1級建築施工管理技士 外壁工事 その他 外壁の汚れを少なくする方法

建築品質 外壁その他の工事


073)外壁の汚れを少なくする方法

外装の汚れは、立地条件、建物形状や壁面形態、外装材やシール材の選定等の要因が複合されて発生する。外壁は汚れても清掃やメンテナンスを頻繁に行うことは困難で、設計段階で建物形状や外装材の選定に配慮すれば、汚れにくく、いつまでも美しい建物を実現することが可能である。

1.立地条件に起因する汚れ

交通量の多い道路沿いや工業地域では亜硫酸ガス等の腐食性ガスが金属材料を腐食させ、排気ガスの親油性物質は外装材表面に固着する。亜鉛めっきは素地のまま使用せずに亜硫酸ガスに対する防食塗装などの対策が必要である。
沿岸地域では塩害対策として、外装に金属を使用する場合は、ステンレス、アルミニウム等の錆びにくい材料の選定や、溶融亜鉛めっき、塗装、ライニング等で表面を防錆被覆する。コンクリートの場合は、ひび割れに追従できる壁面塗膜防水等で被覆する。

2.外装の汚れやすい部位

①パラペットは天端の塵埃が雨で外壁を汚さないように、天端の勾配を屋上の内側に向けて1/10以上にするか、先端に水返しの立上がり金物などを設ける。

②塀もパラペットと同様に汚れやすい。塀の内側も外側も汚したくないので、天端をV溝にして排水機構を備える。

③開口部の面台部分からの汚れは、水切りをできるだけ大きく出すこと。面台のジョイント部のシールのへこみが水みちとなるので、シールの上にカバーを付ける。両端部は立上がりを設け、壁に伝わないようにする。

④斜め壁は汚れがひどくなるので、親水性塗料や光触媒塗料などの採用を検討する。屋根扱いにする方が望ましい。その場合、勾配屋根と同様に斜め壁の下部壁面を汚さないように、庇のような水切りまたは樋を設けたい。

⑤逆勾配の斜め壁は上部の外壁の雨水が伝って汚れる。また、雨に洗われにくく汚れやすい。上部に水切りを設け、壁面の清掃方法も検討する。

⑥外壁の縦目地を途中で止めるとをの下部が汚れる。縦目地下端に、流れ落ちる雨水を下部へ伝わないように水切りを設けるか、目地を下まで通す。

⑦建物のコーナー部は一般部に比べ、風の気流が乱れ塵埃が付着しやすくなる。鋭角なコーナー部をもつ建物は、汚れにくい外装材を検討する。

⑧調理室に設けられたガラリやフードの直下の壁面は、油の粒子が付着して著しく汚れる。油系の汚れの付きにくい親水撥油性の仕上げとする。ベントキャップ(換気口)の下部も同様である。水切りがしっかりついたものを選択する。

⑨シール材の選定を誤ると外装材を汚し、外装材の劣化を誘発する。塗装などの外装材とシール材には相性があるので注意する。

>(012) 防水工事・目地シール 参照

⑩熱線反射ガラスの反射膜面は室内側とする。反射膜面を屋外側で使用するとタイル目地から溶出したシリカがガラス面に固着して通常のガラス清掃では除去できない汚れとなる。


外装材が汚れやすい部位