平成24年1級建築施工管理技士 実地検定 問題4 解答解説

平成24年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題4

問題4
次の 1.から 4.の問いに答えなさい。
ただし、留意事項は、それぞれ異なる内容の記述とし、材料の保管、作業環境(気象条件等)、安全に関する記述は除くものとする。
1.鉄筋コンクリート造建物のアルミサッシの枠回り目地に、2成分形変成シリコーン系シーリング 材を充填するときの施工上の留意事項を 2 つ具体的に記述しなさい。
ただし、被着面の確認及び清掃、充填後の養生に関する記述は除くものとする。

解答例

各留意事項は以下の通りで、これらの中から2つ記述する。

(建築工事監理指針)

①充填したシーリング材は、内部まで十分に伝わるようにへら押さえして下地と密着させた後、平滑に仕上げる。

②練り混ぜは、可使時間に合わせた量とする。

③シーリング材の打継ぎは目地の交差部及び角部は避ける。

④充填前には、プライマーが十分乾燥していることを確認する。

⑤基材及び硬化材の配合割合は、製造所の指定するものとする。

⑥練混ぜは、専用の機械を使用して、空気を巻き込まないようにかくはんする。

⑦目地幅に合ったノズルを装着したガンを用い、目地底部から加圧しながら入念に行う。

2.壁のタイル張り下地モルタル面に、陶磁器質タイル(小口タイル)を密着張りで張るときの 施工上の留意事項を 2 つ具体的に記述しなさい。
ただし、下地の調整、張付けモルタルの調合、タイルの割付けに関する記述は除くものとする。

解答例

各留意事項は以下の通りで、これらの中から2つ記述する。

(建築工事監理指針)

①張付けモルタルの下地面に対する塗付けは二度塗りとし、その塗厚さは 5〜8mm(小口タイルなので5mm)とする。

②一度に塗り付ける面積は、3m2以内または30分以内に張り付ける面積とする。

③振動機による加振は、張付けモルタルの周囲から目地部分に盛り上がる状態になるまで行う。

④タイルの張付けは、上部より下部へと行い、一段おきに数段張り付けた後、間のタイルを張る。

⑤タイル張りと同時に目地の押さえを行う場合は、目地からの盛り上がりを十分にとる。

3.鉄筋コンクリート造建物(階高4m程度)に、間仕切壁の軽量鉄骨下地を取り付けるときの 施工上の留意事項を 2 つ具体的に記述しなさい。
ただし、施工箇所の点検、修正及び墨出しに関する記述は除くものとする。

解答例

各留意事項は以下の通りで、これらの中から2つ記述する。

(建築工事監理指針)

①ランナーは、端部から50mm程度内側を押さえ、間隔900mm程度に打込みピン等で、床・_梁下・上階床スラブ下固定する。

②スペーサーは、各スタッドの端部を押さえ、間隔600mm程度に取り付ける。

③スペーサーは、スタッドのねじれを防止し、振止めを固定するために用いる。

④スタッドは、スタッドの天端と上部ランナーの溝底とのすきまが10mm以下となるように、間仕切り壁の高さに合わせて切断する。

⑤スタッドをコンクリート壁等に取り付ける場合は、端部及び間隔900mm程度に打込みピン等で固定する。

⑥振止めは、床ランナーから間隔1,200mm程度の箇所にフランジ側を上向きにしてスタッドを引き通し、スペーサーで固定する。

⑦溶接した箇所に錆止め塗料を塗布する。

⑧開口部等の鉛直方向の補強材は、床から上階スラブ下(または_梁下)まで伸ばして固定する。

⑨同一壁において壁の高さが異なる場合等、スタッドの高さに高低たある場合は、高い_ほうの部材に適用する。

4.内装床工事において、ビニル床シートを平場部に張り付けるときの施工上の留意事項を2 つ具体的に記述しなさい。
ただし、下地の調整・補修、張付け後の清掃に関する記述は除くものとする。

解答例

各留意事項は以下の通りで、これらの中から2つ記述する。

(建築工事監理指針)

①床シート類は、長手方向に縮み、幅の方向に伸びる性質があるので、長めに切断して仮敷きし、24時間以上放置して巻きぐせをとり、なじむようにする。

②接着剤は、所定のオープンタイムをとり、床シートを張り付ける。

③接着剤は、製造所の指定するくし目ごてを用いて下地面に均一に塗布する。

④湿気のおそれのある床には、エポキシ樹脂系またはウレタン樹脂系の接着剤を用いる。

⑤床シートの張付け後は、表面に出た余分な接着剤をふき取り、45kgローラー等で十分に圧着し、接着面に気泡がの残らないように圧着する。

平成24年1級建築施工管理技士 実地検定 問題5 解答解説

平成24年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題5

問題5
市街地での事務所ビルの建設工事における右に示す工程表に関し、次の問いに答えなさい。 なお、解答の旬日は、上旬、中旬、下旬で記述しなさい。
[ 工事概要 ]
構造・規模:鉄骨造5階建、
地下鉄筋コンクリート造1階、
延べ面積 3,000 m2 とし、
地業は、 アースドリル杭とする。
山 留 め:山留め壁は、
親杭横矢板工法で外部型枠兼用とし、
親杭は引き抜かないものとする。
支保工は、水平切梁工法とする。
乗 入 構 台:解体は、建逃げ方式(屏風建て)による
鉄骨建方と平行して行うものとする。
外壁仕上げ:金属パネル張りとし、
アルミニウム製横連窓建具とする。
屋 上 防 水:アスファルト防水の上、
保護コンクリート仕上げとする。

1. 表中のA及びBに該当する作業名をあげなさい。

解答例

A及びBに該当する作業名

 A:2次根切り・床付け

 B:本締め

(解説)

Aについて(土工事)

Aは切梁架け終了後の土工事で、2次根切り・床付けである。その終了時に杭頭処理をしてから捨コンクリート、基礎耐圧盤と工事を進める。

Bについて(鉄骨工事)

Bは鉄骨建方を追いかけて進める鉄骨工事であり、本締めである。その後、デッキプレートを敷き、スラブコンクリートを打設していく。

2. 作業の終了日が工程上最も不適当な作業名を表の中より選び、適当な工程となるように、その終了日を月次と旬日で定めなさい。

解答例

最も不適当な作業名及び終了日

 作業名:外壁下地鉄骨組み

 終了日:7月下旬

(解説)

エレベーターの仮設使用が、各種完了検査中まで続き、各種完了検査が終了する11月下旬に終了していることも不適当であるが、最も不適当なのは「外壁下地鉄骨組み」が終了しないうちに、「外部建具・ガラス取付け」「外壁金属パネル取付け」が終了していることである。外壁シーリング、内装工事のボード張りとの関連においても、「外壁建具・ガラス取付け」終了日の8月中旬、「外壁金属パネル取付け」終了日の8月上旬は適当である。したがって、「外壁下地鉄骨組み」は7月中旬までに終了していなければならない。

3. 内装工事の床仕上げ張り(主にビニル床シート張り)作業の工程は未記入となっている。適当 な工程となるように、床仕上げ張り作業の開始日及び終了日の期日を月次と旬日で定めなさい。

解答例

開始日及び終了日

 開始日:9月下旬

 終了日:11月上旬

(解説)

床の仕上げ張り作業は、仕上げ工事の中でも一番最後に終了するのが、汚損防止、養生の削減の点から望ましい。内装と総仕上げを追いかけて進めていき、終了日としては完了検査前の「11月上旬」が望ましい。床の仕上げ張り作業は1ヶ月から1.5ヶ月あれば十分である。開始日は10月上旬であれば施工はできる。また、9月上旬開始では内部塗装が進んでいない。9月中旬以降の開始であれば、内部塗装仕上げを追いかけて作業することは可能であるため、開始日は「9月中旬から10月上旬」の間となる。

平成24年1級建築施工管理技士 実地検定 問題6 解答解説

平成24年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題6

問題6
次の問いに答えなさい。
1. 請負関係を示した下図において、「建設業法」上、施工体制台帳の作成等及び技術者の設置に 関する次の問いに答えなさい。
ただし、下図のA社からO社のうちK社及びN社以外は、建設工事の許可業者であり、A社が 請け負った工事は建築一式工事とし、B社~O社が請け負った工事は、建築一式工事以外の建設工事とする。

1-1
施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え置かなければならないすべての建設業者を、 会社名で答えなさい。

解答

 A社、C社

(解説)

次の2つの条件の両方に当てはまる場合、施工体制台帳を作成し、各工事現場ごとに備えておかねければならない。

1)発注者から直接工事を請け負った建設業者であること。

これにはA社、B社、C社が該当する。

2)工事を施工するために締結した下請契約の金額が、建築一式工事で4,500万円(その他の工事は3,000万円)以上となること。

これには建築一式工事で下請契約の金額の合計が4,500万円のA社と、建築一式工事以外の建設工事で下請契約の金額の合計が3,100万円のC社が該当する。

B社は下請金額の合計が2,700万円なので該当しない。

よって、A社及びC社が施工体制台帳を作成し、各工事現場ごとに備えておかなければならない。

1-2
書面等により再下請負通知を行う再下請負通知人に該当するすべての建設業者を、会社名で答えなさい。

解答

 D社、E社、I社

(解説)

施工体制台帳を作成する特定建設業者の下請負人は、その請け負った建設工事を他の建設業者に請け負わせたときは、元請負人である特定建設業者に対して、当該他の建設業者に称号または名称、当該地の建設業者の請け負った建設工事の内容及び工期などを通知しなければならない。

施工体制台帳を作成するのは 、1ー1よりA社とC社であり、A社とC社から請け負い、他の建設業社に請け負わせているのは、D社、E社、I社である。

1-3
下請負人であるJ社からO社のうち、工事現場に施工の技術上の管理をつかさどる主任 技術者を置かなければならないすべての下請負人を、会社名で答えなさい。

解答

 J社、L社、M社、O社

(解説)

建設工事の許可業者は、その請け負った工事を施工するときは、主任技術者を置かなければならない。また設問で問われているJ社からO社は「発注者から直接工事を請け負った建設業者」ではないため、監理技術者を置く必要はなく、建設工事の許可業者であれば、工事現場に主任技術者を置かなければならない。

よって、J社からO社のうち、建設工事の許可業者であるJ社、L社、M社、O社が工事現場に主任技術者を置かなければならない。

※「者」と「社」との記入間違いを注意すること

2.「労働安全衛生法」上、[  ] に当てはまる語句を記入しなさい。
建設業に属する事業の [ ① ] 事業者は、土砂等が崩壊するおそれのある場所、機械等が 転倒するおそれのある場所その他の厚生労働省令で定める場所において [ ② ] の労働者が当該 事業の仕事の作業を行うときは、当該 [ ② ] が講ずべき当該場所に係る危険を防止するための措置が適正に講ぜられるように、 [ ③ ] 上の指導その他の必要な措置を講じなければならない。

解答

 ①元方、②関係請負人、③技術

(解説)

労働安全衛生法 法第29条の2

建設業に属する事業の元方事業者は、土砂等が崩壊するおそれのある場所、機械等が転倒するおそれのある場所その他の厚生労働省令で定める場所において関係請負人の労働者が当該事業の仕事の作業を行うときは、当該関係請負人が講ずべき当該場所に係る危険を防止するがめの措置が適正に講ぜられるように、技術上の指導その他の必要な措置を講じなければならない。

平成25年1級建築施工管理技士 実地検定 問題1 解答解説

平成25年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題1

問題1
建築工事の施工技術は、社会的・経済的環境等により変化しており、建築物の性能水準の 高い、より高度な技術による施工が求められている。その一方、建設業の就業者数の減少も大きな 課題となっており、このような中で、施工技術や合理化工法の開発など新たな取組みが行われている。
あなたが経験した建築工事のうち、品質を確保した上で施工の合理化を行った工事を1つ選び、 下記の工事概要を具体的に記入した上で、次の問いに答えなさい。
なお、建築工事とは、建築基準法に定める建築物に係る工事とする。ただし、建築設備工事を 除く。
[ 工事概要 ]
 イ.工 事 名
 ロ.工 事 場 所
 ハ.工事の内容
  新築等の場合:
   建物用途、構造、階数、
   延べ面積又は施工数量、
   主な外部仕上、主要室の内部仕上
  改修等の場合:
   建物用途、
   主な改修内容、施工数量又は建物規模
 ニ.工 期 (年号又は西暦で年月まで記入)
 ホ.あなたの立場
1. 工事概要であげた工事で、あなたが担当した工種において実施した、施工の合理化の事例を2 つあげ、次の1から4について、それぞれ具体的に記述しなさい。
ただし、2つの事例の「合理化を行った目的と実施した内容」は、それぞれ異なる内容の記述とすること。また、現在一般的に行われている躯体・仕上げ材料のプレカットに関する記述は不可とする。
① 工種又は部位等
② 合理化を行った目的と実施した内容
③ 実施した内容が合理化に結び付く理由
④ 実施した内容が品質を確保できる理由

解答例

1)事例1

① 工種又は部位等:

  鉄筋工事、型枠工事

② 合理化を行った目的と実施した内容:

躯体工事の工程短縮と品質確保のため、鉄筋工事において、梁鉄筋先組工法を採用した。また、型枠工事においては、床型枠にトラス筋付きデッキプレート工法を採用した。

③ 実施した内容が合理化に結び付く理由:

鉄筋を先組みすることにより、現場作業が軽減できるので、作業効率が上がり工期短縮につながる。また、トラス筋付きデッキプレートを使うことにより、現場での配筋作業・型枠解体作業が軽減できる。

④ 実施した内容が品質を確保できる理由:

地組で配筋できるため、施工精度を高くすることができ、各梁の配筋検査も余裕をもって行え、配筋の品質確保につながる。

2)事例2

① 工種又は部位等

 木工事(内部間仕切り壁下地)

② 合理化を行った目的と実施した内容:

仕上げ工事の工期短縮のため、内部間仕切り壁下地に、パネル枠(壁の長さ、高さに合わせた材木枠内に胴縁を組み込んだもの)を採用した。

③ 実施した内容が合理化に結び付く理由:

工場内生産品の間仕切りを取り付けるだけなので、造作大工の手間が省略_化でき、工期短縮につながる。

④ 実施した内容が品質を確保できる理由:

内部間仕切り壁の品質が均一に保たれ、作業員の技量によるばらつきがなくなるため品質が確保できる。

[ 解説 ]

設問1は工事概要であげた現場で実施した内容を順序にしたがって記述する。また、施工の合理化とは「原価を抑える」「品質を向上させる」「工程を短縮する」「安全性を高める」ために行った施工方法の変更など、施工面での工夫である。今回の問題では、プレカットに関する記述は除くとあるので、合理的な施工方法、ある程度組立てまでされる工場生産品の採用などを記述することが必要である。

2. 上記の工事概要であげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、施工の合理化の方法であって、建設資材廃棄物の縮減に効果があると考えられる施工方法と、それが 効果的であると考える理由を具体的に記述しなさい。
ただし、現在一般的に行われている躯体・仕上げ材料のプレカットに関する記述は除くものと する。また、上記 1.の②「実施した内容」及び③「合理化に結び付く理由」と同じ内容の記述は不可とする。

解答例

①建設資材廃棄物の縮減に効果があると考えられる施工方法:

内装工事の外壁内側の仕上げについて、壁のモルタル塗りを石こうボード直張り工法に変更した。

②効果的であると考える理由:

モルタル塗りと比較して材料の搬入、現地塗りが少なくなり、資材廃棄物の縮減が図られる。また、養生期間が少なく工期短縮に有効であるとともに、砂を現場に入れないため、整然とした作業環境が実現される。

[ 解説 ]

設問2は工事概要であげた現場にかかわらず、自分の考えを記述する。

設問1にある条件「品質を確保できる理由」は求められていないがその代わりに「建設資材廃棄物の縮減に効果がある」といった条件が付いているため、建設廃棄物の発生を抑制できる施工の合理化について記述する必要がある。解答例では、壁のモルタル塗りを石こうボード直張りに変更しているが、工期短縮に効果がある。

平成25年1級建築施工管理技士 実地検定 問題2 解答解説

平成25年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題2

問題2
建築工事において、次の 1.から 3.の仮設物の設置計画に当たり、留意又は検討すべき事項 をそれぞれ 2 つ、具体的に記述しなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、保守点検等設置後の運用管理上の記述は除くもの とする。また、使用資機材に不良品はないものとする。
1. 場内仮設事務所

解答

①事務所本体、外構、埋設設備等の工事に支障のない位置とする。

②出来る限り作業の状況が確認しやすく、また資材の動き、人の動きが見える所とする。

[ 解説 ]

場内仮設事務所の計画での留意事項または検討すべき事項については、以下の①~③等がある。

①設計・工事事務所の現場の出入口に近く、かつ、現場の状況がよく見える位置に計画する。

②設計事務所と工事事務所の位置は、両者の打合せがスムーズにできるよう、近接位置とする。

③仮設事務所の位置は、工事の終了間際まで使用できる位置とする。

2. 場内仮設道路

解答

①仮設道路位置は、ゲートの位置と揚重設備及び資材置場との円滑な動線上に設ける。

②重量車の走行に十分耐えられる道路構造とする。

[ 解説 ]

場内仮設道路の配置計画に当たり、留意事項または検討すべき事項については以下の①~③等がある。

①資機材の運搬車両、工事用機械等、さまざまな用途の車両の通行を考慮し、道路の位置と幅員について検討する。

②地耐力を確認し、機械接地圧と比較検討を行う。なお、地耐力が不足しているときは地盤改良工事を行う。

③杭打機など大型の工事用機械は接地圧が大きいので、整地後に切込砂利を敷き、十分転圧してから鋼板を敷く。

3. 鋼板製仮囲い(ゲート及び通用口を除く。)

解答

①建地や控えが風圧に耐えられる深さまで打ち込まれているかを確認する。

②鋼板が横地材とボルトで緊結されているか、また、建地材の間隔が適切であるかを確認する。

[ 解説 ]

鋼板製仮囲いの配置計画に当たり、留意事項または検討すべき事項については以下の①~③等がある。

①材料は、万能鋼板 H=2m、または H=3mとする。

②仮囲いは、支柱の打込み長さ、斜材の間隔を確認するとともに強風、地震等で倒壊することがないように、十分に安全な構造とする。

③仮囲いは、現場内の落下物等が外部に転がり出ないように、幅木を設置し、すき間のない構造とする。

平成25年1級建築施工管理技士 実地検定 問題3 解答解説

平成25年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題3

問題3
次の 1.から 4.の問いに答えなさい。 ただし、留意事項は、それぞれ異なる内容の記述とし、材料の保管、作業環境(気象条件等)及び作業員の安全に関する記述は除くものとする。
1. 場所打ちコンクリート杭地業(アースドリル工法)のコンクリートの打設における施工上の 留意事項を、2 つ具体的に記述しなさい。
ただし、コンクリートの調合に関する記述は除くものとする。

解答例

場所打ちコンクリート杭地業(アースドリル工法)のコンクリートの打設における施工上の留意事項は以下の①~⑤等がある。この中より2つを簡潔に記述する。

①コンクリートの打込みには、トレミー菅を用いる。

②トレミー菅及びケーシングチューブは、これを引き抜きながらコンクリートの打込みを行う。

③トレミー菅の先端は、コンクリートの中に常時2m以上入っているようにコンクリートを打設する。

④コンクリート打込み時に、その浮力等で鉄筋かごの浮き上がりが生じる場合もあるので、十分注意して押さえながら打設する。

⑤ケーシングチューブを急速に引き抜くと、コンクリートに泥水を巻き込むことになるので、十分注意して押さえながら打設する。

2. 鉄筋工事の鉄筋の組立てにおける施工上の留意事項を、2 つ具体的に記述しなさい。 ただし、鉄筋材料、加工及びガス圧接に関する記述は除くものとする。

解答

鉄筋工事の鉄筋の組立てにおける施工上の留意事項としては、以下の①~⑤等がある。この中の2つを簡潔に記述する。

①加工された鉄筋は、施工図に従って正しい位置に、コンクリートの打込みで移動やひずみが起きないように、間隔を正しく堅固に組み立てる。鉄筋相互の位置の固定は、鉄筋の交点や重ね部分を0.8~0.85mm程度のなまし鉄線で結束する。

②柱・梁主筋と帯筋、あばら筋との結束は、四隅の交点において全数行い、その他の交点において半数以上行う。スラブ、壁では交点の半数以上とする。

③鉄筋相互のあきの最小寸法は次のうち一番大きい数値とする。

・粗骨材の最大寸法の1.25倍

・25mm

・異形鉄筋では呼び名の数値(径が異なる場合は平均値)の1.5倍

・鉄筋の継手長さ、定着長さ、相互のあき寸法が不足しないように組み立てる。

④鉄筋の継手位置は相互にずらして配筋する。

⑤かぶり厚さを確保するため、バーサポート及びスペーサーはコンクリート製または鋼製とする。

3. 型枠工事において、支保工にパイプサポートを使用する場合の施工上の留意事項を、2 つ具体的に記述しなさい。
ただし、パイプサポートに不良品はないものとする。

解答

支保工にパイプサポートを使用する場合の施工上の留意事項としては以下の①〜⑤等がある。この中の2つを簡潔に記述する。

①支柱は垂直に立て、上下階の支柱は平面上の同一の位置とする。

②パイプサポートは3本以上継いではならない。

③パイプサポートを継いで用いるときは、4本以上のボルトまたは専用金具を用いて継ぐ。

④高さが 3.5mを超えるパイプサポートには、高さ2m以内ごとに水平つなぎを2方向に設け、かつ、つなぎの変位を防止する。

⑤支柱の脚部の固定、根がらみの取付け等により、支柱脚部の滑動を防ぐ。


4.
鉄骨工事の建方時における仮ボルトの施工上の留意事項を、2 つ具体的に記述しなさい。
ただし、材料に不良品はないものとする。

解答

鉄骨工事の建方時における仮ボルトの施工上の留意事項としては、以下の①〜④等がある。この中から2つを簡潔に記述する。

①本締め用の高力ボルトを仮ボルトに兼用してはならない。

②仮ボルトの本数と配置は次の通りとする。

・高力ボルト継手(高力ボルト接合)では、中ボルト等を使用してボルト1群に対して 1/3程度かつ2本以上をバランスよく配置して、締め付ける。

・混用継手及び併用継手では、中ボルト等を使用して、ボルト1群に対して1/2程度かつ2本以上をバランスよく配置して、締め付ける。

③溶接継手におけるエレクションピース等に使用する仮ボルトは、高力ボルトを使用して全数締め付ける。

④強風や地震等、想定される外力に対する接合部の応力を計算し、発生応力に必要な数の仮ボルトを用いる。

平成25年1級建築施工管理技士 実地検定 問題4 解答解説

平成25年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題4

問題4
次の 1.から 8.の各記述において、記述ごとの①から③の下線部の語句のうち最も不適当な箇所番号1 つあげ、適当な語句を記入しなさい。
1.密着保護仕様のアスファルト防水において、一般平場部と立上り部又は立下り部で構成する 出隅・入隅は、平場部のルーフィング類の張付けに先立ち、幅① 300 mm 程度の②ストレッチルーフィングの流張りで均等に増張りする。
屋根にプレキャストコンクリート板を使用する場合、プレキャストコンクリート板の継手目地 部は、平場部のルーフィング類の張付けに先立ち、両側のプレキャストコンクリート板に③ 40 mm程度張り掛る幅の②ストレッチルーフィングを用いて、絶縁増張りをする。

解答

 ③ 100

密着保護仕様のアスファルト防水におけるプレキャストコンクリート板の継手目地部は、平場部のルーフィング類の張付けに先立ち、両側のプレキャストコンクリート板に100mm程度張り掛かる幅のストレッチルーフィングを用いて、絶縁_増張りをする。 (JASS8)

2.タイルを壁の下地モルタル面に、改良圧着張り工法にて張り付ける場合、下地に適当な水湿しを 行い、①機械練りした張付けモルタルを②2層塗りし、タイル裏面全体に張付けモルタルを塗り付け、直ちにたたき押えをして張り付ける。一度に張り付ける面積は③m2 以下とする。

解答

 ③ 2

改良圧着張り工法において下地への張付けモルタルの1回の張り付け面積の限度は2m2以下とし、かつ、60分以内に張り終える面積とする。(公共建築工事標準仕様書)

3.内装の床張物下地をセルフレベリング材塗りとする場合、軟度を一定に練り上げたセルフレベ リング材を、レベルに合わせて流し込む。流し込み中は、できる限り通風を①良くして作業を行う。
施工後の養生期間は、常温で7日以上、冬期間は ②14 日以上とし、施工場所の気温が③°C以下の場合は施工しない。

解答

 ① なくして

セルフレベリング材が硬化する前に風が当たると、表層部分だけが動いて硬化後にしわが発生する場合がある。したがって、流し込み作業中はできる限り通風をなくして、施工後もセルフレベリング材が硬化するまでは、はなはだしい通風は避ける。(建築工事監理指針)

4.長尺金属板葺の下葺のアスファルトルーフィングは、軒先と①平行に敷き込み、軒先から順次棟へ向かって張り、隣接するルーフィングとの重ね幅は、短辺部は 200 mm 以上、長辺部は 100 mm以上とする。
金属板を折曲げ加工する場合、塗装又はめっき及び地肌にき裂が生じないよう切れ目を②入れて折り曲げる。金属板を小はぜ掛けとする場合は、はぜの折返し寸法と角度に注意し、小はぜ内に 3~6mm 程度のすき間を設けて③毛細管現象による雨水の浸入を防ぐようにする。

解答

 ②入れずに

長尺金属板を現場等で折り曲げる場合は、地肌に亀裂が生じないように十分曲げ半径を取り、切れ目を入れずに塗装、めっきを行う。(建築工事監理指針)

5.構造ガスケット構法によるガラスのはめ込みにおいて、ガラスの①クリアランスが大きくなるとガラスの②かかり代が小さくなり、風圧を受けたときの構造ガスケットのリップのころびが大きくなるので、③止水性の低下や、ガラスが外れたりガスケットがアンカー溝又は金属枠から外れたりするおそれがある。

解答

 ①エッジ

構造ガスケット構法において、エッジクリアランスが大きくなると、ガラスのかかり代が小さくなる。(JASS17)

6.せっこうボードのせっこう系直張り用接着材による直張り工法において、直張り用接着材は、①時間程度で使いきれる量をたれない程度のかたさに水と練り合わせ、ボードの仕上がり面の高さの②倍程度の高さにダンゴ状に盛り上げる。ボードの張付けにおいては、ボード圧着の際、ボード下端と床面との間を③10 mm 程度浮かした状態で圧着し、さらに調整定規でたたきながら、所定の仕上げ面が得られるように張り付ける。

解答

 ① 1

接着材の一度に練る量は1時間以内に使い切れる量とする。(建築工事監理指針)

7.内壁を内装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材仕上げとする場合、下地のセメントモルタル面を①金ごて又は木ごて仕上げとする。
吹付け塗りとするときは、下地面に対して直角に吹き付けられるように、スプレーガンのノズルは、 やや②下向きに保ち、一様に吹き付け、主材2回塗りとする場合の工程内間隔時間は、③時間以上とする。

解答

 ② 上向き

内壁を内装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材(内装薄塗材E)仕上げとする場合、下地のセメントモルタル面を金ごてまたは木ごて仕上げとする。吹付け塗りの操作の基本は、スプレーガンのノズルを下地に対し直角よりやや上向きに保つことが重要である。(JASS23)

8.ALC外壁パネルを横張りで取り付ける場合、通常、パネル積上げ段数①段以下ごとにパネル質量を支持する自重受け鋼材を設ける。また、自重受け鋼材を設けた②横目地には、③伸縮目地を設ける。

解答

 ① 5

横張りの場合は、パネル積み上げ段数5段以下ごとにパネル自重を受け、パネル重量が下層のパネルに伝達しないように10〜20mmの伸縮調整目地を設ける。(JASS21)

平成25年1級建築施工管理技士 実地検定 問題5 解答解説

平成25年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題5

問題5
市街地での事務所ビルの建設工事における右に示す工程表に関し、次の問いに答えなさい。 なお、解答の旬日は、上旬、中旬、下旬で記述しなさい。
[ 工事概要 ]
構造・規模:鉄筋コンクリート造地下1階、
地上6階、塔屋1階、
延べ面積 3,000 m2 とする。
地 業:アースドリル杭とする。

山 留 め:
親杭横矢板・水平切梁工法で外部型枠兼用とし、
親杭は引き抜かないものとする。
外壁仕上:コンクリート打ち放しの上、
複層仕上塗材吹付け仕上げとし、
アルミニウム製の横連窓建具とする。

屋上防水:アスファルト防水の上、
保護コンクリート仕上げとする。

1.表中の土工事のA及び杭地業工事のBに該当する作業名をあげなさい。

解答

 A:切梁架け

 B:杭頭処理

(解説)

Aについて(土工事)

地下掘削の段取りとしては、1次根切りを開始した後、乗入構台を組み立て、乗入構台を利用して腹起し、切梁を架け、2次掘削へと進めていく。Aは1次根切りと2次根切りの間にある土工事ということから「切梁架け」である。

Bについて(杭地業工事)

地下躯体構築の段取りとしては、2次根切り終了後、杭頭処理をしないと、基礎耐圧盤の工事が開始できない。Bは杭地業工事の最終の作業ということで、「杭頭処理」である。

2.作業の終了日が工程上最も不適当な作業名を表の中より選び、適当な工程となるようその終了日を月次と旬日で定めなさい。

解答

最も不適当な作業名及び終了日

 作業名:外壁シーリング

 適当な工程となる終了日:

  9月中旬(または下旬)

(解説)

外壁が吹付けの場合の外装工事の段取りとしては、躯体工事が終了した階から、外部建具工事 → 外壁シーリング → 吹付けの順に行われるため、「外壁シーリング」の終了日は外部建具取付け終了後、複層仕上塗材吹付け終了前となる。したがって、外壁シーリングが不適当な作業でその終了日としては「9月中旬」または「9月下旬」が最も適当である。

3.金属製建具工事の内部建具取付け作業の工程は未記入となっている。適当な工程となるように内部建具取付け作業の開始日及び終了日の期日を月次と旬日で定めなさい。

解答

開始日及び終了日

 開始日:8月中旬(または下旬)

 終了日:10月上旬(または中旬)

(解説)

内部建具取付けは内部建具枠の取付けと建具まで含めた取付けが考えられるが、過去の問題として出題されているのは建具枠の取付けのタイミングで工程が書かれているので、建具枠の取付けと考えられる。建具枠は、壁軽量鉄骨下地組みを終了した箇所でないと、取付けることができないため、開始日は8月中旬以降となる。また、建具枠を取付けた部分から壁ボードを張っていくことを考えると8月下旬には開始する必要があるので、開始日は8月中旬から下旬が適当である。また終了日については、天井・壁軽量鉄骨下地組みのうち、壁軽量鉄骨下地組みが天井より早く終了する場合を考えても、終了日は10月上旬以降となる。したがって、「開始日は8月中旬または下旬」「終了日は10月上旬または中旬」が適当である。

平成25年1級建築施工管理技士 実地検定 問題6 解答解説

平成25年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題6

問題6
次の 1.から 3.の問いに答えなさい。
1.「建設業法」に基づく特定建設業者の下請代金の支払期日等に関する次の文章において、[  ] に当てはまる語句を記入しなさい。
特定建設業者が [ ① ] となった下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者又は資本金額が 4,000万円以上の法人であるものを除く。)における下請代金の支払期日は、下請負人からその請け負った建設工事の完成した旨の通知を受け、検査によって建設工事の完成を確認した後、 下請負人が当該建設工事の引渡しを申し出た日(下請契約において定められた工事完成の時期から 20 日を経過した日以前の一定の日に引渡しを受ける旨の特約がされている場合にあっては、その 一定の日。)から起算して[ ② ] 日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内において定められなければならない。

解答

(解答)

 ①注文者 ② 50

(解説)

「建設業法」第24条の5第1項

(特定建設業者の下請代金の支払期日等)

特定建設業者が注文者となった下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者または資本金額が4000万円以上の法人であるものを除く。)における下請代金の支払期日は、下請負人からその請け負った建設工事の完成した旨の通知を受け、検査によって建設工事の完成を確認した後、下請負人が当該建設工事の引渡しを申し出た日(下請契約において定められた工事完成の時期から20日を経過した_日以前の一定の日に引渡しを受ける旨の特約がされいる場合にあっては、その一定の日)から起算して50日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内おいて定められなければならない。

2_.「建築基準法施行令」に基づく落下物に対する防護に関する次の文章において、[  ] に当てはまる語句を記入しなさい。
建築工事を行なう場合において、建築のための工事をする部分が工事現場の境界線から水平距離が 5m 以内で、かつ、地盤面から高さが [ ③ ] m 以上にあるとき、その他はつり、除却、外壁の修繕等に伴う落下物によって工事現場の周辺に危害を生ずるおそれがあるときは、国土交通大臣の定める基準に従って、工事現場の周囲その他危害防止上必要な部分を鉄網又は [ ④ ] でおおう等落下物による危害を防止するための措置を講じなければならない。

解答

(解答)

 ③7   ④帆布

(解説)

「建築基準法施行令」第136条の5第2項

(落下物に対する防護)

建築工事等を行う場合において、建築のための工事をする部分が工事現場の境界線から水平距離が5m以内で、かつ、地盤面からからの高さが7m以上にあるとき、その他はつり、除却、外壁の修繕等に伴う落下物によって工事現場の周辺に危害を生ずるおそれがあるときは、国土交通大臣の定める基準に従って、工事現場の周囲その他危害防止上必要な鉄鋼または帆布でおおう等落下物による危害を防止するための措置を講じなければならない。

3.「労働安全衛生法」に基づく労働者の就労に当たっての措置に関する次の文章において、[  ] に当てはまる語句を記入しなさい。
建設業に該当する事業者は、その事業場に新たにつくことになった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対して、次の事項について厚生労働省令で定め るところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
1.作業方法の決定及び労働者の [ _⑤ ] に関すること。
2.労働者に対する指導又は監督の方法に関すること。
3.1及び2に掲げるもののほか、 [ ⑥ ] を防止するため必要な事項で、厚生労働省令で定めるもの。

解答

(解答)

 ⑤配置  ⑥労働災害

(解説)

「労働安全衛生法」第60条

(安全衛生教育)

建設業に該当する事業者は、その事業場に新たにつくることになった職長その他の作業中の労働者を直接指導または監督する者(作業主任者を除く。)に対して、次の事項について厚生労働省令で定めるところにより、安全または衛生のための教育を行わなけらばならない。

1.作業方法の決定及び労働者の配置に関すること。

2.労働者に対する指導または監督の方法に関すること。

3.前2号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な事項で、厚生労働省令で定めるもの。

22章 舗装工事 1節 共通事項

建築工事監理指針 22章 舗装工事

1節 共通事項
22.1.1 一般事項
(1) 「標仕」に定められている舗装は、建築物の周囲等に施工される、いわゆる構内舗装を対象としており、一般道路のような舗装は対象としていない。したがって、舗装厚、材質、締固めの程度等は、一般道路の仕様とは異なり構内舗装に適したものとなっている。
(2) 構内舗装に関しては、国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課監修「構内舗装・排水設計基準及び参考質料 平成31年版」がある。
(3) 通常用いられる舗装の種類は次のとおりである。
(ア) アスファルト舗装
路盤及び加熱アスファルト舗装の表層又は表層と基層で構成されるたわみ性舗装で、交通荷重を路床土の有する許容応力以下に分散する。加熱式アスファルト混合物の代わりに、石油アスファルト乳剤やカットバックアスファルトをバインダとした常温式アスファルト混合物もあるが、耐久性の点で加熱式より劣るため、通常は加熱式アスファルト混合物を使用する。
(イ) コンクリート舗装
路盤及びコンクリート版により構成される剛性舗装で、交通荷重をコンクリート版の曲げ強度で支える構造となっている。
(ウ) その他の舗装
舗装の表面の材料が異なるものとして、ブロック系舗装がある。また、(ア) 及び(イ) に特別な機能を付加したものとしてカラー舗装、透水性アスファルト舗装及び排水性アスファルト舗装があり、材料と施工方法を変えたものとして転圧コンクリート舗装がある。
(4) 施工計画書の記載事項は、概ね次のとおりである。
なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。
① 工程表(着工、他工事との関連、完成、試験の時期)
② 施工業者名及び作業の管理組織
舗装の構造
使用材料の品質、製造所名及び使用箇所
配合計画書
⑥ 目地割り及び目地の構造
⑦ 路床の不良土及び障害物の処置
⑧ 建設発生土の処分方法
締固めの方法、管理の方法
舗設の工法
⑪ 養生の方法
試験の要領
作業のフロー、管理の項目・水準・方法、品質管理体制・管理責任者、品質記録文書の書式とその管理方法等
22.1.2 基本要求品質
(1) アスファルト舗装の場合は、通常路床上に路盤・表層の順で構成され、コンクリー卜舗装の場合は、路床上に路盤・コンクリート版の順で構成される。
なお、路床が軟弱な場合には、路床の改良を施すことがある。また、寒冷地では凍上による舗装の破損を防ぐため、水はけの良い材料で凍上抑制層を設ける場合もある(図22.1.1参照)。
これらに用いる材料については、「標仕」の各節で、JIS等による品質規格が定められているので、この規格に適合する材料を用いる。
基本要求品質としては、定められた材料が正しく使用されていることを求めているため、そのことを完成時にJIS等に基づく試験成績書等で証明できるようにしておく必要がある。
 図22.1.1_舗装構成と各層の名称(アスファルト舗装).jpeg
 図22.1.1_舗装構成と各層の名称(コンクリート舗装).jpeg
図22.1.1 舗装構成と各層の名称( () は必要に応じて採択する)
(2) 「標仕」では、仕上りの状態は、形状及び寸法を「所定」のものとし、仕上り面の状態を「所要」のものとしている。
形状及び寸法については、設計図書で指定され、その許容差は「標仕」の各節で規定している。また、仕上り面については、設計高さとの許容差を定めるとともに、平たん性を定性的に規定している。
舗装の平たん性については、目視により歩行に支障がなく、段差や著しい不陸がないことや、通行の支障となるような水たまりがないことを散水や降雨時を利用して、確認する。また、ブロック系舗装の場合については、22.8.5を参考に、品質計画で平たん性の管理方法等を明確にしておくとよい。
(3)「標仕」では、舗装各層の性能については、定められた材料を用いて「所定のとおり締め固められ、耐荷重性を有すること」と規定している。また、路床や路盤の締固めについては、土質や路盤材料並びに締固め機械の種類等に対応して、締固めに適した含水状態で施工するよう定めている。
アスファルト舗装については、アスファルト混合物等の配合設計を行い、原則として、使用するアスファルト混合物の製造所において試験練りや試験施工を行って現場配合を決定するとしており、石油アスファルト乳剤の使用量や、アスファルト混合物の敷均し時の温度等についても規定されている。さらに、路盤や舗装等について、施工後の締固め度の試験についても規定している。
これらに関して、当該現場での具体的な施工の方法並びに管理の方法等について施工計画書(品質計画)で定め、これに基づき品質管理を行わせるとともに、その記録等により、施工が適切に行われ、品質管理の結果が適正であることが分かれば、その工事は「耐荷重性」を有すると見なすことができる。
ただし、現場の地盤の状況等が設計時の想定と異なり、設計図書のとおりに施工すると「耐荷重性」の確保が困難であると予想される場合には、設計担当者と打ち合わせ、「標仕」1.1.8の規定による協議を行う必要がある。
22.1.3 再生材
(1) 再生材は、コンクリート構造物の解体工事や舗装の補修工事からの発生材をリサイクルして利用するものであり、大別して再生加熱アスファルト混合物と再生路盤材に分かれる。いずれの再生材も適切な品質管理のもとで製造されることにより、新規材料と同等の性能を有するので、資源の有効利用や環境保全の観点から積極的な利用が望まれる。
(2) 「標仕」22.1.3では、各節に規定されている材料中に再生材が含まれている場合には、再生材を使用すると規定している。ただし、再生材の供給状況等により、再生材の使用が困難な場合には、監督職員との協議により、再生材以外の材料を使用することができる。