044) タイルの選び方
タイルは焼きものであり、土や釉薬、温度で多彩に変化する。最近は材料の均質化と乾式製法、トンネル窯による温度管理で均質なタイルが多く製作されている。タイルの利点は、高温で焼くことによる丈夫さだけでなく、焼成による窯変(色相の変化)など均質でない焼き物としての深みや美しさにある。タイルの品質はJIS A5209による。
1.タイルの大きさの決定
建築外観の意匠からタイルの柄やテクスチャー、大きさが決められる。タイルのサイズが決まると張り方(施工法)と必要な仕上げ厚が決まる。施工法については次項で説明する。
2.外部のタイルは吸水率に注意する
外部に張るタイルは、JIS A 5209の吸水率による区分のⅠ類(3%以下)またはⅡ類(10%以下)が採用できるが、3%以下が望ましい。Ⅰ類は旧規格によると、磁器質に、Ⅱ類はせっ器質にほぼ相当する。高温で焼くほどに硬く上部なタイルとなり、吸水率も低くなる。吸水率が高いと汚れやすく、カビが発生しやすい。寒冷地など凍害のおそれのある場合は、耐凍害性を必ず確認する。
3.タイルは裏足が重要
モルタルとタイルの付着を良くするためタイルには裏足が必要である。裏足はあり形状で、タイルの大きさが15〜60㎝2未満では高さ0.7mm以上必要である。乾式製法ではあり形状があまいので注意する。
4.見本焼きと見本張りは目地が重要
デザインの方針が決まると、試し焼き(見本焼き)をしてタイルを絞り込む。見本焼きのタイルに目地モルタルを詰めて、約900×900mmの見本張りを数枚作成し、建築地の朝昼晩の外光の中で確認する。目地の幅や目地の深さ、目地モルタルの色でタイルの色合いや全体の印象が変わるので、慎重に決めなければならない。PCa先付けコンクリートの目地色と、現場張りの目地モルタル色が合わないこともあるので注意する。