082)熱橋(ヒートブリッジ)となるところ
鉄骨の柱や梁が断熱材を貫通している部分や断熱工法における断熱材の欠損部位は熱橋(熱の通り道:ヒートブリッジ)となる。断熱材を隙間なく施工し断熱欠損の部位をなくすことができれば、結露のトラブルをなくすことができる。
1.外壁の入隅部や外壁と床の取合い部の熱橋
外壁と直交する住戸間界壁の折返し部分や床は熱橋となる。
外壁取合い部の熱橋
外壁側から室内側へ600mm程度までは発泡ウレタンを吹き付け、断熱する。断熱材の厚さ及び施工範囲は地域区分により異なる。例えば、北海道等寒冷地では900mm程度となる。
詳細は「省エネルギー基準」に準拠した「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設計・施工及び維持保全の指針」(国土交通相告示第378号)を参照
2.打込み断熱材の継ぎ目の断熱欠損部は熱橋
屋根スラブや外壁に打込まれた断熱材の継ぎ目にコンクリートが流れると熱橋となる。断熱材の継ぎ目にコンクリートが流れ込まないように施工する。
打込み断熱材の継ぎ目
3.屋根スラブ打込みルーフドレンや吊りボルト
①屋根スラブに打込むルーフドレンは、雨水を集水するために周囲よりスラブ天端を下げて施工する。外断熱防水の場合はその周囲に断熱材を敷き込むことができないので、その部分が熱橋となる。スラブ裏面に断熱補強が必要となる。
打込みルーフドレン部のスラブ下断熱
②屋根スラブに打込む吊りボルト用インサートも熱橋となる。断熱用プラスチックインサートを採用する。
4.外壁に打込まれた設備ボックスも熱橋
外壁に設備配管や電気ボックスを打ち込んだ場合、外壁に断面欠損が生じ、配管やボックスが熱橋となる。設備配管や電気ボックス等は外壁に打ち込んではならない。
5.断熱した外壁に面した押入れの壁が結露することがある
外壁に面した押入れは、床にすのこを敷き、中段の棚と奥の壁との間に30mm程度の隙間を設け、空気を流れを作り押入れ壁面の表面温度が下がらないようにする。
押入れの壁に布団が接して収納されると、壁面の表面温度が押入れ空気の露店温度以下になり、結露を起こしカビが発生する。
外壁に面した押入れ