1級建築施工管理技士 建具工事 ステンレス製建具は雨が入りやすい

建築品質 外部建具


060)ステンレス製建具は雨が入りやすい

ステンレス製建具は錆びにくく、丈夫で高級感がある。しかし、ステンレス製建具はステンレス(SUS)鋼板を曲げ加工して組み立てるため、アルミ建具ほど精密な加工ができず、止水性の確保が難しい。建具枠組立部のメタルタッチの部分、押縁のビス止めのビス穴部などが漏水の原因になっている。

1.ステンレス材も錆びる

ステンレス鋼板はJIS G 4305により、原則SUS304とする。SUS304は通常は錆びないが、使用する環境や仕上げによって、鉄粉などが付着して「もらい錆」を発生することがある。大気汚染がある地域や海浜地域では、さらに錆びにくいSUS316とする。ステンレスはスチールに比べ線膨張率が大きく熱伸縮が大きいので、長い部材のジョイント部は熱伸縮に対応できるように、目地を設けるなどが必要である。

2.ステンレス製建具の止水性確保

外部のステンレス建具枠は板材を曲げ加工し、組立部は溶接を原則とする。縦枠と上枠は同面の留め溶接し、HL(ヘアライン)仕上げなどとする。縦枠と下枠(くつずり)は下枠通しで水密溶接にする。大型のステンレス製建具や連窓など現場組立(ノックダウン)する場合は、ジョイントをビスやブルと接合し、シールジョイントで止水する。


ステンレス製建具の加工

ガラスの押さえ(押縁)は外部側とする。押縁を内部側にすると、雨水や結露水が浸入する。あらかじめ枠にビス受けを設けて、ビスが枠を貫通しないようにする。

押縁断面

また、ガラス溝に入った水は押縁の下部や両端部から排水されるようにする。ガラス溝底も外部側へ勾配を設ける。

ガラスの押縁

3.ステンレス鋼板の曲げ加工

ステンレス鋼板の曲げ加工には普通曲げと角出し曲げがある。普通曲げは一般のスチール建具と同じで角度が曲面となる。角出し曲げは鋼板をあらかじめV溝に加工してから曲げるので角がシャープになる。切込み後の板厚(残り厚)が0.75mm以下の時は裏板を入れる。裏板は同厚のSUS鋼板または亜鉛めっき鋼板(板厚1.6mm以上)に錆止め塗装2回塗りとする。残り厚が設計図に指定されていない場合は確認する。