007) シート防水は機械的固定工法にする
シート防水は躯体床の上に防水シートを張りつける。施工は容易であるが、風圧で剥がれないこと、及びシートの接合(溶着・接着)した部分が長期にわたって水密性を保つことが重要となる。RC床では乾燥が不十分のままシートを張ると、膨れや剥離につながる。50~100m2に1ヶ所SUS製脱気装置を設ける。
1.合成高分子系ルーフィングシート防水はメンテナンスが容易
塩化ビニル系ルーフィングシートなどの高分子系ルーフィングシートを用いたシート防水は、耐候性も良くなり、施工性も良く、メンテナンスも容易であることから、多く採用されるようになった。
このシート防水は、シートの厚さが1.2~2mmと薄く、シートの接合は重ねて溶剤溶着や熱融着するため、
①シートを傷めないこと
②重ね接合部の水密性確保
③風でめくれないこと
が重要である。
2.合成高分子系ルーフィングシート防水は機械的固定工程が確実
シート防水は台風などの強風時に負圧でめくれ上がることがある。シートの接着工法は、下地の状態や施工法により接着強度にばらつきが生じるため、固定金具(ディスク)を用いた機械t的固定工法が確実である。
建築基準法告示による負の風圧力の大きさに対して固定金具の数や配置で対応でき、安全・確実である。機械的固定には固定金具にシートをかぶせた上から熱融着させる工法とシートを固定金具で固定し、その金具部分に補強シートを熱融着するなどの工法がある。
ALC板下地の場合は金具の固定アンカーが効きにくいので、試験施工で確認する。
合成高分子系ルーフィングシートの断熱防水(RC下地)
合成高分子系ルーフィングシートの断熱防水(デッキ下地)
3.臭いが少ない改質アスファルトシート防水
アスファルト防水では釜で焚いたアスファルト特有の臭気ガスが発生するため、街中ではクレームになることが多い。改質アスファルトシート防水は、アスファルトを釜で焚かないので、街中や住宅街でも安心して施工できる利点がある。
改質アスファルトシート防水はシートをバーナーで炙って表面のアスファルトを溶かしながら接着していくトーチ工法とゴムアスファルトの粘着性をもつシートを張る自着工法(冷工法)がある。
重ね幅10㎝程度で1-2層しか張らないので、重ね部のアスファルトが完全に溶けて一体になることが重要である。また、立ち上がり部や入り隅部などもアスファルトを溶かしながら張りつけるので、熟練した技術を必要とする。
4.防水は必ず水張り試験で確認する
水張り試験はルーフドレンまわりや立ち上がりコーナー部などで行うこともあるが、全面水張りとし、24時間確認を行う。