91)電気室を水から守る
電気室は建物の中で最も重要な室である。万が一漏水などで電気室がダウンすると、建物のほとんどの機能が停止する。電気シャフト(EPS)も含めて、万全な漏水対策が必要である。このように、建物にとって重要な室を重要機能室と呼ぶ。重要機能室は建物の用途によっても異なり、サーバー室や金庫室、重要書類の保管室なども重要機能室となる。あらかじめ建築主と確認しておくことが必要である。重要機能室を水から守るための対策が必要である。
電気室の漏水対策
1.水配管を通さないこと
電気室内の空調(冷房)する場合、空調機を別室に置くか、そうでなければ、ドレン配管などから水が漏れた時にも大事に至らないような対策が必要である。医療施設や研究施設の重要機能室は機能上、天井裏や室内に給排水の配管が必要となる。その時には、漏水センサーを設置するなど、漏水事故があった場合でも早期に発見して被害を最小限に抑える対策が必要となる。
2.上階からの漏水対策
電気室の上階で水を使用する部屋がある場合、①床を防水するか、②電気室内に水受け天井や防水パンを設置する。上階が事務室でも、エアコンのドレン配管だけでなく、加湿型では給水管もあるので、同様の対策が必要である。①や②の対策が取れないときは③屋外型キューピクルとし、配管は底部から引き出す納まりとする。
3.隣室からの漏水対策
電気室の隣室に水を使用する部屋がある場合、隣室の間仕切り足元の切付け部を塗膜防水するなど、電気室への水の浸入防止を図る。電気室の入口は100mmほど立ち上げておく。重要機能室となるサーバー室も同様である。
4.電気シャフト(EPS)への漏水対策
EPSとパイプシャフト(PS)をまとめて設ける場合は、PSとEPSは壁で区画し、PS側の漏水がEPSに流入しないようにEPSの床を上げるか、周囲に立上りを設ける。EPSを独立して設ける場合も同様に床を上げる。
5.人目につきにくいPSは漏水センサーで監視
人目につきにくいPSは床や給水配管等に漏水センサーを設置して機械監視をするとよい。サーバー室の床下も同様である。