















建設業の限定解除の国家資格、1級建築施工管理技士にサクッと合格するためのブログ。
01節 一般事項
12.1.1 適用範囲
(a) この章は、鉄筋コンクリート造鉄骨造、組積造等における内部仕上げの下地及び造作類を対象としており、構造主体をすべて木造とした工事は対象としていない。
近年、鉄筋コンクリート造等の事務庁舎には、ほとんど施工例がなくなったため、平成22年版「標仕」から「3節小屋組」及び「4節屋根野地、軒回りその他」が 削除されたが、増築工事等で置屋根等が採用される場合もあることから、8節及び9節に、19年版「標仕」の仕様及びその解説を掲載している。
なお、国土交通省大臣官房宜庁営繕部が制定している「公共建築木造工事標準仕様書」(平成25年版)は、構造主体を木造とした建物を対象としており、軸組構法工事等で小屋組等が規定されているので参考にされたい。
(b) 小屋組工事の作業の流れを図12.1.1に、内部工事の作業の流れを図 12.1.2に示す。
図 12.1.1 小屋組工事の作業の流れ
図 12.1.2 内部工事の作業の流れ
(c) 施工計画書の記載事項は、おおむね次のとおりである。
なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。
⑧ 作業のフロー、管理の項目・水準・方法、品質管理体制・管理責任者、品質記録文書の書式とその管理方法等
(d) 施工図(現寸図を含む。)を必要とする箇所は、おおむね次のとおりである。
③ 躯体との取合い(床、柱、壁、梁スラプ下端)
⑤ 釘、諸金物:規格、材質、形状、寸法、防錆処置
(f) 平成22年版「標仕」から、製材等フローリング又は再生木質ボードを使用する場合(ただし、製材については、間伐材、林地残材又は小径木を使用する場合を除く。)は、受注者等が合法性を証明する資料を提出することとされている(1.4.2 (c) 参照)。
12.1.2 基本要求品質
また、樹種については、原則として、代用樹種を使用することが認められている (12.2.1(b)(2)参照)。更に、当該部材の必要性能(強度.耐久性等)を満たすことが学術的又は技術的に確認されている場合にあっては、監督職員の承諾を受けて「標仕」表12.2.3に示す代用樹種以外の材を用いることができる。
また、造作材の仕上り面は、そのまま室内の表面に現れ出来ばえを左右するので、傷や汚れ等が許容される範囲内のものでなければならない。しかし、「仕上り面の状態」に関する品質基準については、多分に個人の主観的な判断となり、定量的・客観的に記載するのが困難な面もあるが、できるだけ具体的に施工計画書の品質計画に記載させ、監督職員と施工者の合意のもとに、公平な品質管理を行わせるようにする。
したがって、基本要求品質を満たしていることの確認は、耐力試験等により性能を確認することを求めているものではなく、「標仕」の規定に基づき適切に施工されていることが分かればよい。しかし、「標仕」12.1.2(d)において「床嗚りが生じないこと」が要求されているので、完成時に床鳴りが生じる状態であれば、手直しが必要である。
なお、ホルムアルデヒド放散量に関する工事監理上の注意事項等は、19章10節を参照されたい。
なお、「ひき立て寸法」とは、所定の寸法に製材したままの寸法である。
図12.1.3 ひき立て寸法
(b) 通常、削り代(削り仕上げにより減少する部分)は、板材及び小割り類のような狂いを取る必要のないものは、片面仕上げの場合で1.5mm程度、両面仕上げの場合で3.0mm程度である。また、角材及び平割り類のような狂いを取って用いるものは片面仕上げの場合で 3.0mm程度、両面仕上げの場合で 5.0mm程度である。
12.1.4 表面仕上げ
仕上げ機械について一例を示す(図12.1.4参照)。
図 12.1.4 仕上げ機械の例
(b) 表面の仕上げの程度は文章では表しにくいが、「標仕」表12.1.1に定められている仕上げの程度を強いて表せば表12.1.1のようになる。
表12.1.1 表面の仕上げの程度
なお、継手の位置を分散することを「乱」に配置するといい、交互に配置することを「千鳥」に配置するという。
(b) 構造材では、原則として、あまり短い材料を使うことは避けるべきである。「標仕」12.1.5(b)では、継伸ばしの都合上、やむを得ず短材を使用する時は、土台で布基礎のある場合でも1m程度を限度とすると定められている。しかし、その他の部分でも同様であるが、応力伝達に支障がないように補強している場合を除き、なるべく2m程度を限度とすることが望ましい。
(c) 合板、ボード類の壁付き材は乾燥収縮によって反り、隙間等が発生しないように小穴じゃくりをつける。
(d) 継手及び仕口が、「標仕」等の設計図書に定められていない場合は、一般的に用いられている工法としてよい。しかし、継手及び仕口は重要なものであるから、「標仕」12.1.5(d)では、あまり簡略な工法になるのを避けるようにするため、適切な工法を定め、監督職員に報告するように定めている。
12.1.6 養 生
含有水分の木材内部における状態は、図 12.2.1に示すとおりである。
図 12.2.1 木材の乾燥過程
乾燥によって水分を含まない木材の質量(m0)を求めるもので、JISでは 100〜105℃の換気良好な炉中で恒量に達した状態を全乾と定めている。水分を含んでいる木材の質量を(m)とすると、含水率(u)は12.2.1式で表される。
直流や低周波電流に対する木材の比抵抗の対数が含水率と線形関係にあることを利用して含水率を推定する方法である。比抵抗は、温度の影響を受けるので補正が必要であり、また、繊維飽和点以上の含水率の測定はできない。木材に打ち込まれた針の深さまで測定できるが、通常は7 mm程度である。
図12.2.2 電気抵抗式水分計(打込み式)の例
高周波からマイクロ波域における木材の誘電率あるいは誘電損率が含水率と線形関係にあることを利用して含水率を推定する方法である。誘電率は温度の影響は小さいが、比重の影響が大きく、木材の比重に応じて補正が必要である。木材の表面に当てるだけで、30mm程度の深さの平均含水率が測定できる。
図12.2.3 高周波水分計の例
大気中の水分と木材の含有水分が平衡になった状態の含水率で、気温20℃、相対湿度65%において、約15%である。このような木材を気乾材という。しかし、図12.2.4に示すように、気乾材の含水率には変動があるので.「標仕」12.2.1 (a)(2)(ⅰ)ではやや平均値を上回る値を上限としている。
図12.2.4 気乾材の含水率の変動
表12.2.1 各樹種の比重
製材のJASマークを図12.2.5に示す。
図12.2.5 製材のJASマーク
表12.2.2 構造用製材の標準寸法(JAS)
(2) 樹 種
表12.2.5 樹種の特徴等
表12.2.6 JASによる集成材
JIS A 5508: 2009
1 適用範囲
この規格は、主として一般に使用するくぎについて規定する。ただし、自動くぎ打機用のくぎに用いる場合の連結材料及びその方法については規定しない。
3 種類及び記号
くぎの種類及び記号は、表1による。また、くぎは、頭部及び胴部の形状によって表2及び表3の区分による。(表2及び表3は省略)
表1 くぎの種類及び記号
7 材料
7.1 鉄線
鉄線は、JIS G 3532に規定するくぎ用鉄線又はこれと同等以上の品質をもつものとする。ただし、せっこうボード用くぎ及びシージングボード用くぎについては、JIS G 3532に規定する普通鉄線又はこれと同等以上の品質をもつものを用いてもよい。
7.2 ステンレス鋼線
ステンレス鋼線は、JIS G 4309に規定するSUS304又はこれと同等以上の品質をもつものを用いてもよい。
JIS A 5508 : 2009
(2) 釘の長さは、図12.2.6のように留め付ける材料に留め付けられる材料の厚さの1.5倍以上打ち込まないと、構造材では十分な強さを発揮できない。
釘径は、板厚の1/6以下とし、釘の長さは打ち付ける板厚の 2.5〜 3倍のものとする。ただし、板厚10mm以下の場合の釘の長さは4倍を標準とする。
(3) 造作材の釘打ちの標準的な配置を図12.2.7から図12.2.9までに示す。
図12.2.6 釘の打込み長さ
図12.2.7 下地材に平行する場合
図12.2.8 下地材と交差する場合
図12.2.9 幅の広い場合
(4) 隠し釘の工法には次のような方法があるが、釘の機能と材料の性質及び釘打ち箇所の意匠上の必要性によって定めることになる。
(iv) ななめ釘打ちにより.見え隠れとなる部分に打ち込む。
(5) 釘配置は、特記のない限り、その最小間隔を表12.2.7とする。ただし、この場合は、釘は木材の繊維に対して乱に打つものとする。
(6) 木ねじは、JIS B 1112(十字穴付き木ねじ)、JIS B 1135(すりわり付き木ねじ)又はこれと同等以上の品質を有するものとする。JISでは、原則として、表12.2.8の材料が規定されているが、「標仕」ではステンレスとしている。
(1) 諸金物には、JIS A 5531(木構造用金物)があるが、これに適合するものがないか、又は入手しにくいので、「標仕」12.2.2では,市販品としている。
(2) 金物は一般的には彫り込む必要がないが、部材が交差するような箇所では木部を彫り込み、金物を沈めておかなければならない場合もある。
(3) コンクリートに埋め込まれる部分以外の金物には、錆止め処置として、「標仕」ではJIS H 8610(電気亜鉛めっき)のCM2 C 3級程度の電気亜鉛めっきとしている。
(4) 土台等に使用するアン力ーボルトは先埋込みが望ましいが、位置、埋込み深さ等が不正確になりやすいので、「標仕」12.2.2ではあと施工アン力ーを使用することを認めている。あと施工アン力ーについては14.1.3 (a)(ii)を参照されたい。
接着剤は、非常に多くのものが市場に出回っているが、接着剤の種類によって適用できる被着体や施工時及び使用時の環境条件が異なる。「標仕」では,接着する材料に適したものとしているので、材料や施工部位等を考慮して適切なものを選ぶ。ただし、ホルムアルデヒド放散量は、特記がなければF☆☆☆☆としているので注意する。
12.2.3 木れんが
なお、取付け間隔は.仕上材や下地材を考慮して決める。
図12.2.10 木れんがの取付け
(b) 木れんがの材料は.「標仕」12.2.1 (b)(2)(iv) ③により、ひのき又はひのきの代用樹種(ひば、米ひ、米ひば)を用いなければならない。
(c) JISの木れんが用接着剤は、主成分により2種類に区分され、次のように使い分けられる。
なお、水掛りのおそれのある箇所、構造耐力を要する箇所には適しない。
(2) エポキシ樹脂系:2液混合形(主剤+硬化剤)で使用直前に混合する必要がある。やや高価になるが、湿気のおそれのある箇所、コンクリート面、ブロック面に加えて鋼材面等にも適している。ただし、鋼材面等は脱脂処理やプライマー処理を要する場合があるので注意する必要がある。
直接外気にさらされる部分や、常時湿気を受けやすい部分の木材は、腐朽防止の措置が必要になる。防腐処理とは、薬剤等で木材を処理することをいい、耐朽性の高い樹種を使用するなどして、腐朽防止の対策を講じることを含めて、防腐措置という。
(1) 防腐・防蟻処理が必要な樹種による製材及び集成材
「標仕」では、「製材の日本農林規格」及び「枠組壁工法構造用製材の日本農林規格」によるD1の樹種(表12.3.1参照)の心材のみを用いた製材又はこれらの樹種を使用した集成材は、薬剤による処理を省略してもよいとしている。
(2) 薬剤の加圧注入による防腐・防蟻処理
なお、「標仕」では、保存処理のK2からK4までの区分に適合するものとしている。
(ii) 使用薬剤は従来CCAが主に用いられてきたが、JASでは規定から除外されている。近年、環境への配慮からACQ等、他の薬剤が用いられるようになってきており、例えば、(公財)日本住宅・木材技術センターによるAQ認証等による新しい薬剤でも必要な条件を渦たしているものが追加された規定になっている(薬剤の記号は表12.3.4参照)。
(iii) 通常の加圧注入法では、通導性の低い樹種において規定の薬剤含浸状態を容易に得るために注入処理に先立つインサイジングを認めており、えぞ松、とど松等にも薬剤が十分浸透しうるよう配慮している。一方、JISの土台用加圧式防腐処理木材は、土台専用の製材品で、樹種は、米つが、アピトン、えぞ松及びとど松に限られ、断面寸法長さ等も決められている。使用薬剤はJAS製品とほぼ同じである。
表12.3.1 JASにおける耐久性区分
表12.3.2 JASにおける性能区分と木材の使用状態(わかりやすい新製材JASの解説より)
表12.3.3 浸潤度の適合基準(JAS)
表12.3.4 吸収量の適合基準(JAS)(その1)
表12.3.4 吸収量の適合基準(JAS)(その2)
なお、塗り付けた箇所は見え隠れとなるので、適切な時期に確認をする必要がある。
① 鉄筋コンクリート造、組積造等の最下階
図12.3.1 防腐剤塗付面(その1)
1) 土間スラプ等の上に載る部分
図12.3.1 防腐剤塗付面(その2)
2) 土間以外のコンクリートに接する部材
図12.3.1 防腐剤塗付面(その3)
(i) しろありの代表的なものは、ヤマトシロアリとイエシロアリであり、地域によっては相当な被害があるが、防蟻剤が特殊なものであり、地域も指定しにくいので、設計図書で指定されることになる。
(ii) 防蟻剤は、クロルピリホスを含有しない有機りん化合物やピレスロイド系化合物等を主成分とし、(公社)日本木材保存協会や(公社)日本しろあり対策協会で認定している。これらの薬剤は、労働安全衛生法等に従った取扱いが必要である。
12.3.2 防虫処理
(a) ラワン等広業樹の辺材(白太)部分等は、ヒラタキクイムシの食害を受けやすい。食害を防ぐには、薬剤による防虫処理が効果的である。
(b) ラワン材等の食害に対応した防虫処理材の性能区分、浸潤度及び吸収量の適合基準については、表12.3.2. 3及び4を参照する。
(a) 「標仕」では、間仕切軸組に用いる木材の樹種は特記によるものとし、特記がなければ杉又は松を標準としている。
(b) 「標仕」では、床組に用いる木材の樹種は特記によるものとし、特記がなければ杉又は松を標準としている。ただし、土間スラブの類の場合の土台、転ばし大引及び転ばし根太は、ひのき又は保存処理木材を標準としている。
「標仕」に記載されている工法等の図解を、表12.4.1に示す。
表12.4.1 間仕切軸組及び床組の工法(その3)
12.5.1 木 材
「標仕」では、窓出入口その他に用いる木材の樹種は、特記によるものとし、特記がなければ、窓、出入口等の水掛り部で乾きにくい下枠や強度の必要な吊元枠及び敷居では、ひのきを標準とし、その他は、松又は杉を標準としている。
12.5.2 工 法
「標仕」に記載されている工法等の図解を、表12.5.1に示す。
表12.5.1 窓出人口その他の工法(その2)
6節 床板張り
12.6.1 木 材
「標仕」では、縁甲板及び上がりがまちに用いる木材の樹種は特記によるものとし、特記がなければひのきを標準としている。
「標仕」に記載されている工法等の固解を表12.6.1に示す。
表12.6.1 床板張りの工法(その1)
12.7.1 木材
「標仕」では、壁及び天井下地に用いる木材の樹種は特記によるものとし、特記がなければ、杉又は松を標準としている。
「標仕」に記載されている工法等の図解を.表12.7.1に示す。
12.8.1 木 材
小屋組に用いる木材の樹種は特記によるものとし、特記がなければ杉又は松を標準とする。
12.8.2 工 法
表12.8.2 小屋組の工法(図解 その1)
表12.8.2 小屋組の工法(図解 その3)
12.9.1 木 材
屋根野地、軒回りその他の部位に用いる木材の樹種は特記によるものとし、特記がなければ、杉又はひのきを標準とする。
12.9.2 工 法
工法等の仕様を表12.9.1に、工法等の図解を表12.9.2に示す。
表12.9.2 屋根野地、軒回りその他の工法(図解 その2)
参考文献