4章 地業工事 1節 一般事項

第4章 地業工事 


1節一般事項

4.1.1 適用範囲

地業工事では、基礎や基礎スラブを支えるために、それより下の地盤に設けた各種の杭、砂利、砂及び捨コンクリート地業、並びにこれらに関する試験を対象としている。

4.1.2 基本要求品質

(a) 杭地業工事で使用する材料については、工場等で製造される既製コンクリート杭や鋼杭、並びに工事ごとに異なる調合や品質・施工管理等が必要な場所打ちコンクリート杭等に大別される。前者については、材料の品質等が、杭の種類に応じて建築基準法に基づき指定又は認定されており、設計図書の指定に従って、それぞれの規定に適合する材料を使用したことが分かればよい。

また、場所打ちコンクリート杭に使用するコンクリートについては、施工条件に応じて設計図書で要求される品質(水セメント比、スランプ、単位セメント量等)を有するコンクリートを品質計画で明確にし、その材料(コンクリート)を使用したことが、6章のコンクリート工事に準じて分かるようにしておく。

なお、水セメント比及び単位セメント量は、現場で直接確認する適切な方法が確立されていないので、一般的にコンクリートの圧縮強度をその代用特性として用い、品質計画で定めた水セメント比及び単位セメント地を満たすコンクリートの強度で、間接的に確認している。

(b) 地業の平面位置、形状及び寸法は、地業の性能(上部構造物の支持能力)に直接影響を与える。例えば、独立基礎等では寸法の不足が即支持力の不足となる。また、個々の杭は必要な支持力を有する場合でも.平面位置や形状等が許容される誤差の限度を超えると.基礎に加わる上部構造物の荷重と地業の支持力に偏心が生じ、構造物に有害な応力が発生したり、不同沈下が生じたりする。

「標仕」では、地業工事における施工誤差は避けられないものとして、その限度を「有害な影響を与えないもの」と規定している。施工誤差の許容値は、基礎の形式や杭の種類・耐力、地下階の有無や構造形式、平面形状等により異なるため、管理基準や管理の方法を品質計画で明確にし、これに基づいて管理したことが分かるようにしておく。

(c) 一般に、打込杭(支持杭)の場合には、設計図内で杭の支持力が指定され、4.3.1 (e) 及び4.3.3(b)で述べているように直接支持力の確認ができる。しかし、埋込杭や場所打ちコンクリート杭では、支持力を直接確認しながら管理をすることはできない。

このため「標仕」では、適切な施工方法でかつ、適切な品質管理を行ったことが分かれば「所要の支持力を有するもの」と見なすこととし、すべての地業について載荷試験等により支持力の確認を要求しているのではない。

具体的には、適切な施工方法を定め、施工上の管理内容や管理基準及び管理記録の方法並びに管理基準を外れた場合の処置方法等を品質計画に記載させ、これに基づき管理させる。

なお、地盤調査結果と現地の状況等から判断して、設計図書の指定に疑問が生じた場合は、直ちに設計担当者と打ち合わせ、必要な場合には「標仕」1.1.8による協議を行う。

4.1.3 施工一般

(a) 材 料
材料の入手に当たってはその後の工期に影響しないよう、納期の確認が必要である。特に遠心力高強度プレストレストコンクリート杭のB種・C種並びにSC、PRC、ST杭のような特殊な場合は注意が必要である。

(b) 施工業者
打込み工法においては、平成9年版「建築工事共通仕様書」で引用されていた昭和46年建設省告示第111号は廃止されたが、打止め時に貫入量と打撃エネルギーから支持力の推定が行えるため、これを打止め管理に利用している。一方、既製杭の埋込み工法や場所打ちコンクリート杭ではこのような管理手段がなく、施工中に所定の耐力が確保されているかを数値で確認することは困難である。したがって、杭基礎としての信頼性は施工業者の技術力に依存せざるを得ない。施工業者の技術力については、工事実績、保有する施工機械の種類や能力、施工の管理体制等によって、十分検討することが必要である。

技術の進歩に対する施工水準の確保と施工の信頼性向上を図るため、既製コンクリート杭については(-社)コンクリートパイル建設技術協会、場所打ちコンクリート杭については(-社)日本基礎建設協会で、技術講習会を実施している。

(c) 工 法
(1) 地業工事は、一般に振動、騒音等が著しく、また、機械の転倒等の事故を起こす可能性があるので、1.3.7 に記述されているような配慮、参考資料の資料 1 に記述されている騒音規制法、振動規制法に対する処置、2.2.1(a)(iii)に記述されている事前の現状調査等が必要である。特に、作業地盤は施工機械が傾斜、転倒しないよう養生する。

また、酸欠、杭孔への転落等についても、防止対策をとる。

(2) 杭の上部には、地震時に水平せん断力や大きな曲げ応力が発生するので、十分注意して施工管理を行う必要がある。特に、セメントミルク工法では杭周固定液の逸液により、杭の周囲が軟弱な泥土となっている場合があるので注意する。

(3) 排土、廃液等は、産業廃菓物として規制を受ける場合があるので、産業廃棄物処理法等に従い適切に処理する。

(d) 杭の品質管理
杭の品質管理は、要求品質に応じて適切に行う必要がある。「国土交通省総合技術開発プロジェクト「建設事業の品質管理体系に関する技術開発」報告害 建築分野編」(平成13年3月 国土交通省建築研究所)に各工法ごとの「要求品質と品質管理方法」が報告されているので、その例(打込み工法、プレボーリング根固め工法アースドリル工法)を表4.1.1~3に示す。これ以外の既製コンクリート杭(プレボーリング拡大根固め工法、中掘り拡大根固め工法)、鋼管杭(打撃工法、中掘り工法、鋼管ソイルセメント杭工法、回転貫入杭工法)及び場所打ちコンクリート杭(リバース工法、オールケーシング工法)については、この報告古を参照されたい。

なお、工法の特徴や施工方法、具体的な管理値等は、本章3節以降の関連する部分を参照されたい。

(e) その他
(1) 地中障害物、埋設物及び文化財や学術上の資料となる出土品がある場合は、関係者と協議し適切に処置する。

(2) 施工中の領斜、変形、ひび割れ、異常沈下、掘削孔壁の崩壊等予想外の異状が生じるなど、「標仕」4.1.3(f)に定める場合は、直ちに関係者と協議し、適切な処置を受注者等に指示する。

表4.1.1 打込み工法の要求品質と品質管理方法
(「建設事業の品質管理体系に関する技術開発」報告書 建築分野編より)

表4.1.2 プレポーリング根固め工法の要求品質と品質管理方法
(「建設事業の品質管理体系に関する技術開発」報告書 建築分野編より)

表4.1.3 アースドリル工法の要求品質と品質管理方法
(「建設事業の品質管理体系に関する技術開発」報告書 建築分野編より)