1級建築施工管理技士 く体工事 基礎工事

第4章 地業工事 杭工事 

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◆◆ 既成コンクリート杭 ◆◆
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1)杭の運搬及び取扱い
①杭の運搬及び取扱い 積込み・荷降し 2点、1/5の箇所
②杭の建込み 杭上端部から 2mの位置を吊り点位置とする
2)打ち込み工法
①打撃工法
 ディーゼルハンマ、ドロップハンマ(もんけん)
 バイブロハンマ、油圧ハンマ
②プレボーリング併用打撃工法
 オーガーによる掘削径
 通常、粘性土の場合、 杭径 – 50mm
③杭の打込み
 一群の場合 中心から外側へ
 一本の打込みは中断しない
④杭の打止め
 指定された深さで行う
 支持層まで到達すること
3)埋込み工法
①プレボーリング工法(セメントミルク工法)
 【 アースオーガーによる掘削の施工上の留意事項 】
・屈進速度が速すぎると、
 先端の掘削ビットに過大な負担がかかり、
 ビットが横に逃げたり、ロッドが曲がるなどして、
 掘削孔の曲がりが生じやすくなる。
 土質によって屈進速度を変える必要がある。 
 → 硬い地盤ほどゆっくり掘削する。
・掘削中に孔壁の崩壊が生じるおそれがある場合は、
 必要に応じて掘削液(安定液)を使用する。
・アースオーガーの引き上げに当たっては、
 負圧によって地盤を緩めないように
 ゆっくりと正回転で引き上げる。
・掘削土は、杭の高止まりが生じないように十分排出する。
 
【 杭の建て込みの施工上の留意事項 】
・掘削孔壁が崩壊することがないように、速やかに行う。
 孔壁の崩壊は高止まりの原因となる。
・孔壁や杭体を損傷することのないよう、
 鉛直に吊り下げた状態でゆっくり行う。
・建て込み後に杭が自沈するおそれのある場合は、
 固定ち具などにより杭を保持し、
 自沈しないように設置高さの位置で固定しておく。
②中掘り工法:
杭中空部にオーガー等を挿入し、杭先端地盤を掘削しながら、杭中空部から排土して杭を設置する工法。 
直径 500mm以上に適する
杭先端にはフリクションカッターを取り付ける
4)杭の継手
①溶接継手または接続金具による無溶接継手とする。
②【 溶接継手の留意事項 】
・溶接は原則としてアーク溶接とする。
・継手部の開先の目違い量(杭心のずれ)は 2mm以下
 許容できるルート間隔(杭間のすき間)は 4mm以下
・仮付け溶接は、点付け程度のものでなく、
 必ず 40mm以上の長さとし、本溶接と同等のものとする。
・溶接の盛上げの不足があってはならないが、
 余盛りは 3mm以下とし、不要な余盛りは行わない。
・杭の継手を手溶接とする場合、
 JISに定める A-2H 程度の有資格者に行わせる。
・継杭における下杭の打残しは、
 溶接作業に都合のよい高さ( 1m程度)とする。
・風速が 10m/s 以上ある場合、
 適切な防風措置を講じて溶接作業を行う。
5)杭の施工精度
・杭頭の設計位置と水平方法のずれ
 D/4( D は杭径)以内、かつ 100mm以内
・杭の傾斜
 1/100 以内
※許容範囲を超えた場合には設計者に確認及び検討が必要である。



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◆◆ 場所打ちコンクリート杭 ◆◆
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1)施工
①コンクリートの調合
・一般に養生温度による強度補正は行わない。
 mSn = 0
 特記のない場合は、
 構造体強度補正値の値は 3 N/mm2とする。
・調合は共仕によると
 A種 c/w 60%、、スランプ 18㎝、粗骨材Max25mm、
   単位セメント量 310 kg/m3(無水掘りの場合)
 B種 c/w 55%、、スランプ 18㎝、粗骨材Max25mm、
   単位セメント量 340 kg/m3(無水掘り以外)
②掘 削
・試験掘削に使用する安定液の品質試験は、
 粘性、比重、ろ過水量、pH、砂分、塩分の全項目について行い、
 以後は粘性及び比重について行う。
・杭の先端部は所定の支持地盤に確実に到達させ、
 原則として、杭先端は支持地盤に 1m以上根入れさせる。
・掘削深さの確認は、
 重錘(じゅうすい)と検測テープを用いて
 杭底の2箇所以上で測定する。
③スライム処理(杭底処理)
・スライムとは、孔内の崩落土、泥水中の土砂等が沈殿したもの。
 杭底部のスライムの介在は先端支持力を著しく低下させるので、
 スライムの除去は確実に行わなければならない。
・スライムの処理には、
 1次スライム処理(掘削完了直後に行う)と
 2次スライム処理(コンクリート打設直前に行う)がある。
④鉄筋かごの組立て・吊込み(建込み)
・鉄筋かごの組立て(主筋と帯筋等)は、
 原則として、0.8mm以上の鉄線で結束する。
 ただし、帯筋の継手は片面 10d 以上のフレアーグルーブ溶接とし、
 補強リングは、主筋に断面欠損を起こさないように堅固に溶接する。
・鉄筋のかぶり厚さは、
 アースドリル及びリバース工法では 10~15㎝程度、
 オールケーシング工法では 15㎝程度で設計されることが多い。
・鉄筋かごは、かぶり厚さを確保するために、
 スペーサーを深さ方向に 3~5m間隔を目安として、
 断面4箇所以上取り付ける。
 設計図によるが、かご主筋への取り付けはさける。
 がご主筋に設置する場合は、
 アンダーカットに注意する。
・通常、鉄筋かごは掘削前に組み立てておく。
 したがって、掘削後の検測で、
 鉄筋かごの長さと掘削孔の深さに差がある場合がある。
 掘削孔の深さが浅い場合には、最下段に鉄筋かごで長さを調整する。
 これは杭は一般に上部の方が配筋量が多いので、
 上部の配筋が不足しないように配慮したものである。
・鉄筋かごの建起こしと建込みは、
 かごに有害な変形が生じないように行う。
 また、建込みは、孔壁を崩壊しないように、
 鉄筋かごを杭中心に合わせ鉛直性を保ちながら行う。
⑤コンクリートの打設等
・コンクリートの打ち込みは、泥水を巻き込むことがなく
 良質なコンクリートに置換するために
 原則としてトレミー菅を用いる。
・コンクリート打ち込み開始時には、
 プランジャーをトレミー菅内の泥水(安定液)
 の上に乗った形で設置して、
 コンクリートと泥水等が混ざり合うのを防ぎ、
 下部か泥水等を押し上げるようにコンクリートを打設する。
・トレミー菅及びケーシングチューブ(オールケーシング工法の場合)は、
 これを引き抜きながらコンクリートの打ち込みを行う。
 このとき、トレミー菅及びケーシングチューブの先端は、
 コンクリートの中に常に 2m以上入ってるように保持する。
・杭底から押し上げられてきた不健全なコンクリートを、
 余盛り部分に集めてコンクリート硬化後削り取る。
【 場所打ちコンクリート杭の余盛りの高さ 】
孔中に水が少ない場合 オールケーシング       50㎝以上
孔中に水が多い場合  アースドリル、リバース 80~100㎝程度
※上記余盛り高さを確保するため、スタンドパイプ取り外し後に、杭頭レベルが若干下がることを考慮してコンクリート打設完了時は少し高いめのレベルに設定しておく。
・杭築造完了後、
 杭孔周囲の地盤の崩壊防止と転落防止のため
 空掘り部分の埋戻しを行う。
 埋戻しの時期は、コンクリート打込みの翌日以降、
 杭頭のコンクリートが初期硬化をしてから行う。
2)施工後の処理
①施工精度
杭の水平方向のずれ 100mm以下、傾斜 1/100以下
・断面寸法は、設計断面以下にならないことを基準とする。
 拡底径の場合は、拡底率が設計に関わる場合があるので注意する。
・鉛直精度や杭径は、通常、超音波孔壁測定結果から求める。
②杭頭の処理
 余盛り部分や不良コンクリート部分をはつり取り、
 健全なコンクリートを露出させる。
【 杭頭処理の施工上の留意事項 】
・コンクリート打込みから 14日程度経過した後、
 所定のコンクリートの強度が得られてから行う。
・はつり作業に際しては、
 杭本体へのひび割れや損傷防止に留意し、
 平らにはつり取り、所定の高さにそろえる。
・設計図書に示された高さまで余盛り部分を除去しても、
 杭頭コンクリートに不良部分が残る場合がある。
 その場合には、不良部分を除去し、
 コンクリートを打ち直さなければならない。



3)代表的な工法の概要
アースドリル工法(地盤ドリル工法)
 表層ケーシングを建て込み、回転バケットで掘削する。
   ↓
 掘削完了後、スライムを除去する。
   ↓
 鉄筋かごを挿入し、トレミー菅をセットして
 必要に応じて再度スライムを除去する。
   ↓
 コンクリートを打込む。
   ↓
 空掘り部分を埋め戻す。
・掘削孔壁の保護は、地盤表層部はケーシングにより、
 ケーシング下端以深は、
 ベントナイト、CMCを主体とする安定液により
 孔壁にできるマッドケーキ(不透水膜)と水頭圧により保護する。
・安定液の粘性
 安定液はベントナイト、CMC、分散剤等からなり、
 分散剤は液の劣化を防ぎ、くり返し使用を可能にするもの。
 安定液の配合は、必要な造壁性・比重のもので、
 短時間で砂分を沈降させるため、
 できるだけ低粘性・低比重のものとするのがよい。
・粘性はファンネル粘性で表されるが、
 その数字が大きいほど粘性は高い。
・必要粘性とは、対象地盤に必要とする粘性をいい、
 作液粘性とは、新しく作った安定液の粘性をいう。
 アースドリル工法では、
 安定液をくり返し使用すると粘性が小さくなることが多いので、
 一般的に、作液粘性は必要粘性より大きくする。
・くり返し使用する場合の安定液は、
 粘性、比重、砂分、ろ過水量、ケーキ、pHについて
 管理しながら施工する。
・支持層の確認は、全杭についてバケット内の土砂を、
 土質柱状図及び土質資料と対比し、併せて記録する。
・1次スライム処理:底ざらいバケットで処理する。
・1次処理に用いる底ざらいバケットは杭径より 10㎝小さいものを用いる
・1次処理に用いる底ざらいバケットの昇降は、
 孔壁が崩壊することがないよに緩やかに行う。
・2次スライム処理:
 水中ポンプ方式、エアーリフト方式等で処理する。
リバース工法(リバースサーキュレーション工法)
・スタンドパイプを建て込み、
 その部分をハンマーグラブで掘削する。
   ↓
 その後は回転ビットで掘削し、
 掘削完了後スライムを除去する。
   ↓
 鉄筋かごを挿入し、
 トレミー菅をセットして必要に応じて再度スライム除去する。
   ↓
 コンクリートを打込む。
   ↓
 空掘り部分を埋め戻す。
・特殊な回転ビットを地上に設置したロータリーテーブルを通じて
 緩やかに回転させて掘削し、
 排土は水に混じった掘削孔底部の土砂を水と一緒に逆循環方式で吸い上げて行う。
・孔壁保護は、原則として水(土質によってはベントナイト溶液を使用することもある)を用い、静水圧を 0.02 N/mm2以上に保つことにより孔壁の崩壊を防ぐ工法なので、掘削に際しては地下水位を確認し、水頭差を 2.0m以上に保つようにする。スタンドパイプは、地表面部分の孔壁の崩壊を防ぐ役割を果たすとともに、その水頭差を確保するために掘削孔頭部にのみ貫入させるものである。また、スタンドパイプの径は、杭の孔径より、150〜200mm大きくする。
・支持層の確認は、全杭について、デリバリーホースの末端から掘削土砂を採取し、土質柱状図及び土質資料と対比して行い記録する。
・1次スライムの処理
 回転ビットを孔底より若干引き上げて、空回しして吸い上げる。
・2次スライムの処理
 トレミー菅とサクションポンプ等により処理する。
・スタンドパイプは、地表面の崩壊防止にも役立つので、コンクリートを所定の高さまで打設しトレミー菅を引き抜いた後に引き抜く。
オールケーシング工法(ベノト工法)
 ケーシングチューブを圧入しながら、ハンマーグラブで掘削する。
   ↓
 掘削完了後、スライムを除去する。
   ↓
 鉄筋かごを挿入し、トレミー菅をセットして
 必要に応じて再度スライムを除去する。
   ↓
 コンクリートを打込む。
   ↓
 空掘り部分をうめ戻す。
・掘削にあたって、
 掘削孔全長にわたってケーシングチューブを使用するので、
 孔壁の崩壊が少ない。
・孔壁の保護は、基本的にケーシングチューブを用いるが、
 ボイリング、ヒービングが発生するおそれがある場合は、
 孔内に水をはり防止する。
・支持層の確認は、
 全杭についてハンマーグラブでつかみ上げた土砂を、
 土質柱状図及び土質資料と対比し、併せて記録する。
・1次スライム処理:
 孔内水がない場合やわずかな場合は、
 ハンマーグラブで杭底処理する。
 孔内水が多い場合は、
 その後、沈殿バケット(スライムバケット)で処理する。
・2次スライム処理:
 水中ポンプ方式、エアーリフト方式等で処理する。
・ケーシングチューブを急速に引き抜くと
 コンクリートに泥水等を巻き込むことになるので、
 十分に注意する。
・鉄筋かごがケーシングチューブに接触して浮き上がってしまう
 鉄筋の供上がりが発生した場合は、
 早期発見が大切で、
 鉄筋頂部から供上がりチェック用の鉄線を
 ケーシングチューブ天端まで伸ばしておき、
 引き抜き初期にチェックを行う。
・供上がり防止策
 ・ケーシングチューブの内面をよく清掃する
 ・ケーシングチューブは、
  変形・曲がりのないものを鉛直に建て込む
 ・スペーサーの形状、高さ及び位置に注意する。
 ・鉄筋かごを曲がりや変形のないように建て込む。
工法の特性.jpg