4章 地業工事 7節 「標仕」以外の工法

第4章 地業工事 


7節 「標仕」以外の工法

4.7.1 本設地盤アンカー(永久アンカー)

(a) 本設地盤アンカーの種類
本設地盤アンカーとは本設の構造物の一部として用い、所要の性能を全供用期間中有する地盤アンカーで、鉛直方向の引抜きに抵抗する本設鉛直地盤アンカーと、斜め方向の引抜きに抵抗する本設斜め地盤アンカーがある。本設地盤アンカーには、全供用期間にわたって、本設構造物に発生する応カ・変形及び変位の軽減や防止ができる性能が要求され,このため、引張材を腐食から守る二重防錆処理が行われる。一般に、個々の防錆方法を検討するのではなく、全体のシステムとして防錆処理が考慮された地盤アンカー工法を採用する場合が多い。このような本設地盤アンカー 工法の一例を、図4.7.1に示す。

なお、その他の工法例等については、(-社)日本建築学会「建築地盤アンカー設計施工指針・同解説」等を参照されたい。


図4.7.1 本設地盤アンカー工法の例(建槃地盤アンカー設計施工指針・同解説より)

(b) 品質管理
(1) アンカーの品質管理は、①使用材料、②施工管理、③試験(基本試験確認試験)が重要である。その際の要求品質と品質管理方法についての例を表4.7.1に示す。

表4.7.1 本設地盤アンカーの要求品質と品質管理方法

(2) 地盤アンカーには、大きな地盤のせん断抵抗や支圧抵抗が期待される。一方、地盤には、強度のばらつきや地層の起伏があり、また、地盤アンカーの耐力は、施工状態に左右される。このため、地盤アンカーの信頼性を試験によって確認する必要がある。地盤アンカーの信頼性を確認する試験には、基本試験と確認試験の2種類がある。基本試験は、設計に必要なデータを得るためのものであり、設計に先立ち実施することが基本で、施工性、引抜き抵抗力、変形、長期特性等を把握するためのものである。確認試験は、地盤アンカーが設計で要求された性能を有しているか確認する試験で、全数に対して実施する。

4.7.2 地盤改良

(a) 地盤改良の種類
(1) 地盤改良工法の種類は多種多様であるが、建築物の本設地盤の構築を目的として実績が豊富なものは、深層混合処理工法等のセメント系固化材を用いた固化工法とサンドコンパクション工法による締固め工法である。

(2) 改良効果は、改良前の地盤条件や施工等に密接にかかわっているので、事前の地盤調査により成層状況や土質を詳細に把握して効果を確認することが必要不可欠である。

(3) 地盤改良に使用する材料は、改良効果の持続性や地盤環境の観点から支障ないものを選択しなければならない。

(b) 深層混合処理工法
(1) 深層混合処理工法は、改良原理が現地土と固化材のかくはん混合であるため、改良体の品質は地層構成土質やかくはん条件に大きく影響される。

(2) 品質管理では、①配合条件、②施工管理、③効果確認が重要であり、改良目的や改良範囲.地盤条件に応じて適切な管理方法や管理値を設定しなければならない。

(3) 具体的な設計指針や品質管理指針は、(-財)日本建築センター「改訂版建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針」及び(-社)日本建築学会「建築基礎のための地盤改良設計指針案」を参照されたい。また、要求品質と管理方法については「国土交通省総合技術開発プロジェクト「建設事業の品質管理体系に関する技術開発」報告書 建築分野編」(平成13年3月 国土交通省建築研究所)、(-財)日本建築センター「改訂版建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針」及び(-社)日本建築学会「建築基礎のための地盤改良設計指針案」を参照されたい。深層混合処理工法の要求品質と品質管理方法の例を表4.7.2に示す。

表4.7.2 深層混合処理工法の要求品骰と品質管理方法

(4) セメント及びセメント系固化材を地盤改良に使用する場合には、条件によっては六価クロムが土壌環境基準を超える濃度で溶出するおそれがあるため、国土交通省では、六価クロム溶出試験を実施して六値クロムの溶出量が土壊環境基準以下であることを確認するよう、設計図書で指定することとしている。

(c) 締固め工法
(1) 締固め工法は、地盤の支持性能の向上を目的として、砂砕石等を地盤中に鉛直に打設して杭状の改良体を築造するものである。

(2) 品質管理では、①使用材料、②施工管理、③効果確認が重要であり、改良目的や改良範囲、地盤条件に応じて適切な管理方法や管理値を設定しなければならない。

(3) 締固め工法の要求品質と品質管理方法については、「国土交通省総合技術開発プロジェクト「建設事業の品質管理体系に関する技術開発」報告書 建築分野編」(平成13年3月 国土交通省建築研究所)及び(-社)日本建築学会「建築基礎のための地盤改良設計指針案」を参照されたい。締固め工法の要求品質と品質管理方法の例を表4.7.3に示す。

表4.7.3 締固め工法の要求品買と品質管理方法

参考文献