実践4 型枠工事1

1級建築施工管理技士 実践 型枠工事1

①躯体図(コンクリート施工図)

躯体図は、一般的にはコンクリート施工図、型枠施工図とも呼ばれていて、コンクリートの最終形状を表し、型枠工事の基本となる図面である。
本来は、所長もしくは次席のものが自ら作図して、頭の内部に躯体のおさまりをすみからすみまで入れることが望ましいが、一般的には、専門の作図担当者が作図していることが多い。

躯体図は意匠図、構造図、仕様書、施工計画などから必要情報を抜き出し、
組み合わせて最終形とする。

したがって、
①それぞれの設計図書の齟齬と干渉チェック
②ほかの工事との寸法調整
③施工に必要な情報
も加え、実際現場で施工する各専門業者に、正確な情報を図面にして伝えるなどの重要な意味をもつ。

ゆえに、符号や寸法の間違いは許されず、設計者はもちろん構造や設備のエンジニアにも確認の義務があり、承認の責任がある。
承認後は、各ファブや、サブコンにもこの躯体図が渡され、おのおのの工作図との整合性が図られるため、寸法的な意味合いはきわめて重要で、真の設計図ともいえる。

また、建築施工管理者としては小さい工事であれば、その施工図面の作成を自ら行うことが必要である。

躯体図を自ら作成するためには、意匠図と構造図の整合性を確認し、次に設備図中の躯体取合い部の情報を収集し、把握する。

最近のCADソフトは、手順にのっとってこれらの情報を入力すれば、かなりの部分の作図が自動的に行える。
その作業や設計者との打ち合わせまでも専門のスタッフにすべて任せていては、基本となる各所の寸法が記憶されないために、現場での十分な指導ができない。
したがって、躯体図の作成および設計者との打ち合わせの作業は、きわめて重要な建築施工管理者の仕事なので、常にリーダーシップをとるように心がけ、議事録の把握、躯体図のチェックは建築施工管理者が自ら行うべきである。

材料発注計画

鉄筋コンクリート工事の中で、もっとも工事費の割合が大きく、多くの仮設材料を使用する工事は型枠工事である。
コンクリート工事が終われば、型枠材料は不要になり廃棄される。
したがって自然保護を考え、天然の材料はできるだけ減らし、鋼製型枠の利用を採用することも考える。

型枠工事計画を策定するにあたり、いかにして転用効率を上げ、投入材を減らし、面材の材料選定も吟味し、廃材を出さない方法をとる、ということも大事な視点である。

鋼製型枠、アルミ型枠、表面強化合板などがある。

コンクリート見下げ図の重要性

コンクリートを打設する前の準備として、大切なことに、打設する範囲の「見下げ図」を必ず作成する必要がある。
見下げ図の本来の目的は、コンクリート工事施工の完成形が見えることで、関係者全員に情報の共有ができることである。

その図面には
①差し筋の位置と種類
②床勾配と排水管の位置
③床の段差と逃げ寸法
④コンクリート天端の押さえの種類
などの必要な情報を詳しく記入し、配筋検査の道具としても使用する。

この作業手順による見下げの躯体図作成と確認があって初めて、最終段階でのミスが防げる。
見下げの躯体図は、コンクリート打設当日の作業の指示書としても使用できるので、一石二鳥である。

もし、現場マンが見下げの完成形図の作成に取り組めば、作成中に図面の不整合を発見でき、不具合の未然防止ができる。

例えば、上の階との柱や壁の位置や大きさなどの矛盾があれば、コンクリート打設までに十分修正が可能なのである。

型枠工事期間中、それまで用意周到に準備してきても、最終段階でミスを犯すと、今までのプロセスすべての信用を失う。
それが、コンクリート工事の特徴であり、厳しさである。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 解答例②

施工経験記述 解答例②


出題例4

建築工事において、下記の①~⑤のうち2つを選び、工程を順調に進めるために行った処置又は対策と、それを行った理由を、それぞれ具体的に2つずつ記述せよ。(選択した番号を所定の欄に記入すること)

①足 場

②作業環境

③搬出入

④揚 重

⑤仮設建物


【 攻略のポイント 】

仮設備の計画を、「工程」の観点から見直して工程を円滑に進捗させる仮設備とは、次のような点に留意する。

①仮設備は作業の動線を考慮して計画されているか。

②仮設備は労働者の作業を容易にするため、高さ、幅、照明などを考慮した作業性に支障のない計画となっているか。

③労働者が安心して施工できる構造・規格を有する仮設備となっているか。

④第三者、労働者への災害を防止し、工程を順調に進める仮設備となっているか。

【 解答例 】
①足 場

[ 対処又は対策 ]
移動電線を足場に配線し、ガード付電灯を設置した。

[ 理由 ]
①作業時に必要な照度を確保し、作業効率を向上するため。

②照度の必要な箇所に移動させることで作業性を確保するため。

②作業環境

[ 対処又は対策 ]
仮囲い、防振溝、遮音シートを設置した。

[ 理由 ]
①仮囲いで、現場内立入禁止措置を行い、作業を安全に行うため。

②騒音・振動を低減し、現場環境を保全し円滑に作業を進めるため。

③搬出入

[ 対処又は対策 ]
搬出入口に扉を設け2名の誘導員を設置した。

[ 理由 ]
①交通量を円滑にし、搬出入を容易にし作業量を確保するため。

②歩行者との接触事故を防止し、搬出入を工程通りに行うため。

④揚 重

[ 対処又は対策 ]
動線を考慮して配置を定め、作業能力に余裕のあるものを選定した。

[ 理 由 ]
①動線を考慮して揚重機を配置し、効率的に所定重量を揚重するため。

②揚重運転、玉掛業務を円滑に進捗させるため。

⑤仮設建物

[ 対処又は対策 ]
作業が把握しやすい位置に現場事務所を配置した。

[ 理 由 ]
①動線上の作業を確認し工程との差異を確認するため。

②現場事務所と作業場の連絡を密にし、指示を的確に出すため。

出題例5

建築の仮設工事において、下記の仮設物が設置後に、倒壊、崩壊、転倒することを防止するため、その組立て時に何をどう確認するか、それぞれ2つ具体的に記述せよ。ただし、確認する内容は、それぞれ異なる記述とする。なお、使用資機材に不良品はないものとし、施工計画に誤りはないものとする。

①鋼板製仮囲い(高さ 3mとする)

②乗入れ構台

③傾斜ジブ式クライミングクレーン
(呼称クレーン能力 15 t・mとする)


【 攻略のポイント 】

仮設物の倒壊や崩壊を防止するには、全体を見渡して3つの側面で考える。

①材料・品質の確保と堅固な構造の確保

②組立時の措置

③作業前の点検と補修

(1)仮囲い(高さ3mの鋼板製)
仮囲いは、風に対する耐力で求められる。

①単菅支持柱の根入れを十分深く入れる。

②単菅支持柱を控杭(やらず)とは専用金具で緊結する。

③上下の水平材の単菅は平行となるように単菅支柱と緊結する。

④鋼板は必要量を重ねて単菅に緊結する。等の処置をする。

建築基準法施工令第136条の2の20(仮囲い)には、
高さ1.8m以上の板塀等を用い危害防止するとある。


(2)傾斜ジブ式クライミングクレーン(呼称クレーン能力 15 t・mとする)

①ベース金具上のアンカーボルトが基礎に固定されているか確認する。

②クライミングポスト(柱)の継目の高力ボルトの締付けは十分か確認する。

③クレーンのリミッターが正常に稼動するか点検する。

④吊上げワイヤーの傷み、長さ巻き取り等を確認する。

【 解答例 】
1.鋼板製仮囲い(高さ3m)

①単菅支柱とする鋼管は、風荷重に十分に抵抗できる長さと間隔となるように設置する。

②単菅支柱を支える控杭(やらず)は、十分な根入れとして、控杭の根元には根かせ(控え)で固定する。

2.乗入れ構台

①著しいねじれ、たわみのない部材を組立、細大積載荷重を厳守する。

②組立時には組立図により定められた部材を所定位置に配置する。

3.傾斜ジブ式クライミングクレーン

①アンカーボルトがベース金具を通じて基礎にしっかりと固定されているか確認する。

②クレーンのリミッター(制限装置)が正常に作動するか確認しておく。

出題例6

建築工事において、竣工後又は工事の終了後に発生する恐れのある欠陥(不具合)をなくすため、特に留意した事項2つについて、発生する恐れのある欠陥(不具合)の部位とその状態、及びそれを防止するために行った具体的な処置又は対策を2つ記述せよ。


【 攻略のポイント 】

かしとは工事完了後に発生する欠陥で、かしの発生が生じないように品質を管理しても生じる可能性があり、木造で1年間、木造以外の構造で2年間の間に生じるかしは、請負業者がこれを担保(補修と賠償)しなければならない。と公共工事標準請負契約約款第44条(かし担保)の定められている。
建築工事におけるかしの発生は、各工程ごとに生じる原因があり、それらの部位の状態と、そのかしを防止する施工管理を行う必要がある。

(1)基礎工事のかし
①土工事では、地盤の圧密の発生や締固め不足による地盤沈下の発生

②土留め工事では、土留め材料の撤去の埋戻しの処理の不備による地盤の亀裂の発生

③杭打ち工事では、杭の支持層への貫入不足による構造物の不同沈下の発生

(2)躯体工事のかし
①アルカリ骨材などによる
材料の不適合による部材のひび割れの発生

②コンクリートの施工の不備による漏水の発生

③鉄筋の配置の不備による
構造耐力低下に伴う、たわみ量の増大

④鉄骨とアンカーとの接合不良、部材接合の不完全
に伴う振動の発生やたわみ量の増大

(3)仕上げ工事のかし
①防水工事の不備による漏水

②タイル接着の不備によるはがれ

③床面の仕上げ不良による床面傾斜

以上のように施工の品質管理が不十分な箇所に、かしはどこにでも生じるおそれがある。

ここでは、躯体と仕上げについて2つを取り上げる。
【 解答例 】

[ 部位 ]コンクリート壁面

[ 状態 ]亀甲状の無数のひび割れ

[ 具体的な処置及び対策 ]
アルカリ骨材反応を抑制する混合セメントを使用する。

【 解答例 】

[ 部位 ]天井

[ 状態 ]天井からの水滴の落下

[ 具体的な処置及び対策 ]
パラペット立上りを十分に防水し、下地の安定を確認した防水を行う。

実践5 型枠工事2

1級建築施工管理技士 実践5 型枠工事2


杉板の本実工法

打放し型枠工法には、ベニヤ合板と本実板とがあるが、杉板の本実型枠コンクリート打放し仕上げは、もっとも管理が難しい型枠工法の一つである。
コンクリート壁の型枠として杉板もしくは檜板を使用するので、木目をコンクリートに転写させるための工夫を求められる。
また、杉板の選定・前処理・加工・建込み方・打設時の技量など、もっとも高い技術が要求される。特に、杉板は自然素材であるため、木材がもつ性質やアクがコンクリートに影響しないように、入念な準備と選定が要求される。
更に、コンクリート打設までに雨などで濡らさないように、施工時期と雨養生に特に注意を払う必要がある。

①杉(檜)材面材の選定とコンクリートの調合

現場マンにとって、型枠工事の担当をすることは、最高の学びの機会である。
鉄筋コンクリート工事と型枠工事は、もっとも関係が深く、型枠工事を語らずして、コンクリート工事は語れない。
その中でも、杉板本実型枠コンクリート打放し仕上げは、もっとも高い技量を要する。
工法の成功のためにもっとも大切なことは、施工計画をきちんと立案することであり、そのためには必要な調査を含めて関係者との打合わせ・施工方法の確認などの調査を十分に行い、自分なりに大切な管理ポイントを把握することが大切である。
杉(檜)面材は、赤身の強い部分は使用せず、十分な自然乾燥をしたものを選ぶ。
そして、石灰水によるアク出しを行うことで、コンクリートの凝結に配慮する。
コンクリートの調合は試験練りを行って決定するが、充填性を考慮すれば、スランプは18~21㎝が望ましい。
セメントを指定される場合があるが、その際には、今までの実績と問題点をあらかじめ調査しておく。

美しい転写とシャープな感じを出すための工夫

杉板の本実型枠コンクリート打放しの狙いは、コーティングしたベニヤ板の時と比べて、杉の木目がコンクリートに転写することで、木目の柔らかな表情を醸し出すところにある。
したがって、木目の転写が美しくきれいに仕上がるには、「コンクリートの凝結水を逃がさない」ことが、もっとも大切である。

そのためには、まず十分乾燥した材料を使用し、木材のねじれを防止する。

更に、出隅、入隅のコーナー部や型枠の足元から凝結水が逃げ出さないように留意する。

特に足元は濡れやすいので、隙間にはテープなどを張って凝結水の流出防止に努める。
その他、型枠工事作業では、施工要領書に沿った、型枠大工の注意深い施工も求められる。
そして、コンクリート打設においては、コールドジョイントを作らないような打設順序が大切であり、コンクリートが十分鉄筋と型枠の間に回るように、必要以上のかぶりを確保することが大切である。

杉板本実コンクリートの型枠の脱型時期は、木目を美しくコンクリートに転写させるために、通常より長めにとる。

何日間型枠を存置させるかは、JASS-5の規定に加えて決定する必要がある。
シーズンによって異なるが、夏場では5日、冬場では7日以上を確保したい。

いずれにしても、施工計画書に基づき、実物材のモックアップを実施し、打上がりの色や転写の具合、そしてエッジの出来上がりと型枠存置期間の関係などを確認し、「計画書の修正」を行うなど用意周到に行うことが望ましい。

きれいな素肌を長く維持するための対策

打放しコンクリート表面に塗布する浸透性吸水材には、コンクリートの中性化を抑制し、表面の吸水を抑えてカビの発生を遅らせる効果がある。
コンクリートは、アルカリ性であるが、内部の鉄筋が長期間の空気にさらされ、コンクリートの中性化が進み、その結果、内部の鉄筋が錆びるようになってくる。
その錆でコンクリートが爆裂し、躯体の強度が弱くなり建物全体の寿命が短くなる。といった中性化の問題がある。

浸透性吸水材には、その中性化を遅らせるねらいがある。
打放しコンクリート表面に塗布する浸透性吸水材には、いくつかの種類があるが、それぞれ耐用年数と値段の関係で大別する。

①シリコン系の浸透性吸水防止材:耐用年数は5年程度
②アクリルシリコン系の浸透性吸水防止材:耐用年数は10年程度
③フッ素系の浸透性吸水防止材:耐用年数は10〜15年程度

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 解答例③

施工経験記述 解答例③


出題例7

次にあげる6種類の労働災害の中から1つを選び、それを防止するための具体的な処置又は対策4つ記述せよ。
ただし作業員が着用する防護具に関する記述は除くものとする。

墜落による災害  飛来、落下による災害
建設機械などによる災害  倒壊による災害
土砂崩壊などによる災害  電気による災害

【 攻略のポイント 】
労働災害の防止をするための具体的な処置または対策は、基本的には労働安全衛生規則(以下、労安衛則)に基づく内容を記述することになる。

(1)墜落による災害防止(労安衛則518条~530条)の要点

①高さ2m以上の箇所での作業には作業床を設置する。(同518条)

②高さ2m以上の箇所では、悪天候時の作業の中止する。(同522条)

③作業床の照度の確保。(同523条)

④高さ、深さが1.5m以上を超える作業を行うときは安全に昇降するため設備を設置する。(同526条)

⑤ストレートなどの屋根上の危険作業では、踏み抜き防止のため、幅30㎝以上の歩み板を用い防網を張る。(同524条)

(2)飛来、落下による災害防止(労安衛則534条~538条)の要点

①地山の崩壊、落石防止をするため、掘削地山のこう配を安全なものとする。(同534条)

②高所からの物体投下による危険防止のため、高さ3m以上から物体を投下するときは、適当な投下設備を設け監視人を置く。(同536条)

③物体の落下により労働者に危険を及ぼときは、立入禁止区域を設定する。(同537条)

④地山の落盤などによる危険防止には、支保工を設け、浮石を除去すること。(同535条)

(3)建設機械などによる災害防止(労安衛則152条~236条)の要点

建設機械の災害防止は、各建設機械ごとに防止規則があるため莫大な量となっているが、建築工事に用いる主なものを次にあげる。

①労働者と建設機械の接触を防止するため、誘導者を配置する。(同158条)

②建設機械の転倒、破壊を防止するため、安定度、最大使用荷重の制限を厳守する。(同163条)
③作業開始前、月1回および、年1回の定期自主検査を行い、建設機械の安全性を確認する。(同167条、168条、170条)

④杭打ち機のワイヤーでの安全性を確認して作業を行う。(同174条)

⑤杭打ち機の組立解体、建設機械のアタッチメントの取替え作業は、作業指揮者を選任して、その者の直接指揮により行わせる。(同165条、190条)

(4)倒壊による災害防止
倒壊による災害防止という、労働安全衛生法に表記されていないが、倒壊に関する用語は、杭打ち機、型枠支保工、足場、作業構台(乗入れ構台)などにみられる。

①杭打ち機の倒壊を防止するため、脚部又は架台の沈下を防止のため敷板、敷角
を用い、くさびなどで固定する。(同173条)

②型枠支保工について、支柱の沈下を防止するため敷角を使用し、鋼管にあっては高さ2m以内ごとに2方向に水平つなぎを設ける。(同242条)

③鋼管足場の足場の脚部には敷角、敷板等を用い、ベース金具で固定し、根がらみを設け、筋かいで補強し、所定の間隔以下に壁つなぎを設ける。(同570条)

④作業構台の支柱は、その滑動または沈下を防止するため十分に根入れし、支柱脚部に敷板、敷角を使用し、筋かいを設け、接合部は緊結金具などで固定する。(同575条の6)

(5)電気による災害

①工作物の建設、解体、塗装、杭打ち作業などにおいて、労働者が作業中感電の危険があるときは当該充電路を移設するか、充電路に絶縁防護具を装着する。(同349条)

②手持型電灯は仮設の配線または移動電線に接続する金口に接することがないよう、ガードを取り付けなければならない。(同330条)

③高さ2m以上で鉄骨などで交流アーク溶接を行うときは、交流アーク溶接機用自動電撃防止装置を使用する。(同332条)

④対地電圧が150Vを超える、移動式または可搬式の電動機を有する機械には、感電防止用漏電遮断装置を使用する。(同333条)

⑤仮設の配線または移動電線を通路面において使用してはならない。(同338条)

以上のうちどれか1つ選び解答する。
とりわけ、労働災害の多い作業は、今後も出題されるので必ずまとめておくことが大切である。

解答例
墜落による災害

①高さ2m以上の箇所での作業では、作業床を設置する。

②悪天候のときには、高さ2m以上の箇所での作業は中止する。

③深さ、高さが1.5mを超える箇所で作業を行うとき、安全に昇降できる設備を設ける。

④スレートなどの屋根で作業をするときは、あゆみ板を設け防網を張る。

実践6 鉄骨工事1

1級建築施工管理技士 実践6 鉄骨工事1


①鉄骨工作図のミスをなくす

鉄骨工事の最も重要なことは、図面の不整合や記載ミスを徹底的に川上で取り除いておくことである。
今まで日本においては、鉄骨工作図の作成は、平面図や軸組図および詳細図に頼っていて、多くの専用CADソフトが開発され、自動化が図られてきているが、2次元の図面では、その作図ミスを防ぐには経験豊富な専門家が必要なのが現状である。

しかし、世界情勢に目を向けると、鉄骨設計業界においては、3Dの設計ツールが浸透してきている。
まず、最初に立体モデルを作成し、順次細部の設計に進むように手順がかわってきていて、不整合や部材の干渉も立体モデルで確認することができる。

すなわち、経験に頼ることなく、図面ミスが防げる。
承認する側も、立体シミュレーションモデルで検討できるので、より図面の正確度が増し安心できる。
したがって、すでにプラント業界であるように、建築鉄骨業界においても「性能発注方式」へと変化できる可能性につながっていきている。

一部の鉄骨製作会社では、3次元モデルと工作図・原寸図・部品図・発注伝票・数量表とが連携しているので、間違いようがないもので、受け入れ時の製品検査においても、実際に確認するものは、施工要領書どおり製作されているかとか、溶接の状態と書類の整備状況のみになりつつあり儀式化しつつあるように感じる。

つまり、3次元CADの活用により、製造の合理化を図るとともに、経験者に頼らない生産ラインになってきている。

②工場での材料トレーサビリティ管理の徹底

鋼材には、異鋼種同断面(見た目は変わらないが、強度や性質が異なる)のものがあるので、材料が混在すると品質保証ができなくなる。

すなわち、鋼材の取違えは、建物の品質に直接影響し、不適合な建物となる。

鉄骨工場では、承認された工作図に基づき、板・形鋼・山形鋼・溝形鋼などから材料をそれぞれの形状に切断・加工し部材を組立て、そして溶接していく。

設計によっては、数種類の材種の部材が使用されているので、材料を混在させて使用するミスが発生する可能性がある。

製作段階では、材料の取り違えが発生しないように、材料の切取り計画を作成し、混同を防ぐ。

どの部材がどの親材料から切り出されたものかを記録し、後で確認できるようにしておく。
その記録(トレーサビリティ管理)は、製品を保証する記録であり、監理者は製品検査時に確認を求める必要がある。

日本においては、分業化が進み、部品製作までを一次加工の専門会社(シャーリング会社)に発注している。しかし、トレーサビリティの根本思想は変わらないので、材料の取り違えが発生しないように、抜き取り検査などを行う。

③鉄骨部材の加工・組立ての管理

鉄鋼メーカーは各種の「強度や性質の異なる鋼材」を製造し、規格に合った品質保証を実施している。
1995年の阪神淡路大震災では、鉄骨の被害も多かったが、その被害報告も反映し、2000年に建築建築基準法が改正され、新たな規定が追加された。

鉄骨の分野では、溶接不良などの教訓を反映し、建築鋼材専用のSN鋼材(1994年に登場)の使用が急速に普及した。
鉄骨の加工・組立てはファブリケータと呼ばれる鉄骨製作工場で行われる。鉄骨製作工場はその規模や技術的な内容によって、S・H・M グレード等の認定の仕組みがあり、それぞれの得意な分野の製品を作っている。

また、分業化が進んだ昨今では、材料発注を商社に、1次加工を専門業者に依頼してい鉄骨製作工場が多い。
鉄骨工事には多くの試験が存在し、それぞれの試験は、建築主・設計者・ゼネコン・鉄骨ファブによって選択され、役割と責任が決められる。

1次加工の段階では、材料試験、溶接施工性試験、溶接棒の試験などが大切になる。
また、製作段階においては、仮組立て試験、中間試験、溶接部のUT検査、そして最後の製品検査がある。

現場管理者の役割として、鉄骨の発注から製品検査、輸送から現場組立てまでのすべての段階の管理計画を、その流れに沿って「鉄骨品質管理計画書」として作成し、設計監理者の承認を取得し、意向をフィードバックする。

併せて、鉄骨ファブが作成する「鉄骨製作要領書」の確認と承認を行う。

加工・組立ての段階でもっとも大切なことは、工場溶接の管理である。溶接品質に係る要因には、
・溶接部位と溶接方法の選定
・溶接姿勢と溶接工の資格
・被溶接材料と溶接棒の選定
などの組合せがある。

その工事の特徴に合わせた「組合せの施工試験」を行い、溶接部の外観や機械試験を経て、ベストな組合せを選ぶ。

機械的な試験の項目には、
・引っ張り試験、
・マクロ試験、
・シャルビー試験
などがある。

溶接作業が終了し、塗装工程に入る前に、溶接部の外観検査と、超音波探傷検査(UT検査)を行うが、UT検査はファブリケーターが行うものとは別に、第三者(独立した検査会社)により行う必要がある。

④現場での鉄骨接合

鉄骨が無事組み上がると、次に重要になるのは接合部の工事である。

現場接合には、主に高力ボルト接合と現場溶接接合があるが、それぞれ資格をもった管理者を配置し、管理者を中心に品質管理を行う。

高力ボルト接合においては、施工要領書に基づき、各ロットごとにボルトの軸力試験、締付け道具のキャリブレーションテストを実施する。

ほかに締め付ける環境・順序やナットの方向などの制限も規定されている。

現場溶接接合においては、AW溶接検定の合格者が行うが開先部分の状態管理、目違いの許容範囲、溶接棒の種類、余熱の条件などが決められているので、施工要領書の規定に従って行う。

また、溶接部の検査として外観検査のほかに、第三者による超音波探傷試験が
一般的に必要である。

超音波探傷検査の抜取率は常に問題になるので、あらかじめ構造設計者と協議し決めておく。

⑤鉄骨工事の安全管理

鉄骨組立て工事は、何もないところからクレーンと作業員だけで組み上げていく最も危険を伴う作業である。
したがって、その作業の安全管理・足場管理・労務管理は事故を防ぐためにきわめて大切である。
現場管理者の任務として、それらの安全計画の立案を入念に行う必要がある。

特に足場計画は、それぞれの段階ごとに作業員の安全が確認できる計画とするのがよい。
多くの建設会社では鉄骨建て方事前検討会を実施し、計画の確認、関係者の目線合わせを行っている。
何事も計画通り進むとは限らないので、不測の事態に備えて、
最低限必要な資材と解決方法およびルールを決めて臨むことが大切である。
鉄骨建て方を安全に進める上でもっとも大切なことは、余裕のある安全で効率的な計画を立案することである。
それにより、作業員の無理・無駄・無謀を防ぎ、事故の防止につながる。

例えば、作業所の空きスペースを利用し、鉄骨梁や小梁や足場や安全ネットなどをアセンブリングしてから、クレーンで一気に持ち上げる手法が、もっとも効率的で安全である。

若干の設備費がかかるが、それ以上の安全管理費節減や工期短縮の効果が期待できる。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 解答例④

施工経験記述 解答例④


出題例8

建築工事において、地球環境保全の観点から環境負荷を低減するために留意した事項2つあげ、それぞれのねらい具体的処置を記述せよ。


攻略のポイント

地球環境保全とは、次の項目を保全することである。

大気汚染防止法
産業廃棄物の焼却処理に伴うダイオキシンの発生を防止するため、高熱処理をする。

水質汚濁防止法
産業廃棄物のうち、人工泥水の処理として水槽により泥と水を分離して、水はpH調整して下水道に排水し、泥は焼却して水分を減少させ、建設副産物として埋立用土砂として用いる。

地球温暖化防止と熱帯雨林減少の軽減
合板型枠を、床版型枠デッキプレートに変えることで、産業廃棄物を少なくし、合板から排出する二酸化炭素を減少させ、熱帯雨林の減少を軽減する。

自然破壊の防止
資源を有効に利用するため、再生資源や指定副産物を積極的に利用し現場から産業廃棄物をできるだけ少なくする。

解答例

①水質汚染防止

[ ねらい ]
水質の中性化

[ 具体的処置 ]
ベントナイト溶液の泥を沈殿させ、pH調整して中性としたのち下水道に放流する。

②地球温暖化防止
[ ねらい ]
二酸化炭素の軽減

[ 具体的処置 ]
合板型枠の使用を少なくし、焼却による二酸化炭素の軽減をする。

出題例9

あなたが現場で実施した、重点的な品質管理活動の事を3つあげ、それぞれ次の①から③について記述せよ。
ただし、3つの事例は、それぞれ異なる内容の記述とする。

①発注者側の要望
あなたの立場で理解した発注者側の要望を簡潔に記述しなさい。なお、発注者側の要望には、設計者、監理者、元請、営業、上司等から聞いたことや、設計図書等から読み取った内容も含むものとする。

②重点的な品質管理活動
①の発注者側の要望に応えるため、
あなたが現場で重点的に実施した
品質管理活動の内容を具体的に記述せよ。
なお、品質管理活動内容には、
部位、作業内容等を含む記述とする。
③理由や経緯
②の重点的な品質管理活動を
①の発注者側の要望に応えるものと
考えた理由結びつけた経緯
を具体的に記述せよ。

攻略のポイント
品質管理活動の事例をあげるとき、「鉄筋コンクリート工事」のような大項目を取り上げるのでなく、「コンクリートのひび割れ防止」、「鉄筋の組立精度」、「コンクリートの打込み管理」、「コンクリートの養生管理」、「タイルの浮き防止」等のように具体的な数値を用いられる作業内容を選定するようにする。
特に品質管理ではデミングサークルの
計画 → 実施 → 検討 → 処置
の手順を念頭において記述すると理論的に整理がし易い。
このことが出題の②に部位作業内容を示すように指定されているからことからもわかる。
実際には、下請負人の立場の場合が多く、発注者の考えを直接的に聞くことは考えにくいので、こうした問題は「設計図書」に示された基準が発注者が意思の集約と考えて回答する。すなわち、一般的な品質管理上必要な措置を具体的に記述すれば十分である。
また、③の理由については、品質管理活動により、より良い品質が得られると考えて行うものである。
解答例
コンクリートのひび割れ防止

①外壁のひび割れ防止をするため、特にコンクリート施工に注意するよう設計図書に特記されていた。
②スランプ値、空気量は試験により確認し、打込み高さを1.5m以下とするため型枠に窓をつくり、じゃんかのできないよう十分に締め固めた。
③外壁部のひび割れの原因は、主に材料分離の影響と考え、ワーカブルなコンクリートを材料分離しないように打込み高さを制限した。




出題例10

建設副産物を適正に処理する観点から、建設発生土の扱いについて、留意すべき項目箇条書き5つ記述せよ。

攻略のポイント
建設発生土は、建設工事に伴って発生する土砂のことで、搬出する建設発生土が1,000m3以上となるときは、請負(元請)業者は再生資源利用促進計画を立案し、その促進利用の実況を記録し1年間保存しなければならない。
(資源の有効な利用の促進に関する法律18条)
こうした建設発生土が直ちに再利用されることが少ないので、適正に分別して、保管しなければならない。こうした保管施設、運搬路、第三者の災害防止の観点から留意点を記述する。
解答例

建設発生土の取扱い留意点
①建設発生土(搬出土)量を最小量とする計画とする。
②建設発生土が他の現場で再利用できるよう土を分別して保管する。
③建設発生土が降雨で泥流化しないように対策をする。
④保管土の管理のため排水溝や安全な土留めを行う。
⑤運搬にあたり公衆の災害防止を行う。



1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 環境管理【傾向分析】①

近年の経験記述の予想のひとつである「環境管理」に関する記述について

チェックポイント1
建設副産物対策
①「発生抑制」
②「再使用」
③「再生利用」
④「熱回収」
⑤「適正処分」
について理解する。

チェックポイント2
地球環境負荷低減の取組みについて、
3つ記述できるようにする

環境管理の出題としては建設現場で行うべきものとして、「建設副産物対策」と「地球環境負荷低減の取組み」に関する出題が多く、この2つについて自分の経験に基づいて記述できるようになっておく必要があります。

「建設副産物対策」の記述上のポイント
循環型社会形成推進基本法では、建設副産物対策の優先順位を下記の5段階としています。

①リデュース:発生抑制
ごみを出さない、または発生量を抑制すること。

②リユース:再使用
使用後多少の手入れを行って、再び使用すること。

③リサイクル:再生利用
金属くずを溶かして再製品化するなど、
一度形を変えて再生すること。

④サーマルリサイクル:熱回収
熱エネルギーを回収し、
発電や冷暖房に利用すること。

⑤適正処分
不法投棄などをさせず、
法律で定められた処理場で適正に処分すること。

【 過去の出題の特徴 】

対策が指定される場合、5つの対策が例示され、その中から選択する場合、
例示がなく自分で考えて記述する場合があります。

その対策をあげた上で、「扱った資材名又は建設副産物」、「留意した事項または実施した内容」、「結果とあなたの評価」などの記述が求められます。
(H17,H21,H24,H27)

「建設副産物対策」で要求される記述

試験対策としては、
・「取り組んだ対策」
・「扱った資材名または建設副産物」
・「実施した内容」
・「結果とあなたの評価」
の4点について、
2例ほどずつまとめておく必要があります。

 

実践7 鉄骨工事2

1級建築施工管理技士 実践7 鉄骨工事2 積層工法とフロアパネル

鉄骨組み立て作業は、建築工事での最も危険な作業と言える。風や雨や気温の変化など全てに影響されるため、選抜された熟練工でも細心の注意が必要である。
過去の鉄骨工事の事故例では、墜落、転倒、挟まれなどの人身災害が発生している。
積層工法は、それらの危険な芽をあらかじめ摘み取ることができる最も画期的な工法と言える。
積層工法の最大の特徴は下層階から確実に積み上げていく工法ゆえに、作業員が安全の足場をいち早く確保でき、上下作業をなくすことができるので、作業員に大きな安心感を与えることができる。また、そのことは品質確保にも大きく貢献している。
積層工法の要素技術の中で、フロアパネルがその中心的な技術となる。1階分のフロアパネルを4日ないし5日サイクルで組み上げていく。部材はできるだけ工場でアッセリングして、大型ユニットにする方が望ましいが、輸送範囲を超える場合は、現場の空きスペースを利用し、ユニット化する。
高層ビルは繰り返し作業が多いので効果は大変大きい。建設業にはまだまだ無駄が多いが、生産をシステム化することで大幅な無駄の削減が可能となる。

①現場でのプロアパネル製作

床のフロアパネル工法は、大梁、小梁、ブレース、床のデッキプレートだけでなく、天井内ダクトやスプリンクラー枝配管までを一体に組み立て、大型のクレーンで吊り上げて取り付けていく「鉄骨組立てプレファブ工法」の1つである。
道路の車幅を超えるような大型のフロアパネルは工場から運べないので、現場の空きスペースを利用し、現場で組み立てチームを編成し、一体化の作業行う。
その場合、必要な枚数だけを製作する計画とし、取り付ける逆の順序で製作すると、ストックヤードが有効に使える。また、生産性を高めるには、多能工を編成し、作業員の平準化を図る。
大型のフロアパネルが、目安として15分以内にスムーズに取りつくような工夫が成功のカギを握る。
そのためには目的にあった「吊り上げ専用治具」の開発落とし込みができるような梁継ぎ手の工夫、スパン調整ができるような「吊りピース兼用スパン調整」などの仕掛けと、取り付けのトレーニングとが大切になる。
また、その他の注意事項としては、ストックヤードでの転倒防止などがある。いずれにしても入念な計画が望まれる。
積層工法の原点は、作業員の安全確保のために、作業床を先行して取り付けることで、安全な先取りをが進み、安心して仕事ができるため、結果として作業効率の向上に目指すものである。

柱ジョイント位置の工夫で、労務の平準化を図る

大型のフロアパネルのスムーズな取り付けのためには、柱の節ジョイントを今までのように同じ街に揃えるのではなく、逆にすべての階に振り分けてずらす方が良い。
コア部と外周部を異なる階にする。外周の柱も隣り合う柱を次の階に移動するなど、スキップさせることで、大きな改善効果が得られる。
通常、柱溶接箇所は3階ごとに集中し、溶接工の平準化ができているとは言えない。すなわち、忙しい日とそうでない日があり無駄が多い。
しかし、ジグザグにずらすことで、現場溶接作業の平準化し、少数精鋭の溶接工で順に作業ができるので、労務の平準化ができて品質が向上することにつながる。
さらに、常に先行する柱が垂直性のガイドになっているため、鉄骨の建て方精度がおのずと高くなっていく。
すなわち、従来の方法とは異なり、「危険で、しかも最も苦労する歪み直し作業」がほとんど発生しない。
結果的に歪み直し作業が「スパン調整」だけで済むなど、大幅な改善効果が期待できる。

究極の鉄骨作業足場計画

床を構成するフロアパネルと建物の外壁を構成する外装プレキャスト板を、より先に取り付けることで、鉄骨接合部の作業性の安全性が格段に向上する。
鉄骨の現場鍛治作業、現場溶接作業などの足場は従来の吊足場に代えて、ほとんどの範囲をデッキプレート上にキャスタ付き移動足場を利用した簡易足場での作業となる。
その結果、現場溶接作業などの集中力と高い技量が必要な作業も安心して最後できるため、品質的にも良い結果に結びついている。
ただし、デッキプレートの上に集中荷重が働くので、その検討が必要となる。
また、大梁上の現場打ちスタッドジベルがキャスタ付き移動足場と干渉するので、決められた移動足場の通路を確保するなどの手立てを図る必要がある。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 環境管理 【傾向分析】②(記述例)

「建設副産物対策」の記述例を下記に示すので、
参考にして自分なりの解答をまとめて準備しておく。
①「発生抑制」
②「再使用」
③「再生利用」
④「熱回収」
⑤「適正処分」
それぞれについて、
「資材名等」「実施した内容」「結果とあなたの評価」
をまとめる。

①「発生抑制
[ 資材名等 ]◆型枠廃材

[ 実施した内容 ]
スラブの型枠として、合板型枠工法に代えてデッキプレート型枠工法を採用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
型枠廃材の発生を抑制できたとともに、解体作業もなく、工期短縮にも有効であった。

——————————————————————-
[ 資材名等 ]◆木くず

[ 実施した内容 ]
・現場製作の建具枠及び額縁を、工場生産品に変更した。
・木造和室の造作材について、
現場加工材からプレカット材に変更した。

[ 結果とあなたの評価 ]
現場からの木くず等の発生を抑制できたとともに、工期が1フロアあたり、5日間短縮できた。

——————————————————————-
[ 資材名等 ]◆石こうボード端材

[ 実施した内容 ]
壁の石こうボードを使用場所の天井高さ 2,350mmに合わせて、プレカットして現場に搬入した。

[ 結果とあなたの評価 ]
石こうボード端材の発生が抑制できたととに、現場作業の軽減により工期短縮にも有効であった。

——————————————————————-
[ 資材名等 ]◆軽量鉄骨及び石こうボードの端材

[ 実施した内容 ]
在来工法の天井を、システム天井に変更した。

[ 結果とあなたの評価 ]
軽量鉄骨や石こうボードの端材の発生がなくせ、現場加工の軽減により工期短縮にも有効であった。

——————————————————————-
②「再使用
[ 資材名等 ]◆建設発生土

[ 実施した内容 ]
根切り工事で発生した良質な建設発生土については、社内で情報を共有し、他現場において埋戻し土として再使用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
建設副産物を有効に再使用できたとともに、処分費用を大幅に縮減することができた。

——————————————————————-
[ 資材名等 ]◆タイルカーペット

[ 実施した内容 ]
解体・撤去時に発生したタイルカーペットを新設の石張り床の養生材として再使用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
ごみとなるものを有効に再使用できたとともに、仕上げ材の傷を防ぐことができた。また、養生材のコスト削減にも有効であった。

——————————————————————-
③「再生利用
[ 資材名等 ]◆コンクリートがら

[ 実施した内容 ]
・根切り時に出てきた既存基礎のコンクリートがらを、現場にてクラッシャー処理を行い仮設道路の路盤材として再利用した。

・場所打ちコンクリート杭の杭頭処理で発生したコンクリートがらを、現場にてクラッシャー処理を行い仮設道路の路盤材として再利用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
産業廃棄物となるコンクリートのがらを再利用できたとともに、仮設道路の材料費も縮減できた。

——————————————————————-
[ 資材名等 ]◆石こうボード

[ 実施した内容 ]
専用のコンテナを設置することにより分別回収を行い、再生工場に引取りを依頼した。

[ 結果とあなたの評価 ]
再生工場にて再生することができたとともに、整然とした作業環境が構築され、作業能率も向上した。

——————————————————————-
[ 資材名等 ]◆木材

[ 実施した内容 ]
・造作材のかんなくず・おがくず類は、リサイクル工場に引き取らせ、パーティクルボードの原料とした。

・解体工事で松杭が大量に発生したので、チップ化工場に引取りを依頼し、再生利用させた。

[ 結果とあなたの評価 ]
産業廃棄物の再生利用ができたとともに、処分にかかる費用も縮減できた。

——————————————————————-
[ 資材名等 ]◆アスファルトコンクリートがら

[ 実施した内容 ]
駐車場の解体時に発生したアスファルト・コンクリートがらを、アスファルトプラントに持ち込み、再生アスファルトとして再生利用させた。

[ 結果とあなたの評価 ]
産業廃棄物を新設駐車場の舗装に再生利用でき、工事費を大幅に縮減することができた。

——————————————————————-
[ 資材名等 ]◆木材、金属くず、石こうボードくず

[ 実施した内容 ]
木材、金属くず、石こうボードくずについては分別回収を行い、それぞれのリサイクル工場に持ち込んだ。

[ 結果とあなたの評価 ]
多くの資材を分別回収することにより再生利用に貢献でき、その結果、処理費用を大幅に削減できた。

——————————————————————-
< 再生品の採用  >

[ 資材名等 ]◆再生砕石

[ 実施した内容 ]
・基礎や土間下の地業に再生砕石を使用した。
・場内仮設道路の舗装に再生砕石を使用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
再生品を使用することができたとともに、リサイクル活動に貢献でき、コスト縮減にも有効であった。

——————————————————————-
④「熱回収

[ 資材名等 ]◆木材

[ 実施した内容 ]
腐食したり、釘の処理が多く、再生利用が困難な木材については、サーマルリサイクル工場に持ち込んだ。

[ 結果とあなたの評価 ]
本来、廃棄物である木材から熱回収ができたとともに、産業廃棄物も削減でき、処分費用を縮減することができた。

——————————————————————-
[ 資材名等 ]◆塩化ビニル材

[ 実施した内容 ]
塩化ビニル廃材を分別回収し、熱処理工場へ持ち込んだ。

[ 結果とあなたの評価 ]
発生する熱エネルギーを回収でき、エネルギーの循環に貢献できた。建設副産物を有効活用するのは、事業者の責務であり、今後も取り組んでいきたい。

——————————————————————-
⑤「適正処分

[ 資材名等 ]◆木くず、金属くず、石こうボードくず

[ 実施した内容 ]
・許可を得た収集運搬業者及び最終処分業者であることを、許可証により確認し、委託契約の上、委託した。

・最終処分場までのルートを確認するとともに、マニフェスト伝票にて最終処分場で処分されたことを確認した。

[ 結果とあなたの評価 ]
・不法投棄もなく、適正に処分することができた。不法投棄を防止することは、排出事業者の責務であり、しっかり管理していきたい。

・マニフェスト伝票の確認により、不法投棄のないことを確認できた。不法投棄を防止することは、排出事業者の責務であり、しっかり管理していきたい。

——————————————————————-
[ 資材名等 ]◆廃アスベスト

[ 実施した内容 ]
特別管理産業廃棄物管理責任者を設置し、処理計画の立案から行政への報告等の排出、最終処分に至るまで全般に渡って管理させた。

[ 結果とあなたの評価 ]
管理責任者に全般に渡って管理させたことにより、スムーズに最終処分まで確実に管理することができた。排出事業者(元請業者)として、今後も処分責任が曖昧とならないような管理を行いたい。

以上、参考まで
自分が経験した建築工事に関して、
指導的立場に立った工事に対してまとめておく。
2項目程度の記述が求められるケースが多いので、
ケースに応じて、最低3項目程度はまとめておく。

実践8 仕上工事1 外装1

1級建築施工管理技士 実践8 仕上工事 外装(1)押出成形セメント板

建物の外装は、その建物の顔になる大切なエレメントであり性能的には水密・気密・耐風圧・遮音・断熱・紫外線・日射そして耐候性などが要求される。
外装材の中で、押出成形セメント板、ALC板、複合金属板などの既成品は、メーカーが独自のディテールと施工マニュアルを開発・準備している。
また、メーカーは各販売店を傘下にもち、営業・施工図作成・工事を委託している。
メーカーによっては施工店に対する技術指導や教育、そして巡回指導を行い、品質確保に努めている。
建築施工管理者の役割としては、各販売店の担当者との打ち合わせとともに、早い段階から設計者や専門家を交えての検討会等を発足させ、現場の状況に即した問題点と対策を絞り込む必要がある。
メーカーによっては、かなり前からその標準ディテールが作成されている。すなわち、安定した品質提供を継続している。

施工図のチェックと承認はゼネコンの役割

押出成形セメント板の場合、製品は60㎝を標準とし、現場に合わせて長さを切り合わせて、現場に搬入する。
したがって100%を工場で加工し、塗装まで仕上げてくる製品もある。
縦張りと横張り工法があり、いずれも標準的なディテールと施行マニアルが準備されている。
窓周り、パラペット周り、階段室の取り合い、設備開口部などの特殊部分はメーカーが用意しているディテール集を参考に、品質問題が発生しないように注意をする。
特にガラリから雨水が吹き込まないように、また吹き込んでも中の雨返しで戻るように、配慮が必要である。
建築施工管理者の役割としては、設計者と連携しメーカーの代理店に施工図作成を依頼し、取合い部分の確認を行い、承認することである。
施工図の間違いがあってはならないので、設計者、設備関係者、その他の関係会社との調整を十分に行う。
また、納期面では承認から現場搬入までの製作・輸送に必要な期間をよく打ち合わせをし、遅れないように発注管理する。標準的には30日間、繁忙期は45日間は必要とされている。
最近の流行として、90㎝の幅広のものや、外装タイル、外断熱、ソーラーパネル、壁面緑化との組み合わせなど、付加価値を高めたものも商品開発をされている。

外装工事の施工管理はどうするか

外装材の工事が正しく施行されないと、雨漏りだけでなく地震や長期間の材料劣化などにより、外壁材の応力のへの肩よりが発生し、割れや落下など第三者に被害を及ぼす事故につながる。
パネルの取り付けやシール工事は、専門の工事会社によってマニアル通りに行われるので、品質上の心配は少ないが、多くの問題はパネルの下地精度不良が絡んでいる。
下地が正しい位置になく、施工図の間違いなどで製品寸法が現場と合わない場合など、是正を省いてそのまま工事を進めることがあってはならない。
建築施工管理者の役割の中では、下地の精度を高めることが非常に大きい。
下地の制度は、
①墨だしの精度
②下地鉄骨の誤差
③躯体の誤差
の累積となる。
したがって、まずは躯体の精度が確保されて、初めて下地鉄骨の取付けへと進めるので、手順を踏んで施工品質管理を進めなくてはならない。
施工図の承認前に、下地鉄骨の精度を確保するためのディテールを確認し、前後左右の躯体の誤差を吸収する機能があるかを確認することも大切である。
建築施工管理者として、自信を持った施工管理をするためには、正しいプロセスを守り、妥協しない姿勢が大切である。下地の精度が目標レベルに達していれば、大方の品質問題が事前に解決できる。

正しくシール施工するには

外装の成形板は、比較的簡易な建物の外壁に多く採用されている。
その種類には、押出成形セメント板・ALC板・複合金属板等がある。
いずれも部材が既製品で、幅方向が決まっており、長さ方向をその工事に合わせて工場加工し、搬入後現場で取り付ける方法が一般的である。
どの成形板も、ディテールが比較的シンプルなため、気密性・止水性が弱点になりやすい。
従って、メーカーごとに推奨する取り付け方法が定められているので、メーカー指定マニュアルを遵守する。
一般的に、材料のメーカー保証が用意されているが、工法全体としてのメーカー保証内容を確認する必要がある。
幅方向は、製品によってはまったく外からのシールを必要としない製品もあるが、縦方向と層間部やエクスパンションジョイントは外からのシールに頼っている。
1次シールは、その材料とプライマの相性と接着性を必ず確認し、メーカー推奨の手順を守って正しく施行したい。
1次シールを超えてきた雨水の2次シールによる排水の仕組みは極めて大切になる。
今までの故障事例は、1次シール・2次シールともに不備なために発生している。
1次シールが切れても、雨水を2次シールで止めなければならない。
2次シールで特に大切な点は、最下部に設置する排水パイプである。1次シールを通過した雨水が、中空部を通過し、最後に排水パイプを通過して外部に排出される。
この機能をしっかり確保する。
日本シーリング工業会出版のハンドブックが参考になる。

ゴンドラ作業での注意点

シール工場や塗装工事が外部足場からの工事であれば、作業もしやすく、検査確認も容易である。しかし、最近ではシール工場を外部ゴンドラ作業で行う場合が増えている。
外部ゴンドラでの施行は密室と同じで、どうしても管理の目が行き届かず、正しく施工されているかが、簡単には確認できない。
したがって、ゴンドラ作業で外部のシールを行う場合は、どのように「管理の検査」を行うかを定めて、プロセス管理していくことが大切である。
そのためには日常の作業員や職長の自主管理と記録が重要であり、検査員の管理がそれに続く。
検査員による検査のポイントとして、
①シールの施行はそれはないか
②すでに付着が開いてないか
③シールの厚さは大丈夫か
なかの検査を行うことが大切である。
正しい1次シール工事、2次シールと排水計画、検査の仕組みを施工図と施工マニュアルに明確にし、関係者への周知徹底を図ることが重要である。