1級建築施工管理技士 屋根・防水工事 屋上 設備基礎

建築品質 屋根・防水


010) 屋上設備基礎は最小限に

屋上に設備基礎を置く場合、屋上防水のやり替えや補修の際に設備機器を移動したり停止させたりしないために、躯体立上げ式の基礎(以下機械基礎という)を設け、その基礎に防水を立ち上げる。機械基礎が多いと漏水のリスクや、躯体コスト、防水コストも高くなる。設備設計の機械配置に基づいて単純に基礎を設置するため、基礎の数も多く、屋上排水も考慮されていないことがある。

1.機械基礎の数は極力少なくする

機械基礎の上に鉄骨架台を組んで設備機器をのせるようにすれば、機械基礎の数は大幅に少なくできる。また、機械荷重や基礎と梁位置などの調整も必要で、設備担当者任せにしてはならない。

機械基礎の配置


機械基礎 断面

※機械基礎の配筋は一般的にはスラブへL2以上の定着必要である。
その折り曲げ位置はスラブ厚さの中心を超えた位置とする。
(スラブ上端筋の上に置くのでは定着にならない)

2.屋上の水勾配の向きに沿わせる

機械基礎が雨水の集水を妨げているのを見かける。機械基礎を布基礎とする場合は屋上勾配の流れに沿って配置し、雨水の集水をスムーズにしたい。できれば布基礎より独立基礎にした方が雨水の集水はスムーズとなる。

3.基礎間隔は防水の施工性を考慮する

機械基礎の間隔及び機械基礎とパラペットの間隔は防水の立上りが確実にできるように、またメンテナンスもできるように十分に(600mm以上)確保しておく。

4.露出防水では点検ルートに歩廊を設ける

露出防水や断熱露出防水などでは、機械のメンテナンスのための点検歩廊や配管類も鉄骨架台と一体にすると、防水を傷めないので理想的である。

5.軽微な機械の固定は保護コンクリートの上の基礎でよい

防水のメンテナンス時などに容易に移動できる軽微な機器は、防水の保護コンクリートと一体の置式基礎でもよい。ただし、伸縮目地をまたがない計画とする。

軽微な機械基礎

1級建築施工管理技士 屋根・防水工事 ハト小屋

建築品質 屋根・防水


011) ハト小屋は雨水が入りやすい

屋内の設備機器と屋上の設備機器とを接続する配管類を、防水を傷めないで屋上に取り出すための小屋を一般にハト小屋という。ハト小屋室内から多くの配管を取り出すため、その配管まわりから雨水が侵入しやすい。また、ハト小屋内部での結露などのトラブルも多い。

1.ハト小屋の庇は深くする

はと小屋の防水の立上りのあごの上から設備配管を取り出し、その配管の周囲はアルミパネルなどの金属板で塞ぐ。配管のパネルの取合いはシールに頼るため、そこに雨水がかからないようにハト小屋の庇を深くする。


ハト小屋


ハト小屋の例

2.ハト小屋の屋根、庇は防水する

小規模のハト小屋の屋根はウレタンの塗膜防水程度でよいが、屋根の規模が大きくなったらクラックが入りやすいため、塩ビシート防水が安心である。

3.ハト小屋の内部には結露防水の断熱を

ハト小屋内部には室内天井内の暖気が上ってくるため、結露する可能性が大きい。したがって、ハト小屋内部は結露しないように断熱する必要がある。ハト小屋の面積が大きいときは、室内の気密性を高めるために床を設け、点検口を設けることも検討する。

4.ペントハウス(塔屋)の外壁から配管取り出しは水切りを設ける

ペントハウスはどの外壁から設備配管を取り出す場合は、大きく囲うような水切りを設け、配管まわりのシール部分に雨水がかからないようにする。また、配管は外部側を低くするように外勾配を設ける。

外壁からの配管の取り出し

5.小規模の配管取り出しには既製品のハト小屋を検討

屋上への配管取り出しが少ない場合は、既製品のハト小屋の利用も検討する。或いは、逆に数が多い場合は、PC化を検討も視野に入れる。

既製品ハト小屋の例

1級建築施工管理技士 屋根・防水工事 目地シール

建築品質 屋根・防水 ROOF・WATER PROOF


012) 目地シールは2面接着が基本

部材と部材の接合部(目地部)を、止水目的で塞ぐことをシーリング(シール)という。そのシーリング材(以下シール材)は、適正に使わないと切れやすく漏水の原因となる。また、シール材が外壁を汚したり、シールの表面に塗装したことによってブリーディング(軟化、滲みなど)を起こすこともある。

1.挙動する目地部のシーリングは2面接着とする

挙動する目地シーリングは3面接着だと切れやすい。2面接着だからこそ挙動に追従することができる。ただし、コンクリート造の水平打継ぎ目地などのように挙動しない固定目地部のシールは3面接着でもよい。


2.目地シールの幅と厚さの設計

外部金属部材の目地幅は部材の熱伸縮や層間変位、施工誤差、施工性などを考慮し、シーリング材の許容変形率をもとに決める。

外部金属部材の目地幅 W ≧ δ × 100/ε + 目地の許容誤差
δ:目地の変形量(mm)
ε:シーリングの許容変形率(%)
シールの厚さは基本的にシール幅が大きいほど厚さが必要

最小厚さは
シール幅10mm未満の時、シール幅と同じ厚さ
シール幅10mm以上の時、シール幅 × 1/2 かつ10mm以上


3.ダブルシール、深シールはシール幅20mm以上確保する

1次シール施工時に2次シール部のマスキングテープを貼り込む必要がある。目地幅が20〜25mmなければマスキングテープを貼るときに指が入らない。また、2次シールの時はバックアップ材の代わりにボンドブレーカー(ポリエチレンテープ)を使えば目地深さを小さくできる。深目地シールの時も同じく施工幅が必要である。


4.シリコンシールは外壁面を汚す

設備工事のベントキャップ(換気口)まわりにシリコンシールを使って、外壁を汚すことがある。外壁にシリコンシールを使ってはならない。

外壁の石やタイル壁のシールはPS2(2液性ポリサルファイド系シール)にする。
サッシの外部側ガラスシールのシリコンシールが下部の壁を汚すこともある。
汚れ防止の観点から外部側シールをPS2にし、内部側をシリコンシールにする。ただし、ガラス溝に排水機構を設けること、及びシールのメーカーや施工店がガラスシールの保証を出すことが前提となる。

5.化粧打放しコンクリートのシールはMS2に
*MS2(2液性変性シリコン)

化粧打放しコンクリートはシール施工後に仕上げの撥水塗装をする。シールはノンブリードタイプのMS2が良いが、塗布する撥水材との相性は確認する。

6.シールの上から着色塗装するシールはPUに
*PU(ポリウレタン系シール)

コンクリートやコンクリート系パネルの目地シールに外壁と同じ塗装をする場合、PS2ではブリーディングを起こす。シール表面に塗装を掛ける場合はノンブリードタイプのPUとする。

1級建築施工管理技士 屋根・防水工事 屋上目隠し壁

建築品質 屋根・防水 ROOF・WATER PROOF


013) 屋上目隠し壁は耐風型にする

ビルの屋上に空調屋外機や電気設備機器を設置する場合、美観上の配慮から目隠し壁や目隠しルーバーなどを設置する。この目隠し壁は正の風圧に加えて負の風圧を受けるため、台風時などに破損することがある。
鉄骨造の場合、支柱や耐風梁などの耐風強度だけでなく、強風による揺れや振動などの繰り返し変位も金物の耐力に大きく影響するので、注意が必要である。

1.目隠しパネル壁の耐風圧は正圧と負圧を考慮する

ALCやECPなどのパネル壁は正面側からの正圧には強いが、取付け金物側からの風圧には弱い、パネルの取付け金物側からの正圧とパネルにかかる負圧を合算した耐風圧に耐えることができるか支持部の強度検討が必要である。

外壁を立上げた目隠し壁では耐風強度に加えて雨仕舞を考慮する必要がある。屋上側に塞ぎ壁を設けるとおさまりが良い。

2.鉄骨造の目隠し壁やルーバーは緩み止めボルトで固定する

ルーバーやマリオン、化粧格子、機械の目隠しパネル、軽微な庇などは風によって振動し、固定しているビスやボルトが緩む。騒音の原因にもなるが、何よりも怖いのは飛散または落下である。

ナットの現場溶接や、ナットまわり止め、頭押さえなども緩み止め効果がある。緩み止め機能付きナットや緩み止め接着材付きビスもある。これらはそれぞれ性能が異なるので、部材に適したものを使う。

また、ダブルナットも緩み止めとして効果があるが、締め付け方に技術が要るため、信頼性に欠ける。スプリングワッシャーは緩み止めとして効果が小さいので使わない。

3.ルーバーは風切り音にも注意する

目隠しルーバーでは風切り音が問題になることがある。一般的に薄く角が鋭角なものに風切り音が発生しやすい。メーカーに確認するか実験で確認する。
目隠しルーバーの向きを間違えると、せっかくの目隠しも透けて内部が良く見えるケースがある。羽根の向きを人の視線が通らない向きにするのは基本である。

1級建築施工管理技士 屋根・防水工事 屋上緑化

建築品質 屋根・防水 ROOF・WATER PROOF


014)屋上緑化には灌漑設備と排水を

屋上緑化は都市のヒートアイランド現象を抑え、CO2削減効果があると期待されている。地域によっては条例などで緑化面積を規定しているところもある。屋上緑化を積極的に活用・展開すると同時に、防水上のトラブルにも注意したい。

1.屋上緑化で防水を傷めない

屋上緑化によって防水を傷めてはならない。植栽時やメンテナンス時に防水を傷めないように、必ず防水の保護層(保護コンクリート)が必要である。さらに植物の根は水のあるところへ伸び、防水をも傷めることがある。これを防止するため、耐根層及び耐根保護層の敷設が必要である。
屋上緑化の土がパラペット(防水立上り部)に接すると漏水の原因になる。パラペットと植栽の縁石の間はメンテナンス用の空間を設け、防水立上りに水を近づけないようにする。


屋上の植栽

2.植栽の土壌深さと強風対策

植栽の高さによって育成最小土壌深さがある。屋上は風が強い。高木は支柱が必要である。高木でなくとも、根が張るまで支柱で保持していやると安定が早い。また、強風による樹木の枝折れ、飛散防止も検討する。


植栽の土壌深さ

3.潅水設備は必要不可欠

人による潅水が計画されているなら、近くに散水栓を設けるだけでよいが、そうでない場合は土の乾燥状況をセンサーが感知して、あるいはタイマーによって自動で潅水できるようにしたい。できれば雨水を溜めて、潅水に利用したい。

4.屋上緑化は排水・保水性と施肥などのメンテナンスが大事

屋上の植栽部の排水性を良くすることは重要である。屋上保護コンクリートから一段(3㎝程度)かさ上げして植栽部の排水勾配を設けると、排水性が良くなる。また、土は軽量で通気性が良く保水性も良いものを採用したい。

5.ルーフドレンの落葉対策

屋上庭園では、落葉や枯葉、砂や泥によってルーフドレンが詰まる可能性がある。清掃などのメンテナンスはもちろんであるが、ルーフドレンの手前に泥溜を設け、落葉よけストレーナー(SUS製メッシュ状の筒)などを設けることも必要である。


屋上の雨水排水路


落葉よけストレーナー

1級建築施工管理技士 バルコニー工事 防水と排水

建築品質 バルコニー balcony


015) バルコニーの防水と排水

集合住宅のハネ出しバルコニーや開放通路は必ず防水する。防水しないとコンクリートの中性化が進行し、ヘヤークラック(微細なひび割れ)等から雨水が侵入し、中の鉄筋が錆びて、スラブ下端のコンクリートの剥落などの原因になる。

1.バルコニーの屋上庇は防水する

バルコニー庇はひび割れ誘発目地を設けたうえで塗膜防水し、ドレンに向けたスラブ勾配で集水する。塗膜防水はウレタン系塗膜防水でよい。主屋根のルーフドレンからの雨水と一緒に、建物側の縦管で排水する。この場合バルコニー庇のドレンと主屋根水下のレベル差は150mmを確保すると収まりが良い。

2.バルコニーにはひび割れ誘発目地を設ける

ハネ出しバルコニーの床はモルタルを塗っても浮きやすいので、コンクリート直押えとし、ひび割れ誘発目地を設ける。床天端の目地部はシールする。

3.バルコニーの排水は先端に設ける

建築物の排水計画は基本的にには、建物から外へと計画するもので、バルコニーの排水は、バルコニーの先端に排水溝を設けて、そこへ向かって勾配をとり、フロアドレンで下に抜いて横引きし、建物側縦樋に接続する。
排水溝を室内側に引き寄せると薄くなった溝底にひび割れが発生し、躯体を傷めるので望ましくない。

4.バルコニーは必ず防水する

バルコニーの防水を兼ねて塩ビシート(外部床用)を張る場合は、塩ビシートの周囲(立上りを含む)と排水溝部分はウレタン塗膜防水とする。空調屋外機を置く場合は、同じ塩ビ製のドレン(排水溝)を使うと汚れ防止にもなり、通行の妨げにもならない。
全面に塗膜防水とする場合は、平部はノンスリップ仕様にする。上部に庇がない場合及び下部に居室がある場合は、屋上用の防水仕様にする。

1級建築施工管理技士 バルコニー工事 手すり強度

建築品質 バルコニー  balcony


016) バルコニーの手すりは丈夫に

集合住宅のバルコニー手すりは、子どもが落ちないようにつくるのはもちろんであるが、恐怖感がないように、しかもいつまでも丈夫で安心・安全な手すりにした。

1.手すりの足元は強固に固定する

最も確実で汎用性があるのは、バルコニー先端に立上り躯体に手すり支柱を埋め込む方法である。こうすると縦格子やガラス手すりなど自在である。
手すり支柱を両側の鉄筋の間に設置し、ひび割れ誘発目地底から鉄筋のかぶりを確保すると鼻先コンクリートの厚さは最小190mmとなる。スリーブ径70mm、支柱径50mmとし、150mm以上埋め込む必要がある。
手すり足元は錆びないようにSUS材とする。

2.転落防止には細心の注意をはらう

縦格子の手すりでは、縦格子の隙間から子どもがすり抜けて落ちてはいけない。格子の隙間は110mm以下、足元の隙間は90mm以下にする。
ガラス手すりは、ガラスが割れて落下しないように、合わせガラスを採用する。飛散防止フィルムは経年劣化があるので、特に外部には不適である。
バルコニーのエアコン室外機などが足がかりとなれば転落の危険がある。足を掛けないように三角帽子をかぶせるか、手すり高さを上げて足がかりから手すり天端までの間隔を850mm以上離すなどの対策が必要である。

3.窓から転落することもある

窓台が650mm未満の低い位置に窓を設けた場合、開けた時に転落しないように手すりを設けるか、サッシに開放制限のあるものを採用する。

4.その他の注意点

上階のバルコニーに当たった雨水が水滴となり下階の金属手すりに落ちると、騒音となる。水切り位置をあらかじめ調整し、手すりの部材を厚くしたり、手すり金物に消音材を充填するなどの対策をとる。

1級建築施工管理技士 バルコニー工事 二重床で部屋と一体化

建築品質 バルコニー  balcony


017)二重床で段差をなくして広々と

高齢化が進む中、住宅の床段差での怪我が増えている。集合住宅のバルコニーの掃き出し窓では雨が入らないようにサッシ足元に立上りを設けて跨いで出入りするおさまりが一般的である。
これは高齢者でなくても出入りしにくく、危険である。
室内の床のフラット化に加えて、内部と外部の床をフラットにして住居の広がりと安全と快適さを実現したいものである。

1.内部床と外部バルコニーをフラットにする

外部床と内部床をフラットにするため、外部側の躯体を床を下げて水勾配を設け、フラットサッシを取り付けて防水を納め、外部床仕上げを内部床レベルに合わせると良い。
ウッドデッキなど目地からの排水を可能とすれば、完全にフラットな床ができる。フラットサッシとの取合いに排水目地を設け、押し水処理をする。
ウッドデッキにした場合は、床下の清掃やフロアドレンの清掃などのメンテナンスも考慮しておく。

同様の考え方をすれば、外部の床にエキスパンション・ジョイント(EXP.J)がある場合も、防水立上りはEXP.J金物を目立たなくして、フラットな床を設けることができる。
また、植栽スペースも含めてフラットな広がりを演出できる。

2.内外フラットな外部出入り口は排水溝を設ける

外部出入口のドアは内部と段差を設けることが雨仕舞の鉄則である。しかし、自動ドアは頻繁に出入りに使うドアは使い勝手上、段差はもとより15mmの水返しも設けたくない。
こんな時は雨の吹き降りが出入口に当たらないようにできるだけ庇を大きく出し、出入口の外部側に細い排水溝を設けて雨の浸入を防ぐ。また、外部側の床は、強風による押し水が来ないように、1/50程度の水勾配を設ける。

1級建築施工管理技士 屋根工事 屋根勾配の確保

建築品質 屋根  roof


018) 屋根仕上げに合った屋根勾配を

建築の屋根は厳しい自然環境に耐えなければならない。風雨に耐える屋根が建物の寿命を決めるといってもよい。
屋根をゆるい勾配にしたために雨が漏るといった品質問題がある。
屋根材料と葺き方は多種にわたり、その葺き方ごとに雨を漏らさない最小勾配がある。設計者は最小勾配を守って屋根をデザインする必要がある。

1.屋根は不燃材で葺く

建築基準法により屋根は不燃材で葺かなければならない。また、30分耐火にしなければならない屋根もある。屋根としての耐火認定品を使うときは、認定条件や工法を確認する必要がある。

2.屋根の最小勾配は屋根葺きの種類で決まる

屋根材料は定尺があり、大きさに限度がある。材料どうしにジョイントは瓦のように重ねて水を切るもの、金属板のように折曲げ加工(はぜ折り)で連結するものなど、雨が入らないように工夫されているが、それは雨水を切る勾配が確保されていることを前提としている。屋根葺きの種類によって雨を漏らさない最小勾配がある。
和瓦葺きの屋根は一般に4寸5分勾配といわれ、同じ勾配の甍の連なる街並みは美しい。

3.屋根の設計・施工は風圧力を算定してから

屋根は台風など強風で剥がれて飛散させてはならない。屋根は平成12年建設省告示1454号、同第1458号により風圧力を算定し、その風圧力に耐えるように葺かなければならない。
特に軒先や軒隅部、棟部では大きな負荷がかかる。
この負圧に対して、例えば屋根材が釘止めなら、釘の引き抜き抵抗力が負圧に勝っていることを確認する必要がある。不足している場合は本数を増やすなどして耐風圧を増す必要がある。

風圧力:W = q × Cf(高さ13m以下の建築物は適用外)
q:平均風速圧 [ N/mm2 ] で地表面粗度区分や高さ、
風速による q = 0.6× Er2× V02
Er:平均風速の高さ方向の分布係数
(告示第1454号Zb,ZG、
αは地表面粗度区分に応じた数値)
屋根面の平均高さHがZb以下の時
Er = 1.7 ( Zb/ZG )α
屋根面の平均高さHがZbを超える時
Er = 1.7 ( H/ZG )α
V0:基準風速 [ m/s ] 地域ごとに決められた風速
Cf:ピーク風圧係数で屋根形状ごとに
計算方法が定められている
Cf = ピーク外圧係数 ー ピーク内圧係数

※ちなみに切り妻屋根では、屋根傾斜角20° の時に負のピーク外圧係数は次のとおり最大となる。
一般部 -2.5
周辺部 -3.2
隅角部 -3.2
棟隅部 -5.4

1級建築施工管理技士 屋根工事 瓦屋根

建築品質 屋根  roof


019) 瓦は風で飛ばないように

粘土瓦葺きは日本の文化であり、景観上も、耐久性やメンテナンス性からも優れた屋根である。台風時の瓦の飛散防止や耐震性確保の観点から、引掛け桟瓦を釘止めとする工法が主流となっている。

1.瓦には規格がある

瓦の材質と大きさは「JIS A5208 粘土かわら1996」で定められている。最も一般的な和瓦の引掛け桟瓦J型の53Aは3.3m2当たり53枚、瓦サイズは長さ305mm、幅305mm、はたらき寸法は長さ 235mm、幅265mm(許容差±4mm)、谷深さは35mm以上である。吸水率はいぶし瓦で15%以下である。寒冷地では耐凍害性を証明する資料(JISによる凍害試験成績など)を確認する。

2.風で飛散させない

屋根の瓦は強風時の負の風圧力によって飛散する。よって、屋根の風圧力を建設省告示第1454号、同第1458号によって求め、それに耐えうる工法を採用することが重要である。( 018 参照)。一般に軒先やけらば、棟端部などは負圧が大きくなるので必ず確認し、適切な耐風工法を採用する。耐風工法と耐風圧(負圧)は全日本瓦工事業連盟による瓦屋根標準設計・施工ガイドラインを参考にする。
(  )の数字は最大引き上げ荷重を示す。

①瓦全数緊結工法(2,209N/m2
すべての瓦を瓦尻に瓦緊結用釘で固定する

②桟山固定縦桟工法 3列毎縦桟固定(6,222N/m2
瓦全数緊結用釘全固定に加えて、瓦山の先端部をパッキン付きステンレスねじ縦桟木に固定する。

③組み合わせ葺き工法(耐風型瓦固定工法)(6,285N/m2
耐風型瓦はJ形瓦の切欠き部に突起を設けた瓦である。下部突起は受け側で、上部突起は押さえ込みとして、瓦の浮き上がりに対して抵抗するようにしたもの。この耐風型瓦を使用し、瓦尻を瓦緊結用釘で固定する。

④7形釘補強工法 3列毎7形釘固定(6,222N/m2
         2列毎7形釘固定(8,266/m2
瓦緊結用釘で全固定とし、瓦先端の重なり部分を7の字形状の釘で押さえ込む工法である。
けらばや軒先も風圧力(負圧)が大きく、次の補強を参考にすると良い。

⑤右袖瓦縦桟ねじ補強(16,000N/m2

⑥右袖瓦谷右側ねじ補強(12,600N/m2

⑦軒先瓦縦桟ねじ補強(12,800N/m2

⑧軒先瓦7形釘補強(11,000/m2