1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 環境管理 【傾向分析】②(記述例)

「建設副産物対策」の記述例を下記に示すので、
参考にして自分なりの解答をまとめて準備しておく。
①「発生抑制」
②「再使用」
③「再生利用」
④「熱回収」
⑤「適正処分」
それぞれについて、
「資材名等」「実施した内容」「結果とあなたの評価」
をまとめる。

①「発生抑制
[ 資材名等 ]◆型枠廃材

[ 実施した内容 ]
スラブの型枠として、合板型枠工法に代えてデッキプレート型枠工法を採用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
型枠廃材の発生を抑制できたとともに、解体作業もなく、工期短縮にも有効であった。

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[ 資材名等 ]◆木くず

[ 実施した内容 ]
・現場製作の建具枠及び額縁を、工場生産品に変更した。
・木造和室の造作材について、
現場加工材からプレカット材に変更した。

[ 結果とあなたの評価 ]
現場からの木くず等の発生を抑制できたとともに、工期が1フロアあたり、5日間短縮できた。

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[ 資材名等 ]◆石こうボード端材

[ 実施した内容 ]
壁の石こうボードを使用場所の天井高さ 2,350mmに合わせて、プレカットして現場に搬入した。

[ 結果とあなたの評価 ]
石こうボード端材の発生が抑制できたととに、現場作業の軽減により工期短縮にも有効であった。

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[ 資材名等 ]◆軽量鉄骨及び石こうボードの端材

[ 実施した内容 ]
在来工法の天井を、システム天井に変更した。

[ 結果とあなたの評価 ]
軽量鉄骨や石こうボードの端材の発生がなくせ、現場加工の軽減により工期短縮にも有効であった。

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②「再使用
[ 資材名等 ]◆建設発生土

[ 実施した内容 ]
根切り工事で発生した良質な建設発生土については、社内で情報を共有し、他現場において埋戻し土として再使用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
建設副産物を有効に再使用できたとともに、処分費用を大幅に縮減することができた。

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[ 資材名等 ]◆タイルカーペット

[ 実施した内容 ]
解体・撤去時に発生したタイルカーペットを新設の石張り床の養生材として再使用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
ごみとなるものを有効に再使用できたとともに、仕上げ材の傷を防ぐことができた。また、養生材のコスト削減にも有効であった。

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③「再生利用
[ 資材名等 ]◆コンクリートがら

[ 実施した内容 ]
・根切り時に出てきた既存基礎のコンクリートがらを、現場にてクラッシャー処理を行い仮設道路の路盤材として再利用した。

・場所打ちコンクリート杭の杭頭処理で発生したコンクリートがらを、現場にてクラッシャー処理を行い仮設道路の路盤材として再利用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
産業廃棄物となるコンクリートのがらを再利用できたとともに、仮設道路の材料費も縮減できた。

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[ 資材名等 ]◆石こうボード

[ 実施した内容 ]
専用のコンテナを設置することにより分別回収を行い、再生工場に引取りを依頼した。

[ 結果とあなたの評価 ]
再生工場にて再生することができたとともに、整然とした作業環境が構築され、作業能率も向上した。

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[ 資材名等 ]◆木材

[ 実施した内容 ]
・造作材のかんなくず・おがくず類は、リサイクル工場に引き取らせ、パーティクルボードの原料とした。

・解体工事で松杭が大量に発生したので、チップ化工場に引取りを依頼し、再生利用させた。

[ 結果とあなたの評価 ]
産業廃棄物の再生利用ができたとともに、処分にかかる費用も縮減できた。

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[ 資材名等 ]◆アスファルトコンクリートがら

[ 実施した内容 ]
駐車場の解体時に発生したアスファルト・コンクリートがらを、アスファルトプラントに持ち込み、再生アスファルトとして再生利用させた。

[ 結果とあなたの評価 ]
産業廃棄物を新設駐車場の舗装に再生利用でき、工事費を大幅に縮減することができた。

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[ 資材名等 ]◆木材、金属くず、石こうボードくず

[ 実施した内容 ]
木材、金属くず、石こうボードくずについては分別回収を行い、それぞれのリサイクル工場に持ち込んだ。

[ 結果とあなたの評価 ]
多くの資材を分別回収することにより再生利用に貢献でき、その結果、処理費用を大幅に削減できた。

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< 再生品の採用  >

[ 資材名等 ]◆再生砕石

[ 実施した内容 ]
・基礎や土間下の地業に再生砕石を使用した。
・場内仮設道路の舗装に再生砕石を使用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
再生品を使用することができたとともに、リサイクル活動に貢献でき、コスト縮減にも有効であった。

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④「熱回収

[ 資材名等 ]◆木材

[ 実施した内容 ]
腐食したり、釘の処理が多く、再生利用が困難な木材については、サーマルリサイクル工場に持ち込んだ。

[ 結果とあなたの評価 ]
本来、廃棄物である木材から熱回収ができたとともに、産業廃棄物も削減でき、処分費用を縮減することができた。

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[ 資材名等 ]◆塩化ビニル材

[ 実施した内容 ]
塩化ビニル廃材を分別回収し、熱処理工場へ持ち込んだ。

[ 結果とあなたの評価 ]
発生する熱エネルギーを回収でき、エネルギーの循環に貢献できた。建設副産物を有効活用するのは、事業者の責務であり、今後も取り組んでいきたい。

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⑤「適正処分

[ 資材名等 ]◆木くず、金属くず、石こうボードくず

[ 実施した内容 ]
・許可を得た収集運搬業者及び最終処分業者であることを、許可証により確認し、委託契約の上、委託した。

・最終処分場までのルートを確認するとともに、マニフェスト伝票にて最終処分場で処分されたことを確認した。

[ 結果とあなたの評価 ]
・不法投棄もなく、適正に処分することができた。不法投棄を防止することは、排出事業者の責務であり、しっかり管理していきたい。

・マニフェスト伝票の確認により、不法投棄のないことを確認できた。不法投棄を防止することは、排出事業者の責務であり、しっかり管理していきたい。

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[ 資材名等 ]◆廃アスベスト

[ 実施した内容 ]
特別管理産業廃棄物管理責任者を設置し、処理計画の立案から行政への報告等の排出、最終処分に至るまで全般に渡って管理させた。

[ 結果とあなたの評価 ]
管理責任者に全般に渡って管理させたことにより、スムーズに最終処分まで確実に管理することができた。排出事業者(元請業者)として、今後も処分責任が曖昧とならないような管理を行いたい。

以上、参考まで
自分が経験した建築工事に関して、
指導的立場に立った工事に対してまとめておく。
2項目程度の記述が求められるケースが多いので、
ケースに応じて、最低3項目程度はまとめておく。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 環境管理 【傾向分析】③

経験記述 環境管理【傾向分析】

2016年の大阪府豊能町にダイオキシン廃棄物が巷を騒がせていましたが、このダイオキシン廃棄物って何か?

説明できますでしょうか?詳しくは難しい問題ですが、「特別管理廃棄物」と言っておけば間違いはないでしょう。

詳しくは、
環境省 特別管理廃棄物とは
を参照のこと。

今回は、環境管理に関連する法体系について記述します
建設環境関係法体系
●環境基本法
●循環型社会形成推進基本法
(基本的枠組み法)
の下に、主に8つの法律があり、
建設副産物対策及び処理に関する3つの法律も
そこにふくまれています。
●廃棄物処理法・・・・ ①
●リサイクル法 ・・・・②
○容器放送リサイクル法
○家電リサイクル法
●建設リサイクル法・・・③
○食品リサイクル法
○自動車リサイクル法
○グリーン購入法

廃棄物処理法
廃棄物の処理及び清掃に関する法律」・同施行令

[ 目的 ]
この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ること
を目的とする。

[ 廃棄物の定義 ]

廃棄物
ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、
廃アルカリ、動物の死体、
その他の汚物または不要物であって、
固形状または液体状のもの。

一般廃棄物
産業廃棄物以外の廃棄物

特別管理一般廃棄物
一般廃棄物のうち、
爆発性、毒性、感染性その他の人の健康または
生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状
を有するものとして政令で定めるものをいう。

産業廃棄物
燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、
廃プラスチック類
その他政令で定める廃棄部をいう。
ここに、政令で定めるものとは、
紙くず、木くず、繊維くず、ゴムくず、金属くず、
ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず、
鉱さい、廃油、廃酸などをいう。

特別管理産業廃棄物
産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
ここで、政令で定めるものとは、廃酸、廃アルカリ、感染性産業廃棄物、特定有害産業廃棄物(廃PCB、廃石綿等)などをいう。

[ 産業廃棄物の排出業者の役割 ]
産業廃棄物の排出業者
(建設工事においては元請業者)は、その廃棄物を自ら適正に処理しなければならないとされているが、その処理を他人に委託することもできる。

委託にあたっては、次の基準によるものとする。

・廃棄物処理法による許可を得た収集運搬業者及び処分業者か、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集または運搬、処分を業として行う物等に委託する。

・委託契約は書面により行い、契約内容には次の事項を含むものとする。

・委託する産業廃棄物の種類及び数量

・運搬の最終目的地の所在地

・処分または再生の場所の所在地、その処分・再生の方法、及び処分・再生施設の処理能力

・その他環境省令で定める事項

[ 産業廃棄物管理票(マニフェスト伝票) ]

・排出事業者は、排出量にかかわらず廃棄物の種類ごと、運搬先ごとに産業廃棄物管理票(マニフェスト伝票)を処分業者に交付し、最終処分が完了したことを確認しなければならない。

産業廃棄物管理票は、次の内容が記載されたものとする。

・当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量
・運搬または処分を受託した者の氏名または名称
・その他環境省令で定める事項
・管理票交付者(排出事業者)は、運搬、処分受託者から返送された管理票の写しを5年間保存しなければならない。

同じく、それぞれの受託者も管理票の写しを5年間保存しなければならない。

・管理票交付者は、毎年、管理票の交付状況などに関する「産業廃棄物管理票交付等状況報告書」を作成し、産業廃棄物の排出事業場を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。

リサイクル法
資源の有効な利用の促進に関する法律」・同施行令

[ 目的 ]
この法律は、主要な資源の大部分を輸入に依存している我が国において、近年の国民経済の発展に伴い、資源が大量に使用されていることにより、使用済物品及び副産物が大量に発生し、その相当部分が破棄されており、かつ、再生資源及び再生部品の相当部分が利用されずに破棄されいている現状を鑑み、資源の有効な利用の確保を図るとともに、廃棄物の発生の抑制及び環境の保全に資するため、
使用済物品等及び副産物の発生の抑制ならびに再生資源及び再生部品の利用の促進に関する所要の措置を講ずることとし、もって国民健在の健全な発展に寄与することを目的とする。

[ 定義 ]
副産物
製品の製造、加工、修理若しくは販売、エネルギーの供給又は土木建築に関する工事(以下「建設工事」という。)に伴い副次的に得られた物品をいう。
(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)

副産物の発生抑制等
製品の製造又は加工に使用する原材料、部品その他の物品の使用の合理化により当該原材料等の使用に係る副産物の発生の抑制を行うこと及び当該原材料等の使用に係る副産物の全部又は一部を再生資源として利用することを促進することをいう。(エネルギーの使用の合理化等に関する法律に規定する燃料を除く。)

再生資源
使用済物品等又は副産物のうち有用なものであって、原材料として利用することができるもの又はその可能性のあるものをいう。

再生部品
使用済物品等のうち有用なものであって、部品その他製品の一部として利用することができるもの又はその可能性のあるものをいう

再資源化
使用済物品等のうち有用なものの全部又は一部を再生資源又は再生部品として利用することができる状態にすることをいう。

指定副産物
エネルギーの供給又は建設工事に係る副産物であって、その全部又は一部を再生資源として利用することを促進することが当該再生資源の有効な利用を図る上で特に必要なものとして政令で定める業種ごとに政令で定めるものをいう。

建設リサイクル法
建設工事に係る資源の再資源化等に関する法律

[ 目的 ]
この法律は、特定の建設資材について、その分別解体等及び再資源化等を促進するための措置を講ずるとともに、解体工事業者について登録制度を実施すること等により、再生資源の十分な利用及び廃棄物の通じて、資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

[ 定義 ]

・建設資材
土木建築に関する工事に使用する資材をいう。

・建設資材廃棄物
建設資材が廃棄物となったものをいう

・分別解体など
第一号 「解体工事」
建築物等に用いられた建設資材に係る建設資材廃棄物をその種類ごとに分別しつつ工事を計画的に施工する行為

第二号 「新築工事など」
順次的に生ずる建設資材廃棄物をその種類ごとに分別しつつ当該工事を施工する行為

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 環境管理 サーマルリサイクルとは?

サーマルリサイクル(Thermal Recycle、熱回収)

廃棄物を単に焼却処理せず、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用すること

容器包装リサイクル法で認められた油化・ガス化の他、焼却熱利用、廃棄物発電、セメントキルン原燃料化、廃棄物固形燃料など一般に、リユース、マテリアル・ケミカルリサイクルが困難な廃棄物に対して行われる。
(技術的に困難、あるいは投入資源・コストに対し割に合わないなど)

概 要
日本において、循環型社会形成推進基本法では、廃棄物・リサイクル対策の優先順位を、

① リデュース
② リユース
③ マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクル
④ サーマルリサイクル(熱回収)
⑤ 廃棄物としての適正処理

とし、経済財政諮問会議の「循環型経済社会に関する専門調査会
および産業構造審議会企画グループでは「サーマルリサイクルも有効なエネルギー回収手段としてマテリアルリサイクルと並んで位置づける」と提言している。

廃棄物を再資源化して製品とするには、必ず分別が必要である。これは、単一な原材料に分けなければ、品質が劣化して再製品化できないためである。

特に一般家庭から排出される一般廃棄物には、異物が混入することが多い。

プラスチック

プラスチックというものは単一な原材料ではなく、PE・PS・PP・PVCといった
原料単位で分別する必要があるため、プラスチックで分別したところでマテリアルリサイクルないしケミカルリサイクルすることはできない。

また、商品化されたプラスチック製品自体に2種以上のプラスチックが混ざっていたり、一見同じにしか見えないプラスチックを消費者が原材料単位で分別することは困難である。

そのため、原則として、廃プラスチックはリサイクルされることなく埋め立てられるか、サーマルリサイクルをするかの選択肢に限られる。

過去、プラスチック類の1つであるPVCが猛毒のダイオキシンを発生させる原因とされ、埋め立てられることが主流であったが、ダイオキシンの毒性に対して疑問が呈されると共に、PVCの分別法、ダイオキシンを発生させない燃焼法の確立によりサーマルリサイクルへの移行が進んでいる。

なお、ペットボトルや、ペットボトルのキャップなどを、分別回収すると、ケミカルリサイクルが可能である。ただし、運搬のために多大な石油を消費するため、リサイクルで生じる石油よりも、リサイクルのために消費される石油の方が、上回ってしまう。

熱エネルギー

プラスチックは埋め立てられてきた経緯から不燃物と考えられがちだが、純石油製品であり、石油や石炭と同等の発熱量を有している。

そのため、プラスチックをサーマルリサイクルすることで
大量の熱エネルギーを回収できる。

これにより、間接的に火力発電所で燃焼される原油の削減となる。
なお、1メガワット時の電力を火力発電するために必要な燃料は、天然ガス132kgに対してプラスチックを345kg。この場合の二酸化炭素の発生量は、
天然ガスによる燃焼時が360kgに対してプラスチックの燃焼時が880kgとする試算がある。

埋め立て・サーマルリサイクル

地球温暖化の観点から二酸化炭素を排出するサーマルリサイクルより、埋め立てる方が環境に優しいという考えも存在するが、サーマルリサイクルにより削減した原油の二酸化炭素量とある程度は相殺できる。

日本においては、さらなる熱効率の向上により、完全に相殺できるように求められている。

また、プラスチックは地中で分解されないため、埋立地が際限なく必要となり
循環型社会を形成できない問題がある。

ライフサイクルアセスメント

サーマルリサイクルはリサイクルの最終手段ではあるが、マテリアル・ケミカルリサイクルとの選択を考えるのに、ライフサイクルアセスメント (LCA) がある。
忘れてはならないのが、リサイクルをするためには輸送・再資源化の工程で
エネルギー投入が必要であり、二酸化炭素などの廃棄物も出ると言うことである。

もしも、
マテリアル/ケミカルリサイクルでかかる石油の量
> それらによる削減できる石油の量

このような状況が発生するのであれば、
サーマルリサイクルの方が適していると言える。

例えば、新たに石油から1本のペットボトルを作るのに必要な資源を1とした場合にペットボトルをマテリアルリサイクルし再生ボトルを作る場合の資源量が1を下回る場合はマテリアルリサイクルするべきである。

アルミ製品のマテリアルリサイクルが積極的に推し進められるのはこのためである。逆に1以上掛かってしまう場合、マテリアルリサイクルは本末転倒なので1本新造して使用済みボトルはサーマルリサイクルすべきある。

この場合、サーマルの方が1の資源で新しいボトル1本+燃料(になりうる廃材)を得ることができるので効率がいい。

ということである。

リサイクルか?

サーマルリサイクルというのは和製英語であり、欧米ではサーマルリカバリー (Thermal Recovery) と呼ぶ。

このことから、サーマルリサイクルはリサイクルではなく、環境に悪いものとする考えも根強いが、全てのリサイクルが環境に優しいとは限らず、日本におけるリサイクル神話の現れである。

リサイクルと称さない欧米の方が、サーマルリサイクルを早くから推進しており、広く行われている。

また、そもそも捨てるものを燃料として再使用していることからリサイクルではないとは言い切れず、加えて先述のLCAの問題ある。

よって、サーマルリサイクルが善か、もしくは悪かというのは対象は何なのか
どれくらい処理しなければならないのか周辺環境はどうなのか・・・など様々な条件によって変わってくるため一概には言えない。

例えば先のペットボトルの例で言うのであれば、ペットボトルをマテリアルリサイクルしようとすれば「砕いて、洗って、溶かして・・・」と言った工程がある。
その際、このハイブリッドカー用バッテリーリサイクル工程(工程が西日本を縦断している。)のように適切な処理施設が遠ければ
金と時間と資源の無駄遣いにもなりかねないのである。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 合理化【傾向分析】

近年の経験記述の定番のひとつである「合理化」に関する記述について
まとめたいと思います。なお、29年度は「品質を確保した上での」
「合理化」となっているので、注意が必要です

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チェックポイント1
労働生産性向上と施工の合理化の意味の違いを理解する。
チェックポイント2
社会的背景との関連性とは、どのようなことか理解する。
チェックポイント3
実施した内容、理由、結果について、
文末の現在形と過去形の使い分けを理解する
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合理化とは? それを採用することによって、
①原価を抑える
②品質を向上する
③工程を短縮する
④安全性を高める
ことにつながるような工夫をすることです。
作業員の高齢化、労働力の減少、熟練工の不足等の社会的背景から考えると、その手法としては、工法の簡略化現場作業の軽減(工場生産品の採用)などの記述が一般的です。
その他、新技術の導入などの記述も考えられます。
本試験では。「労働生産性向上」と「施工の合理性」について出題されています。

1.労働生産性向上

1)「労働生産性向上」記述上のポイント

「労働生産性向上」とは、「作業員1人・1日当たりの出来高を向上させる」ことです。具体的に言うと、投入する労働力を一定として、出来高を向上させることです。

その手法としては、作業員の指導・育成による作業能率の向上、作業能率につながる現場施設の整備、合理的な施工方法の採用(工場生産、加工を含む)などが考えられます。施工の合理性と内容は類似していますが、「作業員の指導・育成」、「現場施設の整備」なども含めて、幅広い記述ができます。

2)「労働生産性向上」で過去に要求された記述

①工事概要であげた工事に対して

対象項目(工種など):職種または工種
実施した内容    :実施した内容
それを行った理由  :労働生産性に結びつく理由
結果と評価     :結果とその評価
(平成14年)

②工事概要であげた工事にかかわらずあなたの考えとして

方策:今後の労働生産性向上の方策
社会的背景との関連性:社会的背景との関連性

※社会的背景との関連性とは、現在の社会状況を踏まえた方策の有効性を記述する。例えば、「墜落災害が建設現場での死亡事故で一番多い現況において、先行吊り足場による工期短縮は、安全面の確保からも有効である」など。

3)「労働生産性向上」で要求される記述

平成14年度には
「作業員の指導・育成」、「現場施設の整備」が出題されましたが、「合理的な施工方法の採用」についても記述練習をしておきたいものです。それぞれについて2例程度ずつ、「工種等の対象項目」、「実施した内容」、「それを行った理由」、「結果と評価」をまとめておきましょう。また、方策については、「社会的背景との関連性」も記述できるようにしておきたいものです。

4)「労働生産性向上」の記述例

①作業員の指導・育成
②現場施設の整備
③合理的な施工方法の採用

[ 工種または職種 ]
[ 実施した内容 ]
[ それを行った理由 ]
[ 結果とその評価 ]

①作業員の指導・育成
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[ 工種または職種 ]
◆タイル工事

[ 実施した内容 ]
墨出し、定木塗り、張付けモルタル塗りの手順を標準化するとともに、熟練工と手元でグループを作り、役割分担を明確に定めた。

[ それを行った理由 ]
作業を標準化し、効率的にすることにより、作業能率が向上するとともに、役割分担を明確にすることで、作業のバッティングややり忘れを防止できるため。

[ 結果とその評価 ]
正しい手順で各々に適した作業を分担することにより、労働生産性が向上したとともに、若手職人の技術向上にもつながった。

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[ 工種または職種 ]
◆内装工事

[ 実施した内容 ]
共同住宅の内装工事について、工種別に作業エリアを明確にし、作業場所の各工種の進捗状況を作業員自らチェックリストに記入、確認させた。

[ それを行った理由 ]
作業エリアを明確にすることにより、他作業との輻輳(ふくそう)がなく、労働生産性向上につながると考えたため。

[ 結果とその評価 ]
他業種との輻輳作業もなく、作業能率が向上したことで、労働生産性向上につながったとともに、1フロア当たり3日間の工期短縮となった。

—————————————–
[ 工種または職種 ]
◆左官工事、タイル工事他

[ 実施した内容 ]
新規入場時や毎日の定例打合せ時に、作業場の片付け・整理整頓を行うよう徹底して指導した。

[ それを行った理由 ]
作業場内を整理整頓することにより整然とした作業環境が構築され、作業能率が向上すると考えたため。

[ 結果とその評価 ]
整理整頓したことで、材料などの位置が明確になり、作業能率が向上し、労働生産性向上につながったとともに、安全な作業環境を構築することができた。

②現場施設の整備
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[ 工種または職種 ]
◆仮設工事

[ 実施した内容 ]
作業通路と作業スペースを明確に区分し、テープなどで明示した。また、通路近くに資材置き場を設け、資材の移動をスムーズにした。

[ それを行った理由 ]
作業員の通行と作業範囲を区分することで、輻輳を避けることができ、また、スムーズな資材の移動により、それにかかる時間を短縮でき、労働生産性の向上につながると考えたため。

[ 結果とその評価 ]
資材の移動に伴う時間が短縮でき、労働生産性の向上につながったとともに、安全面にもおいても有効であった。

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[ 工種または職種 ]
◆仮設工事

[ 実施した内容 ]
作業員休憩場所として、外部にテント(3間×6間)を張り、日陰を作るとともに、冷水を常備した。

[ それを行った理由 ]
工期が夏期になるので、休憩時間を日陰で過ごすことにより、疲労回復、作業能率向上につながると考えたため。

[ 結果とその評価 ]
休憩時間の疲労回復を促したことにより、労働生産性が向上したとともに、熱中症対策にも有効であった。

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[ 工種または職種 ]
◆仮設工事

[ 実施した内容 ]
揚重用の建設用リフトに代えて、作業員も乗れるロングスパンエレベーターを採用した。

[ それを行った理由 ]
ロングスパンエレベーターは作業員も乗ることができ、作業員の移動時間を短縮でき、揚重作業を効率的に進めることができると考えたため。

[ 結果とその評価 ]
揚重時間を短縮でき、労働生産性の向上につながったとともに、資材搬入をスムーズに進めることができた。

—————————————–
[ 工種または職種 ]
◆防水工事

[ 実施した内容 ]
ピット内の内壁・天井の防水作業において、十分な換気を行うことができる送風機と、十分な明るさを確保できる仮設照明を設置した。

[ それを行った理由 ]
作業に適した明るさの確保・新鮮な外気の取入れにより、作業員の作業能率が向上すると考えたため。

[ 結果とその評価 ]
照明により細部の施工も問題なく行うことができ、作業能率が向上し、労働生産性が向上したとともに、酸素欠乏を防止でき、無事故で工事を終えることができた。

③合理的な施工方法の採用
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[ 工種または職種 ]
◆山留め工事

[ 実施した内容 ]
山留め支保工を水平切梁工法から地盤アンカー工法に変更した。

[ それを行った理由 ]
地盤アンカー工法は切梁が不要なため、クラムシェルからバックホウに掘削機械を変更することにより、労働生産性の向上が見込めると考えたため。

[ 結果とその評価 ]
スロープを用いてダンプを根切り底に下ろすことにより、バックホウにて直接掘削土の積込みができ、労働生産性が向上したとともに、バックホウを用いたことにより掘削作業の安全性も向上した。

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[ 工種または職種 ]
◆左官工事

[ 実施した内容 ]
工場内の土間コンクリート押さえにおいて、機械ごて(トロウェル)を採用した。

[ それを行った理由 ]
工場内の土間コンクリートの面積が 700平米と広く、施工時期も8月で土間コンクリートの仕上げ作業が間に合わないと考えたため。

[ 結果とその評価 ]
機械ごてを用いることで労働生産性が向上し、左官工を2名減らして進めることができたとともに、高温下での手作業の軽減により作業員の健康面にも配慮することができた。

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[ 工種または職種 ]
◆防水工事

[ 実施した内容 ]
防水改修工事において、アスファルト防水を改質アスファルトシート常温粘着工法に変更した。

[ それを行った理由 ]
アスファルトの溶融時の常温管理などがなく、熱防水工法と比較して簡単な工法であることから、労働生産性が向上すると考えたため。

[ 結果とその評価 ]
労働生産性が向上したとともに、煙や臭気の発生もないことから近隣クレームもなく、スムーズに工事を進めることができた。

—————————————–
[ 工種または職種 ]
◆軽量鉄骨工事

[ 実施した内容 ]
軽量鉄骨壁下地について、スタッドは工場にて長さ L=2,700 にプレカットしたものを現場に搬入した。

[ それを行った理由 ]
当該建物は共同住宅で住戸内の天井高さは同じであり、プレカットしたスタッドを使用することによって、現場内での作業を軽減できると考えたため。

[ 結果とその評価 ]
現場での作業を軽減したことにより労働生産性が向上したとともに、軽量鉄骨の端材の発生も大幅に抑制でき、整然とした作業環境を構築することができた。

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[ 工種または職種 ]
◆内容建具工事

[ 実施した内容 ]
全居室の入口に採用する内装建具は、発注者及び監理者の承諾を得たうえで、現場寸法合せの注文品から同一寸法の既製品の木製建具に変更した。

[ それを行った理由 ]
当該建物は共同住宅で内装建具の本数も多く、既製品の木製建具を採用することにより、現場作業を大幅に軽減でき、労働生産性の向上につながると考えたため。

[ 結果とその評価 ]
建具製作のための現場計測、建込み後の微調整もなく、大幅に労働生産性が向上したとともに、既製品を採用したことにより、ばらつきのない品質を確保することができた。

以上、参考にして、自分が経験した建築工事に関して、指導的立場に立った工事に対してまとめておきましょう。2項目程度の記述が求められるケースが多いので、最低3項目程度は必要かと思います。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 品質管理【傾向分析】①

近年の経験記述の予想のひとつである「品質管理」に関する記述について
まとめたいと思います。
なお、29年度は「品質を確保した上での」「合理化」となっているので、注意が必要です。

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チェックポイント1
「重要品質」と「管理項目」の違いを理解する
チェックポイント2
PDCAサイクルを繰り返すことにより、
品質は向上すること理解する
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品質管理とは?
品質水準の安定と向上を図ることであり、試験では主に、「設計図書の品質を確保するために、施工上どのような活動をしたか」といった記述が求められます。

「品質管理」の記述上のポイント
品質管理では工事概要の他、2題出題されます。
・1題目
工事概要であげた工事現場で経験したこと
・2題目
工事概要であげた工事に関わりなくあなたの考え

出題は平成18年、20年、23年、26年、28年ですが、解答の仕方は細かく指定されています。
特に最近では、重要品質に条件が付いているので、事例の選択にあたっては、注意する必要があります。

「品質管理」で要求される記述
工事概要であげた工事現場で経験したことについて

「重要品質・要求品質」(H18,H20,H23,H26,H28)

「重要品質となる理由」(H20,H28)

「重要品質管理目標」 (H18,H20,H23,H26)

「管理項目や留意事項」(H20,H23,H26)

「管理項目が重要品質確保に有効な理由」(H18,H20,H23,H26)

「実施した内容」(確認や記録の方法を含む)(H18,H20,H23,H26,H28)

のいずれかを記述することが要求されています。
全てが出題されても解答できるように、
自分の経験を上記6項目に分けて整理しておく。

「重要品質・要求品質」とは建物の持つ重要な性能のことで、

・鉄筋コンクリートの耐久性
・建物の寸法精度
・外装仕上げの美観性
・外装タイルの接着力
・建物の居住性
・内装(内壁)仕上げの美観性
・断熱性能
・屋上の防水性能
などがあげられます。

「重要品質となる理由」とは(★現在形で表記する)
特に、住宅系の建物であれば、居住性の確保との関連など

例)屋上の防水性能の確保は、居住性を高める大きな要因となるため。

「重要品質管理目標」とは
重要品質を確保するための目標を記述します。
目標という観点から大きく捉えると、「不具合をなくす。強度を確保する。」
という主旨の内容のにすると記述しやすいです。

例)屋上からの漏水の発生をゼロにする。

「管理項目や留意事項」とは
重要品質を確保するために管理した項目を記述します

例)「建物の寸法精度の確保」のための「鉄骨の建入れ精度の確保」の管理などが考えられます

例)アスファルト防水下地の含水率

「管理項目が重要品質確保に有効な理由」とは
(★現在形で表記する)
管理項目(または実際に行ったこと)の内容が、なぜ重要品質の確保に有効なのかを記述します。

例)下地の含水率は防水層の接着性に大きく影響し、下地不良はふくれ・破損を招き、雨漏りの原因となるため

「実施した内容」とは
(★必ず過去形で表記する)
管理項目について良好な結果を得るために、現場において実施したことを記述します。

例)
コンクリートの乾燥状態を高周波水分計を用いて、コンクリート下地の含水率(8%以下)を確認し、チェックリストに記録した。
8%以下は記載しない
(現在、JASS8 には 8%という数値規定はない)

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(2)の問題
工事概要であげた工事関係なく、あなたの考え方を問う問題について
「品質の良い建物を提供して施主の要望実現や満足度向上をするにはどうしたらいいか?」ということについて問われています。

品質管理の問題に関しては、会社全体としての取組みについてまとめるのが
望しいと思います。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 品質管理【傾向分析】②(記述例)

それでは、
「品質管理」の記述例を下記に示すので、
参考にして自分なりの解答をまとめておきましょう。

記述で求められる内容
[ 重要品質 ]
[ 重点品質管理目標 ]
[ 管理項目 ]
[ 定めた理由 ]
[ 実施した内容 ]

1.躯体工事

[ 重要品質 ]◆鉄筋コンクリート躯体の強度不足

[ 重点品質管理目標 ]
鉄筋ガス圧接部の強度不足を完全に防止する。

[ 管理項目 ]
鉄筋ガス圧接端面の処理

[ 定めた理由 ]
圧接端面の処理は、圧接部の強度に大きく影響するため。

[ 実施した内容 ]
・圧接端面に付着した錆、油脂、塗料、セメントペーストなどは完全に除去してから圧接作業にかかった。

・圧接端面をグラインダーによりできるがぎり平滑、軸方向に対して直角に仕上げ、突合せ面のすき間について2mm以下で管理し、スケールにて確認した。


[ 重要品質 ]◆鉄筋コンクリート躯体の強度不足

[ 重点品質管理目標 ]
鉄筋ガス圧接部の強度不足を完全に防止する。

[ 管理項目 ]
鉄筋のガス圧接部の形状確認

[ 定めた理由 ]
圧接部の形状は、圧接部の強度に大きく影響するため。

[ 実施した内容 ]
圧接部の形状は目視、計測器を用いて全数検査し、適正範囲であることを確認し、写真とともにチェックリストに記録した。


[ 重要品質 ]◆仕上げの美観性

[ 重点品質管理目標 ]
コンクリート下地のひび割れをゼロにする。

[ 管理項目 ]
コンクリート直押え面の養生

[ 定めた理由 ]
コンクリートの養生方法が不適切であると、コンクリート面にひび割れが発生し、仕上げ面にそのまま現れる恐れがあるため。

[ 実施した内容 ]
計画共用期間の級が標準のコンクリートであったため、コンクリート打込み後5日以上、散水により湿潤状態を保つよう養生管理した。


[ 重要品質 ]◆外壁の美観性

[ 重点品質管理目標 ]
外壁コンクリート壁面の目違いを2mm以下にする。

[ 管理項目 ]
外壁打放しコンクリート面の型枠精度

[ 定めた理由 ]
外壁仕上げの仕様がコンクリート打放し仕上げであり、その美観性は、型枠精度による不陸、目違いが大きく影響するため。

[ 実施した内容 ]
外壁部のせき板は、すべて新品の表面加工品(パネルコート)を用い、型枠パネルに用いる端太用桟木の厚さはプレーナー掛けにより、誤差1mm以内で管理した。


[ 重要品質 ]◆外壁の防水性能

[ 重点品質管理目標 ]
外壁このコールドジョイントの発生をゼロにする。

[ 管理項目 ]
外壁打放しコンクリートの打設時間の管理

[ 定めた理由 ]
外壁のコールドジョイントは防水性能低下の要因となり、コンクリート打設時間の管理がコールドジョイント発生を抑制でしるため。

[ 実施した内容 ]
打込み継続中の打重ね時間間隔(外気温が27℃であったので120分以内)を厳守して打設し、チェックリストに記録した。


[ 重要品質 ]◆建物の住居性

[ 重点品質管理目標 ]
建具の開閉不良をゼロにする。

[ 管理項目 ]
木工事における柱の鉛直精度と梁の水平精度の確保

[ 定めた理由 ]
木構造の柱の鉛直及び梁の水平精度の不良は、仕上げ材の下地の精度に大きく影響し、最終的に建具の開閉不良の原因となるため。

[ 実施した内容 ]
建入れ直し後に、下げ振りや水平器、レベル等を使用して建入れ検査を行い、通し柱等構造上重要な柱については全数2方向から計測し、傾き1/1000以下であることを確保し、チェックリストに記録した。

2.仕上げ工事

[ 重要品質 ]◆屋上の防水性能

[ 重点品質管理目標
屋上からの漏水の発生をゼロにする。

[ 管理項目 ]
アスファルト防水下地の状態の確認

[ 定めた理由 ]
下地の状態は防水層の接着性に大きく影響し、下地不良は、膨れ、破損を招き、雨漏りの原因となるため。

[ 実施した内容 ]
コンクリートの乾燥状態を見計らって、高周波水分計を用いてコンクリート下地の含水率(8%以下)を確認し、チェックリストに記録した。
平場のコンクリート面は、釘、突起物等の除去状況をチェックシートにて確認し、不十分な場合はグラインダーにて削り、平滑に仕上げた。


[ 重要品質 ]◆外壁の防水性能

[ 重点品質管理目標 ]
外壁面からの漏水の発生をゼロにする

[ 管理項目 ]
シーリング材2面接着の確保

[ 定めた理由 ]
外壁がALCパネルであったことから、シーリングと目地底が接着していると被着体の挙動によりシーリングの破損・漏水につながるため。

[ 実施した内容 ]
シーリング施工前に所定のバックアップ材が挿入され、適正な目地深さが確保できていることを曲尺にて確認しチェックリストに記録した。


[ 重要品質 ]◆外装仕上げの耐久性

[ 重点品質管理目標 ]
外壁タイルの浮き・はく落の完全防止

[ 管理項目 ]
密着張りの張付けモルタルの時間管理

[ 定めた理由 ]
張付けモルタルの可使時間を超えてしまう施工は、タイルの接着性に悪影響を与え、タイルの浮きやはく落の原因となるため。

[ 実施した内容 ]
張付けモルタルを一度に塗り付ける面積2㎡以内の確認をするとともに、張付けモルタル塗付け開始後15分で進捗を確認し、20分以内で張り終えたことを最終確認した上で、チェックリストに記録した。


[ 重要品質 ]◆建物の居住性

[ 重点品質管理目標 ]
間仕切り壁の倒れ(傾き)を2mm以内にする。

[ 管理項目 ]
ランナーの通りとスタッドの倒れの精度

[ 定めた理由 ]
軽量鉄骨下地の施工精度が不良であると、間仕切壁の最終仕上げの精度が不良となり、家具の設置不良等、居住性に影響するため。

[ 実施した内容 ]
施工図に基づき間仕切の墨出し位置を確認し、スタッドはねじれのないものを選定し、倒れを下げ振りにて2mm以内で管理し施工した。


[ 重要品質 ]◆内壁仕上げの精度と美観性

[ 重点品質管理目標 ]
間仕切壁の強度不足の完全防止

[ 管理項目 ]
スタッドの建込み間隔・位置の精度

[ 定めた理由 ]
スタッドの間隔が大きすぎると、ボードの暴れが大きく、間仕切壁の振動も大きくなり、最終的に内壁仕上げの精度・美観性に大きく影響するため。

[ 実施した内容 ]
ボード1枚張りであったため、スタッド間隔が300mmであることをスケールにて確認するとともに、抜き取りで建て込み位置を確認し、±5mm以内にあることを確認した。


[ 重要品質 ]◆外装仕上げの耐候性と美観性

[ 重点品質管理目標 ]
外装吹付けによるムラの発生をゼロにする。

[ 管理項目 ]
塗装の塗付け量の確認

[ 定めた理由 ]
塗料の塗付け量が一定でないと、外壁面の耐候性と美観性に影響するため。

[ 実施した内容 ]
塗装範囲ごとに、塗装面積に対する塗料の塗付け量(○.○○kg/㎡)を算出し、算出した数量と塗料の使用量より適正な塗膜厚さが確保されていることを確認し、チェックリストに記録した。


[ 重要品質 ]◆内装仕上げの美観性

[ 重点品質管理目標 ]
内壁の不陸をゼロにする。

[ 管理項目 ]
石こうボードのパテ処理。

[ 定めた理由 ]
石こうボードのパテ処理が不良であると、石こうボードの縦目地に凹凸が発生し、内壁の美観性に影響するため。

[ 実施した内容 ]
下塗り・中塗り・上塗りのパテの色を変えて、パテ処理回数を確認するとともに、表面状態を確認し、チェックリストに記録した。


[ 重要品質 ]◆建物の居住性

[ 重点品質管理目標 ]
和室建具の開閉不良クレームの根絶

[ 管理項目 ]
造作材・木製建具の含水率

[ 定めた理由 ]
造作材・木製建具の含水率が大きいと、施工後の乾燥収縮により狂いが生じ、仕上げ精度、建具の開閉等に大きく影響するため。

[ 実施した内容 ]
敷居、鴨居等の部材は、工事現場搬入時に、高周波水分計にて含水率15%以下で管理・確認した。

以上、参考にして、自分が経験した建築工事に関して、
指導的立場に立った工事に対してまとめておく。

2項目程度の記述が求められるケースが多いので、ケースに応じて、最低3項目程度はまとめておく方がよい。

1級建築施工管理技士 二次検定 経験記述 施工計画

近年の経験記述は
●合理化
●品質監理
●環境監理
がメインであり、「施工計画」については平成8年、平成12年以来出題されていないが、経験記述の全般に利用できる記述であるので、ここにまとめる。

①仮設工事(第三者災害防止)
[ 留意事項 ]
仮囲いの仕様・構造

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
道路に面した敷地角部に設置する仮囲いは、透明なもので強度のあるものを採用する計画とした。

[ それを行った理由 ]
歩道がない前面道路であったので、通行車両と歩行者の接触事故を防止するため。

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[ 留意事項 ]
近隣への騒音・震動防止対策

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
建設機械については、低騒音・低振動型のものを採用し、工事用シートについても防音シートとする計画とした。

[ それを行った理由 ]
当該現場の周辺には、精密機器を扱う工場や学校が隣接しているため。

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[ 留意事項 ]
搬入車両による交通災害の防止

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
資機材の搬入時間について、児童の通学時間帯である7時半から9時の時間帯を避けるとともに、誘導員を配置する計画とした。

[ それを行った理由 ]
現場近くに小学校があり、児童と資機材搬出入車両の接触事故が懸念されたため。

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[ 留意事項 ]
外部足場の組立て・解体作業中における歩行者への安全対策

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
外部足場の組立て・解体作業は、歩行者の安全を最優先し、誘導員を作業所の両端に配置し、歩行者を安全に誘導する計画とした。

[ それを行った理由 ]
通行人が多い商店街での作業であり、第三者災害のおそれが懸念されたため。

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②仮設工事(労働災害防止)

[ 留意事項 ]
落下物による災害防止

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
仮設足場の全面に工事用メッシュシート及び安全ネットを用いるとともに、各面について1か所ずつ投下設備を設ける計画とした。

[ それを行った理由 ]
外壁のタイル張替え工事で解体時の落下物による危険性が高いことや、当該現場の敷地は、計画建物周辺に比較的余裕があり、投下設備を設けることにより、安全に解体ガラを搬出できると考えたため。

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[ 留意事項 ]
外部足場の組立て中の作業員の安全確保

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
外部足場の組立てについては、「手すり先行工法」とする計画とした。

[ それを行った理由 ]
足場組立て時における作業員の足場からの墜落災害を防止するため。

③仮設工事(作業効率の向上)

[ 留意事項 ]
吹抜け部分における内部足場の計画

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
住居のリビング部分の内部足場には移動式足場を採用し、天井の下地から設備の器具付けまでの一連の工事を連続して行う計画とした。

[ それを行った理由 ]
当該現場は、リビング部分に吹き抜けのある共同住宅であり、たな足場を全面に設置ずる場合、解体できる広さもなく、また、足場を組み替える磁気の工程的余裕もないため。

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[ 留意事項 ]
足場上の作業効率

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
枠組足場の建枠幅を900mmから1,200mmに変更し、昇降階段をその枠の外側に設置し、足場上の作業スペースを確保した。

[ それを行った理由 ]
枠の内側に階段がなく、作業スペースが大きくできるとともに、材料の小運搬の効率及び足場上での作業効率が向上し、安全性も良好であると考えたため。

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[ 留意事項 ]
工程を順調に進めるための吊り足場の計画

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
高力ボルトを締め付けるための吊り足場について、建方時に先行して取り付ける先行吊り足場とする計画とした。

[ それを行った理由 ]
鉄骨建て方完了後の吊り足場の組立て作業が省略でき、工程を順調に進めることができると考えたため。

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[ 留意事項 ]
外部足場の解体後期の短縮

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
外部枠組足場の解体に45tラフテレーンクレーンを使用し、3段、4スパンを1ブロックとして地上に下ろし、地上にて解体する計画とした。

[ それを行った理由 ]
高所での解体作業より安全面が向上し、作業効率も良く、工期短縮が図れるため。

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[ 留意事項 ]
資材の搬入と揚重の効率化

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
搬入ゲートの近い位置にクレーンを設置し、前日の打合せでの資材の搬入時間を指定することにより、トラックから資材を直取りする計画とした。

[ それを行った理由 ]
敷地が狭く、資材置き場が確保できないため。

④土・山留め工事

[ 留意事項 ]
工事条件による山留め計画の妥当性

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
山留め支保工は地盤アンカー工法とし、隣地所有者の了解を得て除去式アンカーを採用する計画とした。

[ それを行った理由 ]
敷地の高低差が大きく、山留め壁にかかる側圧が偏土圧となり、また、近隣建物には一切地下室がなかったため。

—————————————–
[ 留意事項 ]
工事条件による山留め計画の妥当性

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
深さ9mの地階部分の掘削において、ソイルセメント柱列山留め壁工法を採用する計画とした。

[ それを行った理由 ]
当該敷地は、地下水位も高く軟弱地盤であるとともに、掘削箇所は近隣敷地までもっとも近い部分で2mしか離れていないため。

—————————————–
[ 留意事項 ]
工事条件による山留め計画の妥当性

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
軟弱地盤における深さ12mの掘削において、費用はかかるが水平切梁工法に代えて逆打ち工法を採用した。

[ それを行った理由 ]
当該敷地は市街地で、周囲への騒音低減を考慮しなければならないとともに、工期が厳しく、計画建物の地階は深く、面積も広いため。

⑤杭工事

[ 留意事項 ]
狭小地における場所打ちコンクリート杭の鉄筋かごの加工・組立て

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
トレーラーで運搬できる長さを考慮して、工場にて加工・組立てした鉄筋かごを搬入した。

[ それを行った理由 ]
敷地が狭く、工期も厳しいことから、工場で加工・組立てをすることで工期短縮につながると考えたため。

⑥コンクリート工事
[ 留意事項 ]
コンクリートの打設計画

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
コンクリートポンプ車を建物内に引き込む計画を立て、2階梁・床(1スパン)の施工を後工事とする計画とした。

[ それを行った理由 ]
敷地に余裕がなく、建物外でのコンクリートポンプ車の設置場所の確保が困難であったため。

⑦鉄骨工事
[ 留意事項 ]
狭隘敷地での鉄骨建方計画

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
敷地の奥から1ブロックを最上階まで建て、建て入れ直しを行い、順次前面道路側に施工する計画とした(建逃げ方式の採用)

[ それを行った理由 ]
奥行きが深い敷地であり、敷地奥の建方が困難であったため。

⑨タイル工事

[ 留意事項 ]
外壁タイル張り工事の工期短縮

[ 計画内容や実施した処置・対策 ]
高層建物の外壁二丁掛けタイル張り工事を、密着張り工法からタイル先付けプレキャスト部材に変更した。

[ それを行った理由 ]
密着張り工法では、下地モルタル塗り作業とそおん養生期間、タイル張付け作業など、多くの工程をようするが、タイル先付けプレキャスト部材であれば、それらの工法を短縮できるため。

尚、自分が経験した建築工事に関して、指導的立場に立った工事に対してまとめておく。2項目程度の記述が求められるケースが多いので、最低3項目程度はまとめておく。

1級建築施工管理技士 二次検定の試験形式

1級建築施工管理技士
実地試験の形式はおおよそ決まっています。
以下にその内容を示します。

試験範囲

(問題1)【 経験記述 】
・合理化
・品質管理
・環境管理
・施工計画
のうちのいづれかについて、
貴方の経験にそくした記述及び考えを問われる

(問題2)【 一般記述 】
・災害別の防止対策
・仮設物ごとの災害防止対策
等の項目について、
貴方の経験にそくした記述及び考えを問われる

(問題3)【 く体工事 】
< 記述または3択 >
・地盤調査
・仮設工事
・土工事・山留め工事
・鉄筋工事
・型枠工事
・コンクリート工事
・鉄骨工事
・メーソンリー工事
・施工機械

(問題4)【 仕上げ工事 】
< 記述または3択 >
・防水工事
・シーリング工事
・張り石工事
・タイル工事
・屋根及び金属工事
・軽量鉄骨工事
・カーテンウォール・建具・ガラス工事
・塗装工事
・内装工事
・木工事
・ALCパネル工事
・押出成形セメント板工事
・改修工事

(問題5)【 施工管理法 】
〜工程表に関する問題
・バーチャート工程表の読み取り
・平成12年まではネットワーク工程表も出題
・平成9年までは品質管理として特性要因図「魚の骨」も出題

(問題6)【 法 規 】
・建設業法
・労働安全衛生法
・その他の法規
建築基準法/労働基準法/廃棄物の処理及び清掃に関する法律/騒音規制法など

以上が、おおよその出題範囲になっています。

問題1、2の記述部分の配点が高く、しかっり記述しなければならないとはいうものの、問題3以降は個々の点数は小さいですが、その減点が重なると大きく響き、かつ、学習するべき範囲が広いので手を抜くことはできません。正確に覚えていなければ点数にはなりませんので、漢字表記まで正確に覚えておく必要があります。

現場では人手不足などで遅くまで作業されている方も多いと思います。
学習する時間を確保するのが難しいでしょうが、スキマ時間などを見つけて、あるいは作成して、効率的に学習していきましょう。