1級建築施工管理技士 建具工事 構造スリットにつく建具

建築品質 外部建具


056)構造スリットにつく建具

鉄筋コンクリート造の構造スリット(耐震スリット)に取り合う開口部のまわりは地震時に変位を起こす。一般に大地震時の最大変位は階高の1/100を想定している。中地震にもある程度の変位が発生し、サッシの4辺を固定すると、変形して部分的に破損する。

1.地震時の変位に対して破損しない建具にする

地震時の躯体の層間変位に対して建具に大きな損傷が起きないようにしなければならない。少なくとも毎年1回は発生する中地震で、建具に支障をきたさないことが重要である。中地震での変位量は構造設計者に確認し対応を決定する。具体的には建具の上下枠は水が入りやすのでモルタルで充填して躯体と固定し、縦枠は自由に変形して躯体変位に対応するようフリーにする。縦枠のフリーの部分は、枠を躯体にアンカーせずに、モルタルを詰めないため、耐風圧に見合った枠補強が必要となる。モルタルに代えてロックウールを密実に充填し、二重シールとする。

2.横長建具は上枠をスライドにする

横長の窓で縦枠が短い建具の場合は、縦枠の変位角が大きくなり建具枠やガラスの破損の可能性が高くなる。このため、横長の建具の上枠はスライド機構をもった枠とし、ロックウールを充填する。この場合、上枠のシールが切れやすくなるため、必ず水切りを設ける。

3.構造スリットにつく窓には庇をもうける

構造スリットに付く窓の躯体とのシールは二重シールにしても切れやすい。建具は壊れなくても、シール切れによる漏水の恐れがある。できれば窓上部に庇を設ける。抱き納まりにするだけでも違う。構造スリットの外壁と同面に建具を納めてはならない。同面納まりにする建具に計画するなら、構造スリットを設けない構造設計が必要である。