1級建築施工管理技士 令和03年 学科 問題3 解説

令和3年 1級建築施工管理技士 一次 問題3解答解説

※ 問題番号[ No.21 ]~[ No.30 ]までの 10 問題のうちから、7問題を選択し、解答してください。

[ No.21 ]
乗入れ構台及び荷受け構台の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.クラムシェルが作業する乗入れ構台の幅は、ダンプトラック通過時にクラムシェルが旋回して対応する計画とし、8m とした。

2.乗入れ構台の高さは、大引下端が床スラブ上端より 30 cm 上になるようにした。

3.荷受け構台への積載荷重の偏りは、構台全スパンの 60% にわたって荷重が分布するものとした。

4.荷受け構台の作業荷重は、自重と積載荷重の合計の 5%とした。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

使用する施工機械、車両、アウトリガーの幅、配置及び動線等により決定する。通常、計画される幅員は、4~10mである。最小限 1車線で 4m、2車線で 6m程度は必要である。また、クラムシェルが作業する乗入れ構台の幅は、ダンプトラック通過時にクラムシェルが旋回して対応する計画とし、8~10mとする。

2.◯

乗入れ構台の大引下端は、躯体コンクリート打設時に床の均し作業ができるように、1階スラブ上端より20~30 cm程度上に設定する。

3.◯

荷受け構台を構成する部材については、積載荷重の偏りを考慮して検討し、通常は構台全スパンの60%にわたって、積載荷重が分布するものと仮定する。

4.×

荷受け構台の構造計算に用いる作業荷重は、自重と積載荷重の合計の10% とする。(JASS2)[ 平成26年 問題21 ]

[ No.22 ]
地盤調査及び土質試験に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.常時微動測定により、地盤の卓越周期を推定することができる。

2.圧密試験により、砂質土の沈下特性を求めることができる。

3.電気検層(比抵抗検層)により、ボーリング孔近傍の地層の変化を調査することができる。

4.三軸圧縮試験により、粘性土のせん断強度を求めることができる。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

常時微動を測定することにより、地震時の地盤の振動特性を調べることができ、その地盤の卓越周期を推定することができる。

2.×

圧密試験粘性土に荷重を加え、地盤の沈下を解析するために、必要な沈下特性(沈下量と沈下速度)を測定する試験である。[ 令和元年 問題22 ]

3.◯

電気検層(比抵抗検層)は、ボーリング孔内で地層の電気比抵抗を測定することにより、地層の厚さ連続性帯水層を把握し、地層変化を推定することができる。

4.◯

粘性土のせん断強度は、一面せん断試験、一軸圧縮試験、三軸圧縮試験によって求めることができる。

[ No.23 ]
既製コンクリート杭の施工に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.砂質地盤における中掘り工法の場合、先掘り長さを杭径よりも大きくする。

2.現場溶接継手を設ける場合、原則としてアーク溶接とする。

3.現場溶接継手を設ける場合、許容できるルート間隔を4mm 以下とする。

4.PHC 杭の頭部を切断した場合、切断面から 350 mm 程度まではプレストレスが減少しているため、補強を行う必要がある。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

中堀り工法においては、周囲の地盤を緩めることになるため、掘削中に必要以上に先掘りを行ってはならない。特に、砂質地盤の場合には緩みがはげしいので、先端の長さは、杭径以内になるように掘削すを行う。(JASS4)[ 平成23年 問題24 ]

2.◯

既製コンクリート杭に現場溶接継手を設ける場合は、原則としてアーク溶接とする。

3.◯

現場溶接継手を設ける場合のルート間隔は 4mm以下とする。(JIS A 7201:2025 既製コンクリートくいの施工標準)なお、ルート間隔とは、ルート面における部材間の間隔のことである。

4.◯

PHC杭(プレテンション方式遠心力高強度プレストレストコンクリート杭)の杭頭を切断した場合は、切断面からプレストレスが減少しているので、設計図書により補強を行う。(建築工事監理指針)

[ No.24 ]
鉄筋のガス圧接に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.SD345 のD29を手動ガス圧接で接合するために必要となる資格は、日本産業規格(JIS)に基づく技量資格1種である。

2.径の異なる鉄筋のガス圧接部のふくらみの直径は、細い方の径の 1.4 倍以上とする。

3.SD 490 の圧接に用いる加圧器は、上 限圧及び下限圧を設定できる機能を有するものとする。

4.圧接継手において考慮する鉄筋の長さ方向の縮み量は、鉄筋径の 1.0 ~1.5 倍である。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

SD345のD29を手動ガス圧接で接合するために必要となる資格は、日本産業規格(JIS)に基づく技量資格2種である。圧接技量資格種別の1種の場合は、作業可能な鉄筋径はD25以下に限られる。[ 平成25年 問題26 ]

1種 径25mm以下、呼び名 D25まで

2種 径32mm以下、呼び名 D32まで

3種 径38mm以下、呼び名 D38まで

4種 径50mm以下、呼び名 D51まで

2.◯

径の異なる鉄筋のガス圧接部のふくらみの直径は、細い方の鉄筋径の1.4倍以上とする。

3.◯

SD490の鉄筋を圧接する場合は、鉄筋断面に対して 40MPa以上の加圧能力を有し、上限圧及び下限圧を設定できる機能を有するものとする。(鉄筋のガス圧接工事標準仕様書:日本鉄筋継手協会)

4.◯

ガス圧接すると鉄筋の長さ方向が縮むので、鉄筋径の1.0~1.5倍程度の長さ方向の縮み量を、圧接継手において考慮する。

[ No.25 ]
コンクリートの調合に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.AE 剤、AE 減水剤又は高性能AE 減水剤を用いる普通コンクリートについては、調合を定める場合の空気量を 4.5 % とする。

2.構造体強度補正値は、セメントの種類及びコンクリートの打込みから材齢 28日までの期間の予想平均気温の範囲に応じて定める。

3.コンクリートの調合管理強度は、品質基準強度に構造体強度補正値を加えたものである。

4.単位セメント量が過小のコンクリートは、水密性、耐久性が低下するが、ワーカビリティーはよくなる。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

JASS5の寒中コンクリートの項に「使用するコンクリートはAEコンクリートとし、空気量は特記による。特記の無い場合は、4.5~5.5%の範囲で定め、工事監理者の承認を受ける。」と規定されている。したがって、AE剤、AE減水剤または高性能AE減水剤を用いる普通コンクリートについては、調合を定める場合の空気量を 4.5 ~5.5%の範囲で定める。

2.◯

構造体強度補正値は、JASS 5の特記による。特記のない場合は、セメントの種類及びコンクリートの打込みから材齢28日までの予想平均気温の範囲に応じて定める

一般的には、構造体強度補正値28S91

0 ≦ θ < 8のとき

 6 [ N/mm2 ]

8 ≦ θ

 3 [ N/mm2 ]

θ:コンクリート打込みから材齢28日までの期間の予想平均気温

3.◯

コンクリート調合管理強度は、調合強度を管理する場合の基準となる強度で、品質基準強度(設計基準強度と耐久設計基準強度の大きい方)に構造体強度補正値を加えた値とする。(JASS5)

4.×

単位セメント量は、水和熱及び乾燥収縮によるひび割れを防止する観点から、できるだけ少なくすることが必要である。しかし、単位セメント量が過小であると、コンクリートのワーカビリティが悪くなり、型枠内へのコンクリートの充填性の低下、じゃんか、す、打継ぎ部における不具合の発生、水密性の低下等を招きやすい。[ 令和元年 問題28 ]

[ No.26 ]
コンクリートの運搬、打込み及び締固めに関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.外気温が 25 ℃ を超えていたため、練混ぜ開始から打込み終了までの時間を 90分以内とした。

2.コンクリートの圧送開始前に圧送するモルタルは、型枠内に打ち込まないが、富調合のものとした。

3.コンクリート内部振動機(棒形振動機)による締固めにおいて、加振時間を1箇所当たり60 秒程度とした。

4.同一区画のコンクリート打込み時における打重ねは、先に打ち込まれたコンクリートの再振動可能時間以内に行った。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間の限度は、外気温が 25℃未満で 120分以内、25℃以上で 90分以内とする。(JASS5)

2.◯

コンクリートの圧送に先立ち圧送される先送りモルタルは、型枠内に打ち込まず破棄する。(公共建築工事標準仕様書)また、先送りモルタルは、セメントの配分を多くした富調合のものとする。

3.×

コンクリート内部振動機で締め固める場合の加振時間は、打ち込まれたコンクリートがほぼ水平になり、コンクリート表面にセメントペーストが浮き上がる時間を標準とし、1箇所5~15秒の範囲とするのが一般的である。[ 令和元年 問題29 ]

4.◯

同一区画の打込み継続中における打重ね時間は、コールドジョイントを発生させないために、先に打ち込まれたコンクリートの再振動可能時間以内とする。

[ No.27 ]
鉄骨の溶接に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.溶接部の表面割れは、割れの範囲を確認したうえで、その両端から 50mm 以上溶接部を斫り取り、補修溶接した。

2.完全溶込み溶接の突合せ継手における余盛りの高さが 3 mm であったため、グラインダ仕上げを行わなかった。

3.一般に自動溶接と呼ばれているサブマージアーク溶接を行うに当たり、溶接中の状況判断とその対応はオペレータが行った。

4.溶接作業場所の気温が −5℃ を下回っていたため、溶接部より 100 mm の範囲の母材部分を加熱して作業を行った。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

溶接部の表面割れの範囲を確認した上で、その両端から 50mm以上をアークエアガウジングで斫りとって船底型の形状に仕上げ、補修溶接する。

2.◯

余盛りは応力集中を避けるため、過大であったり、ビード表面形状に不整がある場合は、滑らかに仕上げるが、3mm以下の場合は不陸がなければグラインダ仕上げは不要である。

3.◯

サブマージアーク溶接とは、粉末のフラックスを溶接線状に散布し、その中に溶接ワイヤを自動送給して行う溶接である。自動溶接であるサブマージアーク溶接を行うに当たっては、溶接中の状況判断とその対応はオペレータが行う必要がある。

4.×

気温が低いと溶接部の冷却速度が速くなり、溶接部に割れが生じやすくなるので、溶接作業場所の気温が-5℃を下回る場合は、溶接を行ってはならない。なお、溶接作業場所の気温が-5℃から5℃までの場合は、溶接部より100mmの範囲の母材部分を加熱して溶接することができる。[ 平成29年 問題31 ]

[ No.28 ]
鉄骨の建方に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.架構の倒壊防止用に使用するワイヤロープは、建入れ直し用に兼用した。

2.建方精度の測定に当たっては、日照による温度の影響を考慮した。

3.梁のフランジを溶接接合、ウェブを高力ボルト接合とする工事現場での混用接合は、原則として高力ボルトを先に締め付け、その後溶接を行った。

4.柱の溶接継手のエレクションピースに使用する仮ボルトは、普通ボルトを使用し、全数締め付けた。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

鉄骨の建方時に架構の倒壊防止としてワイヤロープを使用する場合、このワイヤロープを建入れ直しま用に兼用してよい。(JASS6)

2.◯

建方精度の測定では、日照による温度の影響を避けるために、早朝の一定時間に行うなどの考慮を払う。また、長時間にわたる場合は気候も変わるので、測定器の温度補正を行わなければならない。

3.◯

ウェブを高力ボルト接合、フランジを工事現場溶接接合とする混用継手は、原則としてウェブの高力ボルトを先に本締めまで行った後、フランジ溶接を行う。

原則として、高力ボルト接合 → 現場溶接の順番である。

4.×

柱の溶接継手のエレクションピースの仮ボルトは、建方に必要な本数だけが設けられているので、高力ボルトを使用して全数締め付ける。[ 令和元年 問題31 ]

[ No.29 ]
木造建築物に用いる大断面集成材に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.材長 4mの柱材の加工長さは、許容誤差を±3mm とした。

2.集成材にあけるドリフトピンの下孔径は、ドリフトピンの公称軸径に2mm を加えたものとした。

3.集成材にあける標準的なボルト孔の心ずれは、許容誤差を±2mm とした。

4.接合金物にあけるボルト孔の大きさは、ねじの呼びがM16未満の場合は公称軸径に1mm を、M16 以上の場合は 1.5 mmを加えたものとした。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

日本集成材工業共同組合では、材長10m未満の柱材の管理許容差を ±3mmとしている。

2.×

集成材にあけるドリフトピンの孔の径の許容誤差は、特記がなければピン径と同径とする。[ 令和元年 問題32 ]

木造建築物に用いる大断面集成材の許容誤差は下表のとおりである。

3.◯

大断面集成材に設ける標準的なボルト孔の心ずれは、許容誤差を±2mm以内とする。

4.◯

接合金物のボルトの孔あけ加工の大きさは、ねじの呼びが M16未満の場合公称軸径に 1mmを加えたものとし、M16mm以上の場合は、1.5mmを加える。(公共建築木造工事標準仕様書)

[ No.30 ]
建設機械に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.建設用リフトの定格速度とは、搬器に積載荷重に相当する荷重の荷をのせて上昇させる場合の最高の速度をいう。

2.油圧式トラッククレーンのつり上げ荷重とは、アウトリガーを最大限に張り出し、ジブ長さを最短にし、ジブの傾斜角を最大にした場合のつり上げることができる最大の荷重で示す。

3.最大混合容量 4.5 m3 のトラックアジテータの最大積載時の総質量は、約 20 t である。

4.ロングスパン工事用エレベーターは、搬器の傾きが 1/8 の勾配を超えた場合、動力を自動的に遮断する装置を設ける。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

建設用リフトの定格速度とは、搬器に積載荷重に相当する荷重の荷をのせて上昇させる場合の最高速度をいう。また、建設用リフトの荷重試験は、建設用リフトに積載荷重の 1.2倍に相当する荷重の荷をのせて、昇降の作動を行う

2.◯

油圧式トラッククレーンのつり上げ荷重は、アウトリガーを最大限に張り出し、ジブ長さを最短に、傾斜角を最大にしたときに負荷させることができる最大荷重に、フック等のつり具の質量を含んだつり上げ荷重で示される。

3.◯

トラックアジテータは、トラックシャシの上にミキサー装置を架装したものである。最大混合容量が 4.5m3のミキサー装置には 10tのトラックシャシが使用され、普通コンクリートの重量は、約2.3t/m3 × 4.5 m3 = 10.35 t となるので最大積載時の総重量は約 20tとなる

4.×

ロングスパン工事用エレベーターは、機械自体の傾きが 1/10の勾配を超えると自動停止装置が作動するように設定しなければならない。(エレベーター構造規格第32条)[ 令和元年 問題33 ]

1級建築施工管理技士 令和03年 学科 問題4 解説

令和3年 1級建築施工管理技士 一次 問題4解答解説

※ 問題番号[ No.31 ]~[ No.39 ]までの9問題のうちから、7問題を選択し、解答してください。

[ No.31 ]
ウレタンゴム系塗膜防水に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.絶縁工法において、立上り部の補強布は、平場部の通気緩衝 シートの上に 100 mm 張り掛けて防水材を塗布した。

2.平場部の防水材の総使用量は、硬化物密度が 1.0 Mg/m3 だったため、3.0 kg/m2とした。

3.コンクリートの打継ぎ箇所は、U 字形に斫り、シーリング材を充填した上、幅 100mmの補強布を用いて補強塗りを行った。

4.絶縁工法において、防水層の下地からの水蒸気を排出するための脱気装置は、200m2に1箇所の割合で設置した。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

立上がり部、ドレン回り及びパイプ回りなどでは、補強布の重ね幅は 100mmi以上とする。

2.◯

ウレタンゴム系防水材の立上がり部の総使用量は、硬化物密度 1.0 Mg/m3のものを使用する場合は 2.0 kg/m2とし、平場部では 3.0 kg/m2 とする。

3.◯

ウレタンゴム系防水材の塗継ぎの重ね幅は 100mm以上、補強布の重ね幅は 50mm以上とする。したがって、コンクリートの打継ぎ箇所は、U字形に斫り、シーリング材を充填した上、幅 100 mm以上の補強布を用いて補強塗りを行う必要がある。

4.×

絶縁工法は、通気緩衝工法ともいい、一般に、脱気装置を50~100m2ごとに設置し、屋上の構造、用途、防水下地の乾燥状況等によっては増設する場合がある。

[ No.32 ]
乾式工法による外壁の張り石工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.石材の形状は正方形に近い矩形とし、その大きさは石材1枚の面積が 0.8 m2 以下とした。

2.下地のコンクリート面の寸法精度は、± 10 mm以内となるようにした。

3.厚さ 30 mm、大きさ 500 mm 角の石材のだぼ孔の端あき寸法は、60mm とした。

4.石材間の目地は、幅を 10 mm としてシーリング材を充填した。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

外壁乾式工法に用いる石材の寸法は、幅及び高さ 1,200mm以下、かつ、面積で0.8 m2以下とし、重量については 70kg 以下とする。また、石材の形状は正方形に近い矩形とする。

2.◯

外壁乾式工法において、下地面の寸法精度は、±10mm以内とする。

3.×

石材のだぼ孔の端あき寸法は、石材の厚みの3倍以上の90mm以上とし、石材幅の辺長の1/4程度である125mm程度の位置にバランスよく設ける。(JASS9)[ 平成27年 問題36 ]

4.◯

石材間の目地には、シーリング材を充填する。目地幅は特記がなければ、6mm以上とする。なお、シーリング材の目地寸法は、幅、深さとも 6mm以上とする。(公共建築工事標準仕様書)

[ No.33 ]
金属製折板葺き屋根工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.タイトフレームの割付けは、両端部の納まりが同一となるように建物の桁行き方向の中心から行い、墨出しを通りよく行った。

2.タイトフレームの受梁が大梁で切れる部分の段差には、タイトフレームの板厚と同厚の部材を添え材として用いた。

3.水上部分の折板と壁との取合い部に設ける雨押えは、壁際の立上りを 150mm とし、雨押えの先端に止水面戸を取り付けた。

4.軒先の落とし口は、折板の底幅より小さく穿孔し、テーパー付きポンチで押し広げ、10 mm の尾垂れを付けた。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

タイトフレームを取り付けるための墨出しは、山ピッチを基準に行い。割り付けは建物に桁行き方向の中心から行う。(JASS12)

2.◯

タイトフレームの受梁が大梁できれる部分の段差の添え材には、タイトフレームの板厚と同厚以上の部材を用いる。

3.×

止水面戸は、折板の水上端部に堅固に取り付ける。止水面戸の周囲は、不定形シーリング材でシールする。(JASS12)[ 平成23年 問題37 ]

また、水上部分と壁との取合い部に設ける雨押えは、壁際で150mm程度立ち上げる。(JASS12)

4.◯

折板の底に設ける雨水の落とし口は円形にし、孔の周囲に 5〜15mm程度の尾垂れを付け、裏側への雨水の回り込みを防止する。

[ No.34 ]
特定天井に該当しない軽量鉄骨天井下地工事に関する記述 として、最も不適当なものはどれか。

1.下地張りがなく、野縁が壁に突付けとなる場所に天井目地を設けるため、厚さ 0.5 mmのコ形の亜鉛めっき鋼板を野縁端部の小口に差し込んだ。

2.屋内の天井のふところが 1,500mm以上ある吊りボルトは、縦横方向に間隔 3.6mで 補強用部材を配置して水平補強した。

3.吊りボルトの間隔が 900 mm を超えたため、その吊りボルトの間に水平つなぎ材を架構し、中間から吊りボルトを下げる2段吊りとした。

4.下地張りのある天 井 仕上げの野縁は、ダブル野縁を 1,800 mm 程度の間隔とし、その間に4 本のシングル野縁を間隔を揃えて配置した。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

軽量鉄骨天井下地の下地張りがなく野縁を壁に突き付ける場合で天井目地を設ける設けるときは、厚さ0.5mm以上のコ形またはL形の亜鉛めっき鋼板を野縁端部の小口に差し込むか、または添え付けて留める。(公共建築工事標準仕様書)

2.×

天井ふところが 1.5m以上ある場合は、特記による。特記がなければ、天井のふところが 3m以下の場合、吊りボルトの水平補強、斜め補強を行う。水平補強は縦横方向に間隔 1.8m程度に配置し、振れ止め補強材は相対する斜め材を1組とし、縦横方向に間隔 3.6m程度に配置する。振れ止め補強材は、丸鋼または溝形鋼を吊りボルトに溶接する。(公共建築工事標準仕様書)

3.◯

野縁受、吊りボルト及びインサートの間隔は900mm程度とし、周辺部は端から150mm以内とする。ただし、屋外の場合は、特記による。(公共建築工事標準仕様書 建築工事編)したがって、吊りボルトの間隔が 900mmを超える場合は、その吊りボルトの間に水平つなぎ材を架構し、中間から吊ボルトを下げる2段吊りとし、支持間隔が900mmを超えないようにする必要がある。

4.◯

下地張りのある場合の野縁の間隔は、シングル野縁 360mm程度、ダブル野縁 1,800mm程度とする。ただし、屋外の場合は、特記による。(公共建築工事標準仕様書 建築工事編)記述は、ダブル野縁 1,800mm程度の間隔であり、ダブル野縁の間隔に4本のシングル野縁の間隔を添えて配置すると、シングル野縁の間隔は、 1,800 ÷ 5 = 360 mmとなり、適当と判断できる。

[ No.35 ]
内壁コンクリート下地のセメントモルタル塗りに関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.中塗りや上塗りの塗厚を均一にするため、下塗りの後に、むら直しを行った。

2.モルタルの塗厚は、下塗りから上塗りまでの合計で 30 mm とした。

3.下地処理をポリマーセメントペースト塗りとしたため、乾燥しないうちに下塗りを行った。

4.下塗り用モルタルの調合は、容積比でセメント1:砂 2.5 とした。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

むら直しとは、塗厚または仕上げ厚が大きいとき、あるいは塗りむらが著しいときに下塗りの上にモルタルを塗りつけることをいう。これにより中塗り、上塗りの塗り厚が均一となる。セメントモルタル塗りの工程は、下塗り → むら直し → 中塗り → 上塗りの順で行う。

2.×

内壁をモルタル仕上げとする場合、塗厚の標準値は 20mmとする。

3.◯

セメントペーストは、一度乾くとはく離しやすくなるので、塗った後、乾かないうちに追いかけて下塗りモルタルを塗る必要がある。

4.◯

下塗り用モルタルの調合(容積比)はセメント1対砂2.5、むら直し、中塗り、上塗りはセメント1対砂3とする。

[ No.36 ]
塗装工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.屋外の木質系素地面の木材保護塗料塗りにおいて、原液を水で希釈し、よく攪拌して使用した。

2.亜鉛めっき鋼面の常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗りにおいて、下塗りに変性エポキシ樹脂プライマーを使用した。

3.コンクリート面のアクリル樹脂系非水分散形塗 料 塗りにおいて、下塗り、中塗り、上塗りともに同一材料を使用し、塗付け量はそれぞれ 0.10 kg/m2 とした。

4.せっこうボード面の合成樹脂エマルションペイント塗りにおいて、気温が 20 ℃ であったため、中塗り後3時間経過してから、次の工程に入った。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

木材保護塗料塗りは通常屋外で使用される木質系素地に対して適用される。木材保護塗料は、原液で使用することを基本とし、希釈はしない

2.◯

亜鉛めっき鋼面の常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗りの下塗りには、変性エポキシ樹脂プライマーを使用する。(JASS18)

3.◯

アクリル樹脂系非水分散形塗料塗りの工程は、下塗り、中塗り、上塗りの順の同じ塗料を用い、塗付け量はともに0.10kg/m2とする。(JASS18)

4.◯

合成樹脂エマルションペイント塗りでは、各塗装工程の標準工程間隔時間は、気温20℃においては 3時間以上である。

[ No.37 ]
ビニル床シート張りに関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.床シートの張付けは、気泡が残らないよう空気を押し出し、その後 45 kg ローラーで圧着した。

2.床シートの張付けは、下地に接 着 剤を塗布した後、オープンタイムをとってから張り付けた。

3.防湿層のない土間コンクリートへの床シートの張付けには、ゴム系溶剤形の接着剤を使用した。

4.熱溶接工法において、溶接作業 は、床シートを張り付けた後、12 時間以上 経過してから行った。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

床シートの張付けは、床シートを送り込みながら圧着棒を用いて空気を押し出すように行い、その後 45kgローラーで圧着する。

2.◯

ビニル床タイルの張付けは、接着際と塗布し所定のオープンタイムをとり、溶剤の揮発を適切に行い張り付ける。所定のオープンタイムをとらずに張り付けると初期粘着ができないだけでなく、溶剤が床材で密封され、床材を軟化させたり、ふくれの原因となる。

3.×

湯沸室洗面所等の湿気及び水の影響を受けやすい箇所に用いる接着材は、耐水性に優れたエポキシ樹脂系、またはウレタン樹脂系接着材を用いる。ゴム系溶剤形の接着剤は水の影響を受けない箇所に用いるもので、防湿層のない土間コンクリートへの床シートの張付けには使用できない。

4.◯

溶接作業は、床シートの張付け後12時間以上経過し、接着剤が硬化してから行う。

[ No.38 ]
鉄筋コンクリート造の断熱工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.硬質ウレタンフォーム吹付け工法において、ウレタンフォームが厚く付きすぎて表面仕上げ上支障となるところは、カッターナイフで除去した。

2.硬質ウレタンフォーム吹付け工法において、ウレタンフォームは自己接着性に乏しいため、吹き付ける前にコンクリート面に接着剤を塗布した。

3.押出法ポリスチレンフォーム張付け工法において、セメント系下地調整塗材を用いて隙間ができないようにしてから、断熱材を全面接着で張り付けた。

4.押出法ポリスチレンフォーム打込み工法において、窓枠回りの施工が困難な部分には、現場発泡の硬質ウレタンフォームを吹き付けた。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

硬質ウレタンフォーム吹付け工法において、厚く付き過ぎて仕上げ上支障となる箇所は、ウェーブナイフまたはカッターナイフで表層を除去し、表面仕上げ材の施工が可能な空間を保持するようにする。(建築工事監理指針)

2.×

現場発泡の断熱材の場合は、自己接着性があるので、接着剤が不要である。(建築工事監理指針)

3.◯

押出法ポリスチレンフォーム張付け工法においては、断熱材と躯体との境界面に隙間が生じるとその部分に結露が生じやすくなるため、接着は全面接着とし、密着させて張り付ける。したがって、押出法ポリスチレンフォーム張付け工法において、セメント系下地調整塗材等を用いて隙間ができないようにしてから、断熱材を全面接着で張り付ける。

4.◯

押出法ポリスチレンフォーム打込み工法において、窓枠回りに防水剤入りモルタル詰めを行った場合は、曲面や窓枠回り等の複雑な形状には硬質ウレタンフォームを充填する。(建築工事監理指針)したがって、押出法ポリスチレンフォーム打込み工法において、窓枠回りの施工が困難な部分には、現場発泡の硬質ウレタンフォームを吹き付けて充填する。

[ No.39 ]
ALC パネル工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.パネルの取扱い時に欠けが生じたが、構造耐力 上は支障がなかったため、製造業者が指定する補修モルタルで補修して使用した。

2.外壁パネルと間仕切パネルの取合い部には、幅が 10~20 mm の伸縮目地を設けた。

3.外壁の縦壁ロッキング構法の横目地は伸縮目地とし、目地幅は 15mm とした。

4.耐火性能が要求される伸縮目地には、モルタルを充填した。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

取扱い時に欠けが生じたパネルは、直接構造耐力上の支障がない場合、製造業者の指定した補修モルタルで補修して使用する。

2.◯

間仕切パネルの出隅部、入隅部の縦目地及び外壁や柱等とパネルとの間には、20mm程度の伸縮目地を設けてパネルを取り付ける。(JASS 21)

3.◯

外壁の縦壁ロッキング構法の横目地は、伸縮目地とし、目地幅は10mm以上とする。

4.×

耐火性能が要求される間仕切り壁の伸縮目地には耐火目地材を用いる。一般に、耐火目地材は、JIS A9504に定めるロックウール保温板に適合するものとする。(建築工事監理指針)[ 平成24年 問題44 ]

1級建築施工管理技士 令和03年 学科 問題5 解説

令和3年 1級建築施工管理技士 一次 問題5解答 解説

※ 問題番号[ No.40 ]~[ No.44 ]までの5問題は、全問題を解答してください。

[ No.40 ]
建築工事における事前調査や準備作業 に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.山留め計画に当たり、設計による地盤調査は行われていたが、追加のボーリング調査を行った。

2.地下水の排水計画に当たり、公共下水道の排水方式の調査を行った。

3.コンクリート工事計画に当たり、コンクリートポンプ車を前面道路に設置するため、道路使用許可申請書を道路管理者に提出した。

4.鉄骨工事計画に当たり、タワークレーンによる電波障害が予想されるため、近隣に対する説明を行って了解を得た。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

山留め計画に当たっては、設計による地盤調査を行っていても、必要に応じて追加のボーリング調査等を行う。

2.◯

地下水の排水計画に当たっては、公共下水道の排水方式等の必要な調査を行う。

3.×

コンクリートの打設ではコンクリートポンプ車等を道路上に一時駐車するため、施工者は道路使用許可申請書を所轄警察署長に提出しなければならない。(道路交通法第77条第1項第一号)[ 平成25年 問題46 ]

4.◯

鉄骨工事計画に当たっては、タワークレーンによる電波障害が予想される場合には、近隣に対する説明を行って了解を得る必要がある。

[ No.41 ]
仮設設備の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.必要な工事用使用電力が 60 kW のため、低圧受電で契約する計画とした。

2.工事用使用電力量の算出において、コンセントから使用する電動工具の同時使用係数は、1.0 として計画した。

3.作業員の洗面所の数は、作業員 45 名当たり3連槽式洗面台1台として計画した。

4.仮設の給水設備において、工事事務所の使用水量 は、1人1日当たり 50 L を見込む計画とした。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

工事用電力は、電力会社に申し込むことになるが、供給約款では、使用電力により、契約電力が 50kW未満の場合は低圧受電、50kW以上 2,000kW未満の場合は高圧受電、2,000kW以上の場合は特別高圧受電となる。

2.◯

工事用使用電力量の算出において、コンセントから使用する電動工具の同時使用係数は、0.7〜1.0とする。(JASS2)

3.◯

労働安全衛生規則第628条には、男性用大便器の便房の数は男性労働者 60人以内ごとに1個以上、男性用小便器の箇所数は男性労働者 30人以内ごとに1個以上、女性用便所の便房の数は女性労働者 20人以内ごとに1個以上とすることと規定されている。同法には作業員の洗面所の数は規定されていないが、作業員 45名当たり1台は不適当な数とは判断されない。また、仮設設備の洗面台には、一般に3連槽式洗面台が用いられる。

4.◯

仮設の給水設備において、工事事務所の使用水量は、40〜50 ℓ/人・日を目安とする。

[ No.42 ]
工事現場における材料の取扱いに関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.既製コンクリート杭は、やむを得ず2段に積む場合、同径のものを並べ、まくら材を同一鉛直面上にして仮置きする。

2.被覆アーク溶接棒は、吸湿しているおそれがある場合、乾燥器で乾燥してから使用する。

3.砂付ストレッチルーフィングは、ラップ部(張付け時の重ね部分)を下に向けて縦置きにする。

4.プレキャストコンクリートの床部材を平積みで保管する場合、台木を2箇所とし、積み重ね段数は6段以下とする。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

既製コンクリート杭を仮置きする場合、水平な地盤上にまくら材を置き、ロープ・くさび等を使用して、固定する。2段以上に積む場合は、各段のまくら材を同一鉛直面上に配置する。また、杭の荷積みや荷下しは、必ず杭を2点で支持しながら行う。ただし、両端を支持すると大きな曲げモーメントが加わり、杭体を損傷するおそればあるため、両端から杭長の 1/5の点で支持する。(JASS4)

2.◯

被覆アーク溶接棒は、湿気を吸収しないように保管し、吸湿しているおそれがある場合には乾燥器で乾燥させてから使用する。

3.×

砂付ストレッチルーフィングは、接着不良にならないように砂の付いていないラップ部分(張付け時の重ね部分)を上に向けて縦置きとし、ラップ部分の保護のため2段積みは行わない。

4.◯

プレキャストコンクリートの床部材の積み重ねて平置きとする場合は、水平になるように台木を2本敷いて、上部の部材の台木と下部の部材の台木が同じ平面位置になるようにする。また、台木は2箇所とし、積み重ね段数は 6段以下とする。

[ No.43 ]
労働基準監督署長への計画の届出に関する記述 として、「労働安全衛生法」 上、誤っているものはどれか。

1.高さが 10m以上の枠組足場を設置するに当たり、組立てから解体までの期間が 60日以上の場合、当該工事の開始の日の 30日前までに、届け出なければならない。

2.耐火建築物に吹き付けられた石綿を除去する場合、当該仕事の開始の日の 14日前までに、届け出なければならない。

3.掘削の深さが 10m以上の地山の掘削の作業を労働者が立ち入って行う場合、当該仕事の開始の日の 30日前までに、届け出なければならない。

4.高さが 31m を超える建築物を解体する場合、当該仕事の開始の日の 14日前までに、届け出なければならない。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

高さが 10m以上の枠組み足場を設置するに当たっては、組立てから解体までの期間が 60日以上の場合には、当該工事の開始の日の 30日前までに、労働基準監督署長に計画を届け出なければならない。(労働安全衛生法第88条第1項)

2.◯

耐火建築物の石綿等の除去の作業を行う場合は、仕事の開始日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。(労働安全衛生法第88条第3項、労働安全衛生規則第90条第五号の二)

3.×

掘削の高さまたは深さが 10m以上の地山の掘削の作業を行う仕事は、建築工事計画届を作業開始の 14日前までに労働基準監督署長に提出しなければならない。(労働安全衛生法第88条第3項、規則第90条第四号)[ 平成25年 問題51 ]

4.◯

高さ31mの超える建築物または工作物の建設、改造、解体または破壊の仕事を行う場合は、仕事開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。(労働安全衛生法第88条第3項、規則第90条第一号)

[ No.44 ]
工程計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.マイルストーンは、工事の進捗を表す主要な日程上の区切りを示す指標で、掘削完了日、鉄骨建方開始日、外部足場解体日等が用いられる。

2.工程短縮を図るために行う工区の分割は、各工区の作業数量がほぼ均等になるように計画する。

3.全体工期に制約がある場合、積上方式( 順行型 )を用いて工程表を作成する。

4.工程計画では、各作業の手順計画を立て、次に日程計画を決定する。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

工程計画において、マイルストーンとは工事の進捗を表す主要な日程上の区切りを示す指標のことをいう。マイルストーンには、掘削完了日、鉄骨建方開始日、外部足場解体日等が用いられる。

2.◯

工程短縮を図るために行う工区の分割は、各工区の作業数量にばらつきがると効率がよく無いので、ほぼ均等になるように計画する必要がある。

3.×

工期が指定され、工事内容が比較的容易で、また施工実績が多い工事の場合に、各工程に所要日数を割り当てる割付方式(逆行型)が多く用いられる。積上げ方式(順行型)は、工事内容が複雑で、施工実績や経験が少ない工事の場合に多く用いられる。[ 令和元年 問題54 ]

4.◯

工程計画を作成するためには、まず各作業をどのような手順で行うのか手順計画を立て、次にその手順をいつ実施するかの日程計画を決定して作成する。

1級建築施工管理技士 令和03年 学科 問題6 解説

令和3年 1級建築施工管理技士 一次 問題6解答 解説

※ 問題番号[ No.45 ]~[ No.54 ]までの 10 問題は、全問題を解答してください。

[ No.45 ]
一般的な事務所ビルの新築工事における鉄骨工事の工程計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.タワークレーンによる鉄骨建方の取付け歩掛りは、1台1日当たり 80ピースとして計画した。

2.建方工程の算定において、建方用機械の鉄骨建方作業の稼働時間を1台1日当たり5時間 30分として計画した。

3.トルシア形高力ボルトの締付け作業能率は、1人1日当たり 200本として計画した。

4.鉄骨のガスシールドアーク溶接による現場溶接の作業能率は、1人1日当たり6mm 換算で 80mとして計画した。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

タワークレーンは、1日当たり 40~50ピース程度とされている。トラッククレーンの揚重ピース数は、1日当たり 20~30ピース程度とされている。

2.◯

現場の作業時間を午前8時から午後5時までの9時間とすると、9時間の60%は5時間24分となる。したがって、鉄骨建方機械の稼働時間を1台1日当たり5時間30分として計画するのは不適当ではないと判断される。

3.◯

トルシア形高力ボルトの1日における締付け作業効率は、ビルで450〜700本、工場建屋等で400〜600本である。(鉄骨工事技術指針)したがって、トルシア形高力ボルトの締付け作業は、3人1組で作業するものなので、1人1日当たり 150〜200本として計画する。

4.◯

鉄骨のガスシールドアーク溶接による現場溶接は、1人1日当たり 6mm換算で80mとして計画する。一般に現場溶接の1日の平均能率は、溶接技能者1人当たり箱形(ボックス)柱で2本、梁で5箇所といわれている。

[ No.46 ]
ネットワーク工程表におけるフロートに関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.クリティカルパス(CP)以外の作業 でも、フロートを使い切ってしまうとクリティカルパス(CP)になる。

2.ディペンデントフロート(DF)は、最遅結合点時刻(LT)からフリーフロート(FF)を減じて得られる。

3.作業の始点から完了日までの各イベントの作業日数を加えていき、複数経路日数のうち、作業の完了を待つことになる最も遅い日数が最早開始時刻(EST)となる。

4.最遅完了時刻(LFT)を計算した時点で、最早開始時刻(EST)と最遅完了時刻(LFT)が同じ日数の場合、余裕のない経路であるため、クリティカルパス(CP)となる。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

クリティカルパス(CP)とは、ネットワーク工程表において、始点から終点に至る経路のうち最も時間のかかる経路をいう。クリティカルバス(CP)以外の作業であっても、フロート(余裕時間)を使い切ってしまうとクリティカルバス(CP)になる

2.×

ディペンデントフロート(DF)は、当該作業の最遅終了時刻(LFT)に対する余裕時間であるトータルフロート(TF)と、後続作業の最早開始時刻(EST)に対する余裕時間であるフリーフロート(FF)の差である。したがって、ディペンデントフロートは、後続作業のトータルフロートに影響を及ぼすようなフロート(余裕時間)である。

ディペンデントフロート

= 当該作業のトータルフロート – 当該作業のフリーフロート

なお、トータルフロート(最大余裕時間)とは、当該作業の最遅完了時刻(LFT)に対する余裕時間、フリーフロート(FF)とは、後続作業の最早開始時刻(EST)に対する余裕時間をいう。

3.◯

最早開始時刻(EST)は、作業の始点から完了日までの各イベントの作業日数を加えていき、複数経路日数のうち、作業の完了を待つことになる最も遅い日数となる。

4.◯

最早開始時刻(EST)に続いて、最遅完了時刻(LFT)を計算した時点で、後続作業の最早開始時刻(EST)と当該作業の最遅完了時刻(LFT)が同じ日数の場合は、当該作業は余裕のない経路に該当するので、当該作業はクリティカルパス(CP)上の作業である。

[ No.47 ]
建築施工における品質管理に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.コンクリート工事において、コンクリート部材の設計図書に示された位置に対する各部材の位置の許容差は、± 20 mm とした。

2.コンクリートの受入検査において、目標スランプフローが 60cmの高流動コンクリートの荷卸し地点におけるスランプフローの許容差は、± 7.5 cm とした。

3.鉄骨工事において、スタッド溶接後のスタッドの傾きの管理許容差は、3°以内とした。

4.鉄骨梁の製品検査において、梁の長さの管理許容差は、± 7.5mm とした。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

コンクリート工事において、コンクリート部材の設計図書に示された位置に対する各部材の位置の許容差は、±20mmを標準とする。

2.◯

高強度コンクリートの荷卸し地点におけるスランプフローの許容差は、50cmの場合、±7.5cm、60cmの場合、±10cmとする。ただし、高流動コンクリートのスランプフローは55cm以上65cm以下とし、許容範囲は±7.5cmで、50cmを下回らず、70cmを超えないものとする

3.◯

鉄骨工事におけるスタッド溶接後のスタッドの傾き限界許容差は、5° 以下とする。

4.×

鉄骨梁の製品検査で梁の長さの管理許容差は±3mm限界許容差は ±5mmである。(JASS6)

[ No.48 ]
品質管理に用いる図表に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.ヒストグラムは、観測値若しくは統計量を時間順又はサンプル番号順に表し、工程が管理状態にあるかどうかを評価するために用いられる。

2.特性要因図は、特定の結果と原因系の関係を系統的に表し、重要と思われる原因への対策の手を打っていくために用いられる。

3.散布図は、対応する2つの特性を横軸と縦軸にとり、観測値を打点して作るグラフ表示で、主に2つの変数間の相関関係を調べるために用いられる。

4.パレート図は、項目別に層別して、出現度数の大きさの順に並べるとともに、累積和を示した図である。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

ヒストグラムは、ばらつきをもつデータの範囲をいくつかの区間に分け、各区間を底辺とし、その区間で出現度数を高さとした長方形(柱状)を並べた図で、柱状図とも呼ばれる。データの分布の形を見たり、規格値との関係(目標値からのばらつき状態)をみることができる。計量特性の度数分布のグラフ表示で、製品の品質の状態が規格値に対して満足のいくものか等を判断するために用いられる。

観測値若しくは統計量を時間順またはサンプル番号順に表し、工程が管理状態にあるかどうかを評価するために用いられる図は、管理図である。

2.◯

特性要因図とは、特定の結果と原因系の関係を系統的に表し、重要と思われる原因への対策の手を打っていくために用いられる図で、その形状から「魚の骨」と呼ばれている。

3.◯

散布図とは、2つの特性を横軸と縦軸とにし、観測値を打点して作るグラフ表示である。QCの7つ道具の一つとして広く普及しており、主に2つの変数間の関連を調べるために用いられる。

4.◯

パレート図とは、不良品、欠点、故障等の発生個数を現象や要因別に分類し層別にして、出現度数の大きい順に並べるとともに累積和を示した図である。

[ No.49 ]
品質管理における検査に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.購入検査は、提出された検査ロットを購入してよいかどうかを判定するために行う検査で、品物を外部から購入する場合に適用する。

2.巡回検査は、検査を行う時点を指定せず、検査員が随時、工程をパトロールしながら検査を行うことができる場合に適用する。

3.無試験検査は、工程が安定状態にあり、品質状況が定期的に確認でき、そのまま次工程に流しても損失は問題にならない場合に適用する。

4.抜取検査は、継続的に不良率が大きく、決められた品質水準に修正しなければならない場合に適用する。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

購入検査は、品物を外部から購入する場合に適用する検査である。例えば、提出された検査ロットを購入してよいかどうかを判定するために行う検査をいう。

2.◯

巡回検査は、検査員が随時、工程をパトロールしながら行う検査で、検査を実施する時点を指定せずに検査を実施できる場合に適用される。

3.◯

無試験検査とは、品質情報・技術情報などに基づいて、サンプルの試験を省略できる検査をいう。検査なしで次の工程に流すものであり、一般に次のような場合に適用する。

①管理図に異常がなく製造工程が安定状態にあり、そのまま次工程に流しても損失は問題にならない状態の場合、ロットの試験を省略する。

②JIS指定商品等、品質保証のある商品の場合、購入検査を省略する。

③長期にわたって検査結果が良く、使用実績も良好な品物の受入検査の場合、供給者の検査成績表の確認によってサンプルの試験を省略する間接検査に切り替える。

4.×

対象の一部を抽出して行う抜取検査は、継続的に不良率が大きく、決められた品質水準に修正しなければならない場合には、適用できない。継続的に不良率が大きく、決められた品質水準に修正しなければならない場合に適用されるのは、全数検査である。全数検査は、選定された特性についての、対象とするグループ内すべてのアイテムに対する検査をいう。アイテムとは、別々に、記述及び検討することができるものをいう。(JIS Z8101-2)工程の品質状態が悪く継続的に不良率が大きい場合、あらかじめ決めた品質水準に達しないときは、全数検査とする。

[ No.50 ]
市街地の建築工事における災害防止対策に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.外部足場に設置した工事用シートは、シート 周 囲を 35cm の間隔で、隙間やたるみが生じないように緊結した。

2.歩行者が多い箇所であったため、歩行者が安全に通行できるよう、車道とは別に幅 1.5mの歩行者用通路を確保した。

3.防護棚は、外部足場の外側からのはね出し長さを水平距離で2m とし、水平面となす角度を 15°とした。

4.飛来落下災害防止のため、鉄骨躯体の外側に設置する垂直ネットは、日本産業規格(JIS)に適合した網目寸法 15mm のものを使用した。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

落下物に対する防護のための工事用シートの取付けに当たっては、一般的に、足場に水平支持材を垂直方向 5.5mごとに設け、シートの周囲を40cm以内の間隔で、隙間及びたるみがないように足場に緊結する。

2.◯

施工者は、車両交通対策を行った場合には、歩行者が安全に通行し得るために、車道とは別に幅 0.9m以上、特に歩行者の多い箇所においては幅1.5m以上の歩行者用通路を確保し、必要に応じて交通誘導員を配置する。

3.×

防護柵は、骨組の外側から水平距離で 2m以上突き出させ、水平面とのなす角度を 20° 以上とし、風圧、振動、衝撃、雪荷重等で脱落しないように骨組に堅固に取り付ける。(建設工事公衆災害防止対策要綱)

4.◯

飛来落下災害防止のために、鉄骨躯体の外側には垂直ネット、水平ネットを設置し、ネットは、日本産業規格(JIS)に適合している網目寸法 15mm以下のものを使用する。

[ No.51 ]
作業主任者の選任に関する記述 として、「労働安全衛生法」 上、誤っているものはどれか。

1.掘削面からの高さが 2m の地山の掘削作業において、地山の掘削作業主任者を選任しなかった。

2.高さが 3m の型枠支保工の解体作業 において、型枠支保工の組立て等作業主任者を選任した。

3.高さが 4m の移動式足場の組立て作業において、足場の組立て等作業主任者を選任しなかった。

4.高さが 5m のコンクリート造工作物の解体作業において、コンクリート造の工作物の解体等作業主任者を選任した。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

掘削面の高さが 2m 以上となる地山の掘削作業においては、作業主任者を選任しなければならない。(労働安全衛生法施行令第6条第九号)

2.◯

高さにかかわらず型枠支保工の解体作業において、型枠支保工の組立て等作業主任者を選任しなければならない。(労働安全衛生法施行令第6条第十四号)

3.◯

つり足場、張り出し足場または高さが 5m以上の移動式足場の組立て作業において、足場の組立て等作業主任者を選任しなければならない。(労働安全衛生法施行令第6条第十五号)

4.◯

高さが 5m以上のコンクリート造工作物の解体作業において、コンクリート造の工作物の解体等作業主任者を選任しなければならない。(労働安全衛生法施行令第6条第十五の五号)

[ No.52 ]
足場に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1.移動はしごは、丈夫な構造とし、幅は 30 cm以上とする。

2.枠組足場の使用高さは、通常使用の場合、45m 以下とする。

3.作業床は、つり足場の場合を除き、床材間の隙間は3cm 以下、床材と建地の隙間は12 cm 未満とする。

4.登り桟橋の高さが 15mの場合、高さの半分の位置に1箇所踊場を設ける。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

移動はしごは、丈夫な構造とし、著しい損傷、腐食等がなく、幅は30cm以上とすること。また、すべり止め装置を取付けその他転位を防止するために必要な措置を講じなければならない。(労働安全衛生規則第527条)

2.◯

枠組足場の使用高さは旧JIS A8951(鋼管足場)で、「原則として45mを超えてはならない」と定められている。

3.◯

つり足場の場合を除き、幅、床材間の隙間及び床材と建地との隙間は、次に定めるところによること。

イ.幅は、40cm以上とすること。

ロ.床材間の隙間は、3cm以下とすること

ハ.床材と建地との隙間は、12cm未満とすること。

(労働安全衛生規則第563条第1項第二号)

4.×

建設工事に使用する高さ 8m以上の登り桟橋には、高さ 7m以内ごとに踊場を設ける。(労働安全衛生規則第552条第六号)[ 平成23年 問題67 ]

[ No.53 ]
労働災害を防止するため、特定元方事業者が講ずべき措置として、「労働安全衛生規則」 上、定められていないものはどれか。

1.特定元方事業者と関係請負人との間及び関係請負人相互間における、作業間の連絡及び調整を随時行うこと。

2.仕事の工程に関する計画及び作業場所における主要な機械、設備等の配置に関する計画を作成すること。

3.関係請負人が雇い入れた労働者に対し、安全衛生教育を行うための場所を提供すること。

4.特定元方事業者及び特定の関係請負人が参加する協議組織を設置し、会議を随時開催すること。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

特定元方事業者と関係請負人との間及び関係請負人相互間における、作業間の連絡及び調整を随時行うことと規定されている。(労働安全衛生法第30条第1項第二号)

2.◯

仕事の工程に関する計画及び作業場所における主要な機械、設備等の配置に関する計画を作成することと規定されている。(労働安全衛生法第30条第1項第五号)

3.◯

関係請負人が雇い入れた労働者に対し、安全衛生教育を行うための場所を提供し、援助することと規定されている。(労働安全衛生法第30条第1項第四号)

4.×

協議組織の設置及び運営を行うことは、労働安全衛生法第30条第1項第一号に規定されている。特定の関係請負人だけでなく、すべての関係請負人が参加する協議組織を設置し、会議を随時開催する必要がある。

[ No.54 ]
クレーンに関する記述として、「クレーン等安全規則」 上、誤っているものはどれか。

1.つり上げ荷重 が 3t 以上 のクレーンの落成検査における荷重試験は、クレーンの定格荷重に相当する荷重の荷をつって行った。

2.つり上げ荷重 が 0.5 t 以上 5t 未満のクレーンの運転の業務に労働者を就かせるため、当該業務に関する安全のための特別の教育を行った。

3.つり上げ荷重 が 0.5 t 以上のクレーンの玉掛け用具として使用するワイヤロープは、安全係数が 6以上のものを使用した。

4.つり上げ荷重 が 1t 以上のクレーンの玉掛けの業務は、玉掛け技能講習を修了した者が行った。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

落成検査の荷重試験は、クレーンの定格荷重の1.25倍に相当する荷重(定格荷重が200 t を超える場合は、定格荷重に 50 t を加えた荷重)の荷をつり、つり上げ・走行・旋回・トロリの横行等の作動を行う。(クレーン等安全規則第6条第3項)

2.◯

移動式クレーンを除く、つり上げ荷重が 5t未満のクレーンの運転業務は、特別の教育を受けた者であれば就くことができる。(クレーン等安全規則第21条第1項第一号)

3.◯

クレーン、移動式クレーンまたはデリックの玉掛け用具であるワイヤロープの安全係数については、6以上でなければ使用してはならない。(クレーン等安全規則第213条第1項)

4.◯

つり上げ荷重が 1 t 以上のクレーン、移動式クレーン若しくはデリックの玉掛けの業務は、玉掛け技能講習を終了した者が行わなければならない。(労働安全衛生法施行令第20条第十六号)

1級建築施工管理技士 令和03年 学科 問題7 解説

令和3年 1級建築施工管理技士 一次 問題7解答 解説

※ 問題番号[ No.55 ]~[ No.60 ]までの6問題は応用能力問題です。全問題を解答してください。

[ No.55 ]
異形鉄筋の継手及び定着に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。ただし、d は、異形鉄筋の呼び名の数値とする。

1.壁縦筋の配筋間隔が 上下階で異なるため、重ね継手は鉄筋を折り曲げずにあき重ね継手とした。

2.180°フック付き重ね継手としたため、重ね継手の長さはフックの折曲げ開始点間の距離とした。

3.梁主筋を柱にフック付き定着としたため、定着長さは鉄筋末端のフックの全長を含めた長さとした。

4.梁の主筋を重ね継手としたため、隣り合う鉄筋の継手中心位置は、重ね継手長さの 1.0倍ずらした。

5.一般階における四辺固定スラブの下端筋を直線定着としたため、直線定着長さは、10 d 以上、かつ、150 mm 以上とした。

答え

  3、4

[ 解答解説 ]

1.◯

上・下階の縦筋の位置が異なるとき等、壁縦筋の配筋間隔が異なる場合は、あき重ね継手を用いてよく、配筋間隔の異なる鉄筋を無理に曲げることは避ける

2.◯

180° フック付き重ね継手の長さは、フックの折曲げ開始点間の距離とする。

3.×

梁主筋を柱にフック付き定着する場合の定着長さは、鉄筋末端のフックは定着長さに含まない。[ 令和元年 問題25 ]

4.×

重ね継手は、1箇所に集中(イモ継手)することなく、相互にずらして設けることを原則とする。重ね継手の長さ分をずらすと、継手の端が1箇所に集中し、コンクリートのひび割れの原因となるので避ける。隣り合う鉄筋の継手中心位置は、重ね継手長さの約0.5倍または約 1.5倍ずらす

5.◯

四辺固定スラブの下端筋の直線定着長さは、10d以上、かつ150mm以上とする。

[ No.56 ]
型枠支保工に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。

1.パイプサポート以外の鋼管を支柱として用いる場合、高さ 2.5m 以内ごとに水平つなぎを2方向に設けなければならない。

2.支柱として用いる鋼管枠は、最上層及び5層以内ごとに水平つなぎを設けなければならない。

3.パイプサポートを2本継いで支柱として用いる場合、継手部は4本以上のボルト又は専用の金具を用いて固定しなければならない。

4.支柱として用いる組立て鋼柱の高さが5mを超える場合、高さ5m以内ごとに水平つなぎを2方向に設けなければならない。

5.支柱として用いる鋼材の許容曲げ応力の値は、その鋼材の降伏強さの値又は引張強さの値の 3/4 の値のうち、いずれか小さい値の 2/3 の値以下としなければならない。

答え

  1、4

[ 解答解説 ]

1.×

鋼管(パイプサポートを除く)を支柱として用いるのにあっては。高さ 2 m以内ごとに水平つなぎを2方向に設け、かつ水平つなぎの変位を防止する。(労働安全衛生規則第242条第六号)

2.◯

最上階及び5層以内ごとの箇所において、型枠支保工の側面並びに枠面の方向及び交差筋かいの方向における5枠以内ごとの箇所に、水平つなぎを設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。」と定められている。(労働安全衛生規則第242条第八号ロ)

3.◯

パイプサポートを継いで用いるときは、2本までとし、4本以上のボルトまたは専用の金具を用いて固定する

4.×

型枠支保工の支柱として用いるパイプサポートの高さが4mを超える場合、高さ4m以内ごとに水平つなぎを2方向に設け、かつ変位を防止しなければならない。(労働安全衛生規則第242条第九号)[ 平成27年 問題27 ]

5.◯

支柱として用いる鋼材の許容曲げ応力の値は、その鋼材の降伏強さの値または引張強さの値の 3/4の値のうち、いずれか小さい値の 2/3の値以下としなければならない。

[ No.57 ]
鉄筋コンクリート造の耐震改修における柱補強工事に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。

1.RC巻き立て補強の溶接閉鎖フープ巻き工法において、フープ筋の継手はフレア溶接とした。

2.RC巻き立て補強の溶接金網巻き工法において、溶接金網相互の接合は重ね継手とした。

3.連続繊維補強工法において、躯体表面を平滑にするための下地処理を行い、隅角部は直角のままとした。

4.鋼板巻き工法において、工場で加工した鋼板を現場で突合せ溶接により一体化した。

5.鋼板巻き工法において、鋼板と既存柱の隙間に硬練りモルタルを手作業で充填した。

答え

  3、5

[ 解答解説 ]

1.◯

溶接閉鎖フープ巻き工法のフープ筋の継手は、溶接長さ片側10d以上または両側5d以上のフレア溶接とする。

2.◯

RC巻き立て補強の溶接金網巻き工法において、溶接金網相互の接合は重ね継手、ガス圧接継手、機械式継手または溶接継手とする。

3.×

柱の連続繊維補強工法においては、連続繊維シートを精度よく貼り付け、破断を生じにくくするため、躯体表面の凸凹を削り取り、断面修復材や下地調整材等で平滑にし、柱の隅角部はR状に面取りとする

4.◯

鋼板巻き工法において、鋼板は所定の位置にセットして溶接にて固定する。工場で加工した鋼板を現場で突き合わせ溶接等により一体化する。

5.×

鋼板巻き工法において、鋼板とコンクリート躯体間には、流動性の高いモルタルであるグラウト材をモルタルポンプにて充填する。

[ No.58 ]
屋根保護アスファルト防水工事に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。

1.コンクリート下地のアスファルトプライマーの使用量は、0.2 kg/m2 とした。

2.出隅及び入隅は、平場部のルーフィング類の張付けに先立ち、幅 150mm のストレッチルーフィングを増張りした。

3.立上り部のアスファルトルーフィング類を張り付けた後、平場部のルーフィング類を150mm 張り重ねた。

4.保護コンクリート内の溶接金網は、線径 6.0 mm、網目寸法 100mm のものを敷設した。

5.保護コンクリートの伸 縮 調 整目地は、パラペット周辺などの立上り際より 600mm 離した位置から割り付けた。

答え

  2、3

[ 解答解説 ]

1.◯

屋根保護アスファルト防水工事において、コンクリート下地のアスファルトプライマーの使用量は、0.2kg/m2とする。

2.×

アスファルト防水において、出隅及び入隅ならびに立上りの出隅及び入隅には、平場のルーフィング類の張付けに先立ち、幅300mm以上のストレッチルーフィングを最下層に増張りする。なお、屋根露出防水の絶縁工法における出隅及び入隅では、幅700mm以上のストレッチルーフィングを用いて、平場へ500mm以上張り掛けて増張りする。(建築工事監理指針)

3.×

立上り部よりも水下側の平場部が下側になるよう、立上り部アスファルトルーフィング類の張付けに先立ち、平場部のルーフィング類を100mm以上、張り重ねる。

4.◯

すべての保護コンクリートに、ひび割れを防止するため、溶接金網を伸縮調整目地間ごとに敷き込み、鉄線径6mmの溶接金網では1節半以上かつ150mm以上重ね、コンクリート打込み時に動かないように鉄線で結束する。(建築工事監理指針)

5.◯

アスファルト防水工事において、平場部の防水層の保護コンクリートに設ける伸縮調整目地の割付けに継いては、パラペット等の立上り部の仕上り面から600mm程度とし、中間部は縦横の間隔を3,000mm程度とする。

[ No.59 ]
鋼製建具工事に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。

1.内部建具の両面フラッシュ戸の見込み部は、上下部を除いた2方を表面板で包んだ。

2.外部建具の両面フラッシュ戸の表面板は、厚さを 0.6mm とした。

3.両面フラッシュ戸の組立てにおいて、中骨は厚さを 1.6mm とし、間隔を 300mm とした。

4.ステンレス鋼板製のくつずりは、表面仕上げをヘアラインとし、厚さを 1.5 mm とした。

5.枠及び戸の取付け精度は、ねじれ、反り、はらみともそれぞれ許容差を、4mm 以内とした。

答え

  2、5

[ 解答解説 ]

1.◯

外部に面する戸は、下部を除き三方の見込み部を表面板で包む。(建築工事監理指針)内部建具の両面フラッシュ戸の見込み部は、上下部の除いた2方を表面板で包めばよい。

2.×

鋼製建具に使用する戸の表面板の厚さは、特記による。特記がなければ、片開き、親子開き及び両開き戸の1枚の有効開口幅が 950mm、または有効高さが 2,400mmを超える場合そ除き 1.6mmとする。鋼製軽量建具に使用する戸の表面板の厚さは、0.6mmとする。

3.◯

鋼製建具の戸において、中骨は厚さ 1.6mm、間隔 300mmとする。

4.◯

ステンレス鋼板製のくつずりは、表面仕上げをヘアラインとし、厚さは 1.5mmとする。建具枠は、くつずり、下枠等あとでモルタル充填が困難な部分では、あらかじめ裏面に鉄線等を取り付けてモルタル詰めを行なったのち取り付ける。

5.×

鋼製建具の取付け精度は次の通りとする。

①枠の対角寸法差は 3mm以内

②枠及び戸のねじれ、反り、はらみは 2mm以内

③枠の倒れ(面外、面内とも)は 2mm以内

(建築工事監理指針)

[ No.60 ]
内装改修工事における既存床仕上げ材の撤去及び下地処理に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。ただし、除去する資材は、アスベストを含まないものとする。

1.ビニル床シートは、ダイヤモンドカッターで切断し、スクレーパーを用いて撤去した。

2.磁器質床タイルは、目地をダイヤモンドカッターで縁切りし、電動斫り器具を用いて撤去した。

3.モルタル塗り下地面の既存合成樹脂塗床材の撤去は、下地モルタルを残し、電動斫り器具を用いて下地モルタルの表面から塗床材のみを削り取った。

4.既存合成樹脂塗床面の上に同じ塗床材を塗り重ねるため、接着性を高めるよう、既存仕上げ材の表面を目荒しした。

5.新規仕上げが合成樹脂塗床のため、既存床材撤去後の下地コンクリート面の凹凸部は、エポキシ樹脂モルタルで補修した。

答え

  1、3

[ 解答解説 ]

1.×

ビニル床シート、ビニル床タイル、ゴム床タイル等の除去は、一般のカッター等で切断し、スクレーパー等により他の仕上げ材に損傷を与えないように行う。ダイヤモンドカッターは用いない。(公共建築改修工事標準仕様書)

2.◯

磁器質床タイルは、張替え部をダイヤモンドカッターで縁切りし、タイル片を電動はつり器具により周囲を損傷しないように撤去する。

3.×

合成樹脂塗床材の撤去には、ケレン棒、電動ケレン棒、電動はつり器具、ブラスト機械などを用いる。撤去範囲は、下地がモルタル塗りの場合はモルタル下地とも、コンクリート下地の場合はコンクリート表面から3mm程度とする。

4.◯

既存合成樹脂塗床材を除去せずに同じ塗床材で塗り重ねる場合は、既存仕上げ材の表面をディスクサンダー等により目荒しして接着性を高める

5.◯

下地のコンクリートまたはモルタルの凹凸・段差等は、サンダー掛けまたはポリマーセメントモルタルの充填等により補修し、コンクリート金ごて仕上げ程度に仕上げる。なお、新規仕上げが合成樹脂塗床の場合はエポキシ樹脂モルタルにより補修する。

1級建築施工管理技士 令和03年 学科 問題8 解説

令和3年 1級建築施工管理技士 一次 問題8解答解説

※ 問題番号[ No.61 ]~[ No.72 ]までの 12問題のうちから、8問題を選択し、解答してください。

[ No.61 ]
用語の定義に関する記述として、「建築基準法」 上、誤っているものはどれか。

1.事務所の用途に供する建築物は、特殊建築物である。

2.観覧のための工作物は、建築物である。

3.高架の工作物内に設ける店舗は、建築物である。

4.共同住宅の用途に供する建築物は、特殊建築物である。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

事務所の用途に供する建築物は、特殊建築物ではない。(建築基準法第2条第二号)

2.◯

観覧のための工作物は、建築物である。(建築基準法第2条第一号)

3.◯

高架の工作物内に設ける店舗は、建築物である。(建築基準法第2条第一号)

4.◯

共同住宅の用途に供する建築物は、特殊建築物である。(建築基準法第2条第二号)

[ No.62 ]
次の記述のうち、「建築基準法」 上、誤っているものはどれか。

1.建築物の容積率の算定において、自動車車庫の面積は、敷地内の建築物の各階の床面積の合計の 1/5 までは算入しないことができる。

2.建築主は、軒の高さが9m を超える木造の建築物を新築する場合においては、二級建築士である工事監理者を定めなければならない。

3.建築基準法の規定は、条例の定めるところにより現状変更の規制及び保存のための措置が講じられている建築物であって、特定行政庁が建築審査会の同意を得て指定したものには適用されない。

4.建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物が、規定の改正等によりこれらの規定に適合しなくなった場合、これらの規定は当該建築物に適用されない。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

容積率とは、敷地面積に対する延べ面積の割合のことである。建築物の容積率の算定において、自動車車庫の面積は、敷地内の建築物の各階の床面積の合計の1/5までは算入しないことができる。(建築基準法第52条第1項、同法施行令第2条第1項第四号、第3項第一号)

2.×

木造の建築物または建築物の部分で、高さが13mまたは軒の高さが9mを超えるものを新築する場合においては、一級建築士でなければ、その設計または工事監理をしてはならない。(建築士法第3条第1項二号)[ 平成26年 問題72 ]

3.◯

文化財保護法第182条第2項の条例その他の条例の定めるところにより現状変更の規制及び保存のための措置が講じられている建築物(保存建築物)であって、特定行政庁が建築審査会の同意を得て指定したものについては、建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定は適用しない。(建築基準法第3条第1項第三号)

4.◯

この法律またはこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行または適用の際、現に存する建築物若しくはその敷地または現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、またはこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地または建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。(建築基準法第3条第2項)

[ No.63 ]
防火区画に関する記述として、「建築基準法」 上、誤っているものはどれか。

1.主要構造部を準耐火構造とした階数が3以下で、延べ面積 200m2 以内の一戸建住宅の階段は、竪穴部分とその他の部分について、準耐火構造の床若しくは壁又は防火設備で区画しなくてもよい。

2.政令で定める窓その他の開口部を有しない事務所の事務室は、その事務室を区画する主要構造部を準耐火構造とし、又は不燃材料で造らなければならない。

3.建築物の 11階以上の部分で、各階の床面積の合計が 100 m2 を超えるものは、原則として床面積の合計 100 m2 以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は防火設備で区画しなければならない。

4.共同住宅の各戸の界壁を給水管が貫通する場合においては、当該管と界壁との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

主要構造部が準耐火構造で 3階以上の階に居室を有する建築物の昇降機の昇降路の部分は、準耐火構造の床、壁または遮炎性能のある防火戸等の防火設備で区画しなければならない。ただし、階数が3以下で延べ面積が 200m2以内の一戸建ての住宅における吹抜けとなっている部分階段の部分等についてはこの限りではない。(建築基準法第26条、同法施行令第112条第11項第二号)

2.×

政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、その居室を区画する主要構造部を耐火構造とし、又は不燃材料で造らなければならない。(建築基準法第35条の3)[ 平成29年 問題73 ]

3.◯

建築物の11階以上の部分で各階の床面積の合計が100m2を超えるものは、原則として床面積の合計100m2以内ごとに耐火構造の床若しくは壁または防火設備で区画しなければならない。(建築基準法施行令第112条第7項)

4.◯

給水管、配電管その他の管が、準耐火構造の防火区画を貫通する場合においては、当該管と防火区画との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない。(建築基準法施行令第112条第20項)

[ No.64 ]
建設業の許可に関する記述として、「建設業法」 上、誤っているものはどれか。

1.建設業の許可は、一般建設業と特定建設業の区分により、建設工事の種類ごとに受ける。

2.建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。

3.建設業の許可を受けた建設業者は、許可を受けてから3年以内に営業を開始せず、又は引き続いて1年以上営業を休止した場合、当該許可を取り消される。

4.特定建設業の許可を受けようとする者は、発注者との間の請負契約で、その請負代金の額が 8,000 万円以上であるものを履行するに足りる財産的基礎を有していなければならない。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

建設業を営もうとする者は、一般建設業と特定建設業の区分により、許可を受けなければならない。建設業の許可は、建設工事の種類ごとに、建設業に分けて与えるものとする。(建設業法第3条第1項、第2項)

2.◯

建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。(建設業法第4条)

3.×

国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、又は引き続いて1年以上営業を休止した場合は、その許可を取り消さなければならない。(建設業法第29条第1項第四号)[ 平成29年 問題74 ]

4.◯

特定建設業の許可を受けようとする者は、発注者との間の請負契約で、その請負代金の額が8,000万円以上であるものを履行するに足りる財産的基礎を有していなければならない。(建設業法第15条第三号、同法施行令第5条の4)

[ No.65 ]
建設工事の請負契約に関する記述 として、「建設業法」 上、誤っているものはどれか。

1.建設工事の請負契約書には、契約に関する紛争の解決方法に該当する事項を記載しなければならない。

2.建設業者は、建設工事の注文者から請求があったときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を交付しなければならない。

3.請負人は、建設工事の施工について工事監理を行う建築士から工事を設計図書のとおりに実施するよう求められた場合において、これに従わない理由があるときは、直ちに、注文者に対して、その理由を報告しなければならない。

4.注文者は、工事現場に監督員を置く場合においては、当該監督員の権限に関する事項及びその行為についての請負人の注文者に対する意見の申出の方法を、書面により請負人の承諾を得なければならない。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

契約に関する紛争の解決方法は、建設工事の請負契約書に記載しなければならない事項の一つとして規定されている。(建設業法第19条第1項第十五号)

2.◯

建設業者は、建設工事の注文者から請求があったときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を交付しなければならない。(建設業法第20条第2項)

3.◯

請負人は、その請け負った建設工事の施工について建築士法第18条第3項の規定により建築士から工事を設計図書のとおりに実施するよう求められた場合において、これに従わない理由があるときは、直ちに、第19条の2第2項の規定により通知された方法により、注文者に対して、その理由を報告しなければならない。(建設業法第23条の2)

4.×

注文者は、請負契約の履行に関し、工事現場に監督員を置く場合において、当該監督員の権限に関する事項及びその行為についての請負人の注文者に対する意見の申出の方法を、書面により請負人に通知しなければならない。 (建設業法第19条の2第2項)注文者は、請負人の承諾を得る必要はない。[ 令和元年 問題75 ]

[ No.66 ]
元請負人の義務に関する記述として、「建設業法」 上、誤っているものはどれか。

1.元請負人は、前払金の支払を受けたときは、下請負人に対して、資材の購入、労働者の募集その他建設工事の着手に必要な費用を前払金として支払うよう適切な配慮をしなければならない。

2.元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払を受けたときは、当該支払の対象となった建設工事を施工した下請負人に対して出来形部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から 50日以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。

3.特定建設業者は、発注者から直接建築一式工事を請け負った場合において、下請契約の請負代金の総額が 6,000万円以上になるときは、施工体制台帳を工事現場ごとに備え置き、発注者の閲覧に供しなければならない。

4.特定建設業者が注文者となった下請契約において、下請代金の支払期日が定められなかったときは、下請負人が完成した工事目的物の引渡しを申し出た日を支払期日としなければならない。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

元請負人は、前払金の支払を受けたときは、下請負人に対して、資材の購入、労働者の募集その他建設工事の着手に必要な費用を前払金として支払うよう適切な配慮をしなければならない。(建設業法第24条の3第3項)

2.×

元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払または工事完成後における支払を受けたときは、下請負人に対して、1月以内で、かつ、できる限り短い期間内に下請負人の施工した出来形部分に相応する下請代金を支払わなければならない。(建設業法第24条の3第1項)

3.◯

特定建設業者は、発注者から直接建築一式工事を請け負った場合において、下請契約の請負代金の総額が 6,000万円以上になるときは、施工体制台帳を工事現場ごとに備え置き、発注者から請求があったときは、備え置かれた施工体制台帳を発注者の閲覧に供しなければならない。(建設業法第24条の8第1項、第3

項、同法施行令第7条の4)

公共工事を、発注者から直接請け負った建設工事を締結した場合は、請負代金にかかわらず施工体制台帳を作成しなければならない。

4.◯

特定建設業者が注文者となった下請契約において、下請代金の支払期日が定められなかったときは建設業法第24条の4第2項の申出の日(下請負人が完成した工事目的物の引渡しを申し出た日)が、前項の規定に違反して下請代金の支払期日が定められたときは同条第2項の申出の日から起算して50日を経過する日が下請代金の支払期日を定められたものとみなす。(建設業法第24条の6第2項)

[ No.67 ]
次の記述のうち、「労働基準法」 上、誤っているものはどれか。

1.満 18才に満たない者を、足場の組立、解体又は変更の業務のうち地上 又は床上における補助作業の業務に就かせてはならない。

2.満 18才に満たない者を、高さが 5 m以上の場所で、墜落により危害を受けるおそれのあるところにおける業務に就かせてはならない。

3.満 18才に満たない者を、原則として午後 10 時から午前5時までの 間 において使用してはならない。

4.満 18才に満たない者を、単独で行うクレーンの玉掛けの業務に就かせてはならない。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

足場の組立、解体または変更の業務のうち、地上または床上における補助作業の業務は、満18才に満たない者を就かせてはならない業務から除外されている。(労働基準法第62条第1項、年少者労働基準規則第8条二十五号)

2.◯

使用者は、満18才に満たない者を、高さが5m以上の場所で、墜落により危害を受けるおそれのあるところにおける業務に就かせてはならないと規定されている。(労働基準法第62条第1項、年少者労働基準規則第8条二十四号)

3.◯

使用者は、満18才に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によって使用する満16才以上の男性については、この限りでない。(労働基準法第61条第1項)

4.◯

使用者は、満18才に満たない者を、クレーン、デリックまたは揚貨装の玉掛けの業務(2人以上の者によって行う玉掛け業務における補助作業の業務を除く。)に就かせてはならないと規定されている。(労働基準法第62条第1項、年少者労働基準規則第8条十号)

[ No.68 ]
建設業の事業場における安全衛生管理体制に関する記述として、「労働安全衛生法」上、誤っているものはどれか。

1.事業者は、常時 10人の労働者を使用する事業場では、安全衛生推進者を選任しなければならない。

2.事業者は、常時30人の労働者を使用する事業場では、衛生管理者を選任しなければならない。

3.事業者は、常時 50人の労働者を使用する事業場では、産業医を選任しなければならない。

4.事業者は、常時 100人の労働者を使用する事業場では、総括安全衛生管理者を選任しなければならない。

答え

  2

[ 解答解説 ]

常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任しなければならないのは、安全管理者、衛生管理者、産業医である。安全衛生推進者は、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場で選任しなければならない。(労働安全衛生法施行令第3〜5条、労働安全衛生規則第12条の2)

したがって、2が誤りとなる。常時30人の労働者を使用する事業場で選任しなければならないのは、安全衛生推進者である。

[ No.69 ]
建設現場における次の業務のうち、「労働安全衛生法」 上、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を必要とするものはどれか。

1.最大積載量が 1t 以上の不整地運搬車の運転の業務

2.動力を用い、かつ、不特定の場所に自走することができる機体重量 が3t 以上 のくい打機の運転の業務

3.作業床の高さが 10 m 以上の高所作業車の運転の業務

4.つり上げ荷重が5t 以上の移動式クレーンの運転の業務

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.免許を必要としない

2.免許を必要としない

3.免許を必要としない

4.「労働安全衛生法」 上、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を必要とする。

[ No.70 ]
次の記述のうち、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」 上、誤っているものはどれか。ただし、特別管理産業廃棄物を除くものとする。

1.産業廃棄物の運搬又は収集を行う車両は、産業廃棄物運搬車である旨の事項を表 示し、かつ、当該運搬車に環境省令で定める書面を備え付けておかなければならない。

2.事業者は、産業廃棄物の運搬又は処分を委託した際に産業廃棄物管理票を交付した場合、管理票の写しを、交付した日から5年間保存しなければならない。

3.事業者は、工事に伴って発生した産業廃棄物を自ら運搬する場合、管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。

4.汚泥の処理能力 が1日当たり 10m3 を超える乾燥処理施設(天日乾燥施設を除く。)を設置する場合、管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

産業廃棄物に収集または運搬に当たっては、運搬車の車体の外側に、環境省令で定めるところにより、産業廃棄物の収集または運搬の用に供する運搬車である旨その他の事項を見やすいように表示し、かつ、当該運搬車に環境省令で定める書面を備え付けておかなければならない。(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第6条第1項第一号イ)

2.◯

事業者は、産業廃棄物の運搬または処分を委託した際に産業廃棄物管理票を交付した場合、管理票の写しを、交付した日から5年間保存しなければならない。(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第12条の3第2項、同法施行規則第8条の21の2)

3.×

産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く)の収集または運搬を業として行おうとする者は、管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。 ただし、事業者が自らその産業廃棄物を運搬する場合は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条第1項)

4.◯

汚泥の処理能力が1日当たり 10m3(天日乾燥施設にあっては100m3)を超える乾燥処理施設を設置する場合、管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第15条第1項、同法施行令第7条第二号)

[ No.71 ]
宅地以外の土地を宅地にするため、土地の形質の変更を行う場合、「宅地造成等規制法」 上、宅地造成に該当しないものはどれか。

1.切土をする土地の面積が 300m2 であって、切土をした土地の部分に高さが 1.5m の崖を生ずるもの

2.盛土をする土地の面積が 400m2 であって、盛土をした土地の部分に高さが2m の崖を生ずるもの

3.切土と盛土を同時にする土地の面積が 500m2 であって、盛土をした土地の部分に高さが1m の崖を生じ、かつ、切土及び盛土をした土地の部分に高さが 2.5mの崖を生ずるもの

4.盛土をする土地の面積が 600 m2 であって、盛土をした土地の部分に高さが1m の崖を生ずるもの

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

切土をした土地の部分に生じる崖の高さが2mで2mを超えず、面積も300m2で500m2を超えないため、宅地造成に該当しない。(宅地造成等規制法施行令第3条第一号、第四号)

2.◯

盛土をした土地の部分に生ずる崖の高さが 1mを超えるので、宅地造成に該当する。(宅地造成等規制法施行令第3条第二号)

3.◯

切土と盛土を同時にする土地の盛土をした土地の部分に高さが1mの崖を生じ、かつ、切土及び盛土をした土地の部分に高さが 2mを超える崖を生ずるものは、「宅地造成規制法」上、宅地造成に該当する。(宅地造成等規制法第2条第二号、同法施行令第3条第三号)

4.◯

盛土をする土地の面積が 500m2を超えるので、宅地造成に該当する。(宅地造成等規制法施行令第3条第四号)

[ No.72 ]
「振動規制法」 上、指定地域内における特定建設作業に関する記述として、誤っているものはどれか。ただし、災害その他非常時等を除くものとする。

1.特定建設作業の振動が、当該特定建設作業の場所において、図書館、特別養護老人ホーム等の敷地の周囲おおむね 80m の区域内として指定された区域にあっては、1日10時間を超えて行われる特定建設作業に伴って発生するものでないこと。

2.特定建設作業の振動が、特定建設作業の場所の敷地の境界線において、85dBを超える大きさのものでないこと。

3.特定建設作業の振動が、特定建設作業の全部又は一部に係る作業の期間が当該特定建設作業の場所において、連続して6日を超えて行われる特定建設作業に伴って発生するものでないこと。

4.特定建設作業の振動が、良好な住居の環境を保全するため、特に静穏の保持を必要とする区域として指定された区域にあっては、午後7時から翌日の午前7時までの時間において行われる特定建設作業に伴って発生するものでないこと。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

特定建設作業の振動が、特定建設作業の場所において、図書館、特別養護老人ホーム等の敷地の周囲おおむね 80mの区域内として指定された区域にあっては、1日10時間を超えて行われる特定建設作業に伴って発生するものであってはならない。(振動規制法施行規則第11条、別表第一第三号、付表第一号)

2.×

特定建設作業に伴って発生する振動の大きさの規制基準は、75dB超える大きさのものでないこと。(振動規制法施行規則第11条、別表第一第一号)

3.◯

特定建設作業の振動が、特定建設作業の全部または一部に係る作業の期間が当該特定建設作業の場所において連続して6日を超えて行われる特定建設作業に伴って発生するものでないこと。(振動規制法施行規則第11条、別表第一第四号)

4.◯

特定建設作業の振動が、住居の用に供されているため、静穏の保持を必要とする区域(第一種区域)として指定された区域にあっては、夜間(午後7時〜午前7時)において行われる特定建設作業に伴って発生するものでないこと。(振動規制法施行規則第11条、別表第一第二号、付表第一号ロ)

1級建築施工管理技士 令和04年 学科 問題1 解説

令和4年 1級建築施工管理技士 一次 解答 解説 問題1

(午前の部)令和4年6月 12 日(日)

問題番号 [ No.1 ]~ [ No.15 ]までの 15 問題のうちから、12 問題を選択し、解答してください。

[ No. 1 ]
換気に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 必要換気量は、1時間当たりに必要な室内の空気を入れ替える量で表される。

2. 温度差による自然換気は、冬期には中性帯より下部から外気が流入し、上部から流出する。

3. 全熱交換器は、冷暖房を行う部屋で換気設備に用いると、換気による熱損失や熱取得を軽減できる。

4. 室内の効率的な換気は、給気口から排気口に至る換気経路を短くするほうがよい。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

必要換気量は、1時間当たりに必要な室内の空気を入れ替える量で表される。なお、必要換気量とは、室内空気の衛生を保つために、換気時に求められる必要な空気量のことを示す。

2.◯

温度差による自然換気は、冬期には中性帯より下部から外気が流入し、上部から流出する。なお、中性帯とは、ある高さにおいて室内外の圧力差がゼロになる部分をいう。

3.◯

全熱交換器とは、換気により失われる熱エネルギーの一部を回収するもので、全熱交換器を用いると、冷暖房時に換気による熱損失や熱取得を軽減できる。

4.×

令和2 No.1と類似の解答選択肢

給気口から排気口に至る換気経路を短くすると、取り込んだ新鮮な外気が空間内に行き渡ることなく、そのまま排出されるため換気効率は悪くなる換気経路は長くするほうがよい

[ No. 2 ]
伝熱に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 熱放射は、電磁波による熱の移動現象で、真空中においても生じる。

2. 壁体の含湿率が増加すると、その壁体の熱伝導率は小さくなる。

3. 壁体の熱伝達抵抗と熱伝導抵抗の和の逆数を、熱貫流率という。

4. 物質の単位体積当たりの熱容量を、容積比熱という。

答え
  2

 

[ 解答解説 ]

 


1.◯

 

熱放射は物体表面から射出される赤外線(電磁波)によって、熱が移動する現象である。放射による熱の移動には空気は必要ないため、真空中においても放射による熱移動は生じる。太陽の熱は、熱放射により真空の宇宙空間を通って地球に到達している。

 

2.×

 

壁体の含湿率が増加すると、その壁体の熱伝導率は大きくなる。含湿率は、含水率ともいい、材料に含まれる水分の割合を示す。また、熱伝導率とは、熱の伝わりやすさを示す値である。熱伝導率が大きいと断熱性が低くなる。(熱を通しやすくなる)水分は熱を通しやすい。

 

3.◯

 

熱伝導抵抗とは、熱の伝わりにくさを示す値のことである。また、熱伝達抵抗とは、熱の伝達のしにくさを表す値のことである。熱貫流率は、壁体の熱の通しやすさを示す値である。熱貫流率は、室内外の熱伝達抵抗と熱伝導抵抗の合計の逆数で表される。

 

4.◯

 

ある物体の温度を1K上昇させるのに必要な熱量 [ J/K ]熱容量という。

 

熱容量 = 比熱 [ J/g・K ](単位質量当たりの物質の熱容量)× 質量 (g)

 

で求められる。熱容量が大きいと熱しにくく、冷めにくいため、熱容量の大きな建物は、外気温度の変動に対する室内温度の変動が緩やかな変化となる。コンクリート造のような壁が厚く重いものほど熱容量は大きくなる。

[ No. 3 ]
音に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 音波は、媒質粒子の振動方向と波の伝搬方向が等しい縦波である。

2. 音速は、気温が高くなるほど速くなる。

3. 音波が障害物の背後に回り込む現象を回折といい、低い周波数よりも高い周波数の音のほうが回折しやすい。

4. ある音が別の音によって聞き取りにくくなるマスキング効果は、両者の周波数が近いほどその影響が大きい。

答え  3

[ 解答解説 ]

1.◯

音波は、音の波を指し、媒質粒子(波動を伝搬する粒子)の振動方向と波の伝搬方向が等しい縦波である。

2.◯

音速は、気温が高くなるほど速くなる

1気圧下での乾燥空気で、0℃〜30℃付近ではおおよそ、次の式がなりたつ。

音速 [ m/s ] = 331.5 + 0.6T

T 温度 [ ℃ ]

3.×

音波が波の性質によって障害物の裏側まで回り込んで伝わる回折現象は、すき間の間隔や障害物の大きさが波長に比べて小さいと起こりやすい。また、高い周波数の音よりも低い周波数の音の方が回折しやすい

4.◯

マスキング効果とは、目的の音が別の音によって聞こえなくなる現象をいう。隠ぺい効果ともいう、それぞれの音の周波数が近いほど効果が大きくなり、低い音は高い音をマスキングしやすい。

[ No. 4 ]
鉄筋コンクリート造の建築物の構造計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. ねじれ剛性は、耐震壁等の耐震要素を、平面上の中心部に配置するよりも外側に均一に配置したほうが高まる。

2. 壁に換気口等の小開口がある場合でも、その壁を耐震壁として扱うことができる。

3. 平面形状 が極めて長い建築物には、コンクリートの乾燥収縮や不同沈下等による問題が生じやすいため、エキスパンションジョイントを設ける。

4. 柱は、地震時の脆性破壊の危険を避けるため、軸方向圧縮応力度が大きくなるようにする。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

ねじれ剛性(ねじれの力に対する剛性)は、耐震壁等の耐震要素を、平面上の中心部に配置するよりも外側に均一に配置するほうが高まる。剛性より、ねじれ剛性の方が、柔軟性があるため、外側に配置する。

2.◯

耐力壁(耐震壁)の構造としては、建築基準法施行令第78条の2に定められており、耐力壁の構造は、第1項第二号で開口部周囲に径12mm以上の補強筋を配置することとある。したがって、壁に換気口等の小開口がある場合でも、定められた条件では、その壁を耐震壁として扱うことができる。

3.◯

平面形状が極めて長い建築物には、不同沈下等による問題が生じやすいため、エキスパンションジョイントを設ける。エキスパンションジョイントは、一般的には異なる構造計算による建物をつなぐものである。

4.×

柱は、地震時のぜい性破壊の危険を避けるため、軸方向圧縮応力度が小さくなるように計画する。軸力と曲げを同時に受ける柱の短期軸方向応力度は、Fc/3(Fcはコンクリートの設計基準強度 N/mm2)以内におさめることが望ましい。

[ No. 5 ]
木質構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 同一の接合部にボルトと釘を併用する場合の許容耐力は、両者を加算することができる。

2. 2階建ての建築物における隅柱は、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した場合、通し柱としなくてもよい。

3. 燃えしろ設計は、木質材料の断面から所定の燃えしろ寸法を除いた断面に、長期荷重により生じる応力度が、短期の許容応力度を超えないことを検証するものである。

4. 直交集成板(CLT)の弾性係数、基準強度は、強軸方向であっても、一般的な製材、集成材等の繊維方向の値と比べて小さくなっている。

答え
  1

 

[ 解答解説 ]

 


1.×

 

ボルト接合では、材がすべってボルト軸にぶつかるまで(初期すべり)、ボルトは効かない。一方釘接合では、材が動かなくても初めから効いている。釘とボルトを併用すると、材がすべらずにボルトが効かない恐れがある。よって、単純にボルトと釘の耐力を足し算することはできない

 

2.◯

 

階数が2以上の建築物における隅柱またはこれに準ずる柱は、通し柱としなければならない。ただし、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した場合においてはこの限りでない。(建築基準法施行令第43条第5項)

 

3.◯

 

燃えしろ設計とは、木質材料の断面から所定の燃えしろ寸法を除いた断面に、長期荷重により生じる応力度が、短期の許容応力度を超えないことを検証する方法である。

 

4.◯

 

直交集成板(CLT)は、ひき板(ラミナ)を幅方向に並べたものを、その繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料である。一般的な製材の繊維方向の値と比べ、弾性係数や基準強度は小さい

[ No. 6 ]
鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 梁の材質をSN 400A からSN 490B に変えても、部材断面と荷重条件が同一ならば、構造計算上、梁のたわみは同一である。

2.  節点の水平移動が拘束されているラーメン構造では、柱の座屈長さは、設計上、節点間の距離に等しくとることができる。

3. トラス構造の節点は、構造計算上、すべてピン接合として扱う。

4. 柱脚に高い回転拘束力をもたせるためには、根巻き形式ではなく露出形式とする。

答え

  4

 

[ 解答解説 ]


1.◯

梁の変形は曲げ、圧縮、せん断変形のいずれも荷重条件、部材断面が同じであれば、ヤング係数に比例する。鋼材のヤンク係数は、材料に関係なく、2.05 × 105 N/mm2一定であり、材質を変えてもたわみは変わらない。SN400A とSN490Bでは、強度は異なるが同じ鋼材である。部材断面と荷重条件が同一ならば、梁のたわみは同一である。

2.◯

座屈とは、縦長の部材が縦方向に圧縮荷重を受けたとき、限度を超えて横方向に曲がる現象をいう。座屈長さとは、部材の座屈が生じる部分の長さをいう。節点の水平移動が拘束され、回転に対して両端自由なラーメン構造の柱の場合、座屈長さは設計上、節点間の距離となる。

3.◯

鉄骨造におけるトラス構造の節点は、構造計算上、すべてピン接合として扱う。

4.×

柱脚には、露出柱脚、根巻き柱脚、埋込み柱脚がある。柱脚の固定度(回転拘束)の大小関係は、露出柱脚 < 根巻き柱脚 < 埋込み柱脚である。露出柱脚より根巻き柱脚の方が高い回転拘束力をもつ

[ No. 7 ]
地盤及び基礎構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 圧密沈下の許容値は、独立基礎のほうがべた基礎に比べて大きい。

2. 粘性土地盤の圧密沈下は、地中の応力の増加により長時間かかって土中の水が絞り出され、間隙が減少するために生じる。

3. 直接基礎の滑動抵抗は、基礎底面の摩擦抵抗が主体となるが、基礎の根入れを深くすることで基礎側面の受動土圧も期待できる。

4. 地盤の液状化は、地下水面下の緩い砂地盤が地震時に繰り返しせん断を受けることにより間隙水圧が上昇し、水中に砂粒子が浮遊状態となる現象である。

答え
  1

 


[ 解答解説 ]

 

1.×

 

独立基礎は圧密により不同沈下を生じやすいが、べた基礎は建物と基礎が一体となっているため、不同沈下は生じにくい。圧密沈下の許容値は、独立基礎の方がべた基礎に比べて小さい

2.◯

圧密沈下とは、粘性土地盤が荷重を受け、土中の水が排出されて体積が減少することにより沈下する現象をいう。直接基礎下における粘性土地盤の圧密沈下は、地中の応力の増加により、長時間かかって徐々に土中の水が絞り出されて、間隙が減少するために生じる

3.◯

滑動抵抗とは、基礎底面が土圧により水平に移動しようとする力に抵抗することをいう。根入れを深くすることにより、基礎底面の摩擦抵抗が大きくなり抵抗力があがるとともに、基礎側面の受動土圧も期待できる。

4.◯

地盤の液状化は、地震時に地下水面下の緩い砂地盤が振動を受け、地盤が液体状になる現象である。地盤上の比重の大きい構造物が倒れたり、比重の小さい構造物が浮き上がったりする。

[ No. 8 ]
建築物に作用する荷重及び外力に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 風圧力を求めるために用いる風力係数は、建築物の外圧係数と内圧係数の積により算出する。

2. 雪下ろしを行う慣習のある地方において、垂直積雪量 が1m を超える場合、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じ垂直積雪量を1m まで減らして計算することができる。

3.  劇場、映画館等の客席の単位床面積当たりの積載荷重は、実況に応じて計算しない場合、固定席のほうが固定されていない場合より小さくすることができる。

4. 速度圧の計算に用いる基準風速は、原則として、その地方の再現期間 50年の 10分間平均風速値に相当する。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

風力係数Cfは、次式により求める。

 Cf = Cpe ー Cpi

 Cpe:建物の外圧係数

 Cpi:建物の内圧係数

風力係数は、建築物の外圧係数と内圧係数の積ではなく、差によって算出する。(建築基準法施行令第87条及び平成12年建設省告示1454号第3)

2.◯

雪下ろしを行う慣習のある地方において、垂直積雪量 が1m を超える場合、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じ垂直積雪量を1m まで減らして計算することができる。(建築基準法施行令第86条第6項)

3.◯

例えば、床の構造計算に用いる積載荷重は、劇場、映画館等の固定席の場合、2,900N/m2その他の場合3,500N/m2であり、客席の積載荷重は、固定席の方が固定されていない場合より小さい。

4.◯

建築基準法施行令第87条第2項に基づいた告示に、速度圧の算出等に用いる基準風速V0は、その地方における過去の台風の記録に基づく風害の程度その他の風の性状に応じて、毎秒30mから46mの範囲内に定められている。これは、その地方の50年再現期間(1年間の発生確率が 1/50)の10分間平均風速値に相当する。

[ No. 9 ]
図に示す3ヒンジラーメン架構の AD間及び DC 間に集中荷重 が同時に作用するとき、支点B に生じる水平反力 HB 、鉛直反力 VB の値 の大きさの組合せとして、正しいものはどれか。

1. HB = 2kN、VB = 6kN

2. HB = 3kN、VB = 9kN

3. HB = 4kN、VB = 12kN

4. HB = 5kN、VB = 15kN

答え

  1

[ 解答解説 ]

点Aにおけるモーメントは

MA = −6kN × 2m − 6kN × 4m + VB × 6m = 0

  −12 − 24 − 6VB = 0

       6VB = −36

        VB = −6 kN(上向き)

点Cにおける右側モーメントは

Mc右 = VB × 2m − HB × 6m= 0

    2VB − 6HB= 0

       6HB=2VB

VB = −6 より  HB=2 kN(左向き)

ゆえに、正答は1となる。

[ No.10 ]
図に示す単純梁 AB のCD 間に等分布荷重 w が、点Eに集中荷重 P が同時に作用するときの曲げモーメント図として、正しいものはどれか。ただし、曲げモーメントは、材の引張側に描くものとする。

答え
  2

[ 解答解説 ]

力は合成・分解することができる。

等分布荷重 w= 2kN/mによる力と

集中荷重 P = 6kN

とに分けて考えると次のようになる。

ゆえに、解答は2番が想定される。

[ No.11 ]
鋼材に関する一般的な記述として、最も不適当なものはどれか。

1. ある特定の温度以上 まで加熱した後、急冷する焼入れ処理により、鋼は硬くなり、強度が増加する。

2. 鋼は、炭素量が多くなると、引張強さは増加し、靱性は低下する。

3. SN 490B やSN 490C は、炭素当量等の上限を規定して溶接性を改善した鋼材である。

4. 低降伏点鋼は、モリブデン等の元素を添加することで、強度を低くし延性を高めた鋼材である。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

鋼材の熱処理には、焼入れ、焼戻し、焼なまし、焼ならしがある。焼入れは、ある特定の温度以上まで鋼を加熱した後、急冷する方法である。効果は鋼が硬くなり。強度が増加する。

2.◯

鋼は、炭素量が多くなると、引張強さは増加し、伸びや靭性は低下する。炭素量が少なくなると、粘りが増大し、加工しやすくなる。

3.◯

SN材は、建築構造用圧延鋼材で、溶接性の保証の有無板厚方向の引張特性の保証等を強度区分の末尾記号 A,B,Cで表示する。A種は溶接を行わない部材に使用される。B種及びC種は、塑性変形性能と溶接性の確保が要求される部材に使用されるので、JISにより化学成分、炭素当量の上限等が規定されている。

4.×

低降伏点鋼(LY100,LY225)は、添加元素を極力減らした純鉄に近い鋼で、軟鋼に比べて強度は低いが、延性が極めて高いため、塑性変形によるエネルギーの吸収が必要な制振ダンパー等に用いられる

[ No.12 ]
左官材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. しっくいは、消石灰を主たる結合材料とした気硬性を有する材料である。

2. せっこうプラスターは、水硬性であり、主に多湿で通気不良の場所の仕上げで使用される。

3. セルフレベリング材は、せっこう組成物やセメント組成物に骨材や流動化剤等を添加した材料である。

4. ドロマイトプラスターは、保水性が良いため、こて塗りがしやすく作業性に優れる。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

しっくい(漆喰)とは、水酸化カルシウム(消石灰)を主成分とする建築材料で、気硬性を有し、左官材料などに使用される。

2.×

せっこうプラスターやドロマイドプラスターは空気中の湿気を吸い取る性質があるため浴室や外壁にはむかない。また、せっこうプラスターは、自硬性セメントに属し、主成分は焼せっこうである。したがって、硬化が早く、比較的強度もあり、収縮ひび割れが生じにくい

3.◯

セルフレベリング材は、せっこう組成物やセメント組成物に骨材や流動化剤等を添加し、セルフレベリング性を付与し、これを床面に流し簡単に均すだけで平坦・平滑で精度の高い床下地をつくるものである。

4.◯

ドロマイトとは、炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムを主成分とした鉱物をいい、左官材料に用いられる。ドロマイトを用いたドロマイトプラスターは、粘性があり、保水性がよい。そのため、こて塗りがしやすく作業性に優れる

[ No.13 ]
建築用板ガラスに関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. フロート板ガラスは、溶融した金属の上に浮かべて製板する透明、かつ、平滑なガラスである。

2. 複層ガラスは、複数枚の板ガラスの間に間隙を設け、大気圧に近い圧力の乾燥気体を満たし、その周辺を密閉したもので、断熱効果のあるガラスである。

3. 熱線吸収板ガラスは、板ガラスの表面に金属皮膜を形成したもので、冷房負荷の軽減の効果が高いガラスである。

4. 倍強度ガラスは、フロート板ガラスを軟化点まで加熱後、両表面から空気を吹き付けて冷却加工するなどにより、強度を約2倍に高めたガラスである。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

フロート板ガラスは、溶融した金属の上に浮かべて(フロートさせて)製板する透明、かつ、平滑なガラスである。一般的な板ガラスを指し、1.9mm、2.5mmなどの薄いガラスから、22mm、25mmなどの厚いガラスが製板できる。

2.◯

複層ガラスは、複数枚の板ガラスの間に間隙を設け、大気圧に近い圧力の乾燥気体を満たし、その周辺を密閉したもので、冷房負荷の軽減、結露防止、断熱効果のあるガラスである。

3.×

熱線吸収板ガラスは、太陽放射熱を吸収させるためガラスの原料の中にニッケル、コバルト、鉄などを入れてあり、熱割れを起こしやすい。なお、板ガラスの表面に金属皮膜を形成したもので、冷房負荷の軽減の効果が高いのは、熱線反射ガラスである。

4.◯

倍強度ガラスは、フロート板ガラスを軟化点まで加熱後、両表面から空気を吹き付けて冷却加工するなどにより、ガラス表面に適切な大きさの圧縮応力層をつくる。強度を約2倍に高め、かつ、破損した時に細片となるようにしたガラスである。

[ No.14 ]
建築用シーリング材に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. シーリング材のクラスは、目地幅に対する拡大率及び縮小率で区分が設定されている。

2. 1成分形シーリング材の硬化機構には、湿気硬化、乾燥硬化及び非硬化がある。

3. 2面接着とは、シーリング材が相対する2面で被着体と接着している状態をいう。

4. 2成分形シーリング材は、基剤と着色剤の2成分を施工直前に練り混ぜて使用するシーリング材である。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

シーリング材のクラスは、JIS(日本産業規格)により、目地幅に対する拡大率及び縮小率で区分が設定されている。(JIS A5758)

2.◯

1成分形シーリング材は、あらかじめ施工に供する状態で調整されている成分形シーリング材である。硬化機構には、湿気硬化(シリコーン系、変成シリコーン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系)、乾燥硬化(エマルションタイプ(アクリル系、SBR系)、溶剤タイプ(ブチルゴム系))及び非硬化(油性コーキング)がある。

3.◯

2面接着とは、シーリング材が相対する2面で被着体と接着している状態をいう。2面接着はワーキングジョイントに適しており、バックアップ材やボンドブレーカーが用いられる。

4.×

2成分形シーリング材は、施工直前に基剤と硬化剤を調合し、練り混ぜて使用するシーリング材をいう。基剤と着色剤ではない。

[ No.15 ]
内装材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. コンポジションビニル床タイルは、単層ビニル床タイルよりバインダー含有率を高くした床タイルである。

2. 段通は、製造法による分類では、織りカーペットの手織りに分類される。

3. ロックウール化粧吸音板は、ロックウールのウールを主材料 とし、結合材、混和材を用いて成形し、表面化粧をしたものである。

4. 強化せっこうボードは、せっこうボードの芯に無機質繊維等を混入したもので、性能項目として耐衝撃性や耐火炎性等が規定されている。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

コンポジションビニル床タイルは、単層ビニル床タイルよりバインダー含有率(含有量)が低い。バインダー含有率は、単層ビニル床タイルが30%以上、コンポジションビニル床タイルが30%未満である。バインダーとは、ビニル樹脂に可塑剤安定剤を加えたものである。(建築工事監理指針)

2.◯

段通とは、厚手の手織りで作られた織物で、カーペットの一種である。なお、織りカーペットは手織り機械織りがある。

3.◯

ロックウール化粧吸音板は、人造鉱物繊維のロックウールを結合材及び混和材を用いて成形し、表面を化粧加工した吸音板をいう。

4.◯

強化せっこうボードは、せっこうボードの芯にガラス繊維などの無機質繊維を混入したもので、性能項目として耐衝撃性や耐火炎性等が規定されている

1級建築施工管理技士 令和04年 学科 問題2 解説

令和4年 1級建築施工管理技士 一次 解答 解説 問題2

(午前の部)令和4年6月12日(日)

 問題番号 [ No.16 ] ~ [ No.20 ]までの5問題は、全問題を解答してください。

[ No.16 ]
構内アスファルト舗装に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 設計CBR は、路床の支持力を表す指標であり、修正CBR は、路盤材料の品質を表す指標である。

2. 盛土をして路床とする場合は、一層の仕上り厚さ 300mm 程度ごとに締め固めながら、所定の高さに仕上げる。

3. アスファルト混合物の締固め作業 は、一般に継目転圧、初転圧、二次転圧、仕上げ転圧の順に行う。

4. 初転圧は、ヘアクラックの生じない限りできるだけ高い温度とし、その転圧温度は、一般に 110~140 ℃ の間で行う。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

設計CBR(California Bearing Ratio) は、アスファルト舗装やコンクリート舗装を決定するために用いられる路床の支持力を表す指標であり、修正CBR は、最大乾燥密度の95%に締め固めたものに対するCBR路盤材料の品質を表す指標である。

2.×

切土の施工においては、路床表面から30cm程度以内の木根/転石などの不均質な物質を除去し、山側からの浸透水などを考慮して、山側に地下排水施設を設置する。

盛土の施工においては、1層当たりの敷均し厚さは25~30cm程度、締固め後の仕上がり厚さは200mm以下とされている。

3.◯

アスファルト混合物の締固め作業 は、継目転圧→初転圧→二次転圧→仕上げ転圧の手順で実施する。

4.◯

初転圧は、ヘアクラックの生じない限りできるだけ高い温度とし、その転圧温度は、一般に 110~140 ℃ の間で行う。なお、二次転圧終了温度は 70~90℃交通解放時の表面温度は50℃以下で行う。

[ No.17 ]
避雷設備に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 受雷部は、保護しようとする建築物の種類、重要度等に対応した4段階の保護レベルに応じて配置する。

2. 避雷設備は、建築物の高さが 20mを超える部分を雷撃から保護するように設けなければならない。

3. 危険物を貯蔵する倉庫は、危険物の貯蔵量や建築物の高さにかかわらず、避雷設備を設けなければならない。

4. 鉄骨造の鉄骨躯体は、構造体利用の引下げ導線の構成部材として利用することができる。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

避雷設備は、受雷部システム引下げ導線システム接着システムで構成される。雷撃を受ける受雷部システムの配置は、保護しようとする建築物の種類、重要度等に対応した4段階の保護レベルに適合しなければならない。(JIS A4201)

2.◯

高さが 20mを超える建築物は、原則として、雷撃から保護するように避雷設備を設けなければならない。(建築基準法第33条)

3.×

指定数量の10倍以上の危険物の貯蔵倉庫には、総務省令で定める避雷設備を設ける。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合においては、この限りではないと規定されている。(危険物の規制に関する政令第10条第1項第十四号)なお、総務省令に定める避雷設備とは、JIS A 4201(建築物等の雷保護)に適合するものである。

4.◯

受雷部システムで受けた雷撃を接着システムに導く引き下げ導線システムは、被保護物に沿って避雷導線を引き下げる方法によるもののほか、要件を満たす場合には、被保護物の鉄筋または鉄骨を引下げ導線の構成部材として利用することができる。

[ No.18 ]
空気調和設備に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 空気調和機は、一般にエアフィルタ、空気冷却器、空気加熱器、加湿器、送風機等で構成される装置である。

2. 冷却塔は、温度上昇した冷却水を、空気と直接接触 させて気化熱により冷却する装置である。

3. 二重ダクト方式は、2系統のダクトで送られた温風と冷風を、混合ユニットにより熱負荷に応じて混合量を調整して吹き出す方式である。

4. 単一ダクト方式におけるCAV方式は、負荷変動に対して風量を変える方式である。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

空気調和機は、室内に湿温度を調整した空気を送る機器をいう。一般にエアフィルタ、空気冷却器、空気加熱器、加湿器、送風機等で構成される装置である。

2.◯

冷却塔は、冷凍機内で温度上昇した冷却水を、空気と直接接触させて、一部の冷却水を蒸発させ、気化熱により残りの冷却水の温度を低下させる装置である。

3.◯

二重ダクト方式とは、冷風ダクトと温風ダクトの2系統のダクトで送られた冷風と温風を、吹出し口近傍の混合ユニットにより混合し、各所に吹き出す方式である。

4.×

単一ダクト方式におけるCAV方式は、室内に吹き出す空気量が一定で、冷房負荷に応じて吹き出す空気の温度を変えることにより室温を調整する方式である。吹出し風量が一定のため、各室ごとの負荷変動に対しては対応できない。設問は、VAV方式の説明である。

[ No.19 ]
消火設備に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 屋内消火栓設備は、建物の内部に設置し、人がノズルを手に持ち、火点に向けてノズルより注水を行い、冷却作用により消火するものである。

2. 閉鎖型ヘッドを用いる湿式スプリンクラー消火設備は、火災による煙を感知したスプリンクラーヘッドが自動的に開き、散水して消火するものである。

3. 不活性ガス消火設備は、二酸化炭素等の消火剤を放出することにより、酸素濃度の希釈作用や気化するときの熱吸収による冷却作用により消火するものである。

4. 水噴霧消火設備は、噴霧ヘッドから微細な霧状の水を噴霧することにより、冷却作用と窒息作用により消火するものである。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

屋内消火栓設備は、建物の内部に設置され、人がノズルを手に持ち、火点に向けてノズルより放水することにより、水の有する冷却作用により消火するものである。

2.×

スプリンクラーは、火災の際の熱等によって自動的にヘッドから散水し消火を行うものであり、煙感知とは関係がない。

閉鎖型とは水の出口が常に閉じられているものをいい、湿式、乾式、予作動式の3種類がある。

湿式(一般ビル向)

配管内に水が充満している方式で、スプリンクラーヘッドの感熱部の可溶片が、熱のために溶けてシール部分が開き、湿式流水検知装置が作動して放水する。冬期配水管の凍結の恐れのない部分に使用する。

乾式(寒冷地工場向)

乾式流水検知装置の二次側の配管部を加圧空気で満たし、スプリンクラーヘッドの感熱部の作動により加圧空気を放出し、乾式流水検知装置が作動して放水する方式。冬期凍結のおそれのある部分等に用いられる。

予作動式(病院、共同住宅、重要文化財、建電算機室など)

火災感知器等の作動により、予作動式流水検知装置が開放し、スプリンクラー配管中に圧力水を送り、更に加熱によるスプリンクラーヘッドの作動により放水を開始する。

※予作動式とはヘッドと火災感知器等の両方が作動しない限り放水しない。

開放型は劇場の舞台部などに使用され、火災感知器等と連動して作動するか、又は手動によって一斉開放弁を開いて放水する方式である。

3.◯

不活性ガス消火設備は、二酸化炭素等の消火剤を放出することにより、酸素濃度の希釈作用や気化するときの熱吸収による冷却作用により消火する設備である。消火剤がガスなので消火後の汚損は少なく、電気や油火災及び水損を嫌うコンピューターや電気通信機室あるいは図書館や美術館等に設置される。

4.◯

水噴霧消火設備は、噴霧ヘッドから微細な霧状の水を噴霧することにより、冷却作用と窒息作用により消火する消火設備ある。汚損や腐食性ががあり、博物館や図書館の収蔵庫などには適さない。指定可燃物の貯蔵取扱所、駐車場等、屋内消火栓やスプリンクラー設備で消火できない防火対象物に用いる。

[ No.20 ]
積算に関する次の工事費の構成において、[ A ] 、[ B ] に当てはまる語句の組合せとして、「公共建築工事積算基準(国土交通省制定)」  上、正しいものはどれか。

1. A.工事原価  B.共通仮設費
2. A.工事原価  B.直接仮設費
3. A.現場工事費 B.共通仮設費
4. A.現場工事費 B.直接仮設費

答え

  1

[ 解答解説 ]

公共建築工事算定基準

工事費は、工事価格と消費税等相当額とに分かれ、工事価格は、工事原価と一般管理費等に分別される。また、当該工事原価は、純工事費と現場管理費に分かれ、純工事費は、直接工事費と共通仮設費に分別される。

1級建築施工管理技士 令和04年 学科 問題3 解説

令和4年 1級建築施工管理技士 一次 解答 解説 問題3

(午前の部)令和4年6月 12 日(日)

問題番号 [ No.21 ] ~ [ No.30 ]までの 10問題のうちから、7問題を選択し、解答してください。

[ No.21 ]
乗入れ構台の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 乗入れ構台の支柱と山留めの切梁支柱は、荷重に対する安全性を確認した上で兼用した。

2. 道路から乗入れ構台までの乗込みスロープは、勾配を 1/8 とした。

3. 乗入れ構台の支柱の位置は、使用する施工機械や車両の配置によって決めた。

4. 乗入れ構台の幅は、車両の通行を2車線とするため、7m とした。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

乗入れ構台の支柱と山留めの切梁支柱を兼用する場合は、荷重に対する安全性を確認する

2.◯

道路から乗入れ構台までの乗込みスロープの勾配は、一般に 1/10 〜 1/6 とする。

3.×

乗入れ構台の支柱の位置は、地下構造図と重ね合わせるなどして、基礎梁、柱、梁等の位置と重ならないように配置して決める。

4.◯

乗入れ構台の幅は、使用する施工機械、車両・アウトリガーの幅、配置及び動線等により決定する。通常、計画される幅員は、4〜10mである。最小限1車線で 4m、2車線で 6m程度は必要である。

[ No.22 ]
土工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 根切り底面下に被圧帯水層があり、盤ぶくれの発生が予測されたため、ディープウェル工法で地下水位を低下させた。

2. 法付けオープンカットの法面保護をモルタル吹付けで行うため、水抜き孔を設けた。

3. 粘性土地盤を法付けオープンカット工法で掘削するため、円弧すべりに対する安定を検討した。

4. ヒービングの発生が予測されたため、ウェルポイントで掘削場内外の地下水位を低下させた。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

ディープウェル工法とは、根切り部内あるいは外部に径500〜1,000mmの菅を打ち込み、帯水層を削孔して、径300〜600mmのスクリーン付き井戸ケーシング管を設置てウェルとし、水中ポンプあるいは水中モーターポンプで帯水層の地下水を排水する工法である。盤ぶくれの防止対策として用いられる工法である。

※盤ぶくれの発生が事前の検討により予測された場合の対策

①掘削底面(不透水層)下の地下水位(圧)をディープウェル等によって低下させる。

②止水性の山留め壁を延長し、被圧帯水層の下の不透水層に根入れする。

③掘削場内を地盤改良し、地下水を遮断し土被り圧を増加させる。

2.◯

法付けオープンカット工法とは、安定な斜面を残して掘削する方法で、建物の周囲が広い場合に適用される。法付けオープンカット工法の法面は雨水、乾燥の繰り返しにより崩れやすくなっているため、モルタル吹付け、シート張り、集水・排水溝により法面を保護する。モルタル吹付けとする場合、法面に水抜き孔を設ける

3.◯

法付けオープンカット工法のすべり面の形状が経験的に円形に近いことから、粘性土地盤では、円弧すべり面を仮定することが一般的である。

4.×

ウェルポイントで掘削場内外の地下水位を低下させるのは、砂質地盤におけるボイリング発生防止の対策である。粘性土地盤で発生するヒービングの発生防止には有効ではない

[ No.23 ]
山留め工事の管理に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 傾斜計を用いて山留め壁の変形を計測する場合には、山留め壁下端の変位量に注意する。

2. 山留め壁周辺の地盤の沈下を計測するための基準点は、工事の影響を受けない付近の構造物に設置する。

3. 山留め壁は、変形の管理基準値を定め、その計測値が管理基準値に近づいた場合の具体的な措置をあらかじめ計画する。

4. 盤圧計は、切梁と火打材との交点付近を避け、切梁の中央部に設置する。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

傾斜計を用いる方法は、山留め壁設置直後から変形測定ができるので、よい方法であるが、不動点を壁下端とすることが多いため、壁下端が動いた場合、測定値の確からしさが損なわれるので注意が必要である。

2.◯

山留め壁周辺の地盤の沈下を計測するための基準点は、山留め壁から離れた不動点とみなせる位置に設ける

3.◯

山留め壁は、変形の管理基準値を定め、その計測値が管理基準値に近づいた場合の具体的な措置をあらかじめ計画する。変形の管理基準値と具体的な措置については、特に確立されたものはないが、公共建築工事標準仕様書で以下のように記されている。

「山留め設置期間中は、常に周辺地盤及び山留めの状態について、点検及び計測する。異常を発見した場合は、直ちに適切な措置を講じ、監督職員に報告する。」(公共建築工事標準仕様書建築工事編 3.3.2)

4.×

切梁にかかる軸力は、端部より中央部の方が低くなるため、盤圧計(油圧式荷重計)を切梁の中央部に設置しても、正確に軸力を計測できない。また、安全上の点からも好ましくない。油圧式荷重計は、火打梁の基部や腹起しと切梁の接合部に設置するのが好ましい。

[ No.24 ]
場所打ちコンクリート杭地業に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. コンクリートの打込みにおいて、トレミー管のコンクリート中への挿入長さが長すぎると、コンクリートの流出が悪くなるため、最長でも 9m程度とした。

2. アースドリル工法における鉄筋かごのスペーサーは、孔壁を損傷させないよう、平鋼を加工したものを用いた。

3. オールケーシング工法における孔底処理は、孔内水がない場合やわずかな場合にはハンマーグラブにより掘りくずを除去した。

4. リバース工法における孔内水位は、地下水位より1m 程度高く保った。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

コンクリートの打込みにおいて、トレミー管のコンクリート中への挿入長さが長すぎると、コンクリートの流出が悪くなるため、最長でも 9m程度とする。(建築工事監理指針)

2.◯

ケーシングチューブを用いる場合(オールケーシング工法)、スペーサーはD13以上の鉄筋を用いる。ケーシングチューブを用いない場合(アースドリル工法、リバース工法及びBH工法)は、鉄筋であると孔壁を破損するので、杭径 1.2m以下の場合は鋼板 4.5×38mm、杭径1.2mを超える場合は鋼板 4.5×50mm程度のものとする。

3.◯

オールケーシング工法における孔底処理は、孔内水がないか少量の場合には、掘削用のハンマーグラブを用いて、掘削時に底部に落下した堀りくずを除去する。

4.×

リバース工法は静水圧により孔壁の崩壊を防ぐ工法のため、掘削に際しては、孔内水位を地下水位より 2 m以上高く保持する。

[ No.25 ]
鉄筋のガス圧接に関する記述として、最も不適当なものはどれか。ただし、鉄筋は、SD 345 のD 29 とする。

1. 隣り合うガス圧接継手の位置は、300mm 程度ずらした。

2. 圧接部のふくらみの長さは、鉄筋径の 1.1 倍以上とした。

3. 柱 主筋のガス圧接継手位置は、梁上端から 500mm 以上、1,500mm 以下、かつ、柱の内法高さの 3/4 以下とした。

4. 鉄筋の中心軸の偏心量は、5mm 以下とした。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

隣り合うガス圧接継手の位置は、400mm 以上ずらさなければならない。

隣り合う重ね継手の中心位置は、重ね継手長さの約0.5倍又は1.5倍以上ずらす。

2.◯

圧接部のふくらみの長さは、鉄筋径の 1.1 倍以上とした。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 5.4.4(イ))

3.◯

柱主筋のガス圧接継手位置は、梁上端から500mm 以上、1,500mm 以下、かつ、柱の内法高さの 3/4 以下とする。

4.◯

圧接部における鉄筋中心軸の偏心量は、鉄筋径の 1/5以下(径が異なる場合は細い方の径による)とする。

(公共建築工事標準仕様書建築工事編 5.4.4(エ)(カ))

題意よりD29であるので、 29÷5 = 5.5mm.

よって、5mm以下は規定値の範囲内である。

[ No.26 ]
コンクリートの調合に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 普通コンクリートに再生骨材H を用いる場合の水セメント比の最大値は、60%とする。

2. コンクリートの調合強度を定める際に使用するコンクリートの圧縮強度の標準偏差は、コンクリート工場に実績がない場合、1.5 N/mm2 とする。

3. 単位水量 は、185 kg/m3以下とし、コンクリートの品質が得られる範囲内で、できるだけ小さくする。

4. 高強度コンクリートに含まれる塩化物量は、塩化物イオン量として 0.30 kg/m3 以下とする。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

再生骨材H とは、建築物の解体などによって発生したコンクリート塊を粉砕、磨砕(まさい)等の処理を行って製造したコンクリート用の再生骨材である。

公共建築工事標準仕様書建築工事編 6.3.2(イ)(b)より、水セメント比の最大値は、次による。

①普通、早強及び中庸熱ポルトランドセメント並びに混合セメントA種の場合は65%、低熱ポルトランドセメント及び混合セメントB種の場合は60%、普通エコセメントの場合は55%とする。

②再生骨材Hを使用する場合は、60%とする。

2.×

コンクリートの調合強度は、コンクリートの調合を決定する際に目標とする圧縮強度であり、コンクリートの調合管理強度とコンクリートの圧縮強度の標準偏差から定められる。コンクリート工場に実績がない場合、2.5N/mm2または(調合管理強度)×0.1の大きい値とする。

3.◯

コンクリートの品質を確保するために、単位水量は、一般に185 kg/m3以下とし、所要の品質が得られる範囲内で、できるだけ小さくする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 6.3.2(イ)(c))

単位水量が大きくなると乾燥収縮、ブリーディング、打込み後の沈降などが大きくなり、コンクリートの品質、特に耐久性上好ましくない

4.◯

荷卸し地点で塩化物イオン( Cl)量として 0.30 kg/m3 以下とする。(JIS A 5308)

3に含まれるアルカリ総量を、Na2O換算で、3.0kg以下にする。

②抑制効果の混合セメント等の使用

③安全と認められる骨材の使用

したがって、高強度コンクリートにおいても、コンクリート中のアルカリ総量は、3.0kg/m3以下とする。 —>

[ No.27 ]
高力ボルト接合に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 締付け後の高力ボルトの余長は、ねじ1山から6山までの範囲であることを確認した。

2. ねじの呼びがM 22のトルシア形高力ボルトの長さは、締付け長さに 35 mm を加えた値を標準とした。

3. 高力ボルトの接合部で肌すきが1mm を超えたため、フィラープレートを入れた。

4. ナット回転法による締付け完了後の検査は、1次締付け後の本締めによるナット回転量が 120°±45°の範囲にあるものを合格とした。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

締付け後の高力ボルトの余長は、ねじ1山から6山までの範囲であること。(公共建築工事標準仕様書建築工事編7.4.8(1)(ア)(d))

2.◯

ねじの呼びがM 22 のトルシア形高力ボルトの長さは、締付け長さに 35 mm を加えた値を標準とする。(JASS6)

3.◯

高力ボルトの接合部で肌すき1mm を超える場合は、フィラープレートを入れる。(公共建築工事標準仕様書建築工事編7.4.6(2))

4.×

ナット回転法による締付け完了後の検査は、1次締付け後のナットの回転量120° ±30° の範囲にあるものを合格とする。(JASS6)

[ No.28 ]
大空間鉄骨架構の建方に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. リフトアップ工法は、地組みした所定の大きさのブロックをクレーン等で吊り上げて架構を構築する工法である。

2. 総足場工法は、必要な高さまで足場を組み立てて、作業用の構台を全域にわたり設置し、架構を構築する工法である。

3. 移動構台工法は、移動構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、構台を移動させ、順次架構を構築する工法である。

4. スライド工法は、作業構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、そのユニットを所定位置まで順次滑動横引きしていき、最終的に架構全体を構築する工法である。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

リフトアップ工法とは、地上または構台上で組み立てた屋根架構を、先行した構築した構造体を支えとして、ジャッキ等により引き上げていく工法である。地組みした所定の大きさのブロックを、クレーン等で吊り上げて架構を構築する工法は、ブロック工法である。

2.◯

総足場工法は、必要な高さまで足場を組み立てて、作業用の構台を全域にわたり設置し、架構を構築する工法である。

3.◯

移動構台工法は、移動構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、構台を移動させ、順次架構を構築する工法である。

4.◯

スライド工法は、作業構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、そのユニットを所定位置まで順次滑動横引きしていき、最終的に架構全体を構築する工法である。

[ No.29 ]
木質軸組構法に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 1階及び2階の上下同位置に構造用面材の耐力壁を設けるため、胴差部において、構造用面材相互間に、6mm のあきを設けた。

2. 接合に用いるラグスクリューは、先孔にスパナを用いて回しながら締め付けた。

3. 接合金物のボルトの締付けは、座金が木材へ軽くめり込む程度とし、工事中、木材の乾燥収縮により緩んだナットは締め直した。

4. 集成材にあけるボルト孔の間隔は、許容誤差を ±5mm とした。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

1階及び2階の上下同位置に構造用面材の耐力壁を設ける場合は、胴差部において、構造用面材相互間に、原則として、6mm以上のあきを設ける。(木造住宅工事仕様書)

2.◯

木材の接合等に用いるラグスクリュー(ヘッドがナット状の木ねじ)の締付けは、そのまま締め付けると木材が割れるので、先に孔をあけてから、スパナを用いて回しながら行う。

3.◯

接合金物のボルトの締付けは、座金が木材へ軽くめり込む程度とし、工事中、木材の乾燥収縮により緩んだナットは締め直す

4.×

集成材にあけるボルト孔の間隔の許容誤差は、±2mmとする。

[ No.30 ]
揚重運搬機械に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

1. 建設用リフトは、土木、建築等の工事の作業 で使用されるエレベーターで、人及び荷を運搬する。

2. タワークレーンのブーム等、高さが地 表 から 60m以 上 となる場合、原則として、航空障害灯を設置する。

3. 移動式クレーンは、旋回範囲内に 6,600 V の配電線がある場合、配電線から安全距離を2m以上確保する。

4. ロングスパン工事用エレベーターは、安全上支障 がない場合、搬器の昇降を知らせるための警報装置を備えないことができる。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

建設用リフトとは荷のみを運搬することを目的とするエレベーターで、土木、建築等の工事の作業に使用されるもの(ガイドレールと水平面との角度が80度未満のスキップホイストを除く。)をいう。(労働安全衛生法施行令第1条)

2.◯

タワークレーンのブーム等、高さが地表または水面から 60m以上となる場合、原則として、航空障害灯を設置する。(建築工事監理指針)

3.◯

移動式クレーンは、6,600 V の配電線から安全距離を 2m以上確保する。(建築工事監理指針)

4.◯

ロングスパン工事用エレベーターは、安全上支障がない場合、搬器の昇降を知らせるための警報装置を備えないことができる。

1級建築施工管理技士 令和04年 学科 問題4 解説

令和4年 1級建築施工管理技士 一次 解答 解説 問題4

(午前の部)令和4年6月 12 日(日)
問題番号 [ No.31 ] ~ [ No.39 ]までの9問題のうちから、7問題を選択し、解答してください。
[ No.31 ]
合成高分子系ルーフィングシート防水に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 加硫ゴム系シート防水の接着工法において、平場部の接合部のシートの重ね幅は 100mm以上とし、立上り部と平場部との重ね幅は 150mm 以上とした。
2.  加硫ゴム系シート防水の接着工法において、出隅角の処理は、シートの張付け前に加硫ゴム系シートで増張りを行った。
3. 塩化ビニル樹脂系シート防水の接着工法において、下地が ALC パネルのため、プライマーを塗布した。
4.  エチレン酢酸ビニル樹脂系シート防水の密着工法において、接合部のシートの重ね幅は、幅方向、長手方向とも 100 mm 以上とした。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

加硫ゴム系シート防水の接着工法において、重ね幅は平場部の接合部は 100mm以上、立上り部と平場部の接合部は 150mm 以上とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編9.4.4(6)(エ))

2.×

加硫ゴム系シート防水の出隅角の処理は、シートの張付けに先立ち、非加硫ゴム系シートを用いて増張りする。(JASS8)

3.◯

下地ALCパネル面に塩化ビニル樹脂系シート防水の接着工法で施工する場合に、ALC パネル面にプライマーを塗布する。

4.◯

エチレン酢酸ビニル樹脂系シート相互の接合部は、原則として水上側のシートが水下側のシートの上になるように張り重ね、その平場の接合幅は、長手、幅方向とも100mm以上とする。(JASS8)

[ No.32 ]
シーリング工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 外壁ALCパネル張りに取り付けるアルミニウム製建具の周囲の目地シーリングは、3面接着とした。
2.  先打ちしたポリウレタン系シーリング材に、ポリサルファイド系シーリング材を打ち継いだ。
3. シーリング材の打継ぎ箇所は、目地の交差部及びコーナー部を避け、そぎ継ぎとした。
4.  コンクリートの水平打継ぎ目地のシーリングは、2成分形変成シリコーン系シーリング材を用いた。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

一般に、ALCパネルに取り付けるサッシ回りの目地はワーキングジョイントであり、目地シーリングは2面接着とする。

2.◯

ポリウレタン系シーリング材に後打ちできるシーリング材には、変成シリコーン系、シリコーン系、ポリサルファイド系等がある。(JASS8)

3.◯

シーリング材の打継ぎ箇所は、目地の交差部及びコーナー部を避け、そぎ継ぎとする。シーリング材の打始めは、原則として、目地の交差部あるいは角部から行う。(公共建築工事標準仕様書建築工事編9.7.4(4)(キ))

4.◯

コンクリートの水平打継ぎ目地のシーリングは、ノンワーキングジョイントのため、3面接着とし、塗装がない場合1・2成分形変成シリコーン系シーリング材または2成分形ポリサルファイド系シーシング材を用いる。

[ No.33 ]
セメントモルタルによる壁タイル後張り工法に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 密着張りの張付けモルタルは2度塗りとし、タイルは、上から下に1段置きに数段張り付けた後、それらの間のタイルを張った。
2.  モザイクタイル張りの張付けモルタルは2度塗りとし、1層目はこて圧をかけて塗り付けた。
3. 改良積上げ張りの張付けモルタルは、下地モルタル面に塗り厚4mm で塗り付けた。
4. 改良圧着張りの下地面への張付けモルタルは2度塗りとし、その合計の塗り厚を5mmとした。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

密着張りの張付けモルタル2度塗りとし、タイルは、上から下に1段置きに数段張り付けた後、それらの間のタイルを張る

2.◯

モザイクタイル張りの張付けモルタルの塗り付けは、いかに薄くとも2度塗りとし、1度目は薄く下地面にこするように塗り、下地モルタル面の微妙な凸凹にまで張り付けモルタルが食い込むようにし、次いで張り付けモルタルを塗り重ね、3mm程度の厚さとし、定規を用いてむらのないように塗厚を均一にする。(建築工事監理指針)

3.×

改良積上げ張りは、張付けモルタルを塗厚7~10mmとしてタイル裏面に塗り付けた状態で張り付ける。(JASS19)

4.◯

改良圧着張りの下地面への張付けモルタルは2度塗りとし、その合計の塗り厚を4〜6mmとする。タイル側への塗付けの場合、1〜3mmとする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編11.2.6(3)(ア))

[ No.34 ]
心木なし瓦棒葺に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 水上部分と壁との取合い部に設ける雨押えは、壁際立上りを 45mm とした。
2.  通し吊子の鉄骨母屋への取付けは、平座金を付けたドリルねじで、下葺材、野地板を貫通させ母屋に固定した。
3.  棟部の納めは、溝板の水上端部に八千代折とした水返しを設け、棟包みを取り付けた。
4. けらば部の溝板の幅は、瓦棒の働き幅の 1/2以下とした。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

水上部分と壁との取合い部に設ける雨押さえは壁部で120mm程度立ち上げてむだ折りを付ける。(JASS12)

2.◯

通し吊子はマーキングに合わせて平座金を付けたドリルねじで、下葺材、野地板を貫通させ母屋に固定する。(JASS12)

3.◯

棟部の納めは、溝板の水上端部八千代折とした水返しを設ける。当該部分に棟包みを取り付けて覆い被せる。(建築工事監理指針)

4.◯

けらば部の溝板の幅は、心なし瓦棒の働き幅の 1/2 以下とする。(建築工事監理指針)

[ No.35 ]
防水形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材(防水形複層塗材E)仕上げに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 上塗材は、0.3 kg/m2 を2回塗りとした。
2. 主材の基層塗りは、1.7 kg/m2 を2回塗りとした。
3. 出隅、入隅、目地部、開口部まわり等に行う増塗りは、主材塗りの後に行った。
4. 主材の凹凸状の模様塗りは、見本と同様になるように、吹付け工法により行った。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

上塗材は、0.25 kg/m2 以上を2回塗りで、色むらが生じないように塗り付ける。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 表15.6.1(その3))

2.◯

主材の基層塗り2回塗りとし、だれ、ピンホール、塗り残しのないよう下地を覆うように塗り付ける。主材基層の所要量は、1.7 kg/m2 以上とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 表15.6.1(その3))

3.×

入隅、出隅、目地部、開口部まわりなど均一に塗りにくい箇所は、はけやコーナー用ローラーなどで、主材塗りの前に増塗りを行う。

4.◯

主材の凹凸状の模様塗りは、見本と同様になるように、吹付け工法により行う。

[ No.36 ]
アルミニウム製建具に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 連窓の取付けは、ピアノ線を張って基準とし、取付け精度を2mm 以内とした。
2. 建具枠に付くアンカーは、両 端から逃げた位置にあるアンカーから、間隔を 500 mm 以下で取り付けた。
3. 外部建具周囲の充填モルタルは、NaCl 換算 0.04 %(質量比)以下まで除塩した海砂を使用した。
4. 水切り及び膳板は、アルミニウム板を折曲げ加工するため、厚さを 1.2 mm とした。

答え

  4

[ 解答解説 ]

1.◯

アルミニウム製建具の取付け精度は ±2mmとする。連窓の取付けの基準は、ピアノ線を張って施工する。

2.◯

アンカーの位置は、開口部より 150mm内外を端とし、中間は500mm内外の間隔とする。アンカーと差し筋は最短距離で溶接する。(JASS16)

3.◯

充填モルタルに使用する砂の塩化物量は、NaCl 換算 0.04 %(質量比)以下とする。海砂等を使用する場合は除塩する

4.×

アルミニウム板を加工して、枠、框、水切り、ぜん板及び額縁に使用する場合の厚さは1.5mm以上とする。(建築工事監理指針)

[ No.37 ]
合成樹脂塗床に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 薬品を使用する実験室の塗床は、平滑な仕上げとするため、流し展べ工法とした。
2. 合成樹脂を配合したパテ材や樹脂モルタルでの下地調整は、プライマーの乾燥後に行 った。
3.  エポキシ樹脂系コーティング工法のベースコートは、コーティング材を木ごてで塗り付けた。
4. エポキシ樹脂系モルタル塗床の防滑仕上げは、トップコート1層目の塗布と同時に骨材を散布した。

答え

  3

[ 解答解説 ]

1.◯

流し展べ工法とは、塗床材あるいは塗床材に骨材を混合することによって、平滑に仕上げるセルフレベリング工法で、実験室、工場等に使用される。(建築工事監理指針)

2.◯

合成樹脂を配合したパテ材や樹脂モルタルでの下地調整を行う場合は、プライマーを塗布し乾燥後に行うのが一般的である。(建築工事監理指針)

3.×

コーティング工法は一般に、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂に着色剤、充填剤、溶剤または水、仕上調整剤などの添加剤を配合した低粘土の液体(ベースコート)を、ローラーあるいはスプレーにより1~2回塗布する工法である。(JASS26)

4.◯

エポキシ樹脂系モルタル塗床の防滑のための骨材散布は、トップコート1層目の塗布と同時に行う等、上塗り1回目が硬化する前に製造所が指定する骨材をむらのないように均一に塗布する。(建築工事監理指針)

[ No.38 ]
壁のせっこうボード張りに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. テーパーエッジボードの突付けジョイント部の目地処理における上塗りは、ジョイントコンパウンドを幅 200 ~ 250 mm 程度に塗り広げて平滑にした。
2. せっこう系接着材による直張り工法において、ボード中央部の接着材を塗り付ける間隔は、床上 1,200 mm 以下の部分より、床上 1,200 mm を超える部分を小さくした。
3. せっこう系接着材による直張り工法において、躯体から仕上がり面までの寸法は、厚さ9.5 mm のボードで 20 mm 程度、厚さ 12.5 mm のボードで 25 mm 程度とした。
4. ボードの下端部は、床面からの水分の吸上げを防ぐため、床面から 10 mm 程度浮かして張り付けた。

答え

  2

[ 解答解説 ]

1.◯

テーパーエッジボードの突付けジョイント部における目地処理の上塗りは、幅 200 ~ 250 mm 程度にジョイントコンパウンドを塗り広げて平滑にする。(建築工事監理指針)

2.×

せっこう系接着材直張り工法における張付け用接着材の塗付け間隔は、ボード周辺部150~200mm床上1.2m以下の部分200~250mm床上1.2mを超える部分250~300mmとする。したがって、ボード周辺部の方が塗付け間隔は小さくなる

3.◯

せっこう系接着材による直張り工法において、躯体から仕上がり面までの寸法は、厚さ9.5 mm のボードで 20 mm 程度、厚さ 12.5 mm のボードで 25 mm 程度とする。

4.◯

ボードの下端部は、床面からの吸水を防止するため床面から 10mm 程度浮かして張り付ける。(建築工事監理指針)

[ No.39 ]
外壁の押出成形セメント板(ECP)張りに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 縦張り工法のパネルは、層間変形に対してロッキングにより追従するため、縦目地を 15mm、横目地を8mm とした。
2. 二次的な漏水対策として、室内側にはガスケット、パネル張り最下部には水抜きパイプを設置した。
3. 幅 600 mm のパネルへの欠込みは、欠込み幅を 300 mm 以下とした。
4.  横張り工法のパネル取付け金物(Z クリップ)は、パネルがスライドできるようにし、パネル左右の下地鋼材に堅固に取り付けた。

答え

  1

[ 解答解説 ]

1.×

長辺の目地幅は 8mm以上、短辺の目地幅は15mm以上とする。(公共建築工事標準仕様書)したがって、縦張り工法のパネルは、縦目地を 8mm以上横目地を15mm以上とする。

2.◯

漏水に対する対策が特に必要な場合は、シーリングによる止水のみだけでなく、二次的な漏水対策として、室内側にはガスケットパネル張り最下部には水抜きパイプを設ける。(建築工事監理指針)

3.◯

欠込み幅の限度は、パネル幅の 1/2以下、かつ、300mm 以下とする。

4.◯

層間変形に対して、縦張り工法の場合はロッキング横張り工法の場合はパネルのスライドにより変位を吸収する。また、横張り工法のパネル取付け金物(Z クリップ)は、パネル左右の下地鋼材に堅固に取り付ける。(JASS27)