一次検定 施工管理法 施工計画 1-6 施工計画書

1級建築施工管理技士
学科対策 過去問題【 重要ポイント 】

5 施工管理法
1° 施工計画

1-6 施工計画書
仮設工事、土工事・基礎工事
下記の正誤を判断せよ。

(仮設工事)
①仮設照明用のビニル外装ケーブル(Fケーブル)は、コンクリートスラブに直接打ち込む計画とした。

答え

  ◯

[ 解説 ]
使用電圧が300V以下の低圧屋内配線であって、建設工事用の仮設照明用では、1年以内に限り、ビニル外装ケーブル(Fケーブル)をコンクリート内に直接埋設してもよい。

②乗入れ構台の構造計画に採用する積載荷重は、施工機械や車両などの荷重のほかに、雑荷重として1kN/m2を見込む計画とした。

答え

  ◯

③仮設の荷受け構台は、跳ね出しタイプで上階からワイヤロープでつる構造とし、ワイヤロープの安全係数を10で計算した。

答え

  ◯

[ 解説 ]
荷受け構台の跳ね出しタイプで上階からワイヤロープでつる構造のものは、つり足場と同様、つりワイヤロープ及びつり綱線の安全係数が10以上、つり鎖及びつりフックの安全係数が5以上としなければならない。

(土工事・基礎工事)
④土工事で、ボイリング発生の防止のため、止水性の山留め壁の根入れを深くし、動水勾配を減らすこととした。

答え

  ◯

⑤山留め壁工法における一次根切りでは、山留め壁が自立状態となるので、一次根切り深さを浅くする計画とした。

答え

  ◯

⑥地下水位が高く軟弱な地盤に設ける山留め壁なので、ソイルセメント柱列山留め壁とする計画とした。

答え

  ◯

[ 解説 ]
ソイルセメント柱列山留め壁は、比較的山留め壁の剛性・止水性に優れているので、地下水位が高い砂層地盤や砂礫地盤から軟弱地盤まで広い範囲に適している。


 

⑦水平切梁工法においてプレロードを導入する場合、設計切梁軸力の100%を導入する計画とした。

答え

   ×

[ 解説 ]
水平切梁工法においてプレロードを導入する場合、設計切梁軸力の50〜80%程度の荷重により段階を追って均等に加える


  

⑧親杭横矢板工法において、横矢板が親杭のフランジからはすれないように、桟木又はぬきを横矢板の両側に釘で止める計画とした。

答え

  ◯

⑨高層建物で敷地全般にわたり深い地下掘削を行うので、逆打ち工法を採用する計画とした。

答え

  ◯

一次検定 施工管理法 品質管理 3-10 材料の保管又は取扱い

1級建築施工管理技士
学科対策 過去問題【 重要ポイント 】

5 施工管理法
3° 品質管理

3-10 材料の保管又は取扱い
下記の正誤を判断せよ。

①高力ボルトは、現場受け入れ時に包装を開封し、全数を確認してからシートを掛けて保管する。

答え

  ×

[ 解説 ]
高力ボルトは、包装の完全なものを未開封状態のまま工事現場に搬入し、乾燥した場所に規格種別、径別、長さ別に整理して保管し、施工直前に包装を開封する

②被覆アーク溶接棒は、吸湿しているおそれがある場合、乾燥器で乾燥してから使用する。

答え

  ◯

③防水用の袋入りアスファルトを積み重ねるときは、10段以上積まないようにして保管する。

答え

  ◯

④砂付ストレッチルーフィングは、ラップ部分(張付け時の重ね部分)を上に向けて立てて保管した。

答え

  ◯

[ 解説 ]
アスファルトルーフィング類は、吸湿すると施工時に泡立ちや耳浮き等の接着不良になるため、乾燥した場所で保管する。

⑤シーリング材は、有効期間を確認して、高温多湿や凍結温度以下にならない場所に保管する。

答え

  ◯

⑥裸台で運搬してきた板ガラスは、屋内の床に、ゴム板を敷いて平置きで保管した。

答え

   ×

[ 解説 ]
裸台で運搬してきた板ガラスは、床への平置きは避け、床にゴム又は木板を敷き、壁にもゴム板等を配し、ガラスを立てかけるが、木箱、パレットあるいは車輪付き裸台で運搬してきたガラスは、載せたままで保管する。

【関連】
木箱入りのガラスは、裸板の場合と同様に85° 程度の角度で、立置きする。異寸法のものが混ざる場合には、大箱を先に置き、小箱を後から重ねる。

⑦ロール状に巻いたカーペットは、屋内の乾燥した場所に、縦置きにして保管した。

答え

   ×

[ 解説 ]
ロール状に巻いたカーペットは、横置きにし、変形防止のため2~3段までの俵積みで保管する

【関連】
床シート類は、横積みにすると重量で変形するおそれがあるので、屋内の乾燥した場所に直射日光を避けて縦置きにし、転倒防止のためロープ等で固定し保管する。

⑧フローリング類を屋内のコンクリートの上に置く場合は、シートを敷き、角材を並べた上に積重ねて保管する。

答え

  ◯

⑨壁紙張りの巻いた材料は、くせの付かないように横にして保管する。

答え

   ×

[ 解説 ]
壁紙張りの巻いた材料は、井桁積みや横積みにするとくせがつくので、立てて保管する

⑩断熱用の押出法ポリスチレンフォームは、反りぐせ防止のため、平坦な敷台の上に積み重ねて保管する。

答え

  ◯

その他の工事現場における材料の保管又は取扱い

セメントプラスターは、湿気を防ぐため、上げ床のある倉庫等で保管し、積上げ高さあまり高くせず、搬入期日ごとに区分し保管する。

ALCパネルの積上げは、反りやねじれ、損傷が生じないように、所定の位置に台木を水平に置き、積上げ高さは1段を1.0m以下として2段までとする。

プレキャストコンクリート床部材を積み重ねて平置きとする場合は、上部の部材の台木と下部の部材の台木の位置は同じになるようにする。

メタルカーテンウォールを集中揚重・分離取付けとする場合の部材の保管場所は、小運搬距離や経路上の障害に配慮し確保する。

●張り石工事に用いる石材の運搬は、仕上げ面、稜角を養生し、取付け順序を考慮して輸送用パレット積みで行う。

実践13 仕上工事6 防水工事1

1級建築施工管理技士 実践13 仕上工事6 防水工事1

建築施工管理者にとって屋根防水工事はもっとも重点管理するべきものの項目のひとつである。

日本においては、RC造、SRC造、S造、その他ほとんどすべての建物に、雨水の侵入防止と、建物自体の耐久性向上のために、屋上に防水が施されている。
屋上のコンクリート躯体そのものには全く防水性能は期待できない。その理由は以下による。

・コンクリートそのものは、水和反応により硬化し、収縮するので、その表面には微細な収縮亀裂が発生する。
・立ち上がり部等の打継ぎ部分にごくわずかな水の道ができる。
などである。
通常、屋上防水にはアスファルト防水工法を採用するが、その他、シート防水、塗膜防水などの採用できる場合もある。
材料や工法は進歩してはきているが、漏水問題も後は立たないので、建築施工管理者にとっては、品質管理上、最も重要な工事である。

アスファルト防水は下地づくりからはじまる

日本では、屋上の防水工法と言えばアスファルト防水工法である。今でもアスファルト防水工法は信頼性がもっとも高く、経済的な工法である。
しかし、アスファルト防水工法の欠点は、釜焚きの煙や臭いが近隣に迷惑をかけるので、その都度事前に最寄りの消防へ連絡を入れる必要がある。
そこで、最近では改質アスファルト工法が採用されるケースも増えてきている。
アスファルトに合成ゴム系の材料を混ぜて、低温時の柔軟性を増して施工性を改善したものである。
シート状にしたものをバーナであぶり、溶かしながら下地に張り付けていく工法や、粘着層付きのルーフィングを使用する方法、両方の混合方法などがある。
アスファルト防水工法も改質アスファルト防水工法も、”下地づくり”が命である。
屋上は夏場には強い日差しを受け、冬場には外気や積雪などで冷やされるといった過酷な状況下にあるため、防水材と押えコンクリートは、一年中伸縮を繰り返すことになり、表面の温度差は40〜60℃若しくはそれ以上にもなり得る。
そのような厳しい環境下で、保証期間の10年はもちろん、それ以上の長期期間にわたって性能を維持することは困難な問題である。
管理のポイントは下地づくりと押えコンクリートにある。
下地づくりでの注意点は、躯体コンクリートの健全性と平滑性である。打継ぎ部分の処理や立上がりの”入り隅、出隅”の丸みづくり、そして、パラペットなどの立上がり部の防水層の十分な立上がり高さの確保である。
押えコンクリートの管理ポイントは、直射日光を受けて伸縮する応力を吸収するため、パラペットの周囲には切れ目なくエキスパンションジョイントの目地を配置することにある。その他の一般部は、3m × 3m程度に規則ただしいエキスパンションジョイントを設置する。
押えコンクリートの厚さは60mm以上(断熱工法では80mm以上)は確保したい。

そのほかの防水工法の選択

そのほかに、使用頻度の高い簡易な屋上防水として、シート防水やウレタン塗膜防水工法がある。
露出シート防水は鉄骨構造の屋上に使用されることが多い。
下地の動きに対する追従性がよく、軽量化を好む構造に適しているのがその理由である。
シート防水の進化によって、最近は数種類の材料が選択できるようになった。
代表的な材料には、塩化ビニルシート(PVC)、EPDMゴムシートがある。
塩化ビニルシートは意匠性・耐衝撃性にすぐれ、EPDMゴムシートは耐候性に優れている。
露出防水には屋上歩行を許す場合とそうでない場合があるが、一般的にはメンテナンスを行うルートを決めて、その部分に、増張りをする対策が多い。
この場合の施工上の大切な注意点は、やはり下地の乾燥である。
一方、ウレタン塗膜防水工法も、住宅のベランダなど簡易な防水工法として普及している。この場合もやはり、下地コンクリートの平滑度、立上がり部の均一な丸み、そして十分な下地の乾燥が重要である。
ウレタン塗膜防水は均一な塗厚の確保が必要で、また、この工法は数年後再び塗り重ねることができるので、メンテンアンスが容易であるのがメリットである。
リフォームにも多く利用されている。

建築施工管理者として、結露対策を強化する

結露のクレームは以前として多いので、、結露防止は、建築施工管理者にとっても重要な問題である。
設計図をよく読んで、結露対策が十分であるかどうかを吟味する必要もある。
結露は室内側の湿度と室外側の温度、そしてその境界にある壁や断熱材の性能など、さまざまな条件が
重なって起きるので原因究明や対策が難しい。特にマンションの押入れや、本棚の後ろの風通しの悪い部分に集中する。
一般的には、室内側に湿気が多くて風通しが悪く、室外に急激な気温の低下があると、室内側に表面結露が発生し、間仕切り内に内部結露が発生する。
木造住宅の場合は、壁の断熱性能を高め、室内の湿気を壁の中に通さないような防湿層を仕上げ材の裏に取り付けるか、空気層を設けるなどして、熱と水蒸気の伝達を遮ると効果がある。
また、窓ガラスなどは真空層をもった複層ガラスを採用するか、二重窓にするかなが一般的な対策である。
しかし、それでも窓ガラスの内側に結露が発生し、室内を濡らすおそれがあるので、サッシュの下端に結露受けのあるサッシュを選択したい。

実践18 解体工事1 都心ビル

1級建築施工管理技士 実践18 解体工事1都心ビル

1964年の東京オリンピックを目指して、都心ではビル建設ラッシュが始まったが、それからすでに50年以上が経過し、社会情勢も大きく変化した。

その間に建築基準法や容積率も改定され、都市再開発が各地で進めされている。
再開発では、まず建築のリユース、リサイクル、リフォーム、そしてスクラップアンドビルドが検討される。

その場合、躯体の解体方法、建設廃棄物処理、石綿などの適正処理などが問題となる。
一方、世界の先進国では、ダイナマイトや鉄球などが今も解体工事の主流であり、それは経済性を優先する考え方からきている。
しかし、日本では破砕機(はさいき)と大倒しが主流である。
狭い敷地に立っていることや、乱暴な解体工法は環境規制で許されていない。
最近、大手ゼネコンはこぞって環境対策を優先した新工法を行っている。
その意味では、日本が解体工法の先進国であり、世界から注目を浴びている。

ビルの解体工事と問題点

(危険と隣合わせの解体工事)
市街地の建物を解体する上で最も注意しなければない事は、災害防止であり、近隣への環境対策である。
日本では通常、解体する建物の屋上に破砕機をもつ建設機械を乗せて、上階から順次解体する方法がとられる。
その場合災害防止を最優先するために、音や振動のきわめて小さな油圧の破砕機を使用する。

破砕中、コンクリートくずが埃が外部に飛散しないように、解体する建物を防音パネルで囲い、解体中は十分散水するとともに、外壁を最後まで残すなどの施工手順を工夫し、飛散防止の工夫を行っている。
したがって、安全な作業手順は、以下の手順によるものとなる。

 ①外壁を自立させず残し、

②スラブ落とし、

③梁を切断して取り外し、

④外壁を内側に倒し、

⑤最後にそこを砕いて、

⑥仮設開口から下階に落とす

⑦それを繰り返して、
順次下に降りてくる。

通常の建物であれば、3〜6ヶ月が適正な工期になる。
ただし、安全管理は特別な注意が必要である。
今でも、残した壁が反対側に倒れる事故がある。
転倒防止に引いていたワイヤが切れて、その反動で外側に倒れる。
施工計画と手順については十分に検討する必要がある。
躯体の解体に先立ち、忘れてはならないことに、アスベストなどの有害物質の調査と適正処理計画がある。
アスベスト法律が定められたので、一般の産業配廃棄物よりも厳重な管理が求められる。
廃棄物処理法に基づき、厳正に処理しなければならない。
そのほかの内装材については、躯体の解体工事に先立って、解体搬出をするが、リユースできるものと処分するものの選別、そして廃棄物の分別搬出を行う。

地下室の解体方法の選択

(地下室の解体はどうするのか)
市街地の多くのビルは、地下室をもっており、しかも敷地いっぱいに立っていることが多い。
通常の地下解体には、
①地下外壁の処理、
②地下湧水の対策、
③地下躯体の解体の方法
などの問題点が伴う。
まず、地下外壁を残すか、撤去するかがが問題になるが、多くの場合は近隣への影響を最小限にするために、地下外壁をそのまま残し、その内側に新築建物外壁を構築することが多い。
しかし、やむなく解体する場合は、グランドレベルに大型三点ヤグラを設置し、既存の地下外壁の真上から、ロックオーガーマシンで削孔して、いったんソイルセメントの充填を行う。
ソイルセメントが固まる時間を待って、その後、仮設山留め壁を設ける場合が多い。
ただし、この工法はきわめて原価が高く時間もかかるので、最後の選択肢にしたい。
最近都心部では地下水が戻っていると言われている。
井戸水をくみ上げなくなり、地下鉄工事も一巡したことによると考えれれる。
都心の一部の地域では砂礫や砂層に被圧された地下水脈がある。
もしそこをなんらかの理由で貫通すると、膨大な地下水が一気に吹き出してしまう。
したがって、地下工事の解体であってもの、それが深くなる場合や、既存の杭の引抜きも行う場合は、大きな地下水吹上げリスクになる。
そのため、その懸念がある場合は、プレボーリングを行い、地下水の状況を確認した上で、先行して地下水位を下げる処置を行う必要がある。
地下躯体の解体の問題点は、破砕機をもつ重機が十数トンになるので、既存のスラブでは支持できない。
どのような補強のサポートで対応するかが重要になる。通常は仮設の強力サポートを使用するが、スパイラルダクトと貫通孔を利用した仮設のRC柱も有効である。
その他の注意点としては、重機の排気ガス対策である。重機の排気ガスを減らす措置と、地下空間の十分な換気を行い、作業員の健康管理に留意する。
具体的な地下解体に関する計画は、以下の項目について検討を加える。
①重機のサポート方法
②地下外壁の解体工法と手順
③基礎の解体工法と手順
④既存杭の処理計画
⑤地下の湧水対策

超高層ビル解体現場の最先端工法

ゼネコン各社は、都心部の高層ビルの無振動無騒音解体工法の開発にしのぎを削っている。
霞ヶ関ビルで始まった超高層建築ブームからもうすでに約50年、その間に建設された超高層ビルは1000棟以上になるという。
それらの超高層ビルも徐々に建替えのニーズが到来しつつある。
超高層ビルは、今までとは異なる解体工法が望まれる。
すなわち、振動、騒音以外に、高さによる風や地震や落雷などの影響を受けやすいので、全天候型の解体工法開発が主流となっている。
K社のだるま落とし工法、T社のHAT DOWN工法などが代表的である。

実践25 建物の維持保全サポート

1級建築施工管理技士 実践25 建物の維持保全サポート


FMシステム(Facility Management System)

建物の寿命や資産価値は維持保全の状況により差が生じる。
建物は所有者それぞれの固有資産であるとともに、都市を構成する社会的資産でもある。
建物を資産として長期にわたり有効に活用するために、建物情報(図面や設備機器の仕様等)と保全情報(故障履歴や修繕履歴等)の多岐にわたる膨大な情報量を、コンピューターを活用して建物の維持保全、施設の運営・管理の業務をサポートするのがFMシステムである。

①FMシステムとして一元管理

建物カルテは製本やファイルに整備して保管されるが、同時に電子データ化して活用される。
設備機器の更新や改修の維持保全が行われる度に、データを更新しておく。
FMシステムを導入すれば、効率的で高度な維持管理ができるが、専門的な知識と支援ツール等が必要となる。
建築主にFMシステム導入への適切な助言や支援をすることは、建物を維持管理していくためにも重要である。


FMシステムの概念図

②内外装仕上げ材や保守用機器は専用倉庫で保管

外装材や外構の床タイル等が破損した時は、同じ材料で補修する必要がある。
内装材でも特注した材料は、メーカー名や製品番号を整理し、予備品として保管しておくと安心である。
防潮板(防水板)などはあらかじめ専用倉庫に保管しすぐに設置できるようにしたい。
台車やメンテナンス用の備品も倉庫等の場所を決めて保管する。

1級建築施工管理技士 内装仕上 環境にやさしい材料とは?

建築品質 内装仕上工事


85)環境にやさしい材料とは?

建築工事では建築計画や設計段階での取り組みに加えて、実施設計や施工段階でも環境に配慮した持続可能な社会や低炭素社会などの実現に向けた取り組みが求められている。

1.環境破壊や健康被害を起こす材料

環境破壊や健康被害を起こす次の材料は建築基準法で使用を禁止または制限されている。

①中皮腫やがんなどを引き起こす恐れのあるアスベストPCB
②シックハウスを引き起こす揮発性化合物(VOC)
③低温燃焼時にダイオキシンを発生する塩化ビニル樹脂
④オゾン層破壊物質であるフロン

VOCの発散が少ない建材、ノンフロン断熱材やCO2排出の少ない環境に配慮した材料を使用しなければならない。

2.室内空気環境では換気を基本

シックハウス対策の材料を使用しても、気密性が高い室内にすると健康に良くはない。

①CO2の濃度が1000ppmを超える居室は換気が不十分であり、さらに空気環境が悪化すれば、頭痛・めまい・倦怠感・吐き気など人体に悪影響を及ぼす。

②ガス燃焼器具(ガスコンロ・給湯器等)を使用する調理室には機械換気設備が義務付けられている。換気設備の能力が十分に発揮できずに、COの濃度が10ppmを超える居室は換気不足で不完全燃焼による一酸化炭素中毒を引き起こす恐れがある。

「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(略称:ビル管法)」や「建築物環境衛生管理基準(建築基準法・施行令第129条の2)」では24時間換気と適切な換気が行われているか、風量の測定等の定期測定並びにその報告の提出が義務付けられている。
注)延べ3,000m2以上の事務所、百貨店、興業場が対象で、住宅、学校及び病院は除外されている。

3.「F☆☆☆☆」仕様の建材の採用(シックハウス対策)

シックハウスやシックビル症候群の原因となる揮発性有機化合物(VOC)、特にホルムアルデヒドは内装材である壁紙の接着剤やフローリング、キッチンキャビネット、クロゼットなどに使用される合板やパーティクルボードに含まれるもので、喉や目の痛み、吐き気や頭痛などを引き起こす。木製(合板やパーティクルボード製)の造付け家具などは製作工場での品質管理まで徹底しなければならない。

建築基準法では、建築材料を第1種~第3種のホルムアルデヒド発散建材に区分し内装仕上げとして使用可能面積の制限や使用禁止等の規制がなされ、ホルムアルデヒドの発散量を最も抑えた「F☆☆☆☆」仕様の建材の採用を推奨している。
接着剤及び塗料は、ホルマリン不検出のものとし、トルエンやキシレンの発生の原因となる有機溶剤の含有の少ないものを使用し、壁紙、木工用接着剤等に含まれる可塑剤は、難揮発性のものを使用する。木材保存剤(木材の防腐・防蟻処理剤)は、非有機リン系とし、工場において加圧式防腐・防蟻処理等を行い、十分に乾燥した後に搬入し、現場における塗布または吹付けは、現場において加工した箇所のみとするなどが重要である。


建築基準法におけるホルムアルデヒド規制

1級建築施工管理技士 内装仕上 集合住宅の騒音・振動対策

建築品質 内装仕上工事


86)集合住宅の騒音・振動対策

集合住宅の生活音には、建物の床や壁など躯体の振動で伝わる個体伝搬音と話し声や音楽など空気の振動によって伝わる空気伝搬音がある。この二つの音が複合的に混在し伝わって、集合住宅の騒音、振動のクレームにつながる。空気伝搬音は住戸間界壁や床、天井の下地材や仕上げ材の他、外装サッシの遮音性能などの影響を受ける。

設計条件として要求遮音性能値を明確にしても、反射や共鳴・共振・施工誤差等の不確定な要因のために竣工時の遮音性能を正確に予測することは困難である。住宅性能評価を受ける場合は、設計者、施工者は事業主と協議し、住戸の遮音性能を確認するための測定調査費用の予算を見込んでおくことが必要である。

1.外部からの騒音を軽減する

外部騒音を軽減するには、防音サッシが給気口からの音の伝搬を軽減させる消音ボックスを採用する。騒音が大きな道路に面した集合住宅では、T-3等級以上の防音合わせガラスのサッシを採用するのが望ましい。

> 049 建具に必要な性能

2.隣戸とのプライバシーに配慮した住戸間界壁

日本建築学会では住戸間界壁の遮音等級(室間平均音圧レベル差)はD-50を推奨している。乾式間仕切りを採用する場合は、各種取合い部分で遮音が低下するため、カタログデータの1ランク良いものを採用するほうが望ましい。

3.上下階の床の衝撃音と振動

集合住宅で最も厄介であるのが、家具などを動かす音などの軽量床衝撃音(LL)と子どもが走る音などの重量床衝撃音(LH)である。LLは床仕上げ材をクッション性の材料にしれば解決するが、LHは床版が振動して下階に伝わるため、振動を伝えにくい仕上げ材の使用、防振二重床の採用、躯体床の剛性確保(梁に囲われた面積(拘束面積という)を小さくするか、床スラブを厚くする)、下階の天井を防振吊りにし、天井裏に吸音材を敷設するなどが必要である。日本建築学会では床衝撃音の性能基準をして、LHはL-50、LLはL-45を推奨している。

4.機械室からの躯体の伝搬音と振動

機械式立体駐車場やエレベーター、ポンプ室、電気室などの機械が発する騒音や振動は躯体伝播で伝わるため、騒音を防ぐのは困難である。これらの設備室は別棟にすることが原則であるが、どうしても同じ棟に設けなければならない場合は、防振浮き床や浮き基礎にし、配管も防振吊りにする等、躯体と縁を切る、機械室内を吸音するなど徹底した防振防音対策が必要である。

5.その他の騒音源と振動

①玄関エンジンドアの駆動音や振動が上階居室に伝播する。エンジンドアは防振低騒音タイプをし、設置部分には防振装置を設置する。

②深夜には共用廊下や階段の歩行音がクレームになるケースもある。階段が鉄骨造の場合は段床にPCa版を採用するなどとし、床にはビニルシート等を張る。

③金属折板でできた庇や屋根で、断熱材が施工されていない場合は雨音に対する防音対策が必要となる。

集合住宅の騒音・振動対策

1級建築施工管理技士 設備工事 設備インフラを引き込むとき

建築品質 設備


90)設備インフラを引き込むとき

建築が実際に機能するには、都市インフラと建築設備を敷地内で接続しなければならない。ここでの都市インフラは、電気、通信、上水道、下水道、ガスなどを示す。その接続部は検針や点検が必要で、設置には制限もある。大事なアプローチ部分に無造作に設置されたりすることもある。引込みの方法や位置、仕上げに関しては、建築と設備の担当者が協議して、納める。

1.敷地周辺のインフラ調査

敷地に接する道路にある既設のインフラ(電気、通信、上水道、下水道、ガスなど)について、地中埋設管や架空配線の位置や径などを調査・確認することは重要である。例えば、公共下水管の位置と敷地最終会所の位置は正確に調査・測量する必要がある。この測量により、敷地内排水管から下水本管へ自然勾配で接続できるようように計画することができる。

2.電気・通信の引込みは引込み専用柱とする

架空配線の市街地では、電力ケーブルを通信線を電柱から敷地内に引き込むことになる。建物に取り付けたブラケットに直接引き込むのは建築を傷つけることになり、体裁もあまりよくはない。電柱から敷地内に立てた引込み専用柱を経て、地中配管配線で建物内に引き込む計画とする。また、住宅では電力メーターの検針が道路側からできるように、メーター取付け位置やその意匠にも配慮したい。


電力の引込み


外壁に直接引き込んだ例

3.上下水道、都市ガスの敷地内の納まり

上下(市水)を引き込んだところに量水器を設け、道路側から検針ができなければならない。下水は敷地の最終会所(マンホール)を道路際に設けることになる。敷地が狭い場合、玄関へのアプローチ上に下水のマンホールや量水器があり、毎日その上を歩くことになりかねない。都市ガスの引込みも同様である。ガスメーターやガスの遮断弁を道路際に設けることになる。電力メーターや量水器、ガスメーターなどは1ヶ所にまとめて、意匠的に処理したいものである。また、上下水道やガスの配管類は、外部から建屋内の土間下にトレンチを設けて納めるとメンテナンスや維持管理がし易くなる。


上下水道ガスの引込み


アプローチはすっきりと