平成25年1級建築施工管理技士 実地検定 問題1 解答解説

平成25年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題1

問題1
建築工事の施工技術は、社会的・経済的環境等により変化しており、建築物の性能水準の 高い、より高度な技術による施工が求められている。その一方、建設業の就業者数の減少も大きな 課題となっており、このような中で、施工技術や合理化工法の開発など新たな取組みが行われている。
あなたが経験した建築工事のうち、品質を確保した上で施工の合理化を行った工事を1つ選び、 下記の工事概要を具体的に記入した上で、次の問いに答えなさい。
なお、建築工事とは、建築基準法に定める建築物に係る工事とする。ただし、建築設備工事を 除く。
[ 工事概要 ]
 イ.工 事 名
 ロ.工 事 場 所
 ハ.工事の内容
  新築等の場合:
   建物用途、構造、階数、
   延べ面積又は施工数量、
   主な外部仕上、主要室の内部仕上
  改修等の場合:
   建物用途、
   主な改修内容、施工数量又は建物規模
 ニ.工 期 (年号又は西暦で年月まで記入)
 ホ.あなたの立場
1. 工事概要であげた工事で、あなたが担当した工種において実施した、施工の合理化の事例を2 つあげ、次の1から4について、それぞれ具体的に記述しなさい。
ただし、2つの事例の「合理化を行った目的と実施した内容」は、それぞれ異なる内容の記述とすること。また、現在一般的に行われている躯体・仕上げ材料のプレカットに関する記述は不可とする。
① 工種又は部位等
② 合理化を行った目的と実施した内容
③ 実施した内容が合理化に結び付く理由
④ 実施した内容が品質を確保できる理由

解答例

1)事例1

① 工種又は部位等:

  鉄筋工事、型枠工事

② 合理化を行った目的と実施した内容:

躯体工事の工程短縮と品質確保のため、鉄筋工事において、梁鉄筋先組工法を採用した。また、型枠工事においては、床型枠にトラス筋付きデッキプレート工法を採用した。

③ 実施した内容が合理化に結び付く理由:

鉄筋を先組みすることにより、現場作業が軽減できるので、作業効率が上がり工期短縮につながる。また、トラス筋付きデッキプレートを使うことにより、現場での配筋作業・型枠解体作業が軽減できる。

④ 実施した内容が品質を確保できる理由:

地組で配筋できるため、施工精度を高くすることができ、各梁の配筋検査も余裕をもって行え、配筋の品質確保につながる。

2)事例2

① 工種又は部位等

 木工事(内部間仕切り壁下地)

② 合理化を行った目的と実施した内容:

仕上げ工事の工期短縮のため、内部間仕切り壁下地に、パネル枠(壁の長さ、高さに合わせた材木枠内に胴縁を組み込んだもの)を採用した。

③ 実施した内容が合理化に結び付く理由:

工場内生産品の間仕切りを取り付けるだけなので、造作大工の手間が省略_化でき、工期短縮につながる。

④ 実施した内容が品質を確保できる理由:

内部間仕切り壁の品質が均一に保たれ、作業員の技量によるばらつきがなくなるため品質が確保できる。

[ 解説 ]

設問1は工事概要であげた現場で実施した内容を順序にしたがって記述する。また、施工の合理化とは「原価を抑える」「品質を向上させる」「工程を短縮する」「安全性を高める」ために行った施工方法の変更など、施工面での工夫である。今回の問題では、プレカットに関する記述は除くとあるので、合理的な施工方法、ある程度組立てまでされる工場生産品の採用などを記述することが必要である。

2. 上記の工事概要であげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、施工の合理化の方法であって、建設資材廃棄物の縮減に効果があると考えられる施工方法と、それが 効果的であると考える理由を具体的に記述しなさい。
ただし、現在一般的に行われている躯体・仕上げ材料のプレカットに関する記述は除くものと する。また、上記 1.の②「実施した内容」及び③「合理化に結び付く理由」と同じ内容の記述は不可とする。

解答例

①建設資材廃棄物の縮減に効果があると考えられる施工方法:

内装工事の外壁内側の仕上げについて、壁のモルタル塗りを石こうボード直張り工法に変更した。

②効果的であると考える理由:

モルタル塗りと比較して材料の搬入、現地塗りが少なくなり、資材廃棄物の縮減が図られる。また、養生期間が少なく工期短縮に有効であるとともに、砂を現場に入れないため、整然とした作業環境が実現される。

[ 解説 ]

設問2は工事概要であげた現場にかかわらず、自分の考えを記述する。

設問1にある条件「品質を確保できる理由」は求められていないがその代わりに「建設資材廃棄物の縮減に効果がある」といった条件が付いているため、建設廃棄物の発生を抑制できる施工の合理化について記述する必要がある。解答例では、壁のモルタル塗りを石こうボード直張りに変更しているが、工期短縮に効果がある。

平成25年1級建築施工管理技士 実地検定 問題2 解答解説

平成25年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題2

問題2
建築工事において、次の 1.から 3.の仮設物の設置計画に当たり、留意又は検討すべき事項 をそれぞれ 2 つ、具体的に記述しなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、保守点検等設置後の運用管理上の記述は除くもの とする。また、使用資機材に不良品はないものとする。
1. 場内仮設事務所

解答

①事務所本体、外構、埋設設備等の工事に支障のない位置とする。

②出来る限り作業の状況が確認しやすく、また資材の動き、人の動きが見える所とする。

[ 解説 ]

場内仮設事務所の計画での留意事項または検討すべき事項については、以下の①~③等がある。

①設計・工事事務所の現場の出入口に近く、かつ、現場の状況がよく見える位置に計画する。

②設計事務所と工事事務所の位置は、両者の打合せがスムーズにできるよう、近接位置とする。

③仮設事務所の位置は、工事の終了間際まで使用できる位置とする。

2. 場内仮設道路

解答

①仮設道路位置は、ゲートの位置と揚重設備及び資材置場との円滑な動線上に設ける。

②重量車の走行に十分耐えられる道路構造とする。

[ 解説 ]

場内仮設道路の配置計画に当たり、留意事項または検討すべき事項については以下の①~③等がある。

①資機材の運搬車両、工事用機械等、さまざまな用途の車両の通行を考慮し、道路の位置と幅員について検討する。

②地耐力を確認し、機械接地圧と比較検討を行う。なお、地耐力が不足しているときは地盤改良工事を行う。

③杭打機など大型の工事用機械は接地圧が大きいので、整地後に切込砂利を敷き、十分転圧してから鋼板を敷く。

3. 鋼板製仮囲い(ゲート及び通用口を除く。)

解答

①建地や控えが風圧に耐えられる深さまで打ち込まれているかを確認する。

②鋼板が横地材とボルトで緊結されているか、また、建地材の間隔が適切であるかを確認する。

[ 解説 ]

鋼板製仮囲いの配置計画に当たり、留意事項または検討すべき事項については以下の①~③等がある。

①材料は、万能鋼板 H=2m、または H=3mとする。

②仮囲いは、支柱の打込み長さ、斜材の間隔を確認するとともに強風、地震等で倒壊することがないように、十分に安全な構造とする。

③仮囲いは、現場内の落下物等が外部に転がり出ないように、幅木を設置し、すき間のない構造とする。

平成25年1級建築施工管理技士 実地検定 問題3 解答解説

平成25年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題3

問題3
次の 1.から 4.の問いに答えなさい。 ただし、留意事項は、それぞれ異なる内容の記述とし、材料の保管、作業環境(気象条件等)及び作業員の安全に関する記述は除くものとする。
1. 場所打ちコンクリート杭地業(アースドリル工法)のコンクリートの打設における施工上の 留意事項を、2 つ具体的に記述しなさい。
ただし、コンクリートの調合に関する記述は除くものとする。

解答例

場所打ちコンクリート杭地業(アースドリル工法)のコンクリートの打設における施工上の留意事項は以下の①~⑤等がある。この中より2つを簡潔に記述する。

①コンクリートの打込みには、トレミー菅を用いる。

②トレミー菅及びケーシングチューブは、これを引き抜きながらコンクリートの打込みを行う。

③トレミー菅の先端は、コンクリートの中に常時2m以上入っているようにコンクリートを打設する。

④コンクリート打込み時に、その浮力等で鉄筋かごの浮き上がりが生じる場合もあるので、十分注意して押さえながら打設する。

⑤ケーシングチューブを急速に引き抜くと、コンクリートに泥水を巻き込むことになるので、十分注意して押さえながら打設する。

2. 鉄筋工事の鉄筋の組立てにおける施工上の留意事項を、2 つ具体的に記述しなさい。 ただし、鉄筋材料、加工及びガス圧接に関する記述は除くものとする。

解答

鉄筋工事の鉄筋の組立てにおける施工上の留意事項としては、以下の①~⑤等がある。この中の2つを簡潔に記述する。

①加工された鉄筋は、施工図に従って正しい位置に、コンクリートの打込みで移動やひずみが起きないように、間隔を正しく堅固に組み立てる。鉄筋相互の位置の固定は、鉄筋の交点や重ね部分を0.8~0.85mm程度のなまし鉄線で結束する。

②柱・梁主筋と帯筋、あばら筋との結束は、四隅の交点において全数行い、その他の交点において半数以上行う。スラブ、壁では交点の半数以上とする。

③鉄筋相互のあきの最小寸法は次のうち一番大きい数値とする。

・粗骨材の最大寸法の1.25倍

・25mm

・異形鉄筋では呼び名の数値(径が異なる場合は平均値)の1.5倍

・鉄筋の継手長さ、定着長さ、相互のあき寸法が不足しないように組み立てる。

④鉄筋の継手位置は相互にずらして配筋する。

⑤かぶり厚さを確保するため、バーサポート及びスペーサーはコンクリート製または鋼製とする。

3. 型枠工事において、支保工にパイプサポートを使用する場合の施工上の留意事項を、2 つ具体的に記述しなさい。
ただし、パイプサポートに不良品はないものとする。

解答

支保工にパイプサポートを使用する場合の施工上の留意事項としては以下の①〜⑤等がある。この中の2つを簡潔に記述する。

①支柱は垂直に立て、上下階の支柱は平面上の同一の位置とする。

②パイプサポートは3本以上継いではならない。

③パイプサポートを継いで用いるときは、4本以上のボルトまたは専用金具を用いて継ぐ。

④高さが 3.5mを超えるパイプサポートには、高さ2m以内ごとに水平つなぎを2方向に設け、かつ、つなぎの変位を防止する。

⑤支柱の脚部の固定、根がらみの取付け等により、支柱脚部の滑動を防ぐ。


4.
鉄骨工事の建方時における仮ボルトの施工上の留意事項を、2 つ具体的に記述しなさい。
ただし、材料に不良品はないものとする。

解答

鉄骨工事の建方時における仮ボルトの施工上の留意事項としては、以下の①〜④等がある。この中から2つを簡潔に記述する。

①本締め用の高力ボルトを仮ボルトに兼用してはならない。

②仮ボルトの本数と配置は次の通りとする。

・高力ボルト継手(高力ボルト接合)では、中ボルト等を使用してボルト1群に対して 1/3程度かつ2本以上をバランスよく配置して、締め付ける。

・混用継手及び併用継手では、中ボルト等を使用して、ボルト1群に対して1/2程度かつ2本以上をバランスよく配置して、締め付ける。

③溶接継手におけるエレクションピース等に使用する仮ボルトは、高力ボルトを使用して全数締め付ける。

④強風や地震等、想定される外力に対する接合部の応力を計算し、発生応力に必要な数の仮ボルトを用いる。

平成25年1級建築施工管理技士 実地検定 問題4 解答解説

平成25年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題4

問題4
次の 1.から 8.の各記述において、記述ごとの①から③の下線部の語句のうち最も不適当な箇所番号1 つあげ、適当な語句を記入しなさい。
1.密着保護仕様のアスファルト防水において、一般平場部と立上り部又は立下り部で構成する 出隅・入隅は、平場部のルーフィング類の張付けに先立ち、幅① 300 mm 程度の②ストレッチルーフィングの流張りで均等に増張りする。
屋根にプレキャストコンクリート板を使用する場合、プレキャストコンクリート板の継手目地 部は、平場部のルーフィング類の張付けに先立ち、両側のプレキャストコンクリート板に③ 40 mm程度張り掛る幅の②ストレッチルーフィングを用いて、絶縁増張りをする。

解答

 ③ 100

密着保護仕様のアスファルト防水におけるプレキャストコンクリート板の継手目地部は、平場部のルーフィング類の張付けに先立ち、両側のプレキャストコンクリート板に100mm程度張り掛かる幅のストレッチルーフィングを用いて、絶縁_増張りをする。 (JASS8)

2.タイルを壁の下地モルタル面に、改良圧着張り工法にて張り付ける場合、下地に適当な水湿しを 行い、①機械練りした張付けモルタルを②2層塗りし、タイル裏面全体に張付けモルタルを塗り付け、直ちにたたき押えをして張り付ける。一度に張り付ける面積は③m2 以下とする。

解答

 ③ 2

改良圧着張り工法において下地への張付けモルタルの1回の張り付け面積の限度は2m2以下とし、かつ、60分以内に張り終える面積とする。(公共建築工事標準仕様書)

3.内装の床張物下地をセルフレベリング材塗りとする場合、軟度を一定に練り上げたセルフレベ リング材を、レベルに合わせて流し込む。流し込み中は、できる限り通風を①良くして作業を行う。
施工後の養生期間は、常温で7日以上、冬期間は ②14 日以上とし、施工場所の気温が③°C以下の場合は施工しない。

解答

 ① なくして

セルフレベリング材が硬化する前に風が当たると、表層部分だけが動いて硬化後にしわが発生する場合がある。したがって、流し込み作業中はできる限り通風をなくして、施工後もセルフレベリング材が硬化するまでは、はなはだしい通風は避ける。(建築工事監理指針)

4.長尺金属板葺の下葺のアスファルトルーフィングは、軒先と①平行に敷き込み、軒先から順次棟へ向かって張り、隣接するルーフィングとの重ね幅は、短辺部は 200 mm 以上、長辺部は 100 mm以上とする。
金属板を折曲げ加工する場合、塗装又はめっき及び地肌にき裂が生じないよう切れ目を②入れて折り曲げる。金属板を小はぜ掛けとする場合は、はぜの折返し寸法と角度に注意し、小はぜ内に 3~6mm 程度のすき間を設けて③毛細管現象による雨水の浸入を防ぐようにする。

解答

 ②入れずに

長尺金属板を現場等で折り曲げる場合は、地肌に亀裂が生じないように十分曲げ半径を取り、切れ目を入れずに塗装、めっきを行う。(建築工事監理指針)

5.構造ガスケット構法によるガラスのはめ込みにおいて、ガラスの①クリアランスが大きくなるとガラスの②かかり代が小さくなり、風圧を受けたときの構造ガスケットのリップのころびが大きくなるので、③止水性の低下や、ガラスが外れたりガスケットがアンカー溝又は金属枠から外れたりするおそれがある。

解答

 ①エッジ

構造ガスケット構法において、エッジクリアランスが大きくなると、ガラスのかかり代が小さくなる。(JASS17)

6.せっこうボードのせっこう系直張り用接着材による直張り工法において、直張り用接着材は、①時間程度で使いきれる量をたれない程度のかたさに水と練り合わせ、ボードの仕上がり面の高さの②倍程度の高さにダンゴ状に盛り上げる。ボードの張付けにおいては、ボード圧着の際、ボード下端と床面との間を③10 mm 程度浮かした状態で圧着し、さらに調整定規でたたきながら、所定の仕上げ面が得られるように張り付ける。

解答

 ① 1

接着材の一度に練る量は1時間以内に使い切れる量とする。(建築工事監理指針)

7.内壁を内装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材仕上げとする場合、下地のセメントモルタル面を①金ごて又は木ごて仕上げとする。
吹付け塗りとするときは、下地面に対して直角に吹き付けられるように、スプレーガンのノズルは、 やや②下向きに保ち、一様に吹き付け、主材2回塗りとする場合の工程内間隔時間は、③時間以上とする。

解答

 ② 上向き

内壁を内装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材(内装薄塗材E)仕上げとする場合、下地のセメントモルタル面を金ごてまたは木ごて仕上げとする。吹付け塗りの操作の基本は、スプレーガンのノズルを下地に対し直角よりやや上向きに保つことが重要である。(JASS23)

8.ALC外壁パネルを横張りで取り付ける場合、通常、パネル積上げ段数①段以下ごとにパネル質量を支持する自重受け鋼材を設ける。また、自重受け鋼材を設けた②横目地には、③伸縮目地を設ける。

解答

 ① 5

横張りの場合は、パネル積み上げ段数5段以下ごとにパネル自重を受け、パネル重量が下層のパネルに伝達しないように10〜20mmの伸縮調整目地を設ける。(JASS21)

平成25年1級建築施工管理技士 実地検定 問題5 解答解説

平成25年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題5

問題5
市街地での事務所ビルの建設工事における右に示す工程表に関し、次の問いに答えなさい。 なお、解答の旬日は、上旬、中旬、下旬で記述しなさい。
[ 工事概要 ]
構造・規模:鉄筋コンクリート造地下1階、
地上6階、塔屋1階、
延べ面積 3,000 m2 とする。
地 業:アースドリル杭とする。

山 留 め:
親杭横矢板・水平切梁工法で外部型枠兼用とし、
親杭は引き抜かないものとする。
外壁仕上:コンクリート打ち放しの上、
複層仕上塗材吹付け仕上げとし、
アルミニウム製の横連窓建具とする。

屋上防水:アスファルト防水の上、
保護コンクリート仕上げとする。

1.表中の土工事のA及び杭地業工事のBに該当する作業名をあげなさい。

解答

 A:切梁架け

 B:杭頭処理

(解説)

Aについて(土工事)

地下掘削の段取りとしては、1次根切りを開始した後、乗入構台を組み立て、乗入構台を利用して腹起し、切梁を架け、2次掘削へと進めていく。Aは1次根切りと2次根切りの間にある土工事ということから「切梁架け」である。

Bについて(杭地業工事)

地下躯体構築の段取りとしては、2次根切り終了後、杭頭処理をしないと、基礎耐圧盤の工事が開始できない。Bは杭地業工事の最終の作業ということで、「杭頭処理」である。

2.作業の終了日が工程上最も不適当な作業名を表の中より選び、適当な工程となるようその終了日を月次と旬日で定めなさい。

解答

最も不適当な作業名及び終了日

 作業名:外壁シーリング

 適当な工程となる終了日:

  9月中旬(または下旬)

(解説)

外壁が吹付けの場合の外装工事の段取りとしては、躯体工事が終了した階から、外部建具工事 → 外壁シーリング → 吹付けの順に行われるため、「外壁シーリング」の終了日は外部建具取付け終了後、複層仕上塗材吹付け終了前となる。したがって、外壁シーリングが不適当な作業でその終了日としては「9月中旬」または「9月下旬」が最も適当である。

3.金属製建具工事の内部建具取付け作業の工程は未記入となっている。適当な工程となるように内部建具取付け作業の開始日及び終了日の期日を月次と旬日で定めなさい。

解答

開始日及び終了日

 開始日:8月中旬(または下旬)

 終了日:10月上旬(または中旬)

(解説)

内部建具取付けは内部建具枠の取付けと建具まで含めた取付けが考えられるが、過去の問題として出題されているのは建具枠の取付けのタイミングで工程が書かれているので、建具枠の取付けと考えられる。建具枠は、壁軽量鉄骨下地組みを終了した箇所でないと、取付けることができないため、開始日は8月中旬以降となる。また、建具枠を取付けた部分から壁ボードを張っていくことを考えると8月下旬には開始する必要があるので、開始日は8月中旬から下旬が適当である。また終了日については、天井・壁軽量鉄骨下地組みのうち、壁軽量鉄骨下地組みが天井より早く終了する場合を考えても、終了日は10月上旬以降となる。したがって、「開始日は8月中旬または下旬」「終了日は10月上旬または中旬」が適当である。

平成25年1級建築施工管理技士 実地検定 問題6 解答解説

平成25年度 1級建築施工管理技術検定 実地 問題6

問題6
次の 1.から 3.の問いに答えなさい。
1.「建設業法」に基づく特定建設業者の下請代金の支払期日等に関する次の文章において、[  ] に当てはまる語句を記入しなさい。
特定建設業者が [ ① ] となった下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者又は資本金額が 4,000万円以上の法人であるものを除く。)における下請代金の支払期日は、下請負人からその請け負った建設工事の完成した旨の通知を受け、検査によって建設工事の完成を確認した後、 下請負人が当該建設工事の引渡しを申し出た日(下請契約において定められた工事完成の時期から 20 日を経過した日以前の一定の日に引渡しを受ける旨の特約がされている場合にあっては、その 一定の日。)から起算して[ ② ] 日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内において定められなければならない。

解答

(解答)

 ①注文者 ② 50

(解説)

「建設業法」第24条の5第1項

(特定建設業者の下請代金の支払期日等)

特定建設業者が注文者となった下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者または資本金額が4000万円以上の法人であるものを除く。)における下請代金の支払期日は、下請負人からその請け負った建設工事の完成した旨の通知を受け、検査によって建設工事の完成を確認した後、下請負人が当該建設工事の引渡しを申し出た日(下請契約において定められた工事完成の時期から20日を経過した_日以前の一定の日に引渡しを受ける旨の特約がされいる場合にあっては、その一定の日)から起算して50日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内おいて定められなければならない。

2_.「建築基準法施行令」に基づく落下物に対する防護に関する次の文章において、[  ] に当てはまる語句を記入しなさい。
建築工事を行なう場合において、建築のための工事をする部分が工事現場の境界線から水平距離が 5m 以内で、かつ、地盤面から高さが [ ③ ] m 以上にあるとき、その他はつり、除却、外壁の修繕等に伴う落下物によって工事現場の周辺に危害を生ずるおそれがあるときは、国土交通大臣の定める基準に従って、工事現場の周囲その他危害防止上必要な部分を鉄網又は [ ④ ] でおおう等落下物による危害を防止するための措置を講じなければならない。

解答

(解答)

 ③7   ④帆布

(解説)

「建築基準法施行令」第136条の5第2項

(落下物に対する防護)

建築工事等を行う場合において、建築のための工事をする部分が工事現場の境界線から水平距離が5m以内で、かつ、地盤面からからの高さが7m以上にあるとき、その他はつり、除却、外壁の修繕等に伴う落下物によって工事現場の周辺に危害を生ずるおそれがあるときは、国土交通大臣の定める基準に従って、工事現場の周囲その他危害防止上必要な鉄鋼または帆布でおおう等落下物による危害を防止するための措置を講じなければならない。

3.「労働安全衛生法」に基づく労働者の就労に当たっての措置に関する次の文章において、[  ] に当てはまる語句を記入しなさい。
建設業に該当する事業者は、その事業場に新たにつくことになった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対して、次の事項について厚生労働省令で定め るところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
1.作業方法の決定及び労働者の [ _⑤ ] に関すること。
2.労働者に対する指導又は監督の方法に関すること。
3.1及び2に掲げるもののほか、 [ ⑥ ] を防止するため必要な事項で、厚生労働省令で定めるもの。

解答

(解答)

 ⑤配置  ⑥労働災害

(解説)

「労働安全衛生法」第60条

(安全衛生教育)

建設業に該当する事業者は、その事業場に新たにつくることになった職長その他の作業中の労働者を直接指導または監督する者(作業主任者を除く。)に対して、次の事項について厚生労働省令で定めるところにより、安全または衛生のための教育を行わなけらばならない。

1.作業方法の決定及び労働者の配置に関すること。

2.労働者に対する指導または監督の方法に関すること。

3.前2号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な事項で、厚生労働省令で定めるもの。

22章 舗装工事 1節 共通事項

建築工事監理指針 22章 舗装工事

1節 共通事項
22.1.1 一般事項

(1) 「標仕」に定められている舗装は、建築物の周囲等に施工される、いわゆる構内舗装を対象としており、一般道路のような舗装は対象としていない。したがって、舗装厚、材質、締固めの程度等は、一般道路の仕様とは異なり構内舗装に適したものとなっている。

(2) 構内舗装に関しては、国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課監修「構内舗装・排水設計基準及び参考質料 平成31年版」がある。

(3) 通常用いられる舗装の種類は次のとおりである。

(ア) アスファルト舗装

路盤及び加熱アスファルト舗装の表層又は表層と基層で構成されるたわみ性舗装で、交通荷重を路床土の有する許容応力以下に分散する。加熱式アスファルト混合物の代わりに、石油アスファルト乳剤やカットバックアスファルトをバインダとした常温式アスファルト混合物もあるが、耐久性の点で加熱式より劣るため、通常は加熱式アスファルト混合物を使用する。

(イ) コンクリート舗装

路盤及びコンクリート版により構成される剛性舗装で、交通荷重をコンクリート版の曲げ強度で支える構造となっている。

(ウ) その他の舗装

舗装の表面の材料が異なるものとして、ブロック系舗装がある。また、(ア) 及び(イ) に特別な機能を付加したものとしてカラー舗装、透水性アスファルト舗装及び排水性アスファルト舗装があり、材料と施工方法を変えたものとして転圧コンクリート舗装がある。

(4) 施工計画書の記載事項は、概ね次のとおりである。

なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。

① 工程表(着工、他工事との関連、完成、試験の時期)
② 施工業者名及び作業の管理組織
舗装の構造
使用材料の品質、製造所名及び使用箇所
配合計画書
⑥ 目地割り及び目地の構造
⑦ 路床の不良土及び障害物の処置
⑧ 建設発生土の処分方法
締固めの方法、管理の方法
舗設の工法
⑪ 養生の方法
試験の要領

作業のフロー、管理の項目・水準・方法、品質管理体制・管理責任者、品質記録文書の書式とその管理方法等

22.1.2 基本要求品質

(1) アスファルト舗装の場合は、通常路床上に路盤・表層の順で構成され、コンクリー卜舗装の場合は、路床上に路盤・コンクリート版の順で構成される。

なお、路床が軟弱な場合には、路床の改良を施すことがある。また、寒冷地では凍上による舗装の破損を防ぐため、水はけの良い材料で凍上抑制層を設ける場合もある(図22.1.1参照)。

これらに用いる材料については、「標仕」の各節で、JIS等による品質規格が定められているので、この規格に適合する材料を用いる。

基本要求品質としては、定められた材料が正しく使用されていることを求めているため、そのことを完成時にJIS等に基づく試験成績書等で証明できるようにしておく必要がある。


図22.1.1 舗装構成と各層の名称( () は必要に応じて採択する)

(2) 「標仕」では、仕上りの状態は、形状及び寸法を「所定」のものとし、仕上り面の状態を「所要」のものとしている。

形状及び寸法については、設計図書で指定され、その許容差は「標仕」の各節で規定している。また、仕上り面については、設計高さとの許容差を定めるとともに、平たん性を定性的に規定している。

舗装の平たん性については、目視により歩行に支障がなく、段差や著しい不陸がないことや、通行の支障となるような水たまりがないことを散水や降雨時を利用して、確認する。また、ブロック系舗装の場合については、22.8.5を参考に、品質計画で平たん性の管理方法等を明確にしておくとよい。

(3)「標仕」では、舗装各層の性能については、定められた材料を用いて「所定のとおり締め固められ、耐荷重性を有すること」と規定している。また、路床や路盤の締固めについては、土質や路盤材料並びに締固め機械の種類等に対応して、締固めに適した含水状態で施工するよう定めている。

アスファルト舗装については、アスファルト混合物等の配合設計を行い、原則として、使用するアスファルト混合物の製造所において試験練りや試験施工を行って現場配合を決定するとしており、石油アスファルト乳剤の使用量や、アスファルト混合物の敷均し時の温度等についても規定されている。さらに、路盤や舗装等について、施工後の締固め度の試験についても規定している。

これらに関して、当該現場での具体的な施工の方法並びに管理の方法等について施工計画書(品質計画)で定め、これに基づき品質管理を行わせるとともに、その記録等により、施工が適切に行われ、品質管理の結果が適正であることが分かれば、その工事は「耐荷重性」を有すると見なすことができる。

ただし、現場の地盤の状況等が設計時の想定と異なり、設計図書のとおりに施工すると「耐荷重性」の確保が困難であると予想される場合には、設計担当者と打ち合わせ、「標仕」1.1.8の規定による協議を行う必要がある。

22.1.3 再生材

(1) 再生材は、コンクリート構造物の解体工事や舗装の補修工事からの発生材をリサイクルして利用するものであり、大別して再生加熱アスファルト混合物と再生路盤材に分かれる。いずれの再生材も適切な品質管理のもとで製造されることにより、新規材料と同等の性能を有するので、資源の有効利用や環境保全の観点から積極的な利用が望まれる。

(2) 「標仕」22.1.3では、各節に規定されている材料中に再生材が含まれている場合には、再生材を使用すると規定している。ただし、再生材の供給状況等により、再生材の使用が困難な場合には、監督職員との協議により、再生材以外の材料を使用することができる。

22章 舗装工事 2節 路床

建築工事監理指針 22章 舗装工事

2節 路 床

22.2.1 一般事項

(1) この節は、路床と現地の土質条件、気象条件及び舗装構造によって必要となる凍上抑制層、フィルター層を対象としている。

(2) 路床は、アスファルト混合物層又はセメントコンクリート版及び路盤を通じて分散された交通荷直を最終的に支える部分である。

(3) 路床は、通常は現地盤の土をそのまま利用するが、地盤が軟弱な場合には、路床の改良が必要となる。改良工法としては、置換え工法と安定処理工法がある。

(4) 路床土は、地域によって粘土から礫質土に至るまで多くの種類のものがあるが、通常の土の分類に応じた設計CBRとの関係を、表22.2.1に示す。

表22.2.1 路床土の性質による設計CBRの設定

22.2.2 路床の構成及び仕上り

(1) 路床は、路床土及びその上に設ける凍上抑制層又はフィルター層から構成され、各層の役割は次のとおりである。

(ア) 凍上とは、路床や路盤内の水分が凍結して体積が膨張し、舗装を持ち上げることで舗装が破損する現象をいう。寒冷地域や凍結融解を受けるおそれのある地域では、凍結深さから求めた必要な置換え深さと舗装厚さを比較して、置換え厚さが大きい場合、路盤の下にその厚さの差だけ凍上の生じにくい材料の凍上抑制層を設ける。特に、建物等により一日中日陰となる箇所においては凍上について十分留意する必要がある。

(イ) フィルター層は、透水性舗装の施工で設けられる層であり、透水性の表層及び路盤を通過した雨水を円滑に路床に浸透させるとともに、軟弱な路床土や地下水が浸入し路床が軟弱化して舗装が破壊することを防ぐために設ける層である。

(ウ) 路床の設計CBRが3未満の軟弱な場合には、安定処理工法の適用を検討する。安定処理工法に用いる添加材料(安定材)には、セメントや石灰等がある。

(2) 路床の仕上り面と設計高さとの差が、+20mm、-30mm以内であることを確認する。

(3) 路床の締固め完了後に現場密度を測定し、室内試験で求めた最大乾燥密度の90%以上の締固め度が得られていることを確認する。

22.2.3 材 料

(1) 盛土用材料の種別は、特記による。特記がなければ、「標仕」表3.2.1による。

(2) 凍上抑制層に用いる材料
凍上抑制層に用いる材料は、凍上を起こしにくく、入手しやすい材料を使用することが望ましい。

材料別の判定基準の例は次のとおりである。

(a) 砂:75μmふるい通過量が6%以下
(b) 火山灰、火山礫:粗粒で風化の兆候がなく、排水性が良好で75μmふるい通過量が20%以下で強熱減量が4%以下

(c) 切込砂利:4.75mmふるい通過分のうち、75μmふるい通過量が9%以下

(3) フィルター層用材料

(ア) 材料は、路床の粘性士が侵入しにくく、高含水比になっても軟弱化することなく、適度の透水性を有するものが望ましい。

(イ) 透水性舗装のフィルター層は、川砂、海砂、良質な山砂等で75μmふるい通過量が6%以下のものとする。

(4) 路床安定処理用材料(安定材)

(ア) 路床の安定処理を目的として添加する安定材として、「標仕」表22.2.1にセメント及び石灰が示されている。このほか、有機質土等の特殊な土の安定処理を目的とした、セメント系安定材や石灰系安定材が市販されているので、セメントや石灰では安定処理の効果が十分に得られない場合には、これらの採用を検討するとよい。

(イ) 一般的に、砂質土に対してはセメント系の安定材がよく、シルト質土及び粘性土には石灰系の安定材が効果的である。

(ウ) 安定材の混合時の粉じん発生を抑制するため、防じん処理を施した安定材も市販されている。

(エ) セメント及びセメント系固化材を地盤改良に使用する場合には、条件によっては六価クロムが土壌環境基準を超える濃度で溶出するおそれがあるため、国土交通省では、平成12年3月24日付で「セメント及びセメント系固化材の地盤改良への使用及び改良土の再利用に関する当面の措置について」が発出され、所管の建設工事の施工に当たっては六価クロム溶出試験を実施して六価クロムの溶出量が土壌環境基準以下であることを確認するとされている。

22.2.4 施 工

(1) 置換え工法とは、軟弱な路床土を撤去し、砂や砕石等の支持力の大きい材料で置き換える工法をいう。

(2) 路床土が部分的に悪い場合、「標仕」22.2.4(1)では、その部分を取り除き周囲の良質土で埋め戻すことになっているが、適切な土がない場合は、「標仕」1.1.8の協議により良質な砂、山砂、砕石、切込砂利等で置き換えることを検討する。

(3) 粘性土や高含水比の土では、こね返しや過転圧により強度が極度に低下する場合があるため、強度の低下が予想される場合は、できるだけ路床を乱さないように、十分注意をして施工しなければならない。

(4) 路床土が、降雨等により著しく水を含み締固め作業が困難な場合には、適切な排水溝を施工すると同時に晴天を待って乾燥させ、十分な締固めを行う。

(5) 安定処理工法は、路床土にセメントや石灰等の安定材を混合して、固化させることにより、軟弱な路床土の支持力を向上させる工法である。添加量は路床土の乾燥質量に対し、一般的にセメント・石灰とも2〜10%である。安定処理層のCBRは、安定処理層を含めた深さ約1mの路床の合成CBRが設計CBRを満足するように設定する。

路床安定処理に際しての留意事項は次のとおりである。

(ア) 路床の安定処理用の混合機械としては、混合専用のスタビライザやバックホウが用いられる。均ーな混合性を確保するためにスタビライザの使用が望ましいが、スタビライザの入手が困難な場合及び施工が小規模な場合には、バックホウを使用する。

(イ) スタビライザは、構造物の近傍では使用できないので、そのような場合にはバックホウを併用する。

(ウ) 安定処理の施工に当たっては、室内配合試験で決定された安定材の量に対し、施工のばらつきを考慮して割増しを行う。スタビライザを用いた施工では割増し率を20%程度とするが、バックホウの場合は、必要な支持力を確保するためには割増し率を50%程度とする。

なお、バックホウのバケット内に特別な混合装置を付けた改良型バックホウが実用化されているが、これを用いるとスタビライザと同等な混合性を確保できる。

(エ) 添加材の散布時及び混合時に粉じんが発生する場合があるので、周辺への影響が懸念される場合には、防じん型の安定材を使用する。

(6) 路床の仕上り高さは、水準測量によるか、丁張りに水糸を張りそこからの高さ(下がり)を測定して管理する。

(7) 構造物周辺等の埋戻し部では、舗装完成後に段差やくぼみ等の異常が生じないよう、また、給排水管等に損傷を与えないように入念な施工を行わなければならない。埋戻しは、良質な材料を用いて十分締め固めることを原則とするが、現状土にセメントあるいは石灰を混合したものを用いると効果的な場合がある。

(8) 路床の部分的な締固め不足あるいは不良箇所を確かめるためには、プルーフローリングを行うとよい。プルーフローリングとは、施工に用いた締固め機械と同等以上の締固め効果をもつタイヤローラ、鉄輪ローラあるいはトラックを路床仕上り面上を走行させ、変位の度合いによって支持力の均一性を調査することである。

異常を発見した場合には、速やかに再締固めや置換、安定処理等の処置をとらなければならない。

(9) 凍上抑制層の敷均しは、モーターグレーダ、プルドーザ又は人力で行い、路床を不必要に乱さないように注意して、1層の仕上り厚さ200mmを超えないように均一に行う。敷均し後、適切な転圧機で十分に転圧する。

(10) 締固め機械の種類、重量及び締固め回数は、路床の性質及び含水益を考慮して定めなければならない。締固め機械の例を図22.2.1に示す。


図22.2.1 締固め機械の例

22.2.5 試 験

「標仕」には、路床に関する試験として、路床土の支持力を評価するCBR試験と、締固めの密度を管理するための砂置換法による土の密度試験方法が示されている。 CBR試験は、現場の路床土や盛士に用いる材料が対象であり、施工に先立ち室内で実施する。密度試験は、仕上り路面の締固め状態の良否を確認するために締固め作業完了後に現場で実施する。具体的な試験手順は、それぞれJIS A 1211(CBR試験方法)及びJIS A 1214(砂置換法による土の密度試験方法)又は(公社)日本道路協会「舗装 調査・試験法便覧」を参照する。

現場CBR試験は、JIS A 1222(現場CBR試験)を参照する。

22章 舗装工事 3節 路盤

建築工事監理指針 22章 舗装工事

3節 路 盤

22.3.1 一般事項

この節は、路床の上に施工する路盤のうち、砕石等を用いて築造する粒状路盤を対象としている。

路盤は、舗装路面に作用する荷重を分散させて、路床に伝える役割を果たす部分であり、その施工に当たっては規定の締固め度と厚さを確保しなければならない。

22.3.2 路盤の厚さ及び仕上り

「標仕」22.3.2では、路盤の厚さは特記によるとしている。路盤の締固め度については、路盤の締固め完了後に現場密度を測定し、室内試験で求めた最大乾燥密度の 93%以上の締固め度が得られていることを確認する。

22.3.3 材 料

一般の道路舗装では、上層路盤には粒度調整砕石のような支持力の高い材料を、下層路盤にはクラッシャランのように安価で比較的支持力の低い材料を使用することが一般的である。「標仕」では、路盤材料は「標仕」表22.3.1により、種別は特記によるとされている。

(ア) 路盤材料の一般的性質と留意事項

(a) 路撒材料は、舗装の特性により性質が異なるが、通常用いられる材料は「標仕」表22.3.1のとおりである。

(b) 修正CBRとは、路盤材料の強さを表す値で、(公社)日本道路協会「舗装設計施工指針」に材料の品質が規定されており、JIS A 1210(突固めによる土の締固め試験方法)の呼び名E-b によって求めた最大乾燥密度の95%の締固め度に相当するCBRが、一般的に用いられている。

(c) 塑性指数〈 Ip、PI 〉とは、土の粘着性を表す値で、砂は0、シルト質土で10程度となる。

(d) 路盤に使用する材料は、有害な量の粘土塊、有機物、ごみ等を含んではならない。また、施工時の含水比は締固め度に影響するので、室内の突固め試験で求められている最適含水比になるよう加水等により調整する。

(イ) 砕石

(a) JIS A 5001(道路用砕石)の粒度範囲は、表22.3.1及び表22.3.2のとおりである。
(b) 粒度調整砕石とは、2種以上の砕石、砂等を混合して、所要の粒度範囲をもつように調整した砕石である。
(c) クラッシャランとは、岩石をクラッシャで割り砕いたままのものである。

(d) 再生クラッシャランとは、路盤発生材、アスファルトコンクリート発生材又はセメントコンクリート発生材などから製造された再生骨材などを、単独若しくはこれらを混合したもの及び必要に応じて新規骨材を加えたものである。

表22.3.1 粒度調整砕石の粒度範囲(JIS A 5001 : 2008)
表22.3.2 単粒度砕石及びクラッシャランの粒度範囲(JIS A 5001 : 2008)
(ウ) スラグ

鉄鋼スラグは、高炉スラグと製鋼スラグを破砕したものを、単独又は組み合わせて製造したもので、単位容積質量は1.5kg/L以上とし、高炉スラグを用いた鉄鋼スラグは、呈色判定試験により水浸の際に黄濁色が検出されないことを確認したもの、製鋼スラグを用いた鉄鋼スラグは、膨張する性質があるため、水浸膨張試験で目標値以下になったものを使用する。また、水硬性粒度調整鉄鋼スラグは、一軸圧縮強度(14 日) 1.2MPa以上のものとする。路盤用鉄鋼スラグの粒度範囲を表22.3.3に示す。

表22.3.3 路盤用鉄鋼スラグ砕石の粒度範囲(JIS A 5015 : 2018)

22.3.4 施 工

(1) 路盤の一層の仕上り厚さは200mm以内を標準として、それを超える場合は、2層に分けて施工する。

(2) 路盤は、表層からの荷重を支持し、分散して路床に伝える役目をもつものであるため、荷重を均等に分散するためには一様な支持力が得られるように施工する。

(3) 路盤の施工は、路床施工後仕上り面が荒らされない時期に行うことが望ましい。やむを得ず路床仕上り後、工事車両等の交通に供した場合には、路床面が荒らされたり、不良材料等が混入したりする場合がある。路盤の施工に先立ってこれらを除去し、改めて整形して締め固めなければならない。

(4) 路盤材料は、貯蔵、積込み、運搬、敷均し等の取扱いに際して、分離を生じさせないよう十分注意して行う。

材料の敷均しには、ブルドーザ、モーターグレーダ等を用いる。このとき切返し回数が多いと材料の分離が生じるので注意して行う。

(5) 敷均し、締固め作業の途中で路盤材料が乾燥し過ぎた場合は、適時散水し、最適含水比付近の状態で締め固めることが望ましい。

(6) 路盤の締固めは、8t以上のマカダムローラ、8〜20tのタイヤローラ又はこれらと同等以上の効果のある締固め機械2種以上を併用して十分に締め固め、所定の形状に平らに仕上げる。ただし、施工困難な箇所は、ほかの締固め機械を使用することができる。

なお、狭小部はランマ等を用いて行う。

(7) 歩道部又は軽易な場合の締固めは、振動ローラ、ソイルコンパクタ又は同等以上の能力のある機械を用いて十分に締め固める。

22.3.5 試 験

路盤の締固め完了後の試験は、JIS A 1214(砂置換法による土の密度試験方法)に碁づく現場密度を測定し、JIS A 1210(突固めによる土の締固め試験方法)に基づく最大乾燥密度と比較し、所定の締固め度が得られているか確認する。

22章 舗装工事 4節 アスファルト舗装

建築工事監理指針 22章 舗装工事


4節 アスファルト舗装
22.4.1 一般事項

(1) この節は、路盤の上に設けるアスファルト舗装に適用する。また、カラー舗装については、6節に示している。

(2) アスファルト舗装工事の作業の流れを図22.4.1に示す。

図22.4.1 アスファルト舗装工事の作業の流れ

22.4.2 舗装の構成及び仕上り

(1) アスファルト舗装の標準構成は、図22.1.1(イ) に示したとおりである。


図22.1.1_舗装構成と各層の名称

舗装の種類は、その適用場所(一般地域と寒冷地域)、施工規模(面積)、敷地形状、要求性能等を考慮して選定される。

アスファルト舗装の施工に先立って、路盤面の浮石、その他有害物の除去と清掃を行う。

(2) 「標仕」22.4.2 (1)では、アスファルト舗装の構成及び厚さは、特記によるとされている。また、(2)では、締固め度は、測定した現場密度が基準密度の94%以上とされており、表層の厚さは、設計厚さを下回らないことと規定している。

(3) 「標仕」では、舗装表面の平たん性は特記によるとし、特記がない場合は、通行の支障となる水たまりを生じない程度とすると規定している。その確認方法は、散水して目視で確認すればよい。

22.4.3 材 料

(1) アスファルト

アスファルトとしては、舗装用ストレートアスファルト、再生アスファルト等がある。

(a) JIS K 2207(石油アスファルト)には、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、防水工事用アスファルトが規定されているが、これらのうち舗装用に用いられるのは、ストレートアスファルトの中の、その硬さを示す針入度 40〜60、60〜80、80〜100、100〜120 の4種類である。これらのうち 40〜60 及び100〜120 は特殊な場所に用いるもので、一般的には 60〜80又は 80〜100 が用いられる。その規格値はJIS K 2207(石油アスファルト)によるものとする。

(b) 再生アスファルトは、品質試験のため、再生骨材からアブソン法等によって回収した旧アスファルトに再生用添加剤や新アスファルトを加え、室内で混合調整したアスファルトのことであり、再生アスファルトの品質規格は、「標仕」表22.4.1に示すとおりである。

アブソン法:
アスファルト混合物から溶剤を用いてアスファルトを抽出し、さらにそのアスファルト溶液より溶剤を除去し、性状を変化させずにアスファルトを回収する方法。
(c) 使用するアスファルトの種類は、ストレートアスファルトも再生アスファルトも同じであり、一般地域では主として60〜80、寒冷地域では80〜100を用いる。

(d) 再生アスファルトの品質については、(公社)日本道路協会「舗装再生便覧(平成22年版)」に圧裂係数による管理方法も提案されているので、適宜参考にするとよい。

(e) 再生加熱アスファルト混合物を使用する場合、プラントで使用する再生用添加剤の品質は、労働安全衛生法施行令に規定されている特定化学物質を含まないもので、表22.4.1に示す標準的性状を目安とする。

表22.4.1 再生用添加剤の品質(舗装設計施工指針(平成18年版)より)

(f) 工事に使用するアスファルトの品質を、受注者等が行った試験結果又は材料製造者が発行する品質証明書によって確認する。

(2) プライムコート

(a) プライムコート用の石油アスファルト乳剤は、JIS K 2208(石油アスファル卜乳剤)に規定されるPK-3を使用する。また、タックコート用の乳剤は、同規格のPK-4を使用する。それぞれの規格値を表22.4.2に示す。

表22.4.2 石油アスファルト乳剤の品質規格(JIS K 2208 : 2009)

(舗装設計施工指針(平成18年版)より)

(b) 工事に使用する石油アスファルト乳剤の品質を、受注者等が行った試験結果又は材料製造者が発行する品質証明書によって確認する。

(3) 骨材等

骨材の種類は、①砕石、②玉砕、③砂利、④鉄鋼スラグ、⑤砂、⑥再生骨材等がある。

(a) 砕石は、JIS A 5001(道路用砕石)によるとともに、用途に応じて清浄、堅硬で耐久性があり、細長い又は偏平石片、ごみ、泥、有機物等を有害量含まないものとする。

(b) 砂利の品質は、砕石に準じるものとし、その目標値は表22.4.3から表22.4.5 による。また、鉄鋼スラグと製鋼スラグの品質は表22.4.6及び表22.4.7による。

表22.4.3 砕石の品質の目標値(舗装設計施工指針(平成18年版)より)
表22.4.4 耐久性の目標値(舗装設計施工指針(平成18年版)より)
表22.4.5 有害物含有量の目標値
(舗装設計施工指針(平成18年版)より)
表22.4.6 鉄鋼スラグ(主として路盤材料)の品質規格(JIS A 5015 : 2018)
表22.4.7 製鋼スラグ(主として加熱混合用)の規格(舗装設計施工指針(平成18年版)より)

(c) アスファルトコンクリート再生骨材の品質規格は、「標仕」表22.4.2に示すとおりである。

(d) 工事に使用する骨材の品質を受注者等が行った試験結果又は材料製造者が発行する品質証明書で確認する。

(4) 石 粉

石粉は、石灰岩又は火成岩を粉砕したものを用いる。その品質規格は「標仕」22.4.3 (4)に示すとおりである。

(a) 消石灰及びセメントを、はく離防止のために石粉の一部と置き換えて使用することがあるが、その品質については、消石灰は JIS R 9001(工業用石灰)の消石灰特号又は1号、セメントは JIS R 5210〜JIS R 5213によるものとする。

(b) フライアッシュを石粉として用いる場合、JIS A 6201(コンクリート用フライアッシュ)の規格に適合していないものであるときは、「標仕」表22.4.3に適合するとともに、表22.4.8にも適合するものであることを確認する。

表22.4.8 フライアッシュ、石灰岩以外の岩石を粉砕した石粉を使用する場合の目標値
(舗装設計施工指針(平成18年版)より)

(c) 石灰岩以外の岩石を粉砕したものを石粉として用いる場合は、(b)と同様とする。

(d) 工事に使用する石粉の品質を受注者等が行った試験結果又は材料製造者が発行する品質証明書で確認する。

22.4.4 配合その他

(1) 表層に使用する加熱アスファルト混合物(再生加熱アスファルト混合物も含む。)の種類と骨材粒度等は、「標仕」表22.4.4による。寒冷地域で用いるアスファルト混合物は、一般地域用のアスファルト混合物より細粒分とアスファルト量が多くなっており、摩耗や低温ひび割れに対する耐久性が高くなっている。

なお、寒冷地域とは、タイヤチェーン等による摩耗が問題となる地域をいい、その他の地域を一般地域という。

(2) 加熱アスファルト混合物は、「標仕」表22.4.4及び表22.4.5を満足するもので、(公社)日本道路協会「舗装調査・試験法便覧」のマーシャル安定度試験方法によって配合設計を行い室内配合を設定する。

(3) 再生加熱アスファルト混合物のマーシャル安定度試験基準値は、「標仕」表22.4.5と同様である。配合設計に当たっては、再生骨材に含まれる旧アスファルト量と旧アスファルトの針入度、新アスファルト量と新アスファルトの針入度、再生添加剤量を考慮して適切に設定する。詳細は、(公社)日本道路協会「舗装再生便覧」による。

(4) アスファルト混合物の配合は、室内配合試験で配合を設定し、アスファルト混合物の製造所における試験練りと試験施工で現場配合を決定する。ただし、同じ配合の試験結果がある場合、軽易な場合及び事前審査制度に基づいて認定を受けたアスファル卜混合物の場合は、監督職員の承諾を受けて、これらの手順を省略することができる。

なお、ここでいう「事前審査制度」とは、製造所から出荷するアスファルト混合物を、第三者機関が事前に審査・認定することにより、従来、工事ごとに行ってい た品質管理に関する試験や試験練り等を省略できるようにしたもので、国土交通省、地方自治体等で採用されている制度である。

(5) 混合物の最初の1日の舗設状況を観察し、必要な場合には配合を修正して、現場配合を決定する。

22.4.5 施 工

(1) アスファルト混合物の施工性は、その温度に大きく左右されるので、寒冷期に施工せざるをえない場合は、運搬時に保温措置を取り、敷均し後は温度が低下しないうちに速やかに締め固める。また、雨水は供用後のアスファルト舗装の性状に悪影響を与えるため、降雨時の施工は避けなければならない。

(2) 路盤の仕上げ後、プライムコートとして石油アスファルト乳剤を 1.5L/m2程度を散布する。これは、路盤の仕上り面を保護し、その上のアスファルト混合物層との接着をよくするために行うものである。

石油アスファルト乳剤は、散布温度に注意し、縁石等の構造物は汚さないようにして均ーに散布する。乳剤による汚れを避けたい場合は、その部分にあらかじめ水を含ませた石粉を塗布しておくとよい。

(3) アスファルト混合物は、転圧による厚さの減少(転圧減)を見込んだ厚さになるようアスファルトフィニッシャを用いて敷き均す。ただし、フィニッシャが入らない狭い場所や施工面積が小さい場合は、レーキを使って人力で敷き均す。フィニッシャは、アスファルト混合物を均ーに敷き均すのに適した機械であるが、走行開始後 5 〜10mは敷均し厚が安定しない。したがって、施工延長が10mに達しないような場合には、人力で注意深く敷き均す。

(4) 締固め作業は、一般的に継目転圧、初転圧、二次転圧、仕上げ転圧の順序で行う。継目転圧は、既設の舗装との継目部分を密着させるために行う。初転圧には、一般的に10〜12tのロードローラを用いる。二次転圧には、8〜20tのタイヤローラか、6〜10tの振動ローラを用いる。仕上げ転圧は、不陸の修正やローラマークの消去のために行うもので、タイヤローラ又はロードローラを用いて行う。

なお、転圧直後のアスファルト混合物は軟らかいので、転圧終了後は速やかにローラを施工場所から移動させる。

(5) 寒冷地の施工で、温度低下を想定してアスファルト混合物の出荷温度を高めに設定することがあるが、その上限値は185℃としている。これは、アスファルト混合物製造時のアスファルトの劣化を防ぐために設けられたものである。

(6) 施工に伴う継目としては、前日以前の施工の終端である横継目と、施工の側面にできる縦継目がある。施工終端に角材を置き、十分な締固め度の直立面ができている場合には、接触面に石油アスファルト乳剤(PK-4)を塗布してから施工を行うが、締固めが十分でない場合にはカッターを入れ、不良部分を取り除いてから石油アスファルト乳剤を塗布して施工を開始する。縦継目も同様に石油アスファルト乳剤を塗布してから施工を始めるが、目地は、施工上の欠陥となりやすいのでアスファル卜混合物が冷却しないうちに隣接部の施工を行うホットジョイントが望ましい。

(7) 交通開放は、舗装表面温度が概ね50℃以下になってから行う。交通開放時の舗装温度は、初期のわだち掘れに大きく影響し、50℃以下にすることにより初期の変形を小さく抑えることができる。

22.4.6 試 験

(1) 「標仕」22.4.6では、締固め度及び表層の厚さは、次により切取り試験を行うと規定している。

(ア) 切取り試験のコア抜きの個数は、2,000m2までは3個、それを超えた分は、さらに2,000m2ごと及びその端数につき1個のコアを追加して採取する。

(イ) コア抜きを行う場合は、その工事全体を代表するような位置から採取するようにし、平面的な位置の偏りが生じないように注意する。また、ローラによる転圧が難しい部分については、一般的に十分な締固めが困難であるが、車両が走行しない場所については、工事全体を代表するとはいえないのでコア抜きの対象としなくてよい。

(2) アスファルト量の確認は、通常アスファルト混合所におけるアスファルト投入量の印字記録で行うが、使用したアスファルト混合物に異常(アスファルト過多のときの混合物のぎらつき、過小のときのぱさつき)が見られた場合には、抽出試験によってアスファルト量を確認するとともに、骨材の粒度も確認する。

(3) 平たん性の確認は、「標仕」22.4.6(2)で、「散水のうえ、目視により確認する。」と規定している。

(4) 「標仕」22.4.6(1)(ア) では、「軽易な場合は、監督職員の承諾を受けて試験を省略することができる。」と規定している。軽易な場合の定量的な判断基準はないが、面積的に小さく、供用開始後の人や車の通行量も少ない場合等が考えられる。