043) 外壁石張りは乾式工法とする
外壁石張りの湿式工法では、下部固定部取付けモルタルや裏込めモルタルに水が廻って、雨が上がった後に石の表面が濡れ色になったり、白華現象(エフロレッセンス)の発生や冬場は凍害などの恐れもある。さらに、地震などの際、躯体の変位やクラック発生の影響を直接受けて、石が割れたり剥がれたりする可能性もある。湿式工法は、公共建築工事標準仕様書で高さ10m以下の外壁工事に適用するとされている。石張りをいつまでも美しく保ち、躯体の変位の影響を受けにくい乾式工法が主流になっている。
1.乾式工法による石の取付け
石取付けのだぼ穴部分が風圧力に耐えるか、使用石材の強度試験で確認する。石は4カ所のファスナーで固定するが、1カ所は効いてないものとして、それでも十分耐力があることを確認し、石の厚さを決める。通常は石厚30mm以上(内部は25mm以上)とし、だぼ穴にファスナー(取付け金物)で取り付ける。ファスナーはステンレス(SUS)製とし、1段ごとに石の荷重を受ける。石の目地幅は8mmとし、ポリサルファイド系シーリング(PS-2)を充填する。幅木だけは湿式取付けとし、取付けモルタルの天端を塗膜防水して侵入水は縦目地から排水する。
2.乾式工法の石張りは人や物の衝撃で割れやすい
乾式の場合、腰部分は物や人の衝撃で割る恐れがある。板厚を上げるか、繊維強化プラスチック(FRP)で裏打ち補強をするなど検討する。
3.下がり壁部分の石の取付けに注意する
外壁の下がり壁やまぐさ(開口部の上部の壁)部の石には、その荷重を受けるための石(力石)を2カ所設ける。力石はだぼピン2本と接着剤を併用して壁石に固定されており、石受け金物に荷重を預ける。外壁の石目地から入った水は、ステンレス製フラッシング(塞ぎ板)で目地部へ導かれ、水抜きから外部に排出される。
4.上げ裏(軒天井部)の石取付け
上げ裏部や梁底などの石張りは落下しないように、必ずファスナーと吊りボルト併用で固定する。吊りボルトはSUS製とし、石一枚に2カ所以上設け、吊りボルト1本でも十分支持できるような強度を確保する。大地震(400gal)時、鉛直方向の震度K=1.0でも脱落しない安全性が求められる。また、石は一部が割れても脱落しないようFRPで裏打ち補強をする。