20章 その他の工事 13.煙突ライニング

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.13 煙突ライニング

(1) 材料

(ア) 「標仕」では、煙突用成形ライニング材は、実績等の資料を監督職員に提出すると規定している。次を参考にして選定するのがよい。

なお、適用安全使用温度は、接続する機械設備の排ガス温度等を基に特記される。

(a) 煙突用成形ライニング材は、ボイラー、冷温水発生機、自家用発電機、コジェネレーションシステムの排気煙突で使用されることを想定している。その他、焼却設備等の排気煙突は、腐食性の高い排ガス成分を含む可能性があり、材料を過度に腐食劣化(はく離、脱落)させるおそれがあるため、別途材料・工法を検討する。

(b) 煙突用ライニング材として実績が多い材料は、ゾノトライト系けい酸カルシウムであるが、他に繊維積層成形ライニング材などの材料もあり、排ガス成分、排ガス温度に対して検証された材料を選定する。

(イ) キャスタブル耐火材

(a) キャスタブル耐火材は煙突底部に排水勾配をとるために使用する。

(b) キャスタブル耐火材は、煙突用ライニング材の製造所の指定する製品とする。

(2) 工 法

ボイラー等の機械設備は建物供用期間の中で更新され、排ガス諸元が変更となる事例が多い。その際、煙突継続使用可否調査を実施することになるが、結果、改修や更新を要する場合がある。改修や更新に対応可能な工法として、ユニット煙突も検討するのがよい。

ここではユニット煙突の工法について、参考に記載する。

(ア) ユニット煙突には、断熱及び煙突効果確保、また、煙突構造体保護のため、煙突用として製造されている成型ライニング材を使用する。

(イ) 煙突は、機械設備の排ガスを安全に大気放出するために、排気能力不足、漏煙、周囲の温度上昇について対策しなければならない。

(ウ) 煙突内径は、点検や改修を考慮し内部作業が可能なサイズが望ましい。煙突本体を撤去更新可能な場合はこの限りではない。

(エ) 煙突吹出し周辺に、排ガスの影響で不具合を発生するような設備、塔屋等がないかを確認する。近年では、数値流体解析技術によって熱拡散状況の検討も可能である。

(オ) 雨水の他、煙突内結露水の排水のため、煙突底部にはキャスタブル耐火材で排水勾配を取り排水管を設ける。キャスタブル耐火材施工後は十分な乾燥養生を行い、強度を確保する。

(カ) 煙突が屋外に設置される場合、寒冷地では点検口周囲に積雪することが予想される。除雪方法も検討するとよい。

(キ) 自家用発電機、コジェネレーションシステムは、機外静圧(背圧)を有するため、排ガスが高流速で煙突に流入する。煙突吹出しに向かって排ガスを誘導するために立上げエルボ又は整流板が必要となる場合がある。

(ク) 区画壁内空気層の換気方法は、下部からの流入空気量、空気層の通風抵抗、上部の排出抵抗を検討し決定する。また、流入空気量が確保されているか設備工事に確認する。

(ケ) 地震力、風圧力、躯体変形の条件は、建物の構造を基に決定する。それによる煙突の建物への反力は、煙突製造所に確認する。

(コ) 煙突の仕上げは、特記を確認する。排ガスが直接触れる部分は高温になるため、ステンレス(SUS304 同程度)が望ましい。

20章 その他の工事 14.ブラインド

20章 ユニット及びその他の工事


2節ユニット工事等

20.2.14 ブラインド

(1) 材料

(ア) 横形又は縦形のブラインドの形式は、「標仕」20.2.14 (1)(ア) では特記によるとしている。

(イ) 横形ブラインド

(a) 横形ブラインドとは、主にアルミニウム合金製のスラットを水平に組み立てたもので、スラットの角度が操作でき、かつ、スラットとボトムレールを昇降できるものをいう。一般窓用、傾斜窓用、天窓用、暗幕用等の種類がある。

(b) 「標仕」では、最も一般的な市販品を想定しているため、適用範囲も限られている。主要構成部分の材種に関しては、ヘッドボックス及びボトムレールは鋼製、アルミニウム合金製、スラットはアルミニウム合金製、樹脂製、木製等がある。「標仕」20.2.14(1)(イ) では、横形ブラインドはJIS A 4801(鋼製及びアルミニウム合金製ベネシャンブラインド)に適合するもので特記によるとされており、特記がない場合はスラットは成形幅25mmのアルミニウム合金製で、ヘッドボックス及びボトムレールの材種は鋼製としている。成形幅35mm及び 50mmのスラットも一般的にはよく使用している。

(c) JIS A 4801における操作方法による横形ブラインドの種類を表20.2.10に示し、その構造を図20.2.10に示す。ただし、「標仕」20.2.14(1)(イ) では、特記がない場合は、ギヤ式と規定している。

表20.2.10横形ブラインドの種類及び記号(JIS A 4801 : 2008)


図20.2.10 横形ブラインドの構造(JASS 26一部修正)

(d) JIS A 4801のスラットの形状及び寸法を、表20.2.11に示す。

表20.2.11 横形ブラインドのスラットの形状及び寸法(JIS A 4801 : 2008)
(ウ) 縦形ブラインド

(a) 縦形ブラインドとは、ヘッドレールに組み込まれた複数のキャリアーにスラットを吊り下げたもので、スラットの開閉、角度調整ができるものをいう。

(b) 「標仕」20.2.14(1)(ウ)では、幅及び高さ並びに開閉方式及び操作方法は、特記によるとされている。特記がなければ、操作方法は、2本操作コード方式とする。スラットは焼付け塗装仕上げのアルミスラット又は消防法で定める防炎性能表示がある特殊樹脂加工のクロススラットとし、適用及び幅は特記によるとされている。

(c) 縦形ブラインドの開閉方式による分類を、表20.2.12及び図20.2.11に示す。

表20.2.12 縦形ブラインドの開閉方式による分類(JASS 26より)


図20.2.11 縦形ブラインドの開閉方式による構成

(d) 縦形ブラインドの操作方法による分類を、表20.2.13及び図20.2.12に示す。

表20.2.13 縦形ブラインドの操作方法による分類(JASS 26より)


図20.2.12 縦形ブラインドの操作方法による構成(JASS 26より)

(2) 工法

(ア) ブラインドの目的は、主として遮光及び遮へいであるが、施工の納まり等のため、設計図書に指定された寸法のままでは現場に合わないことがある。そのため、「標仕」20.2.14(2)では、ブラインドの製作寸法は現場実測寸法と規定している。

なお、横形ブラインド並びに縦形ブラインドの取付け方法による実測方法を図

20.2.13及び図20.2.14に示す。

(イ) 図20.2.13(ロ)の窓枠を覆う納まりの場合、窓の開放時に横型ブラインドが風にあおられると、ボトムレールが膳板にあたり音を発することがあるが、この場合はボトムレールをぜん板より下げるとよい。


図20.2.13 横形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(JASS 26より)

② 高さ(H)

 


図20.2.14 縦形ブラインドの取付け方法と実測方法の関係(JASS 26より)

20章 その他の工事 15.ロールスクリーン

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.15 ロールスクリーン

(1) ロールスクリーンとは、巻取りパイプにスクリーンを取り付けたもので、スクリーンの巻上げ、巻下ろし及び任意の高さでの停止ができるものをいう。

(2) 「標仕」20.2.15(1)では、ロールスクリーンの操作方式、幅及び高さは特記によるとされている。

(3) ロールスクリーンの操作方式による分類を、表20.2.14及び図20.2.15に示す。

表20.2.14 ロールスクリーンの操作方式による分類(JASS 26より)


図20.2.15 ロールスクリーンの操作方式による構成(JASS 26より)

(4) スクリーンの材種を、表20.2.15に示す。「標仕」では、スクリーンは防炎性能の表示があるものとし、材種、品質等は特記によるとされている。

表20.2.15 スクリーンの材種

(5) スクリーンの品質、柄、色合等を特記仕様料だけで正確に表現することは困難であるため、色見本を提出させ、必要に応じて設計担当者と打ち合わせて確認する。

(6) ロールスクリーンの目的は、主として遮光及び遮へいであるが、施工の納まり等のため、設計図書に指定された寸法のままでは現場に合わないことがある。そのため、「標仕」20.2.15(5)では、ロールスクリーンの取付け幅及び高さの製作寸法は、現場実測寸法としている。ロールスクリーンの実測方法を図20.2.16に示す。


図20.2.16 ロールスクリーンの実測方法(JASS 26一部修正)

20章 その他の工事 16.カーテン及びカーテンレール

20章 ユニット及びその他の工事

2節ユニット工事等

20.2.16 カーテン及びカーテンレール

(1) 形状、付属金物等

(ア) 「標仕」20.2.16(1)(ア) では、カーテンのシングル・ダブルの別、片引き・引分け等の形式、開閉操作方法は、特記によるとされている。

(イ) カーテンの開閉形式、開閉機構及び機能による種類は、表20.2.16のとおりである。

表20.2.16 形式、機構等によるカーテンの分類

(ウ) カーテンの生地による分類を、図20.2.17に示す。


図20.2.17 カーテンの生地による分類

(ウ) カーテン等の部分名称を、図20.2.18に示す。


図20.2.18 カーテン等の部分名称

(エ) 「標仕」20.2.16 (1)(ウ) でいう「カーテンが別途工事の場合」とは、カーテンは後で別途に取り付けられるが、工事ではカーテンレールだけを発注する場合で、レールの取付け(ランナーを含む。)だけが発注された工事という意味である。

その場合、レール1m当たり8個のランナーを取り付ける。

(2) 材 料
(ア) 生地
(a) カーテン用生地の品質、柄、色合等を特記仕様書だけで正確に表現することは困難であるため、生地の色見本を提出させ、必要に応じて設計担当者と打ち合わせて確認する。

なお、ホルムアルデヒド放散量に関しては、関係業界団体等が自主基準を作成し、これに基づきホルムアルデヒド発散等級を表示しているものもある。

(b) 防炎加工

① カーテン用生地は、「標仕」20.2.16(2)(ア) では、全て消防法第8条の3(高層建築物、地下街等に使用する防炎対象物品の防炎性能)に定める防炎性能の表示があるものと規定しているため、誤りのないようにする。

② 防炎加工の施されていない生地を指定し、後から防炎加工を行うと変色したり、色合が変わったりすることがあるため注意する。

③ 防炎加工は、生地の製造業者が直接行うものと、加工業者が行うものとがあるが、いずれも消防法による加工資格のある者が加工したものとし、製品には全て防炎ラベルを付けるように規定されている。

(イ) カーテンレール及びその付属金物

(a) カーテンレールは、「標仕」20.2.16(2)(イ) で、JIS A 4802(カーテンレール(金属製))に基づき、レール及びブラケットの強さによる区分、レールの材料による区分は特記による。特記がなければ、レール及びブラケットの強さによる区分は10-90、レールの材料による区分はアルミニウム及びアルミニウム合金の押出し成型材とすると規定している。カーテンレールの構成部品等の例を図20.2.19に示す。

手動ひも引きシングルセット


図20.2.19 カーテンレールの構成部品等の例

(b) 市販されているカーテンレールの断面形状及び取付け方法には、図20.2.20のようなものがある。


図20.2.20 カーテンレールの断面形状及び取付け方法の例

(c) JIS A 4802に定められている強さによる区分を、表20.2.17に示す。

表20.2.17 レール及びブラケットの区分(JIS A 4802 : 2008)
(3) 工法
(ア) カーテンの加工仕上げ
(a) カーテンの寸法

① カーテン用生地幅は、1m及び1.5mが標準である。生地の幅使いは、ひだの種類によって、違ってくるため、「標仕」表20.2.1では、取付け幅に対する倍数を規定している。

「標仕」20.2.16(3)(ア) (a)では、カーテンの位置、形状により、使用できる生地の半幅未満の例外規定を設けているが、特に小さい窓幅の場合等、ひだの種類により生地の割付け長さと取付け幅が合わない場合や、カーテンレール及びカーテンボックスの長さの調整又は端部の隣り合う生地の模様を合わせるなどの場合は注意が必要である。

② 通常用いられるひだの形状は、図20.2.21のようなものがある。

図20.2.21 ひだの形状
③ ひだの作り方は、通常次のとおりである。
1) 厚地(ドレープ):片ひだ、二つ山ひだ、三つ山ひだ
2) 薄物:箱ひだ(豪華に見せるため)
3) ケースメント:プレーンひだ
4) レース
・レースカーテンを単独で使用する場合:三つ山ひだ(美しく見せるため)
・ドレープカーテンと併用する場合:箱ひだとし、上端を押えミシン掛けする(図20.2.22参照)。

5) 暗幕用カーテン:片ひだ、二つ山ひだ


図20.2.22 レースカーテンの箱ひだ

(b) 幅継ぎ加工の方法を、図20.2.23及び図20.2.24に示す。

① レースカーテンの幅継ぎ


図20.2.23 インターロックミシンでの縫い方

② 厚地カーテン及び暗幕用カーテンの幅継ぎ

図20.2.24 袋縫い〈くるみ縫い〉

(c) 縁加工

① 上端の縫い方は、カーテンのポイントであるといわれている。芯地を入れて、通常は図20.2.25のように縫う。

折返しにはフックを差し込むため、フックの長さによって折返しの長さを変える。短いフックの場合は30~40mm、長いフックの場合は60~100mm位である。通常使われているフックは、50~75mm程度のものである。


図20.2.25 カーテン縁加工

② 両脇及びすそのふせ縫いは、表20.2.18のとおりである。

表20.2.18 ふせ縫い}

(d) タッセルバンド

フレンジ(縁飾り)を付けたものには、既製のバンドを取り付けるが、その他のカーテンには、カーテンと共布で作ったものを取り付ける。

タッセルバンドの標準的なものは、図20.2.26のようなものであり、そのほかにも豪華な装飾的なものもある。

図20.2.26 タッセルバンド

(イ) カーテンレール

(a) 引分けカーテンでレールが1本の場合は、交差ランナーを用いないと召合せが取れなくなる。また、暗幕カーテンを用いる場合は、2本のレールを300mm以上交差させることで十分な召合せが取れ、光漏れを防ぐことができる(図 20.2.19参照)。

(b) カーテンをひも引きにする場合、ランナーにひもが絡まり開閉に支障を来すことがあるが、テンションプーリー(ひも留め)を用いると支障なく操作できる(図20.2.19参照)。

(c) 壁付きの装飾的なカーテンレール等を取り付けることが想定される場合には、取付け用の下地補強を行う。

(d) 中間吊りレール(H型)は、固定吊り棒又は伸縮吊り棒を用いて取り付ける。伸縮吊り棒を用いる場合は、振れ止め防止のため、必要に応じて2本吊り(V 字型)にして取り付ける(図20.2.19参照)。

(ウ) ひも掛け金物は、ひも引きカーテンのひもを留めるためのものである。

21章 排水工事 1節 共通事項

21章 排水工事

1節 共通事項
21.1.1 一般事項

(1) この章は、構内の屋外雨水排水及び街きょ、縁石、側溝等を設置する工事を対象としており、原則として、汚水排水等をする工事は対象としていない。

なお、施工範囲は、車両の通行が少なく、切土等の通常の支持地盤に管路を敷設する場合を対象としている。軟弱地盤又は地下水位が高い場合で、排水施設の支持地盤に関して十分な支持力を得られない場合には、不同沈下や浮上がり等を生じる場合があるため、基礎形状等沈下を防止するために適切な設計がなされる必要があり、現場の状況により埋戻し部等に施工を行う場合は、設計者と打ち合わせ、支持力が得られる工法にする必要がある。

(2) 構内排水に関しては、国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課監修「構内舗装・排水設計基準及び参考資料 平成31年版」(以下「構内舗装・排水設計基準」という。)がある。

(3) 作業の流れを図21.1.1に示す。


図21.1.1 排水工事の作業の流れ

(4) 設計図書の確認は、主として次の事項について行う。
 ① 工事範囲の確認
 ② 工事範囲内の埋設物及び障害物の確認
 ③ 既設排水管、接続桝の管底高さの設計図書との対比

 ④ 関連工事との取合いの検討

(5) 施工計画書の記載事項は、概ね次のとおりである。

なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。

 ① 工程表(着工、完成、通水試験等の時期)
 ② 使用材料の名称、規格、製造所名及び使用箇所
 ③ 排水管敷設の工法
 ④ コンクリートの調合及び打込み工法
 ⑤ 掘削の工法及び建設発生土の処分方法
 ⑥ 官公署への届出文書名及び提出予定日
 ⑦ 安全管理対策、公害対策
 ⑧ 作業のフロー、管理の項目、水準・方法、
  品質管理体制・管理責任者、

  品質記録文書の書式とその管理方法等

 

(6) 注意事項

(ア) 給水管と排水管が、平行して埋設される場合は、原則として両配管の間隔を、500mm以上とし、給水管は排水管の上方に埋設する。

(イ) 一般的に、上下水道工事では、土圧、荷重等の関係から埋設管の最小土かぶりを0.5〜1.0mとしているが、建築工事で行う外構工事程度のもので、大きな荷重を受けることのない箇所であれば、通常0.6mあればよい。

埋設管の最小土かぶりは、土圧、荷重による管の押しつぶし、その振動による継手の損傷の防止、温度変化による管の伸縮防止、凍結による劣化防止等のために必要である。

(ウ) 排水工事の施工に伴う関係官庁への申請及び届出書が遅滞すると、工程に影響がでるため注意する。

21.1.2 基本要求品質

(1) 排水工事に用いられる材料で、排水管や側塊等についてはJIS等が定められているので、これに適合する材料を使用することを要求している。

なお、その他の材料で、コンクリートについては、使用量も少なく強度等をあまり重視しない軽易な場合には、現場容積調合とすることができる。

(2) 配管、桝、街きょ、縁石、側溝等については、設計図書でその形状や寸法、排水勾配等が指示される。現場に敷設された配管や桝等が指定された形状や寸法のとおりに設置されていることを要求している。

(3) 「標仕」で要求している「排水に支障となる沈下や漏水」をなくすためには、次のような事項に留意して工事監理を行うことが必要である。

(ア) 埋戻し、盛土等を行った箇所に、排水桝、埋設管等を設けることは極力避けるべきである。

やむを得ず設ける場合は、建物本体等から支持材を出して受けるか又は最初の桝を建物の近くに設けるなどして管が不同沈下により破断しないように考慮する。

(イ) 本章は、雨水排水工事を対象としているが、排水計画によっては雨水と汚水の合流排水となる現場もある。このような場合には、特に、排水勾配が適切であることが重要である。

急勾配の場合は、水だけ先に流れ、汚物が停滞していて次第に管を閉塞してしまう。また、緩勾配にし過ぎると、汚水を流す能力が不足することになる。下水道法施行令第8条では、管きょ(管及び掘割り)の勾配、マンホールの設置について次のように定めている。

(a) 管きょの勾配は、やむを得ない場合を除き、1/100以上とすること。

(b) 暗きょである構造の部分の次に掲げる箇所には、桝又はマンホールを設けること。

① もっぱら雨水を排除すべき管きょの始まる箇所。

② 下水の流路の方向又は勾配が変化する箇所。ただし、管きょの清掃に支障がないときは、この限りでない。

③ 管きょの長さがその内径又は内法幅の120倍を超えない範囲内において管きょの清掃上適切な筒所。

21章 排水工事 2節 屋外雨水排水

21章 排水工事

2節 屋外雨水排水

21.2.1 材 料

(1) 排水管用材料は、「標仕」表21.2.1により、材種、種類・記号、呼び径等は特記によるが、構内舗装・排水設計基準では、車路・駐車場の下部に埋設する場合、材種は硬質ポリ塩化ビニル(VP)を基本としている。また、最小管径は、150mmとしている。

(2) 遠心力鉄筋コンクリート管(JIS A 5372推奨仕様C-2)

(ア) JISでは、管の種類を外圧管及び内圧管に区分し、さらに形状によってA形、B形、NB形及びNC形に区分している。

外圧管の種類は、表21.2.1のとおりである。

表21.2.1 暗きょ類 Ⅰ 類の遠心力鉄筋コンクリート管(外圧管)の種類(JIS A 5372 : 2016)

(イ) 「標仕」21.2.1では、外圧管(1種)を用いると規定しているが、これは自然流下の排水では内圧が生じないためである。

(ウ) 管の形状及び寸法は、表21.2.2 (B形のみ)のとおりである。

(エ) ゴム輪

B形、NB形及びNC形の継手に用いるゴム輪は、JIS K 6353(水道用ゴム)の規格に適合したものを用いる。ゴム輪の種類はⅣ類とする。

(オ) 表 示

暗きょ類には、JIS A 5361(プレキャストコンクリート製品 – 種類、製品の呼び方及び表示の通則)によって、次の事項を表示する。

(a) 種類又はその略号
(b) 製造業社名又はその略号
(c) 製造年月日又はその略号

(d) リサイクル材を用いている場合には、その旨を表示

表21.2.2 管の形状及び寸法(B形)(JIS A 5372 : 2016)

表21.2.3 ゴム輪の品質(JIS K 6353 : 2011)

(3) 硬質ポリ塩化ビニル管(JIS K 6741)

(ア) この規格は、一般流体輸送配管に用いる硬質ポリ塩化ビニル管について規定している。ただし、JIS K 6742(水道用硬質ポリ塩化ビニル管)に規定する水道用硬質ポリ塩化ビニル管を除く。

(イ) JISでは、管の種類はVP、VU及びVMの3種類があるが、「標仕」21.2.1 (1)では、VP及びVUを用いると規定している。VP及びVUの呼び径を表21.2.4に示す。

表21.2.4 管の種類及び呼び径(JIS K 6741 : 2016)
(ウ) ゴム輪

ゴム輪は、JIS K 6353の規格に適合したものを用いる。

ゴム輸の品質は、表21.2.5による。

表21.2.5 ゴム輪の品質(JIS K 6353 : 2011)

(エ) 「構内舗装・排水設計基準」に管きょの種類の選定について示されているので参考にするとよい。

(オ) 表 示

管の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないこととされている。

 ① 日本産業規格の番号
 ② 種類又はその記号
 ③ 呼び径
 ④ 製造年月又はその略号

 ⑤ 製造業者名又はその略号

(4) リサイクル硬質ポリ塩化ビニル三層管(JIS K 9797)

(ア) この規格は、外層及び内層は未使用ポリ塩化ビニルを主体とし、中間層に硬質ポリ塩化ビニル管・継手類から作られた再利用ポリ塩化ビニルを主体とした、埋設部で無圧の一般流体輸送配管に用いるリサイクル硬質ポリ塩化ビニル三層管について規定している。

(イ) JISでは、管の種類はRS-VUのみである。RS-VUの呼び径を表21.2.6に示す。

表21.2.6 RS-VUの呼び径(JIS K 9797 : 2006)
(ウ) 表 示

管の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。

 ① 種類又は記号
 ② 呼び径
 ③ 製造年月又はその略号

 ④ 製造業者名又はその略号

(5) 排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手(JIS K 6739)

(ア) この規格は、JIS K 6741に規定するVPを使用する排水配管の接着接合に用いる硬質ポリ塩化ビニル管継手について規定している。

(イ) 硬質ポリ塩化ビニル管継手の形状による種類は、表21.2.7による。

表21.2.7 形状による種類
(ウ) 表 示
(a) 継手の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。
 ① 呼び径

 ② 製造業者名又はその略号

(b) 継手又は包装の外側に、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。
 ① 日本産業規格の番号
 ② 種類又はその略号

 ③ 製造年月又はその略号

(6) 屋外排水設備用硬烈塩化ビニル管継手(塩化ビニル管・継手協会規格)

(ア) 「標仕」では、屋外排水設価用硬質塩化ビニル管継手は、塩化ビニル管・継手協会規格で規格番号はAS 38、種類・記号はVU継手と規定している。

(イ) 硬質塩化ビニル管継手の形状による種類は、表21.2.8による。

表21.2.8 形状による種類
(ウ) 表 示

継手の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。

 ① 継手の略号又はVU
 ② 呼び径
 ③ 製造業者名又はその略号
 ④ 製造年又はその略号(注)

※(注)ー製品ごと又は一包装ごとに表示するものとする。

(7) 配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3452)

(ア) 「標仕」の排水工事では規定していないが、雨水排水(「標仕」13章5節[とい])等で使用する排水管用材料として、配管用炭素鋼鋼管がある。種類及び記号は表21.2.7のとおりとし、亜鉛めっきの有無により黒管、白管に区分されているが、「標仕」表13.5.1では白管としている。

表21.2.9 種類の記号及び亜鉛めっきの区分 (JIS G 3452 : 2019)

(イ) 管の寸法は表21.2.10のとおりである。

(ウ) 表 示

検査に合格した管には、管ごとに、次の事項が表示されている。ただし、外径が小さい管の場合又は注文者の要求がある場合は、これを結束して、1束ごとに適切な方法で表示してもよいとされている。また、注文者の承認を得た場合は、その一部を省略することができるとされている。

 ① 種類の記号
 ② 製造方法を表す記号
 ③ 寸法

 ④ 製造業者名又はその略号

表21.2.10 配管用炭素鎖鋼管の寸法(JIS G 3452 : 2019)

(8) 排水用ねじ込み式鋳鉄製管継手(JPF DF 001:日本金属継手協会規格)

(ア) この規格は、主に使用圧力 0.35MPa以下で鋼管を用いた排水配管の接合に用いる排水用ねじ込み式鋳鉄製管継手(以下「継手」という。)について規定している。

(イ) 継手の種類は、次による。

(a) 材料による種類は、ねずみ鋳鉄製及び可鍛鋳鉄製の2種類とする。
(b) 形状による種類及びその記号は、表21.2.11による。

(c) 表面の状態による種類は、鋳放し、めっき及びコーティングとする。

表21.2.11 形状による種類(JPF DF 001 : 2010)

(ウ) 継手の形状は、表21.2.12による。

表21.2.12 継手端部の形状・寸法(JPF DF 001 : 2010)

(エ) 継手の寸法許容差は、表21.2.13による。

表21.2.13 継手の中心から端面までの距離、及び端面から端面までの距離の許容差

(オ) 継手の材料は、表21.2.14による。

表21.2.14 継手の材科(JPF DF 001 : 2010)

(カ) 製品の表示

(a) 継手には、継手の大きさの呼び、製造業者又はその記号を表示する。Uトラップには、流れ方向を明示する矢印を付ける。

(b) 包装には、次の事項を表示する。
 ① 製品名称、規格番号又は規格名称
 ② 種類
 ③ 継手の大きさの呼び
 ④ 数量

 ⑤ 製造業社名又はその略号

(9) プレキャスト鉄筋コンクリート製品のマンホール側塊(JIS A 5372 推奨仕様 D-1)

(ア) JISにおける側塊の形状及び寸法は、表21.2.15のとおりである。形状及び寸法は、特記によるが、接続する排水路の高さ、雨水の流出量等に注意する。

(イ) 足掛け金物の材料については、「標仕」21.2.2 (6)(オ) で、現場打ちの場合と既製品の場合を規定しており、既製品の場合、マンホール側塊の製造所の仕様によるとしている。

(ウ) 表 示

側塊には、次の事項が表示されている。
 ① 種類又はその略号
 ② 製造業者名又はその略号
 ③ 製造年月日又はその略号

 ④ リサイクル材を用いている場合には、その旨の表示

表21.2.15 マンホール側塊の呼び及び寸法(JIS A 5372 : 2016)
(10) 雨水マンホール(組立て)

国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課監修「建築工事標準詳細図(令和4年版)」9-15[雨水マンホール]を参照するとよい。

(11) 鋳鉄製ふた
(ア) 「標仕」では、空気調和・衛生工学会規格 SHASE-S 209(鋳鉄製マンホールふた)に基づき、名称、種類及び適用荷重は、特記によるとされている。

なお、車路等においては、消防車など重量のある車両を考慮した適用荷重が特記されているか確認する。

(イ) 鋳鉄製ふたには、「標仕」で要求する品質を満たすものとして、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4(5)(ア) 参照)で評価された製品があるので参考にするとよい。

(ウ) SHASE-S 209(鋳鉄製マンホールふた)の抜粋を次に示す。

SHASE-S 209
マンホールふた3. 種類及び大きさの呼びマンホールふたの種類及び大きさの呼びは、表1による。表1 – マンホールふたの種類及び大きさの呼び
加重体の大きさの換算について
4. 要求事項4.3 性能
マンホールふたは、5.の規定によって試験し、表2に適合しなければならない。表2 – マンホールふたの性能
5. 荷重試験方法5.1 たわみ試験の試験方法
たわみ試験の試験方法は、図9に示すように試験体の枠を全面で支え、ふた(試験体)の中央に表3に示す加重体を載せ、たわみ試験荷重に達するまで徐々に荷重を加えたときのたわみ量及び荷重除去後のたわみ量(残留たわみ)を測定する。ただし、試験体はパッキンを外したものとする。5.2 破壊試験の試験方法
破壊試験の試験方法は、5.1を終了後、さらに表3に示すたわみ試験荷重の4倍に相当する破壊試験荷重に達するまで徐々に荷重を加え試験を行う。
図9 – マンホールふたの試験要領表3 – 加重体の大きさと試験荷重
化粧マンホールふた3. 種類および大きさの呼び
化粧マンホールふたの種類及び大きさの呼びは.表1による。表1 – 化粧マンホールふたの種類及び大きさの呼び
4. 要求事項
4.3 性 能(マンホールふたに同じため省略)5. 荷重試験方法
5.1 たわみ試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)5.2 破壊試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)
図7 – 化粧マンホールふたの試験要領表3 – 加重体の大きさと試験荷重
3. 種類及び大きさの呼び格子ふたの種類及び大きさの呼びは、表1による。表1 – 格子ふたの種類及び大きさの呼び
4. 要求事項
4.3 性 能 (マンホールふたに同じため省略)

5. 荷重試験方法

5.1 たわみ試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)

5.2 破壊試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)


図3 – 格子ふたの試験要領

表3 – 加重体の大きさと試験荷重

SHASE-S 209-2009
(12) グレーチング

(ア) グレーチングの材質、適用荷重、メインバービッチ、ボルト固定の有無等は、特記によるとされているが、次のことを確認するとよい。

(a) 車路等において、消防車などの特殊な自動車の種類を考慮し、十分な耐荷重性能を有するものとしているか。

(b) メインバービッチは、歩行者の通路ではハイヒールを考慮しているか。

(c) 自動車等の通過時のずれ、がたつき又は跳ね上がりが生じないように、ボルトで固定されているか。

(13) 材料の保管

(ア) 現場内に材料を保管する場合は、倒壊が生じないようにするとともに、部外者が保管場所に立ち入らないように柵等を設け、十分な安全対策を講じなければならない。

(イ) 管の保管に当たっては、管の高積みを避け、ロープ掛け等を施し管の転がりや転落を防止する。

(ウ) 塩化ビニル管の接合に用いる接着剤は、揮発性で、かつ、引火性の溶剤を多量に含んでいるため、接着剤の機能が失われないように必ずふたをし、冷暗場所に保管する。また、接着剤の保管については、関係法令を遵守する。

(14) 排水桝及び配管を据え付ける部分の地業用材料は次のとおりである。

(ア) 砂地業に使用する砂は、シルト、有機物等の混入しない締固めに適した山砂、川砂又は砕砂とし、適用は特記による。

(イ) 砂利地業に使用する砂利は、再生クラッシャラン、切込砂利又は切込砕石とし、適用は特記による。

なお、粒度は、JIS A 5001(道路用砕石)に基づく C-40、C-30又はC-20程度のものとする。

(15) 排水工事に用いる現場打ちの場合の、コンクリートの種類、設計基準強度及びスランプは特記による。特記がなければ、排水工事に用いるコンクリートは大きな荷重を受けることがないため、普通コンクリートで設計基準強度18N/mm2、スランプは15cm又は18cmとする。

なお、使用量が少なく、レディーミクストコンクリートを購入することが現実的でない場合、コンクリートの調合容積比セメント1:砂2:砂利4 程度の現場練りとすることができる。

(16) 寒冷地に適用される凍上抑制層に用いる材料

「構内舗装・排水設計基準」では、寒冷地における雨水排水設備は、地盤の凍結融解の影響による破損を避けるため、凍結深さから求めた必要な置換深さと、雨水排水設備の基礎の下端の深さを比較し、置換深さの方が大きい場合は、雨水排水設備の基礎の下にその厚さの差だけ、凍上の生じにくい材料の層を設けるとされている。凍上抑制層に用いる材料は、砂、砂利、クラッシャラン、再生クラッシャラン、礫、スラグ等があり、「標仕」では、ゴミ、泥等の有機物を含まないものとし、種類は、特記によると規定している。

砂は「標仕」表21.2.2による。粒度分布を求めて、各種骨材として適当かどうかを判定するための粒度試験は JIS A 1102(骨材のふるい分け試験方法)に基づき、適用は特記によると規定している。

(17) 「標仕」では、埋戻しに用いる材料は特記による。特記がなければ、表3.2.1のB種(根切り土の中の良質土)と規定している。根切土を使用するのが一般的であるが、締固めが十分に行えない土の場合は、良質な土や山砂等で置き替える必要がある。

21.2.2 施 工

(1) 寒冷期等の施工及び養生

降雨・降雪が予想される場合又は打込み中のコンクリート温度が 2℃を下回るおそれのある場合で、適切な養生を行うことが出来ない場合は、コンクリートの打込みを行わない。ただし、やむを得ず打ち込む場合は、保温及び養生方法に関して具体的な方法を受注者等に提案させたうえで検討する。

なお、保温及び養生方法の例を、22.5.5[養生](3) に示しているので、参考にされたい。

(2) 根切り

(ア) 根切りに当たっては、「標仕」3章を参照し、安全に注意する。特に、山留めの構造及び点検等の管理には注意が必要である。

(イ) 遣方を適切な間隔に設け、高低を実測のうえ、所定の深さに根切りする。

また、遣方に水糸を張り、根切りの確認をする。

(ウ) 遣方を設けない場合は、あらかじめ深さを計算しておき、レベルにより確認する。

(エ) 根切りは、根切り底をかく乱しないように掘削する。

(オ) 根切り底の深さと管路の勾配に注意し、掘り過ぎた場合は、山砂の類で埋め戻す。また、根切り底が緩んでいる場合は、締め固める。

(カ) 根切り範囲は、根切りだけを先行させないで、できるだけ管の敷設と埋戻しとが継続してできる程度に抑えておく。

根切りのままで長期間放置すると、降雨等により崩壊したり、根切り底が緩んだりする。地下水位の高い地盤では、ますます軟弱化するおそれがある。

(3) 地 業

(ア) 排水施設を設ける地盤が、排水施設を支持するのに適した砂、ローム、粘土質等の場合は、根切り面を割り石や砂等の地業の施工がしやすいようにソイルコンパクタ等で締め固める。

(イ) 遠心力鉄筋コンクリート管の地業は、管の埋設方式、土質の状態、活荷重の条件等によって地業形式が異なるため、その選定に当たっては、十分注意を払う必要がある。

(ウ) 遠心力鉄筋コンクリート管を敷設する箇所が、管を支持するのに適している場合は砂地業とすることができるが、軟弱地盤等では、その地盤に適したコンクリート地業、杭打ち地業等の地業形式をとらなければならない。この場合は、設計担当者と打ち合わせ、設計変更等について検討する。

(エ) 砂地業では、ごみや有機不純物締を含まない遮断層用の砂を300mmごとに締め固め、空隙が生じないように仕上げる。

(オ) 割り石地業では、地業に用いる砕石等を所定の厚さにむらなく敷き均し、タンパ等の締固め機械によって十分に締め固める。

(カ) 捨コンクリート地業では、砕石等を所定の厚さに仕上げた後、所定の寸法のコンクリートを打ち込み、締め固めて空隙のないように仕上げる。

(4) 側塊、排水桝

(ア) 排水桝、マンホールは、管きょ内の点検、清掃等のために必要なものであるため、管きょの方向、勾配、管径の変化する箇所、段差の生じる箇所及び合流する箇所に設ける。

(イ) 汚水の混入する排水桝及び排水溝には、インバート(図21.2.1参照)を設ける。インバートは、流れやすくして汚物等が詰まるのを防ぐためのものであるため、モルタルは滑らかに仕上げ、肩上は汚物が残らないように、勾配を付ける。


図21.2.1 インバート

(ウ) 雨水用排水桝及びマンホールの底部には、排水管等に泥が詰まらないように、深さ150mm以上の泥だめを設ける。

(エ) 排水桝、マンホールについては、プレキャスト製品と現場打ちコンクリートがあるが、施工性・品質等からプレキャスト製品が一般的に使われている。

(オ) 合流式下水道の場合、雨水系統と汚水系統が合流する合流桝を設けるが、臭気対策としてトラップ桝とすることが望ましい。

(5) 排水管

(ア) 遠心力鉄筋コンクリート管

(a) 管の敷設は下流部より始め、順次上流部に向けて行うのがよい。

(b) 管の吊降ろしは、必要に応じてロープ、チェーンブロック等を用いて、管に損傷を与えないようにする。

(c) 砂地業とした場合は、管を勾配に合わせて移動しないように固定し、継手作業が終わった後、良質土で管の中心線程度まで両側から埋め戻して締め固める。埋戻しの一層の仕上り厚さは20cm以下とし、適切な含水状態の土等で十分締固めながら埋め戻す。

(d) 継手部分は、漏水の原因となるため、特に入念に施工する。継手部分にゴムリングを用いるB形管は、接合前にゴムリングの傷、老化、寸法等を確認し、正常であれば、あらかじめ作っておいた引込み目安線まで確実に引き込む(図 21.2.2参照)。


図21.2.2 管のゴム接合

(イ) 硬質ポリ塩化ビニル管

(a) 管の取扱いについては、落下したり、ぶつかり合ったりしないように慎重に取り扱い、特に、管端部にはクッション材等を挟むなどし、破損及び傷がつかないようにする。

(b) 桝との接合には、砂付きの桝取付け短管を用いる。

(c) 「標仕」で継手は、硬質ポリ塩化ビニル管継手による冷間工法とし、継手には、材料自体が博いため、直接ねじを切れないので、接着剤又はゴム輪を用いるものとしている。適用は特記によるが、特記がなければ、接着剤としている。

(d) マンホールなどの構造物と管きょとの接続部分において、不同沈下等による偏荷重により継手の使用を検討する必要がある。

検討事項としては、
 ① 耐震性を特に必要とするかどうか
 ② 宅地造成等における盛土区域の地盤の安定性
 ③ 軟弱地盤等におけるマンホールと管きょとの不同沈下
 ④ 管きょの重要性

などがあげられる。

対応策としては、可とう性管きょ、マンホール用可とう継手単管の使用等がある。

なお、採用に当たっては可とう性、水密性、耐久性、経済性等を十分検討しなければならない。

(6) 凍上抑制層は、1層の仕上がりを20cm以下として、各層ごとにタンパ等小型締固め機械を使用し均ーになるように仕上なければならない。

(7) 埋戻し
(ア) 埋戻しは、原則として、根切土の良質土とする。

ただし、車両等の通行する部分は、コンクリートで保護するか、川砂又は透水性の良い山砂の類とする。砂類の場合は、水締めとするのが望ましい。

(イ) 土かぶりまでの埋戻しは、管の耐力の範囲内でタンパ、ランマ等で締め固め、重機械を用いてはならない。

(ウ) その他の埋戻しについては、3章を参照する。

21.2.3 試 験

通水試験は、排水管の継手モルタルの硬化程度を見計らい、全系統にわたり、埋戻しに先立って通水し、漏水の有無の確認を行う。

試験方法は、排水管の端末を適切な方法で閉じ、管径の1/2程度まで注水し、継手部分の漏水及び勾配の検査を行う方法とする。しかし、重要部分及び一般部分でも事情が許す場合は、管を満水にする満水試験を行う。

21.2.4 浸透施設

雨水の浸透式排水は、特定都市河川浸水被害対策法や各地方自治体の条例等の規制によって、近年の急激な都市化の進展とともに多発している「都市型水害」、さらには最近増加している「局地的豪雨」等の対策措置として、雨水排水が直接公共施設の下水道、河川、湖沼、海等に放流できない地域又は植栽等のために地下に浸透させた方が望ましいなどの目的で設けられるものである。適用に当たっては、浸透排水能力及び施設の設置場所の地質、地形、地下水等の条件や周辺の施設、構造物への影響を十分検討する。

「標仕」には、規定はないが、浸透施設を参考に示す。

(1) 浸透施設の例としては、図21.2.3のような浸透桝、浸透トレンチ、浸透側溝がある。


図21.2.3 浸透施設

(2) 浸透施設の施工に当たっては、次の点に注意する。

(ア) 施工時に地盤の浸透機能を、低下させないことが重要であるため、浸透面を締め固めないものとし、掘削後は床付けを行わず、直ちに敷砂を行い充填材を投入する。ただし、地盤が砂礫、砂の場合は敷砂を省略してよい。

(イ) 透水性舗装を浸透施設とする場合には、地盤面は小型ローラ等で締め固めるが、こね返しや過転圧によって強度が低下しないよう注意する。

(ウ) 充填材の投入に当たっては、施設内に土砂が混入しないように注意する。また、投入時に透水シートを引き込まないように注意する。

(エ) 工事中の排水は、原則として、浸透施設を使用しない。また、浸透面にネットを被覆するなどの土砂流入防止の措置をとる。

(オ) 工事完了後、浸透施設に対して、浸透能力確認のための注水試験を行う。

21章 排水工事 3節 街きょ、縁石及び側溝

21章 排水工事

3節 街きょ、縁石及び側溝

21.3.1 材 料

(1) 「標仕」では、縁石及び側溝は、表21.3.1により種類、形状及び寸法は特記によると規定している。主な材料の規格を以下に示す。

(ア) 道路用境界ブロックに関するJIS A 5371(プレキャスト無筋コンクリート製品)の抜粋を次に示す。

JIS A 5371 : 2016

推奨仕様B-2 境界ブロック

B-2.4 形状,寸法及び寸法の許容差

ブロックの形状、寸法及び寸法の許容差は、推奨仕様 B-2 図1、推奨仕様 B-2 図2、推奨仕様B-2 図3 及び推奨仕様 B-2 表3による。


推奨仕様 B-2 図1 – 片面歩車道境界ブロックの形状及び寸法


推奨仕様 B-2 図2 – 両面歩車追境界ブロックの形状及び寸法


推奨仕様 B-2 図3 – 地先境界ブロックの形状及び寸法

推奨仕様 B-2 表3 – ブロックの寸法及び寸法の許容差

JIS A 5371: 2016
(イ) 道路用コンクリートL形側溝に関するJIS A 5371(プレキャスト無筋コンクリート製品)及びJIS A 5372(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)の抜枠を次に示す。

JIS A 5371 : 2016

推奨仕様 C-1 L形側溝

C-1.4 形状、寸法及び寸法の許容差
L形の形状寸法及び寸法の許容産は、推奨仕様 C-1 表3による。

推奨仕様 C-1 表3 – L形の形状,寸法及び寸法の許容差

JIS A 5372 : 2016

推奨仕様 E-4 L形側溝

E-4.2 種 類
L形の種類は、用途によって推奨仕様 E-4 表1のとおり区分する。

推奨仕様 E-4 表1 – L形の種類

E-4.4 形状,寸法及び寸法の許容差

L形の形状、寸法及び寸法の許容差は、推奨仕様 E-4 図1及び推奨仕様 E-4 表3による。


推奨仕様 E-4 図1 – L形の形状、寸法及び配筋

推奨仕様 E-4 表3 – L形の形状、寸法配筋及び寸法の許容差

JIS A 5372 : 2016
(ウ) 道路用上ぶた式U形側溝に関する JIS A 5372(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)の抜粋を次に示す。

JIS A 5372 : 2016

推奨仕様 E-2 上ぶた式U形側溝

E-2.2 種類

側溝の種類は、用途によって、推奨仕様 E-2 表1のとおり区分する。

推奨仕様 E-2 表1 – 側溝の種類

E-2.4 形状、寸法及び寸法の許容差

側溝の形状、寸法及び寸法の許容差は、推奨仕様 E-2 表4 又は推奨仕様 E-2 表5による。

推奨仕様 E-2 表4 – 側溝(本体)の形状、寸法、配筋及び寸法の許容差

推奨仕様 E-2 表4 – 側溝(本体)の形状、寸法、配筋及び寸法の許容差(続き)

推奨仕様 E-2 表5 – 側溝(ふた)の形状、寸法、配筋及び寸法の許容産

推奨仕様 E-2 表5 – 側構(ふた)の形状、寸法、配筋及び寸法の許容差(続き)

JIS A 5372 : 2016

21.3.2 施 工
 

(1) 工法

街きょ等を通りよく排水勾配を確保して仕上げるには、基礎となる砂利や砕石の層及びモルタルについて、平たんに仕上げなければならない。それらの施工については、4.6.3[ 砂利及び砂地業 ]及び 4.6.4[捨コンクリート地業]を、コンクリートについては「標仕」6章14節を参照する。

なお、「標仕」21.3.2 (1)では、砂利地業の厚さは、特記による。特記がなければ、厚さは100mmとしているが、軟弱地盤等で地盤改良が必要な場合は、設計担当者等と協議する。

(2) 現場打ちの場合、寒冷期等の施工及び養生は、21.2.2 (1)による。

(3) 凍上抑制層の敷均しは、21.2.2 (6)による。

(4) 街きょ、縁石及び側溝の設置例を図21.3.1に示す。


図21.3.1 街きょ等の設置例

22章 舗装工事 1節 共通事項

建築工事監理指針 22章 舗装工事

1節 共通事項
22.1.1 一般事項

(1) 「標仕」に定められている舗装は、建築物の周囲等に施工される、いわゆる構内舗装を対象としており、一般道路のような舗装は対象としていない。したがって、舗装厚、材質、締固めの程度等は、一般道路の仕様とは異なり構内舗装に適したものとなっている。

(2) 構内舗装に関しては、国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課監修「構内舗装・排水設計基準及び参考質料 平成31年版」がある。

(3) 通常用いられる舗装の種類は次のとおりである。

(ア) アスファルト舗装

路盤及び加熱アスファルト舗装の表層又は表層と基層で構成されるたわみ性舗装で、交通荷重を路床土の有する許容応力以下に分散する。加熱式アスファルト混合物の代わりに、石油アスファルト乳剤やカットバックアスファルトをバインダとした常温式アスファルト混合物もあるが、耐久性の点で加熱式より劣るため、通常は加熱式アスファルト混合物を使用する。

(イ) コンクリート舗装

路盤及びコンクリート版により構成される剛性舗装で、交通荷重をコンクリート版の曲げ強度で支える構造となっている。

(ウ) その他の舗装

舗装の表面の材料が異なるものとして、ブロック系舗装がある。また、(ア) 及び(イ) に特別な機能を付加したものとしてカラー舗装、透水性アスファルト舗装及び排水性アスファルト舗装があり、材料と施工方法を変えたものとして転圧コンクリート舗装がある。

(4) 施工計画書の記載事項は、概ね次のとおりである。

なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。

① 工程表(着工、他工事との関連、完成、試験の時期)
② 施工業者名及び作業の管理組織
舗装の構造
使用材料の品質、製造所名及び使用箇所
配合計画書
⑥ 目地割り及び目地の構造
⑦ 路床の不良土及び障害物の処置
⑧ 建設発生土の処分方法
締固めの方法、管理の方法
舗設の工法
⑪ 養生の方法
試験の要領

作業のフロー、管理の項目・水準・方法、品質管理体制・管理責任者、品質記録文書の書式とその管理方法等

22.1.2 基本要求品質

(1) アスファルト舗装の場合は、通常路床上に路盤・表層の順で構成され、コンクリー卜舗装の場合は、路床上に路盤・コンクリート版の順で構成される。

なお、路床が軟弱な場合には、路床の改良を施すことがある。また、寒冷地では凍上による舗装の破損を防ぐため、水はけの良い材料で凍上抑制層を設ける場合もある(図22.1.1参照)。

これらに用いる材料については、「標仕」の各節で、JIS等による品質規格が定められているので、この規格に適合する材料を用いる。

基本要求品質としては、定められた材料が正しく使用されていることを求めているため、そのことを完成時にJIS等に基づく試験成績書等で証明できるようにしておく必要がある。


図22.1.1 舗装構成と各層の名称( () は必要に応じて採択する)

(2) 「標仕」では、仕上りの状態は、形状及び寸法を「所定」のものとし、仕上り面の状態を「所要」のものとしている。

形状及び寸法については、設計図書で指定され、その許容差は「標仕」の各節で規定している。また、仕上り面については、設計高さとの許容差を定めるとともに、平たん性を定性的に規定している。

舗装の平たん性については、目視により歩行に支障がなく、段差や著しい不陸がないことや、通行の支障となるような水たまりがないことを散水や降雨時を利用して、確認する。また、ブロック系舗装の場合については、22.8.5を参考に、品質計画で平たん性の管理方法等を明確にしておくとよい。

(3)「標仕」では、舗装各層の性能については、定められた材料を用いて「所定のとおり締め固められ、耐荷重性を有すること」と規定している。また、路床や路盤の締固めについては、土質や路盤材料並びに締固め機械の種類等に対応して、締固めに適した含水状態で施工するよう定めている。

アスファルト舗装については、アスファルト混合物等の配合設計を行い、原則として、使用するアスファルト混合物の製造所において試験練りや試験施工を行って現場配合を決定するとしており、石油アスファルト乳剤の使用量や、アスファルト混合物の敷均し時の温度等についても規定されている。さらに、路盤や舗装等について、施工後の締固め度の試験についても規定している。

これらに関して、当該現場での具体的な施工の方法並びに管理の方法等について施工計画書(品質計画)で定め、これに基づき品質管理を行わせるとともに、その記録等により、施工が適切に行われ、品質管理の結果が適正であることが分かれば、その工事は「耐荷重性」を有すると見なすことができる。

ただし、現場の地盤の状況等が設計時の想定と異なり、設計図書のとおりに施工すると「耐荷重性」の確保が困難であると予想される場合には、設計担当者と打ち合わせ、「標仕」1.1.8の規定による協議を行う必要がある。

22.1.3 再生材

(1) 再生材は、コンクリート構造物の解体工事や舗装の補修工事からの発生材をリサイクルして利用するものであり、大別して再生加熱アスファルト混合物と再生路盤材に分かれる。いずれの再生材も適切な品質管理のもとで製造されることにより、新規材料と同等の性能を有するので、資源の有効利用や環境保全の観点から積極的な利用が望まれる。

(2) 「標仕」22.1.3では、各節に規定されている材料中に再生材が含まれている場合には、再生材を使用すると規定している。ただし、再生材の供給状況等により、再生材の使用が困難な場合には、監督職員との協議により、再生材以外の材料を使用することができる。

22章 舗装工事 2節 路床

建築工事監理指針 22章 舗装工事

2節 路 床

22.2.1 一般事項

(1) この節は、路床と現地の土質条件、気象条件及び舗装構造によって必要となる凍上抑制層、フィルター層を対象としている。

(2) 路床は、アスファルト混合物層又はセメントコンクリート版及び路盤を通じて分散された交通荷直を最終的に支える部分である。

(3) 路床は、通常は現地盤の土をそのまま利用するが、地盤が軟弱な場合には、路床の改良が必要となる。改良工法としては、置換え工法と安定処理工法がある。

(4) 路床土は、地域によって粘土から礫質土に至るまで多くの種類のものがあるが、通常の土の分類に応じた設計CBRとの関係を、表22.2.1に示す。

表22.2.1 路床土の性質による設計CBRの設定

22.2.2 路床の構成及び仕上り

(1) 路床は、路床土及びその上に設ける凍上抑制層又はフィルター層から構成され、各層の役割は次のとおりである。

(ア) 凍上とは、路床や路盤内の水分が凍結して体積が膨張し、舗装を持ち上げることで舗装が破損する現象をいう。寒冷地域や凍結融解を受けるおそれのある地域では、凍結深さから求めた必要な置換え深さと舗装厚さを比較して、置換え厚さが大きい場合、路盤の下にその厚さの差だけ凍上の生じにくい材料の凍上抑制層を設ける。特に、建物等により一日中日陰となる箇所においては凍上について十分留意する必要がある。

(イ) フィルター層は、透水性舗装の施工で設けられる層であり、透水性の表層及び路盤を通過した雨水を円滑に路床に浸透させるとともに、軟弱な路床土や地下水が浸入し路床が軟弱化して舗装が破壊することを防ぐために設ける層である。

(ウ) 路床の設計CBRが3未満の軟弱な場合には、安定処理工法の適用を検討する。安定処理工法に用いる添加材料(安定材)には、セメントや石灰等がある。

(2) 路床の仕上り面と設計高さとの差が、+20mm、-30mm以内であることを確認する。

(3) 路床の締固め完了後に現場密度を測定し、室内試験で求めた最大乾燥密度の90%以上の締固め度が得られていることを確認する。

22.2.3 材 料

(1) 盛土用材料の種別は、特記による。特記がなければ、「標仕」表3.2.1による。

(2) 凍上抑制層に用いる材料
凍上抑制層に用いる材料は、凍上を起こしにくく、入手しやすい材料を使用することが望ましい。

材料別の判定基準の例は次のとおりである。

(a) 砂:75μmふるい通過量が6%以下
(b) 火山灰、火山礫:粗粒で風化の兆候がなく、排水性が良好で75μmふるい通過量が20%以下で強熱減量が4%以下

(c) 切込砂利:4.75mmふるい通過分のうち、75μmふるい通過量が9%以下

(3) フィルター層用材料

(ア) 材料は、路床の粘性士が侵入しにくく、高含水比になっても軟弱化することなく、適度の透水性を有するものが望ましい。

(イ) 透水性舗装のフィルター層は、川砂、海砂、良質な山砂等で75μmふるい通過量が6%以下のものとする。

(4) 路床安定処理用材料(安定材)

(ア) 路床の安定処理を目的として添加する安定材として、「標仕」表22.2.1にセメント及び石灰が示されている。このほか、有機質土等の特殊な土の安定処理を目的とした、セメント系安定材や石灰系安定材が市販されているので、セメントや石灰では安定処理の効果が十分に得られない場合には、これらの採用を検討するとよい。

(イ) 一般的に、砂質土に対してはセメント系の安定材がよく、シルト質土及び粘性土には石灰系の安定材が効果的である。

(ウ) 安定材の混合時の粉じん発生を抑制するため、防じん処理を施した安定材も市販されている。

(エ) セメント及びセメント系固化材を地盤改良に使用する場合には、条件によっては六価クロムが土壌環境基準を超える濃度で溶出するおそれがあるため、国土交通省では、平成12年3月24日付で「セメント及びセメント系固化材の地盤改良への使用及び改良土の再利用に関する当面の措置について」が発出され、所管の建設工事の施工に当たっては六価クロム溶出試験を実施して六価クロムの溶出量が土壌環境基準以下であることを確認するとされている。

22.2.4 施 工

(1) 置換え工法とは、軟弱な路床土を撤去し、砂や砕石等の支持力の大きい材料で置き換える工法をいう。

(2) 路床土が部分的に悪い場合、「標仕」22.2.4(1)では、その部分を取り除き周囲の良質土で埋め戻すことになっているが、適切な土がない場合は、「標仕」1.1.8の協議により良質な砂、山砂、砕石、切込砂利等で置き換えることを検討する。

(3) 粘性土や高含水比の土では、こね返しや過転圧により強度が極度に低下する場合があるため、強度の低下が予想される場合は、できるだけ路床を乱さないように、十分注意をして施工しなければならない。

(4) 路床土が、降雨等により著しく水を含み締固め作業が困難な場合には、適切な排水溝を施工すると同時に晴天を待って乾燥させ、十分な締固めを行う。

(5) 安定処理工法は、路床土にセメントや石灰等の安定材を混合して、固化させることにより、軟弱な路床土の支持力を向上させる工法である。添加量は路床土の乾燥質量に対し、一般的にセメント・石灰とも2〜10%である。安定処理層のCBRは、安定処理層を含めた深さ約1mの路床の合成CBRが設計CBRを満足するように設定する。

路床安定処理に際しての留意事項は次のとおりである。

(ア) 路床の安定処理用の混合機械としては、混合専用のスタビライザやバックホウが用いられる。均ーな混合性を確保するためにスタビライザの使用が望ましいが、スタビライザの入手が困難な場合及び施工が小規模な場合には、バックホウを使用する。

(イ) スタビライザは、構造物の近傍では使用できないので、そのような場合にはバックホウを併用する。

(ウ) 安定処理の施工に当たっては、室内配合試験で決定された安定材の量に対し、施工のばらつきを考慮して割増しを行う。スタビライザを用いた施工では割増し率を20%程度とするが、バックホウの場合は、必要な支持力を確保するためには割増し率を50%程度とする。

なお、バックホウのバケット内に特別な混合装置を付けた改良型バックホウが実用化されているが、これを用いるとスタビライザと同等な混合性を確保できる。

(エ) 添加材の散布時及び混合時に粉じんが発生する場合があるので、周辺への影響が懸念される場合には、防じん型の安定材を使用する。

(6) 路床の仕上り高さは、水準測量によるか、丁張りに水糸を張りそこからの高さ(下がり)を測定して管理する。

(7) 構造物周辺等の埋戻し部では、舗装完成後に段差やくぼみ等の異常が生じないよう、また、給排水管等に損傷を与えないように入念な施工を行わなければならない。埋戻しは、良質な材料を用いて十分締め固めることを原則とするが、現状土にセメントあるいは石灰を混合したものを用いると効果的な場合がある。

(8) 路床の部分的な締固め不足あるいは不良箇所を確かめるためには、プルーフローリングを行うとよい。プルーフローリングとは、施工に用いた締固め機械と同等以上の締固め効果をもつタイヤローラ、鉄輪ローラあるいはトラックを路床仕上り面上を走行させ、変位の度合いによって支持力の均一性を調査することである。

異常を発見した場合には、速やかに再締固めや置換、安定処理等の処置をとらなければならない。

(9) 凍上抑制層の敷均しは、モーターグレーダ、プルドーザ又は人力で行い、路床を不必要に乱さないように注意して、1層の仕上り厚さ200mmを超えないように均一に行う。敷均し後、適切な転圧機で十分に転圧する。

(10) 締固め機械の種類、重量及び締固め回数は、路床の性質及び含水益を考慮して定めなければならない。締固め機械の例を図22.2.1に示す。


図22.2.1 締固め機械の例

22.2.5 試 験

「標仕」には、路床に関する試験として、路床土の支持力を評価するCBR試験と、締固めの密度を管理するための砂置換法による土の密度試験方法が示されている。 CBR試験は、現場の路床土や盛士に用いる材料が対象であり、施工に先立ち室内で実施する。密度試験は、仕上り路面の締固め状態の良否を確認するために締固め作業完了後に現場で実施する。具体的な試験手順は、それぞれJIS A 1211(CBR試験方法)及びJIS A 1214(砂置換法による土の密度試験方法)又は(公社)日本道路協会「舗装 調査・試験法便覧」を参照する。

現場CBR試験は、JIS A 1222(現場CBR試験)を参照する。

22章 舗装工事 3節 路盤

建築工事監理指針 22章 舗装工事

3節 路 盤

22.3.1 一般事項

この節は、路床の上に施工する路盤のうち、砕石等を用いて築造する粒状路盤を対象としている。

路盤は、舗装路面に作用する荷重を分散させて、路床に伝える役割を果たす部分であり、その施工に当たっては規定の締固め度と厚さを確保しなければならない。

22.3.2 路盤の厚さ及び仕上り

「標仕」22.3.2では、路盤の厚さは特記によるとしている。路盤の締固め度については、路盤の締固め完了後に現場密度を測定し、室内試験で求めた最大乾燥密度の 93%以上の締固め度が得られていることを確認する。

22.3.3 材 料

一般の道路舗装では、上層路盤には粒度調整砕石のような支持力の高い材料を、下層路盤にはクラッシャランのように安価で比較的支持力の低い材料を使用することが一般的である。「標仕」では、路盤材料は「標仕」表22.3.1により、種別は特記によるとされている。

(ア) 路盤材料の一般的性質と留意事項

(a) 路撒材料は、舗装の特性により性質が異なるが、通常用いられる材料は「標仕」表22.3.1のとおりである。

(b) 修正CBRとは、路盤材料の強さを表す値で、(公社)日本道路協会「舗装設計施工指針」に材料の品質が規定されており、JIS A 1210(突固めによる土の締固め試験方法)の呼び名E-b によって求めた最大乾燥密度の95%の締固め度に相当するCBRが、一般的に用いられている。

(c) 塑性指数〈 Ip、PI 〉とは、土の粘着性を表す値で、砂は0、シルト質土で10程度となる。

(d) 路盤に使用する材料は、有害な量の粘土塊、有機物、ごみ等を含んではならない。また、施工時の含水比は締固め度に影響するので、室内の突固め試験で求められている最適含水比になるよう加水等により調整する。

(イ) 砕石

(a) JIS A 5001(道路用砕石)の粒度範囲は、表22.3.1及び表22.3.2のとおりである。
(b) 粒度調整砕石とは、2種以上の砕石、砂等を混合して、所要の粒度範囲をもつように調整した砕石である。
(c) クラッシャランとは、岩石をクラッシャで割り砕いたままのものである。

(d) 再生クラッシャランとは、路盤発生材、アスファルトコンクリート発生材又はセメントコンクリート発生材などから製造された再生骨材などを、単独若しくはこれらを混合したもの及び必要に応じて新規骨材を加えたものである。

表22.3.1 粒度調整砕石の粒度範囲(JIS A 5001 : 2008)
表22.3.2 単粒度砕石及びクラッシャランの粒度範囲(JIS A 5001 : 2008)
(ウ) スラグ

鉄鋼スラグは、高炉スラグと製鋼スラグを破砕したものを、単独又は組み合わせて製造したもので、単位容積質量は1.5kg/L以上とし、高炉スラグを用いた鉄鋼スラグは、呈色判定試験により水浸の際に黄濁色が検出されないことを確認したもの、製鋼スラグを用いた鉄鋼スラグは、膨張する性質があるため、水浸膨張試験で目標値以下になったものを使用する。また、水硬性粒度調整鉄鋼スラグは、一軸圧縮強度(14 日) 1.2MPa以上のものとする。路盤用鉄鋼スラグの粒度範囲を表22.3.3に示す。

表22.3.3 路盤用鉄鋼スラグ砕石の粒度範囲(JIS A 5015 : 2018)

22.3.4 施 工

(1) 路盤の一層の仕上り厚さは200mm以内を標準として、それを超える場合は、2層に分けて施工する。

(2) 路盤は、表層からの荷重を支持し、分散して路床に伝える役目をもつものであるため、荷重を均等に分散するためには一様な支持力が得られるように施工する。

(3) 路盤の施工は、路床施工後仕上り面が荒らされない時期に行うことが望ましい。やむを得ず路床仕上り後、工事車両等の交通に供した場合には、路床面が荒らされたり、不良材料等が混入したりする場合がある。路盤の施工に先立ってこれらを除去し、改めて整形して締め固めなければならない。

(4) 路盤材料は、貯蔵、積込み、運搬、敷均し等の取扱いに際して、分離を生じさせないよう十分注意して行う。

材料の敷均しには、ブルドーザ、モーターグレーダ等を用いる。このとき切返し回数が多いと材料の分離が生じるので注意して行う。

(5) 敷均し、締固め作業の途中で路盤材料が乾燥し過ぎた場合は、適時散水し、最適含水比付近の状態で締め固めることが望ましい。

(6) 路盤の締固めは、8t以上のマカダムローラ、8〜20tのタイヤローラ又はこれらと同等以上の効果のある締固め機械2種以上を併用して十分に締め固め、所定の形状に平らに仕上げる。ただし、施工困難な箇所は、ほかの締固め機械を使用することができる。

なお、狭小部はランマ等を用いて行う。

(7) 歩道部又は軽易な場合の締固めは、振動ローラ、ソイルコンパクタ又は同等以上の能力のある機械を用いて十分に締め固める。

22.3.5 試 験

路盤の締固め完了後の試験は、JIS A 1214(砂置換法による土の密度試験方法)に碁づく現場密度を測定し、JIS A 1210(突固めによる土の締固め試験方法)に基づく最大乾燥密度と比較し、所定の締固め度が得られているか確認する。