実践1 コンクリート工事1

1級建築施工管理技士 実戦 コンクリート工事1

どうしたらコンクリートの調合ミス・発注ミスを防げるか?

コンクリートの調合ミスや発注ミスは、建物の構造強度や品質に大きく関係する。
昨今、経済性を過度に追求するあまり、同じ建物で細かく強度を変えた設計が見受けられる。
これは事前にチェックを受けることによってミスを防止できる。そのためには、図面を確認できる力が必要である。
施工時期によっては温度補正値の調整が加わるため施工部位によってはスランプを変える必要が生じ、最終的な調合パターン数はかけ算的に増えていく。
同じ現場で十数種類の調合計画を行うケースが発生することもある。
こうなると、人手不足の現場では手が回らなくなり自然に難題から遠ざかりがちになり、ひいては、調合ミス・発注ミスにつながる。
この場合、手がまわらないので、現場担当者は、資格をもったコンクリート主任技士によって、調合計画、施工計画、発注管理、受け入れ管理、施工管理を支援してもらう必要がある。
とはいえ、施工管理者自身もコンクリートに対して日頃の勉強を怠ってよいことではない。
コンクリートの誤発注は日常的に起こりうるミスであるが、施工管理技術者が適切な管理ポイントを押さえ、十分な管理体制で臨む必要がある。


いかに丈夫なコンクリートを作るか

コンクリートのクレームの中で最も多いのは、ひび割れに関するものである。

これは、ほとんどの建設会社の補償工事の中で同様に見受けられる。
コンクリートがセメント水和反応の過程で硬化し収縮することはさけられない
収縮と同時にコンクリートにひび割れが発生する。
近年は建築施工技術の進歩により、コンクリートの収縮によるひび割れ防止には種々の対策がとられるようになった。

(例)
①鉄筋による補強
②水セメント比を下げた硬練りコンクリートの採用
③収縮の少ない中庸熱ポルトランドセメントを使用したコンクリートの使用
④フライアッシュを混入する方法
⑤膨張材を入れて収縮を防ぐ方法
⑥ひび割れを目地によりコントロールする方法
⑦急激な初期乾燥を防ぐための養生により収縮を分散させる方法
⑧硬化に必要な水以外の不要な水を真空装置で吸い取る方法など


いかに適正な材料を選ぶか

2008年関東地区で、すでに完成後の某マンション工事の際、コンクリートのアルカリ骨材反応による自然爆裂が発生し、大きな問題になった。
その原因は、コンクリートの骨材の中に膨張性のある骨材が混じったことによるものであった。

建物が完成後もしくは完成間近にこのような自然由来の問題が発生すると、建設会社にとって大きな損失となる。

骨材に関して塩分も大きな被害になることがあるが、コンクリートの品質的な部分を分業化して、アウトソーシングしたとしても、建設会社はその最終責任を免がれることはできない。

それらの事故を分析すると、現場担当者にとって骨材の品質管理がいかに重要な事項か認識できる。

製造プラントと連携して骨材を選定し、その品質を十分確認することは建設施工管理者の重要な役割である。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 仮設備

2-2.仮設備

1)仮設備の安全確保

建築工事における災害は、墜落によるものが圧倒的である。建築工事における事故のパレート図では、建築工事の約70%を墜落災害が占めていることを示している。したがって、墜落災害を防止することが最も重要である。

建築工事災害パレート図.jpg

墜落の原因の1位~10位までのは表のとおりである。
これらを参考にして記述する。

墜落災害ベスト10.jpg

2)仮設備の具体的な安全処置

◆墜落災害防止の具体的な処置

①高さ2m以上の作業床には、高さ75㎝以上の手すりと幅木を設ける。

②組立解体時の足場板は、3点支持とし、端部のはね出し10㎝以上20㎝以下とする。

③手すりがないときは、防網を張り、安全帯を用いて施工させる。

④足場の組立・解体には高さ5m以上で作業主任者を選任し、高さ5m未満のときは作業指揮者を選任して組立・解体をする。

◆ 飛来・落下災害防止の具体的な処置

①足場に養生シートやネットをすき間なく張る。

②外部足場に、高さ5m以内に防護棚を設ける。

③上下作業を禁止する。

④悪天候時は作業を中止する。

◆ 建設機械による災害防止の具体的な処置

①作業範囲の立入禁止措置をする。

②建設機械の始業点検を確実に行う。

③主たる用途外の使用を行わせない。

④運転者の資格の有無を免許証などで確認する。

◆ 足場・型枠倒壊災害防止の具体的な処置

①足場の建地間隔、足場の材料の強度など安定計算で確認する。

②地盤の不同沈下を防止するため、敷板または敷角を用いる。

③支柱の継手は、差込みまたは突合せとする。

④パイプサポートは3本以上継いで用いない。

3)仮設備の具体的な工程上の制約条件

仮設備は、工程の初期から最後まで設置しておくもので、施工計画時に各工程をよく検討して、途中、仮設備が工事の進捗の妨げとならないように材料置場、揚重機、運搬車の走行路、管理事務の効率化など、仮設物の配置により工事工程を大きく左右する。

このため、工程全体からみた仮設の配置やその寸法を、動線の確保などの制約条件を考慮して定める。

◆ 合理的な工程管理を満足する仮設備の具体的な配置

①事前に現場の地盤改良をするなどして、現場内通路を確保し、動線を考慮した仮設建築物の配置

②揚重に見合う能力をもつ揚重機械の適正配置

③動線、工程の進捗に適合する電力、水道、ガスなどの配置

④動線を考慮した運搬路の配置

◆ 合理的な工程管理を満足する仮設物の設置

①近隣を考慮した構造を有する安定した仮囲いの設置

②工程を満足する構造をもつ乗入れ構台の設置

③工程を満足する構造をもつ足場の設置

④漏電遮断装置、自動電撃防止装置を有する器械の設置

4)仮設備の具体的な工程上の制約条件

◆ 仮設電力設備の検討事項

①電力の引込み位置を定める。

②現場照明、加工用動力、揚重動力、溶接用電力、試運転調整用電力などの工程別電力の必要量を把握し、適正で合理的な電力計画を立案する。

スタッド溶接では思わぬ電力量が必要であり、注意する必要がある。

③本設電源を試運転調整で利用するときは受電日を定める。

◆ 給排水設備の検討事項

①給排水管の引込みの適正な位置を定める。

②各工程ごとの使用量とその累計から契約給水量を定める。

③現場からの汚水・汚泥の処理施設の配置、規模・構造を定める。

実践2 鉄筋工事1

1級建築施工管理技士 実践 鉄筋工事1

配筋施工図はいかに大切か

最近の施工図では、施工担当者と鉄筋工の職長が加工図を作成することが多い。
しかし、昨今では建物がより複雑になって、高度な設計が行われるため、構造設計図とコンクリート施工図を基に配筋施工図が作成されるようになってきている。

配筋施工図の目的は、
①鉄筋の種別・サイズ
②配筋の間隔
③継ぎ手の位置・長さ
④鉄筋の組立て順序
などを図面に書き出すことによって、その配筋施工図作成中に、前もって問題点をあぶり出し、解決できるところにある。

また、配筋施工図は、加工・現場組立て・検査のためのバイブルとなる。

それは各工事の鉄筋職長が作成し、鉄筋加工のための加工帳作成にも利用される。
しかし、配筋施工図を作成しない現場もある。職長が簡単な加工帳しか作成しないので、ミスが起きることがある。

例えば、サイズや間隔の見間違いなど。

配筋施工図の間違いは重大な品質ミスになりやすいので、設計者との間で相互チェックなどを行い、駄目出しをしておくことが大切である。

いかにして図面の読み間違いをなくすか

経験的に、鉄筋工事の間違いを防ぐ手段の中で「周知徹底会」がもっとも効果がある。

構造設計者・建築施工管理者・施工業者にて、工事が始まる前に設計者の意図するところ、注意する点などに対して構造設計担当者に立会いを依頼して、
説明を受ける「周知徹底会」を実施し、関係者の意思統一を図ることが望ましい。

どのようにして鋼種の間違いをなくすか

建物の高層化に伴い、RCの設計技術も進歩し、30階や50階建ての高層集合住宅でもRCで設計することが増えている。そこではコンクリート強度だけでなく、鉄筋においても高強度の鉄筋が使用され、一つの工事現場の中に、さまざまな鋼材種別の鉄筋が使用されるようになってきいる。

鋼材種別を間違わないで施工管理するにはどうしたらよいか?
それらは、超高層RC集合住宅の現場で新たな課題となっている。

鉄筋施工を専門業者に任せて管理していたのでは、加工場や現場で鋼種のとり違いミスを完全には防げない。

対策として重要なものを上げてみる。

①鋼材の種類の色分け図面を作成し、鉄筋設計の見える化を図り、関係者に徹底する。

②発注段階での鋼種間違いを防ぐには、職長の作成する注文リストのダブルチェックを行う。

③加工場ではほかの工事の鉄筋と材料が混じる心配がある。見た目ではほとんどわからない鉄筋構種の判別の間違いは、加工、積込み段階でまれに起こる可能性がある。
したがって、最初の関門は加工場での送出し検査である。

④更に現場では、加工した材料が入ってくるので、疑うこともなくそのまま組み立ててしまう。配筋検査はコンクリート打設前に検査するが、ミスを発見できない場合もある。
また、その時点での発見ではすでに遅い。
したがって、現場での材料受入れ検査が次の関門となる。

鋼種間違いはあってはならない間違いである。

鋼種が異なると、建物の強度や品質に直接影響するため、再施工の選択肢しか残らない。
したがって、最後の関門はコンクリート打設前の配筋検査となるので、余裕をもった検査時間を確保する必要がある。

建築設計施工管理者は着工前に設計者とよく打ち合わせを行い、構造的にどのような特徴をもった設計であるかをよく理解して、使用材料の鋼材種類の変わり目を確認してから、工事を進めることがきわめて大切である。

このことはコンクリートについても同様である。

コンクリートをハツらなければならない場合

鉄筋工事のミスでもっとも多いのが、差し筋にかかわるものである。

以前では、設計者の了解のもとで、比較的容易に、ケミカルアンカーや
樹脂モルタルグラウト鉄筋で対応できたが、2005年の法改正以後はこのようなミスも厳格に取り扱われるようになって、容易な処理ができなくなった。
なので、コンクリート打設前の配筋検査は今まで以上に重要になってきている。

一方で、どんなに検査を厳しくしても、うっかりミスは発生する。

差し筋忘れや差し筋のずれなどを未然に防止する対策は、差し筋図を作成することが有効である。配筋検査野帳とは別に、差し筋の必要な箇所を洗い出して作成し、その差し筋図により重点的にチェックを行う。

その他、施工時に見落としそうなミスについては、それを予想して、設計者や監理者を交えて「周知徹底会」により、注意喚起を行うことが必要である。

1級建築施工管理技士 二次検定 施工経験記述

1°. 問題1の書き方と留意点

問題1の書き方は全く変動がないので、次の事項を準備すればよい。

① 工事名 ◯◯◯◯ 新築工事

【 留意点 】
正式名称を示すので、新築工事または改修工事なのか明示する。(或いは、増築工事等)

② 工事場所 ◯◯◯県△△市・・・

【 留意点 】
都道府県から番地まで正確に記載する。

③ 工事内容
共同住宅、鉄筋コンクリート造、
地下1階、地上5階建、
建築面積 500m2、延床面積 2,500m2
外装タイル張り仕上げ

【 留意点 】
( a ) 建物の用途
( b ) 構造形式
( c ) 規模
( d ) 外装仕上げ
改修の場合は、
( c ) に改修規模、
( d ) に改修外装仕上げを示す。
(具体的数値で示す。)

④ 工 期
平成27年 1月 〜 平成28年 10月

【 留意点 】
工期は完了したものを月数まで明示する。
(工事中のものは不可。)
規模と相応しない工期の場合は、その理由を記載する。

⑤ あなたの立場及び具体的な業務内容
現場主任
・機械の発注と納入の確認
・各品質試験の立会確認
・日、週、月ごとの工程進捗の確認と工程調整
・仮設物の点検・維持管理
・発注者との連絡・調整

【 留意点 】
立 場:
工事における指導監理する立場のものであり、現場代理人、現場監督、主任技術者または、発注者側の監督員、設計監理等を明示する。

業 務:
安全、品質、工程、原価の各面から考え、連絡・調整役としての業務を具体的に示す。

平成29年度 施工経験記述 問題1

2°. 問題1の1、2及び問題2の書き方

①出題の分析と考え方
この部分は合否の鍵を握る部分である。まず、過去10年間の出題の傾向をみてみると、下記のように分類される。問題1の1、2及び問題2とは同じ経験論文と考えて整理しておく。

仮設備          (23回)
a :仮設備の安全確保   (14回)
b :合理化を考慮した仮設備( 7回)
c :仮設電力・給排水の計画( 2回)

環境保全         ( 9回)
a :公衆災害防止     ( 2回)
b :建設副産物取扱い   ( 4回)
c :環境負荷低減方法   ( 3回)

施工管理         (13回)
a :かしの部位と防止   ( 2回)
b :品質管理留意点    ( 4回)
c :安全管理留意点    ( 1回)
d :施工の合理化     ( 6回)

出題内容の文章を分析すると上記のとおりになるが、見方を変えると施工計画における①仮設備であり、施工計画における②環境保全であり、施工計画としての③施工管理である。

したがって、1級建築施工管理技士の実地試験は、施工を行う前に考慮すべき事項についての知識と記述力が問われているのである。つまり、実践においては、綿密な施工計画の立案を行いって施工計画書を作成し、その通りに実行する技術力である。その施工計画書が設計監理者の承認を得ていることは言うまでもない。

そのため、学科試験で学習した整理の方法と同じまとめ方をするのが、整理がついて理解しやすい。
また、実践へも展開しやすい。
特に仮設備は安全管理そのものであるため、注意してまとめる必要がある。

実践3 鉄筋工事2

1級建築施工管理技士 実戦 鉄筋工事2

新規入場教育でヒューマンエラーの予知能力の再教育

鉄筋工事でヒューマンエラーを防ぐには、仕組みと手順を決めて、それを守ることが大切である。
現場で最初に行うことは、現場マンによる職長と作業員の入場教育である。現場で準備作成した資料を活用する。
例えば、

①鋼材の色分け図
②配筋施工図
③配筋検査の仕組み
④スペーサー一覧表

などの鉄筋工事の基本的事項やルールの導入教育を実施して、目線合わせをすることは大いに役立つ。
鉄筋工によっては、経験者の慣れや若手作業員の知識不足などがミスにつながる。
したがって、新規入場者教育でヒューマンエラーの予知能力を再教育することは
大きな効果が期待できる。
次に重要なのは材料の受入れ検査である。
多くの建設現場ではこの材料の受け入れ検査を実施せず、下請け任せにしている傾向が強い。
しかし、市街地での建設工事の多くは、郊外の加工センターで鉄筋の切断加工をすることが多いが、その加工場でミスが起きる可能性が高い。
加工場では、材料がほかの作業所のものと混ざったり、鋼種をとり違えたりすることがある。
その間違いを発見できる最初の検査が、現場での受入れ検査なのである。
加工場が作成した加工明細書と入荷材料が、現場で作成した鋼材の色分け図と
同じであるかどうかを、現場での材料の受け入れ検査で必ず確認するようにしたい。
この検査を省いては現場搬入までに起きるミスは防げない。

差し筋施工図の必要性

配筋のミスは、チェックリストを使用した配筋検査で防ぐのが一般的である。
そのチェックは、以下に示すように
現場では配筋検査は何度も行われている。

①職長による検査
②現場監督による検査
③本社の品質管理部門による指定検査
④設計者や建築主の監理部門による検査
⑤建築主の代行者による指定検査

など
しかし、これらの何重もの検査があっても、なおそれらをすり抜けて発生するミスがある。
その中でもっとも多いのが差し筋である。それを防ぐために有効なのは、差し筋施工図の作成とそれを利用した管理と検査である。

現場施工管理者による差し筋施工図の作成は多くの効果があるので、実践していきたい。
①設計図齟齬の発見
②後打ち躯体の確認
③スラブ段差と勾配の確認
④差し筋材料の手配
⑤差し筋作業時間の確保
など

配筋施工図のミス防止と構造アンカーの開発と設計図への記載

鉄筋専門業者で作成される配筋施工図は、きわめて大切になってきているが、また、今まで建築現場で便利に採用されていた機械式構造アンカーの使用が難しくなってきている。

今後は設計変更に対する策として、機械式構造アンカー工法を設計図に記載しておくべきである。

機械式鉄筋定着工法は、鉄筋が密集した部分には有効であるが、構造認定取得のものとなるので、認定番号を確認することは極めて重要である。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 解答例①

施工経験記述 解答例①


出題例1

省力化や工期短縮を図るため、施工方法の変更や使用材料の変更による施工の合理化について、あなたが現場で行った事例を3つあげ、それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。

ただし、3つの事例において、②の実施した具体的内容は、それぞれ異なる記述とする。

①工事名、部位名等
②実施した具体的内容
③省力化や工期短縮をなる理由


【 攻略のポイント 】

施工管理技士は、工期確保、品質確保、安全確保、原価確保をする仕事であるから、あらゆる行動が「合理化」につながっているといえる。逆にいえば、考え方を広げれば「施工をうまくやるには」というように考えれば、何を書いても日本語の文章であれば合格点はとれる。

したがって、書くときにはその目的を明確にすることが大切である。工期短縮、品質の向上、安全確保、原価の低減のいずれか1つに絞って書くことである。たてえば、タイル工事で湿式に比較して乾式は「工期の短縮」、「品質の向上」の両方が合理化できるが、記述するときはそのうち主な1点に絞ることが大切である。

【 解答例 】

事例1
①外壁石張り工事
②湿式石張り工事を乾式石張り工事に切替えて施工した。
③躯体工事の遅れで、外壁石張り工事の工期を短縮するため。← 具体的に示す
事例2
①揚重工事
②2台配置の揚荷装置を1台の大型揚重装置に変更した。
③単位時間当たりの揚荷量を増大するため。← 具体的に示す

出題例2

あなたの今日までの工事経験の内容にかかわらず、考えられる施工の合理化について、次の①と②について具体的に記述せよ。

①施工の合理化の具体的内容
②施工の合理化となる理由


【 攻略のポイント 】

建築工事合理化の方策を示すもので、一般に「工期の短縮」、「原価の低減」、「品質の保証」の3つが、建築業界の現代の課題である。

したがって、考える視点を俯瞰地点から客観的にみることが要求されている。最近は、環境保全など社会とのかかわりについての記述が増加している。

建築工事は社会の要求に応じるものでなければならない。監理技術者には、そうした立場での見方が求められている。ここでは。「合理化」の推進を取り上げて記述したが、あくまで自分の体験を示すことが大切で、第三者的な論文であってはならない。

【 解答例 】

①合理化の具体的内容
人件費の高騰や安全性を確保し、かつ生産性を向上させるため、プレハブ化、機械化を推進している。

②施工の合理化となる理由
プレハブ化して吊り込みなどの機械を用いて組み立てることで品質の安定、工程の短縮などの効果があるから。

出題例3

市街地における一般的な事務所ビルの建築において、着工時に仮設電気設備の計画を立てるにあたり、検討すべき主要な事項を3つ具体的に説明せよ。
ただし、申請手続き、届出、費用に関する事項は除く。


【 攻略のポイント 】

仮設電気設備の基本的な考え方は必要にして最小限の大きさとし、工程全体から工程ごとに安全性を考慮して計画する。このうち申請手続き、届出、費用に関する事項を除くと、次のような点を考慮する。

①契約電力量の工程別の規模の検討
②試運転調整用電力・本設電力の切替えの時期の検討
③電力引込み位置と受配電設備の配置の検討
④漏電、電撃防止など電気危険防止の検討
↑ 仮設備では安全は常に考える。


【 解答例 】

①各工程ごとの電気使用用具、動力設備、溶接設備等を考慮し適正な稼働率を乗じて、受電容量を計画する。

②受電設備、配電設備の設置位置は全工程を通じて移設せず配電できる最適なものとして計画する。

③労働者の電気による災害を防止するため、必要により、溶接用電撃男節装置、高圧活線近接作業危険防止等の計画をする。

実践4 型枠工事1

1級建築施工管理技士 実践 型枠工事1

①躯体図(コンクリート施工図)

躯体図は、一般的にはコンクリート施工図、型枠施工図とも呼ばれていて、コンクリートの最終形状を表し、型枠工事の基本となる図面である。
本来は、所長もしくは次席のものが自ら作図して、頭の内部に躯体のおさまりをすみからすみまで入れることが望ましいが、一般的には、専門の作図担当者が作図していることが多い。

躯体図は意匠図、構造図、仕様書、施工計画などから必要情報を抜き出し、
組み合わせて最終形とする。

したがって、
①それぞれの設計図書の齟齬と干渉チェック
②ほかの工事との寸法調整
③施工に必要な情報
も加え、実際現場で施工する各専門業者に、正確な情報を図面にして伝えるなどの重要な意味をもつ。

ゆえに、符号や寸法の間違いは許されず、設計者はもちろん構造や設備のエンジニアにも確認の義務があり、承認の責任がある。
承認後は、各ファブや、サブコンにもこの躯体図が渡され、おのおのの工作図との整合性が図られるため、寸法的な意味合いはきわめて重要で、真の設計図ともいえる。

また、建築施工管理者としては小さい工事であれば、その施工図面の作成を自ら行うことが必要である。

躯体図を自ら作成するためには、意匠図と構造図の整合性を確認し、次に設備図中の躯体取合い部の情報を収集し、把握する。

最近のCADソフトは、手順にのっとってこれらの情報を入力すれば、かなりの部分の作図が自動的に行える。
その作業や設計者との打ち合わせまでも専門のスタッフにすべて任せていては、基本となる各所の寸法が記憶されないために、現場での十分な指導ができない。
したがって、躯体図の作成および設計者との打ち合わせの作業は、きわめて重要な建築施工管理者の仕事なので、常にリーダーシップをとるように心がけ、議事録の把握、躯体図のチェックは建築施工管理者が自ら行うべきである。

材料発注計画

鉄筋コンクリート工事の中で、もっとも工事費の割合が大きく、多くの仮設材料を使用する工事は型枠工事である。
コンクリート工事が終われば、型枠材料は不要になり廃棄される。
したがって自然保護を考え、天然の材料はできるだけ減らし、鋼製型枠の利用を採用することも考える。

型枠工事計画を策定するにあたり、いかにして転用効率を上げ、投入材を減らし、面材の材料選定も吟味し、廃材を出さない方法をとる、ということも大事な視点である。

鋼製型枠、アルミ型枠、表面強化合板などがある。

コンクリート見下げ図の重要性

コンクリートを打設する前の準備として、大切なことに、打設する範囲の「見下げ図」を必ず作成する必要がある。
見下げ図の本来の目的は、コンクリート工事施工の完成形が見えることで、関係者全員に情報の共有ができることである。

その図面には
①差し筋の位置と種類
②床勾配と排水管の位置
③床の段差と逃げ寸法
④コンクリート天端の押さえの種類
などの必要な情報を詳しく記入し、配筋検査の道具としても使用する。

この作業手順による見下げの躯体図作成と確認があって初めて、最終段階でのミスが防げる。
見下げの躯体図は、コンクリート打設当日の作業の指示書としても使用できるので、一石二鳥である。

もし、現場マンが見下げの完成形図の作成に取り組めば、作成中に図面の不整合を発見でき、不具合の未然防止ができる。

例えば、上の階との柱や壁の位置や大きさなどの矛盾があれば、コンクリート打設までに十分修正が可能なのである。

型枠工事期間中、それまで用意周到に準備してきても、最終段階でミスを犯すと、今までのプロセスすべての信用を失う。
それが、コンクリート工事の特徴であり、厳しさである。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 解答例②

施工経験記述 解答例②


出題例4

建築工事において、下記の①~⑤のうち2つを選び、工程を順調に進めるために行った処置又は対策と、それを行った理由を、それぞれ具体的に2つずつ記述せよ。(選択した番号を所定の欄に記入すること)

①足 場

②作業環境

③搬出入

④揚 重

⑤仮設建物


【 攻略のポイント 】

仮設備の計画を、「工程」の観点から見直して工程を円滑に進捗させる仮設備とは、次のような点に留意する。

①仮設備は作業の動線を考慮して計画されているか。

②仮設備は労働者の作業を容易にするため、高さ、幅、照明などを考慮した作業性に支障のない計画となっているか。

③労働者が安心して施工できる構造・規格を有する仮設備となっているか。

④第三者、労働者への災害を防止し、工程を順調に進める仮設備となっているか。

【 解答例 】
①足 場

[ 対処又は対策 ]
移動電線を足場に配線し、ガード付電灯を設置した。

[ 理由 ]
①作業時に必要な照度を確保し、作業効率を向上するため。

②照度の必要な箇所に移動させることで作業性を確保するため。

②作業環境

[ 対処又は対策 ]
仮囲い、防振溝、遮音シートを設置した。

[ 理由 ]
①仮囲いで、現場内立入禁止措置を行い、作業を安全に行うため。

②騒音・振動を低減し、現場環境を保全し円滑に作業を進めるため。

③搬出入

[ 対処又は対策 ]
搬出入口に扉を設け2名の誘導員を設置した。

[ 理由 ]
①交通量を円滑にし、搬出入を容易にし作業量を確保するため。

②歩行者との接触事故を防止し、搬出入を工程通りに行うため。

④揚 重

[ 対処又は対策 ]
動線を考慮して配置を定め、作業能力に余裕のあるものを選定した。

[ 理 由 ]
①動線を考慮して揚重機を配置し、効率的に所定重量を揚重するため。

②揚重運転、玉掛業務を円滑に進捗させるため。

⑤仮設建物

[ 対処又は対策 ]
作業が把握しやすい位置に現場事務所を配置した。

[ 理 由 ]
①動線上の作業を確認し工程との差異を確認するため。

②現場事務所と作業場の連絡を密にし、指示を的確に出すため。

出題例5

建築の仮設工事において、下記の仮設物が設置後に、倒壊、崩壊、転倒することを防止するため、その組立て時に何をどう確認するか、それぞれ2つ具体的に記述せよ。ただし、確認する内容は、それぞれ異なる記述とする。なお、使用資機材に不良品はないものとし、施工計画に誤りはないものとする。

①鋼板製仮囲い(高さ 3mとする)

②乗入れ構台

③傾斜ジブ式クライミングクレーン
(呼称クレーン能力 15 t・mとする)


【 攻略のポイント 】

仮設物の倒壊や崩壊を防止するには、全体を見渡して3つの側面で考える。

①材料・品質の確保と堅固な構造の確保

②組立時の措置

③作業前の点検と補修

(1)仮囲い(高さ3mの鋼板製)
仮囲いは、風に対する耐力で求められる。

①単菅支持柱の根入れを十分深く入れる。

②単菅支持柱を控杭(やらず)とは専用金具で緊結する。

③上下の水平材の単菅は平行となるように単菅支柱と緊結する。

④鋼板は必要量を重ねて単菅に緊結する。等の処置をする。

建築基準法施工令第136条の2の20(仮囲い)には、
高さ1.8m以上の板塀等を用い危害防止するとある。


(2)傾斜ジブ式クライミングクレーン(呼称クレーン能力 15 t・mとする)

①ベース金具上のアンカーボルトが基礎に固定されているか確認する。

②クライミングポスト(柱)の継目の高力ボルトの締付けは十分か確認する。

③クレーンのリミッターが正常に稼動するか点検する。

④吊上げワイヤーの傷み、長さ巻き取り等を確認する。

【 解答例 】
1.鋼板製仮囲い(高さ3m)

①単菅支柱とする鋼管は、風荷重に十分に抵抗できる長さと間隔となるように設置する。

②単菅支柱を支える控杭(やらず)は、十分な根入れとして、控杭の根元には根かせ(控え)で固定する。

2.乗入れ構台

①著しいねじれ、たわみのない部材を組立、細大積載荷重を厳守する。

②組立時には組立図により定められた部材を所定位置に配置する。

3.傾斜ジブ式クライミングクレーン

①アンカーボルトがベース金具を通じて基礎にしっかりと固定されているか確認する。

②クレーンのリミッター(制限装置)が正常に作動するか確認しておく。

出題例6

建築工事において、竣工後又は工事の終了後に発生する恐れのある欠陥(不具合)をなくすため、特に留意した事項2つについて、発生する恐れのある欠陥(不具合)の部位とその状態、及びそれを防止するために行った具体的な処置又は対策を2つ記述せよ。


【 攻略のポイント 】

かしとは工事完了後に発生する欠陥で、かしの発生が生じないように品質を管理しても生じる可能性があり、木造で1年間、木造以外の構造で2年間の間に生じるかしは、請負業者がこれを担保(補修と賠償)しなければならない。と公共工事標準請負契約約款第44条(かし担保)の定められている。
建築工事におけるかしの発生は、各工程ごとに生じる原因があり、それらの部位の状態と、そのかしを防止する施工管理を行う必要がある。

(1)基礎工事のかし
①土工事では、地盤の圧密の発生や締固め不足による地盤沈下の発生

②土留め工事では、土留め材料の撤去の埋戻しの処理の不備による地盤の亀裂の発生

③杭打ち工事では、杭の支持層への貫入不足による構造物の不同沈下の発生

(2)躯体工事のかし
①アルカリ骨材などによる
材料の不適合による部材のひび割れの発生

②コンクリートの施工の不備による漏水の発生

③鉄筋の配置の不備による
構造耐力低下に伴う、たわみ量の増大

④鉄骨とアンカーとの接合不良、部材接合の不完全
に伴う振動の発生やたわみ量の増大

(3)仕上げ工事のかし
①防水工事の不備による漏水

②タイル接着の不備によるはがれ

③床面の仕上げ不良による床面傾斜

以上のように施工の品質管理が不十分な箇所に、かしはどこにでも生じるおそれがある。

ここでは、躯体と仕上げについて2つを取り上げる。
【 解答例 】

[ 部位 ]コンクリート壁面

[ 状態 ]亀甲状の無数のひび割れ

[ 具体的な処置及び対策 ]
アルカリ骨材反応を抑制する混合セメントを使用する。

【 解答例 】

[ 部位 ]天井

[ 状態 ]天井からの水滴の落下

[ 具体的な処置及び対策 ]
パラペット立上りを十分に防水し、下地の安定を確認した防水を行う。

実践5 型枠工事2

1級建築施工管理技士 実践5 型枠工事2


杉板の本実工法

打放し型枠工法には、ベニヤ合板と本実板とがあるが、杉板の本実型枠コンクリート打放し仕上げは、もっとも管理が難しい型枠工法の一つである。
コンクリート壁の型枠として杉板もしくは檜板を使用するので、木目をコンクリートに転写させるための工夫を求められる。
また、杉板の選定・前処理・加工・建込み方・打設時の技量など、もっとも高い技術が要求される。特に、杉板は自然素材であるため、木材がもつ性質やアクがコンクリートに影響しないように、入念な準備と選定が要求される。
更に、コンクリート打設までに雨などで濡らさないように、施工時期と雨養生に特に注意を払う必要がある。

①杉(檜)材面材の選定とコンクリートの調合

現場マンにとって、型枠工事の担当をすることは、最高の学びの機会である。
鉄筋コンクリート工事と型枠工事は、もっとも関係が深く、型枠工事を語らずして、コンクリート工事は語れない。
その中でも、杉板本実型枠コンクリート打放し仕上げは、もっとも高い技量を要する。
工法の成功のためにもっとも大切なことは、施工計画をきちんと立案することであり、そのためには必要な調査を含めて関係者との打合わせ・施工方法の確認などの調査を十分に行い、自分なりに大切な管理ポイントを把握することが大切である。
杉(檜)面材は、赤身の強い部分は使用せず、十分な自然乾燥をしたものを選ぶ。
そして、石灰水によるアク出しを行うことで、コンクリートの凝結に配慮する。
コンクリートの調合は試験練りを行って決定するが、充填性を考慮すれば、スランプは18~21㎝が望ましい。
セメントを指定される場合があるが、その際には、今までの実績と問題点をあらかじめ調査しておく。

美しい転写とシャープな感じを出すための工夫

杉板の本実型枠コンクリート打放しの狙いは、コーティングしたベニヤ板の時と比べて、杉の木目がコンクリートに転写することで、木目の柔らかな表情を醸し出すところにある。
したがって、木目の転写が美しくきれいに仕上がるには、「コンクリートの凝結水を逃がさない」ことが、もっとも大切である。

そのためには、まず十分乾燥した材料を使用し、木材のねじれを防止する。

更に、出隅、入隅のコーナー部や型枠の足元から凝結水が逃げ出さないように留意する。

特に足元は濡れやすいので、隙間にはテープなどを張って凝結水の流出防止に努める。
その他、型枠工事作業では、施工要領書に沿った、型枠大工の注意深い施工も求められる。
そして、コンクリート打設においては、コールドジョイントを作らないような打設順序が大切であり、コンクリートが十分鉄筋と型枠の間に回るように、必要以上のかぶりを確保することが大切である。

杉板本実コンクリートの型枠の脱型時期は、木目を美しくコンクリートに転写させるために、通常より長めにとる。

何日間型枠を存置させるかは、JASS-5の規定に加えて決定する必要がある。
シーズンによって異なるが、夏場では5日、冬場では7日以上を確保したい。

いずれにしても、施工計画書に基づき、実物材のモックアップを実施し、打上がりの色や転写の具合、そしてエッジの出来上がりと型枠存置期間の関係などを確認し、「計画書の修正」を行うなど用意周到に行うことが望ましい。

きれいな素肌を長く維持するための対策

打放しコンクリート表面に塗布する浸透性吸水材には、コンクリートの中性化を抑制し、表面の吸水を抑えてカビの発生を遅らせる効果がある。
コンクリートは、アルカリ性であるが、内部の鉄筋が長期間の空気にさらされ、コンクリートの中性化が進み、その結果、内部の鉄筋が錆びるようになってくる。
その錆でコンクリートが爆裂し、躯体の強度が弱くなり建物全体の寿命が短くなる。といった中性化の問題がある。

浸透性吸水材には、その中性化を遅らせるねらいがある。
打放しコンクリート表面に塗布する浸透性吸水材には、いくつかの種類があるが、それぞれ耐用年数と値段の関係で大別する。

①シリコン系の浸透性吸水防止材:耐用年数は5年程度
②アクリルシリコン系の浸透性吸水防止材:耐用年数は10年程度
③フッ素系の浸透性吸水防止材:耐用年数は10〜15年程度

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 解答例③

施工経験記述 解答例③


出題例7

次にあげる6種類の労働災害の中から1つを選び、それを防止するための具体的な処置又は対策4つ記述せよ。
ただし作業員が着用する防護具に関する記述は除くものとする。

墜落による災害  飛来、落下による災害
建設機械などによる災害  倒壊による災害
土砂崩壊などによる災害  電気による災害

【 攻略のポイント 】
労働災害の防止をするための具体的な処置または対策は、基本的には労働安全衛生規則(以下、労安衛則)に基づく内容を記述することになる。

(1)墜落による災害防止(労安衛則518条~530条)の要点

①高さ2m以上の箇所での作業には作業床を設置する。(同518条)

②高さ2m以上の箇所では、悪天候時の作業の中止する。(同522条)

③作業床の照度の確保。(同523条)

④高さ、深さが1.5m以上を超える作業を行うときは安全に昇降するため設備を設置する。(同526条)

⑤ストレートなどの屋根上の危険作業では、踏み抜き防止のため、幅30㎝以上の歩み板を用い防網を張る。(同524条)

(2)飛来、落下による災害防止(労安衛則534条~538条)の要点

①地山の崩壊、落石防止をするため、掘削地山のこう配を安全なものとする。(同534条)

②高所からの物体投下による危険防止のため、高さ3m以上から物体を投下するときは、適当な投下設備を設け監視人を置く。(同536条)

③物体の落下により労働者に危険を及ぼときは、立入禁止区域を設定する。(同537条)

④地山の落盤などによる危険防止には、支保工を設け、浮石を除去すること。(同535条)

(3)建設機械などによる災害防止(労安衛則152条~236条)の要点

建設機械の災害防止は、各建設機械ごとに防止規則があるため莫大な量となっているが、建築工事に用いる主なものを次にあげる。

①労働者と建設機械の接触を防止するため、誘導者を配置する。(同158条)

②建設機械の転倒、破壊を防止するため、安定度、最大使用荷重の制限を厳守する。(同163条)
③作業開始前、月1回および、年1回の定期自主検査を行い、建設機械の安全性を確認する。(同167条、168条、170条)

④杭打ち機のワイヤーでの安全性を確認して作業を行う。(同174条)

⑤杭打ち機の組立解体、建設機械のアタッチメントの取替え作業は、作業指揮者を選任して、その者の直接指揮により行わせる。(同165条、190条)

(4)倒壊による災害防止
倒壊による災害防止という、労働安全衛生法に表記されていないが、倒壊に関する用語は、杭打ち機、型枠支保工、足場、作業構台(乗入れ構台)などにみられる。

①杭打ち機の倒壊を防止するため、脚部又は架台の沈下を防止のため敷板、敷角
を用い、くさびなどで固定する。(同173条)

②型枠支保工について、支柱の沈下を防止するため敷角を使用し、鋼管にあっては高さ2m以内ごとに2方向に水平つなぎを設ける。(同242条)

③鋼管足場の足場の脚部には敷角、敷板等を用い、ベース金具で固定し、根がらみを設け、筋かいで補強し、所定の間隔以下に壁つなぎを設ける。(同570条)

④作業構台の支柱は、その滑動または沈下を防止するため十分に根入れし、支柱脚部に敷板、敷角を使用し、筋かいを設け、接合部は緊結金具などで固定する。(同575条の6)

(5)電気による災害

①工作物の建設、解体、塗装、杭打ち作業などにおいて、労働者が作業中感電の危険があるときは当該充電路を移設するか、充電路に絶縁防護具を装着する。(同349条)

②手持型電灯は仮設の配線または移動電線に接続する金口に接することがないよう、ガードを取り付けなければならない。(同330条)

③高さ2m以上で鉄骨などで交流アーク溶接を行うときは、交流アーク溶接機用自動電撃防止装置を使用する。(同332条)

④対地電圧が150Vを超える、移動式または可搬式の電動機を有する機械には、感電防止用漏電遮断装置を使用する。(同333条)

⑤仮設の配線または移動電線を通路面において使用してはならない。(同338条)

以上のうちどれか1つ選び解答する。
とりわけ、労働災害の多い作業は、今後も出題されるので必ずまとめておくことが大切である。

解答例
墜落による災害

①高さ2m以上の箇所での作業では、作業床を設置する。

②悪天候のときには、高さ2m以上の箇所での作業は中止する。

③深さ、高さが1.5mを超える箇所で作業を行うとき、安全に昇降できる設備を設ける。

④スレートなどの屋根で作業をするときは、あゆみ板を設け防網を張る。