1級建築施工管理技士 実地 躯体工事【演習問題03】

【 演習問題03 】

問題6

 鉄筋コンクリート造の建物のコンクリート工事において、コールドジョイントの発生を防止するための処置または対策を具体的に4つ記述しなさい。
ただし、コンクリートの材料・調合に関する記述は除くものとする。


【 攻略のポイント 】

コールドジョイントは、コンクリートの打継ぎ面において、下層が硬化してのち、打継いで上層と下層が一体化していない打継ぎ面をいう。コールドジョイントは、主に、暑中コンクリートやマスコンクリートに生じることが多い。
コールドジョイントを防止するには、主に次の対策がとられる。

①コンクリートを打込み時間(JASS)は外気温が25℃以上のとき練り始めてから打ち終わるまでを90分以内、25℃未満のときでも2時間以内とする。

②コンクリートの運搬中にスランプ値の低下を減少させるため、高性能AE減水剤を用いる。

③上層のコンクリート打込み後、下層のコンクリートの表面から10㎝程度の深さに振動棒を挿入して締固め、上下層を一体化する。

④1回の打込み量、打込み区画および打込み順序を適切に定める。

解答例

①コンクリートの打込み終了時間は、外気温度によって制限をする。

②運搬中のスランプの低下を防止するため、高性能AE減水剤を適量用いる。

③上下層のコンクリートが一体化するように振動棒は下層に挿入して締め固める。

④コンクリートの1回の打込み量、打込み区画を考慮して打継時間を短縮する。

問題7

鉄骨の高力ボルト継手において、建方から本締めまでの間に使用する仮ボルトに関する施工上の留意事項を具体的に2つ記述しなさい。
ただし、仮ボルトの材質は品質上問題ないものとする。


【 攻略のポイント 】

仮ボルトは、本締めの完了するまでの間、仮締めするために用いる普通(中)ボルトで、本締めする高力ボルトと同軸形のもを用いる。しかし、溶接箇所に用いる仮止め用のエレクションピースには仮ボルトとして高力ボルトが用いられる。

①仮ボルト(普通ボルト)の使用本数は、1ボルト群に対して高力ボルト継手の本数の1/3以上とし、かつ2本以上を適正に配置する。

②溶接継手に用いるエレクションピース用の仮ボルトは、高力ボルトを用い全数締め付ける。

解答例

①仮ボルトの使用本数は、1ボルト群の本数の1/3以上で2本以上とする。

②エレクションピース用の仮ボルトは高力ボルトとし、全数を締め付ける。

問題8

根切り工事に伴う地下水の排水工法の名称を1つあげ、それについて具体的に説明せよ。


【 攻略のポイント 】

地下水を排水してドライの状態で掘削を行うもので、地下水の排水工法を用いることで、ヒーリングやボイリングを防止できる。排水工法の分類を示すと次のとおりである。

排水工法

・重力排水工法
釜場排水工法(水中ポンプ、集水桝)
ディープウェル工法(水中ポンプ、深井戸)

・強制排水工法
ウェルポイント工法
(真空ポンプ、ウェルポイント)
バキュームディープウェル工法
(真空ポンプ、鋼菅井)

釜場排水工法:砂質系の透水性の大きい地盤に用い、釜場という集水桝を設け、ここに湧水を集め水中ポンプで排水する工法。

ディープウェル工法:地下水を広い範囲にわたり低下させて掘削するとき、砂質系の透水性の大きい地盤層を貫いて深井戸を掘り、深井戸から水中ポンプで排水する工法。

ウェルポイント工法:ウェルポイントに圧力水を送り、圧力水でシルト質の地盤を掘削し自らの自重で貫入し、ウェルポイントに接合したライザパイプのまわりに透水性の高い砂を均等に投入し、表土は粘土で密封する。その後ライザパイプと真空ポンプを連結して、地下水を排水する工法で一段6m程度とし、必要により多段として排水する。

バキュームディープウェル工法:ウェルポンプの替わりに、鋼菅井を打込み広い範囲の地下水を低下させるときに用いる。

解答例

[ 工法名 ]
ウェルポイント工法

[ 具体的説明 ]
主にシルト質の地盤の地下水位を低下させるため、ウェルポイントを挿入し、1段で6m程度の深さの地下水を真空ポンプで排水する。

 

1級建築施工管理技士 二次検定 躯体工事【演習問題04】

【 演習問題04 】

問題9

場所打ちコンクリート杭(アースドリル工法)の品質を確保するため、鉄筋かごの設置終了後からコンクリートの打設完了までの間において、留意すべき事項2つ具体的に記述せよ。


【 攻略のポイント 】

場所打ち杭では、鉄筋かごの挿入後、次の処置をする。

①二次スライム処理として、コンクリート打設直前にエアリフトポンプで、排泥する。

②トレミー菅にプランジャーを取り付け、コンクリートポンプによりコンクリートホッパにコンクリートを投入する。

③トレミー菅内をコンクリートとプランジャーをゆっくりと落下させ、トレミー菅の底から20㎝程度まで落下させた後、一挙に30㎝程度トレミー菅を引き上げ、コンクリートプランジャーを落下させる。

④打込み中はトレミー菅の下端は2m以上コンクリート内に挿入しておき、コンクリートの噴発を防止しながら打設する。

⑤打ち上がったコンクリートの杭の上端50㎝~1mは、スライム混合が考えられるので切断除去する。

現場打ちコンクリート杭施工手順1.jpg

先行掘 →表層ケーシング建込 →安定液注入掘削

→軸部掘削完了 →拡底バケットセット

→上部拡幅掘削

現場打ちコンクリート杭施工手順2.jpg

→下部拡幅掘削 →1次スライム処理 →孔壁測定

→ 鉄筋籠建込み →トレミー菅建込

→2次スライム処理

現場打ちコンクリート杭施工手順3.jpg

→コンクリート打設 →表層ケーシング引抜き

→埋戻し

解答例

①二次スライム処理をして、エアリフトポンプを用いて排泥する。

②コンクリート打設中のトレミー菅の菅底はコンクリート上面より2m以上挿入しておく。

問題10

鉄筋コンクリート建築物における型枠の支柱の存置又は盛替えに関して、躯体の品質を確保する上で、留意すべき事項3つ記述せよ。


【 攻略のポイント 】

[ 型枠の存置期間・支柱の存置期間 ]

①基礎、梁側、柱および壁のせき板存置期間は、コンクリートの圧縮強度が、5N/mm2以上に達するまでで、気温が10℃以上のときは強度にかかわらず所要の日数を経過すれば取り外してよい。
(普通ポルトランドセメントでは、20℃以上のとき4日、10℃以上20℃未満のときは6日とする。)

②支保工の存置期間は、コンクリートの設計基準強度の100%が得られるまでとする。または、構造計算により安全が確認できたときは支保工を取り外してよい。

③床スラブ下、屋根スラブ下の型枠の底面は、原則として支保工の取り外し後とする。

④支柱の盛替えは、原則として行わない。資材の搬出時、やむを得ず一部盛り替えするときは、多数を同時に行わない。また、大張の支柱は盛り替えてはならない。

解答例

①支保工の存置期間は、コンクリートの圧縮強度が設計基準強度の100%以上となったときとする。

②大梁の支柱の盛替えは行ってはならない。

③やむを得ず支柱を盛り替えるときは、一度に多数の支柱を盛り替えない。

問題11

鉄骨工事における下記の溶接部の欠陥のうち、外観検査で発見される欠陥1つ選び、それについて説明せよ。

アンダーカット オーバーラップ スラグ巻込
ピット ブローホール 融合不良


【 攻略のポイント 】

[ 溶接の外観検査で発見される欠陥の特徴 ]

溶接欠陥の分類.jpg

外観溶接欠陥.jpg
外観検査でみる溶接欠陥

以上から、外観検査の欠陥の主なものは、アンダーカット、オーバーラップ、ピットの3種類で、このうちから1つを説明する。

解答例

[ 欠陥 ]
アンダーカット

[ 説明 ]
アンダーカットは、溶接端部の母材に溶着金属が満たされない状態のこと。

1級建築施工管理技士 二次検定 躯体工事【演習問題05】

【 演習問題05 】

問題12

次に示す柱状図の地盤と敷地まわりの断面図の状態において、G.L.-20mまでの根切り工事を行う場合、最も適している山留め壁は何か。また、排水計画上、その山留め壁に必要な根入れ長さは何m以上か記入せよ。
ただし、孔内水位は被圧水頭とし、逆打ち工法や地盤改良工法は採用しないものとする。

土質柱状図.jpg


【 攻略のポイント 】

①鋼矢板などの根入れな長さは、ボイリングを防止するため硬質粘土層まで伸ばし打ち止める。最低でも根入れ長さ4.5m、最大6m程度とする.。砂礫層で打ち止めない。

②地下鉄などの重要構造もあることから、周辺地盤の沈下の影響が小さく、高い止水性を持つ止水壁として、場所打ちRC地中壁工法か場所打ちRC柱列壁工法を用いる。また、最も止水性の高い、場所打ちRC地中壁が望ましい。

解答例

[ 山留め壁 ]
場所打ちRC地中壁

[ 根入れ長さ ]
4.5~6.0m

問題13

コンクリート打設において、タイピングとは何か簡潔に記述し、その主な目的を1つ記述せよ。


【 攻略のポイント 】

タンピングとはコンクリートが硬化する前に、初期ひび割れを防止するため、強くコンクリート面をたたいて押さえつけてひび割れを防止し、密実なコンクリートに仕上げるための手順。

解答例

コンクリートの初期ひび割れを防止し、密実なもとのとするため。

問題14

現場に搬入された加工済みの鉄筋の材質(SD 295AやSD 345など)を確認する方法1つ簡潔に記述せよ。


【 攻略のポイント 】

鉄筋の材質(強度)を確認するため次のことを行う。

①鉄筋の圧延マークを調べる。

②鉄筋の片断面の色の表示を調べる(SR 235:赤、SD 295B:白、SD390:緑など)

解答例

[ 材質の確認方法 ]
鉄筋の片断面の色表示で確認する。

1級建築施工管理技士 二次検定 躯体工事【演習問題06】

【 演習問題06 】

問題15

鉄骨鉄筋コンクリート造の建物の鉄骨建方計画において、安全上最も留意すべき事項1つ簡潔に記述せよ。


【 攻略のポイント 】

建方は、施工中の構造上の不安定な状態での施工のないような方法とし、建方用機械の安定性の確保、荷上荷重能力の確保を行い、周辺に対する災害を防止することである。

①主要部材の重量表示

②建方用機械の安定性の確保

③仮ボルトの本数と締付けの確認

④作業半径内の立入禁止措置

⑤強風時の作業の中止

などに注意して施行する。

解答例

[ 安全上最も留意すべき事項 ]
建方用機械は揚重能力のあるものを選定し、転倒防止措置を確実に行う。

問題16

躯体工事における次の問いに簡潔に答えよ。
[ 1 ]
普通コンクリートにおいて、耐久性を確保するための計画調合上の留意事項3つあげよ。

[ 2 ]
鉄筋工事において、ガス圧接完了後の外観検査の結果、圧接部を切り取って再圧接しなければならない欠陥2つあげよ。

[ 3 ]
トルシア系高力ボルト摩擦接合おいて、本締め完了後の確認事項2つあげよ。

[ 4 ]
既製コンクリート杭事業において、セメントミルク工法を用いた場合の支持地盤の確認方法2つあげよ。

解答例

[ 1 ]
①単位水量は、185kg/m3以下とする。

②空気量は、4.5±1.5%とする。

③アルカリ骨材反応を生じない骨材とする。

[ 2 ]
①鉄筋の軸と軸のずれが鉄筋径dの0.2d以上となっている場合。

②形状が著しく不良なもの、または圧接部に有害と認められる欠陥がある場合。

[ 3 ]
①トルシア系高力ボルトのピンテールが破断されてるか確認する。

②マークをつけて本締め行い、正常に締め付けられたかを確認にする。

[ 4 ]
①アースオーガに付着する土の種類と、設計図書に示された土質とを照合する。

②アースオーガーの駆動用電動機の電流値の変化を測定する。

問題17

躯体工事における次の問いに簡潔に答えよ。
[ 1 ]
根切り工事の施工計画にあたって検討すべき事項を、4項目あげよ。

[ 2 ]
鉄筋に対するコンクリートの適正なかぶり厚さを確保する目的を、2項目あげよ。

[ 3 ]
鉄骨工事において、製作工場を決定する場合の留意事項を、4項目あげよ。


解答例

[ 1 ]
①地下埋設物の確認と除去

②地下水位と地層、地質の性状の確認

③山留めの種類と根入れ深さの決定

④掘削機械の転倒防止、転落防止

[ 2 ]
①鉄筋とコンクリートの付着力の確保

②耐火性を高め鉄筋の保護をする

[ 3 ]
①製作工場の規模、機械設備の確認

②工事経歴書による確認

③受注能力の確認

④製作技術者、溶接管理技術者、技能者の資格、人員数の確認

1級建築施工管理技士 二次検定 躯体工事【演習問題07】

【 演習問題07 】

問題18

躯体工事に関する次の問に答えよ。
[ 1 ]
コンクリート工事における型枠の取外しに関する次の文章中、空欄①~④に当てはまる適切な語句を記入せよ。

( 1 )せき板の存置期間は、施工箇所、セメントの種類および存置期間中の平均気温に応じたコンクリートの[ ① ] または [ ② ] に基づき定める。

( 2 )支柱の盛替えは、原則として行わないものとするが、資材等の搬出のため、やむをえず一部の支柱の盛り替えを行う場合でも、[ ③ ] の下の支柱や直上階に著しく大きい [ ④ ] がある場合においては、行ってはならない。

[ 2 ]
場所打ちコンクリート杭地業における孔壁保護の方法を、3種類記述せよ。

[ 3 ]
鉄筋工事において、主筋に重ね継手を用いる場合の施工計画上の留意事項を3項目簡潔に記述せよ。

[ 4 ]
高力ボルトの工事現場における保管および運搬に関する留意事項を、それぞれ簡潔に記述せよ。


解答例

[ 1 ]
( 1 )せき板の存置期間は、施工箇所、セメントおよび存置期間中の平均気温に応じたコンクリートの[ ①材料 ] または [ ②圧縮強度 ] に基づき定める。

( 2 )支柱の盛替えは、原則として行わないものとするが、資材等の搬出のため、やむをえず一部の支柱の盛り替えを行う場合でも、[ ③大ばり ] の下の支柱や直上階に著しく大きい [ ④積載荷重 ] がある場合においては、行ってはならない。

[ 2 ]
①オールケーシング工法では、2重鋼管で孔壁を保護する。

②リバースサーキュレーション工法では、自然泥水の水圧差で孔壁を保護する。

③アースドリル工法では、ベントナイト溶液で孔壁を保護する。

[ 3 ]
①重ね継手の位置はそろえない。

②応力の小さい位置で継手を設ける。

③D29およびφ28mm以上の鉄筋は重ね継手としない。

[ 4 ]
①工場から直送されたまま、開封せずに保管する。

②高力ボルトの種別、径別、長さ別に整理する。

③防水用のシートを用いて、防湿する。

④積み重ねは、梱包箱の強度に合わせて積み上げ高さを制限する。

問題19

躯体工事に関する次の問に答えよ。
[ 1 ]コンクリート工事に関する次の記述の空欄①~④に適切な語句を記入せよ。

「レディミクストコンクリート工場の選定に当たっては、JISに定められた時間の限度内にコンクリートが打ち込めるよう、工事現場までの[ ① ]、工事現場内の運搬方法、レディーミクストコンクリート工場の[ ② ]、運搬能力を考慮しなければならない。
また、コンクリートの耐久性を確保するための材料、調合に関する重要な事項として、単位セメント量の最小値、[ ③ ]の最大値、[ ④ ]の最大値、適切な空気量の範囲、塩化物量の最大値、アルカリ骨材反応を生じるおそれがないがある。」

[ 2 ]コンクリート工事の品質管理について、打込み当日で、打込み前の準備から打込み完了までの工程における留意事項を3項目、簡潔に記述せよ。

[ 3 ]鉄骨工事品質管理について留意事項3項目、簡潔に記述せよ。


解答例

[ 1 ]「レディミクストコンクリート工場の選定に当たっては、JISに定められた時間の限度内にコンクリートが打ち込めるよう、工事現場までの[ ①運搬時間 ]、工事現場内の運搬方法、レディーミクストコンクリート工場の[ ②製造能力 ]、運搬能力を考慮しなければならない。
また、コンクリートの耐久性を確保するための材料、調合に関する重要な事項として、単位セメント量の最小値、[ ③水セメント比 ]の最大値、[ ④単位水量 ]の最大値、適切な空気量の範囲、塩化物量の最大値、アルカリ骨材反応を生じるおそれがないがある。」(ただし、③、④は相互に入れ替えてもよい。)

[ 2 ]

①型枠を清掃し、水で湿潤にする。

②打込み使用機器の点検、打込み時の人員を確保する。

③練り混ぜから打込み終了までの時間は、外気温が25℃未満で120分以下、25℃以上の場合90分以内とする。

[ 3 ]

①鉄骨が規格を満たすものであることを確認する。

②搬入、運搬中の損傷は補修を行い組立てる。

③溶接材料、溶接条件を満たすものであることを確認する。

[ 2 ]の解答としては、次のものでもよい。

・コールドジョイントの生じないように施工する。

・スランプ、空気量、塩化物含有量、強度などを荷卸し地点で検査する。

[ 3 ]の解答としては、次のものでもよい。

・建て方について、必要な修正が行えるよう控綱などを用いる。

問題20

躯体工事に関する次の問に簡潔に答えよ。

[ 1 ]
図に示す鉄骨構造において、不適当な事項3つあげ、その理由を記述せよ。

鉄骨構造の不適当な部分.jpg

[ 2 ]
コンクリートに関する次の文章中、[ ① ]~[ ④ ]内に当てはまる語句又は数値を下欄から選び、解答欄に記入せよ。

強度、レイタンス、空気量、単位容積質量
耐久性、水密性、0.30、3.0、30.0

( 1 )水セメント比は、コンクリートの[ ① ]、[ ② ]、[ ③ ]と密接な関係がある。

( 2 )コンクリート中に含まれる塩化物の含有量(塩化物イオン量)は、原則として[ ④ ] kg/m3以下とする。

[ 3 ]コンクリート工事において、次の項目における留意点を記述せよ。
( 1 ) 外気温と調合強度
( 2 ) 養生


解答例

[ 1 ]

①溶接部が交差しているので、溶接不良が生じる。このため、溶接交差部にスカラップを設ける。

②高力ボルト接合面に全面さび止め塗装がされていて、所要の摩擦係数が得られない。接合面は、グラインダなどで表面を仕上げる。

③水平スチフナが両面で2本しかないので、曲げ座屈が生じるおそれがある。このため、スチフナを2枚追加して、パネルゾーンをつくる。

鉄骨構造の解答.jpg

[ 2 ]
( 1 )水セメント比は、コンクリートの[ ①強度 ]、[ ②耐久性 ]、[ ③水密性 ]と密接な関係がある。

( 2 )コンクリート中に含まれる塩化物の含有量(塩化物イオン量)は、原則として[ ④0.30 ] kg/m3以下とする。

[ 3 ]
( 1 ) 外気温と調合強度
コンクリートの打込みから28日までの期間の予想平均気温により補正する値は、3又は6 N/mm2となる。外気温が低いほど補正値が大きくなり、調合強度も大きくする必要がある。

( 2 ) 養生
コンクリートの湿潤養生の期間は、計画供用期間の級により異なり、一般、標準と長期にわけてに数を定める。養生中は、外力を加えず静置する。

コンクリート強度の補正値.jpg

1級建築施工管理技士 二次検定 躯体工事【演習問題08】

【 演習問題08 】

問題21

躯体工事に関する次の問に簡潔に答えよ。

[ 1 ]
コンクリート躯体に生じる有害なひび割れを少なくするために、下記の項目におけるコンクリートの調合計画上の留意点を説明し、さらに、(1)、(2) については、目標とする数値をあげ、必要な場合は説明を加えよ。

(1) スランプ
(留意点)
(目標とする数値)

(2) 単位水量
(留意点)
(目標とする数値)
(3) 単位セメント量
(留意点)

[ 2 ]
鉄骨工事において、目視で確認できる溶接部の欠陥1つあげ、これが不良溶接とされた場合の補修方法を説明せよ。

(1) 溶接部の欠陥

(2) 補正方法

[ 3 ]
高力ボルト接合において、予備締め後マーキングする理由を2つあげよ。

[ 4 ]
場所打ちコンクリート杭における孔底のスライム処理の方法1つあげよ。


解答例

[ 1 ]
(1) スランプ
単位セメント量、単位水量、細骨材率を確認し、設計基準強度を確保できるように、基礎、構造本体など部位別のスランプ値を確認しておく。目標として、スランプ値は18㎝以下とする。

(2) 単位水量
単位水量はなるべく少なくするために、減水剤を使用する。目標として、185kg/m3以下とする。

(3) 単位セメント量
所要の強度を確保できるようにセメント量を定める。できるだけ少ないほうが、ひび割れを少なくすることができる。単位セメント量は、270kg/m3以上用いる。

[ 2 ]
(1)オーバーラップ

(2)グラインダにより、所定の形状に仕上げる。

[ 3 ]
(1)マーキングすることで、締付け忘れを防止するため。

(2)共回りが生じていないことを確認するため。

[ 4 ]
オールケーシング工法では、ハンマーグラブで一次スライム処理を行う。

問題22

躯体工事に関する次の問に簡潔に答えよ。

[ 1 ]
山留め工事における切ばりの架設時に留意する事項4項目列記せよ。

[ 2 ]
ボイリング現象について説明せよ。また、ボイリングを防止する対策を記述せよ。

[ 3 ]
場所打ちコンクリート杭におけるスライムについて説明せよ。また、スライム処理が必要な理由を記述せよ。

[ 4 ]
コンクリート工事において、マスコンクリートを施工する場合、留意する事項2項目列記せよ。


解答例

[ 1 ]
①腹起しに切ばり設置用のブラケットを設け、切ばりの落下を防止する。
②切ばりに油圧ジャッキを用い圧縮力を与えて、支保工を安定させる。
③組立ずに従ってその位置を確認する。
④施工中の切ばりには、横方向からの衝撃を防止する。

[ 2 ]
[ 説明 ]
ボイリングは、ゆるい砂地盤で地下水位の高い場合、掘削底面の地盤のせん断力が水圧より小さい場合に生じ、水と共に砂が底面から吹き出す現象のこと。

[ 対策 ]
鋼矢板の根入れを深くしたり、土留工背面の圧力を軽減したり、地下水位を低下させるなどの対策を取る必要がある。

[ 3 ]
[ 説明 ]
スライムは、場所打ち杭の掘削に伴って孔底に落下する土砂や、安定液中に含まれる土砂が沈殿した掘りくずのことである。

[ 理由 ]
スライムは、コンクリートを打設する前に除去しなければ、スライム上に杭をつくることになり、杭上に躯体重量がはたらくと杭先端に大きな力が作用し、杭の位置がずれたり、沈下を生じ、躯体にひび割れが発生する。以上の理由により除去する必要がある。

[ 4 ]
①マスコンクリートは、高温となるので、ファライアッシュセメントなどを用い、単位セメント量の最小値270kg/m3以上の規定を適用しない。

②コンクリートの内部の温度が上昇したときは、コンクリートの外側を保温して、内部の温度差をできるだけ小さくなるようにする。

問題23

躯体工事に関する次の問に答えよ。
[ 1 ]
鉄筋のかぶり厚さを必要とする理由のうち、2項目を列記せよ。

[ 2 ]
コンクリートに用いるAE減水剤の効果のうち、2項目を列記せよ。

[ 3 ]
コンクリート打設後、スラブの表面をタンピングする理由を簡潔に記述せよ。

[ 4 ]
鉄骨の溶接において、エンドタブを設ける理由を簡潔に記述せよ。

[ 5 ]
鉄骨の溶接において、スカラップを設ける理由を簡潔に記述せよ。


解答例

[ 1 ]

①鉄筋とコンクリートの付着力による構造耐力を確保するため。

②鉄筋の防錆、防火による耐久性、耐火性の工場のため。

[ 2 ]

①AE減水剤により単位水量を減じて、所要のワーカビリティが得られる。

②空気を連行するので、コンクリートの耐凍害性、耐久性が向上する。

[ 3 ]

コンクリートが硬化を始める前に、スラブ表面をタンピングすることにより、打込み後に生じた沈下などによるコンクリートのひび割れを抑え、コンクリートを密実なものとするため。

[ 4 ]

溶接の始橋と終橋には、ブローホール、クレーター、割れ、溶込み不良などが生じやすい。このため、溶接の始橋と終橋にエンドタブを設け、この部分を溶接後除去して、構造駆体の溶接部に欠陥を残さないようにするため。

[ 5 ]

溶接は、大きな熱が生じ、部材は熱による変形が生じやすく、溶接の交差部には欠陥が生じやすい。これを防止するため、交差部の部材の一部を切り欠き、溶接の交差を避ける。

 

1級建築施工管理技士 二次検定 躯体工事【演習問題09】

【 演習問題09 】

問題24

躯体工事に関する次の工事の施工において、施工管理者として確認を行うべき管理上の重点項目(チェックポイント)のうち、(1)、(2)については2項目、(3)、(4)については3項目を簡潔に記述せよ。

(1) 鉄筋のガス圧接

(2) 暑中コンクリート

(3) コンクリート型枠の組立て

(4) 高力ボルトの摩擦接合


解答例

[ 1 ]

①圧接者が有資格者であるかどうか確認する。

②圧接箇所のふくらみが鉄筋径dの1.4d以上であるこを確認する。

[ 2 ]

①コンクリートの打込み温度を35℃以下とする。

②コールドジョイントを防止するため必要に応じ遅延剤を用いる。

[ 3 ]

①型枠組立は、組立図の確認をしてのち行う。

②支柱の位置や間隔の確認を行う。

③型枠建入れの精度の確認を行う。

[ 4 ]

①摩擦面の状態の確認を行う。
②ボルトの保管管理を十分に行う。
③締付け順序や二度締めの確認を行う。

問題25

コンクリート工事・鉄骨工事に関する次の用語について簡単に説明せよ。

(1) AE減水剤

(2) 細骨材率

(3) コールドジョイント

(4) エンドタブ

(5) トルクコントロール

解答例

(1) AE減水剤
所定のスランプ値を得るのに必要な単位水量を減少させるとともに、微細な空気泡を連行し、コンクリートの耐久性を向上させるもの。

(2) 細骨材率
細骨材および粗骨材の絶対容積の和に対する細骨材の絶対容積の百分率のこと。

(3) コールドジョイント
先に打ち込まれたコンクリートの凝結がある程度進むと、あとから打ち込まれたコンクリートを一体にならない継目ができる。この継目をコールドジョイントという。

(4) エンドタブ
溶接の欠陥を防止するため、始点と終点に取り付ける補助板のこと。

(5) トルクコントロール
高力ボルトに導入する軸力をトルク量で判定する方法。トルクレンチを用いる。

 

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述の攻略

★1級建築施工管理技士 経験記述の攻略 ★

1級建築施工管理技士 実地試験

施工経験記述の攻略について

1° .どれぐらいの規模、立場を想定して記述するか?

1級建築施工管理技士の学科試験では、あまり工事規模を考えずに学習しても問題はなかった。しかし、1級建築施工管理技士に合格すると、自分の経験した工事の大小にかかわらず、大規模工事の「監理技術者」として(限定解除の)資格が与えられことから考えて、施工管理のための幅広い考えが要求されている。

このため、少なくとも工事費用 3~4億円の工事に必要な管理上の知識をもっている監理技術者になったつもりで記述することが大切である。

※.現場を「管」理する監理技術者は、不思議なことに「監」の字を使います。一般用語としての現場監督も「監」の字です。

2° .出題形式と内容

問題の形式は下記のように6題が出題され、そのいずれも必須であるが、問題1の経験記述は特に重要で、この部分が合格点(60点以上と予想される)に達していないと、問題2問題6の問題が合格点(60点以上と予想される)であったとしても合格できないとされている。

このため、受験者は経験記述の問題1と学科記述 問題2問題6までの5つの問題を切り離して取り組むことが大切である。

毎年、問題2問題6に関しては、おおよそ50%程度の人が合格点に達しているというデータがあるが、全体の合格率が 25~40%程度になっているのは、問題1の考え方・解き方がしっかりしていないことによるものと考えられる。

問題1をしっかりとおさえることが、合格への最短距離であると考えられる。
したがって、問題1のノウハウは十分に研究する必要がある。

1級建築施工管理技士出題形式.jpg

1級建築施工管理技士 実践

1級建築施工管理技士 実践

① コンクリート工事
② 鉄筋工事1
③ 鉄筋工事2
④ 型枠工事1
⑤ 型枠工事2

⑥ 鉄骨工事1
⑦ 鉄骨工事2

⑧ 仕上工事1 外装1
⑨ 仕上工事2 外装2
⑩ 仕上工事3 外装3

⑪ 仕上工事4 石工事
⑫ 仕上工事5 タイル工事

⑬ 仕上工事6 防水工事1
⑭ 仕上工事7 防水工事2

⑮ 仕上工事8 内装1 天井等
⑯ 仕上工事9 内装2 金属工事

⑰ 仕上工事10 内装3 海外製作品

⑱ 解体1 都心ビル
⑲ 解体2 アスベストの処理
⑳ 解体3 改修工事-建設副産物

㉑ 竣工検査
㉒ 完成から引渡しまでの流れ

㉓ 引渡しは維持管理の始まり
㉔ 維持保全の作法
㉕ 建物の維持保全サポート
㉖ 法的に必要な建物調査と設備検査

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 環境保全 公衆災害防止対策

2-3.環境保全

1)公衆災害防止対策

建築工事において、近隣への騒音・振動、沿道障害などを防止して、公衆災害を防止することが求められている。

このため、事前調査において各工程ごとに使用する機械・工法などを考慮し、発生する公衆災害を予測して、これを防止する対策を確立し、こうした住民からの苦情を処理するシステムを現場管理に位置付け、対応する人も定めておくことが必要である。

◆ 騒音・振動を提言する具体的な処置

①低騒音・低振動の機械を選定し、低騒音、低振動の工法を採用する。

②防音壁・防音シート、防振溝を設置し、騒音、振動を低減する。

③コンプレッサなどの騒音の原因となる発生源は、住宅より遠い位置に配置する。

◆ 第三者災害を防止する具体的な処置

①資材の飛来を防止するため、防護柵を設置し、防護シートを張る。

②揚重機などの転倒を防止するため、敷鋼板、アウトリガー張出しを行う。

③地盤沈下防止のため、根入れを十分にした土留めを設置し計測管理する。

◆ 沿道障害防止の具体的な処置

①歩行者と一般車両をの接触事故を防止するため、工事場所に警告灯,ミラー,ブザーなどを設置し、誘導員を配置する。

②現場から泥を道路に出さないため、現場敷地内でタイヤ清掃する。

③現場内に粉じん発生しないよう、適宜散水する。

2)建設副産物の処理

※地球温暖化問題及び再資源化や持続可能社会に対する策は、試験対策として認識して対処する。

建設副産物には、資源を有効ん利用すべき指定副産物と、処分場で処分すべき産業副産物とに分類し、さらに、副産物の種類ごとに分別収集して、必要により所定の中間処理をして、再資源化等をしなければならない。

その分類は次のようである。

建設副産物

・指定副産物
①土砂
②コンクリートの塊
③アスファルト・コンクリートの塊
④木材(廃木材を除く)

・産業廃棄物
特定建設資材(中間処理再資源化)
①コンクリート
②アスファルトコンクリート
③コンクリートと鉄からなる建設資材
④木材

埋立処分
①安定型最終処分場
②管理型最終処分場
③遮断型最終処分場

・特別管理産業廃棄物 ー 処理埋立

一般に、指定副産物の有効利用については、「資源の有効な利用の促進に関する法律」で、その利用方法およびその規模が定められている。

また、産業廃棄物については、産業廃棄物の燃焼に伴う大気汚染(ダイオキシン)を防止し、建設工事の発生汚泥による水質汚濁を防止するとともに、産業廃棄物を分別収集して適正に処分するため「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」
(廃棄処理法)でその処理方法が定められている。

また、一定規模以上の解体工事等は対象建建設工事に指定されていて、対象建設工事から排出する産業廃棄物は中間処理して再資源化することが建設リサイクル法に定められている。

◆ 建設発生土(土砂)の取扱い上の留意点

①建設発生土の現場内利用の計画を立案する。

②建設発生土の粒径に応じて4種類に分別する。

③建設発生土の種類、量、運搬時期を明確にし、関係現場などで相互利用する。

④粉じんを防止し、車速制限(現場内10km/h以下)、運搬時間などに配慮する。

⑤受入れ地の状況を確認して、第三者災害発生を未然に防止する。

◆ 指定副産物と有効な利用の具体例

①建設発生土は、工作物の埋戻し、宅地造成、水面埋立用土として利用する。

②コンクリートの塊は、粒径の区分に応じて構造物の裏込め、敷地内舗装用材料として利用する。

③アスファルト・コンクリートの塊は、構造物の裏込め、敷地内舗装用材料として利用する。

④木材は、チップをしたり紙の材料として利用する。

◆ 資源の有効な利用に関する計画作成と記録保存の義務

①元請負業者は、建設発生土1,000m3以上、砕石 500t以上、加熱アスファルト混合物200 t 以上の規模の建設資材を搬入する工事では再資源利用計画を作成し、実施状況を記録し工事完成後1年間保存する義務がある。

②元請業者は、建設発生土1,000m3以上、コンクリートの塊、アスファルト・コンクリートの塊、建設発生木材の合計200 t 以上を現場から排出する工事では、再資源利用促進計画を作成し、実施状況を記録し工事完成後1年間保存する義務がある。

◆ 再資源化すべき特定建設資材

①対象建設工事:
次表のような一定規模以上の解体工事は、発注者または自主施工者が工事の着工7日前までに都道府県知事に届け出る。

②再資源化すべき特定建設資材:
対象建設工事により産業廃棄物はすべて中間処理して次の4つの特定建設資材に分別する。

特定建設資材に分別できないものは産業廃棄物として埋立処分する。

特定建設資材
・コンクリート → 骨材
・アスファルトコンクリート → 舗装材
・コンクリートと鉄から成る建設資材 → くず鉄(有価物)、骨材
・木材 → チップ

◆ 産業廃棄物の委託処分に関する事業者の留意点

①建設副産物として排出される産業廃棄物は、事業者(工事請負者)が自己の責任において行うのが原則である。

②産業廃棄物の処分を委託するときは、都道府県知事の許可を受けた運搬業者、処分業者であることを確認する。

③事業者は、運搬業者に委託するときは、契約書に次の事項を記載する。
・廃棄物の種類および数量
・運搬の最終目的地の所在地
・処分または再利用の方法と施設の処理能力

④事業者は、運搬業者または処分業者に委託するときは、産業廃棄物の種類ごとに産業廃棄物管理票(マニフェスト)を契約書の内容を確認して交付する。

⑤運搬または処分を終了したとき、管理票交付者(排出事業者)に管理票を送付し、管理票交付者は記録を確認し5年間保存する。

⑥管理票交付者は、報告書を作成し年1回都道府県知事に提出する。

◆ 産業廃棄物の処分方法についての具体例

①安定型最終処分場:
廃プラスチック、ゴムくず、金属くず(鉄筋等)などが受入れられる。

②管理型最終処分場:
紙くず、木くず(廃木材)、繊維くず、
有害でない汚泥、廃せっこうボード

③遮断型最終処分場:
有害な燃がら、有害なばいじん、有害な物質を含む汚泥