配筋標準 04 かぶり厚さ

配筋検査のつぼ④ かぶり厚さ


4° .かぶり厚さ

4−1 鉄筋のかぶり厚さ

①鉄筋のかぶり厚さは表4-1による。

②柱・梁の主筋に対するかぶり厚さは表4-1を満足し、かつ主筋に対する最小かぶり厚さは主荕径の1.5倍以上とする。

③設計かぶり厚さ = 最小かぶり厚さ + 施工誤差(10mmを標準)とする。

④配筋は構造体寸法(打増しを除いた寸法)から所定の設計かぶり厚さを確保する。

⑤耐久性上有効な仕上げがある場合、表4-1の*の値を10mm減じてもよい。
ただし、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の劣化対策等級を取得する場合は、耐久性上有効な仕上げがあってもスラブ(屋外)、屋上面の柱・梁水平面の*1の値は10mm減じることはできない。

【 耐久性上有効な仕上げの例 】
・タイル張り・モルタル塗り(10mm以上)
・打増し(10mm以上)

⑥軽量コンクリートを用いる場合は表4-1の*2の値に10mm加えた値とする。

⑦ひび割れ誘発目地・打継ぎ目地・化粧目地等がある場合は、目地底からのかぶり厚さを確保する。
壁の目地部の施工誤差は5mmとして、重点管理すること。
壁の目地部の設計かぶり厚さ
= 最小かぶり厚さ + 施工誤差(5mmを標準)
とする。
屋外面の目地部に耐久性上有効なシールがある場合は、表4-1の*3及び*4の値は10mm減じてよい。
ただし、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の劣化対策等級を取得する場合は、耐久性上有効なシールがあっても屋外面の柱・梁の目地部の*3の値は10mm減じることはできない。
(耐久性上有効なシールとは、材料は規定しないが、メンテナンスが行われているシール等がこれにあたる。)

⑧柱・梁で打継ぎ目地を設ける場合は、構造体寸法に目地深さ分(20mm標準)を打増しとする。また、目地を設けない柱・壁で耐久性上有効な仕上げがない場合の屋外面は構造躯体寸法に10mm打増しとする。この打増しは、上記⑤により耐久性上有効な仕上げと考えることができる。

⑨直均し仕上げの場合のスラブの打増しは、10mmとする。

⑩コンクリートの塩化物量が0.3kg/m 3を超える場合は、表4-1にかかわらず、スラブの下端筋の設計かぶり厚さ40mm、最小かぶり厚さ30mmとする。

⑪捨てコンクリートはかぶり厚さに含まない。

⑫杭鉄筋の設計かぶり厚さは構造図による。



図4-1-2 設計かぶり厚さ 分類図(一覧)

★ポイント


★最小かぶり厚さを満足しないものは、
建築基準法違反となり、
検査済み証が降りず、建物が使用できないので、
特に注意を要する。

①柱・梁の主筋に対するかぶり厚さは表4-1を満足し、かつ主筋に対する最小かぶり厚さは主筋径の1.5倍以上とする。

②配筋は構造体寸法(打増しを除いた寸法)から所定のかぶり厚さを確保できる位置にて行う。

③目地底からのかぶり厚さを確保する。目地部を避けて配筋する。

④柱・梁で、打継ぎ目地を設ける場合は構造体寸法に目地深さ分(20mm標準)打増しを行い、設けない場合で耐久性上有効な仕上げがない場合の屋外面は10mm打増しとする。

⑤直均し仕上げの場合のスラブの打増しは、10mmとする。

⑥品確法対象建物では、屋外のスラブ(柱・梁の屋上面を含む)かぶり厚さは、耐久性上有効な仕上げがあっても、10mm減じることができない。

⑦品確法対象建物では、屋外面の柱・梁の目地部のかぶり厚さは、目地に耐久性有効なシールがあっても、10mm減じることができない。










  

  
  











図4-1-2 設計かぶり厚さ 分類図

★ポイント


①基礎スラブが付く場合の基礎梁底の設計かぶり厚さは70mmとなるので注意する。
(基礎スラブがつかない場合は50mm)

②免震材料の上部・下部躯体の設計かぶり厚さは50mmとする。

③杭基礎の場合の基礎下端筋の設計かぶり厚さは、杭天端から70mm確保する。

④基礎の設計かぶり厚さは、土に接する・接しないに関係なく70mmとする。


4−2 バーサポート・スペーサー・結束線

①バーサポート・スペーサーのサイズは設計かぶり厚さを満足するものを使用する。

②バーサポート・スペーサーの種類は設計基準強度以上のコンクリート製または鋼製を使用する。

③バーサポート・スペーサーの数量、配置は図4-2-1〜図4-2-4による。

④短辺方向の内法長さℓxが4mを超えるスラブは連続バーサポートを使用する。

⑤側面スペーサー(ドーナツ形)は縦使いとする。

⑥断熱材打込み時のバーサポートは断熱材用の製品(プレート付き)を使用するか、またはバーサポート下に樹脂パッドを設置し、断熱材にめりこまないようにする。

⑦鋼製バーサポートは在来型枠との接触面に防錆処理を施した製品を使用する。

⑧結束線は内側に折り曲げることを原則とする。










図4-2-1 柱・梁のバーサポート等の取付要領

   

図4-2-2 壁のスペーサーの取付要領



図4-2-3 基礎のバーサポートの取付要領


図4-2-4 スラブのバーサポートの取付要領

★ポイント


①コンクリート製のバーサポート・スペーサーは、その部材のコンクリートの設計基準強度以上のものとする。(高強度コンクリートを使用する場合は注意が必要)

②鉛直荷重を受ける部位(基礎・スラブ・梁底)には、プラスチック製のバーサポートは使用禁止は禁止。

③ドーナツ形スペーサーは、縦使いとする。

④断熱材打込み時のバーサポートは、断熱材にめりこまないようにする。

⑤鋼製バーサポートは、在来型枠との接触面に防錆処理した製品を使用する。バルコニースラブ底面はポリキャップ付きが望ましい。

⑥結束線は内側に折り曲げる。

⑦目地部のかぶりを確保するために、目地の両側にスペーサーを配置するとともに、タテ筋・ヨコ筋を強固に結束する。

⑧スラブ筋及び基礎荕のバーサポートは短辺・長辺とも@1000程度に配置する。

※壁で、タテ筋が外側に位置する場合、スペーサーのサイズに注意する。(タテ筋径分大きめのドーナツ形スペーサーが必要)

※機械式継手を使用する場合は、カフラー部およびスリーブ部の帯筋・あばら筋の確保を確実に行う。

※建築主仕様、設計事務所仕様により、ドーナツ形スペーサーの外部タテ筋への取付(ヨコ使い)を指定される場合は、コンクリート充填性確保のために星形スペーサーの採用を監理者を協議する。

やまとたける

一級建築士/ 1級建築施工管理技士

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やまとたける