1級建築施工管理技士 屋根工事 金属板葺き

建築品質 屋根  roof


021) 金属板葺きは水切りと水返しを

工場や倉庫などの屋根にはアルミ亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板)などのコイルを折り曲げた折板葺きがよく用いられる。現場でロール曲げ加工して、折板の流れ方向にジョイントを設けないで葺くことができるため、大規模の工場屋根などに使われることが多い。

1.折板は小梁位置にあるタイトフレームで風圧に耐える

折板の山部のジョイントはボルト貫通止めより嵌合タイプの方が止水性がよいので、一般的である。折板を固定するタイトフレームは下地鉄骨に溶接で固定する。
構造母材への直接の溶接はのぞましくないので、溝型鋼などで母材とは切り離すのが望ましい。鉄骨のレベルに関わるので入念な計画が必要である。
タイトフレームの位置は屋根にかかる風圧力で決まり、そこに梁が必要になる。タイトフレームは下地鉄骨に隅肉溶接で固定するので、風圧力に対する溶接長さの確保が必要である。


金属折板のおさまり

2.折板の水上部は水返し折り、軒先は水切り曲げとする

折板の水上部(棟部分)は端部を水返し折りとし、水切り面戸を設けて、水上包み(棟包み)を被せる。軒先は水切り曲げとする。けらばは、けらば包みでひと山かぶぜで納める。
けらば包みや水上包みジョイントは重ね長さを100mm以上とし、間にブチル系シーリング材を二重に挟み、水密リベット留めとする。

3.二重折板は音鳴り低減を検討する

上下の折板の間にグラスウールを挟んだ二重折板では、上部折板の熱伸縮によって音鳴りすることがある。滑りによって熱伸縮による音鳴りを低減させる連結金物もある。この場合、棟部を固定し、他は軒先方向に熱伸縮させる。

4.外壁ALC板と屋根(けらばパネル)は縁を切る

外壁ALC板縦張りは地震時などにロッキングの動きをする。けらば化粧パネルは地震時には動かないが、通常熱によって伸縮している。このように別の動きをする外壁とけらばパネルは縁切りしないと、ビスやパネルが破損する。


二重折板のけらばおさまり

1級建築施工管理技士 屋根工事 メンテナンス動線の確保

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022)屋根のメンテナンス動線を確保する

屋根の樋や屋上・塔屋のルーフドレン等のメンテナンスのために、はしごを掛けて登れる場合は良いが、そうでない場合は点検口やタラップなどが必要である。

1.点検が必要な所へ、容易に行くことができること

点検頻度が多い場合や、点検時に何回も昇り降りがあったり、道具などをもって点検に行く場合は鉄骨階段がのぞましい。そんなに頻繁に使用しない場合はタラップでも良い。高所作業車が近寄れるとき、または容易に足場が組めるときはタラップは不要であるが、点検したいときに必ず行けるようにしたい。

2.点検用タラップは安全に昇降できること

タラップを使う頻度が少なくても、
①昇りやすく、降りやすいタラップにする。
②高所に上るタラップ(高さ5m以上のタラップ)には、3mから上に安全囲いを設ける。最上部は安全手すりを設ける。
③長期にわたって安全なように、ステンレス製または溶融亜鉛めっきとする。鉄骨造の場合はタラップ取付け用支柱を設け、それから外壁貫通でブラケットを出してボルト止めとする。外壁貫通部はできるだけ少なくする。RC造の場合はSUSアンカーボルトを先付けし(後付けアンカー不可)、それにタラップを取り付ける。

3.屋上点検口は屋上へ昇りやすく

屋上に昇る点検口は蓋の開閉が片手作業になるため、開閉を容易にする把手を設ける。また、防犯・管理用に施錠できようにする。

4.勾配屋根でのメンテナンス作業の安全確保に配慮する

勾配屋根においては屋根上でのメンテナンス作業が安全に行えるように命綱などを掛けることができるように、安全バーや安全フックなどを用意する。