1級建築施工管理技士 く体工事 寒中コンクリートの初期凍害防止対策

寒中コンクリートの初期凍害防止対策

コンクリートの温度は、
打ち込み後の凍結を避けるためには、
10℃程度を確保する必要があり、
一方、打込み温度を上げると
所要の単位水量の増加や凝結が早くなること。
温度ひび割れが発生する可能性が生じること。
などに注意する必要がある。

【 土木学会示方書 】では
打ち込み時のコンクリート温度は 5~20℃としている。
【 JASS 5 】では
初期凍害を防ぐための養生終了時に必要とされる
コンクリートの強度として、
5.0 N/mm2
とされている。

【 土木学会示方書 】
初期凍害を防ぐための養生終了時に必要な
コンクリート強度の標準は下記
型枠の取り外し直後に構造物が曝される
環境(養生)を基準として、
(1)コンクリート表面が水で飽和される頻度が高い場合
断面の大きさ
(薄い場合)(普通の場合)(厚い場合)
15     12     10 N/mm2
(2)コンクリート表面が水で飽和される頻度が低い場合
断面の大きさ
(薄い場合)(普通の場合)(厚い場合)
5      5      5 N/mm2

※ 初期凍害を防ぐため、所定の強度が得られるまで、
保温や加熱などの養生を行う必要がある。
【 土木学会示方書 】(施工編)では
打込み後の凍結を避けるためには、
打込み温度は 10℃程度確保する必要があり、
【 土木学会示方書 】打込み時の温度 5~20℃
【 JASS 5 】荷卸し時温度 10~20℃

・コンクリートの練上がりの温度
【 土木学会示方書 】では練り混ぜ時および
打込み終了時のコンクリート温度について次式を示し、
時間あたりの温度低下を
コンクリート温度と外気温との差の 15 %としている。
T2 = T1 – 0.15 ( T1 – T0 )× t
T0:周囲の温度
T1:練混ぜた時の温度 [ ℃ ]
T2:打込み終了時の温度 [ ℃ ]
t :練り混ぜてから打込み終了までの時間 [ h ]

< 積算温度方式 >
積算温度 M は一般に
M = Σ(θ + A )・Δ t
M:積算温度 [ ℃・日 または ℃・時 ]
θ:Δt 時間中のコンクリートの温度 [ ℃ ]
A:定数 (一般に 10℃)
Δt :時間(日または時)
(例)
5℃で 28日養生したコンクリートの圧縮強度と
10℃で14日養生したコンクリートの圧縮強度は同じ?
M = ( 5 + 10 ) × 28 = 420 ℃・日
M = ( 10 + 10 ) × 14 = 280 ℃・日
積算温度が異なるので、圧縮強度の発現も異なる

1級建築施工管理技士 く体工事 セメントの性状

セメントの性状

ASFS
これを覚えておくだけでいい
A → S → F → S
C3A C3S C4AF C2S

これは水和熱の発熱量の順
C3A > C3S > C4AF > C2S
であり、強度発現の順
C3A > C3S > C4AF > C2S
1日 28日 ー 長期
ちなみに収縮性の順でもある。

水硬性のカルシウムシリケートを主成分とするクリンカーに適量のせっこうを加えて微粉砕した粉末、及びこれに無機質粉末を混合したもので、
・JIS R 5210 ポルトランドセメント
・JIS R 5211 高炉セメント
・JIS R 5212 シリカセメント
・JIS R 5213 フライアッシュセメント
・JIS R 5214 エコセメント
等の規定がある。

セメントクリンカーの組成化合物の特性
C3S(3CaO•SiO2)
けい酸三カルシウムは、水和熱は中程度で28日以内の早期強度の発現性に寄与する。
C2S(2CaO•SiO2)
けい酸二カルシウムは、水和熱は小さく、28日以降の長期強度の発現性に寄与する。
C3A(3CaO•Al2O3)
アルミン酸三カルシウムは、水和熱は大きく、1日以内の早期強度の発現性に寄与する。
C4AF(4CaO•Al2O3•Fe2O3)
鉄アルミン酸四カルシウムは、水和熱は小さく、強度にはほとんど寄与しない。

超早強ポルトランドセメント
早期に強度を発現(早強ポルトランドセメントの強度を1日で発現)するために早強ポルトランドセメントよりもけい酸三カルシウム(C3S)の含有量を多くし、粉末度を細かくしている。
JIS R 5210-2009(ポルトランドセメント)では、材齢1日、3日、7日および28日の圧縮強さの下限値を規定している。
けい酸二カルシウム(C2S)の上限値は規定していない。

中庸熱ポルトランドセメント
普通ポルトランドセメントに比べて水和熱を下げるためにC3Sおよびアルミン酸三カルシウム(C3A)の含有量を多くしている。JIS R 5210では C3Sを50%以下、C3A を8%以下と上限値を規定している。

フライアッシュセメント
ポルトランドをJIS A 6201-2008 に適合するフライアッシュで置換したもの。フライアッシュはポゾラン反応性を有し、良質なものは球形であるため単位水量を減じ、長期的に強度を発現する動きがある。乾燥収縮は小さく、水和熱も小さいので、マスコンクリートに使用されるが、JIS R 5213-2009(フライアッシュセメント)では、水和熱の上限値は規定されていない。
水和熱の上限値を規定しているのは、中庸熱ポルトランドセメントと低熱ポルトランドセメントのみである。

1級建築施工管理技士 く体工事 コンクリートの品質管理(強度)

第5章 コンクリート工事 品質管理


コンクリートの品質管理

コンクリートの品質管理でもっとも重要なのは、
指定された材齢で所定の強度が発現していることである。

その規定基準は
JIS A 5308(レディミクストコンクリート)
の強度の判定基準からきている。
JIS A 5308によると、強度は
①1回の試験結果が
購入者の指定した呼び強度の強度値の 85%以上、かつ

②3回の試験結果の平均値が
購入者の指定した呼び強度の強度値以上
である場合に合格と規定されている。

1回の試験結果は、
任意の1運搬車から採取した資料で作った3個の供試体の試験値の平均値で表す。

JIS A 5308によると上記のように規定されているが、実際問題で必要な強度は、調合管理強度以上であることを確認する必要がある。

試験練りやプラントの実績などにより、必ずしも 調合管理強度 = 呼び強度(発注強度)としていないケースがあるからである。呼び強度を1ランク下げて発注するケースでは、調合管理強度をおおよそは満足しそうであるが、2ランク下げて発注する場合などは、調合管理強度の値を切ってしまう。特に夏場の暑い時期であると、微妙なケースがあるので注意したい。

調合管理強度 = Fc(設計基準強度)+ mSn

☆JIS A 5308 のその他、注意するべきポイント

・空気量は、生産者との協議の上、
荷卸し地点での空気量が指定された場合であっても、
その許容差は±1.5%以内

・コンクリートの塩化物含有量は、
工場から荷卸し地点までの運搬時間によって変化すしないので、
当事者間の協議によって、工場出荷時に検査してもよい。

・スランプ 21㎝の時の許容差は、±1.5㎝ であるが、
呼び強度が27N以上で、高性能AE減水剤を使用する場合は、
±2.0㎝ とすることができる。
など。

1級建築施工管理技士 く体工事 コンクリート用化学混和剤

第5章 コンクリート工事 材料


コンクリート用化学混和剤

コンクリート用化学混和剤は、JIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)に規定されている。

【AE剤】
界面活性作用により微細な気泡(エントレインドエア)を連行させる混和剤で、規定されている項目を以下に示す。
・減水率
・凝結時間の差分
・圧縮強度比
・長さ変化比
・凍結融解に対する抵抗性

【AE減水剤】
セメントの分散作用と空気連行作用の双方を有する混和剤で、規定されている項目を以下に示す。
・減水率
・ブリーディング量の比
・凝結時間の差分
・圧縮強度比
・長さ変化比
・凍結融解に対する抵抗性

【高性能AE減水剤】
高い減水性能と優れたスランプ保持性能を有する混和剤で、規定されている項目はAE減水剤の項目に加え、スランプおよび空気量の経時変化量の規定がある。

・単位水量の低減を目的とした普通コンクリート、流動性の保持を目的とした高流動・高強度コンクリートには不可欠な混和剤。
・コンクリートの凝結時間を遅延させる効果もあるので、暑中コンクリートにも適している。

【高性能減水剤】
高い減水性能を有し、空気連行性や凝結遅延性はないので、使用量が増加しても空気量の増大や凝結が遅延することはなく、高強度コンクリートの製造に最適である。

【発泡剤】
特殊処理したアルミニウム粉末であり、その発泡作用でコンクリートを膨張させる。
その他、
コンクリート用化学混和剤協会のJIS A 6204規格参照

1級建築施工管理技士 く体工事 コンクリートは【打つ】もの

第5章 コンクリート工事 コラム

先日、
コンクリート造の建物の出来形検査を行いました。

出来形検査というのは、
コンクリートの打設が終了し、
その階を支える型枠及び支保工がとれてから
仕上工事に入るまえに
コンクリートの仕上状態を見るものです。
きちんと施工されていたら、
それほど、大変な検査ではなく、

・躯体精度が規定値以内か?
・耐震スリットがある場合は
それらが所定の位置におさまっているか?
・目地の位置及び深さは正しいか?
・コンクリートの仕上がり状況で
ジャンカやひび割れはなどはないか?
ある場合は所定の補修を行っている
かなどです。

耐震スリットがズレたりしていると、
その補修はやっかいですが、
通常はまずありません。

その出来形検査で気になったのは、
それほどひどいものはないというものの
豆板(ジャンカ)です。
コンクリートの品質というのは、
そのコンクリート自体は
ずいぶんと向上してはいますが、
打込みから養生まで
気を抜かずに慎重に行なわないと
なかなか仕上がりのいいコンクリートにはなりません。

生コンを打込むときには、
棒で突く、バイブレーターで振動を与える、
木づちでたたくなどを行いますが、
このような作業を行うことで、
型枠のすみずみにまでコンクリートが行きわたり、
ジャンカやコールドジョイントの発生を抑え、
余分な空気が追い出された、
密度、強度の高いコンクリートができます。

木づちでたたいたりバイブレーターで振動を加えると、
生コンは型枠の隅々にまで行きわたりやすく、
砂利だけ分離するといったことがなくなります。
ただし振動させ過ぎると、重い砂利が下に落ち、
水が上に上がるブリーディング
という現象を起こしてしまいます。

ブリード( bleed )とは血を流すが原義で、
生コンの上に水が染み出る現象を指します。
壁を木づちでたたいている間、
床上では、生コンを荒直しした後に、
タンピングという突き固め、締固めの作業をします。
生コン内の不要な空気を追い出して、
密度を高めているわけです。
タンプ( tamp )とは突き固める、締め固める
という意味です。

なぜコンクリートを「 打つ 」というかというと、
このタンピングの作業があるからです。
現在のコンクリート打ちは流し込みに近く、
タンピング作業をしっかりとやらない現場が多いようです。

*一般には水セメント比は、
上限 50〜60%となっている。
これはコンクリートプラントを利用し、
運搬することを想定しいるためで、
その場で作製して、その場で打つ場合は
もっと水セメント比上限を下げても
打設は可能で、
その時の強度は、極めて高くできる。

スランプ値を高めて柔らかくしているといえども、
ダンピング作業は必要です。

単位水量をぐっと落とすことにより、
より高い強度を発現させれる事ができますが、
粘性が高めされ、施工しやすくなったコンクリートは
流し込むものと間違った見解を持つ人もいるので
注意が必要です。

玄関土間のことを三和土(たたき)というのも
同じ理由からです。
★流し込みではなく、打ってこその、密実なコンクリートです。
仕上がりが骨粗鬆症ぎみにならないためにも

1級建築施工管理技士 く体工事 コンクリート検定の案内

コンクリート工学会から
コン検の案内が来ましたので連絡します。

コンクリート製品検定2017レクチャービデオ (生活に役立つコンクリート製品)
検定の目的は以下のようです。

・コンクリート製品がどのように社会に役立っているかを,広く一般の方に知ってもらう。(広報活動の一環)

・建設系学科の学生・生徒にコンクリート製品の役割を知っていただき,コンクリート製品メーカーを就職活動の選択肢の一つにしてもらう。

・コンクリート製品の原材料や製造諸資材のメーカーの方に,コンクリート製品がどのように使われているかを理解いただき,原材料や諸資材の改良,開発に活かしてもらう。

・コンクリート製品メーカーの事務系社員や製造系社員の方に,コンクリート製品がどのように社会に役立っているかを知ってもらい,仕事への誇りと愛着を深めてもらう。

以上、ご興味があれば、ご参加いただければと思います。

コンクリート検定のご案内

1級建築施工管理技士 く体工事 鉄骨工事 / 製品検査

第7章 鉄骨工事 鉄骨の製品検査

鉄骨の製品検査

鉄骨造の製品検査には中間検査と受入検査というのがある。

中間検査というのは製作の途中で行うもので、全数作ってしまってからの検査で不良が発生した場合に被害が大きくなるようなケースで行うもので、比較的規模の大きいものの場合に行う。

受け入れ検査というのは
すべての鉄骨部材ができあがった(原則出来高 100%)時、現場へ受け入れる前に行う検査である。

製品検査で行う内容は
大きく分けて書類検査と現物の検査がある。
鉄骨製造工場へついて、まず行うのが書類検査である。

1)書類検査
・承認済みの鉄骨製作図の確認
・鋼材のミルシートの確認
・鉄骨部材の流通経路の確認
・溶接部分の試験結果の確認
・その他、防錆塗装の膜厚検査記録

2)対物検査
実際の物の寸法などの検査を行う。
一般には、対物検査2と呼ばれる検査である。

「対物検査2」とは、鉄骨業者の自主検査済みの材料から
柱・梁を5本づつ抽出する。(設計者による)

その製品と承認図との製品誤差が規定の範囲内にあるのを確認します。

つぎに、同じ製品を今度は作業所側の人が検測を行い、その製品誤差と、鉄骨業者の製品誤差とを比較する。

その誤差が規定値の範囲にあることで判断する。(「t 検定、F検定」)

この「t 検定、F検定」というのは、抽出した5本の検査の誤差のばらつき度合いを確認することにより、検査対象部材の全数が適合範囲内にあると判断できる統計的手法である。

その他、対物検査では、
加工状況や、溶接の状況なども、目視、検測して確認する。

材料の材質検査として、サムスチール、溶接部の内部の状態の確認として超音波探傷検査(UT検査)、膜厚の検査などにより製品の適合性を確認する。
以上で問題がなければ、作業所が出荷を許可します。その検査は、監理者の立会いの元で行う。

以上が、鉄骨の製品検査の流れになる。

検査内容については、それぞれ細かく設計図書(構造図)(契約図)に記載されている場合があるので、その内容に従って行う。
(参考)下記書籍

1級建築施工管理技士 く体工事 高力ボルト接合に関する用語

鉄骨工事の用語
そのうち高力ボルトに関する基本的な用語をまとめました。
覚書にどうぞ
スプライスプレート:
 添え板。継手を構成するために母材に添える板。
フィラープレート:
 厚さの異なる板を高力ボルトで摩擦接合する場合、
 その差が 1mm 以内になるように充填する板。
JIS形高力六角ボルト:
 頭が六花形の高力ボルト。
 ボルトの頭にF10T と刻印されている。
 Friction Joint(摩擦接合)
 10 tf/㎝2 = 100 N/mm2
 Tensile Strength(引張強度)
トルシア形高力ボルト
 トルシア形は、頭が丸く先端はピンテール
 と呼ばれる締付け反力を受けて破断する部分で構成されている。
 ボルトの頭に S10T と刻印されている。
溶融亜鉛めっき高力ボルト:
 溶融めっき処理された高力ボルト。
 ボルトの頭にF8T と刻印されている。
摩擦面処理
 摩擦面の黒皮・浮きさび・塵埃・油・塗装・溶接スパッタなどを取り除き、
 すべり係数 0.45以上を確保する処理を行うこと。
 すべり係数を確保する方法として、
 自然発錆による赤さび、
 ショットブラストまたは
 グリッドブラストがある。
 ショットブラスト、グリットブラストの場合は
 50 μmRz以上の表面粗さを確保できれば赤さびとしなくてもよい。
 範囲はスプライスプレート全面に行う。(JASS6)
 溶融亜鉛めっきの場合
 摩擦面はめっき後軽くブラスト処理を行って、表面粗さを 50μmRz以上とする。
 摩擦面にブラスト以外の処理を行う場合は、監理者に確認する必要がある。
 その場合はすべり耐力試験を実施する。その工場の実績により確認する場合もある。
 ブラスト以外の処理の例)りん酸処理など
参考文献
建築高力ボルト接合管理美術者講習テキストより(建築鉄骨品質管理機構)




1級建築施工管理技士 く体工事 鉄骨工事 品質管理

第7章 鉄骨工事 品質管理


鉄骨の製品検査

鉄骨造の製品検査には
中間検査と受入検査があります。
中間検査というのは製作の途中で行うもので、全数作ってしまってからの検査で不良が発生した場合に被害が大きくなってしまわないように途中で行うもので、比較的規模の大きいものの場合に行います。

受け入れ検査というのは、すべての鉄骨部材ができあがった(原則出来高 100%)時、現場へ受け入れる前に行う検査です。
製品検査で行う内容は、大きく分けて書類検査と現物の検査があります。
鉄骨製造工場にて、まず行うのが書類検査です。

1)書類検査
・承認済みの鉄骨製作図の確認
・鋼材のミルシートの確認
・その流通経路
・溶接部分の試験結果
・その他、防錆塗装の膜厚検査記録

2)対物検査
実際の物の寸法などの検査を行います。
一般には、対物検査2と呼ばれる検査です。
「対物検査2」とは鉄骨業者の自主検査済みの材料から柱・梁を5本づつ抽出し、その製品と承認図との製品誤差が規定の範囲内にあるのを確認します。
つぎに、同じ製品を、今度は作業所の者が検測を行い、その製品誤差と、鉄骨業者の製品誤差とを比較します。

その誤差が規定値の範囲にあることで判断します。「t 検定、F検定」といいます。
その他、対物検査では、加工状況や、溶接の状況なども、目視、検測して確認します。
代表的な材料のUT検査やサムスチール、膜厚の検査をする場合もあります。
それで問題がなければ、施工者が出荷を許可し、現場に受け入れることになります。

通常、その検査には、工事監理者が立会います。
以上が、鉄骨の製品検査の流れになります。
精度確認の確認方法、基準は下記による。

鉄骨精度測定指針