1級建築施工管理技士 二次検定 躯体工事【演習問題01】

【 演習問題01 】

問題1

次の問いに答えなさい。

ただし労働者の安全に関する記述は除くものとし、留意事項は、それぞれ異なる内容の記述とする。

①鉄筋工事において、鉄筋の組立てを行う際の施工上の留意事項を2つ具体的に記述せよ。
ただし、材料の性質及びガス圧接に関する記述は除くものとする。

②型枠工事における型枠支保工の存置又は取り外しに関して、躯体の品質を確保する上での留意事項を2つ具体的に記述しなさい。
ただし、材料に関する記述及び組立・解体の作業手順に関する記述は除くものとする。

③コンクリート工事におけるコンクリート打設後の養生についての留意事項を、その理由を含め2つ具体的に記述せよ。

④鉄骨工事において、建入れ直しを行うときの留意事項を2つ具体的に記述せよ。


【 攻略のポイント 】

まず、問題の題意から、労働者の安全は除くとあり、①では、材料の性質およびガス圧接を除くをある。このことは、鉄筋組立の品質基準の確保について解答させるための誘導と考えられるので、キーワードとして、かぶり、スペーサ、鉄筋間隔、鉄筋結束、定着長さ、フック等、鉄筋組立品質について記述する。
また、②では、躯体の品質を確保する上での存置又は取外しである点に注意が必要である。③では、必ず理由が必要である。

解答例
1.鉄筋工事

①かぶりを設計図書の通り確保するため、適正なスペーサーを用いる。

②鉄筋は、必要な継手長さおよび定着長さを確保する。

2.型枠工事

①セメントの種類、気温および部位別に定められた存置日数を確保する。

②支柱の盛替えは、養生中のコンクリートに有害な振動・衝撃を与えるので行わない。

3.コンクリート工事

①打設後の急激な乾燥ひび割れを抑制するため、散水・シート等の湿潤養生を行う。

②コンクリートの凍結を防止するため、初期養生として養生マットにより外気との接触を遮断して保温し、湿潤状態を確保する。

4.鉄骨工事の建入れ直し

①歪み直し用のワイヤロープは、鉄骨本体に強固に取付け、本接合終了後まで取り外さない。

②ターンバックル付き筋かいを有する建築物においては、本設用筋かいを歪み直しに使用してはならない。

問題2

次の[ 1 ]~[ 8 ]の記述において、各記述ごとに下線部のうち最も不適当な箇所番号を1つあげ、適当な語句を解答欄に記入しなさい。

[ 1 ]
トラッククレーンの油圧式のブームと機械式のブームを比較した場合、一般的に、ブームの伸縮が容易なのは、①油圧式ブームである。
クローラークレーンのタワー式と直ブーム式を比較した場合、ふところが広く、より建物に接近して作業が可能なのは、②直ブーム式である。
定置式のタワークレーンの水平式と起伏式を比較した場合、吊上げ荷重が大きく揚程を高くとれるのは、③起伏式である。

[ 2 ]
ディープウェル工法とウェルポイント工法を比較した場合、対象帯水層が砂れき層で深く、必要排水量が非常に大きい場合は、①ウェルポイント工法の方が良い。

②ディープウェル工法は、水中ポンプで汲み上げる工法であるが、真空ポンプを組み合わせた工法もある。
また、周辺の井戸枯れや地盤沈下が問題となる場合は、③止水工法を用いると良い。

[ 3 ]
場所打ちコンクリート杭地業のオールケーシング工法の場合、掘削は①ドリリングバケットを用いて行う。1次スライム処理は、孔内水が多い場合には、②沈殿バケットを用いて処理する。

2次スライム処理は、通常行わないが、スライム量が多い場合は、③水中ポンプなどを用いて行う。

[ 4 ]
D25の異形棒鋼の場合、単位質量は約①4kg/mであり、JIS規格における標準長さは、7m以下で②0.5mごとに区切られている。
また、異形棒鋼の種類でSD③390Aには圧延マークはない。

[ 5 ]
型枠工事における型枠支保工で、鋼管枠を支柱として用いるものにあっては、鋼管枠と鋼管枠との間に①交差筋かいを設け、支柱の脚部の滑動を防止するための措置として、支柱の局部の固定、②根がらみの取付けなどを行う。

またバイブサポートを支柱して用いるものにあっては、支柱の高さが③4.5mを超えるときは、高さ2m以内ごとに水平つなぎを2方向に設けなければならない。

[ 6 ]
フレッシュコンクリートの空気量の測定は、試料を容器の約1/3まで入れ、ならした後、容器の底を付かないように各層を突き棒で①15回均等に突く。
突穴がなくなり、コンクリートの表面に大きな②泡が見えなくなるように、容器の側面を10~15回木づちなどでたたく。

さらに容器の約2/3まで試料を入れ、前回と同様の操作を繰り返す。
最後に容器から少し触れる程度に試料を入れ、同様の操作を繰り返した後、定規で余分な試料をかき取ってならし、コンクリートの表面と容器の上面を正しく一致させる。
突き棒の突き入れ深さは、ほぼ③各層の厚さとする。

[ 7 ]
コンクリート工事において、暑中コンクリートの練上がり温度に影響するのは、主に①骨材の温度である。また、寒中コンクリートは、②積算温度によって管理される。

マスコンクリートの場合は、③表面部の温度をできるだけ低くするのが施工上大切なことである。

[ 8 ]
鉄骨工事におけるスタッド溶接で、溶接棒の仕上がりの高さと傾きは溶接部の品質や施工条件の良否と密接な関係があるが、アークの発生が過度な場合には、所定の高さより①高くなる。

また、母材及びスタッド材軸部に 0.5mm以上の②アンダーカットが発生すると所定の強度が得られないので不合格とし、③隣接部に打直しを行う。

攻略のポイント

[ 1 ]
鉄骨建込み用クレーンはタワークレーンと移動式クレーンに大分類され、移動式クレーンには、クローラクレーンとトラッククレーンがよく用いられる。
クローラクレーンには、ブームを上下させる直ブームとタワークレーンアタッチメントを装着してクローラー式タワークレーンのタワー式は建物に近接して作業ができる。

[ 2 ]
地下水位のある地盤を掘削するとき、水中掘削となるのを避けるため、地下水の排水量の少ないときは、ウェルポイント工法を用い、排水量の多いときは、ディープウェル工法を用いる。ディープウェル工法は広い範囲の水位を低下させるため、必要により止水工法用いて、低下する範囲を限定する。

[ 3 ]
オールケーシング工法は、ハンマグラブを用いて掘削し、孔壁はケーシングチューブで保護する。また、1次スライム処理は、スライムバケット(沈殿バケット)、2次スライム処理は、水中ポンプやサクションポンプにより行う。

[ 4 ]
JIS G3112の鉄筋コンクリート用棒鋼は、次のように規定されている。D25の単位質量は、3.98kg/mで、長さ7m以下の棒鋼は0.5mごとに6.5m、6.0m、・・・4.0m、3.5mのように区切られている。7mを超えるものは、8m、9m、・・のように1mごとに区切っている。また、異形棒鋼の種類では、SD295Aは圧延マークを表示していないが、SD295B等では、圧延マークによって製造業名またはその略号を表す。

[ 5 ]
パイプサポートの高さは、3.5mを超えるときは2m以内ごとに水平つなぎを2方向に設けなければならない。

[ 6 ]
フレッシュコンクリートの空気量試験やスランプ試験では、コンクリートの容器の1/3の容量を入れ、各層ごとに25回均等に突き回す。

[ 7 ]
暑中コンクリートの練上り温度を低下させるのは、骨材を冷却することが効果的である。

寒中コンクリートの養生管理は、気温と日数の積和を積算温度といい、積算温度によって養生日数を定める。

マスコンクリートは、部材の寸法が大きく、内部のコンクリートの水和反応による熱が蓄積され高温となることから、打込みコンクリートの温度を低くしたりする工夫が必要である。

[ 8 ]
スタッド溶接でアークの発生が過度の場合、入熱量が大きすぎるため母材まで溶融するので、所定の高さより低くなる。

また、母材およびスタンド材軸部に0.5mm以上のくぼみ(アンダーカット)が発生すると断面が小さく強度が所定の値より小さくなり不合格となるため隣接部に打ち直す。

解答例

やまとたける

一級建築士/ 1級建築施工管理技士