20章 その他の工事 5.トイレブース

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.5 トイレブース

(1) 材料

(ア) パネルの主要構成基材は、JIS A 6512(可動間仕切)に基づく材料とすることが定められている(20.2.3 (1)参照)。

(イ) 笠木、脚部、壁見切り金物、頭つなぎ等の構造金物は、耐食性のあるものとし、ステンレス材(SUS304程度)又はアルミニウム材が一般的であるが、脚部は耐衝撃性を考慮して、ステンレス材と規定している。

(ウ) ドアエッジの材質は、特記による。特記がなければ、トイレブースの製造所の仕様によると規定している。

(エ) ヒンジ等の付属金物は、 トイレブースの製造所の仕様による。丁番式や中心吊り式、自閉するものなどがある。

(2) 性能等

JIS A 4702(ドアセット)による開閉繰返し試験の合格基準は、開閉回数10万回で開閉に異常がなく、緩みがない等使用上支障がないこととされている。

(3) 加工及び組立
小口ヘの防水処理は、 トイレ清掃時の水掛りに対してパネル小口からの吸水を防止するための防水塗装や防水テープ処理等が挙げられる。

(4) トイレブースの製品については、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4 (5)参照)において、「標仕」20.2.5の規定に基づき評価基準を定めて評価を行っているので参考にするとよい。

20章 その他の工事 6.手すり

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.6 手すり

(1) 材料・仕上げ

(ア) 手すりに用いる金属材料は、多くの場合、鋼、ステンレスあるいはアルミニウム合金である。

(イ) アルミニウム合金の表面処理の種別は、「標仕」14.2.1 (1)により、設計図書に特記される。

(ウ) 鋼製品の塗装

鋼製品の錆止め塗装は、工場で行われることが多いが、塗料の種別及び適用箇所は、「標仕」表18.3.1による。

(エ) BL認定部品

(-財)ベターリビングでは、住宅の廊下・バルコニー・窓等に使用する手すりについて基準を設け、強度等各種の試験に合格したものをBL認定部品としている。

(2) 工法

(ア) 手すりと手すり支柱又は手すり子との取合いは、鋼製以外は通常小ねじ留めにする。安全のため、小ねじは、手すりの中に入れて留めるものが多い(図20.2.1参照)。ステンレスは溶接する場合もあるが、溶接部の取合いの仕上げには注意する必要がある。


図20.2.1 手すりと手すり支柱又は手すり子との取合い

(イ) 外部に設置する手すりで、風による微振動や熱伸縮などの影響を受ける部位にボルトや小ねじを使用する場合は、緩まない方法にて取り付けるよう注意する。

一般的な手すりの例を図20.2.2に示す。


図20.2.2 一般的な手すりの例

(ウ) 溶接は14章3節による。

(エ) 手すりが長くなる場合には、金属の温度変化による部材の伸縮を考慮して、伸縮調整部を設けるのがよい(通常5~10m間隔程度)。伸縮調整部を設ける間隔及び伸縮調整幅は、使用する金属の膨張係数を考慮して決めるのが望ましい。

部材伸縮の目安(温度差40℃の場合)は、鋼は 1m当たり0.5mm程度、アルミニウム合金は 1m当たり1.0mm程度である。

伸縮調整部の例を図20.2.3に示す。


図20.2.3 伸縮調整部

(オ) 手すりの小口は、安全性、美観等を考慮して、同材でふたをしたりするが、共色(ともいろ)の樹脂製キャップが用いられることもある。その場合は、取換えが可能な納まり及び形状とする。

(カ) 手すり支柱は、コンクリートあるいはモルタルの中に入る部分であっても、錆止めの処置を行うことが望ましい。

なお、モルタル充填に際して、こて押え等が不十分になりがちなため、充填を確実に行う。

取付け例を図20.2.4に示す。


図20.2.4 手すりの取付け

20章 その他の工事 7.階段滑り止め

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.7 階段滑り止め

(1) 材料

(ア) 階段滑り止めには、金属と合成樹脂又は合成ゴムを組み合わせたもの、タイルあるいは金属を主体としたものがある。

(イ) 金属の種類は、通常ステンレス、黄錆、アルミニウム、鉄である。その踏面には溝があり、溝にはめ込む滑り止め材の形状はタイヤ形等があり、材質はゴム、合成樹脂、カーボランダム等がある。

金属部分は、押出し成形材と板材を曲げ加工したものがある。また、足付き形のものと接着形のものとがあり、それぞれ取付け工法が異なる。

(ウ) タイヤ形の滑り止め材は、取付け後収縮しやすいため、図20.2.5のような収縮を防止する突起等があるものを使用するのがよい。


図20.2.5 収縮防止の例

(エ) 階段滑り止めの例を、表20.2.9に示す。

表20.2.9 階段滑り止めの例

(オ) 取付け長さは、階段と手すりの取合い等によるが、通常は階段の全幅とする。

(2) 取付け

(ア) 接着工法

(a) 接着剤のみで取り付ける場合には、はく離する例が多いため、「標仕」20.2.7(2)(ア) では、接着剤及び小ねじを用いて取り付けることとされている。

(b) 取付け方法の例を、図20.2.6に示す。


図20.2.6 階段滑り止め取付けの例(接着工法)

(c) 取付けに際しては次の事項に注意する。

① 接着面は、十分平滑にし、下地乾燥後、油、レイタンス、ほこり等接着の妨げとなるものを除去する。

② 接着剤は、原則としてエポキシ樹脂系のものを用いる。

③ 接着の際は、すり合わせるようにしながら押し付け、小ねじを用いて取り付け、取付け後は、接着剤が硬化するまで押さえておく。

④ 施工場所が、施工中及び施工後、気温が 5℃以下になると予想される場合は、施工を行わない。ただし、採暖等の養生を行う場合は、この限りでない。

(イ) 埋込み工法
アンカーを用い、両端を押さえて間隔 300mm程度に堅固に取り付ける。

取付け方法の例を、図20.2.7に示す。


図20.2.7 階段滑り止め取付けの例(埋込み工法)

(3) 取付け中は、他の作業のための通路を確保するとともに、取付け後の養生を確実に行うため、接着工法では一時通行を禁止する場合もある。

20章 その他の工事 8.床目地棒

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.8 床目地棒

(1) 「標仕」では、材質はステンレス製、厚さ5 ~ 6mm、高さ12mmを標準と規定している。床目地棒の形状には、種々のものがあるが、図20.2.8にその例を示す。3 × 9(mm)、3 ×12(mm)、4 ×12(mm)等、断面の小さいものも市販されている。また、床目地棒の長さは、通常1.820mmである。


図20.2.8 床目地棒の断面の例

(2) 床目地棒は、異種の床仕上げの見切りとして取り付けるものである。

(3) 取付けは、図20.2.9のようにアンカーをモルタルで固定する。


図20.2.9 床目地棒の取付け例

20章 その他の工事 9.黒板及びホワイトボード

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.9 黒板及びホワイトボード

(1) 「標仕」20.2.9(1)では、黒板は、全国的な市場性を踏まえ、JIS以外の製品も「特記」で対応できるように規定している。特記がなければ、JIS S 6007(黒板)に基づき、区分は焼付け、種類は鋼製黒板又はほうろう黒板とし、適用は特記によると規定している。

なお、「標仕」では、黒板の枠はアルミニウム製とし、付属物としてチョーク溝、チョーク入れ及びチョーク粉入付きと規定している。

(2) 「標仕」20.2.9(2)では、ホワイトボードは、特記によると規定している。

これは、ほうろう白板のJIS認証取得者が存在しないためである。

なお、全国黒板工業連盟では国際対応規格ISO 28762を基に、黒板とほうろう白板の規格を統合した「黒板・白板連盟基準」を作成し、これに適合した製品には「品質管理マーク」を表示している。

20章 その他の工事 10.鏡

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.10 鏡

(1) 「標仕」20.2.10(1)に規定している鏡は、周囲に面取りの加工がしてあり、縁のない防湿形である。鏡のガラスは、JIS R 3220(鏡材)に基づくものと規定されており、厚さは特記がなければ、5 mmである。

しかし、程度のよいものでは、ステンレス製の縁付きとする設計例が多い。

(2) 取り付ける下地は、タイル張り、モルタル塗り等の堅固な下地が多く、鏡を強く 留め付けると後になって破損しやすいため、ゴム座等の緩衝材を用いる必要がある。

20章 その他の工事 11.表示

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.11 表示

(1) 「標仕」20.2.11 (1)では、ガラススクリーンに対する対人衝突防止表示の形状、寸法、材質等は、特記によるとされている。

(2) 「標仕」20.2.11 (2)では、非常用進入口等の表示は、消防法に適合する市販品とし、適用は特記によるとされている。

なお、それらは関係する法令に従い設置しなければならない。

(3) 「標仕」20.2.11(3)では、室名札、ピクトグラフ、案内板等の形状、寸法、材質、色、書体、印刷等の種別、取付け形式等は、特記によるとされている。

(4) 表示・標識等の標準化されたものとして、JIS Z 8210(案内用図記号)が制定されている。

20章 その他の工事 12.タラップ

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.12 タラップ

(1) 材料・仕上げ

(ア) 「標仕」20.2.12 (1)では、タラップに用いる金属材料の種類及び仕上げは、特記による。特記がなければステンレス製とし、研磨等の仕上げは行わなくてもよいと規定している。

(イ) 塗装については、18章による。

(2) 工 法

(ア) 取付けに際して、ボルト及びナットを使用する場合は、昇降に際して手足に当らないように取り付ける。

(イ) タラップを屋外に取り付ける場合は、関係者以外に使用できないようにし、特に、子供の使用による不測の事故を防止する対策が必要であり、一般的には、最下段の踏子(足掛り)高さを床から2.0m程度とするのがよい。また、足掛り部は、スリップ止め加工とするのがよい。

なお、落下防止対策のための背もたれ付きのものもある。

20章 その他の工事 13.煙突ライニング

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.13 煙突ライニング

(1) 材料

(ア) 「標仕」では、煙突用成形ライニング材は、実績等の資料を監督職員に提出すると規定している。次を参考にして選定するのがよい。

なお、適用安全使用温度は、接続する機械設備の排ガス温度等を基に特記される。

(a) 煙突用成形ライニング材は、ボイラー、冷温水発生機、自家用発電機、コジェネレーションシステムの排気煙突で使用されることを想定している。その他、焼却設備等の排気煙突は、腐食性の高い排ガス成分を含む可能性があり、材料を過度に腐食劣化(はく離、脱落)させるおそれがあるため、別途材料・工法を検討する。

(b) 煙突用ライニング材として実績が多い材料は、ゾノトライト系けい酸カルシウムであるが、他に繊維積層成形ライニング材などの材料もあり、排ガス成分、排ガス温度に対して検証された材料を選定する。

(イ) キャスタブル耐火材

(a) キャスタブル耐火材は煙突底部に排水勾配をとるために使用する。

(b) キャスタブル耐火材は、煙突用ライニング材の製造所の指定する製品とする。

(2) 工 法

ボイラー等の機械設備は建物供用期間の中で更新され、排ガス諸元が変更となる事例が多い。その際、煙突継続使用可否調査を実施することになるが、結果、改修や更新を要する場合がある。改修や更新に対応可能な工法として、ユニット煙突も検討するのがよい。

ここではユニット煙突の工法について、参考に記載する。

(ア) ユニット煙突には、断熱及び煙突効果確保、また、煙突構造体保護のため、煙突用として製造されている成型ライニング材を使用する。

(イ) 煙突は、機械設備の排ガスを安全に大気放出するために、排気能力不足、漏煙、周囲の温度上昇について対策しなければならない。

(ウ) 煙突内径は、点検や改修を考慮し内部作業が可能なサイズが望ましい。煙突本体を撤去更新可能な場合はこの限りではない。

(エ) 煙突吹出し周辺に、排ガスの影響で不具合を発生するような設備、塔屋等がないかを確認する。近年では、数値流体解析技術によって熱拡散状況の検討も可能である。

(オ) 雨水の他、煙突内結露水の排水のため、煙突底部にはキャスタブル耐火材で排水勾配を取り排水管を設ける。キャスタブル耐火材施工後は十分な乾燥養生を行い、強度を確保する。

(カ) 煙突が屋外に設置される場合、寒冷地では点検口周囲に積雪することが予想される。除雪方法も検討するとよい。

(キ) 自家用発電機、コジェネレーションシステムは、機外静圧(背圧)を有するため、排ガスが高流速で煙突に流入する。煙突吹出しに向かって排ガスを誘導するために立上げエルボ又は整流板が必要となる場合がある。

(ク) 区画壁内空気層の換気方法は、下部からの流入空気量、空気層の通風抵抗、上部の排出抵抗を検討し決定する。また、流入空気量が確保されているか設備工事に確認する。

(ケ) 地震力、風圧力、躯体変形の条件は、建物の構造を基に決定する。それによる煙突の建物への反力は、煙突製造所に確認する。

(コ) 煙突の仕上げは、特記を確認する。排ガスが直接触れる部分は高温になるため、ステンレス(SUS304 同程度)が望ましい。

20章 その他の工事 14.ブラインド

20章 ユニット及びその他の工事


2節ユニット工事等

20.2.14 ブラインド

(1) 材料

(ア) 横形又は縦形のブラインドの形式は、「標仕」20.2.14 (1)(ア) では特記によるとしている。

(イ) 横形ブラインド

(a) 横形ブラインドとは、主にアルミニウム合金製のスラットを水平に組み立てたもので、スラットの角度が操作でき、かつ、スラットとボトムレールを昇降できるものをいう。一般窓用、傾斜窓用、天窓用、暗幕用等の種類がある。

(b) 「標仕」では、最も一般的な市販品を想定しているため、適用範囲も限られている。主要構成部分の材種に関しては、ヘッドボックス及びボトムレールは鋼製、アルミニウム合金製、スラットはアルミニウム合金製、樹脂製、木製等がある。「標仕」20.2.14(1)(イ) では、横形ブラインドはJIS A 4801(鋼製及びアルミニウム合金製ベネシャンブラインド)に適合するもので特記によるとされており、特記がない場合はスラットは成形幅25mmのアルミニウム合金製で、ヘッドボックス及びボトムレールの材種は鋼製としている。成形幅35mm及び 50mmのスラットも一般的にはよく使用している。

(c) JIS A 4801における操作方法による横形ブラインドの種類を表20.2.10に示し、その構造を図20.2.10に示す。ただし、「標仕」20.2.14(1)(イ) では、特記がない場合は、ギヤ式と規定している。

表20.2.10横形ブラインドの種類及び記号(JIS A 4801 : 2008)


図20.2.10 横形ブラインドの構造(JASS 26一部修正)

(d) JIS A 4801のスラットの形状及び寸法を、表20.2.11に示す。

表20.2.11 横形ブラインドのスラットの形状及び寸法(JIS A 4801 : 2008)
(ウ) 縦形ブラインド

(a) 縦形ブラインドとは、ヘッドレールに組み込まれた複数のキャリアーにスラットを吊り下げたもので、スラットの開閉、角度調整ができるものをいう。

(b) 「標仕」20.2.14(1)(ウ)では、幅及び高さ並びに開閉方式及び操作方法は、特記によるとされている。特記がなければ、操作方法は、2本操作コード方式とする。スラットは焼付け塗装仕上げのアルミスラット又は消防法で定める防炎性能表示がある特殊樹脂加工のクロススラットとし、適用及び幅は特記によるとされている。

(c) 縦形ブラインドの開閉方式による分類を、表20.2.12及び図20.2.11に示す。

表20.2.12 縦形ブラインドの開閉方式による分類(JASS 26より)


図20.2.11 縦形ブラインドの開閉方式による構成

(d) 縦形ブラインドの操作方法による分類を、表20.2.13及び図20.2.12に示す。

表20.2.13 縦形ブラインドの操作方法による分類(JASS 26より)


図20.2.12 縦形ブラインドの操作方法による構成(JASS 26より)

(2) 工法

(ア) ブラインドの目的は、主として遮光及び遮へいであるが、施工の納まり等のため、設計図書に指定された寸法のままでは現場に合わないことがある。そのため、「標仕」20.2.14(2)では、ブラインドの製作寸法は現場実測寸法と規定している。

なお、横形ブラインド並びに縦形ブラインドの取付け方法による実測方法を図

20.2.13及び図20.2.14に示す。

(イ) 図20.2.13(ロ)の窓枠を覆う納まりの場合、窓の開放時に横型ブラインドが風にあおられると、ボトムレールが膳板にあたり音を発することがあるが、この場合はボトムレールをぜん板より下げるとよい。


図20.2.13 横形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(JASS 26より)

② 高さ(H)

 


図20.2.14 縦形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(JASS 26より)