1級建築施工管理技士 内装仕上 内断熱と外断熱

建築品質 内装仕上工事


83)内断熱と外断熱

従来の建築の考え方は内断熱であったが、近年外断熱が話題に上がることが多くなっている。内断熱でも外断熱でも、断熱が途切れたところ熱橋(ヒートブリッジ)が発生する。熱橋部分が断熱効果を下げ、そこが結露する。内断熱と外断熱の特徴を理解し、熱橋を少なくするのが、省エネルギー計画上、重要なポイントである。

1.外断熱の特徴

外断熱は躯体が外部の熱環境の影響を受けにくいので、内部熱環境を一定に保ちやすい。躯体は断熱材で保護され、温度変化が少なく、躯体が長持ちする。ただし、躯体の熱容量がある場合(鉄筋コンクリート造等)は冷暖房の立上りが遅くなる。外断熱は躯体の外側を断熱層で包むという考え方であるが、バルコニーや屋上パラペット、基礎まわりは断熱材を完全に連続させることは困難で、熱橋が発生し結露する可能性がある。これらの熱橋での結露防止策は内断熱とする。
外断熱の外装は、断熱材がそのまま外装仕上となる材料がほとんど無いため、断熱材の上に、雨風をしのぐ耐久性のある外壁としての仕上が必要となり、一般的には内断熱に比べて建設コストが多くなる。


外断熱工法

2.内断熱の特徴

内断熱は躯体内側に断熱層を設ける一般的な工法である。躯体と断熱材の間に隙間を作らないことが重要である。内部環境はほぼ一定であるが、外断熱とケースとは逆に、躯体が外環境の影響を受けるので、躯体の寿命は設計時の計画年数の級になると考えられる。
外壁仕上は通常通り施工できるので、従来からのノウハウをそのまま適用でき、外断熱に比べると建築コストは抑えされる。外壁に交わる間仕切りや床の外壁際が熱橋となるので、そういう部分は熱橋対策として、断熱材を折り返して300〜900mm程度まで引き延ばす必要がある。
最上階も内断熱にすると、日射や寒暖により躯体への影響が大きくなるので、外壁内断熱工法を採用した場合でも、最上階スラブは外断熱とするケースが多い。その場合、防水層との順番に注意する。

露出防水の場合、
内側より、躯体 → 断熱材 → 防水層

歩行用の場合、
内側より、躯体 → 防水層 → 断熱材 → 保護層

よって、歩行用の場合は、外断熱にすると、躯体と共に防水層も断熱材に護られるので長持ちする。
外断熱と内断熱を利点を考慮しつつ、部位によって使い分け、その際に断熱層の切り替わり部分の熱橋対策をとることが重要である。


内断熱工法