1級建築施工管理技士 屋根・防水工事 屋上断熱防水

建築品質 屋根・防水


009) 屋上断熱防水は油断大敵

屋上スラブは昼間の日射熱によって躯体が蓄熱し、直下階は熱負荷が大きくなる。躯体は熱膨張し、最上階妻壁にクラックを発生させる。アスファルト防水自体も熱による膨張収縮で劣化する。屋上断熱防水はそうしたマイナスを小さくする。すなわし最上階を快適な空間にし、防水の耐久性を高め、躯体に対する熱影響を小さくする効果がある。

1.屋上断熱防水には断熱欠損部が発生する

屋上には断熱できない部分が発生する。機械基礎、ハト小屋、ルーフドレンまわり、目隠し壁の支柱基礎などの部分などである。その断熱が欠損したままだと、スラブ下(天井裏)で結露する恐れがあるため、断熱欠損部のスラブ下には断熱を設けなければならない。
屋上に機械基礎が多い場合は、外断熱にこだわらず、内断熱の方が効率よく、効果的な場合もある。

屋上断熱防水の断熱欠損部の処置

2.ヒートブリッジ(熱橋)部は内部断熱を重ねる

ヒートブリッジとは外部の熱を内部に橋渡しする(伝える)部分で、熱橋という。外壁断熱と屋上断熱との取合い部や、屋上断熱が欠損した部分などが熱橋となる。熱橋部分は内断熱を屋上断熱に600mm程度※重なる位置まで断熱する。

※省エネルギー申請図書、住宅性能評価図書に記載した熱橋範囲の長さは確保する。
(熱橋用断熱材、部位、建築地域によって異なる。)

3.断熱防水でも鉄骨床梁が結露する

鉄骨造の屋上に鉄骨支柱を立てるとき、鉄骨支柱は鉄骨床梁から立つ。この場合支柱と床梁は外気温と同じように冷え込み、支柱位置で梁が結露する。支柱位置から両側約1mの範囲は断熱を考慮する必要がある。梁の耐火被覆が吹き付けであれば断熱性もあるが、巻き付け耐火被覆の場合は内部結露する可能性がある。

屋上鉄骨の断熱