区分
    (JIS G 3452 : 2019)
表21.2.9_種類の記号及び亜鉛めっきの区分(JIS G 3452).jpg
(イ) 管の寸法は表21.2.10のとおりである。
(ウ) 表 示
検査に合格した管には、管ごとに、次の事項が表示されている。ただし、外径が小さい管の場合又は注文者の要求がある場合は、これを結束して、1束ごとに適切な方法で表示してもよいとされている。また、注文者の承認を得た場合は、その一部を省略することができるとされている。
 ① 種類の記号
 ② 製造方法を表す記号
 ③ 寸法
 ④ 製造業者名又はその略号
表21.2.10 配管用炭素鎖鋼管の寸法(JIS G 3452 : 2019)
表21.2.10_配管用炭素鋼鋼管の寸法(JIS G 3452).jpg
(8) 排水用ねじ込み式鋳鉄製管継手(JPF DF 001:日本金属継手協会規格)
(ア) この規格は、主に使用圧力 0.35MPa以下で鋼管を用いた排水配管の接合に用いる排水用ねじ込み式鋳鉄製管継手(以下「継手」という。)について規定している。
(イ) 継手の種類は、次による。
(a) 材料による種類は、ねずみ鋳鉄製及び可鍛鋳鉄製の2種類とする。
(b) 形状による種類及びその記号は、表21.2.11による。
(c) 表面の状態による種類は、鋳放し、めっき及びコーティングとする。
表21.2.11 形状による種類(JPF DF 001 : 2010)
表21.2.11_形状による種類(JPF DF 001).jpg
(ウ) 継手の形状は、表21.2.12による。
表21.2.12 継手端部の形状・寸法(JPF DF 001 : 2010)
表21.2.12_継手端部の形状・寸法.jpg
表21.2.12_継手端部の形状・寸法(ねじ部等).jpg
表21.2.12_継手端部の形状・寸法(厚さ等).jpg
(エ) 継手の寸法許容差は、表21.2.13による。
表21.2.13 継手の中心から端面までの距離、及び端面から端面までの距離の許容差
表21.2.13_継手の中心から端面までの距離及び端面から端面までの距離の許容差.jpg
(オ) 継手の材料は、表21.2.14による。
表21.2.14 継手の材科(JPF DF 001 : 2010)
表21.2.14_継手の材料.jpg
(カ) 製品の表示
(a) 継手には、継手の大きさの呼び、製造業者又はその記号を表示する。Uトラップには、流れ方向を明示する矢印を付ける。
(b) 包装には、次の事項を表示する。
 ① 製品名称、規格番号又は規格名称
 ② 種類
 ③ 継手の大きさの呼び
 ④ 数量
 ⑤ 製造業社名又はその略号
(9) プレキャスト鉄筋コンクリート製品のマンホール側塊(JIS A 5372 推奨仕様 D-1)
(ア) JISにおける側塊の形状及び寸法は、表21.2.15のとおりである。形状及び寸法は、特記によるが、接続する排水路の高さ、雨水の流出量等に注意する。
(イ) 足掛け金物の材料については、「標仕」21.2.2 (6)(オ) で、現場打ちの場合と既製品の場合を規定しており、既製品の場合、マンホール側塊の製造所の仕様によるとしている。
(ウ) 表 示
側塊には、次の事項が表示されている。
 ① 種類又はその略号
 ② 製造業者名又はその略号
 ③ 製造年月日又はその略号
 ④ リサイクル材を用いている場合には、その旨の表示
表21.2.15 マンホール側塊の呼び及び寸法(JIS A 5372 : 2016)
表21.2.15_マンホール側塊の呼び及び寸法(図).jpg
表21.2.15_マンホール側塊の呼び及び寸法.jpg
(10) 雨水マンホール(組立て)
国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課監修「建築工事標準詳細図(令和4年版)」9-15[雨水マンホール]を参照するとよい。
(11) 鋳鉄製ふた
(ア) 「標仕」では、空気調和・衛生工学会規格 SHASE-S 209(鋳鉄製マンホールふた)に基づき、名称、種類及び適用荷重は、特記によるとされている。
なお、車路等においては、消防車など重量のある車両を考慮した適用荷重が特記されているか確認する。
(イ) 鋳鉄製ふたには、「標仕」で要求する品質を満たすものとして、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4(5)(ア) 参照)で評価された製品があるので参考にするとよい。
(ウ) SHASE-S 209(鋳鉄製マンホールふた)の抜粋を次に示す。
SHASE-S 209
マンホールふた
3. 種類及び大きさの呼び
マンホールふたの種類及び大きさの呼びは、表1による。
表1 – マンホールふたの種類及び大きさの呼び
SHASE-S_209-2009_表1-マンホールふたの種類及び大きさの呼び.jpg
加重体の大きさの換算について
SHASE-S_209-2009_加重体の大きさの換算について.jpg
4. 要求事項
4.3 性能
マンホールふたは、5.の規定によって試験し、表2に適合しなければならない。
表2 – マンホールふたの性能
SHASE-S_209-2009_表2-マンホールふたの性能.jpg
5. 荷重試験方法
5.1 たわみ試験の試験方法
たわみ試験の試験方法は、図9に示すように試験体の枠を全面で支え、ふた(試験体)の中央に表3に示す加重体を載せ、たわみ試験荷重に達するまで徐々に荷重を加えたときのたわみ量及び荷重除去後のたわみ量(残留たわみ)を測定する。ただし、試験体はパッキンを外したものとする。
5.2 破壊試験の試験方法
破壊試験の試験方法は、5.1を終了後、さらに表3に示すたわみ試験荷重の4倍に相当する破壊試験荷重に達するまで徐々に荷重を加え試験を行う。
SHASE-S_209-2009_図9-マンホールふたの試験要領.jpg
図9 – マンホールふたの試験要領
表3 – 加重体の大きさと試験荷重
SHASE-S_209-2009_表3-加重体の大きさと試験荷重.jpg
化粧マンホールふた
3. 種類および大きさの呼び
化粧マンホールふたの種類及び大きさの呼びは.表1による。
表1 – 化粧マンホールふたの種類及び大きさの呼び
SHASE-S_209-2009_表1_化粧マンホールふたの種類及び大きさの呼び.jpeg
4. 要求事項
4.3 性 能(マンホールふたに同じため省略)
5. 荷重試験方法
5.1 たわみ試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)
5.2 破壊試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)
SHASE-S_209-2009_図7_化粧マンホールふたの試験要領.jpg
図7 – 化粧マンホールふたの試験要領
表3 – 加重体の大きさと試験荷重
SHASE-S_209-2009_表3-加重体の大きさと試験荷重+.jpg
3. 種類及び大きさの呼び
格子ふたの種類及び大きさの呼びは、表1による。
表1 – 格子ふたの種類及び大きさの呼び
SHASE-S_209-2009_表1_格子ふたの種類及び大きさの呼び.jpg
4. 要求事項
4.3 性 能 (マンホールふたに同じため省略)
5. 荷重試験方法
5.1 たわみ試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)
5.2 破壊試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)
SHASE-S_209-2009_図3_格子ふたの試験要領.jpg
図3 – 格子ふたの試験要領
表3 – 加重体の大きさと試験荷重
SHASE-S_209-2009_表3-加重体の大きさと試験荷重++.jpg

SHASE-S 209-2009
(12) グレーチング
(ア) グレーチングの材質、適用荷重、メインバービッチ、ボルト固定の有無等は、特記によるとされているが、次のことを確認するとよい。
(a) 車路等において、消防車などの特殊な自動車の種類を考慮し、十分な耐荷重性能を有するものとしているか。
(b) メインバービッチは、歩行者の通路ではハイヒールを考慮しているか。
(c) 自動車等の通過時のずれ、がたつき又は跳ね上がりが生じないように、ボルトで固定されているか。
(13) 材料の保管
(ア) 現場内に材料を保管する場合は、倒壊が生じないようにするとともに、部外者が保管場所に立ち入らないように柵等を設け、十分な安全対策を講じなければならない。
(イ) 管の保管に当たっては、管の高積みを避け、ロープ掛け等を施し管の転がりや転落を防止する。
(ウ) 塩化ビニル管の接合に用いる接着剤は、揮発性で、かつ、引火性の溶剤を多量に含んでいるため、接着剤の機能が失われないように必ずふたをし、冷暗場所に保管する。また、接着剤の保管については、関係法令を遥守する。
(14) 排水桝及び配管を据え付ける部分の地業用材料は次のとおりである。
(ア) 砂地業に使用する砂は、シルト、有機物等の混入しない締固めに適した山砂、川砂又は砕砂とし、適用は特記による。
(イ) 砂利地業に使用する砂利は、再生クラッシャラン、切込砂利又は切込砕石とし、適用は特記による。
なお、粒度は、JIS A 5001(道路用砕石)に基づく C-40、C-30又はC-20程度のものとする。
(15) 排水工事に用いる現場打ちの場合の、コンクリートの種類、設計基準強度及びスランプは特記による。特記がなければ、排水工事に用いるコンクリートは大きな荷重を受けることがないため、普通コンクリートで設計基準強度18N/mm2、スランプは15cm又は18cmとする。
なお、使用量が少なく、レディーミクストコンクリートを購入することが現実的でない場合、コンクリートの調合容積比セメント1:砂2:砂利4 程度の現場練りとすることができる。
(16) 寒冷地に適用される凍上抑制層に用いる材料
「構内舗装・排水設計基準」では、寒冷地における雨水排水設備は、地盤の凍結融解の影響による破損を避けるため、凍結深さから求めた必要な置換深さと、雨水排水設備の基礎の下端の深さを比較し、置換深さの方が大きい場合は、雨水排水設備の基礎の下にその厚さの差だけ、凍上の生じにくい材料の層を設けるとされている。凍上抑制層に用いる材料は、砂、砂利、クラッシャラン、再生クラッシャラン、礫、スラグ等があり、「標仕」では、ゴミ、泥等の有機物を含まないものとし、種類は、特記によると規定している。
砂は「標仕」表21.2.2による。粒度分布を求めて、各種骨材として適当かどうかを判定するための粒度試験は JIS A 1102(骨材のふるい分け試験方法)に基づき、適用は特記によると規定している。
(17) 「標仕」では、埋戻しに用いる材料は特記による。特記がなければ、表3.2.1のB種(根切り土の中の良質土)と規定している。根切土を使用するのが一般的であるが、締固めが十分に行えない土の場合は、良質な土や山砂等で置き替える必要がある。
21.2.2 施 工
(1) 寒冷期等の施工及び養生
降雨・降雪が予想される場合又は打込み中のコンクリート温度が 2℃を下回るおそれのある場合で、適切な養生を行うことが出来ない場合は、コンクリートの打込みを行わない。ただし、やむを得ず打ち込む場合は、保温及び養生方法に関して具体的な方法を受注者等に提案させたうえで検討する。
なお、保温及び養生方法の例を、22.5.5[養生](3) に示しているので、参考にされたい。
(2) 根切り
(ア) 根切りに当たっては、「標仕」3章を参照し、安全に注意する。特に、山留めの構造及び点検等の管理には注意が必要である。
(イ) 遣方を適切な間隔に設け、高低を実測のうえ、所定の深さに根切りする。
また、遣方に水糸を張り、根切りの確認をする。
(ウ) 遣方を設けない場合は、あらかじめ深さを計算しておき、レベルにより確認する。
(エ) 根切りは、根切り底をかく乱しないように掘削する。
(オ) 根切り底の深さと管路の勾配に注意し、掘り過ぎた場合は、山砂の類で埋め戻す。また、根切り底が緩んでいる場合は、締め固める。
(カ) 根切り範囲は、根切りだけを先行させないで、できるだけ管の敷設と埋戻しとが継続してできる程度に抑えておく。
根切りのままで長期間放置すると、降雨等により崩壊したり、根切り底が緩んだりする。地下水位の高い地盤では、ますます軟弱化するおそれがある。
(3) 地 業
(ア) 排水施設を設ける地盤が、排水施設を支持するのに適した砂、ローム、粘土質等の場合は、根切り面を割り石や砂等の地業の施工がしやすいようにソイルコンパクタ等で締め固める。
(イ) 遠心力鉄筋コンクリート管の地業は、管の埋設方式、土質の状態、活荷重の条件等によって地業形式が異なるため、その選定に当たっては、十分注意を払う必要がある。
(ウ) 遠心力鉄筋コンクリート管を敷設する箇所が、管を支持するのに適している場合は砂地業とすることができるが、軟弱地盤等では、その地盤に適したコンクリート地業、杭打ち地業等の地業形式をとらなければならない。この場合は、設計担当者と打ち合わせ、設計変更等について検討する。
(エ) 砂地業では、ごみや有機不純物締を含まない遮断層用の砂を300mmごとに締め固め、空隙が生じないように仕上げる。
(オ) 割り石地業では、地業に用いる砕石等を所定の厚さにむらなく敷き均し、タンパ等の締固め機械によって十分に締め固める。
(カ) 捨コンクリート地業では、砕石等を所定の厚さに仕上げた後、所定の寸法のコンクリートを打ち込み、締め固めて空隙のないように仕上げる。
(4) 側塊、排水桝
(ア) 排水桝、マンホールは、管きょ内の点検、清掃等のために必要なものであるため、管きょの方向、勾配、管径の変化する箇所、段差の生じる箇所及び合流する箇所に設ける。
(イ) 汚水の混入する排水桝及び排水溝には、インバート(図21.2.1参照)を設ける。
インバートは、流れやすくして汚物等が詰まるのを防ぐためのものであるため、モルタルは滑らかに仕上げ、肩上は汚物が残らないように、勾配を付ける。
図21.2.1_インバート(断面図,平面図).jpeg
図21.2.1_インバート(管径).jpeg
図21.2.1 インバート
(ウ) 雨水用排水桝及びマンホールの底部には、排水管等に泥が詰まらないように、深さ150mm以上の泥だめを設ける。
(エ) 排水桝、マンホールについては、プレキャスト製品と現場打ちコンクリートがあるが、施工性・品質等からプレキャスト製品が一般的に使われている。
(オ) 合流式下水道の場合、雨水系統と汚水系統が合流する合流桝を設けるが、臭気対策としてトラップ桝とすることが望ましい。
(5) 排水管
(ア) 遠心力鉄筋コンクリート管
(a) 管の敷設は下流部より始め、順次上流部に向けて行うのがよい。
(b) 管の吊降ろしは、必要に応じてロープ、チェーンブロック等を用いて、管に損傷を与えないようにする。
(c) 砂地業とした場合は、管を勾配に合わせて移動しないように固定し、継手作業が終わった後、良質土で管の中心線程度まで両側から埋め戻して締め固める。埋戻しの一層の仕上り厚さは20cm以下とし、適切な含水状態の土等で十分締固めながら埋め戻す。
(d) 継手部分は、漏水の原因となるため、特に入念に施工する。継手部分にゴムリングを用いるB形管は、接合前にゴムリングの傷、老化、寸法等を確認し、正常であれば、あらかじめ作っておいた引込み目安線まで確実に引き込む(図 21.2.2参照)。
図21.2.2_管のゴム接合.jpg
図21.2.2 管のゴム接合
(イ) 硬質ポリ塩化ビニル管
(a) 管の取扱いについては、落下したり、ぶつかり合ったりしないように慎重に取り扱い、特に、管端部にはクッション材等を挟むなどし、破損及び傷がつかないようにする。
(b) 桝との接合には、砂付きの桝取付け短管を用いる。
(c) 「標仕」で継手は、硬質ポリ塩化ビニル管継手による冷間工法とし、継手には、材料自体が博いため、直接ねじを切れないので、接着剤又はゴム輪を用いるものとしている。適用は特記によるが、特記がなければ、接着剤としている。
(d) マンホールなどの構造物と管きょとの接続部分において、不同沈下等による偏荷重により継手の使用を検討する必要がある。
検討事項としては、
 ① 耐震性を特に必要とするかどうか
 ② 宅地造成等における盛土区域の地盤の安定性
 ③ 軟弱地盤等におけるマンホールと管きょとの不同沈下
 ④ 管きょの重要性
などがあげられる。
対応策としては、可とう性管きょ、マンホール用可とう継手単管の使用等がある。
なお、採用に当たっては可とう性、水密性、耐久性、経済性等を十分検討しなければならない。
(6) 凍上抑制層は、1層の仕上がりを20cm以下として、各層ごとにタンパ等小型締固め機械を使用し均ーになるように仕上なければならない。
(7) 埋戻し
(ア) 埋戻しは、原則として、根切土の良質土とする。
ただし、車両等の通行する部分は、コンクリートで保護するか、川砂又は透水性の良い山砂の類とする。砂類の場合は、水締めとするのが望ましい。
(イ) 土かぶりまでの埋戻しは、管の耐力の範囲内でタンパ、ランマ等で締め固め、重機械を用いてはならない。
(ウ) その他の埋戻しについては、3章を参照する。
21.2.3 試 験
通水試験は、排水管の継手モルタルの硬化程度を見計らい、全系統にわたり、埋戻しに先立って通水し、漏水の有無の確認を行う。
試験方法は、排水管の端末を適切な方法で閉じ、管径の1/2程度まで注水し、継手部分の漏水及び勾配の検査を行う方法とする。しかし、重要部分及び一般部分でも事情が許す場合は、管を満水にする満水試験を行う。
21.2.4 浸透施設
雨水の浸透式排水は、特定都市河川浸水被害対策法や各地方自治体の条例等の規制によって、近年の急激な都市化の進展とともに多発している「都市型水害」、さらには最近増加している「局地的豪雨」等の対策措置として、雨水排水が直接公共施設の下水道、河川、湖沼、海等に放流できない地域又は植栽等のために地下に浸透させた方が望ましいなどの目的で設けられるものである。適用に当たっては、浸透排水能力及び施設の設置場所の地質、地形、地下水等の条件や周辺の施設、構造物への影響を十分検討する。
「標仕」には、規定はないが、浸透施設を参考に示す。
(1) 浸透施設の例としては、図21.2.3のような浸透桝、浸透トレンチ、浸透側溝がある。
図21.2.3_浸透施設(浸透トレンチ).jpg図21.2.3_浸透施設(浸透枡).jpg
図21.2.3_浸透施設(浸透側溝).jpg
図21.2.3 浸透施設
(2) 浸透施設の施工に当たっては、次の点に注意する。
(ア) 施工時に地盤の浸透機能を、低下させないことが重要であるため、浸透面を締め固めないものとし、掘削後は床付けを行わず、直ちに敷砂を行い充填材を投入する。ただし、地盤が砂礫、砂の場合は敷砂を省略してよい。
(イ) 透水性舗装を浸透施設とする場合には、地盤面は小型ローラ等で締め固めるが、こね返しや過転圧によって強度が低下しないよう注意する。
(ウ) 充填材の投入に当たっては、施設内に土砂が混入しないように注意する。また、投入時に透水シートを引き込まないように注意する。
(エ) 工事中の排水は、原則として、浸透施設を使用しない。また、浸透面にネットを被覆するなどの土砂流入防止の措置をとる。
(オ) 工事完了後、浸透施設に対して、浸透能力確認のための注水試験を行う。