046)タイルとモルタルではどっちが剥がれやすいか
タイル張り外壁の品質問題は、剥離や剥落である。タイルだけが付着不良で剥離、剥落するだけではない。コンクリート躯体と下地モルタルの付着不良により、下地モルタルごと剥離、剥落することもある。
1.コンクリートと下地モルタルの付着を確実に
脱型しやすい合成型枠を使用するため、コンクリートの表面が平滑な状態になる。そこに下地モルタルを塗ると、付着が十分でなく、剥離が起きやすい。下地モルタルが確実に付着するように、コンクリートの表面を超高圧水洗処理で筋状目荒らしをして、下地モルタルを塗ると確実である。カップサンダーによる目荒らしは、荒らした際の砂やモルタルの粒子を水洗いでは十分に取り除くことができないので採用しない。下地モルタルは木ごてで平滑に押さえる。タイル張りの施工前に下地モルタルの浮きやひび割れが無いかを確認し、不良箇所があれば補修する。
2.下地モルタルと張付けモルタルの付着を確実に
下地モルタルの水しめしを十分にした上で張付けモルタルを塗る。張付けモルタルは2度に分けて塗りつける。張付けモルタルが乾燥しないうちにタイルを張り付ける。
3.タイルの裏足をしっかり圧着
タイルの付着を良くするためにタイルの裏足に張付けモルタルが食い込むように、タイル裏に空気が残らないようにしっかり圧着させる。モザイクタイルは乾式でつくられるため、裏足のあり形状が湿式タイルほど十分でない。このためしっかり圧着することが重要である。
4.タイル施工後の付着の確認
タイル張り施工後、目地モルタルの強度が出てから打音試験を実施する。また、接着力試験も合わせて行う。試験体を100m2に1個とし、全体で3個以上実施する。接着力試験はタイルの目地部分をコンクリート面まで切断して周囲と絶縁し、引張試験機で接着強度を測定する。後張り工法で0.4N/mm2以上を合格とする(先付け工法では0.6N/mm2)。浮きや接着強度が不足しているときは、監理者に報告し承諾を得て張り直す。
特殊建築物等の外壁をタイルで仕上げた場合、特殊建築物等の定期調査時にタイルの劣化及び損傷の状況を調査し、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。調査方法及び結果の判定基準は特殊建築物等定期調査業務基準(監修国土交通省住宅局建築指導課・財団法人日本建築防災協会)による。
外壁タイル張りの建物は剥離・剥落すれば歩行者等に重大な危害を加えることになるので、建物所有者は、調査結果をもとに健全な維持保全に努めなければならない。