施工者は設計図書に規定されている工事記録や竣工図書を提出し、法的に定期点検が必要な建築設備や建物の維持監理に関する取扱いの説明や鍵の引渡しを行い、建物は引き渡される。
建物の引渡し後に、漏水などのトラブルが発生した場合、図面や施工記録が残っていなければ、どのような施工がなされたのか、どこに不具合があったのかを不具合箇所を取り壊して調査しなければならない。
これらのことを防ぐために、工事監理者は施工者に建物カルテの作成と建築主への提出を指示する。
①竣工図書は建物カルテの基礎データ
建物カルテとは建物情報と保全情報を一つのファイフに整理したもので、建物の維持保全の基になる重要書類である。
竣工図書等の建物情報が最終仕様に合致していること検証することは、工事監理者の重要な職務の一つである。
建築主はこれらの建物カルテを必要な時に、いつでも取り出せるように、管理責任者を決め、保管スペースを確保し管理することが大事である。
②保守管理契約は引渡しまでに
引渡し後の保守管理に支障がないように、保守管理契約が必要なものは、建築主に早い時期に保守管理契約を済ませてもらうように提言する。
建物の引渡しの時点から建物の維持管理の責任が建築主へ受け継がれる。