1級建築施工管理技士 RC造工事 鉄筋のかぶり

建築品質 鉄筋コンクリート造


029)鉄筋のかぶり不足は建築基準法違反

鉄筋コンクリート造の鉄筋はコンクリートのアルカリで保護されている。コンクリートは空気中の炭酸ガスなどで次第に中性化されていく。中性化が進行すると微細なクラックなどから雨水が侵入し、鉄筋が錆びはじめ、やがてはコンクリートを押し出し破壊する。鉄筋のかぶり厚さはコンクリート造の寿命を左右する重要なポイントである。

1.鉄筋のかぶり厚さ確保の基準は建築基準法

かぶり厚さとは最も外側にある鉄筋の表面から、コンクリート端部までの最短距離を言い、建築基準法施行令第79条によって定められている。

2.目地底のかぶり厚さを確保する

打継ぎ目地やひび割れ誘発目地の目地底から最小かぶり厚さを確保する。目地部のシールは耐久性がないため、仕上げなしと考える。また、防水のための切欠き部などでも必要かぶり厚さは確保しなければならない。

3.施工誤差を見込んだかぶり厚さを設計かぶりとする

鉄筋のかぶり厚さを確実に確保するためには、施工誤差10mmをあらかじめ見込んだ設計かぶり厚さを確保することが必要である。

4.仕上げありとは中性化に対して有効な仕上げであること

かぶり厚さにおける仕上げありとはコンクリートに石やタイルを張る、モルタルを塗るなどでコンクリートを保護し中性化を防ぐために有効な仕上げがあることをいう。
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)によると、仕上塗材や塗装は仕上げがないのと同じ扱いになる。仕上げなしの場合は、10mm以上の増打ちが必要である。

5.柱及び梁の主筋にD29以上を使用し仕上げなしのケース

主筋のかぶり厚さは鉄筋径の1.5倍以上を確保する。