14章 金属工事 8節 手すり及びタラップ

14章 金属工事

8節 手すり及びタラップ

14.8.1 適用範囲

(a) この節は,建物内外部の手すり及びタラップを対象としている。

(b) 作業の流れ(手すり(アンカー先付け)の場合)を図14.8.1に示す。


図14.8.1 手すり工事の作業の流れ

(c) 施工計画書等

(1) 施工計画書の記載事項は、おおむね次のとおりである。
なお、赤文字を考慮しながら品質計画を作成する。
① 工程表(必要に応じて場所別の工程表の作成)
② 製造所名、施工業者及び管理組織
使用材料の材質(あと施工アンカーも含む)、寸法
工法管理の方法等

⑤ 施工手順及び養生方法

(2) 施工図の検討は、次の事項について行う。

(i) 場所別割付け図

(ii) 各部取合いの納まり

(3) 見本品又はカタログを提出させ、設計担当者と打ち合わせて決定する。

14.8.2 手すり

(a)材料・仕上げ

(1) 手すりに用いる金属材料は、多くの場合、鋼、ステンレスあるいはアルミニウム合金である。

(2) アルミニウム合金の表面処理は、通常2節に記述したとおりであり、設計図書に指定される。

(3) 鋼製品の塗装

鋼製品の錆止め塗装は、工場で行われることが多いが、「標仕」表18.3.1により、屋外の手すりの類の塗装についてはA種とし、屋内についてはB種を標準としている。

(4) BL認定部品

(-社)ベターリビングでは、住宅の廊下・バルコニー・窓等に使用する手すりについて基準を設け、強度等各種の試験に合格したものをBL認定部品としている。

(b) 工 法

(1) 手すりと手すり支柱又は手すり子との取合いは、鋼製以外は通常小ねじ留めにする。安全のため小ねじは、手すりの中に入れて留めるものが多い(図14.8.2参照)。ステンレスは溶接する場合もあるが、溶接部の取合いの仕上げには注意する必要がある。

一般的な手すりの例を図14.8.3に示す。


図14.8.2 手すりと手すり支柱又は手すり子との取合い

 


 図14.8.3 一般的な手すりの例

(2) 溶接は3節による。

(3) 手すりが長くなる場合には金属の温度変化による部材の伸縮を考慮して、伸縮調整部を設けるのがよい(通常 5~10m間隔程度)。伸縮調整部を設ける間隔及び伸縮調整幅は、使用する金属の膨張係数を考慮して決めるのが望ましい。

部材伸縮の目安(温度差40℃の場合)は、鋼は1m当たり0.5mm程度、アルミニウム合金は1m当たり1.0mm程度である。

伸縮調整部の例を図14.8.4に示す。


図14.8.4 伸縮調整部

(4) 手すりの小口は、安全性,美観等を考慮して、「標仕」では同材でふたをする ことにしているが、共色(ともいろ)の樹脂製キャップが用いられることもある。その場合は、取換えが可能な納まり及び形状とする。

(5) 手すり支柱はコンクリートあるいはモルタルの中に入る部分であっても、錆止めの処置を行うことが望ましい。

なお、モルタル充填に際して、こて押え等が不十分になりがちなため、充填を確実に行う。

取付け例を図14.8.5に示す。


図14.8.5 手すりの取付け

14.8.3 タラップ

(a) 材料・仕上げ

(1) タラップに用いる金属材料は、通常鋼及びステンレスが用いられる。
(2) タラップに用いられる金属材料の表面処理の種別は、2節による。

(3) 塗装については18章による。

(b) 工 法

(1) 取付けに際して、ボルト及びナットを使用する場合は、手足に当らないように取り付ける。

(2) タラップを屋外に取り付ける場合は、関係者以外に使用できないようにし、特に、子供の使用による不測の事故を防止する対策が必要であり、一般的には最下段の踏子(足掛り)高さを床から2.0m程度とするのがよい。また、足掛り部は、スリップ止め加工とするのがよい。

なお、落下防止対策のための背もたれ付きのものもある。

20章 その他の工事 6.手すり

20章 ユニット及びその他の工事
02節ユニット工事等
20.2.6 手すり
(1) 材料・仕上げ
(ア) 手すりに用いる金属材料は、多くの場合、鋼、ステンレスあるいはアルミニウム合金である。
(イ) アルミニウム合金の表面処理の種別は、「標仕」14.2.1 (1)により、設計図書に特記される。
(ウ) 鋼製品の塗装
鋼製品の錆止め塗装は、工場で行われることが多いが、塗料の種別及び適用箇所は、「標仕」表18.3.1による。
(エ) BL認定部品
(-財)ベターリビングでは、住宅の廊下・バルコニー・窓等に使用する手すりについて基準を設け、強度等各種の試験に合格したものをBL認定部品としている。
(2) 工法
(ア) 手すりと手すり支柱又は手すり子との取合いは、鋼製以外は通常小ねじ留めにする。安全のため、小ねじは、手すりの中に入れて留めるものが多い(図20.2.1参照)。ステンレスは溶接する場合もあるが、溶接部の取合いの仕上げには注意する必要がある。
図20.2.1_手すりと手すり支柱又は手すり子との取合い.jpg
図20.2.1 手すりと手すり支柱又は手すり子との取合い
(イ) 外部に設置する手すりで、風による微振動や熱伸縮などの影響を受ける部位にボルトや小ねじを使用する場合は、緩まない方法にて取り付けるよう注意する。
一般的な手すりの例を図20.2.2に示す。
 図20.2.2_一般的な手すりの例(手すり子タイプ).jpeg
 図20.2.2_一般的な手すりの例(パネルタイプ).jpeg
図20.2.2 一般的な手すりの例
(ウ) 溶接は14章3節による。
(エ) 手すりが長くなる場合には、金属の温度変化による部材の伸縮を考慮して、伸縮調整部を設けるのがよい(通常5~10m間隔程度)。伸縮調整部を設ける間隔及び伸縮調整幅は、使用する金属の膨張係数を考慮して決めるのが望ましい。
部材伸縮の目安(温度差40℃の場合)は、鋼は 1m当たり0.5mm程度、アルミニウム合金は 1m当たり1.0mm程度である。
伸縮調整部の例を図20.2.3に示す。
図20.2.3_伸縮調整部(壁付きの場合).jpeg
図20.2.3_伸縮調整部(一般の場合).jpeg
図20.2.3 伸縮調整部
(オ) 手すりの小口は、安全性、美観等を考慮して、同材でふたをしたりするが、共色(ともいろ)の樹脂製キャップが用いられることもある。その場合は、取換えが可能な納まり及び形状とする。
(カ) 手すり支柱は、コンクリートあるいはモルタルの中に入る部分であっても、錆止めの処置を行うことが望ましい。
なお、モルタル充填に際して、こて押え等が不十分になりがちなため、充填を確実に行う。
取付け例を図20.2.4に示す。
図20.2.4_手すりの取付け.jpg
図20.2.4 手すりの取付け

1級建築施工管理技士 バルコニー工事 手すり強度

建築品質 バルコニー  balcony


016) バルコニーの手すりは丈夫に

集合住宅のバルコニー手すりは、子どもが落ちないようにつくるのはもちろんであるが、恐怖感がないように、しかもいつまでも丈夫で安心・安全な手すりにした。

1.手すりの足元は強固に固定する

最も確実で汎用性があるのは、バルコニー先端に立上り躯体に手すり支柱を埋め込む方法である。こうすると縦格子やガラス手すりなど自在である。
手すり支柱を両側の鉄筋の間に設置し、ひび割れ誘発目地底から鉄筋のかぶりを確保すると鼻先コンクリートの厚さは最小190mmとなる。スリーブ径70mm、支柱径50mmとし、150mm以上埋め込む必要がある。
手すり足元は錆びないようにSUS材とする。

2.転落防止には細心の注意をはらう

縦格子の手すりでは、縦格子の隙間から子どもがすり抜けて落ちてはいけない。格子の隙間は110mm以下、足元の隙間は90mm以下にする。
ガラス手すりは、ガラスが割れて落下しないように、合わせガラスを採用する。飛散防止フィルムは経年劣化があるので、特に外部には不適である。
バルコニーのエアコン室外機などが足がかりとなれば転落の危険がある。足を掛けないように三角帽子をかぶせるか、手すり高さを上げて足がかりから手すり天端までの間隔を850mm以上離すなどの対策が必要である。

3.窓から転落することもある

窓台が650mm未満の低い位置に窓を設けた場合、開けた時に転落しないように手すりを設けるか、サッシに開放制限のあるものを採用する。

4.その他の注意点

上階のバルコニーに当たった雨水が水滴となり下階の金属手すりに落ちると、騒音となる。水切り位置をあらかじめ調整し、手すりの部材を厚くしたり、手すり金物に消音材を充填するなどの対策をとる。