7章 鉄骨工事 10節工事現場施工

第7章 鉄骨工事

10節 工事現場施工
7.10.1 適用範囲
(a) ここでいう工事現場施工とは、鉄骨製作工場で加工・製作されたのち、工事現場に搬入された各部材の仕分け・建方及び部材相互の接合によって、鉄骨工事が完了するまでに要する作業並びにこれらに関する仮設工事を対象とする。
(b) 工事現場施工は、鉄骨製作工場での鉄骨製作と異なり受注者等が直接施工管理を行うものである。
(c) 工事現場においては受注者等は、必要に応じて受注者等の鉄骨工事担当技術者(以下、担当技術者という。)を別に定めて、担当業務とその責任を明確にするよう指導する。
担当技術者には、(一社)日本鋼構造協会の「建築鉄骨品質管理機構」が認定登録している「鉄骨工事管理責任者」(7.1.4 (c)参照)の有資格者等が参考となる。
(d) 計画に際し、担当技術者は、設計図書をはじめ工事現場状況や制約条件を調査・確認し、各種検査の計画を立案したうえで施工計画書を作成し、監督職員はこれを検討し品質計画について承諾をする。
(e) 担当技術者は、計画に基づいて、鉄骨工事の各工程で検査及び確認を行い、設計図書に示された品質を確保する。
(f) 受注者等が工事現場で行う検査の項目は、次のとおりである。
なお、監督職員は、受注者等が行った管理、検査の結果について報告を受けたのち、必要に応じて検査を実施する。
(1) アンカーボルトの埋込み
(位置・出の高さ、モルタル面の精度)
(2) 搬入された鉄骨製品の外観
(曲がり・傷の有無、塗装部の傷の有無等)
(3) 建方
(建入れ精度・接合部の精度)
(4) 高カボルト接合
(一次締め、マーキング、ピンテールの破断状態、
 とも回り・軸回りの有無、締付け後のナット回転量、余長等)
(5) 工事現場溶接接合
(開先部の精度、溶接外観、表面欠陥、内部欠陥)
(6) デッキプレート工事
(焼抜き栓溶接、アークスポット溶接の外観、母材への影響)
(7) スタッド工事
(溶接外観、打撃曲げ試験結果、母材への影響)
(8) 他工事との関連溶接
(ビード外観、溶接位置・長さ)
(9) 工事現場塗装
(素地ごしらえ、塗膜厚、外観)
(10) 耐火被覆
(下地処理、厚さ、かさ比重)
7.10.2 建方精度
(a) 建方精度の確保は、接合部の耐力確保と並んで工事現場施工の品質管理のかなめである。本接合完了後の建方精度を確保するためには、アンカーボルトの据付け精度、工事現場接合部の精度確保が前提となる。
(b) アンカーボルトの据付け精度は、JASS 6付則6[鉄骨精度検査基準]付表5[工事現場]による( 7.13.1参照)。
(c) 高カボルト接合部の精度はJASS 6付則6付表2[高カボルト]により、工事現場溶接接合部の精度は、JASS 6付則6付表1[工作および組立て]による。
(d) 本接合完了後、建方精度の測定を行う。その精度はJASS 6付則6付表5[工事現場]による。
特に建物外周部の柱の倒れは外装仕上げ材の納まり、SRC造での鉄筋の納まり等に影響が出る場合があるので関連工事に反映させる。なお、建方精度の測定に当たっては、温度の影響を考慮する。



7.10.3 アンカーボルト等の設置
(a) アンカーボルト
(1) 適用範囲
アンカーボルトによって鉄骨骨組(鉄骨鉄筋コンクリート造の鉄骨も含む。)を鉄筋コンクリート造部分(RC造)に接合し、固定することを定着という。
一般には、鉄骨柱とRC造の基礎との接合部すなわち柱脚を指すことが多い。
ここでは定着の代表的な部位として柱脚を取り扱うが、図7.10.1に示すようなほかの定着部位についても準用できる。
図7.10.1_定着部位の例.jpg
図7.10.1 定着部位の例
(2) アンカーボルトの役割
柱脚の形式は、骨組の規模柱からの応力伝達の条件により多岐にわたるが、基本的には、(イ)露出形式、(ロ)根巻き形式、(ハ)埋込み形式 の3つに分けることができる。その例を図7.10.2に示す。
一方、アンカーボルトに要求される役割は、次の2種に分けられる。
① 建方用アンカーボルト
躯体工事完了後は構造耐力を負担しないアンカーボルトで、主に建方の手段として用いる。
② 構造用アンカーボルト
躯体工事完了後も構造耐力を負担するアンカーボルトで、引張カ・せん断力及びこれらの組合せ力を負担する。
アンカーボルトの施工に当たっては、上の役割について留意する必要がある。
図7.10.2_柱脚の形式.jpg
図7.10.2 柱脚の形式
(3) アンカーボルトの形状・寸法及び品質
(i) アンカーボルトの形状・寸法及び品質は7.2.4による。
(ii) アンカーボルトの形状の一例を図7.10.3に示す。
図7.10.3_アンカーボルトの形状の例.jpg
図7.10.3 アンカーボルトの形状の例
(4) 「鉄骨造の柱の脚部を基礎に緊結する構造方法の基準を定める件」を次に示す。

鉄骨造の柱の脚部を基礎に緊結する構造方法の基準を定める件
(平成12年5月31日 建設省告示第1456号、最終改正平成19年9月27日)
建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第66条の規定に基づき、鉄造の柱の脚部を基礎に緊結する構造方法の基準を次のように定める。
建築基準法施行令(以下「令」という。)第66条に規定する鉄骨造の柱の脚部は、次の各号のいずれかに定める構造方法により基礎に緊結しなければならない。ただし、第一号(ロ及びハを除く。)、第二号(ハを除く。)及び第三号の規定は、令第82条第一号から第三号までに規定する構造計算を行った場合においては、適用しない。
一、露出形式柱脚にあっては、次に適合するものであること。
イ.アンカーボルトが当該柱の中心に対して均等に配置されていること。
ロ.アンカーボルトには座金を用い、ナット部分の溶接、ナットの二重使用その他これらと同等以上の効力を有する戻り止めを施したものであること。
ハ.アンカーボルトの基礎に対する定着長さがアンカーボルトの径の20倍以上であり、かつ、その先端をかぎ状に折り曲げるか又は定着金物を設けたものであること。ただし、アンカーボルトの付着力を考慮してアンカーボルトの抜け出し及びコンクリートの破壊が生じないことが確かめられた場合においては、この限りでない。
二.柱の最下端の断面積に対するアンカーボルトの全断面積の割合が20%以上であること。
ホ.鉄骨柱のベースプレートの厚さをアンカーボルトの径の1.3倍以上としたものであること。
ヘ.アンカーボルト孔の径を当該アンカーボルトの径に5 mmを加えた数値以下の数値としかつ、縁端距離(当該アンカーボルトの中心軸からベースプレートの縁端部までの距離のうち最短のものをいう。以下同じ。)を次の表に掲げるアンカーボルトの径及びベースプレートの縁端部の種類に応じてそれぞれ次の表に定める数値以上の数値としたものであること。
建告1456号ベースプレートの縁端部.jpeg
二、根巻き形式柱脚にあっては次に適合するものであること。
イ.根巻き部分(鉄骨の柱の脚部において鉄筋コンクリートで覆われた部分をいう。以下同じ。)の高さは、柱幅(張り間方向及びけた行方向の柱の見付け輻のうち大きい方をいう。第三号イ及びハにおいて同じ。)の2.5倍以上であること。
ロ.根巻き部分の鉄筋コンクリートの主筋(以下「立上り主筋」という。)は4本以上とし、その頂部をかぎ状に折りげたものであること。この場合において、立上り主筋の定着長さは、定着位置と鉄筋の種類に応じて次の表に掲げる数値を鉄筋の径に乗じて得た数値以上の数値としなければならない。ただし、その付着力を考慮してこれと同等以上の定着効果を有することが確かめられた場合においては、この限りでない。
根巻き形式柱脚の鉄筋の種類.jpeg
ハ.根巻き部分に令第77条第二号及び第三号に規定する帯筋を配置したものであること。ただし、令第3章第8節第1款の2に規定する保有水平耐力計算を行った場合においては、この限りでない。
三、埋込み形式柱脚にあっては次に適合するものであること。
イ.コンクリートヘの柱の埋込み部分の深さが柱幅の2倍以上であること。
口.側柱又は隅柱の柱脚にあっては、径9 mm以上のU字形の補強筋その他これに類するものにより補強されていること。
ハ.埋込み部分の鉄骨に対するコンクリートのかぶり厚さが鉄骨の柱幅以上であること。
鉄骨造の柱の脚部を基礎に緊結する構造方法の基準を定める件

(5) アンカーボルトの位置と高さ
(i) アンカーボルトの埋込み精度は、ボルトの平面的な位置とボルト頭部の突出し寸法が主なポイントである。また、柱建方時にアンカーボルトがベースプレートの孔に無理なく挿入でき、ナット締付け時のベースプレートとの密着度を高めるために、長さ方向の垂直度を正確に保つことも大切である。
(ii) ボルト頭部の出の高さは、二重ナット締めを行っても外にねじが3山以上出ることを標準とする。
(b) 構造用アンカーボルト及びアンカーフレーム
構造用アンカーボルト及びアンカーフレームの形状並びに寸法は、特記によることとしている。
(c) 建方用アンカーボルトの保持及び埋込み
(1) アンカーボルトの保持は、あらかじめアンカーボルトに振れ止め等を溶接し組み立てたものを、取付け場所に固定する。
組立に際しては、型板を用い正確に組み立てる。また、取付け場所に固定する場合にも、図7.10.4のように型板を用い通り心に正しく合わせる。
(2) アンカーボルトの保持及び埋込みの工法
(i) アンカーボルトの埋込み方法には、図7.10.4に示す方法があるが、上部の移動を止めるだけでなく、下部のコンクリートの流れによる移動も確実に止めなければならない。
(ii) 簡単なものではアンカーボルトの下部を基礎の鉄筋に鉄線で緊結する程度であるが、重要なものでは、下部のコンクリートに金物を埋め込んでおき、これに溶接する方法、鉄筋あるいは鉄骨を用いてフレームを作り、これを固定しておきアンカーボルトと緊結する方法がある。
「標仕」表7.10.1の工法を図示すると図7.10.4のようになる。このうち、A種は(イ)、B種は(ロ)、 C種は(ハ)である。
なお、「標仕」のC種はアンカーボルトの台直しを考慮した方法であるが、台直しは引張力の低下を招くなど構造的には好ましくないため、事前に設計担当者と打ち合わせておく。
台直しのために薄鉄板を用いた漏斗状のラッパを用いるが、ラッパはコンクリートの硬化後取り外すことになる。取り外したのちは、直ちに布等を詰め、ごみ等の入らないようにする。また、ラッパの外側のコンクリートは、厚さが薄くなると割れるおそれがあるので注意が必要である。この方法によるアンカーボルトの位置の修正は、一般に、ラッパの径の 1/4~1/5 程度とされている。ラッパの代わりにポリスチレンフォーム保温材等を用いることがあるが、あとの処置がうまくいかないので注意する。
図7.10.4_アンカーボルトの埋込み方法.jpg
図7.10.4 アンカーボルトの埋込み方法
(iii) その他の方法
① 箱抜き方法
アンカーボルト位置に塩化ビニルパイプ、紙パイプ、スパイラルチューブ等を埋め込み、 コンクリート硬化後にそのあなにアンカーボルトを挿入し、グラウト材を入れて固定する(図7.10.5参照)。この時ベースプレート下面の密着を兼ねてグラウトする方法もある。図7.10.4の(イ)~(ハ)と比較して精度については、良好な結果が期待できる。ただし、塩化ビニルパイプ、紙パイプはグラウト前に取り除いておかなければならない。
埋込み型の柱脚の場合は、柱全体について箱抜きをする場合もある。
図7.10.5_箱抜き方法.jpg
図7.10.5 箱抜き方法
② あと施工アンカー(接着系アンカー)
基礎コンクリートの打込み・硬化後に所定の位置にドリルであなをあけ、アンカーボルトをエポキシ樹脂等で固定する。使用できるボルト軸径と長さ、許容引張力、基礎鉄筋との関係について確認しておくことが必要である。これと似た方法として、エポキシ樹脂の代わりにグラウト材を使うこともできるが、この場合はあな径がやや太くなる。
③ アンカーボルトを2つに分ける方法(特許工法)
図7.10.6 のようにコンクリートに埋め込まれる部分と、あとから溶接する部分の2つに分ける方法で、コンクリート打込み・硬化後、ボルトを溶接する。引張り耐力を期待することも可能ではあるが、その場合、ロッドとボルトの心ずれ・プレート板厚により許容耐力が決められているので注意が必要である。
図7.10.6_アンカーボルトの溶接方法.jpg
図7.10.6 アンカーボルト溶接方法
(d) 養生
アンカーボルトは、コンクリートに埋め込む前に、ねじ部に打ち傷や錆がないことを、埋め込まれる部分には油類がついていないことを確認する。
また、露出部は埋め込まれてから建方までの間に、錆の発生、ねじ山の損傷、コンクリートの付着等が生じないように、布、ビニルテープ等で養生しておく。
(e) 柱底均しモルタル
(1) ベースプレートは、この下面に施工される柱底均しモルタルにより支持される。
ベースプレートが小さい場合は、全面モルタル塗りを行い仕上げるが、ベースプレートが大きい場合は、モルタルとの密着性に問題が出ることがあるため、あと詰め中心塗り工法が普通である。中心塗りモルタルは大きさ 200~300mmの角形あるいは円形とする。塗厚は特記されるが、「標仕」表7.10.2の A種の場合は50mm、B種の場合は30mmが一般的である。
(2) モルタル途りに当たっては、コンクリート面のレイタンス等を取り除き、モルタルとコンクリートが一体となるように施工する。
(3) モルタルの調合は「標仕」7.2.9による。充填する場合は、空隙の生じないよう入念に詰める。しかし、このモルタル充填は面倒な作業であるうえに、充填が不完全であると構造上問題となるため慎重な施工が必要である。構造上重要でベースプレートが大きい場合は、充填が困難なので、流動性の良い無収縮モルタルを用いるのがよい。
(4) 柱底均しモルタルの一般的な工法の例を図7.10.7に示す。「標仕」表7.10.2の工法のA種は(イ)、B種は(イ)又は(ハ)である。このほか(イ)の一種である(ロ)全面あと詰め工法がある。「標仕」では特記がなければA種としている。
なお、「標仕」ではグラウトに使用するモルタルは、A種の場合は無収縮モルタルとし、B種の場合は硬練りモルタルでもよいこととしている。また、無収縮モルタルを使用する場合の工法は、特許等の関係もあり、製造所の仕様によることとしている。
図7.10.7_ベースプレートの支持方法.jpg
図7.10.7 ベースプレートの支持方法
(f) ナットの締付け
(1) ナットの締付けは、建入直し完了後、アンカーボルトの張力が均ーになるようレンチ等で緩みのないように行う。
(2) ナットは、 コンクリートに埋め込まれる場合を除き二重ナットを用いて戻止めを行う。
(3) アンカーボルトの締付け力及び締付け方法はナット回転法で行い、ナットの密着を確認したのち 30゜回転させる。
(g) 柱脚部鉄筋の処理
柱脚部分が鉄骨鉄筋コンクリート造の場合は、建方の際柱脚の周囲にある鉄筋が障害になることが多いが、この鉄筋をなるべく傷めないように取り扱うことが必要である。曲げた鉄筋は再び元の位置に戻すので、なるべく緩やかに曲げるのがよい。鉄筋を曲げたり、元の位置に戻したりする場合、850〜900℃に加熱して曲げるのが望ましい。温度管理をせずに適当に加熱すると、低温域で曲げることになり、鉄筋がもろくなり折れることもあるので行ってはならない。
なお、鉄筋を曲げる場合の角度は30°以下が望ましい(図7.10.8参照)。
ベースプレートと鉄筋が当たる場合は、この角度が守れなくなるので、そのようなことにならないよう、鉄骨工事着手前に検討する必要がある。
図7.10.8_柱脚鉄筋の納まり.jpg
図7.10.8 柱脚鉄筋の納まり



7.10.4 搬入及び建方準備
(a) 建方計画
(1) 建方は、効率の良い建方順序を選定するとともに、建方途中の構造の不安定な状態での事故のないように、十分な検討をする。また、建方用機械の取扱いに無理がないようにし、作業員の安全、周辺に対する安全等災害予防に十分な処置が必要である。
(2) 建方計画書の記載事項は、おおむね次のとおりである。
① 工程表
(準備開始時期、各節ごとの組立及び接合時期、完了時期)
② 施工管理体制
③ 組立順序(図面に表すのがよい)
④ 吊り足場等の仮設材や二次部材等で地組みするものの有無(図示する)
⑤ 吊上げの方法
⑥ 主な部材の質量表(部材の質量は平面図に記入するのが分かりやすい)
⑦ 建方用機械の種類、性能(吊上げ能力、作業範囲、設置位置及び保安上の注意事項)
⑧ 建方途中の建入れ測定方法及びその修正方法
⑨ 建方完了時の建入れ測定方法及びその修正方法
⑩ 部材集積場所及び集積方法
⑪ 建入れ検査の合否の基準
⑫ 建方中の強風に対する補強の方法及び仮ボルトの本数等
⑬ 接合作業の手順及び検査方法
⑭ 安全管理及び養生の方法
(3) 建方時の強風等に対する補強には、次のようなものがある。
(i) 鉄骨鉄筋コンクリート造の鉄骨には、コンクリートが打ち込まれるまでは、十分な耐力を発揮できないものがある。特にこのようなものは設計担当者と打ち合わせ、必要な補強をする。
(ii) 鉄骨に重量物を載せたり、土圧をかけたり、通常の構造設計で考えていない大きな荷重を負担させる場合には、計算書を提出させ、設計担当者と打ち合わせて安全を確認する必要がある。
(4) 鉄骨の建方では特記により技能士(とび)が適用される。(「標仕」1.5.2)
(b) 建方機械
建方機械の機種と台数は、最大荷重、作業半径、作業能率等により決定する。この際、建方機械及び建方機械を設置する構造体、架台、路盤、構台等が、自重、風圧力、地震力、クレーン運転時の衝撃力等に対して安全であることを確認する。
(c) 搬入・仕分け
(1) 製品の受入れ
受注者等の製品の受入れに際しては、鉄骨製作工場の送り状と照合し、製品の数量及び変形・損傷の有無等を確認させる。
(2) 製品の取扱い
製品の取扱いに当たっては、部材を適切な受台の上に置き、変形・損傷を防ぐ。部材に変形・損傷が生じた場合は建方前に修正させる。
7.10.5 建方
(a) 地組み
地組みを行うときは、適切な架台・治具等を使用し、地組み部材の寸法精度を確保する。
(b) 建方用設備・器具
建方に使用するワイヤロープ、シャックル、吊金物等は、許容荷重範囲内で正しく使用する。また、定期的に点検し、損傷のあるものは使用しない。
(c) 建入れ直し
(1) 建入れ直しのために加力するときは、加力部分を養生し、部材の損傷を防ぐ。
(2) ワイヤロープの取付け用ビースはあらかじめ鉄骨本体に取り付けられた強固なものとする。
(3) ターンバックル付き筋かいを有する構造物においては、その筋かいを用いて建入れ直しを行ってはならない。
(4) 建入れ直しは、本接合終了後の精度を満足できるように考慮して行う。
(5) 架構の倒壊防止用ワイヤロープを使用する場合、このワイヤロープを建入れ直しに兼用してもよい。
(6) 筋かい補強作業は必ず建方当日に行うこととし、翌日に持ち越してはならない。
(d) 仮ボルトの締付け
建方作業における部材の組立に使用し、本締め又は溶接までの間、予想される外力に対して架構の変形及び倒壊を防ぐためのボルトを仮ボルトと呼ぶ。仮ボルトは普通ボルト等を用い、ボルト1群に対して、高カボルト継手では1/3以上、2本以上、混用接合及び併用継手では1/2以上、かつ、2本以上をバランスよく配置し、締め付ける。仮ボルトのボルト1群を図7.10.9に示す。図7.4.8に示す高カボルトの1 群とは異なる。これを適用しないときは、風荷重、地震荷重及び積雪に対して接合部の安全性の検討を行い、適切な措置を施す。また、溶接継手におけるエレクションピース等に使用する仮ボルトは高力ボルトを使用して全数締め付ける(図7.10.10 参照)。
図7.10.9_仮ボルトにおける1群の考え方.jpg
図7.10.9 仮ボルトにおける1群の考え方
図7.10.10_エレクションピースの仮ボルト.jpg
図7.10.10 エレクションピースの仮ボルト
(e)建方補助部材等の工夫
建方の際に、作業を円滑に進めるために補助部材を取り付けることがよく行われる。しかし、これら取り付けられた補助部材により超音波探傷検査が不可能になったり、これらの取付けのために本来望ましくない溶接が行われるケースもある。例えば、前者の例としては、工事現場溶接する大梁を設置する際に使用する「梁受」がある。また後者の例としては、大梁フランジと柱を溶接する際の裏当て金取付けのための開先内の母材断面内での組立溶接がこれに当たる。
しかしこれらは、工事現場での工夫により回避することもできる。「梁受」を回避する工夫の例としては、図7.10.11のような梁受け治具の使用等が挙げられる。また、開先内での溶接を回避する例としては、図7.10.12のような裏当て金取付け治具の使用が挙げられる
 
従来より慣用的に行われている方法についても、品質管理上の問題点に意識をもち、問題点を回避する工夫を行うことが工事現場施工では重要である。
図7.10.11_梁受け治具.jpg
図7.10.11 梁受け治具
図7.10.12_裏当て金取り付け治具.jpg
図7.10.12 裏当て金取付け治具



7.10.6 工事現場施工検査
(a) 施工者は、本接合に先立ち、ひずみを修正し、建入れ検査を行い。施工管理記録を作成する。また、必要な場合は、監督職員が検査を行う。
(b) 建入れ直しは建方時の誤差、すなわち柱の倒れ・出入り等を修正し、建方精度を確保するために行うものであるが、建方がすべて完了してから行ったのでは十分に修正できない場合が多い。したがって建方の進行とともに、できるだけ小区画に区切って建入れ直しと建入れ検査を行うことが望ましい。
(c) 日照による温度の影響を避けるために早朝一定時間に計測するなどの考慮を払わなければならない。また、長期間にわたって鉄骨工事が続く場合は、気候も変わるので測定器の温度補正を行わなければならない。
7.10.7 工事現場接合
(a) 高カボルト
高カボルト接合は、4節による。
(b) 工事現場溶接
工事現場溶接は、6節によるほか、次による。
(i) 溶接方法
工事現場溶接には、一般に、被覆アーク溶接、ガスシールドアーク溶接、セルフシールドアーク溶接及びスタッド溶接が用られる。
(ii) 溶接技能資格者
工事現場溶接に従事する溶接技能資格者は、7.6.3によるほか、工事現場溶接に関し十分な知識と技量を有する者とする。
(iii) 溶接機器及び溶接材料
溶接機器は工事現場溶接に適したもので、溶接技能資格者に対して取扱いを習熟させておかなければならない。
(iv) 溶接施工
① 施工順序は、溶接ひずみの建方精度への影響を考慮して決定する(図 7.10.13参照)。
図7.10.13_平面的に見た溶接順序.jpg
図 7.10.13 平面的にみた溶接順序
② 施工時の天候については7.6.8による。
(v) 検査及び補修
工事現場溶接における検査及び補修は、特記のない場合7.6.10〜12による。
(c) 混用接合
ウェブを高カボルト接合、フランジを工事現場溶接接合とするなどの混用接合は、原則として、高カボルトを先に締め付け、その後溶接を行う。
(d) 併用継手
高カボルトと溶接との併用継手は、原則として高力ボルトを先に締め付け、その後溶接を行う。
(e) その他
増築・改築・修繕あるいは模様替え等において、既存建築物の鉄骨に溶接する場合は、あらかじめ周囲の状況を調査し、特に既存鉄骨について、その溶接性を確かめる。
7.10.8 その他の工事現場施工検査
(a) デッキプレートの種類と形状寸法については、7.2.7による。デッキプレートの敷設に伴う施工上の留意事項と検査項目は、7.7.8による。
(b) 頭付きスタッドの溶接施工の留意事項と検査項目は7節による。
(c) 仮設、鉄筋、カーテンウォール、電気・機械設備等のため、金物、その他を鉄骨部材にあと付け溶接する場合は、母材にアンダーカット、ショートビード等の悪影響を与えるような溶接を行ってはならない。
鉄骨に溶接を行う場合は、鋼材の種類・溶接方法等について7.6.9によればよい。
(d) 工事現場接合部分及び工場塗装の損傷した部分を塗装する場合は、8節により、工場塗装に対応した仕様で検査完了後に行う。
(e) 耐火被覆の施工上の留意事項と検査項目は、9節による。

7章 鉄骨工事 11節 軽量形鋼構造

第7章 鉄骨工事

11節 軽量形鋼構造
7.11.1 適用範囲
この節は、冷間成形された軽量形鋼を使用する場合を対象としており、この節に規定されていないものは、1節から10節まで及び12節によればよい。
以前は、軽量形鋼によるラチス構造等が広く用いられていた。しかし、最近では二次部材として使用することが一般的である。
7.11.2 施 工
(a) 材 料
(1) 鋼 材
(i) JIS G 3350(一般構造用軽量形鋼)は、建築その他の構造物に用いる冷間成形の軽量形鋼であり、種類はSSC400 1種類で、断面形状による名称には、軽溝形鋼、軽Z形鋼、軽山形鋼、リップ溝形鋼、リップZ形鋼、ハット形鋼がある。
(ii) 鋼材の品質を試験により証明する場合は、7.2.10による。
(2) アーク溶接棒は、JIS Z 3211 (軟鋼、高張力鋼及び低温用鋼用被覆アーク溶接棒)を参照する。アーク溶接棒の棒径は4.0mm以下で、かつ、板厚に見合ったものを選ぶ必要がある。炭酸ガスシールドアーク半自動溶接を用いる場合には、溶落ちしないように適切な溶接条件を選定する。
(3) 高カボルトは7.2.2を、普通ボルトは7.2.3を参照する。
(b) 施 工
(1) 切 断
軽量形鋼部材は薄くて複雑な形状であるため、切断に際しては、一般の鋼材と比べて特別な注意が必要である。
① 部材の切断面は、特に図面で指定されたもの以外は軸線に垂直でなければならない。これは、以後の加工・組立・溶接の工程においてすべてこの断面が基準となるためである。また、切断の際、断面形状を損なわないように注意する必要がある。機械切断によって生じたまくれは、やすり等を用いて取り除かなければならない。
② 部材の切断は機械切断とする。①に述べたように、切断面は加工の基準となるものであり、正確さを必要とするためである。
手動ガス切断は、断面が不正確に切断されるため、避けなければならない。不正確に切断された断面をグラインダー等で正確に仕上げることは実際には無理で、体裁だけの補修になってしまうためである。
(2) 防錆
(i) 軽量形鋼構造に用いられる部材は、板厚が薄いので腐食に対する安全性が一般の鋼構造より低く、十分な防錆処置を要する。
(ii) 鋼材に防錆処理を施した場合でも、錆びにくい環境をつくり出すよう努め、足りないところを塗装で補うという考え方が大切である。また、設計上の配慮によって解決される点も多い。その場合の留意点を次に示す。
① 雨水にふれても水が滞留せず、常に乾燥するよう通風を良くする。雨水が滞留するおそれのある部材、例えばリップ溝形鋼の横架材等は、適切な水抜き孔をあけて雨水の排出を考慮する。
② 雨水の掛かる箇所では、再塗装のできない構造を避ける。特に、管形断面の部材では、必要に応じて、端部に同質材のふたをする。また、鋼板挟みの二丁合わせで閉鎖形の断面になるような部材は、隙間を密閉しなければ建築物の外回りへ露出させてはならない。
③ 錆の発生を点検できるような構造とし、再塗装が容易なように考慮する。
④ 防錆上の弱点となりやすい部位には、防ぎ得ない錆を予想し、あらかじめ断面の割増し等肉厚の大きい鋼材の仕様も考慮するとよい。
(iii) 再塗装の困難な建築物の部分及び錆の発生しやすい環境にある建築物の部分の防錆は、亜鉛めっきとするのが望ましい。亜鉛めっきに関しては12節を参照する。
(3) 高力ボルト・ボルト接合
「標仕」ではボルト接合は、特記によるとしている。孔は、組合せ材片を正しく接合するために精度良くあけるとともに、各材片の孔心を一致させるよう工作することが重要である。ドリルあけのまくれやポンチあけの変形は、組み合わせた材片間に隙間を生じてボルトの締付けや摩擦力に支障を来すので、必ず取り除かなければならない。まくれを取るにはグラインダー等で軽く取り除くのがよいが、部材を削り過ぎないよう注意を要する。
軽量形鋼構造に高カボルトを用い、設計上のすべり係数を0.23としている場合、摩擦面は、脱脂等の処理を行ったうえで、堅固な黒皮表面とすることができる。ただし.浮き錆、塵あい、油、塗料等摩擦力を低下させるものを除去する必要がある。脱脂した黒皮表面は、赤錆を発生させた表面に比べてすべり係数が低下する。しかし、軽量形鋼構造に用いられる部材は板厚が薄く形状も複雑なので.黒皮を除去するため薄く削り過ぎたりグラインダーやショットブラストが掛けられないこともあるため、堅固な黒皮は除去しなくてもよい。その場合の摩擦面は.黒皮を除去し赤錆を発生させた場合のすべり係数の1/2 (0.23)以上を確保できるようにしておかなければならない。
高力ボルト接合を行う部材は、その接触面が正確に密着するよう留意する必要がある。特に、軽量形鋼部材は、板厚が薄く、ひずみ・反り・曲がり等が生じやすい部材なので必ず矯正するか、又はフィラー鋼板を挿入するなどしてこれらを補う必要がある。
(4) 高力ボルト及び普通ボルトのピッチ、へりあき等は.7.3.2(c)による。
(5) 「標仕」では、普通ボルトの孔径の限度はボルト径+0.5mmとなっている。ただし「標仕」では、母屋、胴縁類の取付け用ボルトの場合、ボルト径+1.0mmとしている。
(6) 普通ボルトには戻止めが必要であるが、通常次のような工法がある。
(i) 二重ナット
ナットを二重にする(図7.11.1参照)。一般に戻止め用のナットは本ナットと同じ厚さのもの(2種)が用いられるが(7.2.3(b)参照)、やや厚さの薄いもの(3種)でもよい。二重ナットの締付けは、7.5.2 (3)を参照する。
図7.11.1_二重ナット.jpg
図7.11.1 二重ナット
(ii) スプリングワッシャー
特殊なスプリングになっている座金を用いる。
(iii) 溶接
ナットとボルトを溶接する。この際はボルトの全周にわたり溶接する。この方法は簡易な構造物で、かつ、見ばえに支障のない箇所以外には用いてはならない。
(7) せん断ボルト
せん断ボルトとは、図7.11.2の力Pをせん断力により伝達するボルトであり、ほとんどの普通ボルトはせん断ボルトである。このボルトの耐力は鋼板の側圧で決まる場合があるので、ねじ部分がグリップ(締付け厚さ)に掛かってはならない。このためには厚い座金が必要になる。また、強度上は必ずしも必要ではないが、材料精度等を考えると、完全なねじ山が3山以上ナットの外に出ているようにするのがよい。
図7.11.2_せん段ボルト.jpg
図7.11.2 せん断ボルト

7章 鉄骨工事 13節 鉄骨工事の精度

第7章 鉄骨工事

13節 鉄骨工事の精度
7.13.1 一般事項
(a) 「鉄骨造の継手又は仕口の構造方法を定める件」(平成12年5月31日建設省告示第1464号)により,表7.13.1に示す項目について限界値が規定された。①の限界値は、JASS 6付則6[鉄骨精度検査基準]における限界許容差と同じであるが、②の通しダイアフラムと梁フランジの関係は、JASS 6付則6では規定されていない。また、③は、JASS 6付則6よりも厳しい規定となっているので、注意が必要である。表7.13.1に示す項目についての検査方法補強方法等については、鉄骨製作管理技術者登録機構「突合せ継手の食い違い仕口のずれの検査・補強マニュアル」を参考にするとよい。
表7.13.1 溶接部の形状・寸法
表7.13.1_溶接部の形状・寸法.jpg
(b) 「標仕」7.3.3及び「標仕」7.10.2で、鉄骨の製作精度及び建方等の工事現場施工の精度は、JASS 6付則6によることとしている。次にその抜粋を示す。

鉄骨精度検査基準
この基準は、一般の構造物の主要な鉄骨の製作ならびに施工に際しての寸法精度の許容差を定めたものである。許容差は、限界許容差と管理許容差に区別して定めた。限界許容差は、これを超える誤差は原則として許されない最終的な個々の製品の合否判定のための基準値である。一方、管理許容差は、95%以上の製品が満足するような製作または施工上の目安として定めた目標値であり、寸法精度の受入検査では、検査ロットの合否判定のための個々の製品の合否判定値として用いられる。
寸法精度の受入検査において、個々の製品が限界許容差を超えた場合には不良品として、再製作することを原則とする。ただし、再製作できない場合にはそれに相当する補修を行い再検査に合格しなければならない。また、個々の製品が管理許容差を超えても限界許容差内であれば補修・廃棄の対象とはならない。管理許容差を合否判定値として抜取検査を行う場合、検査ロットが不合格となった場合は、当該ロットの残りを全数検査する。ただし、検査ロットの合否にかかわらず限界許容差を超えたものについては、工事監理者と協議して補修または再製作等の必要な処置を定める。
なお、本基準は以下に示すものには適用しない。
(1) 特記による場合または工事監理者の認めた場合
(2) 特に精度を必要とする構造物あるいは構造物の部分
(3) 軽微な構造物あるいは構造物の部分
(4) 日本産業規格で定められた鋼材の寸法許容差
(5) その他、別に定められた寸法許容差

付表1 工作および組立て

付表1_工作および組立て1.jpeg
付表1_工作および組立て2.jpeg
付表1_工作および組立て3.jpeg




付表2 高力ボルト

付表2_高力ボルト1.jpeg




付表3 溶 接

付表3_溶接1.jpeg
付表3_溶接2.jpeg
付表3_溶接3.jpeg




付表4 製 品

付表4_製品1.jpeg
付表4_製品2.jpeg
付表4_製品3.jpeg
付表4_製品4.jpeg




付表5 工事現場

付表5_工事現場1.jpeg
付表5_工事現場2.jpeg
付表5_工事現場3.jpeg
付表5_工事現場4.jpeg


7章 鉄骨工事 14節 資 料

第7章 鉄骨工事

14節 資 料
 
7.14.1  溶接用語
 
JIS Z 3001-1(溶接用語一第1部:一般)
JIS Z 3001-2(溶接用語一第2部:溶接方法)
JIS Z 3001-4(溶接用語一第4部:溶接不完全部)
の抜枠を次に示す。
なお、JIS Z 3001-3(溶接用語一第3部:ろう接)は省略する。
 

JIS Z 3001-1:2013
4.1 共通
 
4.1.1 基本
JIS_Z3001-1_4.1.1_基本.jpeg
 
4.1.2 溶接部の性質
JIS_Z3001-1_4.1.2_溶接部の性質.jpeg
JIS_Z3001-1_4.1.2_溶接部の性質(溶着金属,溶融部,ボンド部).jpeg
 
4.2 試験
 
4.2.1 試験一般
JIS_Z3001-1_4.2.1_試験一般.jpeg
 
4.4 アーク溶接
 
4.4.3 溶接継手
JIS_Z3001-1_4.4.3_溶接継手.jpeg
JIS_Z3001-1_4.4.3_溶接継手(すみ肉のサイズ等).jpeg
4.4.4 溶接姿勢
JIS_Z3001-1_4.4.4_溶接姿勢.jpeg
  
4.6 特殊の溶接
 
4.6.5  ロボット溶接
JIS_Z3001-1_4.6.5_ロボット溶接.jpeg
 
4.7 ガス溶接及び熱切断
 
4.7.1 溶接・切断方法
JIS_Z3001-1_4.7.1_溶接・切断方法.jpeg 
 
JIS Z 3001-1 : 2013




 

JISZ3001-2:2013
 
4. 用語及び定義
4.3 融接
 
4.3.3  アーク溶接
JIS_Z3001-2_4.3.3_アーク溶接1(アーク溶接等).jpg
JIS_Z3001-2_4.3.3_アーク溶接2(サブマージアーク溶接等).jpg
JIS_Z3001-2_4.3.3_アーク溶接3(アークスタッド溶接).jpg
 
4.3.6 エレクトロスラグ溶接
JIS_Z3001-2_4.3.6_エレクトロスラグ溶接.jpeg
 
4.4 アーク溶接の施工
 
4.4.1 溶接施工
JIS_Z3001-2_4.4.1_溶接施工1(パス、ビード等).jpeg
JIS_Z3001-2_4.4.1_溶接施工2(溶込み等).jpeg
JIS_Z3001-2_4.4.1_溶接施工3(クレータ,止端,ウィービング等).jpeg
4.4.2 溶接施工管理
JIS_Z3001-2_4.4.2_溶接施工管理.jpeg
4.4.3 溶接補助材
JIS_Z3001-2_4.4.3_溶接補助材1(始端タブ、終端タブ).jpeg
JIS_Z3001-2_4.4.3_溶接補助材2(裏当て).jpeg
 
JIS Z 3001-2:2013



JIS Z 3001-4:2013
 
4. 用語及び定義
 
4.2 溶接不完全部一般
JIS_Z3001-4_4.2_溶接不完全部一般.jpeg
 
4.4 空洞
JIS_Z3001-4_4.4_空洞.jpg
 
4.5 介在物
JIS_Z3001-4_4.5_介在物.jpeg
4.6 融合不良・溶込不良
JIS_Z3001-4_4.6_融合不良・溶込不良.jpeg
 4.7 形状不良
JIS_Z3001-4_4.7_形状不良、4.8_その他の不完全部.jpeg
 
 
JIS Z 3001-4:2013



 
7.14.2 建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン
 
(a) 「建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン」が.これまでの「建築構造用鋼材の新しい品質証明方式」に代わり,2009年12月に(-社)日本鋼構造協会 建築鉄骨品質管理機構から発行された。本ガイドラインの骨子を次に示す。
 
(1) 鋼材等の品質確認は、書類による品質確認と現物の品質確認で行われる。
(2) 規格品証明書の原本を保有する工程(会社)が使用した鋼材の規格品証明料の内容をリスト化し,原品証明書(用紙C)を作成発行する。
(3) 用紙Cに基づき鉄骨製作業者は鉄骨工事使用鋼材等報告書(用紙B)を作成する。
(4) 用紙B、Cの表紙として用紙A1、A2を作成する。
(5) ミルシート及びその写しの提出を不要とする。
(6) ミルシートを提出する従来方式の場合によるか本方式によるかは事前に合意しておく。
 
 
(b) 「建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン」(2009年12月25日1版)の抜粋を次に示す。
 
なお、実際の工事に適用する場合は、ガイドライン本文を参照する必要がある。
 
 

建築構造用捐材の品質証明ガイドライン
 
1.2 本ガイドラインの活用の前提
 
1.2.1 自工程管理に基づく品質管理
 
施工者は鉄骨製作に必要な設計図書を設計者から受理して後、鉄骨製作業者へ支給する。その仕様に基づき鉄骨製作業者が材料を発注する。鉄骨製作業者が製作した鉄骨製品は施工者の受入検査を経て工事現場へ搬入され,工事現場で組立て、接合され鉄骨が完成する。そして施工者は建物完成後、施主へ引き渡す。このように鉄骨工事においては、施主と施工者、施工者と鉄骨製作業者という2段階の契約関係があり、施工者は建築工事の元請けとして鉄骨製品の品質についても責任を有する。
 
建築基準法で鋼材類(鋼板、形鋼)はJIS規格適合であることが規定されている。また、鋼材類は初期(製造出荷)段階でJIS規格適合も含む製品の個別識別がなされている。その鋼材類は、製造メーカーから鉄骨製作工場へ直接、あるいは切断などの中間加工をされて納入される。いずれの場合も初期段階で特定された鋼材類が、工程の各段階で間違いなく流通しなければならない。
 
鋼材類の流通過程の各段階で使用されている鋼材類の品質を確認し、その結果を書類に残し次の工程へ渡すことで結果として流通段階で間違い無く使用されたことが証明できる。
 
鋼材等の品質確認は「書類確認」と「現物確認」によって行われる。そして「書類確認」については、「規格品証明書の確認」がポイントとなる。(注1)
 
鉄骨の品質は関連する全ての工程で作りこむという自工程責任による自主管理を尊重することで過度の費用が発生しないようにする事ができる。本ガイドラインは特に鋼材類の流通や各工程段階での自主管理を明確に打ち出したものと考えることができる。
 
施工者は鉄骨製作業者を通して提出される書類の内容を確認することで材料管理の証しとすることになる。そのため、書類の内容について施主や行政機関に説明ができるように鉄骨製作業者の材料管理体制・方法や鉄骨製作業者から材料の切断などの発注を受ける中間加工業者の管理体制を把握しておくことも重要である。
 
 
なお、規格品証明書の記載内容(機械的性質、化学成分)のレベル(例えば、化学成分値の多少など)や実際に使用された鋼材類から試験片を採取して、機械試験や化学成分分析を行って記載内容と照合を行うなどは考えていない。但し、当事者間の協議などで化学成分値を試験する場合、携帯型分析器で分析したり鋼材から試験片を採取して分析する方法がある。なお携帯型分析器には機械によって分析可能な成分に違いがあったり、シールドガスが必要となるなど特徴があるので使用にあたっては注意が必要である。
 
本ガイドラインでは、流通過程で切断などの工程がある「鋼材類」を主に対象とする。但し、証明書には溶接材料、高力ボルトなどを含むため呼称は「鋼材等」としている。
 
(注1)
規格品証明書の定義はJASS6による。JASS6では、規格証明書について「JIS、その他の団体などの公的に認知された規格があり、その報告規定に基づいて製造業者が発行する証明書。もしくは、国土交通大臣認定品に適合することを証明する書類で、社名・捺印のあるものを言う。」と規定されている。
 
 
1.2.2 裏書ミルシートに代わる原品証明書の採用
 
本ガイドラインで提案されている鋼材品質証明の方法は、いわゆるミルシート提出方式に代わるものである。結果としてミルシートの提示・提出が不要となるものである。一見、管理レベルが下がったかのように思われるが実際に切断を行う業者にとっては材料の出所を明確にし、記録に残すことが求められ、本ガイドラインによって原品証明書を作成・管理するのは、むしろ厳しい管理方法である。また、作成した書類が最終的に使用材料のJIS適合証明の証拠となるものであり責任も重くなる。
 
したがって、原品証明書の採用にあたっては、提出方法、保管方法、保管期間、業務対価等について事前に工事関係者で文書合意しておくこととする。
 
また、ミルシートについては提出を義務としないこととしているが、本ガイドラインによる証明方法へ移行するまでの間、鋼材の品質確認を”原品証明書による”のか”規格品証明原本、裏書きミルシートの提出による”のかについても、事前に工事関係者の合意により決定しておく。(注2)
 
(注2)
ミルシート提出方式においては、いわゆる紐付き材について、材料と工事名を紐付け管理するために、規格品証明書に需要家名として材料を購入した会社名でなく、部材を使用する需要家・工事名称を記載する場合がある。
切板会社やファブリケーターの在庫材についてはミルシートの需要家名や工事名が異なっていても、トレーサビリティが確保されていれば使用に問題はない。
今後、原品証明書方式を基本とすることから、原則として需要家名は材料購入会社名を記載することとし、材料の取り扱い(他工事への使用など)は購入会社の自由裁量とする。
 
 
1.2.3 証明コストの負担と発注仕様への明示
 
本ガイドラインに沿って.鋼材の加工業者等が使用した鋼材について証明書の作成を行うために必要な作業や記録の保全については、一定のコストが生じることは事実である。このため、建築の施工者は鉄骨製作業者等に対して、証明書の作成.提出を発注仕様書に明示する等により契約業務として明確化しその費用を支払う必要があり、鉄骨製作業者は.その前段の鋼材の流通、加工、生産業者に対して同様の対応をとる必要がある。
 
こうしたコストは、最終的に建築費の一部となり建築主が負担することになるが、建築用鋼材の品質は建物利用者の生命等の安全に直結するものでありかつ、万一鋼材が誤用されたときの被害の大きさに鑑みれば、建築主においては、使用鋼材等が明らかにされていない建築物の受け渡しを受けるべきでなく、コスト削減を名目に省略されてはならない不可欠な負担であることを理解する必要がある。さらに建築主は、建築主事等による検査受検の申請者として、使用鋼材等が法令に適合していることに関する書類等を提出する立場にもある。
 
このため、建築主に対する意識啓発について行政も含め建築界全体として取り組む必要があるとともに、施工者においては、建築主との個別の契約において、本ガイドラインに沿った報告書等の提出を業務内容とする必要がある。
 
なお、鋼材を使用したそれぞれの工程で使用鋼材を明らかにする本ガイドラインの方法は、施工者が施工現楊における成分検査により使用鋼材を事後的に特定するなどの他の方法よりも合理的で、全体としての証明コストが低いことは明らかである。
 
 
2. 鋼材等の品質確保のフロー
 
2.1 書類による品質確認
 
書類による品質確認の流れの概略を以下に示す。
 
(1) 各工程(会社)が行った品質確認の結果は原品証明書(用紙C)にとりまとめ次の工程(会社)へ提出する。
 
この原品証明書は鋼材等の規格品証明書原本(ミルシート)を保有し加工を行った工程が作成する。この会社には一般流通業者(問屋)で自社保有材を少量販売する会社も含まれる。
 
原品証明書を取りまとめた工程は、その鋼材等の品質を確認した結果について保証する責任を負う。但し、規格品証明書の記載内容に関して保証責任は無い。
 
(2) 原品証明書を作成する工程は、原品証明書から規格品証明書原本へ遡れることが可能な仕組みを構築しなければならない。
 
(3) 鉄骨製作業者は.使用した鋼材等の品質を確認した結果を「鉄骨工事使用鋼材等報告書」(用紙B)にまとめ、用紙Cとともに施工者に提出する。(注3)
 
なお、鉄骨製作業者の確認は前工程(会社)の発行した原品証明書を確認する方法と自社工程を確認する方法の二つがある。
 
また,鉄骨製作業者の会社様態によっては、製作を担当する製作工場が行う場合もある。
 
 
(4) 施工者は.書類および現物の確認後その結果を「鉄骨工事使用鋼材等報告書」(用紙A2を表紙として、用紙B、Cとともに)として工事監理者に提出する。
 
(5) 工事監理者は、内容を確認し発注者である施主に報告する。その後、施主の代理として中間検査・完了検査時に特定行政庁、建築主事ないしは、確認検査機関に提出または提示する。(用紙A1を表紙として、用紙A2,用紙B,   Cとともに)鉄骨工事における鋼材、確認書類の流れ、関連関係者の行為については、付録aも参照。
 
(注3)  JASS6では、鉄骨工事の元請けとして施工者(ゼネコン)、鉄骨製作の受注者を鉄骨製作業者(ファブリケータ)としている。本書でも、定義はこれに倣う。
 
 
2.2 現物の品質確認
 
(1) 本ガイドラインでは鋼材類の現物での確認方法を原則、塗色識別によることとしている。従ってSS・SM材のようなプリントマークの無いSN鋼材以外にも適用できる。
 
現物確認の方法としてSN材でのプリントマーク、形鋼類でのラベル確認も有効であるが、保管期間、取扱い不備で消える、読み難い、剥がれるなどが懸念される。このような不具合が無く明瞭に識別可能な場合にはSN材でのプリントマーク、形鋼類でのラベル確認も適用できる。なお、鋼材の識別表示は原則、付録bに示す日本鋼構造協会規格(JSS I 02 2004)による。また、鋼材のマーキング、ラベル表示例を付録c、高力ボルトヘッドマーク一覧表を付録d、溶接材料の原品表示例を付録 e、およびアンカーボルトの表示例を付録 f に示す。(注4)
 
(注4)
原品の識別方法として、切断部材に部材番号を記入する場合がある。規格識別の番号記入や多桁数の番号記入など要求仕様は様々であり、また番号記入ができない小物部材等もあり、部材番号記入については、事前に記入方法、作業費用等につき文書合意しておくこととする。
 
 
3. 本ガイドラインで使用される書類について
 
3.1 原品証明書〈用紙C〉
 
(1) 規格品証明原本を保有し最初に作業する工程(会社)は保有する規格品証明書原本内容をリスト化し、原品証明書を作成・発行する。(注5)
 
原品証明書の発行タイミングは、工事の節・工区などの単位に纏めて発行することを基本とし、事前に関係者にて取り決めておくこととする。
 
これ以降の工程は直前工程の発行した原品証明書から必要項目を転記し、原品証明書を作成する。
 
 
(2) 規格品証明書原本、規格品証明書原品のコピー、原品証明書は適切な期間保有する。保管期間が過ぎた場合は破棄できる。
保行期間が法令で定められた場合、あるいは設計図書の特記のような別規定がある場合はそれに従う。改正建設業法において、「営業に関する図書の保存が引渡し後、10年」と定められた。これに準拠して保存期間を定める施主、施工者などもあると考えられるので工事開始前に関係者で保存の方法・期間・管理費用等について文書合意しておくことが重要である。なお、鉄鋼メーカーにおいては規格品証明書の現物やデータの保存期間は、各社の判断となっている(今後JIS認証制度等において保存期間を定めることも提案されている)。
なお、通常の商行為で使用する納品書などの扱いについてはここでは関与しない。
一般流通業者(問屋)が自社保有材料を少量販売する場合、規格品証明書原本、原本相当規格品証明書、原品証明書に対応する鋼材類が全て使用された場合は、保管期間の間はファイルする必要がある。
また、鉄骨製作業者は、一般流通業者や切板会社への発注の際には、発注先の会社がトレーサビリティーをとれているところかどうかを留意して選定する必要がある。
 
 
(3) 原品証明書を受け取る工程(会社)は、原品証明書を発行する工程(会社)の発行に関わる管理が適切に行われているかの確認を適時行う義務がある。
特に、残材(端材)の管理方法(ラベル、ステンシルが残されているか、あるいは転記されているか。切断報告書にこれらの記載があるか等)に留意する必要がある。
なお、その確認の頻度は特に定めないが、ISO認証の有無などを考慮して当事者間で協議する。
 
 
(4) 使用鋼材が発注仕様に適合していることの説明責任(立証責任)は鉄骨製作業者他、鋼材を調達した者が負う。従って、鉄骨製作業者の材料管理責任者は、原品証明書から規格品証明書原本へ遡ることが可能かどうかなどを確認しなければならない。
 
 
(5) 原品証明書の記載事項は以下の通りとする。
・日付、当該業者名、責任者名、署名あるいは捺印
・整理番号
・部材・部品あるいは記号:柱・梁(フランジ・ウェブ)、ブレース、アンカーボルト、ダイアフラム
・規格、種類:JIS規格、国土交通大臣認定
・寸法、数量(重量)
・メーカー名:鉄鋼メーカー、中間加工業者
・証明書番号、製品番号
製品番号:規格品証明書原本において個々の製品を特定できる項目名とする。
スプライスプレート、リブプレート、ガセットプレートについては.記載項目は、部位・部材、規格、メーカー名のみとする。
なお、納品書、送り状など既に使用している帳票を利用する場合で、上記項目で鋼板番号等の不足な項目がある場合は別途、同帳票に追記し、原品証明書とすることもできる。
(記載スペースが無い、価格が表示されているなどで当事者外への提出が難しい場合は規格品証明書原本をリスト化した原品証明書を作成する)。
(6) 原品証明書以外の添付書類は原則不要とする。
添付書類の提出を求める場合は、必ず事前に書類内容、提出方法、対価等につき関係者の合意により決定しておくこととする。
(注5)
JASS 6では、「原品証明書とは、規格品証明書(原本相当規格品証明書を含む)のついている鋼材の切断・切削・孔あけなど中間加工を施す業者、あるいは一般流通業者(問屋)が少量販売する鋼材に付して発行する証明書」と定義しているが、本ガイドラインでは規格品証明再原本を保有する鉄骨製作業者が作成する証明書も加える。
 
 
3.2 鉄骨工事使用鋼材等報告書〈用紙B〉
 
(1) 鉄骨製作業者は、製作の元請けとして原品証明書に基づき「鉄骨工事使用鋼材等報告書」を作成する。
 
記載項目は以下の通りとする。
 
・日付、鉄骨製作業者名、材料管理責任者名・捺印、鉄骨製作管理技術者登録番号
・部位・部材:柱・梁(フランジ、ウェブ)、ブレース、アンカーボルト、ダイアフラム、溶接材料、高カボルト、スプライスプレート、リブなど
・規格、種類:JIS規格、国土交通大臣認定
・品種、形状:鋼板、鋼管、切板、H形鋼・・
・納入者  :鉄鋼メーカー、中間加工業者
・規格確認方法:現物・書類確認の方法
・証明書ページ:原品証明書の検索用
 
 
(2) 書類構成
 
表紙、鉄骨工事使用鋼材等証明書、原品証明書
・添付科類について
原則として添付書類は不要とする。
 
(3) 作成対象とする部位・部材を以下に示す。
 
下記の部位・部材を対象とする。但し、別途指示がある場合はそれによる。
柱:柱体、仕口内スチフナー、ダイアフラム、フランジ ・ウェブ
大梁、小梁:フランジ ・ウェブ
ブレース、アンカーボルト、スプライスプレート、リブプレートなど
 
 
3.2. 補  鉄骨工事使用鋼材等証明書作成時の対象部位・部材について
ガイドライン_3.2.補_鉄骨工事使用鋼材等証明書作成時の対象部位・部材について.jpeg
ガイドライン_3.2.補_鉄骨工事使用鋼材等証明書作成時の対象部位・部材について2.jpeg
 
 
3.3 鉄骨工事使用鋼材等報告書〈用紙A2〉
 
施工者が工事監理者に提出する際に作成するもの。前記の原品証明書、鉄骨工事使用鋼材等証明書を確認した上、これらの表紙として用紙A2を作成する。
 
 
3.4 鉄骨工事使用鋼材等報告書〈用紙A1〉
 
工事監理者が建築主事等に提出する際に作成するもの。前記の原品証明書、鉄骨工事使用鋼材等証明書、施工者が発行した鉄骨使用鋼材等報告書を確認した上、これらの表紙としてA1を作成する。
 
 
4. 鋼材類と報告書の流れ例
 
鋼材類と報告書の流れをいくつかのケースに分けて示す。これらは代表的な流通過程のモデル化である。この他にも流通形態があると思われるが、本ガイドラインの主旨を理解して適用することが必要である。
 
また、流通過程で関与する商社など一部の機能は省略している。
 
このフローで示している「納品書、送り状」は、加工された製品に関するものを指している。
 
【 ケース1 】
 規格品証明書原本は鉄骨製作業者が保有する場合。
ケース 1-1
鉄骨製作業者がロール発注し、鋼材、規格品証明書原本がメーカーから鉄骨製作業者へ送られる場合。
ガイドライン_4.鋼材類と報告書の流れ(ケース1-1).jpeg
ケース 1-2
鉄骨製作業者がロール発注する。鋼材は中間加工業者で切断などの加工をされ鉄骨製作業者へ送られる。規格品証明書原本は中間加工業者を経由しないで、メーカーから鉄骨製作業者へ送られる場合。
ガイドライン_4.鋼材類と報告書の流れ(ケース1-2).jpeg

 ● 中間加工業者は、厚板シャーリング業者(外注・委託シャーリング業者を含む)、ガセットなど専門の中間加工業者、BH業者、B-BOX業者、コラム業者が該当する。中間加工業者は、鉄骨製作業者からの発注者に基づいた加工を行い、納品書、送り状を添え、製品を納入する。
なお、コラムについてはケース4、BH業者、B-BOX業者についてはケース5に示している。

 
 

鉄骨製作業者が、孔明け、切断、溶接等の作業を単に外注した場合は、その元請けたる鉄骨製作業者の責任の範囲とし書類の作成を行う。

 
 
【 ケース2】
規格品証明書原本は問屋または中間加工業者が保有する場合。
 
 
ケース2-1
1次問屋または中間加工業者は自社保有の材料を使用して鉄骨製作業者からの発注書に基づいた加工を行い、用紙Cを作成し、提出する。納品書、送り状を添え、加工済鋼材類を納入する。
ガイドライン_4.鋼材類と報告書の流れ(ケース2-1).jpeg
 
ケース2-2
 
鉄骨製作業者には、1次の中間加工業者から納入される。1次の中間加工業者へは2次問屋または中間加工業者から鋼材等が納入される。
 
鉄骨製作業者と売買を行う1次中間加工業者は鉄骨製作業者からの発注書に基づいた加工を行い、2次問屋または中間加工業者の発行した原品証明書、納品書、送り状を基に用紙Cを作成し、納品書、送り状を添え、加工済鋼材類を納入する。
ガイドライン_4.鋼材類と報告書の流れ(ケース2-2).jpeg
 
 

● 中間加工業者の定義、作業を単に外注した場合の考え方は、ケース1-2と同様である。中間加工業者間で材料(在庫材)手配を含め切断を委託する場合は、ケース2-2に相当する。

 
 
【 ケース3】
鉄骨製作業者が手持ちの余材を使用した場合。
 
 ガイドライン_4.鋼材類と報告書の流れ(ケース3).jpeg

ケース3-1 ケース1の場合の余材:ケース1の方法による。
ケース3-2 ケース2の場合の余材:ケース2の方法による。

 
 
 
5.2 書 式
 
5.2.1 用紙A1表紙
ガイドライン_5.2.1_用紙A1表紙.jpeg
 
5.2.2 用紙A2表紙
 ガイドライン_5.2.2_用紙A2表紙.jpeg
 
5.2.3 用紙B:鉄骨工事使用鋼材等報告書
ガイドライン_5.2.3_用紙B_鉄骨工事使用鋼材報告書.jpeg
ガイドライン_5.2.3_用紙B_鉄骨工事使用鋼材報告書、節毎の2ページ以降.jpeg
 
5.2.4 用紙C:ケース1-1, 1-2 鉄骨製作業者が証明書を作成する場合

●ケース1-1 鋼材、規格品証明書原本は鉄件製作業者へ

ガイドライン_5.2.4_用紙C:ケース1-1_鉄骨製作業者が証明書を作成する場合1.jpeg
ガイドライン_5.2.4_用紙C:ケース1-1_鉄骨製作業者が証明書を作成する場合1.jpeg
 

● ケース1-2 規格品証明再原本は鉄骨製作業者へ,中間加工業者が加工する。

 ガイドライン_5.2.4_用紙C:ケース1-2_鉄骨製作業者が証明書を作成する場合2.jpeg
 
 

●ケース3:鉄骨製作業者が手持ちの余材を使用した場合
ケース1の場合の余材の時はケース1に、ケース2の場合の余材の時はケース2に倣う。

 
 
5.2.5 用紙C:ケース2  中間加工業者が証明書を作成する場合      
【用紙C】
 
 

● ケース2 :規格品証明書原本は中間加工業者:原本を持つところが証明書を作成する。

ガイドライン_5.2.5_用紙C(ケース2)中間加工業者が証明書を作成する場合.jpeg
建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン



 
7.14.3 SN鋼材材質識別表示記号・位置及び鋼材の識別表示標準
(a)「SN鋼材材質識別表示記号・位置」(新しい建築構造用鋼材より)を次に示す。

SN鋼材材質識別表示記号・位置
7.14.3_SN鋼材材質識別表示記号・位置及び鋼材の識別表示標準.jpeg

 
(b) 日本鋼構造協会規格JSS I 02(鋼材の識別表示標準)の抜粋を次に示す。

JSS  I 02-2004
  表 – 1 識別色および塗色方法
JSS_Ⅰ_02-2004_表-1_識別色および塗色方法.jpeg

 
参考文献
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