89)近隣の環境に配慮する
近隣との騒音・振動のトラブルには、計画建物が隣接建物の給排気口、冷却塔、受水層や受変電設備(キューピクル)等から影響を受ける場合と、計画建物が騒音・振動の発生源となって近隣へ影響を与える場合とがある。給気口と排気口の位置が隣接する場合は、空調設備の性能発揮にも大きく影響を与えるので、建物を計画する段階で現地確認を十分に行って計画する。また、施工する前に図面と現地を照らし合わせて問題が起きそうであれば、工事監理者は設計者や建築主と協議する必要がある。
1.騒音・振動の発生源
①排気口ガラリの風切音による騒音・振動
②空調屋外機や冷却塔による騒音・振動
③受水槽の水補給時の落水の音
④受変電用屋外キュービクルの騒音・振動
以上は、騒音・振動の発生源として、深夜には住人や近隣に対して与える影響が大きい。
2.外部騒音規制規準
外部騒音規制規準は自治体ごとに騒音振動規制条例で規準値が定められている。計画建物からの騒音振動は敷地境界線上で厳しく規制されているので、空調室外機など騒音や振動を発する機器の仕様については、設備機器発注の前に機器仕様書等の確認をするとともに、建物の完成引渡し時点で、現地の騒音の測定をして許容値内であることを確認する必要がある。騒音規制規準は自治体ごとに規制しているが、ほぼ同じであるので、例として大阪府の場合で解説をする。
住民の生活環境を保全する必要があると認める地域(指定地域)内に特定工場を設置している者は、当該特定工場等の敷地境界線において定められた規制規準を守らなけらばならない。
特定工場とは工場または事業場に設置される施設のうち、著しい騒音を発生させる施設を言い、詳細は昭和43年11月27日政令第324号で指定されている。
ここで注意しなければならないのは、定格出力が7.5kW以上の圧縮機及び送風機についてである。これは空調用室外機等が該当し、特定工場等の工場または事業場に集合住宅や戸建て住宅も該当することである。都市計画区域のほぼ全域において規制を受ける。